説明

印刷装置とその制御方法

【課題】印刷に関連する関連処理を円滑に実行できる印刷装置を提供する。
【解決手段】基材に対して液体の液滴を吐出して印刷を行う吐出ヘッドを有する。操作権限情報の入力を受け付けるとともに、入力された操作権限情報に対応して選択可能な印刷に関連する関連処理を表示し、選択された関連処理の実行の入力を受け付けたときに、関連処理の設定に関する操作情報を操作権限情報に応じた所定の操作手順に従って表示して、関連処理の設定の入力を受け付けるインターフェイス部IFを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置とその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型インクを用いて記録媒体に画像またはパターンを形成する印刷装置が注目されている。紫外線硬化型インクは、紫外線を照射するまでは硬化が非常に遅く、紫外線を照射すると急速に硬化するという、印刷インクとして好ましい特性を有する。また、硬化にあたって溶剤を揮発させることがないので、環境負荷が小さいという利点もある。
【0003】
さらに、紫外線硬化型インクは、ビヒクルの組成により種々の記録媒体に高い付着性を発揮する。また、硬化した後は化学的に安定で、接着性、耐薬剤性、耐候性、耐摩擦性等が高く、屋外環境にも耐える等、優れた特性を有する。このため、紙、樹脂フィルム、金属箔等の薄いシート状の記録媒体の他、記録媒体のレーベル面、テキスタイル製品等、ある程度立体的な表面形状を有するものに対しても画像を形成できる。上記の紫外線硬化型インクを液滴吐出方式で、基板上のICに製造番号や製造会社等の属性情報を印刷する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この種の印刷装置は、印刷処理を実行するオペレータ、装置の開発等を行うエンジニア、管理レベルの操作を行う装置メーカーの保守担当者など種々の立場の人により操作される。このように、様々なユーザーにより操作される印刷装置では、ユーザー認証によってユーザー管理が行われている場合であっても、全てのユーザーに対して無条件に各種の操作を一様に許可してしまうと、印刷ミスや装置の故障等が生じる可能性がある。
【0005】
そこで、特許文献2には、操作権限が異なる複数のユーザーグループを設定し、上位レベルのユーザーが装置にログインした状態で放置しても自動的にログオフすることにより、下位レベルのユーザーの操作を制限する技術が開示されている。また、特許文献3には、操作権限が異なる複数のユーザーグループを設定し、各操作権限毎に操作の実行回数制限や、設定されている操作権限状態を確認できるGUI(Graphical User Interface)を用いることにより、必要以上の操作権限付与を抑制し、操作を円滑に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−080687号公報
【特許文献2】特許第4196584号公報
【特許文献3】特開2006−125918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
上記の技術では、操作権限の設定によって誤操作を防止したり、権限設定を確認することで作業の円滑化が図られているが、例えばメンテナンス処理を実行する際の操作が効率的に行われるものとは言い難い。例えば、メンテナンス処理としては、ヘッドへのインク充填、インク抜き取り、ヘッド洗浄等の操作を、ヘッドに対する吸引モードと組み合わせて行うが、これを操作権限が下位レベルの一般オペレータが円滑に行うことは困難である。また、操作権限が上位レベルのユーザーについても、単にメンテナンス処理を実行するのではなく、メンテナンス時のインク消費を抑える等、より高度な操作を効率的に行うことが求められる。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、印刷に関連する関連処理を円滑に実行できる印刷装置とその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の印刷装置は、基材に対して液体の液滴を吐出して印刷を行う吐出ヘッドを有する印刷装置であって、操作権限情報の入力を受け付けるとともに、入力された前記操作権限情報に対応して選択可能な前記印刷に関連する関連処理を表示し、選択された前記関連処理の実行の入力を受け付けたときに、当該関連処理の設定に関する操作情報を前記操作権限情報に応じた所定の操作手順に従って表示して、当該関連処理の設定の入力を受け付けるインターフェイス部を備えることを特徴とするものである。
【0010】
従って、本発明の印刷装置では、インターフェイス部に操作権限情報に対応して選択可能な印刷に関連する関連処理がインターフェイス部に表示されるため、誤操作を生じさせることなく円滑に関連処理を実行することができる。また、本発明では、インターフェイス部において関連処理の実行の入力を受け付けたときに、関連処理の設定に関する操作情報を操作権限情報に応じた所定の操作手順に従って表示して、関連処理の設定の入力を受け付けるため、操作者は表示された操作手順に沿って関連処理の設定を入力すればよいため、容易、且つ円滑に関連処理を実行することが可能になる。
【0011】
上記の構成における前記インターフェイス部としては、第1の操作権限情報よりも低い第2の操作権限情報が入力された場合に、前記第1の操作権限情報に対応する前記関連処理を選択不能状態で表示する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第2の操作権限情報を有する操作者が第1の操作権限情報に対応する関連処理も含めて関連処理の全貌を把握・認識することができる。
【0012】
上記の構成における前記第1の操作権限情報に対応する前記関連処理は、選択可能状態の場合とは異なる表示がなされる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第2の操作権限情報を有する操作者が、第1の操作権限情報に対応する関連処理と、第2の操作権限情報に対応する関連処理との相違を容易に把握・認識することができる。
【0013】
本発明における前記関連処理としては、前記吐出ヘッドに対するメンテナンス処理を含む構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記吐出ヘッドに対するメンテナンス処理を、容易、且つ円滑に実行することが可能になる。
【0014】
本発明における前記メンテナンス処理としては、前記吐出ヘッドへの前記液体の充填処理、前記吐出ヘッドからの前記液体の抜取処理、及び前記吐出ヘッドの内部の洗浄処理の少なくとも一つを含む構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記吐出ヘッドへの前記液体の充填処理、前記吐出ヘッドからの前記液体の抜取処理、及び前記吐出ヘッドの内部の洗浄処理の少なくとも一つを、容易、且つ円滑に実行することが可能になる。
【0015】
また、本発明では、前記吐出ヘッドが、活性光線で硬化する液体の液滴を前記基材に吐出する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、基材に対して高精度に吐出された液滴に活性光線を照射することで、迅速且つ小さな環境負荷で効率的な印刷処理を実行することができる。
【0016】
また、本発明では、前記吐出ヘッドが、前記基材に設けられた半導体装置に前記液滴を吐出する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、半導体装置の属性情報等を示す印刷パターンを効率的に成膜・印刷することができる。
【0017】
一方、本発明の印刷装置の制御方法は、基材に対して液体の液滴を吐出して印刷を行う吐出ヘッドを有する印刷装置の制御方法であって、操作権限情報の入力を受け付けるステップと、入力された前記操作権限情報に対応して選択可能な前記印刷に関連する関連処理を表示するステップと、選択された前記関連処理の実行の入力を受け付けたときに、当該関連処理の設定に関する操作情報を前記操作権限情報に応じた所定の操作手順に従って表示して、当該関連処理の設定の入力を受け付けるステップと、を含むことを特徴とするものである。
【0018】
従って、本発明の印刷装置の制御方法では、インターフェイス部に操作権限情報に対応して選択可能な印刷に関連する関連処理がインターフェイス部に表示されるため、誤操作を生じさせることなく円滑に関連処理を実行することができる。また、本発明では、インターフェイス部において関連処理の実行の入力を受け付けたときに、関連処理の設定に関する操作情報をが操作権限情報に応じた所定の操作手順に従って表示して、関連処理の設定の入力を受け付けるため、操作者は表示された操作手順に沿って関連処理の設定を入力すればよいため、容易、且つ円滑に関連処理を実行することが可能になる。
【0019】
本発明における前記関連処理としては、前記吐出ヘッドに対するメンテナンス処理を含む構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記吐出ヘッドに対するメンテナンス処理を、容易、且つ円滑に実行することが可能になる。
【0020】
本発明における前記メンテナンス処理としては、前記吐出ヘッドへの前記液体の充填処理、前記吐出ヘッドからの前記液体の抜取処理、及び前記吐出ヘッドの内部の洗浄処理の少なくとも一つを含む構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記吐出ヘッドへの前記液体の充填処理、前記吐出ヘッドからの前記液体の抜取処理、及び前記吐出ヘッドの内部の洗浄処理の少なくとも一つを、容易、且つ円滑に実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は半導体基板を示す模式平面図、(b)は印刷装置を示す模式平面図。
【図2】塗布部10の概略構成を示す模式図。
【図3】液滴吐出ヘッドのノズル形成面におけるノズルの配列状態を示す図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの内部構成を示す部分断面図。
【図5】印刷装置における要部のブロック構成図。
【図6】表示部92の表示画面上に現れる表示例。
【図7】流路洗浄処理時に表示される操作手順を示す図。
【図8】流路洗浄処理時に表示される操作手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の印刷装置とその制御方法の実施の形態を、図1ないし図8を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0023】
本実施形態では、本発明の特徴的な印刷装置とその制御方法の例について、図1〜図8に従って説明する。なお、本実施形態では、描画対象である半導体基板に設けられた半導体装置に対して、紫外線の照射により硬化する液体の液滴を吐出して、半導体基板の属性情報等を示す各種マークを形成する例について説明する。
【0024】
(半導体基板)
まず、印刷装置を用いて描画(印刷)する対象の一例である半導体基板について説明する。
図1(a)は半導体基板を示す模式平面図である。図1(a)に示すように、基材としての半導体基板1は基板2及び半導体装置3を備えている。基板2は耐熱性があり半導体装置3を実装可能であれば良く、基板2にはガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板等を用いることができる。被記録媒体としての半導体装置3は、パッケージ基材であってもよいし、半導体基材であってもよい。
【0025】
基板2上には半導体装置3が実装されている。そして、半導体装置3上には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマーク(印刷パターン、所定パターン)が描画されている。これらのマークが後述する印刷装置によって描画される。
【0026】
(印刷装置)
図1(b)は印刷装置を示す模式平面図である。
図1(b)に示すように、印刷装置7は主に供給部8、前処理部9、塗布部(印刷部)10、冷却部11、収納部12、搬送部13、後処理部14の各種印刷に関連する処理を行う複数の処理装置(便宜上、処理装置100と称する;図5参照)と、これらの処理装置100を統括的に制御する処理制御部CONT(図5参照)から構成されている。なお、供給部8、収納部12が並ぶ方向、及び前処理部9、冷却部11、後処理部14が並ぶ方向をX方向とする。X方向と直交する方向をY方向とし、Y方向には塗布部10、冷却部11、搬送部13が並んで配置されている。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0027】
供給部8は、複数の半導体基板1が収納された収納容器を備えている。そして、供給部8は中継場所8aを備え、収納容器から中継場所8aへ半導体基板1を供給する。中継場所8aには、X方向に延びY方向に間隔をあけて設けられた一対のレール8bが、収納容器から送り出される半導体基板1の高さと略同一の高さに設けられている。
【0028】
前処理部9は、半導体装置3の表面を加熱しながら改質する機能を有する。前処理部9により半導体装置3は吐出された液滴の広がり具合及び印刷するマークの密着性が調整される。前処理部9は第1中継場所9a及び第2中継場所9bを備え、処理前の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bから取り込んで表面の改質を行う。その後、前処理部9は処理後の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bに移動して、半導体基板1を待機させる。第1中継場所9a及び第2中継場所9bを合わせて中継場所9cとする。そして、前処理部9の内部で前処理が行われる場所を処理場所9dとする。
【0029】
冷却部11は、塗布部10の中継場所に配置されており、前処理部9で加熱及び表面改質が行われた半導体基板1を冷却する機能を有している。冷却部11は、それぞれが半導体基板1を保持して冷却する処理場所11a、11bを有している。処理場所11a、11bは、適宜、処理場所11cと総称するものとする。
【0030】
塗布部10は、半導体装置3に液滴を吐出してマークを描画(印刷)するとともに、描画されたマークを固化または硬化する機能を有する。塗布部10は中継場所としての冷却部11から描画前の半導体基板1を移動させて描画処理及び硬化処理を行う。その後、塗布部10は描画後の半導体基板1を冷却部11に移動させて、半導体基板1を待機させる。
【0031】
図2は、塗布部10の概略構成を示す模式図である。
塗布部10は、半導体装置3上に紫外線硬化型インクの液滴を吐出し、半導体装置3に着弾した液滴に対して紫外線照射を行って該液滴を硬化させ、半導体装置3上に画像や各種の模様等のパターンを描画するものである。
【0032】
紫外線硬化型インクは、紫外線を照射するまでは硬化が非常に遅く、紫外線を照射すると急速に硬化するという、印刷インクとして好ましい特性を有する。また、硬化にあたって溶剤を揮発させることがないので、環境負荷が小さいという利点もある。
さらに、紫外線硬化型インクは、ビヒクルの組成により種々の記録媒体に高い付着性を発揮する。また、硬化した後は化学的に安定で、接着性、耐薬剤性、耐候性、耐摩擦性等が高く、屋外環境にも耐える等、優れた特性を有する。このため、紙、樹脂フィルム、金属箔等の薄いシート状の記録媒体の他、記録媒体のレーベル面、テキスタイル製品等、ある程度立体的な表面形状を有するものに対しても画像を形成できる。
なお、以下「紫外線硬化型インク」について説明するときは、便宜上、単に「インク」ということがある。
【0033】
この塗布部10は、半導体基板1を載置する基台102と、基台102上の半導体基板1を図2中のX方向に搬送する搬送装置103と、インクを吐出する液滴吐出ヘッド109と、液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)109を複数備えてなるキャリッジ104と、このキャリッジ104をY方向に移動させる送り装置105と、紫外線照射部112と、検査媒体CPを載置する検査ステージ113と、撮像手段115と、判定部140と、各種構成部品の制御を行う制御部108と、を具備して構成されている。搬送装置103及び送り装置105により、半導体基板1とキャリッジ104とを、X方向とY方向とにそれぞれ相対移動させる移動装置が構成されている。
【0034】
搬送装置103は、基台102上に設けられたステージ106及びステージ移動装置107を備えて構成されたものである。ステージ106は、ステージ移動装置107によって基台102上をX方向に移動可能に設けられたもので、上流側の搬送装置(図示せず)から搬送される記録媒体Pを、例えば真空吸着機構によってXY平面上に保持するものである。
【0035】
ステージ移動装置107は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備えたもので、制御部108から入力される、ステージ106のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ステージ106をX方向に移動させるよう構成されたものである。
【0036】
キャリッジ104は、送り装置105に移動可能に取り付けられた矩形板状のもので、その底面側に複数の液滴吐出ヘッド109を、Y方向に沿って配列させた状態で保持したものである。
これら複数の液滴吐出ヘッド109(109Y,109C,109M,109K)は、後述するように複数のノズル117を備えたもので、制御部108から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、インクの液滴を吐出するものである。また、これら複数の液滴吐出ヘッド109(109Y,109C,109M,109K)は、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)に対応したインクをそれぞれ吐出するもので、それぞれの液滴吐出ヘッド109には、図2に示すようにキャリッジ104を介してチューブ(配管)110が連結されている。
【0037】
そして、Y(イエロー)に対応する液滴吐出ヘッド109Yには、チューブ110を介してY(イエロー)用のインクを充填・貯蔵したインクパック(インク貯留室)11Yが接続されており、これによって液滴吐出ヘッド109Yには、このインクパック11YからY(イエロー)用のインクが供給されるようになっている。同様に、C(シアン)に対応する液滴吐出ヘッド109CにはC(シアン)用のインクを充填したインクパック11Cが接続され、M(マゼンタ)に対応する液滴吐出ヘッド109MにはM(マゼンタ)用のインクを充填したインクパック11Mが接続され、K(黒)に対応する液滴吐出ヘッド109KにはK(黒)用のインクを充填したインクパック11Kが接続されている。このような構成によって液滴吐出ヘッド109Cには、インクパック11CからC(シアン)用のインクが供給されるようになっており、液滴吐出ヘッド109Mには、インクパック11MからM(マゼンタ)用のインクが供給されるようになっており、液滴吐出ヘッド109Kには、インクパック11KからK(黒)用のインクが供給されるようになっている。
【0038】
ここで、インクは、例えば紫外線硬化型のインクなど、所定波長の光を受けて硬化するタイプのもので、モノマーと光重合開始剤と各色に対応する顔料とを含有し、さらに必要に応じて、界面活性剤や熱ラジカル重合禁止剤などの各種添加剤が配合されたものである。なお、このようなインクは、通常はその成分(配合)等によって吸収する光(紫外線)の波長域等が異なることから、硬化する波長の最適値、すなわち最適硬化波長も、インク毎に異なっている。
【0039】
例えば、インクは、ビヒクル、光重合開始剤および顔料の混合物に、消泡剤、重合禁止剤等の補助剤を添加して調合される。ビヒクルは、光重合硬化性を有するオリゴマー、モノマー等を、反応性希釈剤により粘度調整して調合される。したがって、インクを硬化させる目的で溶媒を揮発させることはない。
【0040】
ビヒクルとしては、単官能あるいは多官能の重合性化合物が使用できる。より具体的には、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート等のオリゴマー(プレポリマー)を例示でき、インクとしての粘度を調整する反応性希釈剤もこれらの材料を用いることができる。
【0041】
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系が広く用いられる。より具体的には、4−benzoyl−N,N,N−trimethyl benzene methaneannmonium chloride、2−hydroxy 3−(4−benzoyl−phenoxy)−N,N,N−trimethyl 1−propane annmonium chloride、4−benzoyl−N,N−dimethyl N−[2−(1−oxo−2−propenyloxy) ethyl] benzene methammonium bromide等、第4級アンモニウム塩型の水溶性有機物等を用いることができる。この種の光重合開始剤は、その組成に応じて、紫外線吸収特性、反応開始効率、黄変性等が異なるので、インクとしての色等に応じて使い分けられる。
【0042】
重合禁止剤としては、ラジカル捕捉能力を有してラジカル重合を阻害する化合物であれば何れも使用できる。ただし、液滴吐出装置における吐出適性等を配慮すると、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類から選択された少なくとも1種類以上の化合物が好ましい。
【0043】
ハイドロキノン類としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−o−2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等を例示できる。カテコール類としては、カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等を例示できる。ヒンダードアミン類としては、テトラメチルピペリジニル基を有する化合物等を例示できる。
【0044】
また、フェノール類としては、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸アルキルエステル等を例示できる。
フェノチアジン類としては、フェノチアジン等を例示できる。前記縮合芳香族環のキノン類としては、ナフトキノン等を例示できる。
【0045】
更に、重合禁止剤は、カーボンブラックまたは表面に重合防止官能基を導入した無機・有機微粒子であってもよい。重合防止官能基としては、例えば、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、テトラメチルピペリジニル基、縮合芳香族環等を例示できる。
【0046】
ここで、図3及び図4を参照して液滴吐出ヘッド109の構成について説明する。図3は、液滴吐出ヘッド109のノズル形成面121Aにおけるノズル117の配列状態を示す図である。図4は、液滴吐出ヘッド109の内部構成を示す部分断面図である。
【0047】
図3に示すように、ノズル117はノズル形成面121Aにおいて半導体基板1の搬送方向(X方向)に沿って複数設けられ、ノズル列116を形成している。このノズル列116は、液滴吐出ヘッド109の走査方向(Y方向)に沿って計5列設けられている。なお、液滴吐出ヘッド109に設けるノズル数及びノズル列数は任意に変更可能である。また、液滴吐出ヘッド109どうしをノズル117間のピッチの半分だけ左右方向にずらして配置してもよい。これにより、半導体基板1に対して印字する解像度を向上させることができる。
【0048】
図4に示すように、液滴吐出ヘッド109は、ヘッド本体118と、ヘッド本体118に接続された流路形成ユニット122とを備える。流路形成ユニット122は、振動板119と、流路基板120と、ノズル基板121とを備えるとともに、共通インク室129と、インク供給口130と、圧力室131とを形成する。さらに、流路形成ユニット122は、ダイヤフラム部として機能する島部132と、共通インク室129内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部133とを備える。ヘッド本体118には、固定部材126とともに駆動ユニット124を収容する収容空間123と、インクを流路形成ユニット122に案内する内部流路128とが形成される。
【0049】
上記構成の液滴吐出ヘッド109によれば、ケーブル127を介して駆動ユニット124に駆動信号が入力されると、圧電素子125が伸縮する。これにより、振動板119が圧力室131に接近する方向(−Z方向)及び圧力室131から離れる方向(+Z方向)に変形(移動)する。このため、圧力室131の容積が変化し、インクを収容した圧力室131の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル117からインクが噴射される。
【0050】
図2に戻り、キャリッジ104を移動させる送り装置105は、例えば基台102を跨ぐ橋梁構造をしたもので、Y方向及びXY平面に直交するZ方向に対して、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備えたものである。このような構成のもとに送り装置105は、制御部108から入力される、キャリッジ104のY座標及びZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ104をY方向に移動させるとともに、Z方向にも移動させるようになっている。
【0051】
また、図2に示すキャリッジ104には、液滴吐出ヘッド109の全てに対して、該液滴吐出ヘッド109の近傍にそれぞれ紫外線照射部112が配置されている。具体的には、紫外線照射部112は、キャリッジ104の移動方向の前後に設けられており、液滴吐出ヘッド109の走査移動とともに移動するようになっている。紫外線照射部112は、半導体基板1に吐出されたインクを硬化させるためのもので、本実施形態では多数のLED(発光ダイオード)からなっている。ただし、本発明では、LEDに限定されることなく、これ以外にも例えばレーザーダイオード(LD)や、さらには水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等を紫外線照射部112として用いることができる。
【0052】
本実施形態のLEDからなる紫外線照射部112は、それぞれ照射する光が、対応する液滴吐出ヘッド109Y,109C,109M,109Kが吐出するインクの、最適硬化波長に対応した波長を有している。つまり、前述したように各インクは、その成分(配合)等によって最適硬化波長が異なっており、これに対して紫外線照射部112は、対応するインクの最適硬化波長を有した光を照射するようになっている。
【0053】
検査ステージ113は、ステージ移動装置107によって基台102上をX方向に移動可能に設けられている。つまり、検査ステージ113は上述したステージ106とともに移動するようになっている。この検査ステージ113は、例えばプラスチックフィルム等の検査媒体CPを、例えば真空吸着機構によってXY平面上に保持するものである。
【0054】
撮像手段115は、検査媒体CPの上方に設けられており、ここでは1台配置されている。この撮像手段115は、検査媒体CPに形成されたドットパターンを撮像するものである。撮像手段115としては、例えばCCDカメラを用いることができる。撮像手段115によって撮像された各種データは、判定部140に入力される。
【0055】
制御部108は、ステージ移動装置107にステージ位置制御信号を出力し、送り装置105にキャリッジ位置制御信号を出力し、さらには液滴吐出ヘッド109の駆動回路基板(図示せず)に描画データ及び駆動制御信号を出力するものである。これによって制御部108は、半導体基板1とキャリッジ104とを相対移動させるべく、ステージ106の移動による半導体基板1の位置決め動作、及びキャリッジ104の移動による液滴吐出ヘッド109の位置決め動作の同期制御を行い、さらに液滴吐出ヘッド109に液滴吐出動作を行わせることにより、半導体基板1上あるいは検査媒体CP上の所定の位置にインクの液滴を配するようになっている。また、この制御部108は、液滴吐出ヘッド109に液滴吐出動作を行わせるのとは別に、紫外線照射部112に光照射動作を行わせるようになっている。
【0056】
また、基台102内の右端部(−Y方向端部)に位置する非液滴吐出領域には、非印刷時に液滴吐出ヘッド109のメンテナンス(例えば、吐出回復動作、クリーニングやフラッシング等)を行うためのメンテナンス装置114が設けられている。メンテナンス装置114は、液滴吐出ヘッド109のノズル形成面121Aを封止可能なキャップ(図示略)を備えている。
【0057】
図1に戻り、後処理部14は、塗布部10で描画処理が施された後、冷却部11に載置された半導体基板1に対して後処理として再加熱処理を行うものである。後処理部14は、第1中継場所14a及び第2中継場所14bを備えている。第1中継場所14a及び第2中継場所14bを合わせて中継場所14cとする。
【0058】
収納部12は、半導体基板1を複数収納可能な収納容器を備えている。そして、収納部12は中継場所12aを備え、中継場所12aから収納容器へ半導体基板1を収納する。中継場所12aには、X方向に延びる一対のレール12bが、半導体基板1を収容する収納容器と略同一の高さに設けられている。操作者は半導体基板1が収納された収納容器を印刷装置7から搬出する。
【0059】
印刷装置7の中央の場所には、搬送部13が配置されている。搬送部13は腕部13bを備えたスカラー型ロボットが用いられている。そして、腕部13bの先端には半導体基板1を裏面(下面)から支持しつつ、側縁を片持ちで把持する把持部13aが設置されている。中継場所8a,9c,11、14c、12aは把持部13aの移動範囲内に位置している。従って、把持部13aは中継場所8a,9c,11、14c、12a間で半導体基板1を移動することができる。処理制御部CONTは、印刷装置7の全体の動作を制御する装置であり、印刷装置7の各部の動作状況を管理する。そして、搬送部13に半導体基板1を移動する指示信号を出力する。これにより、半導体基板1は各部を順次通過して描画されるようになっている。
【0060】
図5に示すように、処理制御部CONTは、上述した制御部108、データ処理部60、操作権限制御部70、ユーザー管理部80等を含んでおり、キーボードやマウス(他のポインティングデバイスでもよい)などを含む入力部91、液晶ディスプレイなどの表示部92が外部に接続されている。なお、タッチパネル方式の液晶ディスプレイ等を用いて、入力部91と表示部92とを統合させる構成としてもよい。
これら処理制御部CONT、入力部91及び表示部92によって、本発明に係るインターフェイス部IFが構成される。
【0061】
ユーザー管理部80は、予めユーザー登録されたユーザーID、パスワード、及びそのユーザーに対応した操作権限情報を1組としたユーザー情報を格納したユーザーテーブル81を備える。なお、ユーザー情報としては、必ずしも1ユーザーずつ独立したデータ構造である必要はなく、ユーザーID及びパスワードにより特定されるユーザーに対して、そのユーザー操作権限情報を導出可能なデータ構造でありさえすればよい。
【0062】
上記の印刷装置7では、操作権限制御部70及びユーザー管理部80が中心となって、様々なユーザーの操作権限に応じた操作情報を、所定の操作手順に従って表示している。この操作情報の表示について、図6乃至図8を参照して具体的な例を挙げて説明する。図6〜図8は、この操作情報が表示部92の表示画面上に現れる各種の表示の一例である。
【0063】
ここでは、操作権限が下位レベルで印刷処理を実行するオペレータA、操作権限が中位レベルで印刷処理及びインク充填や流路洗浄等のメンテナンス処理も実行するオペレータB、操作権限が上位レベルで管理レベルの操作を行うサービスマンの三つのレベルが設定されているものとする。
【0064】
図6(a)は、オペレータAが入力部91で所定の操作を行ってユーザーIDとパスワードを入力した結果、表示部92の画面上に表示された初期画面であり、同様に、図6(b)は、オペレータBが入力部91で所定の操作を行ってユーザーIDとパスワードを入力した結果、表示部92の画面上に表示された初期画面であり、図6(c)は、サービスマンが入力部91で所定の操作を行ってユーザーIDとパスワードを入力した結果、表示部92の画面上に表示された初期画面である。
【0065】
(オペレータBによる操作)
まず、オペレータBが液滴吐出ヘッド109に対して流路洗浄処理を行う際の操作について、図7を参照して説明する。なお、以下の説明では、理解を容易にするために、表示部92がタッチパネル方式のパネルであり、入力部91はパネルに表示設定された押下部であるものとして説明する。また、入力部91としては、表示部92における押下部の他に装置を動作させる際や、入力操作時の意志決定を示す際に押下されるスタートスイッチ(以下、単にスイッチと称する)が独立して設けられている。
【0066】
流路洗浄処理は、インク抜き取り処理→洗浄液導入処理→洗浄液抜き取り処理→インク充填処理(実施する場合)から構成され、各処理毎に操作手順が表示部92にナビゲート表示される。
【0067】
具体的には、まず、図6(b)に示した「流路洗浄」ボタンを押下すると、図7(a)に示すように、操作確認の操作情報としてインク抜き取り処理を開始する旨の表示がなされ、実行する場合にはスイッチを押下し、実行しない場合にはパネル内の「中止」を押下する。
【0068】
実行確認でスイッチを押下すると、図7(b)に示すように、操作情報としてインクパックの取り外しを促す表示がなされ、取り外しが完了した後に「完了」を押下する。「完了」が押下されると、図7(c)に示すように、装置動作を決定させるためにスイッチの押下が指示され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内のインク抜き取りが実施される。
【0069】
インク抜き取りが完了すると、図7(d)に示すように、流路洗浄処理を実行させるためにスイッチの押下が指示される。
そして、スイッチが押下されると、図7(e)に示すように、操作情報として置換液パックの取り付けを促す表示がなされ、取り付けが完了した後に「完了」を押下する。「完了」が押下されると、図7(f)に示すように、装置動作を決定させるためにスイッチの押下が指示され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内への置換液(洗浄液)の導入・充填処理が実施される。
【0070】
置換液(洗浄液)の導入・充填処理が完了すると、図7(g)に示すように、操作情報として、置換液(洗浄液)の抜き取り処理を開始するために、スイッチの押下が促され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内の置換液(洗浄液)の抜き取り処理が実施される。置換液(洗浄液)の抜き取り処理の大部分が完了すると、図7(h)に示すように、操作情報として置換液パックの取り外しを促す表示がなされ、取り外しが完了した後に「完了」を押下する。「完了」が押下されると、図7(i)に示すように、装置動作を決定させるためにスイッチの押下が指示され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内に残存する置換液(洗浄液)抜き取りが実施される。
【0071】
そして、流路洗浄処理が完了すると、図7(j)に示すように、処理完了が表示されるとともに、引き続いてインク充填処理を実施するか否かの判断が求められる。インク充填処理を実施しない場合は「いいえ」を選択し、実施する場合は「はい」を選択する。インク充填処理の実施確認で「はい」を選択した場合は、図7(k)に示すように、インク充填処理を実行させるためにスイッチの押下が指示される。そして、スイッチが押下されると、図7(l)に示すように、操作情報としてインクパックの取り付けを促す表示がなされ、取り付けが完了した後に「完了」を押下する。「完了」が押下されると、図7(m)に示すように、装置動作を決定させるためにスイッチの押下が指示され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内へのインクの導入・充填処理が実施される。
【0072】
(サービスマンによる操作)
次に、サービスマンが液滴吐出ヘッド109に対して流路洗浄処理を行う際の操作について、図8を参照して説明する。サービスマンは、インク充填操作や抜き取り操作を単独で実施する頻度が多いため、当該操作権限を有するサービスマンに対しては、流路洗浄処理、インク充填処理、抜き取り処理等が独立したシーケンスで操作情報が提供される。
【0073】
具体的には、具体的には、まず、図6(c)に示した「流路洗浄」ボタンを押下すると、図8(a)に示すように、操作確認の操作情報として流路洗浄処理を開始する旨の表示がなされ、実行する場合にはスイッチを押下する。
【0074】
そして、スイッチが押下されると、図8(b)に示すように、操作情報として置換液パックの取り付けを促す表示がなされ、取り付けが完了した後に「完了」を押下する。「完了」が押下されると、図8(c)に示すように、装置動作を決定させるためにスイッチの押下が指示され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内への置換液(洗浄液)の導入・充填処理が実施される。
【0075】
置換液(洗浄液)の導入・充填処理が完了すると、図8(d)に示すように、操作情報として、置換液(洗浄液)の抜き取り処理を開始するために、スイッチの押下が促され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内の置換液(洗浄液)の抜き取り処理が実施される。置換液(洗浄液)の抜き取り処理の大部分が完了すると、図8(e)に示すように、操作情報として置換液パックの取り外しを促す表示がなされ、取り外しが完了した後に「完了」を押下する。「完了」が押下されると、図8(f)に示すように、装置動作を決定させるためにスイッチの押下が指示され、スイッチが押下されると、メンテナンス装置114によるインク流路内に残存する置換液(洗浄液)抜き取りが実施され、流路洗浄処理が完了する。
【0076】
この後、サービスマンが流路洗浄処理の他のメンテナンス処理を実施する場合には、図6(c)に示したパネルで所望の処理を選択・押下することにより、各処理の操作情報が操作権限に応じた操作手順で表示される。
【0077】
上述したメンテナンス処理により吐出不良が解消されると、液滴吐出ヘッド109の走査移動中に、ステージ106上の半導体基板1に対して液滴吐出ヘッド109からインクが吐出され、走査移動方向の後方側に位置する紫外線照射部112から紫外線が照射されて硬化する。
そして、Y方向の走査移動による半導体基板1に対するインク吐出と、ステージ106に対してX方向(副走査方向)への相対移動とを繰り返すことにより、半導体基板1に対して上述したマークが印字される。
【0078】
以上のように、本実施形態では、操作権限に対応した操作情報が所定の操作手順に従って表示されるインターフェイス部IFが備えられているため、操作権限が下位レベルのユーザーであっても、誤操作による装置故障やインクの浪費を生じさせることなくメンテナンス処理等の印刷に関連する処理を円滑に実行することが可能になる一方、操作権限が上位レベルのユーザーについても、必要な処理のみを迅速、且つ短時間で円滑に実行することが可能になり、メンテナンス処理を安全、且つ効率的に実施することができる。また、本実施形態では、サービスマンのように操作権限が上位レベルのユーザーについては、メンテナンス処理に係るインク吸引量の微調整が可能なシーケンスとする等、操作権限に応じて柔軟な種々の項目設定が可能となり、インク消費を抑えたメンテナンス処理が実行可能になる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態では、印刷に関連する処理として液滴吐出ヘッド109に対するメンテナンス処理について、インターフェイス部IFが操作手順に従って操作情報を表示する構成としたが、これに限定されるものではなく、印刷に関連する他の処理、例えば、インク吐出対象となる半導体基板1の変更等の処理についても適用可能である。
【0081】
また、上記実施形態では、ユーザーがログインした後の操作パネルが操作権限に応じてそれぞれ異なる表示がされるものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、操作権限が異なるユーザーに対しても同一の表示がされるものとしてもよい。
この構成とすることにより、下位の操作権限情報を有するユーザーが上位の操作権限情報に対応する関連処理も含めて関連処理の全貌を把握・認識することができる。
【0082】
この場合、上位の操作権限に対応して表示される処理については、下位の操作権限を有するユーザーが選択不能状態で表示されることが好ましい。
この構成とすることにより、下位の操作権限情報を有するユーザーが上位の操作権限情報に対応する処理を実行してしまうことを防止でき、装置の故障等の事態が生じることを回避できる。
【0083】
また、上位の操作権限に対応する処理が、下位の操作権限を有するユーザーが選択不能状態で表示される場合には、選択可能状態の場合とは異なる表示がなされることが好適である。この構成では、選択可能/選択不可の処理を容易に視認可能となり、操作時に選択不可の処理を押下してしまい操作効率が低下することを抑制できる。
【0084】
また、上記実施形態では、UVインクとして紫外線硬化型インクを用いたが、本発明はこれに限定されず、可視光線、赤外線を硬化光として使用することができる種々の活性光線硬化型インクを用いることができる。
また、光源も同様に、可視光等の活性光を射出する種々の活性光光源を用いること、つまり活性光線照射部を用いることができる。
【0085】
ここで、本発明において「活性光線」とは、その照射によりインク中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、活性光線硬化型インクとしては、本実施形態のように、紫外線を照射することにより硬化可能な紫外線硬化型インクを用いることが好ましい。
【0086】
上記実施形態における基材としての半導体基板1は、半導体装置3が実装された基板2であったが、シリコンなどの半導体で形成された基板であってもよい。被記録媒体としての半導体装置3は、樹脂でモールドした半導体装置であってもよいし、半導体装置そのものであってもよい。
【0087】
また、上記実施形態においては、記録媒体上に紫外線硬化型インクを吐出し、記録媒体に着弾した紫外線硬化型インクに対して紫外線照射を行って該紫外線硬化型インクを硬化させ、記録媒体上に画像や各種の模様等のパターンを描画するものであったが、これに限られない。例えば、熱により硬化するインクを用いてもよい。
また、液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造における色材を吐出する液滴吐出装置に適用してもよいし、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造における電極形成のための液滴吐出装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…半導体基板(基材)、 7…印刷装置、 109…液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)、 IF…インターフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に対して液体の液滴を吐出して印刷を行う吐出ヘッドを有する印刷装置であって、
操作権限情報の入力を受け付けるとともに、入力された前記操作権限情報に対応して選択可能な前記印刷に関連する関連処理を表示し、選択された前記関連処理の実行の入力を受け付けたときに、当該関連処理の設定に関する操作情報を前記操作権限情報に応じた所定の操作手順に従って表示して、当該関連処理の設定の入力を受け付けるインターフェイス部を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記インターフェイス部は、第1の操作権限情報よりも低い第2の操作権限情報が入力された場合に、前記第1の操作権限情報に対応する前記関連処理を選択不能状態で表示することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記第1の操作権限情報に対応する前記関連処理は、選択可能状態の場合とは異なる表示がなされることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記関連処理は、前記吐出ヘッドに対するメンテナンス処理を含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置において、
前記メンテナンス処理は、前記吐出ヘッドへの前記液体の充填処理、前記吐出ヘッドからの前記液体の抜取処理、及び前記吐出ヘッドの内部の洗浄処理の少なくとも一つを含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記吐出ヘッドは、活性光線で硬化する液体の液滴を前記基材に吐出することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記吐出ヘッドは、前記基材に設けられた半導体装置に前記液滴を吐出することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
基材に対して液体の液滴を吐出して印刷を行う吐出ヘッドを有する印刷装置の制御方法であって、
操作権限情報の入力を受け付けるステップと、
入力された前記操作権限情報に対応して選択可能な前記印刷に関連する関連処理を表示するステップと、
選択された前記関連処理の実行の入力を受け付けたときに、当該関連処理の設定に関する操作情報を前記操作権限情報に応じた所定の操作手順に従って表示して、当該関連処理の設定の入力を受け付けるステップと、
を含むことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の印刷装置の制御方法において、
前記関連処理は、前記吐出ヘッドに対するメンテナンス処理を含むことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9記載の印刷装置の制御方法において、
前記メンテナンス処理は、前記吐出ヘッドへの前記液体の充填処理、前記吐出ヘッドからの前記液体の抜取処理、及び前記吐出ヘッドの内部の洗浄処理の少なくとも一つを含むことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−1053(P2013−1053A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137075(P2011−137075)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】