説明

印刷管理システム

【課題】 印刷ワークフローでのMIS(Management Information System)による作業工数入力を自動化してかつ精度を上げることを目的とする。
【解決手段】 印刷作業完了後にデバイスの履歴印刷機能を使用して再印刷を行う場合に、発生した作業を元の印刷ジョブに関連付けてMISに通知する、また同時に、発生した作業工数を元の印刷ジョブの工数の差分情報としてMISに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数の工程からなる画像形成処理を実行可能な画像形成システムの制御等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷ワークフロー環境のデジタル化に伴い、印刷ジョブ生成アプリ、印刷ジョブ管理サーバ、電子写真方式のプリンターおよびインクジェットなどを組み合わせたPOD(Print On Demand)環境の構築が行われている。PODでは、小ロットで多品種のジョブを短納期で納品することが求められる。
【0003】
POD印刷ワークフローにおいて、印刷ジョブやその通信を定義する標準フォーマット仕様としてJDF(Job Definition Format)がある。JDF仕様に基づく印刷システムでは、MIS(Management Information System)とよばれるサーバアプリケーションを使用して印刷コスト管理が行われている。
【0004】
MISは各JDFジョブについて、紙やトナーなどの消耗品情報のみならず、作業者の実働時間の情報も人的リソースのコスト情報として収集する。印刷ジョブの処理にかかった作業時間の情報はJDFで印刷システムからMISに伝達される。
【0005】
MISで収集された作業時間情報は、印刷会社で印刷要件と照らし合わせて見積もりを算出するための標準的な指標として用いられる。それに基づいて算出される見積価格は受注競争力に大きく影響するため、印刷時に実際にかかったコストを正確に計測することは、非常に重要である。
【0006】
一方、印刷処理を行う印刷装置において、印刷作業者が印刷時にログインしなければ印刷を行えない認証機能を持つ機能を持つ印刷装置がある。印刷作業者は印刷装置上のパネルにおいて、印刷開始時にあらかじめ設定したユーザアカウント情報を入力することでログイン処理を行い、ユーザ認証後、印刷作業を行う。印刷処理完了後、印刷作業者はユーザアカウントをログアウトする。この機能により印刷装置上で、どの印刷作業者がどの時間にどのような作業を行ったか記録することが可能となる。
【0007】
このような印刷装置において印刷処理を行う印刷システムにおいて、JDFジョブの印刷時の印刷システムからMISへの作業時間情報の伝達処理について以下に説明する。
【0008】
印刷システムを構成するプリプレスアプリケーションはJDFジョブを作成して、印刷装置に送信する。
【0009】
印刷作業者は作業開始時に印刷装置のパネル上でログイン処理を行う。ログイン後、印刷装置はログイン中の印刷作業者の作業情報の取得を開始する。
【0010】
作業者はJDFジョブの印刷処理を開始すると、印刷装置は受信したJDFジョブを解析して印刷処理を行う。印刷装置は印刷ジョブごとに作業者の処理をログ情報として記録する。
【0011】
印刷装置はJDFジョブ毎のログ情報をMISに通知する。
【0012】
また単一の印刷装置のみならず複数の印刷装置で分散して処理される作業時間をまとめて集計することで、印刷日時や印刷装置、作業者だけではなく、印刷目的別に作業時間を計算する提案がされている。
【0013】
また印刷装置にH11やメモリなどの記憶領域を持つものがある。このような印刷装置では印刷したジョブを一定数保存して、保存した任意のジョブを印刷することができる履歴印刷と呼ばれる機能がある。印刷後、ジョブは印刷装置内の保存領域に格納され、ユーザは印刷装置上もしくは印刷装置にネットワークを経由して接続可能な端末を介して、印刷済みの任意のジョブを選択して印刷できる。この端末も印刷装置の一部として認証機能の対象となる。履歴格納されたジョブは一定数貯まると格納された順に消去される。この機能を用いることで、作業者はジョブ印刷に失敗した場合に印刷装置に再度ジョブを受信することなく再印刷を行うことが可能である。この機能はPOD印刷において印刷完了後の検品作業で発見された印刷物の再印刷で用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−92617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら上記の検品作業時に発見された印刷物の再印刷作業の工数について、ジョブ毎の作業者の実働時間として計上できない場合がある。印刷装置上での用紙ジャムや用紙紙補給交換、トナー交換などのエラー状態発生時は再印刷を伴うことがあるが、この作業はジョブが完了していない状態での再印刷作業になる。これらの作業はオリジナルジョブの開始、終了の時間内に行われるのでオリジナルジョブに付随する作業として作業工数を付加して計上できる。しかしながら、上記の問題が発生しないまま印刷が完了し、その後の検品作業で不良品となった印刷物を印刷するために履歴印刷機能を用いて印刷する場合、印刷装置はオリジナルジョブの印刷完了時に作業工数をMISに通知してしまっている。そのためMIS上での当該ジョブは作業完了している状態であり、その後追加の作業があることを意識した処理を行わない。また印刷装置のキュー上のジョブも印刷完了時に消去されるので、以降に発生した作業については対応するジョブを特定できない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題を解決するため、前記印刷装置は以下の手段を備える。
【0017】
画像を印刷する画像印刷手段と、印刷された画像を保存する画像保存手段を備える印刷装置であり、JDFに基づく処理の工数を管理する工数管理手段と、
前記JDFに基づく、印刷ジョブに基づく処理と画像が保存された印刷ジョブの印刷処理とそれらジョブに関連する操作処理を関連付ける関連付け手段を持ち、
前記工数管理手段は、前記関連付け手段により関連付けられた処理の工数をまとめて管理する。
【0018】
前記工数管理手段は、印刷装置の操作者による印刷装置の操作履歴を時系列に記録した操作履歴情報を、印刷装置で処理される印刷ジョブの処理内容から自動的に印刷ジョブに関連付ける手段を持つ。
【0019】
前記工数管理手段は、前記画像保存手段により保存された印刷画像に対して行う印刷装置の操作履歴情報を、保存印刷画像の記録内容から自動的に印刷ジョブに関連付ける。
前記印刷装置における操作履歴情報を印刷ジョブに関連付ける処理は、印刷ジョブ印刷完了後に行われた操作であっても印刷ジョブに関連付ける。
【0020】
以下は、各課題への適用例である。
【発明の効果】
【0021】
本提案による印刷装置を従来のMISによる作業時間管理を行うシステムに対して接続して運用することで、MISはJDFジョブ毎に、印刷作業者がJDFジョブのために実際に作業した分の正確な作業工数を取得して管理することができる。
【0022】
印刷ワークフローにおいて必要な作業であるが、印刷装置でJDFジョブ印刷完了後に行われたJDFジョブ印刷に関連する作業についても、その作業を必要とするJDFジョブに関連付けて、MISは正確な作業時間を算出して管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】MFPの構成図
【図2】MFP内のソフトウェアブロック図
【図3】操作キーの一例を示す模式図
【図4】初期画面表示の一例を示す模式図
【図5】本提案を適用したシステム構成図
【図6】印刷ログとJDFで返却される情報の対応付け(従来例)
【図7】MISでのコスト情報表示 本提案での適用例
【図8】実施例1の印刷装置側処理のフローチャート
【図9】実施例1のMIS側処理のフローチャート
【図10】各ジョブの印刷履歴を管理する履歴情報領域の模式図
【図11】本提案を適用した際の操作ログ情報とMISに送信するJDFの対応付けの実施例
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1はMulti Function PeripheralすなわちMFPのブロック図である。MFPは複写、印刷、スキャンなど複数の機能を備えたデバイスである。
【0025】
図1において、105はデバイス全体を制御するコントローラ部である。コントローラの内部構成として101はCPU、即ち中央処理装置であり、このコントローラの制御および演算処理等を行うものである。
【0026】
102はROM即ち読み出し専用メモリであり、システム起動プログラムの情報等の記憶領域である。
【0027】
103はRAM即ちランダムアクセスメモリであり、使用制限のないデータ記憶領域であり、104はHD即ちハードディスクあるいはSRAMなど不揮発性記憶装置である。
【0028】
103RAMは、オペレーティングシステムや通信制御およびエンジン制御などのプログラムがロードされ、実行されたり、データが記憶されたりする領域である。106はスキャナであり、画像読み取り動作をする。
【0029】
107はプリンタであり、コントローラの制御のもとで印刷動作をする。インクジェット方式、電子写真方式などいくつかの印刷方式がある。
【0030】
電子写真方式では、帯電性を持った微細な粒子であるトナーが、静電気によって紙に転写され、定着器によって定着させることで印刷が行われる。トナーは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色で構成させることが多い。
【0031】
108はUI(ユーザインタフェース)部であり、ユーザからの指示を受け付けたり、あるいは、表示を行ったりする。
【0032】
109は通信部であり、ネットワーク通信制御を行うものであり,他のデバイスやコンピュータとの通信が可能である。110はシステムバスであり、上述の構成要素間のデータの通路となるべきものである。
【0033】
110は後加工部である。中綴じ、裁断、パンチ穴開け、くるみ製本など印刷後に必要な加工を行う。
【0034】
図2は本発明のMFPのソフトウェア構成図である。本ソフトウェアは102ROMあるいは104HD部に記憶され、MFP起動時に103RAMにロードされ、実行される。
【0035】
201はオペレーティングシステム(OS)であり、MFP全体の資源を管理/制御する。
【0036】
202はAPI−1であり、201OS上で動作するアプリケーションのためのインタフェースである。アプリケーションはAPI−1を通じて、MFP上のリソースにアクセスしたり、CPUでコマンドを実行したりすることができる。
【0037】
203は201OS上で動作するコントローラ制御部であり、106スキャナ、107プリンタ、108操作部などを制御する。
【0038】
204はリソース管理部であり、202コントローラ制御部、後述する仮想マシン205、仮想マシン上の全アプリケーションがメモリ等のリソース資源を使用する際、予め決められた以上の資源が使用できないように制限するものである。
【0039】
205は仮想マシンであり、特定のアプリケーションを実行するために最適な実行環境であり、例えば、Java(登録商標)の仮想マシンなどにより実現されるものである。
206はAPI−2であり、205仮想マシン上で動作するアプリケーションが、203
コントローラ制御部、204リソース管理部、202API−1などを利用するためのインタフェースである。
【0040】
207はアプリケーション管理アプリケーションであり、205仮想マシン上で動作するアプリケーションを管理する。後述するアプリケーションのダウンロード、アップロード、消去、有効無効化を行うものである。
【0041】
207は205仮想マシン上で動作するアプリケーションのひとつである。
【0042】
MFPには期待される役割に応じて、任意の機能を持つアプリケーションを任意の数だけインストールし、動作させることが可能である。
【0043】
図3、図4は108UI部が提供するユーザインタフェースの一例である。
【0044】
300はキー入力部であり、ハードキーによりユーザ操作を受付可能である。
301はON/OFFボタンであり、電源スイッチである。
【0045】
302は節電キーであり、本ボタンが押されると節電モードに移行する。節電モードとは、一部の部品への電源供給を停止することで機器全体の電力消費を抑える状態のことを示す。
【0046】
303はカウンタ確認キーであり、このボタンが押されると401タッチパネルに課金カウンタの値が表示される。
【0047】
課金カウンタの値の表示例を次に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
トータルとは、MFPが設置されてから現在まで、排紙された面数を示す。白黒トータルとはトータルのうちの白黒印刷のものであり、カラートータルとはトータルのうちの白黒印刷以外のものである。
【0050】
304はスタートキーであり、コピー/印刷/スキャン/送信などのMFPが提供する処理の開始を指示する。305はストップキーであり、スタートキーで開始したジョブを停止する。
【0051】
306はテンキーであり、数値情報を入力する。
【0052】
307はIDキーであり、認証情報の入力を行うことを指示するものである。
【0053】
308はクリアキーであり、306テンキーによって入力された情報を解除する。
【0054】
309はリセットキーであり、ユーザによって処理対象のジョブに支持されたすべてのパラメータを解除する。
【0055】
310はヘルプキーであり、操作方法が不明なときにユーザが押すものであり、操作の助けとなる情報を表示する。
【0056】
311はユーザモードキーであり、各種設定を開始するためのキーである。
【0057】
108UI部はタッチパネルを供えている。タッチパネルは表示機能を備えると共に、表示領域が押されたかどうかを検知することにより、操作者からの入力を受け付けることができる。
【0058】
図4の400はMFPが操作可能になったときにタッチパネル上に表示される画面の一例である。
【0059】
401はコピーボタンであり、複写動作を行う場合に押すボタンである。
【0060】
402は送信ボタンであり、送信処理を行う場合に押すボタンである。
【0061】
403はボックスボタンであり、ボックスに関する処理を行う場合に押すボタンである。404は拡張キーであり、208アプリケーションの画面を表示する場合に押すキーである。
【0062】
405は色選択リストボックスであり、自動選択、カラー、白黒などいずれかを選択する。
【0063】
406はステータス表示欄であり、ユーザに伝えたい情報を表示する。ここでは例として、コピー可否、倍率、用紙選択法、部数を表示している。
【0064】
407は等倍ボタンであり、等倍コピーを指示する。408は倍率を指定するためのボタンである。409は用紙をどこから給紙するかを指定する。
【0065】
410は仕上げボタンであり、ソート実効有無、フィニッシング、などを指定する。411は両面ボタンであり、原稿スキャン、印刷をそれぞれ片面または両面のどちらにするかを指定する。412は割り込みボタンであり、現在実行中のジョブを中断して、新規のジョブを投入できるようにする。
【0066】
413は濃度調整のためのスライドバー、ボタンであり、印刷濃度を指定する。414は原稿スキャンの特性を指示するものであり、例えば文字向け、写真向け、といった切り替えを可能にする。
【0067】
415は応用モードボタンであり、画像調整、表紙や合紙などの設定、製本の指定、OHP中差しの設定、とじしろの大きさ、など複雑な指示を可能にする。
【0068】
416はシステム状況表示ボタンであり、MFPを構成する各コンポーネントの状態や、MFPに記録しているジョブ履歴情報を表示することができる。
【0069】
図5は本実施例の印刷システムの全体構成図である。
【0070】
500は本提案を適用した印刷装置である。
【0071】
501はJDFジョブの作業工数管理を行うMISサーバである。
【0072】
502はJDFジョブを作成するプリプレスアプリケーションである。
【0073】
503はJDF・JMFの送受信およびパース処理を行うJDF・JMF処理モジュールである。ここで受信されたJDFジョブは印刷処理モジュール508に送られて、印刷処理が行われる。また印刷処理後、印刷結果のJMFメッセージをMISに送信する。
【0074】
504は印刷作業者のログイン後に取得されるJDFジョブのログ情報からJMF形式にログ情報を変換するモジュールである。
【0075】
505は印刷装置上に設けられた表示および入力UIである。 詳細は図3、図4にて説明される。
【0076】
506はUI505でログイン・ログアウト処理を行った際に認証処理を行うログイン管理アプリである。
【0077】
507はJDFジョブの印刷ログを記録、保存するデータベース部である。ログイン管理モジュールでログイン状態にある印刷作業者の作業はすべてここに記録される。JDFジョブと、印刷作業者が行う各作業とを関連付けて保存する。
【0078】
508はジョブの内容に従って印刷処理を行う印刷処理モジュールである。印刷作業結果はデータベース507に記録される。
【0079】
509は印刷済みの印刷ジョブを保存して印刷履歴の管理を行う履歴情報領域である。
510は、プリプレスアプリケーションで、ユーザによって指定される操作からJDFジョブを生成するモジュールである。このときコンテンツデータとしてはAdobe社のPDF(Portable Document Format)などが用いられる。
【0080】
511はプリプレスアプリケーションにおいてJDF・JMFの送受信を行うJDF・JMF処理モジュールである。510で生成したJDFジョブはこのモジュールから印刷装置500に送信される。
【0081】
512はMIS上で外部とデータの入出力を行う、データ入出力モジュールである。
【0082】
513はMIS上でコンテンツデータとJDFジョブの関連付けを行いジョブの管理を行う、ジョブ管理モジュールである。コンテンツデータとしてはPDFなどが用いられる。
【0083】
514はMIS上でユーザの印刷設定指定からJDFジョブを生成するモジュールである。その際、コンテンツデータとして513で管理するPDFなどの画像データが用いられる。
【0084】
515はMISにおいてJDF・JMFの送受信を行うJDF・JMF処理モジュールである。514で生成したJDFジョブはこのモジュールから印刷装置500に送信される。また受信したJMFメッセージをパースして内部に記録されたジョブ毎の作業工数情報を取得する。
【0085】
516はJDFジョブの作業工数情報を記録管理するデータベースである。JDF・JMF処理モジュール515で受信した作業工数情報とJDFジョブ情報を関連付けて記録する。
【0086】
図6は従来の印刷ログとJDFの対応付けの一例である。
【0087】
JDF上では作業工数情報はAuditPoolタグで表現される。
【0088】
601は処理ID0004で記録されたオペレータ1による印刷処理の開始時刻を表す。また602は処理ID0006で記録されたオペレータ1による印刷処理の終了時奥を表す。この2つの時刻の差分が印刷処理作業にかかった時間を示す。
【0089】
図7はMIS上の作業工数表示画面におけるにおける本提案の適用例である。
【0090】
各JDFジョブに対応する情報としてJDF ID、作業者、作業時間、作業の開始時間、作業の終了時間、作業の納期、現在のジョブの状態、ジョブを実行している印刷機の各項目の情報が表示される。
【0091】
また各ジョブの詳細情報として、ジョブの作業時間全体に占める各作業の内訳を表示している。
【0092】
図8は本提案の適用例を示すフローチャートである。
【0093】
ステップ801で、印刷装置500はMISサーバ501もしくはプリプレスアプリケーション502から送信された印刷ジョブを受信する。受信した印刷ジョブはプリントキューに格納される。
【0094】
ステップ802で、印刷装置500はステップ801で受信した印刷ジョブがJDFジョブであるかどうかを判定する。JDFジョブである場合、ステップ803に進む。JDFジョブでは無い場合、ステップ808に進む。
【0095】
ステップ803で、印刷装置500はステップ801で受信したJDFジョブの印刷処理を行う。印刷装置500はJDFを解析して指定された印刷内容に従い印刷処理を行う。その際、印刷装置500は作業者が行うUI505での操作と、印刷開始、終了時刻の情報を印刷ログ507に記録する。
【0096】
また印刷装置500は印刷処理途中で発生した用紙ジャム、用紙切れ、用紙補給、用紙交換の全ての処理と、その状態からの復旧処理を印刷ログ507に記録する。
【0097】
ステップ804で、印刷装置500はステップ803で行われた印刷処理の開始時刻と終了時刻をJDFのAuditPool属性に変換する。また印刷ログに記録されている、印刷処理の開始時刻と終了時刻の間に発生した全ての処理について、AuditPool属性に変換する。
【0098】
ステップ805で、印刷装置500はReturnQueueEntry属性を含むJMFメッセージを生成する。またこのJMFメッセージにステップ804で変換したAuditPool属性を付加する。印刷装置500はこのJMFメッセージをMIS501に印刷完了通知として送信する。
【0099】
ステップ806で、印刷装置500はステップ805で印刷した印刷ジョブを図10で示す履歴情報領域に格納する。同時に印刷ジョブに関する情報も関連付けて記録する。
【0100】
図10は履歴情報領域に格納された印刷ジョブと、各ジョブに設定されたジョブIDとの関連付けを示す。
【0101】
履歴情報領域に格納された各ジョブは履歴No.1001、ジョブデータ1002、ジョブ名1003、ジョブ設定1004、JDFジョブID1005、JMF送信先URL 1006を持つ。
【0102】
履歴No.1001は格納された時系列順に各印刷ジョブに付与された番号である。
ジョブデータ1002は印刷時に用いられた印刷用画像データである。再印刷時にはこの画像データが用いられる。
【0103】
ジョブ名1003はジョブ名称であり、再印刷時にユーザUIで表示されるのに用いられる。
【0104】
ジョブ設定1004は、各ジョブの印刷時に用いられる印刷設定である。再印刷時に仕上がり結果に影響しない部数などの設定のみ再印刷時に変更可能である。
J DFジョブID 1005は、履歴情報領域に格納されたジョブがJDFジョブであり、かつJDFジョブIDが設定されている場合のみ記録される。
【0105】
JMF送信URL 1006は印刷装置500から印刷結果を送信する先のURLである。
【0106】
ステップ807で、印刷装置500から出力された印刷物を確認する検品処理を行う。
【0107】
ステップ808で、印刷装置500はJDFジョブでない印刷ジョブの印刷処理を行う。
【0108】
ステップ809で、印刷装置500はステップ808で印刷した印刷ジョブを履歴情報領域に格納する。同時に印刷ジョブに関する情報も関連付けて記録する。
【0109】
ステップ810で、印刷装置500は履歴情報領域に格納された印刷ジョブの再印刷の入力があるか判定を行う。再印刷の入力がある場合はステップ811に進む。再印刷の指示が無い場合は再度判定処理を繰り返す。
【0110】
ステップ811で、印刷装置500は再印刷を指定した印刷ジョブにジョブIDが設定されているかどうかを判定する。ジョブIDが設定されていればJDFジョブとみなして、ステップ812で行われる再印刷処理に進む。ジョブIDが設定されていない場合はJDFジョブ以外の印刷ジョブとみなして、ステップ816の再印刷処理に進む。
【0111】
ステップ812で、印刷装置500は履歴情報領域に格納されたJDFジョブを再印刷する。
【0112】
ステップ813で、印刷装置500はステップ812で行われた印刷処理の開始時刻と終了時刻をJDFのAuditPool属性に変換する。また印刷ログに記録されている、印刷処理の開始時刻と終了時刻の間に発生した全ての処理について、AuditPool属性に変換する。
【0113】
ステップ814で、印刷装置500はステップ804で計算してステップ805でJMF送信先に送信したJDFメッセージに更新情報として追記する。
【0114】
ステップ815で、印刷装置500はステップ814で生成した更新情報を含むJMFメッセージをJMF送信URLC06に送信する。
【0115】
ステップ816で、印刷装置500はステップ811でJDFジョブでないと判断された履歴情報領域内の印刷ジョブを再印刷処理する。
【0116】
図9はMISが、JMF送信先に対して印刷装置500から送信される印刷ジョブの作業情報を含むJMFメッセージを受信して、各印刷ジョブの作業情報を記録する処理を示すフローチャートである。
【0117】
ステップ901でMISは印刷装置500からのJMFメッセージを受信する。
【0118】
ステップ902でMISはステップ901で受信したJMFメッセージがジョブ完了通知を含むかどうかを判定する。JMFメッセージ中にジョブ完了通知を含む場合、ステップ903に進む。含まない場合、ステップ901に戻り、JMF受信で待機する。
【0119】
ステップ903でMISは完了したジョブのJDFジョブIDが、既にMISで受信したことのあるJDFジョブのIDと一致するか判定する。一致する場合、既存のJDFジョブの作業情報を更新するためにステップ904に進む。一致しない場合、新規に完了したJDFジョブとみなして、ステップ905に進む。
【0120】
ステップ904でMISは、JMFメッセージに含まれる更新情報分の作業情報を取得して受信済みの作業情報に追記する。
【0121】
ステップ905でMISは、JMFメッセージに含まれる作業情報を、MIS内のジョブ情報と関連付けて記録する。
【0122】
図11は、本提案適用時の作業ログとJDFの関連付けの例を示した図である。
【0123】
ログID 0013〜0014で印刷作業者が行った再印刷作業は、ログID0008〜0010で印刷作業者が行った印刷作業に関連付けられて、JDFに記載される。
【符号の説明】
【0124】
101 CPU
105 コントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を印刷する画像印刷手段と、
印刷された画像を保存する画像保存手段を備える印刷装置において、
JDFに基づく処理の工数を管理する工数管理手段と、
前記JDFに基づく、印刷ジョブに基づく処理と画像が保存された印刷ジョブの印刷処理とそれらジョブに関連する操作処理を関連付ける関連付け手段を持ち、
前記工数管理手段は、前記関連付け手段により関連付けられた処理の工数をまとめて管理することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項2】
前記工数管理手段は、印刷装置の操作者による印刷装置の操作履歴を時系列に記録した操作履歴情報を、印刷装置で処理される印刷ジョブの処理内容から自動的に印刷ジョブに関連付ける手段を持つことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記工数管理手段は、前記画像保存手段により保存された印刷画像に対して行う印刷装置の操作履歴情報を、保存印刷画像の記録内容から自動的に印刷ジョブに関連付けることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷装置における操作履歴情報を印刷ジョブに関連付ける処理は、印刷ジョブ印刷完了後に行われた操作であっても印刷ジョブに関連付けることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−111170(P2012−111170A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263304(P2010−263304)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】