説明

印刷装置および印刷方法

印刷装置(0330)は、印刷データを印刷したい旨の印刷指示を発する指示装置(0310)と印刷データを一時的に保持するための記憶領域を有する記憶装置(0320)とに通信路(0340)で接続された印刷装置(0330)であって、印刷データを一時的に保存するためのスプール領域を確保させる旨の要求を記憶装置(0320)に発するスプール領域確保要求部(0332)と、スプール領域確保要求部(0332)による要求に対する応答を記憶装置(0320)から受信するスプール領域情報受信部(0333)と、指示装置(0310)が発する印刷指示を受信する印刷指示受信部(0331)と、印刷指示を受信し、かつ、印刷データが記憶装置(0320)のスプール領域に格納された後に、スプール領域から送られてくる印刷データを受信し、受信された印刷データを印刷する印刷処理部(0336)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷を指示する指示装置が所持しているデータを、ネットワークを介して印刷装置が受信し、印刷する技術に関する。特に、データが印刷装置および指示装置とは別の装置が有する記憶領域にスプールされる場合の印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローカルネットワーク(LAN)において複数のクライアント(指示装置)がプリンタ(印刷装置)を共有する場合、スプール領域を持つプリンタサーバ(記憶装置)がクライアントからのデータを一元的に受信し順次プリンタに出力している(例えば特許文献1参照)。なお、高価なレーザープリンタなどのように大容量の記憶領域を持ち、自らスプール領域を備える機器もある。
【0003】
図1は、印刷専用のスプール領域を用いた従来の印刷システムの概略構成図である。
クライアント1(0201)及びクライアント2(0202)は、パーソナルコンピュータ(PC)やTV、携帯電話、デジタルスチルカメラ(DSC)、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置などが所持するデータを印刷するようプリンタに対して指示する装置である。
【0004】
プリントサーバ(0203)はプリンタ(0204)のスプーラとして予め設定されている装置であり、クライアントからの印刷指示依頼を一括して受けてデータをスプール領域に一時的に記憶し、印刷指示依頼を受けた順に順次プリンタに対してデータを出力する装置である。
【0005】
プリンタ(0204)はプリントサーバから受信したデータを順次印刷処理する装置である。
【0006】
これらの装置はLANなどのネットワーク(0205)によって接続されている。
図1において、クライアント1(0201)またはクライアント2(0202)はユーザからの印刷指示を受けるとプリントサーバ(0203)に対して印刷依頼を出し、所持するデータをプリントサーバに送信する。データを受信したプリントサーバはプリンタ(0204)がアイドル状態であればプリンタにデータを転送する。プリンタが他の印刷ジョブを実行中であればデータをスプール領域に一時的に記憶しプリンタがアイドルになるのを待って印刷依頼が行われた順にデータを転送する。プリンタはプリントサーバから送信されたデータを印刷する。
【特許文献1】特開平8−278860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
任意の数のクライアントからの複数の印刷依頼を同時に受け付けたり、または単一の印刷依頼であっても印刷処理に大容量の記憶領域が必要である印刷システムを実現する場合、前記従来の印刷システムのように専用のプリントサーバを設けたり、プリンタ自身がスプール領域を持つ必要がある。
【0008】
しかしながら、インクジェットプリンタのような安価なプリンタはコストの関係からスプール領域を持てない。また、ネットワーク上にサーバやPCなどが存在しないノンPC環境においては当然専用のプリントサーバも存在しない。したがってノンPC環境におけるクライアント(TVや携帯電話、デジタルスチルカメラ(DSC)、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置などのAV機器)が所持するデータをプリンタに印刷させる場合、プリンタがアイドルになり当該データを全て受信し終わるまで、クライアントが印刷用のデータを保持し続ける必要があるという課題がある。より具体的に説明すると、携帯電話など記憶資源が乏しい装置では上記データを保持するための記憶領域を確保できずに印刷できなかったり、デジタルスチルカメラのように持ち出しの度にネットワークから外れる装置では、印刷が完了するまでネットワークから離れることが出来なかったりする課題がある。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ノンPC環境において印刷を指示するクライアントとプリンタの双方がスプール領域を持たずに済む印刷システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の印刷装置は、印刷データを印刷したい旨の印刷指示を発する印刷指示装置と前記印刷データを一時的に保持するための記憶空間を有する外部記憶装置とに通信路で接続された印刷装置であって、印刷データを一時的に保存するためのスプール領域を確保させる旨の要求を前記外部記憶装置に発するスプール領域確保要求手段と、前記スプール領域確保要求手段による要求に対する応答を前記外部記憶装置から受信するスプール領域確保応答受信手段と、前記印刷指示装置が発する印刷指示を受信する印刷指示受信手段と、前記印刷指示を受信し、かつ、前記印刷データが前記外部記憶装置のスプール領域に格納された後に、前記スプール領域から送られてくる印刷データを受信する印刷データ受信手段と、受信された印刷データを印刷する印刷手段とを備える。
【0011】
ここで外部記憶装置は、HDDなどの大容量記憶装置を内蔵するAVサーバやTV、DVD記憶・再生装置、HDD記憶・再生装置など、家庭内のネットワークにつながれた家電機器などにあたる。
【0012】
また、指示装置は、携帯電話機、デジタルカメラおよびTVなどに相当する。
本構成によって、印刷装置は印刷指示を行う指示装置以外の第三者機器にスプール領域を提供して貰いながら、印刷処理を行うことができる。
【0013】
また、本発明の印刷装置は、前記スプール領域確保要求手段は、前記印刷指示受信手段が前記印刷指示を受信してから、前記スプール領域を確保させる旨の要求を前記外部記憶装置に発するとしてもよい。
【0014】
本発明の前記印刷装置はさらに、前記印刷手段による印刷が終了する度に、前記スプール領域を解放する旨の要求を発するスプール領域解放要求手段を備えるとしてもよい。
【0015】
本発明の前記スプール領域確保要求手段は、前記印刷装置の起動時に、前記要求を前記外部記憶装置に発するとしてもよい。
【0016】
本発明の前記印刷装置はさらに、前記印刷装置のシャットダウン時に、前記スプール領域を解放する旨の要求を発するスプール領域解放要求手段を備えるとしてもよい。
【0017】
なお、本発明は、このような印刷装置として実現することができるだけでなく、このような印刷装置が備える特徴的な手段をステップとする印刷方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の印刷システムによれば、印刷指示を行う指示装置と印刷装置の双方ともスプール領域を必要とせず、記憶資源(メモリ)を節約、削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[図1]図1は、専用のスプール領域を用いた従来の印刷システムの概略図である(従来技術)。
[図2]図2は、本実施の形態1における印刷装置の構成を示すブロック図である(実施の形態1)。
[図3]図3は、実施の形態1における基本的な通信シーケンスを示す図である(実施の形態1)。
[図4]図4は、図3に示した印刷装置における動作を示すフローチャートである(実施の形態1)。
[図5]図5は、本実施の形態2における記憶装置の構成を示すブロック図である(実施の形態2)。
[図6]図6は、本実施の形態2の記憶装置0520における動作を示すフローチャートである(実施の形態2)。
[図7]図7は、本実施の形態3における印刷システムの概略構成図である(実施の形態3)。
[図8]図8は、印刷装置が記憶装置に定常的にスプール領域を確保する場合の通信シーケンスを示す図である(実施の形態3)。
[図9]図9は、(印刷装置である)プリンタが、(記憶装置である)AVサーバに定常的にスプール領域を確保する場合で、すべてがプリンタを経由して行なわれる場合の通信シーケンスの一例を示す図である(実施の形態4)。
[図10]図10は、(印刷装置である)プリンタが、(指示装置である)AV機器からの印刷指示に従って、(記憶装置である)AVサーバにスプール領域を確保する場合で、すべてがプリンタを経由して行なわれる場合の通信シーケンスの一例を示す図である(実施の形態4)。
【符号の説明】
【0020】
0110、0310、0510 指示装置
0120、0320、0520 記憶装置
0130、0330、0530 印刷装置
0331 印刷指示受信部
0332 スプール領域確保要求部
0333 スプール領域情報受信部
0334 スプール領域情報応答部
0335 スプール領域監視部
0336 印刷処理部
0521 スプール領域確保部
0522 スプール領域情報通知部
0523 スプールデータ書き込み処理部
0524 スプールデータ読み込み処理部
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態における印刷装置の構成図である。
【0023】
印刷装置0330は、Ethernet(R)や無線LAN(802.11b,etc・・・)、IEEE1394、Bluetooth(R)、USBなどにあたるネットワーク0340を介して、指示装置0310及び記憶装置0320と相互に接続される。なお、請求の範囲での「印刷指示装置」は、実施の形態の「指示装置」または「AV機器」に相当し、請求の範囲の「外部記憶部装置」は、実施の形態の「記憶装置」または「AVサーバ」に相当し、請求の範囲での「印刷装置」は、実施の形態の「プリンタ」または「印刷装置」に相当する。
【0024】
指示装置0310はTVや携帯電話、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置、携帯型メディア再生装置、デジタルスチルカメラ、ムービーカメラ、AVサーバ、パーソナルコンピュータなど印刷装置に印刷指示可能な機器に当たり、自機器が所持するデータまたは他機器が所持するデータを印刷するよう印刷装置に指示する。
【0025】
記憶装置0320は、AVサーバやTV、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置、パーソナルコンピュータなどある程度の記憶容量を持ち他機器からのデータ読み書きが可能な機器にあたり、本発明に基づき必要に応じて印刷装置のスプーラとして振る舞う。
【0026】
印刷装置0330は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ、昇華型プリンタ、ファクシミリ(FAX)、複合機(MFP)など、印刷・印字可能な機器に当たり、記憶装置上のスプール領域にあるデータを印刷する。
【0027】
印刷装置0330は内部に、指示装置0310からの印刷指示を受信する印刷指示受信部0331、記憶装置0320にスプール領域の確保を要求するスプール領域確保要求部0332、記憶装置032から確保して貰ったスプール領域の情報を受信するスプール領域情報受信部0333、指示装置0310に対してスプール領域情報を応答するスプール領域情報応答部0334、印刷処理を実行する印刷部0336を有し、必要に応じてスプール領域にデータ存在するか等の状態を監視するスプール領域監視部0335、記憶装置0320にスプール領域の解放を要求するスプール領域解放要求部0337を有する。
【0028】
以上のように構成された印刷システムの印刷動作を、通信シーケンス図およびフローチャート図を用いて説明する。図3は、実施の形態1における基本的な通信シーケンスを示す図である。図4は、図3に示した印刷装置における動作を示すフローチャートである。なお、図2の指示装置0310、記憶装置0320および印刷装置0330はそれぞれ、図3の指示装置0110、記憶装置0120および印刷装置0130と同じものである。
【0029】
ユーザからの印刷指示などにより、指示装置0110は印刷装置に対し、自機器または他機器が所持するデータの印刷を指示する(図3の(1))。これにより、図2の印刷指示受信部0331は指示装置0310から印刷指示を受信する(図4のステップ0401)。これにより印刷装置0330は当該印刷指示の印刷ジョブを生成する。印刷指示方法については任意であり言及しないが、例えばネットワーク0340がEthernet(R)や無線LANであり、装置発見、制御プロトコルとしてUPnP(Universal Plug and Play)が採用される場合は、Print Basic Serviceに基づくCreate Job Soapアクションを受信することとなる。
【0030】
印刷指示時に部数や用紙サイズ・タイプ、印刷品質、印刷方式(Nin1印刷指定や両面指定)などの印刷条件を受信しても良い。印刷条件を受信した場合は後に述べる印刷実行時に、印刷処理部が当該印刷条件に基づいて印刷処理を行う。また同じく印刷指示時にフォーマットやデータサイズなど印刷すべきデータの情報を受信しても良い。
【0031】
印刷指示を受けると印刷装置0130は印刷ジョブの実行に移り、印刷装置0130のスプール領域確保要求部0332は、記憶装置0120に対して当該印刷ジョブ用のスプール領域を確保するよう要求する(図3の(2)、図4のステップ0402)。
【0032】
この際、ステップ0401において印刷装置0130は、印刷データのサイズを受信し、そのサイズ分のスプール領域を確保するよう記憶装置0120に要求する形態を取っても良い。このような形態をとることで、記憶装置0120の記憶容量を有効に利用することができる。また、スプール領域の確保を要求する際、スプール領域へのアクセス権情報を通知するようにしても良い。スプール領域のアクセス権が設定されることで印刷処理の安全性を高めることができる。例えばスプール領域への書き込みを、当該印刷ジョブを指示した指示装置に限定することで、当該印刷ジョブとは関係のない機器が印刷データを上書きしてしまったり、無駄なデータをスプール領域に書き込まれたりして、スプール領域に印刷データを書き込むだけの容量が無くなるといったことを防ぐことができる。また、スプール領域の読み込みを当該スプール領域の確保を要求した印刷装置に限定することで、印刷データが他の機器に漏洩することを防ぐことができる。
【0033】
また、印刷装置0130内に当該印刷ジョブを実行できるだけの記憶容量があるかどうか印刷装置0130が自己診断し、それだけの記憶容量がある場合は記憶装置0120にスプール領域の確保を要求せず、印刷装置内でスプール領域を確保する機能を有しても良い。具体的には、図3の(2)、(3)のステップを実行せず図の(4)のステップに進み、指示装置に印刷装置の内部に確保したスプール領域の情報を通知する。以後は、図3の(5)のステップ(矢印は指示装置0110から印刷装置0130の方向)のあと、直接図3の(7)のステップに進み印刷処理が実行される。これは図3の(1)において印刷データのサイズ情報を受信した場合に特に有効であり、印刷装置は記憶装置に頼らずとも印刷処理を実行することができる。
【0034】
ステップ0402により既にスプール領域が確保されていればステップ0404へ進む。記憶装置が見つからなかったり、記憶装置の記憶領域が枯渇していた場合などスプール領域が確保されなかったりする場合、印刷が失敗に終わり必要に応じて指示装置に印刷が失敗した旨を報告する(図4のステップ0403)。なお、一定時間待ってステップ0402に戻り、再度スプール領域の確保を試みても良い。
【0035】
スプール領域の確保要求を受けると記憶装置0120は自機器の記憶領域からスプール領域を確保し、印刷装置0130に対してスプール領域の情報を通知する(図3の(3))。スプール領域情報受信部0333は記憶装置からスプール領域の情報を受信する(図4のステップ0404)。スプール領域の情報は、例えばスプール領域の位置情報や、スプール領域のサイズ情報などにあたり、スプール領域のアクセス権限を記憶装置が決定する場合はそのアクセス権情報でもよい。
【0036】
なお、記憶装置0120において複数のスプール領域を確保可能であっても良い。この場合、他機器においてスプール領域の区別が必要となるが、本実施の形態ではスプール領域の位置情報にて区別するものとする。この他にも例えば記憶装置0120が確保したスプール領域毎に一意に識別可能な識別情報を生成し、スプール領域の情報として印刷装置0130に通知しても良い。
【0037】
次に印刷装置0130は指示装置0110に対して、スプール領域の情報を通知する(図3の(4))。すなわち、スプール領域情報応答部0334は指示装置にスプール領域情報を通知する(図4のステップ0405)。例えばスプール領域の位置情報やサイズ情報を通知する。指示装置はスプール領域の位置情報により指定されたスプール領域に対し、印刷データを書き込む。また、スプール領域のサイズ情報を通知されることで指示装置は印刷データを分割して書き込むといったことが可能となる。
【0038】
この際に通知する情報は図3の(3)において印刷装置0130が記憶装置0120から受信したスプール領域の情報の全てであっても良いし、一部であっても良い。
【0039】
例えば、印刷データを記憶装置0120上のスプール領域に書き込むために、印刷装置0130は指示装置にスプール領域の位置情報などを通知する。
【0040】
次に指示装置0110は記憶装置0120に対して、自機器または他機器が所持するデータ(印刷データ)をスプール領域に書き込むよう要求する(図3の(5))。この要求を受けると記憶装置0120は印刷データを受信し、スプール領域に保存する。
【0041】
データの転送方法としては、指示装置0110または印刷データを所持する他機器が記憶装置0120上のスプール領域に直接印刷データを転送する方式でも良いし、スプール領域への書き込み要求時に指示装置0110が印刷データの位置情報を通知し記憶装置0120がそのデータを取得しに行く方式でも良い。また、一旦、印刷装置0130に印刷データが送信され、印刷装置0130が必要に応じて記憶装置0120上のスプール領域に印刷データを転送する方式でも良い。次にスプール領域監視部0335はスプール領域の状態を監視する(図4のステップ0406)。ここで本実施の形態においては、印刷データの取得方法に関し、印刷装置が必要に応じて主体的にスプール領域上の印刷データを取得する方式をとる。したがってここでは印刷装置がスプール領域に印刷データが存在するかどうかを監視する。
【0042】
次に印刷装置0130は記憶装置0120に対して、スプール領域上の印刷データを送信するよう要求する(図3の(6))。この要求を受けると記憶装置0120はスプール領域上の印刷データを印刷装置0130に送信する。なお、印刷装置0130が記憶装置0120に印刷データの送信を要求する方式ではなく、記憶装置0120が印刷装置0130の状態を監視し、印刷装置0130の準備ができる度にスプール領域にある印刷データを順次印刷装置0130に転送していく方式をとっても良い。
【0043】
この場合図4のステップ0406,0407は不要となり、印刷処理部0336は順次転送されたデータの印刷処理を行う。この場合、記憶装置は、データ送信要求により、印刷装置が印刷処理可能な状態か否かを問合せてからデータを転送してもよいし、単に、印刷装置にデータ送信要求のみを送信しておいてデータを転送し、印刷装置の側で印刷処理可能な状態でなければ受信しないという方式であってもよい。また、別の方式として、記憶装置は、スプール領域にデータが書き込まれると、データが書き込まれたことだけを印刷装置に通知しておき、印刷装置は、印刷処理可能な状態になったとき、記憶装置からデータを読み出しに行くという方式であってもよい。
【0044】
図4のステップ0407において、スプール領域に印刷データがあった場合はステップ0408へ進む。すなわち、印刷装置0130は、受信した印刷データの印刷処理を実行する(図3の(7)、図4のステップ0408)。印刷データが無かった場合は、再度、図4のステップ0406に戻り、スプール領域監視部0335は引き続きスプール領域の状態を監視する。
【0045】
次にステップ0408において、印刷処理部0336はスプール領域のデータを印刷処理する。前述のようにステップ0401において印刷条件が指定されている場合はそれに基づいて印刷処理を行う。すなわち、図3の(1)において指示装置0110から印刷条件を指定されている場合は、印刷条件に基づいて印刷処理を実行する。また本実施の形態のように、印刷装置が必要に応じて主体的に印刷データを取得する場合は、印刷処理部0336が順次必要に応じて印刷データを取得し印刷する。
【0046】
印刷処理が終了すると、印刷装置0130は記憶装置0120に対して図3の(2)で確保して貰ったスプール領域を解放するよう要求する(図3の(8))。において、すなわち、スプール領域解放要求部0337は記憶装置0320に、ステップ0402において確保した当該印刷ジョブ用のスプール領域を解放するよう要求する(図4のステップ0409)。この要求を受けると記憶装置0120は確保したスプール領域を解放する。
【0047】
このように印刷ジョブ毎にスプール領域の確保、解放を行うことで記憶装置の記憶容量を有効に使用することができる。また記憶装置も資源的に余裕がある場合のみスプール領域の確保を許可することも可能である。
【0048】
以上までのステップにより印刷装置は印刷を実行する。
なお、上記まででスプール領域を印刷ジョブ毎に確保する印刷装置の実施形態について述べたが、印刷ジョブ毎ではなく定常的にスプール領域を確保する形態を取っても良い。具体的には、印刷装置の初期化時に当該印刷装置専用のスプール領域を確保することとし、図4からステップ0402、0403、0404、0409が削除され、ステップ0405では初期化時に確保したスプール領域の情報を通知する実施形態となる。この場合、指示装置から印刷指示を受けてもスプール領域が確保できないといった状況は回避できる利点があるが、記憶装置に常にスプール領域を確保して貰うこととなり、印刷指示がない場合であっても記憶装置の記憶容量を消費するという欠点がある。
【0049】
なお、スプール領域確保要求部0332が、印刷装置に当該印刷ジョブを実行できるだけの記憶容量があるかどうかを判断し、記憶容量がある場合は記憶装置にスプール領域の確保を要求せず印刷装置内でスプール領域を確保する機能を有しても良い。これはステップ0401において印刷データのサイズ情報を受信した場合に特に有効であり、記憶装置に頼らずとも印刷処理を実行することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では指示装置から記憶装置上に確保されたスプール領域に直接印刷データが送信される形態を記述しているが、指示装置からのデータ送信は全て印刷装置が受信し、必要に応じて印刷装置がスプール領域に前記指示装置から受信したデータを待避させる形態をとっても良い。
【0051】
なお、本実施の形態では、ネットワーク上に接続されているどの機器を本発明の記憶装置0320に選択するかについては、UPnPなどにより容易に検索が可能になるので、説明を省略する。
【0052】
(実施の形態2)
図5は、本実施の形態2の記憶装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
記憶装置0520は、Ethernet(R)や無線LAN(802.11b,etc・・・)、IEEE1394、Bluetooth(R)、USBなどにあたるネットワーク0540を介して、指示装置0510及び印刷装置0530と相互に接続される。
【0054】
指示装置0510はTVや携帯電話、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置、携帯型メディア再生装置、デジタルスチルカメラ、ムービーカメラ、AVサーバ、パーソナルコンピュータなど印刷装置に印刷指示可能な機器に当たり、自機器が所持するデータまたは他機器が所持するデータを印刷するよう印刷装置に指示する。
【0055】
記憶装置0520は、AVサーバやTV、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置、パーソナルコンピュータなどある程度の記憶容量を持ち他機器からのデータ読み書きが可能な機器にあたり、本発明に基づき必要に応じて印刷装置のスプーラとして振る舞う。
【0056】
印刷装置0530は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ、昇華型プリンタ、ファクシミリ(FAX)、複合機(MFP)など、印刷・印字可能な機器に当たり、記憶装置上のスプール領域にあるデータを印刷する。
【0057】
記憶装置0520は内部に、印刷装置0530からの要求に基づき自機器の記憶領域にスプール領域を確保するスプール領域確保部0521、確保したスプール領域の情報を印刷装置に通知するスプール領域情報通知部0522、指示装置0510からの要求に基づきスプール領域に要求機器から受信したデータを書き込むスプールデータ書き込み処理部0523、印刷装置0530からの要求に基づきスプール領域上のデータを読み出し要求機器に送信するスプールデータ読み込み処理部0524、印刷装置0530からの要求に基づきスプール領域を解放するスプール領域解放部0525を有する。
【0058】
図6は、本実施の形態2の記憶装置0520における動作を示すフローチャートである。本発明を適用した記憶装置の動作シーケンスについて図6を用いて説明する。
【0059】
まずステップ0601において、記憶装置0520は他機器からの要求を待つ。
ステップ0601において、印刷装置0530からスプール領域確保要求を受けるとステップ0602に進む。
【0060】
ステップ0602においてスプール領域確保部0521は記憶装置の記憶領域からスプール領域を確保する。なお、記憶装置において複数のスプール領域を確保可能であっても良い。この場合、他機器においてスプール領域の区別が必要となるが、本実施の形態ではスプール領域の位置情報にて区別するものとする。例えばステップ0604にてスプール領域の情報を通知する際、スプール領域Aの位置情報も含めて通知する。この他にも例えば確保したスプール領域毎に一意に識別可能な識別情報を生成し、スプール領域の情報として印刷装置に通知しても良い。
【0061】
また、要求を受ける際印刷装置から当該スプール領域のアクセス権情報を受けても良い。この場合、後述するステップ0606、0607において、前記アクセス権を満たす機器に対してのみ各処理を行うものとする。また、記憶装置側でスプール領域への読み込み要求は当該スプール領域を確保するよう要求した装置にのみ限定するようアクセス権を設定しても良い。このようにスプール領域への操作に制限を設けることでスプール領域上のデータの第三者への漏洩やスプール領域上のデータの改竄などを防ぐことができる。
【0062】
ステップ0603において、ステップ0602でスプール領域を確保できた場合はステップ0604に進む。
【0063】
ステップ0604では、スプール領域情報通知部0522は印刷装置に対しステップ0602で確保したスプール領域の情報を通知する。
【0064】
ステップ0603において、ステップ0602でスプール領域を確保できなかった場合はステップ0605に進む。
【0065】
ステップ0605では、スプール領域情報通知部0522は印刷装置に対しスプール領域が確保できなかった旨を通知する。
【0066】
ステップ0601において、指示装置0510からスプール領域へのデータ書き込み要求を受けるとステップ0606へ進む。
【0067】
ステップ0606では、スプールデータ書き込み処理部0523は指示装置0510からデータを受信しスプール領域へ書き込む。
【0068】
なお、本実施の形態では指示装置がスプール領域へ直接データを書き込む例を挙げているが、指示装置のデータを一端印刷装置が受信し、それを印刷装置がスプール領域に書き込む形態でもよい。また、データ書き込み要求において、書き込みファイル名を指定可能にしてもよい。
【0069】
ステップ0601において、印刷装置0530からスプール領域上のデータの読み込み要求を受けるとステップ0607へ進む。
【0070】
ステップ0607では、スプールデータ読み込み処理部0524はスプール領域から印刷データを読み込み、印刷装置0530に対して印刷データを送信する。
【0071】
なお、データ読み込み要求において、印刷装置が読み込みたいファイル名を指定可能にしても良い。
【0072】
ステップ0601において、印刷装置0530からスプール領域の解放要求を受けるとステップ0608へ進む。
【0073】
ステップ0608では、スプール領域解放部0525はスプール領域確保部が確保したスプール領域を解放する。
【0074】
なお、記憶装置において複数のスプール領域を確保可能である場合は、スプール領域の解放要求時に、前述したスプール領域の位置情報や識別情報など解放したいスプール領域を特定可能な情報が付加されるものとする。
【0075】
以上、本発明における記憶装置の実施形態について説明した。
なお本実施の形態に置いては、印刷装置が必要に応じ記憶装置に対してスプール領域上のデータを要求する形態を取っているが、これに限定されるものではない。
【0076】
例えばステップ0606において、スプール領域にデータが書き込まれた後、スプールデータ書き込み処理部(または新規に設ける転送部)が印刷装置にスプール領域上のデータを転送する形態を取っても良い。
【0077】
(実施の形態3)
実施の形態1および2では、まず、指示装置から印刷装置に対して印刷指示が発せられ、その後、印刷装置がスプール領域の確保を要求するという手順であったが、本実施の形態3では、印刷装置は起動時に、まず、スプール領域を確保して指示装置からの印刷指示に備え、印刷装置の電源切断時に初めてスプール領域の解放を要求するという点が異なる。
【0078】
図7は、本実施の形態3における印刷システムの概略構成図である。
指示装置0710と記憶装置0720と印刷装置0730とが、Ethernet(R)や無線LAN(802.11b,etc・・・)、IEEE1394、Bluetooth、USBなどにあたるネットワーク0740を介して相互に接続される。
【0079】
指示装置0710はTVや携帯電話、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置、携帯型メディア再生装置、デジタルスチルカメラ、ムービーカメラ、AVサーバ、パーソナルコンピュータなど印刷装置に印刷指示可能な機器に当たり、自機器が所持するデータまたは他機器が所持するデータを印刷するよう印刷装置0730に指示する。
【0080】
記憶装置0720は、AVサーバやTV、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置、パーソナルコンピュータなどある程度の記憶容量を持ち他機器からのデータ読み書きが可能な機器にあたり、本発明に基づき必要に応じて印刷装置のスプーラとして振る舞う。
【0081】
印刷装置0730は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ、昇華型プリンタ、ファクシミリ(FAX)、複合機(MFP)など、印刷・印字可能な機器に当たり、記憶装置上のスプール領域にあるデータを印刷する。
【0082】
本発明を適用した印刷システムの印刷動作をフローチャート図である図3を用いて説明する。
【0083】
ユーザからの印刷指示などにより、指示装置0110は印刷装置に対し自機器または他機器が所持するデータの印刷を指示する(図3の(1))。
【0084】
この際、指示装置0110は、部数や用紙サイズ・タイプ、印刷品質、印刷方式(Nin1印刷指定や両面指定)などの印刷条件を印刷装置に送信しても良い。印刷条件を受信した印刷装置は、後に述べる印刷実行時に当該印刷条件に基づいて印刷処理を行う。また同じく指示装置は、フォーマットやデータサイズなど印刷すべきデータの情報を受信しても良い。
【0085】
印刷指示を受けると印刷装置0130は印刷ジョブの実行に移り、印刷装置0130は記憶装置0120に対して当該印刷ジョブ用のスプール領域を確保するよう要求する(図3の(2))。
【0086】
なお、印刷装置0130は印刷指示時に印刷データのサイズを受信し、そのサイズ分のスプール領域を確保するよう記憶装置0120に要求する形態を取っても良い。このような形態をとることで、記憶装置0120の記憶容量を有効に利用することができる。
【0087】
また、スプール領域の確保を要求する際、印刷装置0130は記憶装置0120にスプール領域へのアクセス権情報を通知し設定を依頼する形態をとっても良い。スプール領域のアクセス権が設定されることで印刷処理の安全性を高めることができる。例えばスプール領域への書き込みを、当該印刷ジョブを指示した指示装置に限定することで、当該印刷ジョブとは関係のない機器が印刷データを上書きしてしまったり、当該印刷ジョブとは関係のないデータをスプール領域に書き込まれたりして、スプール領域に印刷データを書き込むだけの容量が無くなるといったことを防ぐことができる。また、スプール領域の読み込みを当該スプール領域の確保を要求した印刷装置に限定することで、印刷データが他の機器に漏洩することを防ぐことができる。
【0088】
また、当該印刷ジョブを実行できるだけの記憶容量があるかどうか印刷装置0130が自己診断し、記憶容量がある場合は記憶装置0120にスプール領域の確保を要求せず印刷装置内でスプール領域を確保する機能を有しても良い。具体的には、図3の(2)、(3)のステップを実行せず図の(4)のステップに進み、指示装置に印刷装置に確保したスプール領域の情報を通知する。以後は、図3の(5)のステップのあと直接図3の(7)のステップに進み印刷処理が実行される。これは図3の(1)において印刷データのサイズ情報を受信した場合に特に有効であり、印刷装置は記憶装置に頼らずとも印刷処理を実行することができる。
【0089】
スプール領域の確保要求を受けると記憶装置0120は自機器の記憶領域からスプール領域を確保し、印刷装置0130に対してスプール領域の情報を通知する(図3の(3))。スプール領域の情報は、例えばスプール領域の位置情報や、スプール領域のサイズ情報などにあたる。スプール領域のアクセス権限を記憶装置0120が決定する場合はそのアクセス権情報を含んでもよい。
【0090】
なお、記憶装置0120において複数のスプール領域を確保可能であっても良い。この場合、他機器においてスプール領域の区別が必要となるが、本実施の形態ではスプール領域の位置情報にて区別するものとする。この他にも例えば記憶装置0120が確保したスプール領域毎に一意に識別可能な識別情報を生成し、スプール領域の情報として印刷装置0130に通知しても良い。
【0091】
次に印刷装置0130は指示装置0110に対して、スプール領域の情報を通知する(図3の(4))。
この際に通知する情報は図3の(3)において印刷装置0130が記憶装置0120から受信したスプール領域の情報の全てであっても良いし、一部であっても良い。
例えば、印刷データを記憶装置0120上のスプール領域に書き込むために、印刷装置0130は指示装置にスプール領域の位置情報などを通知する。
【0092】
次に指示装置0110は記憶装置0120に対して、自機器または他機器が所持するデータ(印刷データ)をスプール領域に書き込むよう要求する(図3の(5))。この要求を受けると記憶装置0120は印刷データを受信し、スプール領域に保存する。
データの転送方法としては、指示装置0110または印刷データを所持する他機器が記憶装置0120上のスプール領域に直接印刷データを転送する方式でも良いし、スプール領域への書き込み要求時に指示装置0110が印刷データの位置情報を通知し記憶装置0120がそのデータを取得しに行く方式でも良い。また、一端印刷装置0130に印刷データが送信され、印刷装置0130が必要に応じて記憶装置0120上のスプール領域に印刷データを転送する方式でも良い。
【0093】
次に印刷装置0130は記憶装置0120に対して、スプール領域上の印刷データを送信するよう要求する(図3の(6))。この要求を受けると記憶装置0120はスプール領域上の印刷データを印刷装置0130に送信する。なお、印刷装置0130が記憶装置0120に印刷データの送信を要求する方式ではなく、記憶装置0120が印刷装置0130の状態を監視し、印刷装置0130の準備ができる度にスプール領域にある印刷データを順次印刷装置0130に転送していく方式をとっても良い。
【0094】
次に印刷装置0130は、受信した印刷データの印刷処理を実行する(図3の(7))。
なお前述のように、図3の(1)において指示装置0110から印刷条件を指定されている場合は、印刷条件に基づいて印刷処理を実行する。
印刷処理が終了すると、印刷装置0130は記憶装置0120に対して図3の(2)で確保して貰ったスプール領域を解放するよう要求する(図3の(8))。この要求を受けると記憶装置0120は確保したスプール領域を解放する。
【0095】
以上、本発明における印刷システムの実施形態について述べたが、上記の実施形態ではスプール領域を印刷ジョブ毎に確保している。
【0096】
しかしこれに限定されず、印刷ジョブ毎ではなく印刷装置の初期化時に定常的にスプール領域を確保する形態を取っても良い。この場合、指示装置から印刷指示を受けてもスプール領域が確保できないといった状況は回避できる利点があるが、記憶装置に常にスプール領域を確保して貰うこととなり、印刷指示がない場合であっても記憶装置の記憶容量を消費するという欠点がある。
【0097】
上記、定常的にスプール領域を確保する場合の印刷動作について、図8を用いて説明する。
【0098】
システム構成は図7で説明したものと同じであるため省略する。
まず、印刷装置0830は初期化時に、記憶装置0820に対してスプール領域の確保を要求する(図8の(1))。
【0099】
これを受けると記憶装置0820はスプール領域を確保し、確保したスプール領域の情報を印刷装置0830に通知する(図8の(2))。スプール情報の具体内容については前述の通りである。
【0100】
以上までが印刷装置0830初期化時の処理となり、以後は指示装置からの印刷指示を待つ。
【0101】
印刷装置0830は指示装置0810からの印刷指示を受けると(図8の(3))、指示装置に対して図8の(1)で確保したスプール領域情報を通知する(図8の(4))。
【0102】
次に指示装置0810は図8の(4)で受信したスプール領域の情報に基づき、スプール領域にデータを書き込むよう記憶装置0820に依頼する(図8の(5))。
【0103】
次に印刷装置0830は記憶装置0820よりスプール領域上のデータを受信し(図8の(6))、受信したデータの印刷処理を実行する(図8の(7))。
【0104】
印刷処理を完了すると印刷装置0830は必要に応じてその旨を指示装置0810に通知し、再度指示装置0810からの印刷指示待ちに入る。
【0105】
以上、本発明を適用した印刷装置、記憶装置、印刷システムの実施形態について説明したが、本発明は印刷分野に限定されるものではない。ある処理を行う装置において、一時的に自機器が所有する記憶容量以上の記憶領域が必要な機器、並びにシステムにも応用可能である。
【0106】
例えば、DVD/HDD映像録画装置において、自機器の記憶容量を超えた録画指定が行われた場合、他の記憶容量に余裕のある機器に一時的に記憶容量を分けて貰い、他機器の領域に録画を続けるといった分野にも応用できる。具体的には、他機器やユーザからの指示、または自機器に設定されたタイマを契機として番組を録画する録画装置において、番組は終了しないが自機器の記憶領域が不足したりする場合、AVサーバなどの記憶領域に余裕のある外部装置に動的にバッファを貸し出して貰い、自機器では賄えない録画データを外部装置上のバッファに書き込むことで、録画データの喪失を回避する。なお、不要な録画データの削除などにより録画装置の空き容量が増えた場合は、外部装置上のバッファにある録画データの一部を取り込み、外部装置に確保して貰ったバッファは解放する。
【0107】
その他にも、映像や音楽の再生システムや加工システムなどにも応用できる。
【0108】
(実施の形態4)
上記実施の形態1〜3では、記憶装置に確保されたスプール領域に、指示装置がデータの書き込みを行なう例について説明したが、本実施の形態4では、スプール領域へのデータ書き込みを印刷装置が行なう点が上記実施の形態と異なる。具体的には、印刷装置は、指示装置からHTMLなどの言語で記述されたTopPageデータを一旦取得し、データ解析後、一度に印刷しきれないデータをスプール領域に退避させつつ、印刷する処理を行なう。ただし、実施の形態4では図2に示した印刷装置0330の構成からスプール領域監視部0335が不要になる代わりに、さらに、HTMLなどのTopPageを解析するTopPage解析部、スプール領域書き込み部およびスプール領域読み出し部(図示省略)が必要になる。
【0109】
図9は、AV機器とAVサーバとの間のデータのやり取りがすべてプリンタを経由し、プリンタが定常的にスプール領域を確保する場合の通信シーケンスの一例を示す図である。すなわち、プリンタは、プリンタの電源が投入されたときにスプール領域の確保を要求し、電源が切断されるときにスプール領域の解放を要求する場合の例である。
【0110】
まず、プリンタに電源が投入される。図2に示したスプール領域確保要求部0332は、まず、メモリ領域に余裕があるAVサーバに対してスプール領域の確保を要求する(図9の(1))。これを受けるとAVサーバは、スプール領域を確保し、確保したスプール領域の位置などを表す情報をプリンタに通知する(図9の(2))。これに対し、図2に示したスプール領域情報受信部0333は、このスプール領域情報を受信する。次いで、このように、すでにスプール領域が確保されている状態で、印刷指示受信部0331はAV機器から印刷指示を受信する(図9の(3))。ここでは、例えば、この印刷指示は、インターネット上のホームページを表すURIなどを含んでいるものとする。印刷指示受信部0331は、受信された印刷指示に含まれているURIに基づいて、AV機器からTopPageをダウンロードする(図9の(4))。この場合、AV機器からに限らず、インターネット上から印刷すべきTopPageを取得するとしてもよい。また、この他の方法としては印刷指示後に、印刷指示受信部0331がToppageを受信する方法でも良い。
Toppage取得後、プリンタのTopPage解析部は、AV機器またはインターネットを介して取得したTopPageを解析し、そのTopPageに張られているリンクを収集する(図9の(5))。次いで、TopPage解析部は、TopPageの本文とともにTopPageにリンクされていた画像を取得する(図9の(6))。このとき、TopPage解析部は、プリンタに内蔵されているバッファがある場合には、内蔵バッファの残量をみながら、取得したデータが内蔵バッファの容量を超えそうかどうかを判断し、内蔵バッファの容量を超えそうになると、スプール領域書き込み部は内蔵バッファに書き込みきれない残りのデータをスプール領域に書き込んで退避する(図9の(7))。スプール領域読み出し部は、このようにしてAVサーバのスプール領域に退避されたデータを読み出す(図9の(8))。印刷処理部は読み出されたデータを印刷する(図9の(9))。実際には、プリンタに内蔵されるバッファの容量は大きくないので、TopPage解析部の解析終了後、スプール領域書き込み部がデータをすぐにスプール領域に退避し、スプール領域読み出し部がそれを読み出して、印刷処理部で印刷するといった、(5)、(6)、(7)、(8)および(9)の繰り返しが比較的短いサイクルで行なわれる。このようにして、印刷が終了し、プリンタの電源が切断されるとき、プリンタは、確保されていたスプール領域の解放要求をAVサーバに対して出す。このように、プリンタは、内部バッファ内に書き込みきれないデータをスプール領域に退避するのでプリンタが大きな記憶容量を備えておく必要がないという効果がある。
【0111】
なお、図9では、プリンタが定常的にスプール領域を確保している場合について説明したが、もちろん、本実施の形態4のプリンタは実施の形態1と同様、指示装置であるAV機器から印刷指示を受けてからスプール領域を確保するようにしてもよい。図10は、プリンタが、AV機器からの印刷指示を受けてから、AVサーバにスプール領域を確保する場合で、すべてがプリンタを経由して行なわれる場合の通信シーケンスの一例を示す図である。
【0112】
図10において、図9と異なる点は、(1)印刷指示、(2)スプール領域確保要求および(3)スプール位置通知の順序である。ここでは、まず、AVサーバからプリンタに、TopPageのURIを含む印刷指示が出されると(図10の(1))、プリンタは印刷ジョブを生成し、スプール領域確保要求をAVサーバに送信する(図10の(2))。AVサーバは、要求に応じてスプール領域を確保すると、確保された領域の位置およびサイズなどをプリンタに通知する。以下の処理は、図9に示した手順と同じであるが、図10に示した場合では、スプール領域の確保が印刷ジョブの単位で行なわれるので、複数の印刷指示のそれぞれに対して個別に利用できるスプール領域を確保することができる。したがって、本実施の形態によれば、複数の印刷指示のそれぞれに対して個別に利用できるスプール領域を確保することにより、同時に並行して複数の印刷指示を受けることができるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明にかかる印刷装置は、スプール領域を他機器上に確保する機能を有し、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ、昇華型プリンタ、ファクシミリ(FAX)、複合機(MFP)など、自機器上に十分な記憶容量を持たない印刷装置に有用である。また、印刷分野だけでなく、ある処理を行う上で自機器上の記憶容量だけでは記憶容量が不足してしまう機器にも応用可能である。例えば、映像や音楽の再生装置や加工装置などにも応用できる。
【0114】
また本発明にかかる記憶装置は、他機器に対し自装置内の記憶容量を動的に貸与可能な機能を有し、AVサーバやTV、DVD記録・再生装置、HDD記録・再生装置、パーソナルコンピュータなどある程度の記憶容量を持ち他機器からのデータ読み書きが可能な機器に有用である。
【0115】
また本発明にかかる印刷システムは、ある機器が行う処理用の記憶領域をその他の機器が貸与し協調動作する点に特徴を有し、ネットワークを介した印刷処理システムに有用である。また、印刷分野だけでなくネットワーク上の記憶資源を機器間で融通しあうことでより効率の上がるシステムにも応用可能である。例えば、映像や音楽の再生システムや加工システムなどにも応用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを印刷したい旨の印刷指示を発する印刷指示装置と前記印刷データを一時的に保持するための記憶空間を有する外部記憶装置とに通信路で接続された印刷装置であって、
印刷データを一時的に保存するためのスプール領域を確保させる旨の要求を前記外部記憶装置に発するスプール領域確保要求手段と、
前記スプール領域確保要求手段による要求に対する応答を前記外部記憶装置から受信するスプール領域確保応答受信手段と、
前記印刷指示装置が発する印刷指示を受信する印刷指示受信手段と、
前記印刷指示を受信し、かつ、前記印刷データが前記外部記憶装置のスプール領域に格納された後に、前記スプール領域から送られてくる印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
受信された印刷データを印刷する印刷手段と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記スプール領域確保要求手段は、前記印刷指示受信手段が前記印刷指示を受信してから、前記スプール領域を確保させる旨の要求を前記外部記憶装置に発することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷装置はさらに、前記印刷手段による印刷が終了する度に、前記スプール領域を解放する旨の要求を発するスプール領域解放要求手段を備える
ことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記スプール領域確保要求手段は、前記印刷装置の起動時に、前記要求を前記外部記憶装置に発する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷装置はさらに、前記印刷装置のシャットダウン時に、前記スプール領域を解放する旨の要求を発するスプール領域解放要求手段を備える
ことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記スプール領域確保応答受信手段は、前記スプール領域の位置を特定する情報を含むスプール領域情報を前記応答として前記外部記憶装置から受信し、
前記印刷装置はさらに、前記スプール領域情報が示す前記スプール領域の位置を前記印刷指示装置に通知するスプール位置通知手段を備え、
前記印刷指示装置は、通知された前記スプール領域に向けて、前記印刷データを出力する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷装置はさらに、前記印刷指示装置が出力する印刷データを受信し、前記スプール領域に一時的に格納する印刷データ退避手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷データ受信手段は、前記印刷データを出力させる旨の要求を前記外部記憶装置に発することによって前記印刷データを取得する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷装置はさらに、前記外部記憶装置の前記スプール領域に前記印刷データが格納されたか否かを監視するスプール領域監視手段を備え、
前記印刷データ受信手段は、前記スプール領域監視手段による監視によって前記スプール領域に前記印刷データが格納されたことが判明した後に、前記印刷データを出力させる旨の要求を前記外部記憶装置に発する
ことを特徴とする請求項8記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷データを印刷したい旨の印刷指示を発する印刷指示装置と前記印刷データを一時的に保持するための記憶空間を有する外部記憶装置とに通信路で接続された印刷装置による印刷方法であって、
印刷データを一時的に保存するためのスプール領域を確保させる旨の要求を前記外部記憶装置に発するスプール領域確保要求ステップと、
前記スプール領域確保要求ステップでの要求に対する応答を前記外部記憶装置から受信するスプール領域確保応答受信ステップと、
前記印刷指示装置が発する印刷指示を受信する印刷指示受信ステップと、
前記印刷指示を受信し、かつ、前記印刷データが前記外部記憶装置のスプール領域に格納された後に、前記スプール領域から送られてくる印刷データを受信する印刷データ受信ステップと、
受信された印刷データを印刷する印刷ステップと
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項11】
印刷データを印刷したい旨の印刷指示を発する印刷指示装置と前記印刷データを一時的に保持するための記憶空間を有する外部記憶装置とに通信路で接続された印刷装置のためのプログラムであって、
請求項10記載の印刷方法に含まれるステップをコンピュータに実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
通信路で接続された印刷指示装置と外部記憶装置と印刷装置とを含む印刷システムにおける印刷方法であって、
前記印刷指示装置から前記印刷装置に向けて、印刷データを印刷したい旨の印刷指示を発する印刷指示ステップと、
前記印刷装置から前記外部記憶装置に向けて、印刷データを一時的に保存するためのスプール領域を確保させる旨の要求を発するスプール領域確保要求ステップと、
前記外部記憶装置から前記印刷装置に向けて、前記スプール領域の位置を通知する第1スプール位置通知ステップと、
前記印刷装置から前記印刷指示装置に向けて、前記外部記憶装置から通知された前記スプール領域の位置を通知する第2スプール位置通知ステップと、
通知された前記位置に従って、前記印刷指示装置から前記スプール領域に向けて、印刷データを転送する印刷データ転送ステップと、
前記スプール領域から前記印刷装置に向けて、印刷データを転送する印刷データ転送ステップと、
前記印刷装置が転送されてきた前記印刷データを印刷する印刷ステップと
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項13】
前記スプール領域確保要求ステップでは、前記印刷指示ステップでの印刷指示に先立って、前記スプール領域を確保させる旨の要求を発する
ことを特徴とする請求項12記載の印刷方法。
【請求項14】
前記印刷方法はさらに、前記印刷ステップでの印刷が終了した後に、前記外部記憶装置が前記スプール領域を解放するスプール領域解放ステップを含む
ことを特徴とする請求項12記載の印刷方法。
【請求項15】
前記印刷データ転送ステップでは、前記印刷データは、前記印刷指示装置から前記印刷装置を経て前記スプール領域に転送される
ことを特徴とする請求項12記載の印刷方法。

【国際公開番号】WO2005/055044
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【発行日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515999(P2005−515999)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018062
【国際出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】