説明

印刷物梱包体を製造して荷積みするための方法および装置

【課題】生産能力の効率的な利用により印刷物梱包体の確実で秩序だった荷積みを可能とする、印刷物梱包体の製造方法および荷積み方法を提供するとともに、当該方法を実施するために作動可能な装置を提供する。
【解決手段】搬送手段11、11´に割り当てた積荷16に分けられ、それぞれ所定の一元管理オーダーに対応した所定数の同種の印刷物から成る印刷物梱包体18、19を製造して荷積みするための方法および装置であり、互いに独自に稼働可能な少なくとも2つの生産ライン2、3で積荷16の一元管理オーダーに対応して製造した印刷物梱包体18、19を荷積み部10へと移送し、荷積みする。一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体18、19を製造するために生産ライン2、3は、積荷16の各一元管理オーダーを表す積荷データに応じて自動的に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある積荷に分けられるものであり、搬送手段に割り当てられた、少なくとも1つの積荷であって、好ましくは同種の印刷物からなる特定数の印刷梱包体の、特定の一元管理オーダーにそれぞれ対応した積荷を製造し、荷積みするための方法および装置に関するものである。特に、互いに独自に稼働可能な少なくとも2つの生産ライン上で、少なくとも1つの積荷を構成する少なくとも2つの印刷物梱包体を製造する。そして、製造した印刷物梱包体を少なくともこの1つの積荷に分類して、積荷部に移送し、そこで荷積みするための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最新の印刷センタでは、種類の異なる多数の印刷物が製造されている。印刷物の種類は例えば新聞、雑誌、パンフレット、カタログ、または書籍等があげられる。また、特定種類の印刷物からさまざまな刊行物が製造されており、いわゆる編集版であるいくつかの出版物も製造されている。例えば、印刷物としては、しばしば互いの発行が異なるいくつかの版からなる日刊紙XYなどもあり、このような日刊紙XYでは異なる地域的関心を考慮することができる。また、複数国用に指定された家具カタログなどのように、個別の国ごとに、発行版および/または編集版から製造された刊行物もある。配送の仕様にしたがって、同種の印刷物または異種印刷物は、所定数の印刷物を含む印刷物梱包体(印刷物の束)へとまとめられ、搬送手段に荷積みされ、搬送手段で指定箇所へと搬送される。なお、ある積荷に分けられる印刷物梱包体は、搬送手段に荷積みする前に中間貯蔵されてもよい。
【0003】
例えば包装容器(パッケージ)、コンテナ台車、カゴ(バスケット)、パレット、ボックス、柵、またはその他の好適な容器などを利用して実現できる印刷物梱包体は、例えば配送車、トラックまたは貨車等の搬送手段に荷積みされ、指定箇所へと運ばれる。搬送手段の積荷は通常、多数の印刷物梱包体から構成されており、1つの印刷物梱包体は、それぞれ1種類の印刷物からなる刊行物または編集版のみを含んでいる。しかしながら、積荷自体は異なる種類の多数の印刷物、刊行物、および編集版を含んでいてもよい。そのため、1つの積荷に分けられ、同一種類の印刷物からなる刊行物または編集版の印刷物梱包体は、印刷物の数および種類の両方を明示したあるオーダーで記述される。この印刷物梱包体を記述するオーダーは、1つの積荷に関する複数のオーダーを1つの構成要素としている。すなわち、1つの積荷に関する複数のオーダーから構成されている。それゆえ、この印刷物梱包体を記述するオーダーを、一元管理オーダーと称する。印刷物梱包体は、印刷センタにおいて少なくとも2つの互いに独自に稼働可能な生産ライン上で製造されている。また、各生産ラインは異なる種類の印刷物または異なる刊行物および/または編集版から印刷物梱包体を製造するために稼働可能とすることができる。
【0004】
印刷物梱包体の製造を制御するために、個々の積荷に割り当てられた一元管理オーダーは、利用可能な生産ラインに分配される。次に、印刷物梱包体を個々の搬送手段に分配するのに使用される発送室内で作業する作業員、いわゆる作業主任によって個々の印刷物梱包体の時間的製造順序が決定される。すなわち、作業主任は、荷積み部に配置される搬送手段に割り当てられた1つの積荷に関する印刷物梱包体が時間順に荷積み部に到着させ、そして、搬送手段に荷積みすることができるように時間的製造順序を決定する。つまり作業主任はさまざまな生産ラインで個々の印刷物梱包体を製造する時間的順序を手動で確定し、印刷物梱包体の製造と荷積み部への搬送を監視する。
【0005】
この公知の方法では、しばしば生産ラインの好ましくない利用を招来し、また時として個々の荷積み部の前で印刷物梱包体の停滞を引き起こすという問題が生じる。また加えて、作業主任は、調整について多大な時間を費やさなければならないという問題も生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先行技術におけるこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産能力の効率的な利用により印刷物梱包体の確実で秩序だった荷積みを可能とする、印刷物梱包体の製造方法および荷積み方法を提供するとともに、当該方法を実施するために作動可能な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
方法に関して、この課題は、本発明の範囲内において、公知の方法を改良することにより解決できるものであり、実質的な特徴は以下の点である。すなわち、印刷物梱包体を製造するための生産ラインが、少なくとも1つの積荷の個々の一元管理オーダーを示す積荷データによって自動的に制御される点であって、一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体を製造する時間的順序は、主に積荷データに依存して決定される。この制御は本発明によれば、生産ラインに関する中央共通制御装置によって行われる。
【0008】
上記した方法において、印刷物梱包体の製造および荷積みにとって必要な積荷データを、正しい順序で生産ラインを制御するために中央共通制御装置を利用してもよいし、1つの積荷に対する複数の一元管理オーダーに関する個々の印刷物梱包体を個々の生産ライン上で製造する時間的順序を決定するために中央共通制御装置を利用してもよい。
【0009】
また、生産ラインの生産特性を表すデータが当該制御装置内で利用可能であるかぎり、個々の積荷に割り当てた印刷物梱包体の製造順序を自動的に生成することができる。また場合によっては積荷データに基づき生産ラインを自動制御することによって、個々の積荷に割り当てた印刷物梱包体の製造順序を自動的に生成してもよい。そして、この製造順序でもって一方で個々の生産ラインの生産能力の良好な利用を確保するとともに、他方で1つの積荷に分けられる複数の印刷物梱包体が1つの荷積み部に同時に移送される事態を効果的に防止することができる。従って、個々の印刷物梱包体の時間的製造順序を確定する役目は、本来なら発送室内の作業主任に割り振られるが、この役目は、生産ラインに関する中央共通制御装置によって果たされうる。そして、結果として、発送室全体に関して、印刷物梱包体の製造および荷積みの調整と同期とが可能となる。このため、積荷データが好適なデータフォーマットによって中央共通制御装置に提供されることだけが必要である。これらの積荷データから、積荷を構成する、各種印刷物および/または各種刊行物、あるいは編集版が抽出される。そして、印刷物の種類毎に、および/または刊行物毎に、あるいは編集版毎に、印刷物梱包体が製造されるにしたがって、1つの一元管理オーダーが形成されることが好適である。1つの荷積み部に対する一元管理オーダーの割当ては、全生産ラインに対して行われており、そのため、1つの積荷の一元管理オーダーに従って製造されるすべての印刷物梱包体を、本発明に係る方法の実施時に、同じ荷積み部に割り当てることができる。
【0010】
本発明の別の実施形態では、一元管理オーダーの製造中に、および/または積荷に分けられる印刷物梱包体の製造中に、荷積み部を変更させることも可能である。
【0011】
また、本発明の範囲において、個々の一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体を製造する時間的順序にて実施可能な方法が考えられている。このような時間的順序を、本発明に係る方法を実施するのに利用可能な制御装置への入力とすることができ、例えば好適なインタフェースを介して、データをインポートすることによって与えることができる。また、当該データそれぞれには、生産ライン上で製造可能な印刷物の種類の順序が含まれていてもよい。この場合、個々の一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体を、この所定順序に一致させて製造する。特に、これらの順序データは、個々の印刷物をデータ形式にて含むことができ、基準製品を識別する。その場合、本発明に係る方法の実施時、1つの積荷の印刷物から1つの基準製品を決定し、この基準製品に対応した一元管理オーダーの印刷物梱包体を最初に製造して荷積みすることができる。
【0012】
上記にて既に言及したように本発明の範囲において、一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体を製造する時間的順序を、生産ラインの稼働状態に依存して制御可能とするとき、個々の生産ラインの生産能力を最適に利用することができる。本発明に係る実施形態では、1つの積荷の異なる一元管理オーダーのさまざまな印刷物梱包体を、1つの荷積み部に同時に分配してしまう事態を、同一積荷の先行する一元管理オーダーから、対応する印刷物梱包体の所定の製造状態に到達した際にイネーブル信号(許可信号)を発生させ、効果的に防止することができる。このイネーブル信号は、製造信号を発生させる信号であって、製造信号は、1つの生産ライン上において、積荷に関するさらなる印刷物梱包体の製造を開始させる信号である。この製造信号を、生産ラインの状態を表すデータメッセージとすることができる。
【0013】
従って、本発明に係るこの実施形態では、一元管理オーダーを処理する個々の生産ラインからイネーブル信号が発生され、各イネーブル信号の発生後に、この積荷の次に後続する一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体の製造が、各製造信号の発生と、この製造信号の対応する生産ラインへの印加とによって開始される。このため、一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体の製造が完了したときのみ、イネーブル信号が発生されることにより、個々の印刷物梱包体が1つの荷積み部に同時に移送される事態を効果的に防止することができる。しかしながら、所定割合の印刷物梱包体を製造した時点で、既にイネーブル信号が発生している場合に、生産ラインの生産能力の特別良好な利用を達成することができる。この場合、個々の一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体の製造が時間的に一部重なることは許容される。
【0014】
上述した本発明に係る実施形態では、イネーブル信号の発生後、同一積荷の一元管理オーダーから、対応する印刷物梱包体を製造することは、各製造信号を発生し、この製造信号を1つの生産ラインに印加することによって開始しなければならない。この積荷の1つの一元管理オーダーに関する印刷物梱包体それぞれを製造するために少なくとも2つの生産ラインが利用可能である場合、印刷物梱包体を製造するのに適した稼働状態に1つの生産ラインが達するとすぐにレディ信号を発生することが好ましい。1つの生産ラインの利用可能性を示すレディ信号は、各生産ラインが「稼働準備完了」の稼働状態を示すとすぐに、イネーブル信号に加えて発生される。
【0015】
本発明に係る最後の実施形態では、イネーブル信号に応答して、積荷の印刷物梱包体を製造するために稼働可能な1つの生産ラインについて製造信号を発生することができるのは、この生産ラインに対してレディ信号が存在し、かつ、製造状態に応じて印刷物梱包体の製造中に更新される積荷データに従って製造可能な印刷物梱包体が、この積荷用に要求される場合である。同一の積荷に関する先行する一元管理オーダーに対するイネーブル信号の発生後に、或る一元管理オーダーに対する製造信号が発生するとき、この積荷の個々の一元管理オーダーの製造順序が予め確定されていないが、イネーブル信号を受け付けた際の生産ラインの利用可能性に応じて決定される場合であっても、同一の積荷に関するさまざまな一元管理オーダーの2つ以上の印刷物梱包体が当該荷積み部に同時に配信されることを確実に防止することができる。
【0016】
本発明に係る実施形態の上記説明から読み取ることができるように、この積荷の一元管理オーダーを表す積荷データは、一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体の製造中に、常時、更新される。また、選択的にまたは付加的に、各一元管理オーダーを消去し、または制御装置によってコントロールされる列から削除することもできる。
【0017】
生産ラインの生産能力を最適に利用し、同時に個々の荷積み部の過負荷の可能性を排除し、かつ一元管理オーダーを生産ラインに極力、均一に分配し得る点では、以下の構成が特に好ましい。すなわち、イネーブル信号に応答して、不足している印刷物梱包体の製造に利用可能な生産ラインのために製造信号を発生し、イネーブル信号が発生する間の最大時間にわたってレディ信号が存在する構成の場合である。個々の一元管理オーダーに属する印刷物梱包体の全生産において、個々の生産ラインがまったく「割り当てられ」ない事態を防止し、個々の生産ラインの均一な稼働率を達成することができる。
【0018】
また、本発明に係る方法は、単に1つの積荷用の一元管理オーダーに関する印刷物梱包体が2つ以上の生産ラインで時間的に同期して製造されねばならないときでさえも有利に利用可能である。しかしながら、少なくとも2つの積荷用に一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体が同時に製造され、これらの積荷に割り当てられた荷積み部に荷積みされるとき、本発明は特に有利に利用可能となる。そして、これらの積荷に割り当てられた荷積み部は当該印刷物梱包体の製造中にもなお変更することができる。この場合、製造時に常時、更新される2つまたは3つ以上の積荷データセットが存在し、場合によっては、個々の、もしくは異なる積荷に割り当てられた一元管理オーダーの時間的製造順序を印刷物梱包体によって制御する。ここでもまた、冒頭に述べた静的な制御に加えて、個々の積荷に割り当てられたイネーブル信号と個々の生産ラインに割り当てられた個々のレディ信号とに依存した生産ラインの動的な制御を、所定の時間的順序に基づき実現することができる。
【0019】
本発明に係る方法の監視に関しては、以下の構成が有利であることが分かった。すなわち、少なくとも1つの積荷の一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体の製造状態および/または荷積み状態を表示する視覚的な表示装置が製造される場合である。この視覚的な表示装置としては、例えば、本発明に係る制御を実施するのに使用されるデータ処理設備に付設されたモニタにより実現できる。その際、印刷物の製造を監視するための独自のモニタを個々の生産ラインのそれぞれに付設しておくことが望ましい。
【0020】
本発明に係る方法の以上の説明から読み取ることができるように、印刷物から成る印刷物梱包体を製造するために、互いに独自に稼働可能な少なくとも2つの生産ラインと、この生産ラインを制御するために作動可能な制御装置とを有し、このような方法を実施する装置である。この装置は、1つの荷積み部において、搬送手段に割り当てた積荷に分けられる、対応する特定の印刷物梱包体を製造する時間的順序を自動的に決定する制御装置が、この積荷の個々の一元管理オーダーを表す積荷データに依存して動作可能となっていることを実質的な特徴としている。当該積荷データが生産ラインを制御するための基礎として利用可能であるとき、本発明に係る装置は少なくとも2つの積荷用の一元管理オーダーを同時に生産することにも利用することができる。
【0021】
本発明に係る装置の生産ラインは相互に区別可能な少なくとも2つの印刷物から成る印刷物梱包体を製造するために稼働可能とすることができる。本発明に係る装置の時間的順序は、制御装置の特にインタフェースを介して伝えられ、かつ制御装置によって設定された順序に従って決定可能とすることができる。付加的にまたは選択的に想定される本発明に係る装置の利用では、生産ラインの利用可能性を表す準備完了状態と積荷の一元管理オーダーに対応した印刷物梱包体の製造状態を表すイネーブル信号とに依存して時間的順序を決定可能とする。その際、生産ラインは少なくとも2つの積荷用の印刷物梱包体を同時に製造するために制御可能とすることができる。
【0022】
発明にとって本質的であるが明細書のなかで詳しくは明らかとならないすべての詳細に関して明確に参照される図面を参考に、以下で本発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】先行技術による装置の概略図である。
【図2】本発明に係る装置の概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態による本発明に係る方法の実施を表す図である。
【図4】本発明の第2実施形態による本発明に係る方法の実施を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1が示す発送室1´には公知の装置が備えられており、この装置でもって図示しない印刷物は2つの生産ライン2、3で製造することができる。生産ライン2は、第1印刷物を製造するために稼働可能となっており、生産ライン3は第2印刷物を製造するために稼働可能となっている。さらにまた、生産ライン2、3はそれぞれ別の印刷物を製造するためにも稼働することもできる。なお、生産ライン数はこれに限定されるものではなく、2つ(生産ライン2、3)以上の生産ライン数であってもよい。生産ライン2は、第1生産領域4に付設されており、この生産領域は制御装置5によって監視され制御される。生産ライン3は、制御装置7によってコントロールされる第2生産領域6内に配置されている。生産ライン2、3で製造された印刷物、例えば新聞は、グループごとに集約され、小包(パッケージ)として移送システム8に供給される。小包に加えて、印刷物を一層簡単に取り扱いかつ保護するためのコンテナ台車、カゴ車、パレット、ボックス、筒体、またはその他の好適な容器等の他の印刷物梱包体も知られている。移送システム8は、個々の、好ましくは同種の、印刷物を含む印刷物梱包体を荷積み部10へと搬送し、荷積み部で印刷物は搬送手段11に荷積みされる。通常、配送車、トラック、または貨車が搬送手段11として利用される。移送システム8と荷積み部10とを含む荷積み領域9において、印刷物梱包体の停滞を生じることのないように、作業主任12は、生産ライン2、3上で製造されるオーダーの時間的順序を調整に努める。そして、作業主任12は、この調整により、荷積み部で搬送手段11に割り当てられた積荷の印刷物梱包体を時間的に連続した順序で到着させる。したがって、荷積み部10で印刷物梱包体を搬送手段11に荷積みするためには、停滞することなく規則正しく行わなければならない。生産ラインの数、荷積み部の数、製造すべき異なる印刷物の数が増すにしたがって、作業主任12による調整はその限界に達する。
【0025】
図2に示す本発明に係る装置1もまた、2つの生産ライン2、3を含み、これらの生産ラインは、印刷物梱包体18、19を生産するために生産ライン制御装置13によって特定の積荷データに応じて制御される。なお、この印刷物梱包体18、19は、特定数の、好ましくは類似した印刷物から構成されている。制御装置13は、例えば電子データ処理装置等のプログラマブル装置を有している。そして、制御装置13では、このプログラマブル装置に対してインタフェースを通じて積荷データを供給可能としており、プログラマブル装置は、信号とデータとを生産ラインに転送したり、生産ラインから受信したりすることができるようになっている。積荷データに応じて生産ライン2、3によって製造された印刷物梱包体18、19を、移送システム8によって荷積み部10へと移送する。そして、この荷積み部10で、印刷物梱包体18、19を搬送手段11に荷積する。なお、移送システム8は、単純なベルト搬送システムとして構成することができ、また、印刷物梱包体18、19用の複数の供給部14および荷積み部10を備えた全自動移送システムとしても構成することができる。
【0026】
まず、制御装置13には、1つまたは複数の積荷に分けられる、個々の一元管理オーダーを表す積荷データが、インタフェースを通じて供給される。つまり、積荷データは、特には、積荷に分けられる印刷物梱包体の数および種類と、各印刷物梱包体の印刷物の部数とに関する情報を含む。これらのデータは、制御装置で実行されるプログラムによって処理可能なデータフォーマットで制御装置に提供される。さらに、いかなる印刷物を製造するのにいかなる生産ラインが準備できているかについての情報、もしくはいかなる印刷物を製造するのにいかなる生産ラインが稼働可能であるのかについての情報が制御装置に提供される。それを受けて制御装置13は、積荷データによって示される一元管理オーダーを製造するために、生産ラインを自動的に制御する。なお、この生産ラインは、各一元管理オーダーで表現される印刷物を製造するために稼働できるように構成されている。また、別の生産ラインでは、これらの生産ラインがこれらの一元管理オーダーの印刷物を製造するために稼働可能である場合、同一積荷または別の積荷に関する、さらなる一元管理オーダーを製造するために制御装置によって制御される。印刷物梱包体を製造するために制御装置が個々の生産ラインを制御する順序を、いかなる判定基準に従って決定しているのかについて以下で具体的に述べられる。
【0027】
全生産ラインを制御するための制御装置13は、少なくとも2つの生産ライン2、3の他に、拡張された生産領域15の移送システム8と少なくとも2つの荷積み部10とを制御する。図2に例示的に示すように、搬送手段11´の積荷16は、複数の印刷物梱包体18を含んでいる。そして、これらの印刷物梱包体18は、例えば生産ライン2で製造され、移送システム8を介して、搬送手段11´に割り当てられている荷積み部10へと搬送される。なお、生産ライン3で製造された印刷物梱包体19は既に積荷16に供給されているか、あるいは搬送手段11´に向かっている途中である。
【0028】
生産ライン2、3は、異なる稼動状態であり、印刷物梱包体18、19の時間的製造順序に影響を与える。例えば、各生産ラインが「稼働準備完了」の稼働状態となるとすぐに、制御装置13にレディ信号が送信される。
【0029】
以下において、図3によって説明する本発明に係る方法では、積荷データに従って製造すべき一元管理オーダーの順序が固定設定されている。図3を基に示す方法では、積荷16用に生産ライン2で製造すべき印刷物は、第1の一元管理オーダー23に従って製造し、次に生産ライン3で製造すべき印刷物は、第2の一元管理オーダー33に従って製造することができる。時間軸Tに沿った時間的生産順序は以下のようになる。すなわち、生産開始時に生産ライン2も、生産ライン3も、ここで詳しくは説明しない積荷データに従って印刷物の製造を指示されている。各一元管理オーダー30が生産ライン3によって処理された場合、イネーブル信号31が発生されて制御装置13に印加される。一元管理オーダー23、33の所定の生産順序に関して、生産ライン3はイネーブル信号31に対応しているが、しかしながら、一元管理オーダー33に後続する一元管理オーダーに従って印刷物梱包体を製造するようにまだ制御されていない。製造開始時では、生産ライン2で一元管理オーダー20を処理する。そして、この一元管理オーダー20の処理が完了すると、生産ライン2は、イネーブル信号21を発生する。特定の製造順を考慮して、すなわち、まず、生産ライン2によって製造できる印刷物梱包体から、一元管理オーダーが処理された後であって、イネーブル信号21に対応して、生産ライン3によって製造できる印刷物梱包体を使って一元管理オーダー33を処理することができる前という製造順を考慮して、制御装置13から製造信号22が生産ライン2に印加される。そして、一元管理オーダー23に対する、図2に示す印刷梱包体18の製造が開始される。一元管理オーダー23の処理が完了すると、イネーブル信号24が制御装置13に印加される。そして、このイネーブル信号24だけに応答して、製造信号32が生産ライン3に印加され、こうして一元管理オーダー33に対する印刷物梱包体19の製造が開始される。一元管理オーダー33に属する印刷物梱包体の完成後、イネーブル信号34が制御装置13に印加される。
【0030】
各順序データによって設定された特定の生産順序に従って、一元管理オーダー23、33を生産するのに作業主任の介入は必要でない。むしろ、既存の積荷データと順序データとを制御装置13に伝え、制御装置13に入力され、および/または制御装置13に記憶されれば十分である。
【0031】
以下において、図4を参照して工程管理を述べるが、一元管理オーダーの生産順序は、固定バイアスにより指定されていない。むしろ、積荷16について、一元管理オーダー26に対応する第1の印刷物梱包体18は、生産ライン2で生産可能な印刷物から製造され、一元管理オーダー36に対応する第2の印刷物梱包体19は、生産ライン3で生産可能な印刷物から製造されることが指定されているにすぎない。図2では、両方の一元管理オーダー26、36を伴う積荷16を、簡略化して、2つの荷積み部10のうちの一方に位置する、2つの搬送手段のうちの1方の搬送手段11´内に示している。生産開始時には、2つの生産ライン2、3に対するレディ信号が存在する。すなわち、生産ライン2、3では、イネーブル信号の伝送後に印刷物梱包体の製造を開始することができる。図4によれば、生産ライン2、3では、別の積荷用の一元管理オーダー20、30に従って、印刷物梱包体を製造することで余裕がない。一元管理オーダー30の終了後、イネーブル信号31が生産ライン3から制御装置13に印加される。イネーブル信号31に応答して、一元管理オーダー36を生産するための製造信号35が直ちに生産ライン3に印加される。一元管理オーダー36の印刷物梱包体19を製造中、生産ライン2で一元管理オーダー20の製造が完了し、対応するイネーブル信号21が制御装置13に印加される。しかしながら一元管理オーダー26に対する印刷物梱包体18の生産を開始するための製造信号25は、生産ライン3による一元管理オーダー36の終了を表すイネーブル信号37の入力後においてのみ、制御装置13から生産ライン2に印加される。そして、このようにして一元管理オーダー26に対応した印刷物梱包体18の製造が生産ライン2によって開始される。一元管理オーダー26の終了後に、イネーブル信号27が生産ライン22から制御装置13に再び、印加される。既に一元管理オーダー36の製造か完了する前、例えば、一元管理オーダー36の80%が生産されたとき、イネーブル信号38が制御装置13に送信されることも考えられる。この手順において、製造信号25を、図4に示したよりも早くに生産ライン2に印加することができる。つまり、2つの一元管理オーダー26、36の積荷16に属する印刷物梱包体18、19を、図3に示される手順よりも、著しく短い時間でかつ、生産ライン2、3での遅延をより小さくして製造することができる。
【0032】
このような事前の調整は、例えばキーボード等の入力装置を介して制御装置に供給可能である。例えば、制御装置のコンピュータで実行されるプログラムによって、順序データの入力または変更のために、モニタなどの表示装置に入力マスクを提供することができる。なお、この順序データの入力または変更によって、最初に製造すべき一元管理オーダーを基準点(基準製品)としてマーキングする、および/または、製造しなければならない一元管理オーダーの割合を決定する。そして、これにより対応する生産ラインから制御装置にイネーブル信号が送信される。このようにして、積荷に分けられる一元管理オーダーが固定された特定の順序に従って製造されるべきか否か、あるいは生産ラインの稼働率を最適化するために制御装置によって順序が上記の如くに決定されるべきか否かを確定することができる。
【0033】
なお、本発明は、図面を参照して説明した実施例に限定されるものではない。むしろ、2つよりも多い積荷用に、一元管理オーダーを同時に処理することができる。一元管理オーダー20、23、26、30、33、36の生産中に、搬送手段11、11´が、ある荷積み部10から次の荷積み部10へと変更することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが搬送手段に割り当てられており、類似する種類の印刷物から構成される印刷物梱包体(18、19)の対応する特定の一元管理オーダーに属する少なくとも1つの積荷を製造し、かつ荷積みするための方法であって、
互いに独自に稼働可能な少なくとも2つの生産ライン(2、3)で、前記少なくとも1つの積荷(16)の前記印刷物梱包体(18、19)が製造され、前記少なくとも1つの積荷(16)に割り当てられた荷積み部(10)へと移送され、かつそこで荷積みされており、
前記印刷物梱包体(18、19)を製造するための前記生産ライン(2、3)が、前記少なくとも1つの積荷(16)の個々の一元管理オーダー(23、33;26、36)を表す積荷データに応じて、全生産ライン用の中央制御装置によって自動的に制御されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記一元管理オーダー(23、33;26、36)に対応した、前記印刷物梱包体(18、19)が所定の時間的順序に従って製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一元管理オーダー(23、33;26、36)に対応した前記印刷物梱包体(18、19)を製造する時間的順序が前記生産ライン(2、3)の稼動状態に応じて制御されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つの生産ライン(2、3)が前記印刷物梱包体(18、19)の製造に適した稼働状態に達すると、レディ信号が発生されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記レディ信号の発生後に、同一積荷(16)の一元管理オーダー(23、36)に先行する一元管理オーダーに対応した、印刷物梱包体(18、19)が特定の製造状態に達すると、イネーブル信号(24、37、38)が発生され、このイネーブル信号(24、37、38)により、製造信号(25、32)が発生され、該製造信号(25、32)により1つの生産ライン(2、3)上で前記積荷(16)の他の印刷物梱包体(18、19)の製造が開始されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記生産ライン(2、3)に対するレディ信号が存在し、それに伴って製造可能な印刷物梱包体(18、19)が、該印刷物梱包体(18、19)の製造中の製造状態に応じて更新された積荷データに従って、前記積荷(16)用に要求される場合、
前記イネーブル信号(24、37、38)に応答して、前記積荷(16)の前記印刷物梱包体(18、19)を製造するために稼働可能な生産ライン(2、3)に対する製造信号(25、32)を発生させることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
利用可能な前記生産ライン(2、3)のうち、前記イネーブル信号(24、37、38)の発生時にレディ信号が最長時間にわたって存在する生産ラインに対して、前記製造信号を発生させることを特徴とする、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記一元管理オーダー(20;30;23、33;26、36)に対応した印刷物梱包体(18、19)が、少なくとも2つの前記積荷(16)用に、同時に製造され、かつ前記積荷(16)に割り当てられた前記荷積み部(10)に荷積みされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの積荷(16)に対応する、前記一元管理オーダー(23、33;26、36)に関する前記印刷物梱包体(18、19)の製造状態および荷積み状態のうち少なくとも一方を表す視覚表示が生成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
1つの積荷(16)の印刷物から基準製品を決定し、該基準製品に対応した前記一元管理オーダー(20;30;23、33;26、36)の印刷物梱包体(18、19)を製造し、荷積みすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置であって、
印刷物から成る印刷物梱包体(18、19)を製造するために互いに独自に稼働可能な少なくとも2つの生産ライン(2、3)と、
前記生産ライン(2、3)を制御するために稼動可能な制御装置(13)と、を有しており、
荷積み部(10)において、搬送手段(11´)に割り当てられた積荷(16)に分けられる特定の印刷物梱包体(18、19)をそれぞれ製造する時間的順序を、前記積荷(16)の個々の一元管理オーダー(23、33;26、36)を表す積荷データに応じて自動的に決定するように前記制御装置(13)が稼動可能であることを特徴とする装置。
【請求項12】
少なくとも1つの生産ライン(2、3)が、互いに区別可能な少なくとも2つの印刷物から成る印刷物梱包体(18、19)を製造するために稼働可能であることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記時間的順序を、前記制御装置(13)のインタフェースを介して伝達し、かつ前記制御装置(13)によって設定される順序に従って決定可能とすることを特徴とする、請求項11または12記載の装置。
【請求項14】
前記時間的順序を、前記生産ライン(2、3)の利用可能性を示すレディ信号に応じて、前記積荷(16)の前記一元管理オーダー(23、33;26、36)に対応した印刷物梱包体(18、19)の製造状態を示すイネーブル信号(24、37、38)から決定可能とすることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記生産ライン(2、3)は、少なくとも2つの積荷(16)用の印刷物梱包体(18、19)を同時に製造するために制御可能であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−81806(P2011−81806A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227588(P2010−227588)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(502254615)ミュラー マルティーニ ホールディング アクチェンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】