説明

印刷装置及び印刷方法

【課題】第3者による情報改ざんや情報漏洩を防止し、印刷条件の設定等の煩雑な設定操作を必要とすることなく簡便に印刷データを印刷させることができるようにする。
【解決手段】印刷装置100には、現在使用されているOS1と印刷条件データ1とが保持される。光ディスク200は、読み取り専用のROM領域と、書き換えが可能なRE領域とを有し、OS2を含むプログラムデータをROM領域に記憶させておき、印刷条件データ2と印刷データ2とをRE領域に記憶させておく。ユーザが印刷装置100に光ディスク200を装着すると、印刷装置100は、光ディスク200に記憶されたOS2、印刷条件データ2、及び印刷データ2を読み出して、OS2の環境下にて、印刷条件データ2の条件に従って印刷データ2を印刷出力させる。これにより、印刷条件の設定等の煩雑な設定操作を必要とすることなく簡便に印刷データを印刷させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関し、より詳細には、情報記録媒体に記録した印刷データを印刷できる印刷装置とその印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの印刷装置を使用してユーザ所望の印刷データを印刷させる処理が日常的に行われている。ユーザが印刷装置を買い換えた場合、あるいはユーザが出張先等の移動先で日常使い慣れている印刷装置とは別の印刷装置を使用して印刷を行う場合など、印刷を行う印刷データ毎に、印刷装置の印刷条件を設定しなければならなかった。
また、このような印刷装置は、ユーザが日常使い慣れている印刷装置とは違って使い勝手が悪い場合も多く、ユーザが所望の印刷条件を設定するだけでも煩雑な設定入力が必要となり、所望の印刷物を入手するまでに多大な時間が必要となることがあった。
【0003】
印刷データを簡単かつ様々な形態で印刷出力させるようにした技術に関し、例えば特許文献1には、デジタルカメラやフィルムカメラで撮影した写真に基づく画像データをプリンタで簡単に印刷出力させるために、情報記録媒体に、画像データとその画像データを印刷出力するためのプログラムとを記録させるようにした技術が開示されている。これによりユーザは、画像表示プログラムや画像処理プログラムを別途用意する必要なく、情報記録媒体に記録させた画像データをユーザの好みに応じてプリンタで印刷出力させることができる。
【特許文献1】特開2005−80268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、CD−RやDVD−Rなどの情報記録媒体に画像データを書き込むとともに、その画像データを家庭用プリンタでプリント出力するのに適した機能を備えるプログラムを書き込んでユーザに提供できるようにしており、画像データやプログラムの改竄(上書きや消去等)を阻止することはできないという問題がある。
また、情報記録媒体に記録した画像データがユーザの機密情報に関わるものであっても、第三者は、情報記録媒体さえ入手すれば機密情報を入手することができ、情報漏洩を十分に防止することができない。
【0005】
また、特許文献1では、情報記録媒体に記憶させた画像データを印刷出力させる際に、印刷条件(画像データのレイアウト選択、枠設定、日付印刷の指定、用紙の指定等)を設定するための設定画面が表示され、ユーザがそれぞれ印刷条件を設定する必要がある。従ってユーザが所望の印刷条件を設定するだけでも煩雑な設定入力が必要となって、所望の印刷物を入手するのに時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、第3者による情報改ざんや情報漏洩を防止し、簡単な操作を行うだけで印刷データを印刷させることができるようにした印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、情報記録媒体を装着可能とした情報記録媒体装着部を有し、情報記録媒体装着部に装着された情報記録媒体から、書き換え不可能に記録された第1記録情報と、書き換え可能に記録された第2記録情報とを読み出して、読み出した情報に基づき印刷処理を実行する印刷装置であって、第1記録情報は、印刷処理を実行するために使用するプログラムのデータを含み、第2記録情報は、印刷を行う印刷データを含むことを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、第1記録情報が、印刷データの印刷処理を実行可能なOSを含むこと特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第1または2の技術手段において、第1記録情報が、情報記録媒体からのデータの読み出し、及び情報記録媒体に対するデータの書き込みを行うプログラムを含むことを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第1〜3のいずれかの技術手段において、第2記録情報が、印刷データを印刷するときの印刷条件データを含むことを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第1〜4のいずれかの技術手段において、情報記録媒体から情報を読み出して印刷処理を実行する際に、印刷処理を実行するためのプログラムのデータ及び印刷データを印刷するときの印刷条件データがすでに当印刷装置に設定されている場合、印刷装置に設定されているデータを一旦情報記録媒体に移動させ、印刷処理が終了した後に、情報記録媒体に移動させたデータを印刷装置に復帰させることを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第1〜5のいずれかの技術手段において、ユーザによる入力操作を受け付ける入力部を有し、情報記録媒体から読み出したユーザ認証コードと、入力部に入力されたユーザ認証コードとを比較し、比較した結果が一致した場合に、印刷処理を実行することを特徴としたものである。
【0013】
第7の技術手段は、印刷装置に備えられた情報記録媒体装着部に装着された情報記録媒体から、情報記録媒体の第1記録領域に記録された第1記録情報と、情報記録媒体の第2記録領域に記録された第2記録情報とを印刷装置が読み出すステップと、読み出した情報に基づき印刷処理を実行する印刷ステップとを有し、第1記録情報は、印刷処理を実行するために使用するプログラムのデータを含み、第2記録情報は、印刷を行う印刷データを含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第3者による情報改ざんや情報漏洩を防止し、簡単な操作を行うだけで印刷データを印刷させることができるようにした印刷装置及び印刷方法を提供することができる。
【0015】
例えば、ユーザの出張先等の出先の印刷装置や、新規に購入した印刷装置に対して、印刷条件や印刷データを記憶した情報記録媒体を印刷装置に装着するのみで、面倒な印刷設定を行うことなく、常時使用している印刷装置の動作環境と同様の環境で所望の印刷データを所望の印刷条件で簡単に印刷することができる。
さらに、本発明によれば、情報記録媒体から情報を読み込むときに、ユーザ認証を行なうことにより、ユーザのセキュリティを確保することができる印刷装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明による印刷装置の一実施形態おける制御動作を説明するための図である。本発明に係る印刷装置は、印刷処理用のOSと、印刷の対象とする印刷データと、その印刷データの印刷条件を定める印刷条件データとを記憶させた光情報記録媒体から、これらのデータを読み込むことにより、光情報記録媒体に記憶された印刷条件で、印刷データの印刷処理を実行できるようにしたものである。このような処理により、ユーザが外出先等の通常使い慣れない印刷装置等で印刷データを印刷させたいような場合に、印刷装置に光情報記録媒体を挿入するだけで、予め設定した印刷条件で印刷データを印刷させることができる。
【0017】
図1(A)に示すように、印刷装置100には、現在使用されているOS1と印刷条件データ1とが保持されているものとする。また、光情報記録媒体として光ディスク200を用いるものとする。通常の使用状態では、印刷装置100はOS1を用い、印刷条件データ1に従って印刷データの印刷処理を実行する。また、印刷装置100には、光ディスクドライブの動作を制御する光ディスクドライブ制御プログラムが保持されているものとする。
【0018】
ここでユーザは、光ディスク200を用いて、所望の印刷条件で所望の印刷データを印刷させる処理を印刷装置100に実行させることができる。光ディスク200としては、例えば、大容量の記憶が可能でセキュリティも高いブルーレイディスク(Blu-ray Disc)を好適に用いることができる。そしてこの例では、光ディスク200には、OS1とは異なるOS2と、ユーザ所望の印刷条件データ2と、ユーザ所望の印刷データ2とを記憶させておく。印刷データ2は、OS2の環境下で適正に印刷実行が可能となるものである。
【0019】
また、光ディスク200としては、データの読み取り専用の第1記録領域(ROM領域)と、データの書き換えが可能な第2記録領域(RE領域)とを有する光ディスクを用いる。そして、OSを含むプログラムデータを第1記録領域に記憶させておき、印刷条件データと印刷データとを書き換え可能な第2記録領域に記憶させておく。
【0020】
そして図1(B)に示すように、印刷装置100に光ディスク200を装着すると、印刷装置100は、光ディスク200に記憶させておいたOS2、印刷条件データ2、及び印刷データ2を読み出して移植する。そして移植したOS2の環境下にて、印刷条件データ2の条件に従って適正に印刷データ2を印刷出力させることができる。
【0021】
このとき、印刷装置100に保持されていたOS1と印刷条件データ1は、光ディスク200の第2記録領域(RE領域)に退避させておく。これにより、移植したOS2の環境下で印刷処理を実行できるようにしておく。またこのときに、OS1と印刷条件データ1とを退避させずに無効とし、移植したOS2と印刷条件データ2を有効として印刷処理を実行できるようにしてもよい。あるいは、光ディスクの残容量を確認してから、OS1及び印刷条件データ1の退避の可否を決定するような制御を行ってもよい。
【0022】
本実施形態では、以上のような動作を行うことで、印刷条件の設定等の煩雑な設定操作を必要とすることなく簡便に印刷データを印刷させることができるようになる。また、光ディスク200に対してユーザ認証コードを記憶させておき、光ディスク200に記憶された印刷条件データ及び印刷データを読み出すときに、ユーザ認証を行うようにすることで、第3者による情報改ざんや情報漏洩を防止したセキュリティの高い印刷処理を実行することができる。また、光ディスク200を使用することで、印刷装置100には大容量のHDDが不用となり、印刷装置の構成の簡略化とコスト低減とを実現することができる。
【0023】
図2は、本発明の印刷装置の構成例を説明するためのブロック図である。印刷装置100は、スキャナ100a、プリンタ100b、及び周辺機器100cを有して構成されている。
スキャナ100aは、記録紙等に記録された原稿画像を光学的に読み取って、原稿画像の画像データを生成する読取部101を備えている。プリンタ100bは、読取部101で読み取った原稿画像の画像データに各種の画像処理を施す画像処理部102と、画像処理部102で画像処理が施された画像データによって示される原稿の画像を記録紙に画像形成する画像形成部103と、画像データや各種データを一時的に記憶するRAM105と、光ディスク用I/F部108及び光ディスクドライブ109と、ユーザ認証を行う認証部106と、これら各要素を制御する制御部107とを有している。また、制御部107には、各種情報やデータを表示する表示部111と、ユーザによる操作入力が可能な入力部110とが接続される。入力部110は、例えばテンキーやボタン等で構成でき、あるいは表示部111に備えたタッチパネルによって構成することもでき、これらを併用したものであってもよい。
また、表示部111は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面電界ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)、プラズマテューブアレイディスプレイ(plasma tube array Display)、有機ELディスプレイ(organic electro-luminescence display)、電子ペーパーディスプレイ等を好適に用いることができる。
【0024】
周辺機器100cとしては、例えば、プリンタ100bで画像形成された記録紙を1部ずつずらすオフセット処理、あるいはソート、ステープル、パンチ処理等を施すフィニッシャーや、画像形成された記録紙の間に合紙を入れたり、ステープルやパンチ仕上げを行うために記録紙を供給したりするインサータなどがある。周辺機器100cには、周辺機器の100cの各部を制御する制御部104が設けられ、プリンタの100bの制御部107に接続される。
【0025】
光ディスクドライブ109は、光ディスクが装着可能に構成された本発明の情報記録媒体装着部に該当するもので、光ディスクに記憶された情報の読み取り、及び光ディスクへの情報の書き込みが可能な記録再生機能を有している。本実施形態の印刷装置で使用可能な情報記録媒体である光ディスクの具体的構成例については後述する。
また、本実施形態では、光ディスクドライブ109をプリンタ100bに内蔵した構成としているが、光ディスクドライブ109は、スキャナ100aもしくは周辺機器100cの何れかに内蔵させてもよい。また、印刷装置100が小型で光ディスクドライブ109を内蔵できない場合等、図示しない光ディスクレコーダと光ディスク用I/F部108とを有線または無線で接続した構成としてもよい。このとき、有線としては、例えばUSB2.0、USB3.0、光ファイバー、PLC、IEEE1394、ファストイーサネット(登録商標)、ギガビットイーサネット(登録商標)、インターネット、イントラネット、エキストラネット、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、ケーブルTV回線、及びLANケーブル等を適用することができる。また、無線としては、WirelessUSB(UWB)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(IEEE802.11b/a/g)、移動体通信網((WiMAX(IEEE802.16/16e/16a/16h))、衛星通信網、地上波デジタル網、及び光無線(IrDAやリモコンのような赤外線、LED照明無線等)等を適用することができる。
【0026】
図2の構成例において、光ディスクドライブ109は、光ディスク用I/F部108を経由して制御部107に接続されている。制御部107には認証部106が接続される。認証部106は、光ディスクドライブ109に挿入された光ディスクに記憶されているユーザ認証コードと、ユーザが入力部110を操作して入力したユーザ認証コードとを比較して、ユーザが所望の印刷を実行できるか否かを認証して判定する。
【0027】
図3は、図2に示す光ディスクドライブのさらに詳細な構成例を示すブロック図である。光ディスクドライブ109は、プリンタ100bの光ディスク用I/F部108と通信を行うための通信I/F部120と、光ディスク200を駆動するための駆動系を制御するドライブ制御部121と、光ディスク200に対するデータの読み取り/書き込みを制御するリードライト制御部122と、光ピックアップを制御する光ピックアップ制御部123と、不揮発性メモリ124とを備えている。光ピックアップは、光ディスク200の記録トラックに記録されているデータを光学的に読み出して光電変換し光電変換信号を生成出力する。
【0028】
図4は、本発明による印刷装置の一実施形態の斜視概略図で、図2に示した構成を有する印刷装置の外観構成例を示すものである。印刷装置100は、スキャナ100a、プリンタ100b、及び周辺機器100cを有して構成されている。
印刷装置100の前面側上部には光ディスクの着脱トレイ125が配されている。着脱トレイ125は、所定のユーザ操作に応じて前後に進退し、ユーザによる光ディスクの脱着が可能となっている。着脱トレイ125に装着された光ディスクは、図2の光ディスクドライブ109によってデータの読み出し/書き込みが実行される。
なお、着脱トレイ125の位置は、図4に示す位置に限定されることなく、印刷装置100のいずれかの位置に設けることができる。
【0029】
図5は、光ディスクに記録する各種プログラム、コンテンツ、及びデータの一例を説明するための図ある。本実施形態に係る印刷装置は、データの読み取り専用の第1記録領域(ROM領域)と、データの書き換え可能な第2記録領域(RE領域)とを併せ持つ光ディスクを認識し、その光ディスクから印刷条件データ、印刷データ、及びプログラムを読み出して印刷データを印刷する処理を行う。
【0030】
図5に示すように、光ディスクには、第1記録領域(ROM領域)と第2記録領域(RE領域)とが設定される。これらの記録属性は、第1記録領域が書き換え不可能な読取専用型であり、第2記録領域が書き換え可能型となっている。そして第1記録領域には、プログラムとコンテンツデータとによる第1記録情報が記録され、第2記録領域には印刷条件データや印刷データなどの第2記録情報が記録される。光ディスクには、予め第1情報を記録した読取専用の記憶領域として第1記録領域が設定されるか、もしくは1回のみ記録可能な追記型記録領域として第1記録領域が設定される。
【0031】
第1記録領域にプログラムとして記録されるデータには、印刷装置の基本動作を制御するOS(P1)、光ディスク200に記録されている各種ファイルを管理するファイル管理用プログラム(P2)、光ディスク200を使用できるユーザであるか否かを認証するユーザ認証プログラム(P3)、光ディスク200のリードライトを制御するリードライド制御プログラム(P4)、周辺機器の条件を読み出す周辺機器条件読み出しプログラム(P5)、スキャナの条件を読み出すスキャナ条件読み出しプログラム(P6)、コンテンツを再生させるコンテンツ再生プログラム(P7)、及びその他各種アプリケーションプログラム(P8)等がある。
アプリケーションプログラム(P8)は、アプリケーションソフト(application software)であり、文書の作成、数値計算など、ある特定の目的のために設計されたソフトウェアで応用ソフトとも呼ばれ、どのソフトウェアにも共通する基本的な機能をまとめたOS (基本ソフト)に、ユーザが必要とするものを組み込んで利用する。
代表的なアプリケーションソフトは、ワープロソフトや表計算ソフト、画像編集ソフト、データベースソフト、プレゼンレーションソフト、ゲーム、Webブラウザ、電子メールソフト、財務会計ソフト、人事管理ソフト、在庫管理ソフトなどである。
また、ファイル圧縮やコンピュータウィルス駆除、メモリ管理など、OSや他のアプリケーションソフトの持つ機能を補い、機能や性能、操作性を向上させるユーティリティソフトも含まれる。
【0032】
さらに第1記録領域にコンテンツとして記録されるデータには、ユーザ認証コード、及びページ記述言語がある。ユーザ認証コードは、ユーザ認証プログラム(P3)によりユーザ認証を行うためのコードデータである。光ディスク200の第1記録領域に記憶したユーザ認証コードと、印刷装置100の入力部110に入力されたユーザ認証コードとを比較することで、当該光ディスク200からプログラム及びデータを読み出して印刷処理を実行するか否かが判別される。
ページ記述言語は、特定のプリンタのみに依存しない形式で、プリンタ出力用のデータを記述することを目的として設計された言語処理系またはプリンタ制御コードである
【0033】
光ディスク200の第2記録領域には、書き換え可能な各種データとして、印刷条件データ、及び印刷データが記録される。印刷条件データは、印刷データを印刷(画像形成)するときの各種の印刷条件を設定するためのデータである。また、印刷データとしては、アプリケーションプログラムで作成したデータ、スキャナにより読み取った読取データ、あるいはフルハイビジョン映像録画データ(例えば、縦1,920画素×横1,080画素の約207万個の画素が含まれている映像録画データ)やビデオカメラの撮像データによる動画画像データ、デジタルカメラ等により撮像した静止画像データ等を記録させておくことができる。
本実施例では、第1情報記録層(第1記録領域)に記録される情報の安全性・信頼性を確保する目的で、対象となる情報を凹凸からなるプリビット(一般的なCD−ROM、DVD−ROM、BD−ROMと同類)として形成するROM形態とし、記録データの誤削除や改竄を防止している。
また、上記目的に対しては、第1情報記録層(第1記録領域)を情報が1回のみ記録可能な追記型媒体(一般的なCD−R、DVD−R、BD−Rと同類)とする形態とすることもできる。
いずれの場合も、記録された情報は物理的な特性変化による書き換えができない性質を持っており、情報の安全性・信頼性が確保されるものである。
一方、上記第1情報記録層(第1記録領域)を情報が何回でも書換え可能な媒体(一般的なCD−RW、DVD−RW、BD−REと同類)とする場合であっても、記録を禁止するための識別情報(ライトプロテクト)を付加することによって、論理的な記録禁止を実現してもよい。この場合、物理的に記録禁止を行う上記方法に比べると情報の安全性・信頼性が劣るが、物理的に書換え可能な全領域の内から所望の領域のみを論理的に記録禁止とできることから、任意情報に対する記録禁止指定が可能になり、利便性が増大する。
【0034】
上記のように、本発明の印刷装置に装着する光ディスクとして、読取専用型の第1記録領域をもった光ディスクを用いることにより、第1記録領域にユーザ専用にカスタマイズされたプログラムやコンテンツを記録させておくことができる。これにより、これら第1記録領域に対する第3者による改竄を防止することができる。また、第2記録領域には、大容量の情報を記録可能に設定できる。光ディスクとしては、上記のように大容量のBlu-ray Discを用いることができるが、これに限らずDVDやCD、その他の記録媒体を適宜用いるようにしてもよい。
【0035】
本発明の印刷装置では、リムーバブルで可搬型の光ディスクを装着可能とし、その光ディスクからプログラム及びデータを読み出して印刷処理を実行できるようにしたので、ユーザは、プログラムやデータを記録させた光ディスクを携行して所望の印刷装置に出向き、その印刷装置に光ディスクを装着するだけで簡便に所望の印刷条件で所望の印刷データの印刷処理を実行させることができるようになる。
【0036】
以下に、上記のOSとページ記述言語について、さらに説明を補足する。
(i)OS
OSとは、キーボード入力や画面出力といった入出力機能やディスクやメモリの管理など、多くのアプリケーションソフトから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェアである。「基本ソフトウェア」とも呼ばれ、印刷装置も同様に存在する。
印刷装置に使用されるOSも様々であるが、例えば、マイクロアイトロン(micro ITRON)(登録商標)、ウインドリバー社製VxWorks(登録商標)、Free BSD(登録商標)、Linux(登録商標)、Software Imaging製Unidrv(登録商標)、UNIX(登録商標)、Red Hat社製eCos(登録商標)等が用いられる。
【0037】
(ii)ページ記述言語
コンピュータから印刷装置へは、ページ記述言語と呼ばれる言語で表現されたデータが送られ、これを印刷装置内部のマイクロプロセッサが解析して実際の印刷イメージを生成している。ほとんどの印刷装置は、ページ記述言語としてAdobe Systems社のPostScript(ポストスクリプト)を採用しているが、低価格の機種では独自の言語を使うものもある。また印刷装置メーカー独自のページ記述言語を搭載していることもある。
【0038】
(iii) PostScript(ポストスクリプト)
Adobe Systems社が開発したページ記述言語である。高品位の印刷が可能なため、DTP(Desk Top Publishing)用のレイアウトソフトがこの形式を採用している。文字や図形や画像と、それらの属性やページ内での位置情報を指定することができる。文字にはフォントや文字の大きさ、字飾りなどを指定することができ、図形は直線や円のほか、自由曲線を表現することが可能になっている。文字や図形は、ベジェ曲線を利用したベクターデータ(図形中の主要な点の座標とそれらを結ぶ曲線の方程式のパラメータからなるデータ形式)として表現されるため、出力装置の最大解像度での精細な出力が可能となっている。
【0039】
図6は、本発明による印刷装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは上記のような印刷装置を使用して、光ディスクに記録させた印刷データを印刷させるときの処理例について説明する。例えば、ユーザが、出張先等の印刷装置で所望の印刷データを所望の印刷条件で印刷する場合を考えるものとする。
まずユーザは、光ディスク200を所持して出張先に向かい、出張先の印刷装置の光ディスクドライブ109にその光ディスク200を挿入する(ステップS1)。これにより、光ディスク200のOS(P1)の動作環境の下に、光ディスクドライブ109のドライブ制御部202と、制御部107との間で相互通信が行われ、以下一連の動作が行われる。
【0040】
光ディスクドライブのドライブ制御部121は、OS(P1)とユーザ認証プログラム(P3)とを光ディスク200から読み出す(ステップS2)。光ディスクに記憶されているOS(P1)は、図1に示すOS2に相当するものである。このとき、ドライブ制御部121は、光ディスクが上記のような第1の記録領域と第2の記録領域とをもった光ディスクであるかどうかを判別し、このような光ディスクであるときに以下の処理を実行するようにしてもよい。
【0041】
ドライブ制御部121は、読み出したOS(P1)を用いて、ユーザ認証プログラム(P3)を起動させる。ユーザ認証プログラム(P3)は、ユーザ認証を求める機能も合わせ持ち、印刷装置100の表示部111に対してユーザ認証コード入力をユーザに指示するメッセージを表示させるよう制御部107へ通知する。制御部107は、ユーザ認証コード入力をユーザに促すメッセージ信号をRAM105から読み出して、表示部111に表示させる(ステップS3)。RAM105は、不揮発性メモリであるが、HDDのような大容量を必要としない。
【0042】
ユーザは、表示部111に表示されたユーザ認証コード入力を指示するメッセージを見て、入力部110によりユーザの認証コード(パスワード)を入力する(ステップS4)。
制御部107は、入力部110に入力されたユーザの認証コードを受け付けて、そのユーザ認証コードを認証部106に送る。そして、認証部106は、ユーザ認証コードを受け取り、受け取ったユーザ認証コードと、光ディスク200に記録されているユーザ認証コードとを比較して、ユーザ認証コードが合致するかどうか判別する(ステップS5)。つまりここでは、光ディスク200が、印刷装置100を操作するユーザの固有のものであるか否かを判定している。
【0043】
入力部110から受け取ったユーザ認証コードと、光ディスク200から読み取ったユーザ認証コードとが合致した場合には、光ディスク200が、印刷装置を操作するユーザの固有のものであるものと判定される。この場合、制御部107は、光ディスク200から印刷条件データと印刷データとを読み出す(ステップS6)。このときに、光ディスク200から読み出したリードライト制御プログラム(P4)を用いることができる。
【0044】
そして制御部107は、光ディスク200から読み出した印刷条件データを印刷装置100に設定する(ステップS7)。ここでは、制御部107は、光ディスク200から読み出した印刷条件データ、及び印刷データ(アプリケーションプログラムで作成したデータ等)を一旦RAM105へ格納し、表示部111,画像処理部102及び制御部104に送信する。もしくはRAM105に格納することなく直接に送信してもよい。
【0045】
ユーザは、表示部111に表示された印刷条件、及び印刷データを確認した後、印刷を指示する操作を行う(ステップS8)。これにより印刷処理が実行される。以上の一連の動作により、ユーザは、所持する光ディスク200を出張先の印刷装置100の光ディスクドライブ109に装着することにより、所望の印刷データを所望の印刷条件で印刷することが可能となる。
【0046】
一方、ステップS5で、光ディスク200に記録されたユーザ認証コードと、入力部110から入力されたユーザ認証コードとが一致しない場合には、ドライブ制御部121は、光ディスク200からの印刷条件及び印刷データの読み出しを禁止する(ステップS9)。そしてドライブ制御部121は、制御部107に対して通常印刷を継続する信号を送信し、通常の印刷を継続させる(ステップS10)。つまり、光ディスク200に記録された印刷条件データや印刷データを用いることなく、現在の印刷装置100の印刷条件データによる印刷処理を継続して行う。そしてユーザは、この状態で印刷装置100から光ディスク200を抜き取って処理を終了する。
【0047】
図7は、印刷装置に記憶された印刷条件データ及び印刷データを一旦退避させる処理例を説明するためのフローチャートである。
図6の処理において、光ディスク200から印刷条件データと印刷データを印刷装置に読み出して、印刷装置に印刷条件データを設定する際に(ステップS6、S7)、RAM105に記憶保持されている現在の印刷装置100の印刷条件データを読み出して、光ディスク200の第2記録領域(RE領域)に書き込む処理を行うことができる。つまり、現在印刷装置100で使用している印刷条件のデータを、一旦光ディスク200のRE領域に退避させる処理を行う。
【0048】
図7において、印刷装置100が光ディスクから読み出した印刷条件データを設定する際に、印刷装置100にOS及び印刷条件データが設定されていれば(ステップS11−YES)、さらにそのOS及び印刷条件データを光ディスクに退避するように設定されているかどうかを判別し(ステップS12)。ここで印刷装置100に設定されているOS及び印刷条件データを光ディスク200に退避させるのであれば、印刷装置100の制御部107は、RAM105からOS及び印刷条件データを読み出して(ステップS13)、これらを光ディスク200に書き込んで退避させる制御を行う(ステップS14)。ここでは制御部107により読み出されたOS及印刷条件データは、光ディスクドライブ109のドライブ制御部109の制御により光ディスク200の第2記録領域(RE領域)に書き込まれる。
【0049】
そして、光ディスク200から読み出されたOS、ユーザ所望の印刷条件データ及び印刷データを用いて印刷が実行されるか、もしくは印刷が中止された場合には(ステップS15)、印刷装置100の光ディスクドライブ109では、光ディスク200に退避させておいたOS及び印刷条件データを光ディスク200から読み出して(ステップS16)、これらOS及び印刷条件データを印刷装置100のRAMに書き込ませる(ステップS17)。
【0050】
この場合、ユーザが所望の印刷データを所望の印刷条件で印刷した後、再度ユーザ認証コードを入力部110に入力すると、光ディスクドライブ109のドライブ制御部121は、光ディスク200の第2記録領域(RE領域)に格納しておいた印刷装置の印刷条件データを読み出す制御を行う。そしてドライブ制御部121は、一旦格納された印刷装置の印刷条件を制御部107へ送信する。制御部107は、表示部111、画像処理部102、制御部104、RAM105の各印刷条件データを元通りに戻す制御を行う。これにより、印刷装置100は、ユーザが操作する以前の状態に復帰することになる。
【0051】
(実施形態2)
図8は、本発明による印刷装置の第二の実施形態おける制御動作を説明するための図である。本実施形態の例では、図8(A)に示すように、印刷装置100にはOS1が保持され、印刷条件は設定されていない。例えば、新規に購入した印刷装置100などの場合には、所定のOSが保持されているが、特定の印刷条件は設定されていない状態となっている。また、印刷装置100には、図1の例と同様に、光ディスクドライブを制御する光ディスク制御プログラムが保持されているものとする。
【0052】
ここでユーザは、光情報記録媒体である光ディスク200を用いて、所望の印刷条件で所望の印刷データを印刷させる処理を印刷装置100に実行させることができる。この例では、光ディスク200にはOSを記憶させることなく、ユーザ所望の印刷条件データ2と、ユーザ所望の印刷データ2とを記憶させておく。印刷データ2は、OS1の環境下で適正に印刷実行が可能となるものである。
【0053】
また図1の例と同様に、光ディスク200としては、データの読み取り専用のROM領域(第1記録領域)と、データの書き換えが可能なRE領域(第2記録領域)とを有する光ディスクを用いることができる。そして、印刷条件データ2と印刷データ2とを書き換え可能な第2記録領域の記憶させておく。
【0054】
そして図8(B)に示すように、印刷装置100に光ディスク200を装着すると、印刷装置100は、光ディスク200に記憶させておいた印刷条件データ2、及び印刷データ2を読み出して移植する。そしてOS1の環境下で、移植した印刷条件データ2の条件に従って適正に印刷データ2を印刷出力させることができる。この場合には、印刷装置100に保持されていたOS1を、光ディスク200等に退避させておく必要はない。
【0055】
本実施形態では、以上のような動作を行うことで、印刷条件の設定等の煩雑な設定操作を必要とすることなく簡便に印刷データを印刷させることができるようになる。また、光ディスク200に対してユーザ認証コードを記憶させておき、光ディスク200に記憶された印刷条件データ及び印刷データを読み出すときに、ユーザ認証を行うようにすることで、第3者による情報改ざんや情報漏洩を防止したセキュリティの高い印刷処理を実行することができる。
【0056】
本実施形態を実施するための印刷装置の構成、光ディスクドライブの詳細構成、及び印刷装置の外観構成の例(図2〜図4)は、上記実施形態1と同様であり、その繰り返しの説明は省略する。
【0057】
図9は、光ディスクに記録する各種プログラム、コンテンツ、及びデータの他の例を説明するための図ある。上記第1の実施形態と同様に、本実施形態に係る印刷装置100は、データの読み取り専用の第1記録領域(ROM領域)と、データの書き換え可能な第2記録領域(RE領域)とを併せ持つ光ディスク200を認識し、その光ディスクから印刷データとプログラムとを読み出して印刷データを画像形成して出力する処理を行う。
【0058】
上記第1の実施形態と同様に、光ディスク200には、第1記録領域(ROM領域)と第2記録領域(RE領域)とが設定される。これらの記録属性は、第1記録領域が読取専用型であり、第2記録領域が書き換え可能型となっている。そして第1記録領域には、プログラムとコンテンツデータが記録され、第2記録領域には印刷条件データや印刷データなどのデータが記録される。
【0059】
そして、本実施形態では、第1記録領域にプログラムとして記録されるデータには、光ディスク200に記録されている各種ファイルを管理するファイル管理用プログラム(P11)、光ディスク200を使用できるユーザであるか否かを認証するユーザ認証プログラム(P12)、光ディスク200のリードライトを制御するリードライド制御プログラム(P13)、周辺機器の条件を読み出す周辺機器条件読み出しプログラム(P14)、スキャナの条件を読み出すスキャナ条件読み出しプログラム(P15)、コンテンツを再生させるコンテンツ再生プログラム(P16)、及びその他各種アプリケーションプログラム(P17)がある。
【0060】
さらに第1記録領域にコンテンツとして記録されるデータには、ユーザ認証コード、及びページ記述言語がある。ユーザ認証コードは、ユーザ認証プログラム(P12)によりユーザ認証を行うためのコードデータである。光ディスク200の第1記録領域に記憶したユーザ認証コードと、印刷装置100の入力部110に入力されたユーザ認証コードとを比較することで、当該光ディスク200からプログラム及びデータを読み出して印刷処理を実行するか否かが判別される。
ページ記述言語は、特定のプリンタのみに依存しない形式で、プリンタ出力用のデータを記述することを目的として設計された言語処理系またはプリンタ制御コードである。
【0061】
光ディスク200の第2記録領域には、書き換え可能な各種データとして、印刷条件データ、及び印刷データが記録される。印刷条件データは、印刷データを印刷(画像形成)するときの各種の印刷条件を設定するためのデータである。また、印刷データとしては、アプリケーションプログラムで作成したデータ、スキャナにより読み取った読取データ、あるいはフルハイビジョン映像録画データ(例えば、縦1,920画素×横1,080画素の約207万個の画素が含まれている映像録画データ)やビデオカメラの撮像データによる動画画像データ、デジタルカメラ等により撮像した静止画像データ等を記録させておくことができる。
【0062】
図10は、本発明による印刷装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。この例では、例えば、ユーザが新規に購入した印刷装置で所望の印刷データを所望の印刷条件で印刷する場合を考える。
まずユーザは、新規に購入した印刷装置の光ディスクドライブ109にその光ディスク200を挿入する(ステップS21)。これにより、印刷装置100が保持しているOSの動作環境の下に、光ディスクドライブ109のドライブ制御部121と、制御部107との間で相互通信が行われ、以下一連の動作が行われる。
【0063】
ドライブ制御部121は、ユーザ認証プログラム(P12)を光ディスク200から読み出す(ステップS22)。このとき、ドライブ制御部121は、光ディスクが上記のような第1の記録領域と第2の記録領域とをもった光ディスクであるかどうかを判別し、このような光ディスクであるときに以下の処理を実行するようにしてもよい。
【0064】
ドライブ制御部121は、印刷装置100に保持されているOSを用いて、ユーザ認証プログラム(P12)を起動させる。ユーザ認証プログラム(P12)は、ユーザ認証を求める機能も合わせ持ち、印刷装置100の表示部111に対してユーザ認証コード入力をユーザに指示するメッセージを表示させるよう制御部107へ通知する。制御部107は、ユーザ認証コード入力をユーザに促すメッセージ信号をRAM105から読み出して、表示部111に表示させる(ステップS23)。RAM105は、不揮発性メモリであるが、HDDのような大容量を必要としない。
【0065】
ユーザは、表示部111に表示されたユーザ認証コード入力を指示するメッセージを見て、入力部110によりユーザの認証コード(パスワード)を入力する(ステップS24)。
制御部107は、入力部110に入力されたユーザの認証コード(パスワード)を受け付けて、そのユーザ認証コードを認証部106に送る。そして、認証部106は、ユーザ認証コードを受け取り、受け取ったユーザ認証コードと、光ディスク200に記録されているユーザ認証コードとを比較して、ユーザ認証コードが合致するかどうか判別する(ステップS25)。つまりここでは、光ディスク200が、印刷装置を操作するユーザの固有のものであるか否かを判定している。
【0066】
入力部110から受け取ったユーザ認証コードと、光ディスク200から読み取ったユーザ認証コードとが合致した場合には、光ディスク200が、印刷装置を操作するユーザの固有のものであるものと判定される。この場合、制御部107は、光ディスク200から印刷条件データと印刷データとを読み出す(ステップS26)。このときに、光ディスク200から読み出したリードライト制御プログラム(P13)を用いることができる。
【0067】
そして制御部107は、光ディスク200から読み出した印刷条件データを印刷装置100に設定する(ステップS27)。ここでは、制御部107は、光ディスク200から読み出した印刷条件データ、及び印刷データ(アプリケーションプログラムで作成したデータ等)を一旦RAM105へ格納し、表示部111,画像処理部102及び制御部104に送信する。もしくはRAM105に格納することなく直接に送信してもよい。
【0068】
ユーザは、表示部111に表示された印刷条件、及び印刷データを確認した後、印刷を指示する操作を行う(ステップS28)。これにより印刷処理が実行される。本実施形態の場合には、印刷装置に予め保持されているOS及び印刷条件データがないため、上記実施形態1の例のように、これら印刷装置のOS及び印刷条件データを光ディスクに一旦退避させる必要はない。
以上の一連の動作により、ユーザは、所持する光ディスク200を出張先の印刷装置の光ディスクドライブ109に装着することにより、所望の印刷データを所望の印刷条件で印刷することが可能となる。
【0069】
一方、ステップS25で、光ディスク200に記録されたユーザ認証コードと、入力部110から入力されたユーザ認証コードとが一致しない場合には、ドライブ制御部121は、光ディスク200からの印刷条件及び印刷データの読み出しを禁止する(ステップS29)。そして制御部107は、印刷装置の初期設定を実行させる(ステップS30)。つまり、光ディスク200に記録された印刷条件データや印刷データを用いることなく、新規の印刷装置100に対して初期設定を行って印刷条件を設定する。そしてユーザは、この状態で印刷装置から光ディスク200を抜き取って処理を終了する。
【0070】
上記各実施形態(実施形態1,実施形態2)において、光ディスクからのプログラム及びデータの読み出し、印刷装置への設定、及び必要に応じた光ディスクへのデータの書き込み処理の制御は、印刷装置100の制御部107が主体となって実行するものでもよく、また光ディスクドライブ109の制御部(主にドライブ制御部121)が主体となって実行するものであってもよい。
制御部107が主体となる場合には、光ディスクの挿入を検出した際に制御部107が光ディスクドライブ109を制御し、プログラム及びデータの読み出しを指示する。そして光ディスクドライブ109から送信された印刷条件データを印刷装置200に設定し、かつ光ディスクドライブ109から送信された印刷データを印刷させる制御を実行する。
【0071】
また、実施形態1の例では、制御部107は、印刷装置100のRAM105等に設定されているOSと印刷条件データを読み出して、光ディスクドライブ109を制御してこれらを光ディスク200に一旦退避させる。また印刷が終了(もしくは中止)したならば、光ディスクドライブ109を制御して、これらOS及び印刷条件データを光ディスク200から読み出させ、光ディスクドライブ109から送信されたOS及び印刷条件データを印刷装置100のRAM105等に再度設定し、復帰させる制御を行う。
このように印刷装置100の制御部107が主体となった制御により、光ディスクドライブ109のドライブ制御部121の負荷を軽減させることができる。
【0072】
一方、光ディスクドライブ109のドライブ制御部121が主体となって実行する場合には、光ディスク200の装着を検出した際に、光ディスクドライブ109によって光ディスク200からプログラム及びデータを読み出して、制御部107に送信するともに、印刷条件データの設定と、印刷データの印刷を制御部107に指示する。これを受けて制御部107は、光ディスクドライブ109から送信された印刷条件データを印刷装置100に設定し、かつ光ディスクドライブ109から送信された印刷データを印刷させる制御を実行する。
【0073】
また、実施形態1の例では、光ディスクドライブ109の制御部が、印刷装置100のRAM105等に設定されているOS及び印刷条件データを読み出す指示を制御部107に対して行うと、制御部107は、印刷装置100のRAM105等に設定されているOS及び印刷条件データを読み出して光ディスクドライブ109に送る。光ディスクドライブ109では、これらOS及び印刷条件データを光ディスク200記録して退避させる。また印刷が終了(もしくは中止)したならば、光ディスクドライブ109は、これらOS及び印刷条件データを光ディスク200から読み出して、制御部107に送信する。制御部107は、これを受けて、光ディスクドライブ109から送信されたOS及び印刷条件データを印刷装置100のRAM105等に再度設定し、復帰させる制御を行う。このように光ディスクドライブ109が主体となった制御により、印刷装置100の制御部107によるプログラムやデータの読み込みや書き込みの制御が不用となり、制御部107の負荷を軽減させることができる。
【0074】
さらに、上記実施形態1の動作と、実施形態2の動作とを、印刷装置100に印刷条件データが設定されているか否かによって切り替えて実行させるようにしてもよい。この場合、例えば、印刷装置100に光ディスク200が挿入された際に、印刷装置100の制御部107は、印刷装置100に印刷条件データが設定されているかどうかを判別する。そしてすでに印刷条件データが設定されていれば、光ディスク200からOS、印刷条件データ、及び印刷データを読み出して、そのOSと印刷条件データを用いて印刷データを印刷するとともに、印刷装置のOSと印刷条件データを光ディスク200に退避させる。
【0075】
一方、印刷装置100に印刷条件データが設定されていなければ、光ディスク200から印刷条件データ、及び印刷データを読み出して、その印刷条件データを用いて印刷データを印刷する。
【0076】
さらに、実施形態1の動作を行う場合に、印刷装置100に設定されているOS(OS1)と、光ディスク200に記録されているOS(OS2)とが同一のOSであれば、光ディスク200からOSを読み出すことなく、印刷条件データ及び印刷データを読み出して、印刷装置100にすでに設定されているOSを使用して印刷処理を実行するようにしてもよい。
【0077】
次に、印刷装置に挿入して使用する光ディスクの構成を更に具体的に説明する。
図11は、本発明の印刷装置に適用可能な光ディスクの構成例を説明するための図で、図11(A)は光ディスクの平面概略図、図11(B)は光ディスクの断面要部の概略構成図である。図11において、光ディスク200は、再生光入射面側から順に、透光層301、第1記録領域302、中間層303、第2記録領域304、基板305が積層された構造になっている。ここでは光ディスク200に適用する再生光は、青色可視光領域である青紫色レーザ(波長略405nm)である。
【0078】
透光層301は、例えば厚さ75μmの紫外線硬化樹脂からなる。透光層301の材料は、再生光の波長において透過率が高ければよく、ポリカーボネートフィルムと透明粘着剤で形成されていてもよいし、表面保護の為にハードコートが設けられていてもよい。さらに光ディスクドライブ109が有する光学系に応じて厚さを変更しても良く、透光層301の厚さは例えば0.6mm程度でよい。更に多層構造であってもよい。
【0079】
第1記録領域302はROM層であり、例えば厚さ10nmの窒化シリコンからなる。この第1記録領域302は、再生光の波長において屈折率が2.2以上2.5以下であり、且つ再生光の波長において透光性を有する誘電体で、第2記録領域304のRE層への水分の浸入を防止できる厚さであればよい。例えば窒化アルミ、窒化チタン等の金属窒化物や、酸化タンタル、酸化チタン、酸化シリコン等の金属酸化膜、又は、ZnS−SiO2等の金属複合酸化物でもよい。更に多層構造であってもよい。
【0080】
中間層303は、例えば厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂からなり、第1記録領域302側には第1記録領域302に記録される情報に応じた凹凸からなるプリビットが設けられている。プリピットは、例えば、2P法(photo polymerization法:平板と原版との間に紫外線硬化樹脂を充填し、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させた後、原版を剥離し平板上に原版の凹凸を転写する手法)により設けられる。
中間層303は、再生光の波長において透過率が高い材料であればよく、特に限定されるものではない。また中間層303の厚さも、各記録領域を分離でき、層間クロストーク(再生中の記録領域以外からの他の記録領域からのノイズ)が問題にならない程度の厚さがあればよい。更に多層構造であってもよい。
【0081】
第2記録領域304はRE層で、例えば7層の薄膜からなり、再生光入射面側より、第1保護膜304aとして厚さ35nmのZnS−SiO2、第2保護膜304bとしてZrO、記録層304cとして厚さ10nmのGeTeSb2Te3、第3保護膜304dとして厚さ5nmのZrO、第4保護膜304eとして厚さ35nmのZnS−SiO2、第5保護膜304fとして厚さ5nmのZrO、及び反射膜304gとして厚さ20nmのAPC(AgPdCu)が順に積層されている。第2記録領域304の厚さや積層数は特に限定されるものではなく、RE層として機能するものであればよい。
【0082】
基板305は、例えば厚さ1.1mmのポリカーボネートからなる。基板305は、その表面にグルーブが設けられ所定の強度があればよく、ポリオレフィン樹脂や金属等であってもよい。更に多層構造であってもよい。
【0083】
図11(B)を参照して高温高湿環境下におけるエラーレート(記録した信号に対する再生信号の誤り率)について説明する。上述したように光ディスク200は、再生光入射面側から順に、透光層301、第1記録領域302、中間層303、第2記録領域304、及び基板305が積層された構造となっている。
【0084】
比較例の光情報記憶媒体は図示しないが、第1記録領域302として従来から用いられている金属半透明膜APC(AgPdCu)を用い、厚さ5nmとなるように成膜した。他の層は全て上記本発明の印刷装置に適用可能な光ディスク200(以下、説明のために本実施例の光ディスクとする)と同一にして作製した。なお、第1記録領域302の透過率は、本実施例の光ディスク及び比較例の光ディスクで共に80%であった。
【0085】
本実施例の光ディスク200と、比較例の光ディスクとの高温高湿耐久性を比較するため、初期の第1記録領域(RE領域)302のエラーレート(記録した信号に対する再生信号の誤り率)、及び高温高湿環境下に放置(38℃90%RHの恒温恒湿槽内に240時間放置)後のエラーレートを比較した。
結果、本実施例の光ディスク200の方が高温高湿耐久性が優れていることがわかった。従って、比較例の光ディスクでは、従来のROM層に用いられていたAg、Al、Au等の金属を薄く形成することで再生光の透過率を高めていたが、薄く形成するが故に透光層からRE層への水分の浸入を充分に防止することができなかった。
【0086】
しかし本実施例の光ディスク200は、金属に比べて再生光における透過率に優れた誘電体をROM層に用いて層厚を充分に厚く設定できるため、透光層301から第1記録領域(RE領域)302への水分の浸入を充分に防止することが可能となる。なお、再生光の波長において透光性を有するとは、80%以上の透過率を有することをいう。
【0087】
次に、第1記録領域と第2記録領域とを備えた光ディスクの認識処理について説明する。上述のように、本発明による印刷装置の実施形態では、第1記録領域302と第2記録領域304とをもつ光ディスクが光ディスクドライブに装着されたときに、その光ディスクを認識して、第1記録領域302からプログラムデータを読み出すとともに、第2記録領域304から印刷データを読み出すことで、光ディスク200に設定された印刷条件で印刷データの印刷が実行できるようになっている。このときの光ディスクの認識処理について以下に説明する。以下の例では、光ディスクとして、多層構造の光ディスクを用いるときの認識処理を説明する。
【0088】
図12は、多層光情報記録媒体の再生光ディスクドライブシステム400について説明するための図で、例えば、4層の情報記録層を有する光ディスクを再生する再生光ディスクドライブシステムの構成例を示すものである。図13は、4層の情報記録層を有する光ディスクの構成例を示す図である。図11では、それぞれ単一の記録層をもつ第1記録領域302と第2記録領域304との構成を示したが、本例では、情報記録層を4層もつ光ディスクを例としてあげている。
【0089】
再生光ディスクドライブシステム400では、円盤状の光情報記録媒体である光ディスク200(断面構造は図13参照)はディスク駆動モータ401によって所定の速度で回転駆動される。このディスク駆動モータ401は、モータ制御回路409によって制御されている。回転駆動されている光ディスク200からの情報読み取りは、光学ピックアップ402によって行われる。
【0090】
光学ピックアップ402はフィードモータ411の駆動力によって、光ディスク200の半径方向に移動できるようになっている。フィードモータ411はフィードモータ制御回路408によって制御されている。フィードモータ411はその回転速度が速度検出器412によって検出される。速度検出器412から得られる速度信号は、フィードモータ制御回路408へ供給される。
【0091】
光学ピックアップ402は対物レンズ402aを備えている。対物レンズ402aはフォーカス方向(光軸方向)とトラッキング方向(光ディスク200の半径方向)とに、夫々移動可能に支持されている。対物レンズ402aはフォーカス駆動コイル402cに制御信号が供給されることによってフォーカス方向に位置が制御され、トラッキング駆動コイル402bに制御信号が供給されることによってトラッキング方向に位置が制御される。
【0092】
レーザ制御回路403は、光学ピックアップ402内の半導体レーザ発信器402fを駆動し、レーザ光を発生させる。半導体レーザ発信器402fから発生したレーザ光の光量は光量検出器402gで検出され、検出結果がレーザ制御回路403に帰還されることにより、一定のレーザ光量が発生するよう制御されている。
【0093】
半導体レーザ発信器402fから発生されてレーザ光は、コリメータレンズ402eを通過してハーフプリズム402dで直角に折り曲げられた後、対物レンズ402aにより光ディスク200の何れかの情報記録層(後述する図13の第1情報記録層312、第2情報記録層318、第3情報記録層316、及び第4情報記録層314)上に集光される。
【0094】
また、光ディスク200からの反射光は、対物レンズ402aを逆行し、ハーフプリズム402dを直進した後、集光レンズ402h及びシリンドリカルレンズ402iを介して光電変換器402jで受光される。光電変換器402jは、受光量に応じた電気信号を発生する4つのフォトディテクタ(光検出器)402j1〜402j4によって構成されている。
【0095】
フォトディテクタ402j1、402j2の並び方向、及びフォトディテクタ402j3、402j4の並び方向が、光情報記録媒体801のトラッキング方向に対応し、フォトディテクタ402j1、402j4の並び方向、及びフォトディテクタ402j2、402j3の並び方向が、光ディスク200の接線方向に対応している。
【0096】
光電変換器402jのフォトディテクタ402j1から出力された電気信号は、増幅回路414aを介して加算回路413a、413dの各一端に供給され、フォトディテクタ402j2から出力された電気信号は、増幅回路414bを介して加算回路413b、413cの各一端に供給され、フォトディテクタ402j3から出力された電気信号は、増幅回路414cを介して加算回路413a、413cの各他端に供給され、フォトディテクタ402j4から出力された電気信号は、増幅回路414dを介して加算回路413b、413dの各他端に供給されている。
【0097】
上記加算回路413aの出力信号は、差動増幅回路404の反転入力端−に供給され、上記加算回路413bの出力信号は、差動増幅回路404の反転入力端+に供給されている。差動増幅回路404は、両加算回路413a、413bの出力信号の差を算出してフォーカスエラー信号を生成し、フォーカス制御回路405に供給している。フォーカス制御回路405は、入力されたフォーカスエラー信号が0レベルとなるようにフォーカス駆動コイル402cに与える制御信号を生成し、対物レンズ402aに対するフォーカスサーボが行われる。
【0098】
ここで、差動増幅回路404から出力されるフォーカスエラー信号は、対物レンズ402aによるレーザ光の集光位置を、その初期位置(光ディスク200から光軸方向に最も離れた位置)からフォーカス方向に順次移動させてフォーカスサーチ処理を行った場合、対物レンズ402aによるレーザ光の焦点位置が、図13に示す各情報記録層(第1情報記録層312、第4情報記録層314、第3情報記録層316、及び第2情報記録層318)を通過する毎に図14に示すようにS字特性を描く。
【0099】
例えば、再生開始時には、最初に光学ピックアップ402内の半導体レーザ発信器402fにて単層光情報記録媒体に対応した再生光を発光させる。
次に、対物レンズ402aによるレーザ光の集光位置を上記初期位置から図12の上方に駆動上限位置まで移動させる。そしてフォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を超えた回数をカウントすることにより光情報記録媒体の情報記録層数を認識することができる。
【0100】
次に、光情報記録媒体が有する情報記録層数に基づいて、定められた再生光パワーを変更する。変更された再生光パワーにて対物レンズ402aによるレーザ光の集光位置を駆動上限位置から図12の下方の初期位置まで移動させる。そのときに最初にフォーカスサーチ処理される情報記録層から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値が適切な値となるよう、フォーカス制御回路405等に含まれる増幅器のゲインを変更する。
【0101】
例えば、第2情報記録層318にフォーカスサーチ処理する場合、フォーカスエラー信号が所定の基準電圧+V0を超えた回数をカウントし、4回目となった後の最初の0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とすることにより、第2情報記録層318に対するフォーカスサーチ処理が完了する。
なお、図15は上記のようなフォーカスサーチが行われた時の対物レンズ402aによるレーザ光の集光位置(図15(A))とフォーカスエラー信号(図15(B))とを表わしている。
【0102】
また、例えば、第4情報記録層314から第2情報記録層318にレイヤージャンプする場合は、フォーカスサーボを一旦OFF状態にし、第4情報記録層314から第2情報記録層318に対物レンズ402aによるレーザ光の集光位置を順次移動させ、差動増幅回路404から出力されるフォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を超えた回数をカウントし、2回目となった後の最初の0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とすることにより、レイヤージャンプ処理が終了する(フォーカスサーチ処理とほぼ同じ処理の為、図示せず)。
【0103】
また、これらのフォーカスサーチ処理が行われた状態で、位相差検出回路407により光電変換器402jのフォトディテクタ402j1、402j4の出力信号の和と、フォトディテクタ402j2、402j3の出力信号の和との位相差が検出され、その検出結果がトラッキングエラー信号としてトラッキング制御回路406に供給される。
トラッキング制御回路406は、入力されたトラッキングエラー信号に基づいて、トラッキング駆動コイル402bに与える制御信号を生成し、対物レンズ402aに対するトラッキングサーボが施される。トラッキングサーボが行われている状態で光ディスク200からの情報を再生して、加算回路413c、413dから出力された電気信号が加算回路413eで合計され、データ再生回路410でデジタル信号に変換される。
【0104】
図16は、上記したような多層構成の光ディスクの再生工程の一例を表すフローチャートである。まず、光ディスクを装填後、ディスク駆動モータ401により光ディスク200を所定の回転数で回転させる(ステップS31)。次いで、光ディスク200の例えば内周側領域であるリードインエリアに対向する位置に、光学ピックアップ402を移動し、所望のレイヤーにフォーカスサーチ処理を行う(ステップS32)。次いで、トラッキング処理を行い(ステップS33)、情報再生処理を行う(ステップS34)。
【0105】
ここで、多層構成の光ディスクの再生光ディスクドライブシステムにおいて、各情報記録層の反射率が異なる光ディスクを再生する場合の問題点として、フォーカスエラー信号の電圧値は各情報記録層の反射率に依存するので、光ディスク200の各情報記録層のフォーカスエラー信号の電圧値も異なることになる。従って、その結果、各情報記録層から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値を適切な値とするゲインが各情報記録層毎に異なり、フォーカスサーチ処理は各情報記録層毎にゲイン変更しなければならず、フォーカスサーチ処理に多大な時間を必要する。また、各情報記録層毎にゲインを調整する回路を設けなければならない等の問題が生じる。
【0106】
よって、各情報記録層間の反射率の差が小さくなる上記の光ディスクは、金属半透明膜を設ける従来の光ディ数に比べて、容易にフォーカスサーチ処理が実現でき、安価な再生装置(再生光ディスクドライブシステム)に対応可能である。
【0107】
上記のごとくの処理により、印刷装置では、第1記録領域と第2記録領域とをもつ多層構成の光ディスクに対してフォーカスサーチを実行し、それぞれの記録領域からプログラム及びデータを読み出して、記録領域に記録された印刷条件を用いて印刷データの印刷処理を実行することができる。
【0108】
なお、上記の例では、第1記録領域(ROM領域)と第2記録領域(RE領域)とをもつ光ディスク200として、多層構成の光ディスクの例を説明したが、同一層の記録領域がディスク半径方向に分割されて、ROM領域とRE領域とが設定された光ディスクであっても本発明の印刷装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明による印刷装置の一実施形態おける制御動作を説明するための図である。
【図2】本発明の印刷装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示す光ディスクドライブのさらに詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明による印刷装置の一実施形態の斜視概略図である。
【図5】光ディスクに記録する各種プログラム、コンテンツ、及びデータの一例を説明するための図ある。
【図6】本発明による印刷装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】印刷装置に記憶された印刷条件データ及び印刷データを一旦退避させる処理例を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明による印刷装置の第二の実施形態おける制御動作を説明するための図である。
【図9】光ディスクに記録する各種プログラム、コンテンツ、及びデータの他の例を説明するための図ある。
【図10】本発明による印刷装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の印刷装置に適用可能な光ディスクの構成例を説明するための図である。
【図12】多層光情報記録媒体の再生光ディスクドライブシステムについて説明するための図である。
【図13】4層の情報記録層を有する光ディスクの構成例を示す図である。
【図14】レーザ光の集光位置をフォーカス方向に順次移動させてフォーカスサーチ処理を行ったときのレーザ光の焦点位置を説明する図である。
【図15】フォーカスサーチが行われた時の対物レンズによるレーザ光の集光位置とフォーカスエラー信号とを表わす図である。
【図16】多層構成の光ディスクの再生工程の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
100…印刷装置、100a…スキャナ、100b…プリンタ、100c…周辺機器、101…読取部、102…画像処理部、103…画像形成部、104…制御部、105…RAM、106…認証部、107…制御部、108…光ディスク用I/F部、109…光ディスクドライブ、110…入力部、120…通信I/F部、121…ドライブ制御部、122…リードライト制御部、123…光ピックアップ制御部、124…不揮発性メモリ、125…着脱トレイ、200…印刷装置、200…光ディスク、301…透光層、302…記録領域、303…中間層、304…記録領域、304a…保護膜、304b…保護膜、304c…記録層、304d…保護膜、304e…保護膜、304f…保護膜、304g…反射膜、305…基板、312…情報記録層、314…情報記録層、316…情報記録層、318…情報記録層、400…再生光ディスクドライブシステム、401…ディスク駆動モータ、402…光学ピックアップ、402a…対物レンズ、402b…トラッキング駆動コイル、402c…フォーカス駆動コイル、402d…ハーフプリズム、402e…コリメータレンズ、402f…半導体レーザ発信器、402g…光量検出器、402h…集光レンズ、402i…シリンドリカルレンズ、402j…光電変換器、402j1…フォトディテクタ、402j2…フォトディテクタ、402j3…フォトヂテクタ、402j3…フォトディテクタ、402j4…フォトディテクタ、403…レーザ制御回路、404…差動増幅回路、405…フォーカス制御回路、406…トラッキング制御回路、407…位相差検出回路、408…フィードモータ制御回路、409…モータ制御回路、410…データ再生回路、411…フィードモータ、412…速度検出器、413a…加算回路、413b…加算回路、413c…加算回路、413e…加算回路、414a…増幅回路、414b…増幅回路、414c…増幅回路、414d…増幅回路、801…光情報記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体を装着可能とした情報記録媒体装着部を有し、
該情報記録媒体装着部に装着された情報記録媒体から、書き換え不可能に記録された第1記録情報と、書き換え可能に記録された第2記録情報とを読み出して、該読み出した情報に基づき印刷処理を実行する印刷装置であって、
前記第1記録情報は、前記印刷処理を実行するために使用するプログラムのデータを含み、前記第2記録情報は、印刷を行う印刷データを含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記第1記録情報は、前記印刷データの印刷処理を実行可能なOSを含むこと特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記第1記録情報は、前記情報記録媒体からのデータの読み出し、及び前記情報記録媒体に対するデータの書き込みを行うプログラムを含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の印刷装置において、
前記第2記録情報は、前記印刷データを印刷するときの印刷条件データを含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の印刷装置において、
前記情報記録媒体から情報を読み出して前記印刷処理を実行する際に、印刷処理を実行するためのプログラムのデータ及び印刷データを印刷するときの印刷条件データがすでに当該印刷装置に設定されている場合、前記印刷装置に設定されているデータを一旦前記情報記録媒体に移動させ、前記印刷処理が終了した後に、前記情報記録媒体に移動させたデータを前記印刷装置に復帰させることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の印刷装置において、
ユーザによる入力操作を受け付ける入力部を有し、
前記情報記録媒体から読み出したユーザ認証コードと、前記入力部に入力されたユーザ認証コードとを比較し、該比較した結果が一致した場合に、前記印刷処理を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
印刷装置に備えられた情報記録媒体装着部に装着された情報記録媒体から、該情報記録媒体の第1記録領域に記録された第1記録情報と、前記情報記録媒体の第2記録領域に記録された第2記録情報とを印刷装置が読み出すステップと、
該読み出した情報に基づき印刷処理を実行する印刷ステップとを有し、
前記第1記録情報は、前記印刷処理を実行するために使用するプログラムのデータを含み、前記第2記録情報は、印刷を行う印刷データを含むことを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−274254(P2009−274254A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125721(P2008−125721)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】