説明

印刷装置,印刷処理システム,プログラム,および記録媒体

【課題】 ある印刷装置が他の印刷装置が持つ記憶装置を自己の記憶装置のように利用することにより、限られた資源を有効活用し、印刷効率を向上させる。
【解決手段】 印刷装置1は、印刷要求端末5から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、その印刷データのサイズを計算し、その印刷データのサイズが当該印刷装置1が持つ記憶装置10の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、他の印刷装置2又は3が持つ記憶装置20又は30をマウントして上記印刷データの保存に利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データを保存するための記憶装置を持つ印刷装置、その印刷装置を複数台備えた印刷処理システム、上記印刷装置を制御するコンピュータに必要な機能(この発明に係わる機能)を実現させるためのプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の印刷装置に搭載されているデータを保存するための記憶装置は、使用意図が限られている場合が多く、基本的にはPC(パーソナルコンピュータ)等に搭載されている記憶装置よりも容量的に少ない場合が多い。限られた記憶領域を有効に活用するため、記憶装置に保存した印刷データ等は印刷完了時に削除したり、印刷装置の電源を一度落としてから再度入れなおしたときに記憶装置内の印刷データを削除したりしている。
【0003】
また、印刷データは印刷処理を行う印刷装置が持つ記憶装置に保存されるため、その印刷データを使って再印刷を行う場合は、同じ印刷装置からしか出力させることができないし、他の印刷装置が持つ記憶装置に保存されている情報を参照することはできない。
そのため、記憶装置に保存されている印刷データ等の必要な情報資源を有益に利用したいという要求が生じる。
【0004】
そこで、例えば特許文献1,2に見られるように、外部に存在するデータ記憶装置をプリンタ等の印刷装置間で共有して利用することで、記憶装置上の情報資源も装置間で共有して利用することを可能にするシステムが提案されている。
特許文献1に記載のものでは、PCの記憶装置を共有化することでPCの持つ情報資源(フォントデータ等)をプリンタから参照利用することができる。
また、特許文献2に記載のものは、複数の印刷サーバ間で記憶装置の共有を可能にしたものである。
【特許文献1】特開2002−215347号公報
【特許文献2】特開平10−340164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、プリンタの記憶装置の代わりとしてPCの記憶装置にデータを保存するという利用方法については明記されていない。
また、特許文献2に記載のものは、プリンタの持つデータの保存というものではない。そして、いずれの特許文献に記載のものにおいても、共有記憶装置とするPCを設置するというのが前提条件として存在している。
【0006】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ある印刷装置が他の印刷装置が持つ記憶装置を自己の記憶装置のように利用することにより、限られた資源を有効活用し、印刷効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するため、印刷装置、それを複数台備えた印刷処理システム、上記通印刷装置を制御するコンピュータに実行させるプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0008】
請求項1の発明による印刷装置は、データを保存するための記憶装置を持つ印刷装置であって、他の印刷装置と通信可能に接続する接続手段と、外部から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、該印刷データのサイズを計算するデータサイズ計算手段と、該データサイズ計算手段によって計算された印刷データのサイズが当該印刷装置が持つ記憶装置の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、上記他の印刷装置が持つ記憶装置をマウントして上記印刷データの保存に利用するデータ保存利用手段とを設けたものである。
【0009】
請求項2の発明による印刷装置は、請求項1の印刷装置において、上記他の印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを利用するデータ利用手段を設けたものである。
請求項3の発明による印刷装置は、請求項1又は2の印刷装置において、当該印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存するバックアップ保存手段を設けたものである。
【0010】
請求項4の発明による印刷装置は、請求項3の印刷装置において、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データを所定のタイミングで削除するデータ削除手段を設けたものである。
請求項5の発明による印刷装置は、請求項4の印刷装置において、上記データ削除手段は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、外部からデータ削除指示を受けたときに実行するものである。
【0011】
請求項6の発明による印刷装置は、請求項4の印刷装置において、上記データ削除手段は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、所定回数の再印刷が実行された後に実行するものである。
請求項7の発明による印刷装置は、請求項4の印刷装置において、上記データ削除手段は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、該保存から所定時間経過後に実行するものである。
【0012】
請求項8の発明による印刷処理システムは、それぞれデータを保存するための記憶装置を持つ複数台の印刷装置を備えた印刷処理システムにおいて、上記複数台の印刷装置にそれぞれ、他の印刷装置と通信可能に接続する接続手段と、印刷要求端末から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、該印刷データのサイズを計算するデータサイズ計算手段と、該データサイズ計算手段によって計算された印刷データのサイズが当該印刷装置が持つ記憶装置の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、上記他の印刷装置が持つ記憶装置をマウントして上記印刷データの保存に利用するデータ保存利用手段とを設けたものである。
【0013】
請求項9の発明による印刷処理システムは、請求項8の印刷処理システムにおいて、上記複数台の印刷装置にそれぞれ、上記他の印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを利用するデータ利用手段を設けたものである。
請求項10の発明による印刷処理システムは、請求項8又は9の印刷処理システムにおいて、上記複数台の印刷装置にそれぞれ、当該印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存するバックアップ保存手段を設けたものである。
【0014】
請求項11の発明による印刷処理システムは、請求項10の印刷処理システムにおいて、上記複数台の印刷装置にそれぞれ、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データを所定のタイミングで削除するデータ削除手段を設けたものである。
請求項12の発明による印刷処理システムは、請求項11の印刷処理システムにおいて、上記データ削除手段は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、外部からデータ削除指示を受けたときに実行するものである。
【0015】
請求項13の発明による印刷処理システムは、請求項11の印刷処理システムにおいて、上記データ削除手段は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、所定回数の再印刷が実行された後に実行するものである。
請求項14の発明による印刷処理システムは、請求項11の印刷処理システムにおいて、上記データ削除手段は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、該保存から所定時間経過後に実行するものである。
【0016】
請求項15の発明によるプログラムは、データを保存するための記憶装置を持つ印刷装置を制御するコンピュータに、他の印刷装置と通信可能に接続する接続機能と、外部から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、該印刷データのサイズを計算するデータサイズ計算機能と、該データサイズ計算機能によって計算された印刷データのサイズが当該印刷装置が持つ記憶装置の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、上記他の印刷装置が持つ記憶装置をマウントして上記印刷データの保存に利用するデータ保存利用機能とを実現させるためのものである。
【0017】
請求項16の発明によるプログラムは、請求項15のプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記他の印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを利用するデータ利用機能をも実現させるためのものである。
請求項17の発明によるプログラムは、請求項15又は16のプログラムにおいて、上記コンピュータに、当該印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存するバックアップ保存機能をも実現させるためのものである。
【0018】
請求項18の発明によるプログラムは、請求項17のプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データを所定のタイミングで削除するデータ削除機能をも実現させるためのものである。
請求項19の発明によるプログラムは、請求項18のプログラムにおいて、上記データ削除機能は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、外部からデータ削除指示を受けたときに実行するものである。
【0019】
請求項20の発明によるプログラムは、請求項18のプログラムにおいて、上記データ削除機能は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、所定回数の再印刷が実行された後に実行するものである。
請求項21の発明によるプログラムは、請求項18のプログラムにおいて、上記データ削除機能は、上記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、該保存から所定時間経過後に実行するものである。
請求項22の発明による記録媒体は、請求項15〜21のいずれかのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、印刷装置が、外部(例えば印刷要求端末)から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、その印刷データのサイズを計算し、その印刷データのサイズが当該印刷装置が持つ記憶装置の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、他の印刷装置が持つ記憶装置をマウントして上記印刷データの保存に利用することにより、限られた資源を有効活用し、印刷効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔印刷処理システムの構成例〕
まず、この発明の一実施形態である印刷処理システムの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態である印刷処理システムの構成例を示す図である。
【0022】
この印刷処理システムは、複数の印刷装置1〜3と印刷要求端末5とを備え、それらをLAN(ローカルエリアネットワーク)等のネットワーク7によって接続している。
印刷装置1は、プリンタ,複写機,ファクシミリ装置,又はそれらの機能を複合搭載した複合装置であり、HDD(ハードディスク)等の記憶装置10の他、図示しないCPU(中央処理装置),ROM,RAMを有するマイクロコンピュータや、通信手段としてのネットワークI/F(インタフェース)を備えている。
【0023】
記憶装置10は、記憶装置管理部11,印刷処理部12,印刷データ管理部13,印刷データ検索処理部14の機能を実現するためのプログラムを含む各種プログラムや、印刷データ等の種々のデータを保存することができる。
ここで、CPUが、ROMおよびHDD内のプログラムを実行し、ネットワークI/Fを含む各部の動作の制御を行うことにより、この発明に関わる機能である接続手段,データサイズ計算手段,データ保存利用手段,データ利用手段,バックアップ保存手段,およびデータ削除手段としての機能を果たす。
【0024】
なお、他の印刷装置2,3も、印刷装置1と同様の構成および機能を有しているので、それらの説明は省略する。
印刷要求端末5は、パーソナルコンピュータ等の端末装置であり、各印刷装置1〜3に対してそれぞれ印刷指示(印刷要求)と共に印刷データを送信することにより、印刷処理を行わせ、用紙等の印刷媒体に可視画像の印刷を行わせることができる。
【0025】
〔印刷装置の制御〕
以上の構成で、図1の印刷装置1〜3によるこの発明に関わる制御のフローチャートを図2〜図6に示し、これらについて説明する。なお、ここでは、主に印刷装置1による制御について説明するが、他の印刷装置2,3も同様である。
図2は、印刷装置1によるこの発明に関わる制御の第1例を示すフローチャートである。
印刷装置1は、所定のタイミングでステップS1の処理を行う。
【0026】
すなわち、自身の持つ記憶装置10の他に、同一ネットワーク7上に接続された別の印刷装置2又は3の記憶装置20又は30をマウントする。
ここで、「マウント」とは、記憶装置を利用することができるように印刷装置に認識させることである。自身の記憶装置10のマウントは、例えば電源投入時に行う。他の印刷装置の記憶装置のマウントは、ここでは、一定周期でネットワーク7上につながった他の印刷装置へアクセスし、まだマウントされていない記憶装置が見つかった場合に行う。
【0027】
印刷装置1は、印刷要求端末5から印刷指示と共に印刷データが送られてくる(投入される)と、それをステップS2で受信し、ステップS3へ進む。
ステップS3では、受信した印刷データの記憶装置10への保存、および印刷イメージ(印刷用の画像データ)への展開等の印刷処理に必要な記憶装置の利用容量の計算を行う。このとき、その容量計算を行うため、受信した印刷データそのもののサイズを知る必要がある。そのため、印刷データのサイズも計算することになる。
【0028】
次に、ステップS4で自身の記憶装置10に十分な空き容量があるかないかをチェックするが、容量計算の結果、必要な記憶装置の利用容量(印刷データのサイズでもよい)が自身の記憶装置10で利用可能な空き容量以内であれば(自身の記憶装置10に十分な空き容量があれば)ステップS5へ進み、自身の記憶装置10のみを利用し、受信した印刷データの書き込み(保存)や印刷イメージへの展開用バッファとしての利用など、記憶装置を必要とする処理を行い、ステップS6でその展開した印刷イメージに基づいて印刷処理を行い、印刷媒体に可視画像の印刷を行わせる。
【0029】
必要な記憶装置の利用容量が自身の記憶装置10で利用可能な空き容量を超えていた(自身の記憶装置10に十分な空き容量がない)場合にはステップS7へ進み、同一ネットワーク7上に接続されたマウントしている他の印刷装置2の記憶装置20又は印刷装置3の記憶装置30を利用し、受信した印刷データの書き込みや印刷イメージへの展開用バッファとしての利用など、記憶装置を必要とする処理を行い、ステップS6でその展開した印刷イメージに基づいて印刷処理を行う。
【0030】
なお、同一ネットワーク7上に接続されている他の印刷装置2の記憶装置20又は印刷装置3の記憶装置30を利用する際、その記憶装置20又は30をマウントしてしまえば、その記憶装置20又は30も自身の記憶装置10と同様に扱えるので、その記憶装置10の空き容量(利用容量)が足りなければ、他の記憶装置20又は30の空き容量もチェック(計算)する。
【0031】
この制御により、以下の効果を得ることができる。
基本的に印刷装置が所有している記憶装置の容量はPC等に比較して少ない場合が多いが、自分以外の印刷装置の記憶装置をあたかも自分の記憶装置のように利用することにより、限られた資源を有効活用し、印刷効率を向上させることが可能となる。
【0032】
図3は、印刷装置1によるこの発明に関わる制御の第2例を示すフローチャートである。
印刷装置1は、所定のタイミングでステップS11の処理を行う。つまり、自身の持つ記憶装置10の他に、同一ネットワーク7上に接続された他の全ての印刷装置2,3の記憶装置20,30をマウントする。なお、同一ネットワーク7上に接続された他の印刷装置が3台以上の場合には、予め指定された2台以上の印刷装置の記憶装置をマウントするようにすることもできる。
【0033】
次に、ステップS12〜S16で図2のステップS2〜S6と同様の処理を順次行う。
また、ステップS14でのチェックの結果、必要な記憶装置の利用容量が自身の記憶装置10で利用可能な空き容量を超えていた場合にはステップS17へ進み、同一ネットワーク7上に接続されたマウントしている他の全ての印刷装置2,3の記憶装置20,30を利用し、受信した印刷データの書き込みや印刷イメージへの展開用バッファとしての利用など、記憶装置を必要とする処理を行う。
【0034】
この制御により、以下の効果を得ることができる。
複数台の印刷装置の持つ記憶装置を複数台の印刷装置で相互に利用することにより、限られた資源を有効活用し、印刷効率を向上させることが可能となる。
【0035】
図4は、印刷装置1によるこの発明に関わる制御の第3例を示すフローチャートである。
印刷要求端末5から印刷装置1〜3のいずれかに送信された印刷データは、図2又は図3によって説明したように、同一ネットワーク7上に接続されている少なくともいずれかの印刷装置1〜3の記憶装置に保存される。
その記憶装置に保存された印刷データは、その印刷データを保存している記憶装置を参照することができる全ての印刷装置での処理に利用することができる。
【0036】
印刷装置1〜3はそれぞれ、ステップS21である印刷データ(ここでは「印刷データB」とする)の再印刷指示がなされると、ステップS22でその印刷データBが保存されている記憶装置を特定し、ステップS23でその特定した記憶装置に保存されている印刷データBを読み込んで再印刷処理を行う。つまり、印刷データBを特定した記憶装置上で印刷イメージに展開させ、その印刷イメージに基づいて印刷媒体に可視画像の印刷を行わせる。
【0037】
この制御により、以下の効果を得ることができる。
同一ネットワーク7上に接続された全ての印刷装置から全ての印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを利用することができるため、ある印刷装置で出力させた印刷データも、別の印刷装置で再利用(再印刷)することが可能となる。なお、各印刷装置で電子メール送信機能やファクシミリ機能を備えている場合には、それらの機能を用いてある印刷装置で出力させた印刷データを電子メール又はファクシミリ機能によって外部に送信することもできる。その場合の印刷データの送信先は、その印刷データの送信元の印刷装置又は印刷要求端末5でのユーザの操作によって指定することができる。
【0038】
図5は、印刷装置1によるこの発明に関わる制御の第4例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図2又は図3におけるマウント処理を省略している。
ある印刷装置内の記憶装置に印刷データを保存するとき、同時に別の印刷装置内の記憶装置に同じ印刷データのバックアップの保存を行う。あるいは、所定条件(ある印刷装置内の記憶装置に保存する印刷データ又はある印刷装置内の記憶装置の空き容量が所定量以上ある場合など)が成り立つ場合に印刷データのバックアップの保存を行う。
【0039】
印刷装置1は、印刷要求端末5から印刷指示と共に印刷データが送られてくると、ステップS31〜S34,S37で図2のステップS1〜S5,S7と同様の処理を順次行う。
そして、ステップS34で自身の記憶装置10を利用して記憶装置を必要とする処理を行った場合には、ステップS35でその記憶装置に保存した印刷データを空きのある他の印刷装置の記憶装置にバックアップとして保存した後、ステップS36で印刷処理を行う。ステップS37で他の印刷装置の記憶装置を利用して記憶装置を必要とする処理を行った場合には、ステップS35でその記憶装置に保存した印刷データを空きのある更に他の印刷装置の記憶装置にバックアップとして保存した後、ステップS36で印刷処理を行う。
【0040】
図6は、印刷装置1によるこの発明に関わる制御の第5例を示すフローチャートである。
印刷装置1〜3はそれぞれ、ステップS41である印刷データ(ここでは「印刷データB」とする)の再印刷指示がなされると、ステップS42でその印刷データBが保存されている記憶装置を特定する処理を行い、ステップS43でその記憶装置を特定できたか否かをチェックし、特定できていればステップS46でその特定した記憶装置に保存されている印刷データBを読み込んで再印刷処理を行う。
【0041】
印刷データBが保存されている記憶装置を特定できていない場合には、ステップS44で印刷データBのバックアップが保存されている記憶装置を特定し、ステップS45でその印刷データBをリストアし、ステップS46でその印刷データBを読み込んで再印刷処理を行う。
【0042】
図5および図6によって説明した制御により、以下の効果を得ることができる。
基本的に印刷装置が所有している記憶装置の容量は少ないことが多いため、少ない資源を有効に活用するために、印刷装置の電源を一度落としてから再度入れなおすと、記憶装置に保存していた印刷データ等が削除される場合がある。別の印刷装置内の記憶装置に印刷データのバックアップを保存しておくことで、電源断等で印刷装置の記憶装置内の印刷データがクリアされても、同じ印刷データの再利用(再印刷等)が可能となる。
【0043】
なお、いずれかの記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データが不要になった場合、その印刷データの削除は、所定のタイミング、例えば印刷要求端末5からデータ削除指示を受けたとき、所定回数の再印刷が実行された後、あるいはデータ保存時から所定時間経過後に実行するとよい。
【0044】
〔この発明に関わるプログラム〕
このプログラムは、印刷装置を制御するコンピュータ(CPU)に、この発明に関わる機能である接続手段,データサイズ計算手段,データ保存利用手段,データ利用手段,バックアップ保存手段,およびデータ削除手段としての機能を実現させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。
【0045】
このようなプログラムは、はじめからROMあるいはHDD(ハードディスク装置)等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAMや、EEPROM、メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。その不揮発性記録媒体に記録されたプログラムを印刷装置にインストールしてCPUに実行させるか、CPUにその不揮発性記録媒体からこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、ある印刷装置が他の印刷装置が持つ記憶装置を自己の記憶装置のように利用することにより、限られた資源を有効活用し、印刷効率を向上させることができる。したがって、効率の良い印刷が可能な印刷装置および印刷処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の一実施形態である印刷処理システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の印刷装置1によるこの発明に関わる制御の第1例を示すフロー図である。
【図3】同じくこの発明に関わる制御の第2例を示すフロー図である。
【図4】同じくこの発明に関わる制御の第3例を示すフロー図である。
【図5】同じくこの発明に関わる制御の第4例を示すフロー図である。
【図6】同じくこの発明に関わる制御の第5例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0048】
1,2,3:印刷装置 5:印刷要求端末 7:ネットワーク
10,20,30:記憶装置 11:記憶装置管理部 12:印刷処理部
13:印刷データ管理部 14:印刷データ検索処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを保存するための記憶装置を持つ印刷装置であって、
他の印刷装置と通信可能に接続する接続手段と、
外部から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、該印刷データのサイズを計算するデータサイズ計算手段と、
該データサイズ計算手段によって計算された印刷データのサイズが当該印刷装置が持つ記憶装置の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、前記他の印刷装置が持つ記憶装置をマウントして前記印刷データの保存に利用するデータ保存利用手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記他の印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを利用するデータ利用手段を設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の印刷装置において、
当該印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存するバックアップ保存手段を設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の印刷装置において、
前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データを所定のタイミングで削除するデータ削除手段を設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置において、
前記データ削除手段は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、外部からデータ削除指示を受けたときに実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4記載の印刷装置において、
前記データ削除手段は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、所定回数の再印刷が実行された後に実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項4記載の印刷装置において、
前記データ削除手段は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、該保存から所定時間経過後に実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
それぞれデータを保存するための記憶装置を持つ複数台の印刷装置を備えた印刷処理システムにおいて、
前記複数台の印刷装置にそれぞれ、
他の印刷装置と通信可能に接続する接続手段と、
印刷要求端末から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、該印刷データのサイズを計算するデータサイズ計算手段と、
該データサイズ計算手段によって計算された印刷データのサイズが当該印刷装置が持つ記憶装置の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、前記他の印刷装置が持つ記憶装置をマウントして前記印刷データの保存に利用するデータ保存利用手段とを設けたことを特徴とする印刷処理システム。
【請求項9】
請求項8記載の印刷処理システムにおいて、
前記複数台の印刷装置にそれぞれ、
前記他の印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを利用するデータ利用手段を設けたことを特徴とする印刷処理システム。
【請求項10】
請求項8又は9記載の印刷処理システムにおいて、
前記複数台の印刷装置にそれぞれ、
当該印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存するバックアップ保存手段を設けたことを特徴とする印刷処理システム。
【請求項11】
請求項10記載の印刷処理システムにおいて、
前記複数台の印刷装置にそれぞれ、
前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データを所定のタイミングで削除するデータ削除手段を設けたことを特徴とする印刷処理システム。
【請求項12】
請求項11記載の印刷処理システムにおいて、
前記データ削除手段は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、外部からデータ削除指示を受けたときに実行することを特徴とする印刷処理システム。
【請求項13】
請求項11記載の印刷処理システムにおいて、
前記データ削除手段は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、所定回数の再印刷が実行された後に実行することを特徴とする印刷処理システム。
【請求項14】
請求項11記載の印刷処理システムにおいて、
前記データ削除手段は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、該保存から所定時間経過後に実行することを特徴とする印刷処理システム。
【請求項15】
データを保存するための記憶装置を持つ印刷装置を制御するコンピュータに、
他の印刷装置と通信可能に接続する接続機能と、
外部から印刷指示と共に印刷データを受信した場合に、該印刷データのサイズを計算するデータサイズ計算機能と、
該データサイズ計算機能によって計算された印刷データのサイズが当該印刷装置が持つ記憶装置の利用可能な記憶容量を超えていた場合に、前記他の印刷装置が持つ記憶装置をマウントして前記印刷データの保存に利用するデータ保存利用機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記他の印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを利用するデータ利用機能をも実現させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項15又は16記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
当該印刷装置が持つ記憶装置に保存されている印刷データを前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存するバックアップ保存機能をも実現させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データを所定のタイミングで削除するデータ削除機能をも実現させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項18記載のプログラムにおいて、
前記データ削除機能は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、外部からデータ削除指示を受けたときに実行することを特徴とするプログラム。
【請求項20】
請求項18記載のプログラムにおいて、
前記データ削除機能は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、所定回数の再印刷が実行された後に実行することを特徴とするプログラム。
【請求項21】
請求項18記載のプログラムにおいて、
前記データ削除機能は、前記他の印刷装置が持つ記憶装置にバックアップとして保存されている印刷データの削除を、該保存から所定時間経過後に実行することを特徴とするプログラム。
【請求項22】
請求項15乃至21のいずれか一項に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−45756(P2009−45756A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211220(P2007−211220)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】