説明

印刷結果検査装置およびその方法

【課題】原稿画像データに基づき1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙の印刷結果の品質検査を行う印刷結果検査装置において、適切に品質検査を行う。
【解決手段】原稿画像データに基づき1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙の印刷結果の品質検査を行う印刷結果検査装置であって、画像読取調整部32が、用紙に印刷される一次元バーコードを構成するバーの横方向の解像度が縦方向の解像度よりも高くなるように、主走査方向と副走査方向とで異なる解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る画像読取部20での用紙印刷結果の読み取りを調整し、その調整後に照合部31は、画像読取部20において用紙の印刷結果を読み取ることで得られる検査画像データを取得し、取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に対する印刷結果を検査する印刷結果検査装置に関し、特に、一次元バーコードが印刷される用紙に対する印刷結果を検査する印刷結果検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿画像データに基づき用紙に文字等の画像を印刷する画像形成装置が知られている。そして、画像形成装置で印刷された画像が、その元となる原稿画像データのとおり印刷されたかを確認または検査したいという要求がある。
【0003】
特許文献1には、印刷の基礎となる原稿画像データと印刷された画像を読取装置が光学的に読み取った検査画像データとの一致を見ることによって印刷結果の検査を行う検査方法が開示されている。
【0004】
しかし、読取装置が画像を読み取る段階で実際に印刷された画像と誤差が生じ、得られる検査画像データが本来得られるはずの画像データとは異なる画像データになる場合がある。そして、それが原因で、検査装置が本来正常と判定すべき用紙の印刷結果も異常と判定したり、その逆に正常と判定してしまう場合がある。
【0005】
そこで、そのような誤判定を防止すべく、特許文献2では、画像読み取り対象の用紙が位置ズレを伴っても、撮影画像(検査画像データに相当)及び規範画像(原稿画像データに相当)を2次元のデータ配列として、撮影画像及び規範画像のデータ配列の相関性を元に、その位置ズレを補正して印刷結果の検査を行う検査装置が開示されている。
【0006】
ところで、上記のような検査対象の用紙の中には、原稿画像データに基づき一次元バーコードが印刷される用紙が存在する。ただ、バーコードのピッチ間隔が狭いことなどが原因で、その印刷結果を読取装置が適切に読み取ることができず、検査装置がその用紙の印刷結果を誤って異常と判定したり、その逆に正常と判定してしまう場合がある。
【0007】
【特許文献1】特許第2866339号公報
【特許文献2】特開2002−63566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、原稿画像データに基づき1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙の印刷結果の品質検査を行う印刷結果検査装置において、適切に品質検査を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る印刷結果検査装置は、印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取手段と、前記読取手段が用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得手段と、取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査手段と、を備える印刷結果検査装置であり、前記読取手段は、主走査方向と副走査方向とで異なる読み取り解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る手段であって、さらに、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、原稿画像の印刷時の向きを決定し、その決定した向きで原稿画像を印刷するように前記印刷装置に指示する印刷方向指示手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、印刷方向指示手段が、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、原稿画像の印刷時の向きを決定し、その決定した向きで原稿画像を印刷するように前記印刷装置に指示する。これにより、検査画像データに示される1次元バーコードを構成するバーの配列方向の解像度がより高くなり、検査画像データに示される一次元バーコードのバーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分と実際の印刷結果に表れているその太さや間隔部分との間に生じる誤差が低減され、検査手段での検査結果の誤りも低減する。
【0011】
本発明に係る印刷結果検査装置は、印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取手段と、前記読取手段が用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得手段と、取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査手段と、を備える印刷結果検査装置であり、前記読取手段は、主走査方向と副走査方向とで異なる読み取り解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る手段であって、さらに、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取手段が原稿画像の印刷された用紙を読み取る前にその用紙の用紙搬送方向を回転させる用紙方向回転手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、用紙方向回転手段が、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取手段が原稿画像の印刷された用紙を読み取る前にその用紙の用紙搬送方向を回転させる。これにより、検査画像データに示される1次元バーコードを構成するバーの配列方向の解像度がより高くなり、検査画像データに示される一次元バーコードのバーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分と実際の印刷結果に表れているその太さや間隔部分との間に生じる誤差が低減され、検査手段での検査結果の誤りも低減する。
【0013】
本発明に係る印刷結果検査装置は、印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取手段と、前記読取手段が用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得手段と、取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査手段と、を備える印刷結果検査装置であり、前記読取手段は、主走査方向と副走査方向とで異なる解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る手段であって、さらに、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取手段の主走査方向と副走査方向との読み取り解像度を切り替える解像度切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、解像度切替手段が、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取手段の主走査方向と副走査方向との読み取り解像度を切り替える。これにより、検査画像データに示される1次元バーコードを構成するバーの配列方向の解像度がより高くなり、検査画像データに示される一次元バーコードのバーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分と実際の印刷結果に表れているその太さや間隔部分との間に生じる誤差が低減され、検査手段での検査結果の誤りも低減する。さらに、用紙に印刷された一次元バーコードの用紙搬送方向に対する向きには依存せずに、用紙に印刷された一次元バーコードを構成するバーの配列方向の解像度をその配列方向に直交する方向の解像度より高くすることができるため、一次元バーコードの印刷方向により、用紙の長手方向が用紙搬送方向となり、一定時間内に印刷可能な用紙枚数が減少してしまうおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1の実施の形態(以下、実施形態1とする)について、図面を用いて説明する。実施形態1は、用紙の印刷結果について品質検査を行う検査機能を備えた画像形成装置に関し、特に用紙に印刷された原稿画像に1次元バーコードが含まれる場合でも適切に品質検査を行うことができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0016】
まず、実施形態1における画像形成装置の概略について説明する。図1は、実施形態1における画像形成装置の概略構成を示す図である。ここで、画像形成装置は、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、少なくとも印刷機能を有するデジタル複合機等、画像形成機能を有する装置のことをいう。また、印刷媒体としての用紙は、普通紙のみならず、OHPシート、厚紙、葉書など、印刷対象物全般をいう。
【0017】
このように構成された画像形成装置は、原稿画像データに基づいて順次用紙トレイ50から用紙を取り出して、印刷処理部10において印刷処理を行う。原稿画像データは、例えば、画像形成装置に接続された外部コントローラから提供される。外部コントローラは、自身に接続されたホストコンピュータから提供された原稿データを、画像形成装置が認識できる、例えばビットマップデータやPDLに変換することで、外部コントローラは原稿画像データを作成し、画像形成装置にその原稿画像データを提供する。
【0018】
続いて、画像形成装置について、図2に示す機能ブロック構成図を用いてさらに説明する。
【0019】
本実施形態における画像形成装置は、用紙トレイから取り出された用紙に印刷処理を行う印刷処理部10と、用紙の印刷結果を光学的に読み取る画像読取部20と、画像読取部20が読み取ることで得られた検査画像データに基づき、用紙に対する印刷結果の品質を検査する検査部30とを含む。
【0020】
このように、順次画像読取部20において読み取ることで得られた検査画像データに基づき検査部30が用紙に対する印刷結果の品質を検査することで、原稿画像データに基づく印刷が正常に行われたか否かをユーザは効率的に把握することができる。
【0021】
さらに、各部について詳しく説明する。まず、印刷処理部10において、制御部11は画像形成装置全体を制御するモジュールである。印刷部12は原稿画像データに基づき用紙に印刷を行う機構である。
【0022】
画像読取部20は印刷処理部10で印刷処理が行われた用紙の印刷結果を順次読み取る機構であり、画像読取部20が用紙の印刷結果を読み取ることで、印刷結果の品質検査を行うための検査画像データを得る。具体的には、画像読取部20は、照射ランプと結像レンズとCCDラインセンサとを含む。そして、用紙搬送経路上を移動する用紙の読み取り部分に照射ランプからの光を照射し、結像レンズで用紙上で反射した光を結像し、結像した光学像をCCDラインセンサに順次取り込み、取り込んで得られたデータを2値化処理して検査画像データを生成する。なお、ここでは画像読取部20の主走査方向を、ラインセンサの読み取り方向と同一方向とし、副走査方向を用紙の搬送方向と同一方向とする。
【0023】
次に、検査部30において、照合部31は、検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで照合を行い、その用紙の印刷結果の検査を行うモジュールである。画像読取調整部32は、画像読取部20において用紙の印刷結果を読み取ることで得られる検査画像データと実際の印刷結果との間に生じる誤差により、検査結果に誤りが生じないように、画像読取部20における画像の読み取りを調整するモジュールであるが、詳しくは後ほど説明する。
【0024】
ここで、照合部31での検査画像データと原稿画像データとの照合に基づく品質検査は具体的には以下のように行う。
【0025】
すなわち、2値化データである検査画像データ及び原稿画像データとの間で総画素数の差分をとり、その差分に基づき用紙の品質検査を行う。例えばその差分が基準値以上の場合、照合部31は検査画像データと原稿画像データとが一致しないとして、品質不良と判定する。
【0026】
また、照合部31は検査画像データと原稿画像データとの重なり率に基づいて品質検査を行ってもよい。重なり率は、例えば、検査画像データ及び原稿画像データを構成する各画素ごとに値が一致するか否かを求めて、全画素数に対する一致画素数(一致画素数/全画素数)を求めることで算出することができる。そして、照合部31は、重なり率が基準値以下の場合は、検査画像データと原稿画像データとが一致しないとして、品質不良と判定する。
【0027】
さて、このように構成された画像形成装置において、実施形態1では、図3に示すような一次元バーコード100を含む原稿画像が印刷された用紙の品質検査を行う。
【0028】
ただ、用紙に印刷された一次元バーコードのピッチ間隔が狭いと、画像読取部20が正確にその用紙の印刷結果を読み取ることができずに、得られた検査画像データに示される一次元バーコードのピッチ間隔に誤差が生じ、照合部31がその用紙の印刷結果を誤って異常と判定したり、その逆に正常と判定してしまう場合がある。
【0029】
そのような誤差を少なくするために、画像読取部20の主走査方向および副走査方向の解像度を一律に上げる方法が考えられる。しかしながら、解像度を上げると、それだけ画像読取部20が用紙の印刷結果を読み取る際に扱うデータ量が増加し、その結果得られる検査画像データのデータ量も増加する。したがって、検査部30での品質検査に要する処理時間も増加してしまう。ただ、このような印刷結果の検査を行う画像形成装置は、大量の用紙を高速に印刷する要望も強く、印刷過程における用紙の搬送スピードも高速な場合が多い。よって、単に画像読取部20を構成するラインセンサの主走査方向および副走査方向の解像度を一律に上げる方法では、検査部30での品質検査に要する処理時間が無駄に増加してしまい、印刷処理の高速化の要望に応えられないおそれがある。
【0030】
ところで、一次元バーコードは、そのバーコードを構成する黒バーの太さや黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔に基づき、そのバーコードに示されるデータが定義される。よって、用紙に印刷された一次元バーコードが正常に印刷されたか否かは、黒バーの太さや黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔が正常か否かを検査すればよい。つまり、一次元バーコードの検査結果の誤りをなくすためには、少なくともバーコードを構成するバーの配列方向の解像度を上げればよいことがわかる。
【0031】
上記を踏まえて、実施形態1では、画像読取部20の主走査方向と副走査方向との解像度を異なるものとし、いずれか一方向の解像度を高く設定し、もう一方向の解像度を低くなるように設定する。例えば、検査部30での検査処理速度に耐えうる検査画像データの画素数が1インチ平方あたり80000画素であった場合、これを主・副走査方向解像度で均等に割り付けるのではなく、例えば、主走査方向解像度を400bpi、副走査方向解像度を200dpiとなるように設定する。
【0032】
なお、ラインセンサの副走査方向は紙の搬送方向と同一であり、副走査方向での読み取りは用紙を搬送しながらの読み取りとなる。よって、主走査方向に比べて、読み取りによるボケが生じやすい。そのため、光学解像度を有効に活用するためには、主走査方向の解像度を高く設定し、副走査方向の解像度を低く設定するのが好適である。
【0033】
このように構成された画像読取部20を考慮して、実施形態1における画像読取調整部32は、画像読取部20での読み取り解像度が高い走査方向と一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが同一方向となるように、原稿画像の用紙搬送方向に対する印刷方向を切り替え、その切り替えられた原稿画像の印刷方向に応じて取り出される用紙トレイを切り替える。
【0034】
さらに具体的に説明すると、まず、画像形成装置に備えられた一つの用紙トレイに画像形成装置内の用紙搬送経路上での用紙の向きが長手方向となるように用紙を格納し、その用紙トレイとは別の用紙トレイに短手方向となるように用紙を格納しておく。そして、画像読取調整部32は、制御部11から原稿画像データを取得し、その原稿画像データに基づき印刷される原稿画像に一次元バーコードが存在するか否かを判定する。判定の結果、一次元バーコードが存在する場合、続いて画像読取調整部32は、原稿画像データに基づき、予め設定された原稿画像の用紙搬送方向に対する印刷方向を特定し、さらにその特定した原稿画像の印刷方向に対する一次元バーコードの印刷方向を特定する。例えば、図3における用紙Aの場合、原稿画像の印刷方向に対して横方向、用紙Bの場合原稿画像の印刷方向に対して縦方向に一次元バーコードが印刷されると画像読取調整部32は判断して、原稿画像の印刷方向に対する一次元バーコードの印刷方向を特定する。そして、その特定結果に基づき、画像読取調整部32は、一次元バーコードが横方向に印刷される場合には、原稿画像の印刷方向および取り出される用紙トレイは予め指定された設定条件と同じと決定する。一方、一次元バーコードが縦方向に印刷される場合には、予め設定された原稿画像の印刷方向を90度回転させ、さらに予め設定された用紙トレイとは90度異なる搬送方向で用紙を搬送経路上に送り出す用紙トレイに切り替えた設定条件と決定する。続いて、画像読取調整部32は、その決定した設定条件を制御部11に提供し、制御部11は、その設定条件に応じて用紙トレイを指定し、その指定した用紙トレイから用紙が取り出されるように制御し、印刷部12において、取り出された用紙に対してその設定条件に応じた印刷方向に原稿画像の印刷を行う。
【0035】
これにより、画像読取部20は、搬送経路上の用紙を通常どおり読み取るだけで常に一次元バーコードのバー配列方向の画像を、解像度が高い走査方向で読み取ることができる。その結果、検査画像データに示される一次元バーコードのバー配列方向の解像度は常に高くなる。よって、実施形態1によれば、検査画像データに示される一次元バーコードのバーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分と実際の印刷結果に表れているその太さや間隔部分との間に生じる誤差は低減され、検査結果の誤りも低減する。
【0036】
なお、画像読取調整部32での原稿画像データに基づく一次元バーコードの存在の判定や原稿画像や一次元バーコードの印刷方向の特定は、例えば、以下のように行えばよい。すなわち、原稿画像データに、一次元バーコードの存在の有無、原稿画像や一次元バーコードの印刷方向を示したバーコード情報を予め付加しておく。そして、画像読取調整部32は、原稿画像データに付加されたそのバーコード情報を参照することで、一次元バーコードの存在の有無を判定したり、原稿画像や一次元バーコードの印刷方向を特定する。この他、周知の画像解析技術を用いて、原稿画像から直接バーコードの存在の有無、原稿画像や一次元バーコードの印刷方向を特定してもよい。
【0037】
また、上記では画像読取調整部32は、一次元バーコードの用紙搬送方向に対する印刷方向に応じて、原稿画像の用紙搬送方向に対する印刷方向を90度回転させることで、画像読取部20での読み取り解像度が高い走査方向と一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが同一方向となるように調整する例を示した。しかし、それ以外にも、例えば、以下の方法でもその調整を行うことができる。すなわち、原稿画像の印刷自体は予め設定された印刷方向に、予め選択された用紙トレイ50から取り出した用紙に対して行う。そして、その印刷済用紙の印刷結果を画像読取部20が読み取る前に、用紙方向転換装置を利用して、一次元バーコードの用紙搬送方向に対する向きに応じて印刷済用紙を90度回転させる。この方法でも、画像読取部20での読み取り解像度が高い走査方向と一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが同一方向となるように調整することができる。
【0038】
なお、上記用紙方向転換装置は画像形成装置に組み込まれた既存の装置を利用すればよく、例えば、本出願人による特開平05−301659号公報に記載された装置を利用することができる。ここで、特開平05−301659号公報には、搬送される用紙の向きを変更する用紙方向転換装置が示されている。これは、印刷済み用紙に対し紙折りなどを後処理を行う場合に、プリントエンジンから出力された印刷済み用紙をその後処理に適した方向に方向転換するものであったが、これを印刷済用紙の方向転換に転用するのである。この場合、用紙方向転換装置は、図1の画像形成装置の印刷処理部10と画像読取部20との間に設けられる。そして、印刷処理部10が印刷した用紙が用紙方向転換装置に達するタイミングで、制御部11が用紙方向転換装置にその印刷済用紙の向きを90度回転させるよう指示を行う。このような構成によれば、ユーザの手を介さずに、印刷済用紙を適切な向きで読み取らせることができる。
【0039】
また、照合部31で照合を行う場合、原稿画像データについても検査画像データと同様に、解像度の変更を行う必要がある。そこで、照合部31は、原稿画像データに一次元バーコードが含まれている場合、照合を行う前にその原稿画像データを、画像読取調整部32での主・副走査方向解像度に応じて、解像度変換を行う。具体的には、例えば、主・副走査方向の解像度がそれぞれ400dpiの原稿画像データについて、一元バーコードの横方向に対応する走査方向の解像度を200dpiに下げることで行う。そして、主・副走査方向解像度がそれぞれ同じ検査画像データと原稿画像データとを比較し照合を行う。なお、予め主・副走査方向解像度が定まっている場合には、照合部31は、事前に解像度変換されている原稿画像データを外部コントローラなどから制御部11を介して取得すればよい。
【0040】
以上、実施形態1では、画像読取調整部32が、原稿画像の印刷方向を切り替えたり、印刷済用紙を回転させることで、画像読取部20での読み取り解像度が高い走査方向と一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが同一方向となるように調整する。これにより、検査画像データに示される一次元バーコードの横方向の解像度は高くなるため、一次元バーコードを構成する黒バーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分がより高い解像度で読み取られ、検査画像データが生成される。よって、実施形態1によれば、検査画像データに示される一次元バーコードのバーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分と実際の印刷結果に表れているその太さや間隔部分との間に生じる誤差は低減され、検査結果の誤りも低減する。
【0041】
続いて、本発明の第2の実施の形態(以下、実施形態2とする)について、図面を用いて説明する。
【0042】
上記実施形態1では、画像読取部20での読み取り解像度が高い走査方向と一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが同一方向となるように、原稿画像の印刷方向を切り替えたり、印刷済用紙を回転させる例について説明した。ただ、A4やB5といった規格サイズの用紙など縦方向と横方向とでサイズが異なる用紙では、用紙の搬送方向を長手方向にして印刷する場合と、短手方向にして印刷する場合とでは、同じ時間内に印刷可能な用紙枚数が異なる。つまり、用紙の長手方向を用紙搬送方向とした場合、用紙の短手方向を用紙搬送方向とした場合に比べて、同じ時間に印刷可能な用紙枚数が減少してしまい、印刷処理の高速化の要望に応えられないおそれがある。
【0043】
そこで、実施形態2では、原稿画像の印刷方向を切り替えることで用紙の搬送方向を切り替えたり、印刷された一次元バーコードの用紙搬送方向に対する向きに応じて印刷済用紙を回転させることはせず、画像読取部20の主・副走査方向の解像度を、用紙に印刷される一次元バーコードの方向に応じて変更することで、画像読取調整部32は、画像読取部20における画像の読み取りを調整する。
【0044】
図4に実施形態2の機能ブロックの構成図を示す。実施形態2における画像読取調整部32は、例えば、図5に示す用紙Aのように、用紙の搬送方向に対して一次元バーコード100が横方向に印刷される場合には、主走査方向の解像度を高く設定し、用紙Bのように縦方向に印刷される場合には、副走査方向の解像度を高く設定するように、画像読取部20での画像の読み取りを調整する。
【0045】
これにより、検査画像データに示される一次元バーコードの横方向の解像度は高くなるため、一次元バーコードを構成する黒バーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分がより高い解像度で読み取られ、検査画像データが生成される。よって、実施形態2によれば、実施形態1と同様に検査画像データに示される一次元バーコードのバーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分と実際の印刷結果に表れているその太さや間隔部分との間に生じる誤差は低減され、検査結果の誤りも低減する。さらに、実施形態2では、用紙の搬送方向は固定できるため、実施形態1のように用紙の長手方向を用紙搬送方向とすることで、一定時間内に印刷可能な用紙枚数が減少してしまうおそれがない。
【0046】
画像読取部20の主・副走査方向の解像度の変更は、具体的には以下のように行えばよい。まず、主走査方向400dpiの読み取りが可能な画像読取部20を副走査方向200dpiとなるようなラインシンク(同期信号(1ライン周期))で駆動し、適正なS/N比を得られるように走査系・光学系を構成する。さらに、ラインセンサは、1画素ごとに電荷を読み出す1画素読み出しモードと、隣接する2画素の信号電荷を合成して読み出す2画素読み出しモードとを有するものとし、実施形態2では、これら2つのモードを切り換えることで、主・副走査方向の解像度の変更を行う。
【0047】
ここで、1画素読み出しモードは、通常行われるラインセンサでの読み出し処理のため説明を割愛し、2画素読み出しモードについて図6を用いてさらに説明する。
【0048】
図6において、初めは奇数画素に対応する水平方向転送電極の電位がHighレベルに、偶数画素に対応する水平方向転送電極の電位がLowレベルに設定されている(S101)。次に、奇数画素に対応する第1シフトゲートをHighレベルにすることで、奇数画素の信号電荷を感光画素列から水平方向転送電極にシフト転送する(S102)。さらに、水平方向転送電極の印可電圧の位相を反転させることで、それぞれの信号電荷を隣接する偶数画素例に対応する転送電極に送る。これと同時に、偶数画素列に対応する第2シフトゲートをHighレベルに設定し、偶数画素列の信号電荷をこれと対応する水平方向転送電極に転送する(S103)。これにより、隣接する2画素の出力を合成することができる。以後、水平方向転送電極に印可される駆動電圧の位相を順次反転させながら、信号電荷を順次水平方向へ転送していく(S104)。このとき、2画素読み出しモードのラインシンクの周波数は、1画素読み出しモードの2倍とする。このようにラインシンクの周波数が2倍となることで、副走査方向の解像度が2倍となり、400dpiとなる。このとき、露光時間は半分になるが、前述のとおり隣接する2つの画素を合成するため、S/N比は保持される。また、2画素の信号電荷を合成することで、主走査方向の解像度は半分となり、200dpiとなる。
【0049】
このように構成したラインセンサにおいて、図5の用紙Aのように、用紙の搬送方向に対して一次元バーコード100が横方向に印刷される場合には、このラインセンサの読み取りモードを1画像読み出しモードとして、主走査方向の解像度を高く設定し、読み取りを行う。一方、図4の用紙Bのように、用紙の搬送方向に対して一次元バーコード100が縦方向に印刷される場合には、ラインセンサの読み取りモードを2画像読み出しモードとして、副走査方向の解像度を高く設定して読み取りを行う。これにより、一次元バーコードの印刷方向に拘わらず、一次元バーコードを構成する黒バーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分をより高い解像度で読みとることが可能である。
【0050】
よって、実施形態2によれば、実施形態1と同様に検査画像データに示される一次元バーコードのバーの太さ部分や黒バーと黒バーとの間のスペースの間隔部分と実際の印刷結果に表れているその太さや間隔部分との間に生じる誤差は低減され、検査結果の誤りも低減する。さらに、実施形態2では、用紙に印刷された一次元バーコードの用紙搬送方向に対する向きには依存せずに、用紙に印刷された一次元バーコードを構成するバーの配列方向の解像度をその配列方向に直交する方向の解像度より高くすることができるため、実施形態1のように一次元バーコードの印刷方向により、用紙の長手方向が用紙搬送方向となり、一定時間内に印刷可能な用紙枚数が減少してしまうおそれがない。
【0051】
なお、実施形態2では、画像読取部20の主・副走査方向の解像度の組み合わせを2種類とし、400dpiと200dpiとを切り替える例について示したが、解像度はこの2種類とは限らず、他の解像度の組み合わせにより切り替えてもよいし、解像度の組み合わせてを3種類以上用意しておき、読み取りたい原稿画像に応じてその都度切り替えてもよい。また、用紙を搬送しながらラインセンサで画像を読み取ることで、副走査方向にボケが発生するのを防ぐために、原稿画像に1次元バーコードが含まれていなければ、実施形態2における画像読取調整部32は、副走査方向の解像度を高めに設定するように調整してもよい。これは、ラインセンサを構成する光学系(レンズ)の特性が、一般的に主走査方向の解像能力が副走査方向の解像能力に比べて優れている点からも好適である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態1および2における画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施形態1における画像形成装置の機能ブロックを示す図である。
【図3】一次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙の一例を示す図である。
【図4】実施形態2における画像形成装置の機能ブロックを示す図である。
【図5】一次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙の一例を示す図である。
【図6】実施形態2におけるラインセンサの2画素読み出しモードにおける画素の読み出しの手順を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 印刷処理部、11 制御部、12 印刷部、20 画像読取部、30 検査部、31 照合部、32 画像読取調整部、50 用紙トレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段が用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得手段と、
取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査手段と、
を備える印刷結果検査装置において、
前記読取手段は、主走査方向と副走査方向とで異なる読み取り解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る手段であって、
さらに、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、原稿画像の印刷時の向きを決定し、その決定した向きで原稿画像を印刷するように前記印刷装置に指示する印刷方向指示手段と、
を備える印刷結果検査装置。
【請求項2】
印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段が用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得手段と、
取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査手段と、
を備える印刷結果検査装置において、
前記読取手段は、主走査方向と副走査方向とで異なる読み取り解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る手段であって、
さらに、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取手段が原稿画像の印刷された用紙を読み取る前にその用紙の用紙搬送方向を回転させる用紙方向回転手段と、
を備える印刷結果検査装置。
【請求項3】
印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段が用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得手段と、
取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査手段と、
を備える印刷結果検査装置において、
前記読取手段は、主走査方向と副走査方向とで異なる解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る手段であって、
さらに、前記読取手段の読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取手段の主走査方向と副走査方向との読み取り解像度を切り替える解像度切替手段と、
を備える印刷結果検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷結果検査装置において、
前記読取手段は、用紙搬送方向に対して直交する方向に設置されたラインセンサを含み、前記読取手段の主走査方向の読み取り解像度は、ラインセンサの読み取り解像度により決定し、前記読取手段の副走査方向の読み取り解像度は、ラインセンサのライン読み取り繰り返し周期により決定し、
前記解像度切替手段は、前記ラインセンサの読み取り解像度とライン読み取り繰り返し周期とを切り替えることで、前記読取手段の主走査方向と副走査方向との読み取り解像度を切り替えることを特徴とする印刷結果検査装置。
【請求項5】
印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取工程と、
前記読取工程において用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得工程と、
取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査工程と、
を含む印刷結果検査方法において、
前記読取工程は、主走査方向と副走査方向とで異なる読み取り解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る工程であり、
さらに、前記読取工程での読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、原稿画像の印刷時の向きを決定し、その決定した向きで原稿画像を印刷するように前記印刷装置に指示する印刷方向指示工程と、
を含む印刷結果検査方法。
【請求項6】
印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取工程と、
前記読取工程において用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得工程と、
取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査工程と、
を含む印刷結果検査方法において、
前記読取工程は、主走査方向と副走査方向とで異なる読み取り解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る工程であって、
さらに、前記読取工程での読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取工程において原稿画像の印刷された用紙を読み取る前に、その用紙の用紙搬送方向を回転させる用紙方向回転工程と、
を含む印刷結果検査方法。
【請求項7】
印刷装置により1次元バーコードを含む原稿画像が印刷された用紙を、その用紙が用紙搬送経路上を移動中に光学的に読み取る読取工程と、
前記読取工程において用紙の印刷結果を読み取ることで得られた検査画像データを取得する検査画像データ取得工程と、
取得した検査画像データとそれに対応する原稿画像データとを比較することで、その用紙の印刷結果の品質検査を行う検査工程と、
を含む印刷結果検査方向において、
前記読取工程は、主走査方向と副走査方向とで異なる解像度により光学的に用紙の印刷結果を読み取る工程であって、
さらに、前記読取工程での読み取り解像度が高いほうの走査方向と、原稿画像に含まれる一次元バーコードを構成するバーの配列方向とが一致するように、前記読取工程における主走査方向と副走査方向との読み取り解像度を切り替える解像度切替工程と、
を含む印刷結果検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−76096(P2006−76096A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261758(P2004−261758)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】