説明

印刷装置

【課題】課金モードと,非課金モードとで動作可能な印刷装置であって、その設計、製造が容易な構成を有する印刷装置を、提供する。
【解決手段】動作モードとして、課金モードと,非課金モードとを有する印刷装置10を、課金モード情報,或いは、非課金モード情報を,モード情報として記憶しておくための不揮発性記憶手段と、課金モードでの動作を指示するコマンドが制御端末30から送信されてきたときに、不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を課金モード情報に変更する,不揮発性記憶手段上のモード情報の変更が可能な唯一の手段であるモード情報変更手段を備えた装置であって、電源投入時に、不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を読み出し、モード情報が課金モード情報であった場合には、課金モードでの動作を開始し、モード情報が非課金モード情報であった場合には、非課金モードでの動作を開始する装置として構成しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作モードとして、自装置の利用に対して課金を行う課金モードと,自装置の利用に対して課金を行わない非課金モードとを有する印刷装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、印刷装置(プリンタ,複合機等)は、課金を行う形(印刷枚数等に応じた料金を徴収する形)で使用されることも、課金を行わない形使用されることもある装置となっている。このため、印刷装置は、自装置の利用に対して課金を行う課金モードと,自装置の利用に対して課金を行わない非課金モードとで動作可能な装置であることが望まれるが、通常の印刷装置(動作モードとして、非課金モードのみを有する印刷装置)を、操作パネルを操作することにより動作モードを変更できる印刷装置に改良する場合には、管理者のみが比較的に簡単な操作(ボタンの押下数が比較的に少ない操作)で動作モードの変更指示を出せるユーザインタフェースを設計するという煩雑な作業が必要とされることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の課題は、自装置の利用に対して課金を行う課金モードと,自装置の利用に対して課金を行わない非課金モードとで動作可能な印刷装置であって、その設計、製造が容易な構成を有する印刷装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明では、動作モードとして、自装置の利用に対して課金を行う課金モードと,自装置の利用に対して課金を行わない非課金モードとを有する印刷装置を、自装置の現在の動作モードが課金モードであることを示す課金モード情報,或いは、自装置の現在の動作モードが非課金モードであるかを示す非課金モード情報を,モード情報として記憶しておくための不揮発性記憶手段と、課金モードでの動作を指示するコマンドを受信したときに、不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を課金モード情報に変更し、非課金モードでの動作を指示するコマンドを受信したときに、不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を非課金モード情報に変更する手段であると共に、不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報の変更が可能な唯一の手段であるモード情報変更手段とを、備え、電源投入時に、不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を読み出し、読み出したモード情報が課金モード情報であった場合には、課金モードでの動作を開始し、読み出したモード情報が非課金モード情報であった場合には、非課金モードでの動作を開始する装置として構成しておく。
【0005】
すなわち、本発明の印刷装置は、非課金モードでの動作を指示するコマンドや課金モードでの動作を指示するコマンドをコンピュータに送信せるためのプログラムと組み合わせて使用すれば、課金モードで動作させることが可能な装置となっている。そして、そのようなプログラムを、管理者のみが比較的に簡単な操作で動作モードの変更指示を出せるように作成することは、コンピュータが、入力できる文字の種類が操作パネルよりも多く、表示可能な画面のサイズも操作パネルよりも大きい装置であるため、容易に行えることである。従って、本発明の印刷装置は、管理者のみが比較的に簡単な操作で動作モードの変更指示を出せるユーザインタフェースを設計するという煩雑な作業が必要とされない分、操作パネルの操作により動作モードを変更できる印刷装置よりも、その設計、製造が容易な構成を有する装置となっていると言うことが出来る。
【0006】
なお、本発明の印刷装置を実現するに際しては、装置の修理や調整が容易に行えるようにするために、装置筐体に設けられているいくつかのボタン(ユーザに各ボタンが非公開のもの)が押下された状態で電源が投入された場合には、不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報に依らず、非課金モードでの動作を開始するようにしておくことが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
まず、図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る印刷装置10の概要を、説明する。
【0009】
図1及び図2に示してあるように、本発明の一実施形態に係る印刷装置10は、スキャナユニット11,コントローラ12,操作パネル13,印刷エンジン14を備えた装置である。
【0010】
この印刷装置10が備えるスキャナユニット11は、自ユニットにセットされている原稿をスキャンすることにより、当該原稿に関する画像データを生成するユニットである。印刷エンジン14は、用紙上に印刷を行うユニットである。操作パネル13は、ユーザとの間のインタフェース手段として印刷装置10に設けられているユニットである。この操作パネル13は、比較的にサイズの大きなLCD,コピー作業を行う際に押下すべきコピーボタン,原稿の画像データファイルを生成する作業を行う際に押下すべきスキャンボタン等を備えたもの(図2参照)となっている。
【0011】
コントローラ12は、印刷装置10を、プリンタ,コピー機,スキャン装置(セットされている原稿の画像データファイルを生成して指定されたコンピュータ内に保存する装置)等として機能させるユニットである。このコントローラ12は、CPU,ROM,RAM,EEPROM,USBインタフェース回路,ネットワークインタフェース回路等から構成されたユニットとなっている。
【0012】
そして、本実施形態に係る印刷装置10は、図3(a)〜(b)に示したような形で,制御端末30と接続しておけば、自装置の利用に対して課金を行う状態で動作させることが可能な装置となっている。
【0013】
以上のことを前提に、以下、本実施形態に係る印刷装置10の構成及び動作を、さらに具体的に説明する。
【0014】
まず、印刷装置10と接続される制御端末30の構成及び動作を、説明する。
【0015】
制御端末30は、印刷装置10用のものとして作成した印刷装置管理プログラムを、ICカードリーダを備えたコンピュータにインストールした装置である。
【0016】
印刷装置管理プログラムは、自身がインストールされているコンピュータを、課金モード移行指示コマンド,非課金モード移行指示コマンド,モード指示コマンド,徴収済料金通知コマンド,IPアドレス通知コマンド,終了指示コマンド等を、印刷装置10へ送信する機能、受信した印刷データを内部に保存する機能、内部に保存している印刷データ(ユーザにより指定されたもの)を印刷装置10へ送信する機能等を有する装置(つまり、制御端末30)として動作させるプログラムとなっている。
【0017】
上記した各種コマンド(以下、制御コマンドと表記する)のうち、課金モード移行指示コマンドは,それを受信した印刷装置10が,自装置の利用に対して課金を行う装置としての動作を開始するコマンド(本発明の“課金モードでの動作を指示するコマンド”に相当)である。非課金モード移行指示コマンドは,それを受信した印刷装置10が,自装置の利用に対して課金を行わない装置としての動作を開始するコマンド(本発明の“非課金モードでの動作を指示するコマンド”に相当)である。これらのコマンドは、いずれも、管理者パスワードの入力を含む所定手順の操作がなされた際に,制御端末30が送信するコマンド(換言すれば、管理者のみが送信指示を出せるコマンド)となっている。
【0018】
モード指示コマンドは、印刷装置10の動作モードを指示するためのコマンド(プリントモード,コピーモード或いはスキャンモードを示すモード指定情報を含むコマンド)である。徴収済料金通知コマンドは、ユーザから徴収した金額(ユーザに前払いさせた金額)を示す情報を含むコマンドである。これらのコマンドは、印刷装置10の動作モードを指定し,前払い金額を入力し,自身のICカード(支払い可能残高などが記憶されているICカード)をICカードリーダに翳す,といった一連の操作(以下、利用開始操作と表記する)がなされた場合に,制御端末30が、モード指示コマンド,徴収済料金通知コマンドの順で、送信するコマンドとなっている。
【0019】
終了指示コマンドは、終了指示が入力されたときに、制御端末30が送信するコマンドである。制御端末30は、印刷装置10をスキャンモード或いはコピーモードで動作させるための利用開始操作がなされた場合には、スキャンモード或いはコピーモードでの動作を指示するモード指示コマンドと徴収済料金通知コマンドとを印刷装置10へ送信した後、即座に、終了指示の入力を受け付ける待機状態に移行するように構成された装置となっている。なお、待機状態は、料金の追加指示の入力も受け付ける状態(徴収済料金通知コマンドを印刷装置10へ送信することがある状態)となっている。
【0020】
さらに、制御端末30は、印刷装置10をプリントモードで動作させるための利用開始操作がなされた場合には、プリントモードでの動作を指示するモード指示コマンドと徴収済料金通知コマンドとを印刷装置10へ送信した後、印刷データ/IPアドレス指定受付処理を行ってから、待機状態に移行する装置となっている。ここで、印刷データ/IPアドレス指定受付処理とは、自装置を、『ユーザが、自装置内に保存されている印刷データの中から,印刷を行う印刷データを指定することと,印刷データの送信源として使用するユーザPCのIPアドレスを指定することが可能な装置』として動作させ、印刷データが指定された場合には、その印刷データを印刷装置10へ送信し、IPアドレスが指定された場合には、そのIPアドレスを含めたIPアドレス通知コマンドを印刷装置10へ送信する処理のことである。
【0021】
また、制御端末30は、上記した各種の制御コマンドを、ネットワークケーブル経由で印刷装置10へ送信する場合には、特別なポートへ宛てて制御コマンドを送信する装置(特殊なポート番号が,宛先ポート番号として設定されている制御コマンドパケットを送信する装置)であると共に、USBケーブル及びネットワークケーブルで印刷装置10と接続されている場合には、制御コマンド,印刷データの印刷装置10への送信を,USBケーブルを介して行う装置ともなっている。
【0022】
次に、印刷装置10の動作(コントローラ12の動作)を、説明する。
【0023】
印刷装置10に用いられているコントローラ12は、図4に示してあるように、I/F制御部21,課金制御部22,パネル制御部23及び主制御部24として機能するユニットとなっている。
【0024】
パネル制御部23は、各種画面(コピー操作画面等)を操作パネル13のLCD上に表示する処理や、ユーザにより設定された処理条件(コピー条件等)を主制御部24に通知する処理を行うユニット(機能ブロック)である。
【0025】
このパネル制御部23は、動作モードとして、非課金モードと,待機モードと,プリント用課金モードと,コピー用課金モードと,スキャン用課金モードとを有するユニットとなっている。ここで、非課金モードとは、操作パネル13を、機能しないボタンがないユニットとして機能させる動作モードのことである。待機モードとは、所定内容の画面(印刷装置10を使用するためには,制御端末30を操作する必要があることユーザに知らせるための画面)を操作パネル13のLCD上に表示した後,何も行わない(操作パネル13上の各ボタンの押下を無視する)動作モードのことである。プリント用課金モードとは、印刷装置10がプリントモードで動作している旨を示す画面をLCD上に表示した後、何も行わない動作モードのことである。また、コピー用課金モードとは、操作パネル13を、コピー条件を設定することやコピーの開始を指示することは可能であるが、印刷装置10の動作モードを変更できないユニットとして機能させる動作モードのことであり、スキャン用課金モードとは、操作パネル13を、スキャン条件を指定することやスキャンの開始を指示することは可能であるが、動作モードを変更できないユニットとして機能させる動作モードのことである。
【0026】
I/F制御部21は、USBインタフェース及びネットワークインタフェースを制御する(USBケーブル及びネットワークケーブルを介して送信されてきた情報を受信する)ユニットである。このI/F制御部21の基本的な機能は、受信した印刷データを主制御部24へ供給し、受信した制御コマンドを課金管理部22へ供給するといったものである。ただし、I/F制御部21は、動作モードとして、印刷データのフィルタリングを行わない(全ての印刷データを主制御部24へ供給する)非課金モードと、課金制御部22が指定した条件を満たす印刷データのみを主制御部24へ供給する課金モード(詳細は後述)と、全ての印刷データを破棄する待機モードとを有するユニットとなっている。
【0027】
主制御部24は、I/F制御部21から印刷データが供給された場合には、その印刷データに応じた内容の印刷物を印刷エンジン14に生成させるための印刷処理を行い、パネル制御部23から処理条件が通知された場合には、当該処理条件が示している処理(印刷装置10を、コピー機/スキャン装置として機能させるコピー処理/スキャン処理)を行うユニットである。この主制御部24は、処理の開始や,処理の進捗状況を課金管理部22が把握できるものであると共に、処理の中止/再開を,課金管理部22が指示できるものとなっている。
【0028】
課金制御部22は、印刷装置10の電源が投入されると、図5に示した手順の処理を開始するユニットである。
【0029】
すなわち、課金制御部22は、印刷装置10の電源が投入されると、まず、課金モードフラグの値が,ONであるかOFFであるを判断する(ステップS101)。ここで、課金モードフラグ(本発明のモード情報に相当)とは、コントローラ12のEEPROM上に記憶されている情報(工場出荷時の値は,OFF)のことであり、本実施形態に係る印刷装置10は、この課金モードフラグの値が、図5の流れ図中のステップS103及びステップS109の処理でしか変更されない装置(操作パネル13に対する操作等では課金モードフラグの値を変更できない装置)となっている。
【0030】
課金制御部22は、課金モードフラグの値がOFFであった場合(ステップS101;NO)には、課金モード移行指示コマンドの受信(I/F制御部21からの課金モード移行指示コマンドの供給)を監視する処理(ステップS102)を開始する。なお、図5には示していないが、課金制御部22は、操作パネル13上の複数のボタン(ユーザには、組み合わせが知らされていないボタン群)が押下されている状態で電源が投入された場合には、上記したステップS101の処理を行うことなく、このステップS102の処理を開始するユニットとなっている。
【0031】
そして、課金制御部22は、課金モード移行指示コマンドが受信された場合(ステップS102;YES)には、EEPROM上の課金モードフラグの値をONに変更すると共に、課金モード移行指示コマンドの送信元に関する送信元情報をEEPROM上に記憶する処理(ステップS103)を行う。この処理は、USBケーブルにより課金モード移行指示コマンドが送信されてきた場合には、その旨を示す情報(制御端末30がUSB接続されていることことを示す情報)を、送信元情報としてEEPROM上に記憶し、ネットワークケーブルにより課金モード移行指示コマンドが送信されてきた場合には、課金モード移行指示コマンドの送信元機器のIPアドレスを、送信元情報としてEEPROM上に記憶する処理となっている。
【0032】
ステップS103の処理を終えた課金制御部22は、パネル制御部23,I/F制御部21の動作モードを、それぞれ、待機モードに変更する処理(ステップS104)を行う。また、課金制御部22は、課金モードフラグの値がOFFであった場合(ステップS101;NO)には、ステップS102の処理等を行うことなく、このステップS104の処理を行う。
【0033】
そして、ステップS104の処理を終えた課金制御部22は、各種のイベント(各種制御コマンドの供給、主制御部24による印刷処理,コピー処理,スキャン処理の開始等)の発生を監視する処理(ステップS105)を開始し、モード指示コマンド,徴収済料金通知コマンド或いはIPアドレス通知コマンドがI/F制御部21から供給された場合(ステップS105;制御コマンド供給)には、ステップS106にて、供給された制御コマンドに応じた内容の処理を行う。
【0034】
具体的には、課金制御部22は、スキャンモード或いはコピーモードでの動作を指示するモード指示コマンドが供給された場合(ステップS105;制御コマンド供給)には、ステップS106にて、パネル制御部23をスキャン用課金モード或いはコピー用課金モードで動作させるための処理を、行う。
【0035】
また、課金制御部22は、プリンタモードでの動作を指示するモード指示コマンドが供給された場合(ステップS105;制御コマンド供給)には、パネル制御部23をプリント用課金モードで動作させるための処理と、フィルタリング対象変更処理とを、ステップS106にて、行う。ここで、フィルタリング対象変更処理とは、EEPROM上の送信元情報が“制御端末30がUSB接続されていることを示す情報”であった場合には、I/F制御部21を,USBケーブルにより送信されてきた印刷データのみを主制御部24に供給する課金モード(ネットワークケーブルにより送信されてきた各印刷データを破棄する課金モード)で動作させ、送信元情報がIPアドレスであった場合には、I/F制御部21を,そのIPアドレスを有する機器からの印刷データのみを主制御部24に供給する課金モード(他のIPアドレスを有する機器からの各印刷データ、USB接続されている機器からの各印刷データを破棄する課金モード)で動作させる処理のことである。
【0036】
課金制御部22は、徴収済料金通知コマンドが供給された場合(ステップS105;制御コマンド供給)には、ステップS106にて、自身が管理している残高に,その収済料金通知コマンド内の情報が示している金額を加算する処理を行う。また、課金制御部22は、IPアドレス通知コマンドが供給された場合(ステップS105;制御コマンド供給)には、ステップS106にて、I/F制御部21の状態を、当該IPアドレス通知コマンドに含まれていたIPアドレスを有する機器からの印刷データも主制御部24に供給する状態に変更する処理を行う。
【0037】
ステップS106の処理を終えた課金制御部22は、各種のイベントの発生を監視している状態(ステップS105の処理を実行している状態)に戻る。そして、課金制御部22は、主制御部24が処理(印刷処理,コピー処理或いはスキャン処理)を開始したことを検出した場合には、ステップS107にて、処理の進捗状況に応じて残高を減少させつつ、残高がなくなるまで(残高が,1枚の印刷/コピー/画像データ化の対価として定められている印刷単価/コピー単価/画像データ化単価未満となるまで)、主制御部24に処理を実行させる処理(残高がなくなったときに、主制御部24に対して、処理の中止を指示する処理)を、行う。
【0038】
なお、図5には示していないが、課金制御部22は、残高不足により、主制御部24の処理を中止させた場合には、制御端末30に、その旨を示す残高不足情報を送信した後、徴収済料金通知コマンド,或いは、終了指示コマンドが供給されるのを監視する状態(徴収済料金通知コマンドが供給された場合には、残高に徴収済料金通知コマンド内の情報が示している金額を加算した後、主制御部24に、処理の続行を指示し、終了指示コマンドが供給された場合には、処理の終了を指示してから、ステップS108の処理を開始する状態)に移行するユニットとなっている。また、制御端末30は、残高不足情報を受信した場合、ユーザに、料金の追加(或いは、終了指示の入力)を促す装置となっている。さらに、課金制御部22は、ステップS107の処理時に使用する単価を、外部から設定できるユニットともなっている。
【0039】
ステップS107の処理が正常に(残高不足が生ずることなく)終了した場合、課金制御部22は、各種のイベントの発生を監視している状態(ステップS105の処理を実行している状態)に戻る。
【0040】
課金制御部22は、終了指示コマンドが供給された場合(ステップS105;終了指示コマンド供給)には、その時点における残高を示す残高情報を制御端末30に送信した後、残高を“0”に変更する払い戻し処理(残高情報を受信した制御端末30によって、当該情報が示している金額が、ユーザのICカード内の支払い可能金額に加算されることになる処理;ステップS108)を行う。そして、課金制御部22は、パネル制御部23,I/F制御部21の動作モードを、それぞれ、待機モードに変更する処理(ステップS104)を行ってから、各種のイベントの発生を監視している状態(ステップS105の処理を実行している状態)となる。
【0041】
また、課金制御部22は、非課金モード移行指示コマンドが供給された場合(ステップS105;非課金モード移行指示コマンド供給)には、課金モードフラグの値をOFFに変更する処理(ステップS109)と、パネル制御部23,I/F制御部21の動作モードを、非課金モードに変更する処理(ステップS110)とを行ってから、課金モード移行指示コマンドがI/F制御部21によって受信される(課金モード移行指示コマンドがI/F制御部21から供給される)のを監視する状態(ステップS102の処理を行っている状態)となる。
【0042】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る印刷装置10は、印刷装置管理プログラムがインストールされた制御端末30と組み合わせて使用すれば、自装置の利用に対して課金を行う状態での動作を開始する装置となっている。そして、入力できる文字の種類が操作パネル13よりも多く、表示可能な画面のサイズも操作パネル13よりも大きいコンピュータ用のプログラムである印刷装置管理プログラムを作成することは、印刷装置用の、管理者のみが比較的に簡単な操作で動作モードの変更指示を出せるユーザインタフェースを設計することよりも、極めて簡単に行えることである。従って、この印刷装置10は、管理者のみが比較的に簡単な操作で動作モードの変更指示を出せるユーザインタフェースを設計するという煩雑な作業が必要とされない分、操作パネルの操作により課金モード,非課金モード間のモード変更を行える印刷装置よりも、その設計、製造が容易な装置となっていると言うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の構成図。
【図2】実施形態に係る印刷装置の外観図。
【図3】実施形態に係る印刷装置の使用形態の説明図。
【図4】印刷装置が備えるコントローラの機能ブロック図。
【図5】印刷装置が備えるコントローラの,課金制御部としての動作手順を示した流れ図。
【符号の説明】
【0044】
11 スキャナユニット、 12 コントローラ、 13 操作パネル
14 印刷エンジン、 21 I/F制御部21, 22 課金制御部
23 パネル制御部、 24 主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モードとして、自装置の利用に対して課金を行う課金モードと,自装置の利用に対して課金を行わない非課金モードとを有する印刷装置であって、
自装置の現在の動作モードが課金モードであることを示す課金モード情報,或いは、自装置の現在の動作モードが非課金モードであるかを示す非課金モード情報を,モード情報として記憶しておくための不揮発性記憶手段と、
課金モードでの動作を指示するコマンドを受信したときに、前記不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を前記課金モード情報に変更し、非課金モードでの動作を指示するコマンドを受信したときに、前記不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を前記非課金モード情報に変更する手段であると共に、前記不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報の変更が可能な唯一の手段であるモード情報変更手段とを、備え、
電源投入時に、前記不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報を読み出し、読み出したモード情報が前記課金モード情報であった場合には、前記課金モードでの動作を開始し、読み出したモード情報が前記非課金モード情報であった場合には、前記非課金モードでの動作を開始する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
装置筐体に設けられているいくつかのボタンが押下された状態で電源が投入された場合には、前記不揮発性記憶手段に記憶されているモード情報に依らず、前記非課金モードでの動作を開始する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−137333(P2008−137333A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327766(P2006−327766)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】