説明

印刷装置

【課題】複数の印刷ヘッドに設けられたインク吐出部にて印刷される画像の濃度差を容易に調整可能な印刷装置等を実現する。
【解決手段】複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備えた印刷装置にて、印刷すべき画像データを、印刷するインク吐出部ごとに複数の記憶領域に記憶し、記憶されている画像データを、記憶領域ごとに、各インク吐出部にて印刷される画像の濃度と、基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備えた印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備えた印刷装置として、例えば複数の印刷ヘッドを有するインクジェット方式のプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなインクジェット方式のプリンタにあっては、各印刷ヘッドが同色のインクを吐出するインク吐出部をそれぞれ有している。そして、1つの画像を複数の印刷ヘッドを用いて印刷する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−1510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1つの画像を複数の印刷ヘッドを用いて印刷する場合、1つの画像において同色のインクにて印刷される部分が、異なる印刷ヘッドに設けられた複数のインク吐出部にて印刷されることになる。異なる印刷ヘッドに設けられたインク吐出部は、インクの吐出特性が相違する場合がある。1つの画像が異なる吐出特性のインク吐出部にて印刷された場合には、印刷された画像の濃度が相違し、色むらが発生したり、画像の同色の部位であっても色調が異なる画像が印刷される畏れがある。このため、各インク吐出部にて印刷される画像の濃度等を調整することが考えられるが、複数の印刷ヘッドを有する場合には、調整すべきインク吐出部が多く、インク吐出部毎に調整を行うと、制御が煩雑である。
【0005】
この発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、複数の印刷ヘッドに設けられたインク吐出部にて印刷される画像の濃度差を容易に調整可能な印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
主たる発明は、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける濃度対応情報と、を有し、印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置において、前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域を備え、前記画像データを、記憶されている前記記憶領域ごとに変換することを特徴とする印刷装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明確にする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の印刷ヘッドに設けられたインク吐出部にて印刷される画像の濃度差を容易に調整することが可能な印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明にかかる印刷装置としてのインクジェットプリンタの構成の概略を示す斜視図。
【図2】インクジェットプリンタが有する印刷部の構成の概略を示す説明図。
【図3】印刷部を説明するための断面図。
【図4】1つの印刷ヘッドの下面におけるノズルの配置を説明するための図。
【図5】キャリッジを矢印A(図3)の方向から見た図。
【図6】プリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図7】駆動制御部(図6)内に設けられた駆動信号生成部の構成を示すブロック図。
【図8】駆動信号生成部の動作を示す原駆動信号ODRV、印刷信号PRT(i)、駆動信号DRV(i)のタイミングチャート。
【図9】反射型光学式センサ31の一例を説明するための模式図。
【図10】カラーキャリブレーションにて用いられる変換データテーブルの概念を説明するための図。
【図11】吐出量情報のデータテーブルの一例を示す図。
【図12】印刷データを生成する処理を説明するためのフローチャート。
【図13】データが印刷されるノズル列ごとに記憶領域を分けて格納されるメモリを示す概念図。
【図14】本発明の他の構成を説明するためのブロック図。
【図15】濃度データテーブルの生成方法の一例を説明するための図。
【図16】印刷システムの外観構成を示した説明図。
【図17】図16に示した印刷システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0011】
複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける濃度対応情報と、を有し、印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置において、前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域を備え、前記画像データを、記憶されている前記記憶領域ごとに変換することを特徴とする印刷装置である。
【0012】
上記印刷装置は、複数のインク吐出部群を備え、各インク吐出部群は、それぞれ複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有している。このため、同色のインクを吐出する複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度を均一に合わせることが望ましい。そして、上記印刷装置は、各インク吐出部から吐出されるインクの量と、基準量との差異を示す吐出量情報により各インク吐出部と、既定インク吐出部とが対応付けられ、インク吐出部にて印刷した画像の濃度と、基準量のインクによる画像の濃度とが、濃度対応情報により対応付けられる。このため、複数のインク吐出部群がそれぞれ有する同色のインクを吐出するインク吐出部であっても、吐出量情報と、濃度対応情報とに基づいて、各インク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように、画像データを容易に変換することが可能である。特に、画像データは、印刷する前記インク吐出部ごとに各々別の記憶領域に記憶され、記憶されている記憶領域ごとに一括して変換するので、変換処理が容易である。また、画像データから印刷データを生成する段階にて、記憶されている記憶領域ごとに一括して変換する、すなわち印刷動作と並行して変換処理が実行されないため、変換処理を短時間にて実行することが可能であり、スループットを高めることが可能である。
【0013】
かかる印刷装置において、前記吐出量情報は、所定の信号に基づいて吐出されるインクの前記基準量に対する、前記所定の信号に基づいて前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量の偏差であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、各インク吐出部から吐出されたインクの量と、基準量との差異を、基準値に対する偏差を示す情報として有しているため、各インク吐出部から吐出されたインクの量と、基準量との差異を、演算処理等を実行することなく明確に把握することが可能である。
【0014】
かかる印刷装置において、前記基準量は、基準となる量のインクを吐出するインク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であり、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量は、各インク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、基準量、及び、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量は、いずれも実測値なので、実際に吐出されたインクの量に基づいて複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように画像データが変換されるため、印刷された画像に濃度ムラが生じ難く、色合いの異なる画像が印刷されることを抑えることが可能である。
【0015】
かかる印刷装置において、前記複数のインク吐出部は、それぞれサイズが異なる複数種類のドットを形成可能であり、前記複数のインク吐出部から吐出されたインクの量は、前記複数種類のドットのうち、最も大きなサイズのドットを形成するために吐出したインクの量を実測した値であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、最も大きなサイズのドットを形成するために吐出するインクの量は、他のサイズのドットを形成するために吐出するインクの量より多いため、ミストになり難く、インク吐出部の状況や測定環境の影響を受けにくいため、誤差が少なく正確な測定が可能である。よって、正確な吐出量情報が得られるため、画像データをより適切に変換することが可能である。
【0016】
かかる印刷装置において、前記吐出量情報は、前記インク吐出部からそれぞれ吐出されたインクにて印刷された所定の印刷パターンの濃度と、前記基準量のインクを吐出して印刷された前記所定の印刷パターンの濃度に基づいて求められることが望ましい。
このような印刷装置によれば、実際に印刷された印刷パターンにもとづく吐出量情報を得ることが可能である。このため、複数のインク吐出部群がそれぞれ有する同色のインクを吐出するインク吐出部であっても、実機に則した吐出量情報と、濃度対応情報とに基づいて、各インク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差がより小さくなるように、画像データを容易に変換することが可能である。
【0017】
かかる印刷装置において、前記所定の印刷パターンの濃度を測定可能な濃度測定部を有し、前記吐出量情報は、前記所定の印刷パターンの濃度を前記濃度測定部にて測定した値に基づいて求めることが望ましい。
このような印刷装置によれば、印刷パターンを印刷した印刷装置から、印刷パターンが印刷された媒体を取り外すことなく、印刷パターンの濃度を測定することが可能である。
【0018】
かかる印刷装置において、前記濃度測定部は、前記インク吐出部群と一体に設けられていることが望ましい。
このような印刷装置によれば、インク吐出部と濃度測定部との相対位置が変化しないので、濃度測定器の位置と印刷パターンの位置とを認識し、適正な位置にて濃度を測定することが可能である。
【0019】
かかる印刷装置において、前記印刷パターンは、所定方向に搬送される媒体に印刷され、前記濃度測定部は、前記インク吐出部群に対し、前記所定方向の下流側に設けられていることが望ましい。
このような印刷装置によれば、印刷パターンを印刷した後に、印刷パターンが印刷された媒体を逆方向に搬送することなく、濃度測定部にて濃度を測定することが可能である。このため、印刷パターンを印刷し、濃度を測定する際の処理が容易であり、且つ、短時間にて効率よく実行することが可能である。
かかる印刷装置において、前記吐出量情報は、前記印刷パターンの濃度を外部に設けられた濃度測定器にて測定した値に基づいて求めることとしてもよい。
このような印刷装置によれば、印刷装置に濃度測定部を設けることなく、各インク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように、画像データを容易に変換することが可能である。
【0020】
かかる印刷装置において、前記濃度対応情報は、所定領域内に設けられ1つの画素を形成可能な単位画素形成領域の総数に対する当該所定領域に形成する画素数にて表される画素形成割合と、前記画素形成割合に基づいて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、および、前記画素形成割合に基づいて前記既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度とを対応付けた情報であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、画素形成割合は所定領域においてドットを形成する量を示しているので、同一の画像形成割合に基づいて画像を印刷すると同じドットパターンの画像が印刷されることになる。このため、同一の画像形成割合に基づいて、基準量のインクを吐出するインク吐出部、および、既定インク吐出部にて画像を印刷した際に、各インク吐出部から吐出されたインクの量によりドットのサイズが異なることによる画像濃度の差異を対比することが可能である。そして、画素形成割合と、基準量により印刷した画像の濃度、および、前記既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度とを対応付けることにより、異なる複数種類の吐出量情報のインク吐出部にて印刷した画像の濃度と、基準量により印刷した画像の濃度とを対応付けることが可能である。すなわち、この濃度対応情報と、各インク吐出部の吐出量情報とに基づいて、各インク吐出部にて印刷される画像の濃度と、基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように画像データを確実に変換することが可能である。
【0021】
かかる印刷装置において、前記画素形成割合に基づいて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、及び、前記画素形成割合に基づいて前記既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度は、実測した値であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、画素形成割合に基づいて、基準量のインクにより印刷した画像の濃度、及び、既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度は、いずれも実測値なので、実際に吐出されたインクの量に基づく濃度対応情報により、複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように画像データが変換されるため、濃度ムラや色合いの異なる画像が印刷されることを抑え、良好な画像を印刷することが可能である。
【0022】
かかる印刷装置において、前記画像データは、画素ごとに当該画素の濃度を示す階調値を有し、前記階調値を、前記吐出量情報と、前記濃度対応情報とに基づいて、当該階調値にて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した場合の画像の濃度と同じ濃度の画像が印刷されるように、変換することが望ましい。
このような印刷装置によれば、画像データの各画素が有する階調値を、前記吐出量情報と、前記濃度対応情報とに基づいて、当該階調値にて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した場合の画像の濃度と同じ濃度の画像が印刷されるように、変換するので、いずれのインク吐出部にて印刷された画像であっても、基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した場合の画像の濃度と同じ濃度に印刷されるため、印刷した画像に濃度ムラが生じることなく、色合いが均一の良好な画像を印刷することが可能である。
【0023】
かかる印刷装置において、前記インク吐出部群を複数有するインク吐出部群集合体を少なくとも2つ備え、前記インク吐出部群集合体ごとに対応付けられた画像処理部を各々有し、前記インク吐出部群集合体が有する同色のインクを吐出するインク吐出部は、当該インク吐出部群集合体に対応付けられた前記画像処理部にて前記画像データが各々変換されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、インク吐出部群集合体ごとに画像処理部を有しているので、各インク吐出部群集合体にて画像を印刷することが可能である。各インク吐出部群集合体は、同色のインクを吐出するインク吐出部を少なくとも2つ有しているので、各インク吐出部群集合体が有する同色のインクを吐出するインク吐出部にて印刷される画像の濃度の差が小さくなるように画像データを変換することにより、各インク吐出部群集合体にて印刷される画像において濃度ムラや色合いの異なる画像が印刷されることを抑えることが可能である。
【0024】
また、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、所定の信号に基づいて吐出されるインクの前記基準量に対する、前記所定の信号に基づいて前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量の偏差を示す吐出量情報と、所定領域内に設けられ1つの画素を形成可能な単位画素形成領域の総数に対する当該所定領域に形成する画素数にて表される画素形成割合と、前記画素形成割合に基づいて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、および、前記画素形成割合に基づいて前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷した画像の濃度とを対応付けた濃度対応情報と、を有し、印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置において、前記基準量は、基準となる量のインクを吐出するインク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であり、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量は、各インク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であり、前記複数のインク吐出部は、それぞれサイズが異なる複数種類のドットを形成可能であり、前記複数のインク吐出部から吐出されたインクの量は、前記複数種類のドットのうち、最も大きなサイズのドットを形成するために吐出したインクの量を実測した値であり、前記画素形成割合に基づいて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、及び、前記画素形成割合に基づいて前記既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度は、実測した値であり、前記画像データは、画素ごとに当該画素の濃度を示す階調値を有し、前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域を備え、前記画像データの前記階調値を、記憶されている前記記憶領域ごとに、前記吐出量情報と、前記濃度対応情報とに基づいて、当該階調値にて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した場合の画像の濃度と同じ濃度の画像が印刷されるように、変換することを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、既述のすべての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0025】
また、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける濃度対応情報と、を有し、印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置にて実行されるコンピュータプログラムにおいて、前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域に記憶し、記憶された前記記憶領域ごとに前記画像データを変換することを特徴とするコンピュータプログラムも実現可能である。
【0026】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続され、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、 前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける濃度対応情報と、を有し、印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置と、を有する印刷システムにおいて、前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域を備え、前記画像データを、記憶されている前記記憶領域ごとに変換することを特徴とする印刷システムも実現可能である。
【0027】
また、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける、吐出するインクの色に応じた濃度対応情報と、に基づいて、少なくとも2つのインク吐出部群の、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように、印刷すべき画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに複数の記憶領域に記憶するステップと、前記複数の記憶領域に記憶されている前記画像データを、記憶されている前記記憶領域ごとに変換するステップと、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出するステップと、を有する印刷方法も実現可能である。
【0028】
===印刷装置の全体構成===
図1は、本発明にかかる印刷装置としてのインクジェットプリンタの構成の概略を示す斜視図、図2は、インクジェットプリンタが有する印刷部の構成の概略を示す説明図、図3は、印刷部を説明するための断面図である。
【0029】
本発明にかかる印刷装置としてのインクジェットプリンタ(以下、プリンタという)20は、例えばJIS規格のA列0番用紙やB列0番用紙やロール紙といった比較的大型の印刷用紙Pに対応したプリンタである。プリンタ20は、インクを吐出して印刷用紙Pに印刷する印刷部22と、印刷用紙Pを搬送するための印刷用紙搬送部21とに大別される。以下で各部について説明する。
【0030】
===印刷部===
印刷部22は、インク吐出部群としての印刷ヘッド28を複数保持するキャリッジ30と、このキャリッジ30を、前記印刷用紙Pの搬送方向とほぼ直交する方向(以下、キャリッジ移動方向または左右方向ともいう)に往復移動可能に案内するための上下一対のガイドレール11と、前記キャリッジ30を往復移動させるためのキャリッジモータ12と、キャリッジモータ12の動力を伝達しキャリッジ30を往復移動させるための駆動ベルト13とを備えている。
【0031】
ガイドレール11は、キャリッジ移動方向に沿って2本設けられ、搬送方向に互いに間隔を隔てて上下に配置され、左右の両端部側にて基台となるフレーム(図示せず)により支持されている。このとき、2本のガイドレール11は、下側のガイドレール11bが上側のガイドレール11aより手前に配置されている。このため、これら2本のガイドレール11a,11bに架け渡されるように配置されるキャリッジ30は、上部が後方に位置するように傾斜した状態にて移動する。
【0032】
駆動ベルト13は、金属製の帯状体であり、上下のガイドレール11a,11bの中間位置にて、ガイドレール11a,11bの長さとほぼ等しい間隔を隔てて配置された2つのプーリ44a,44bに架け渡されている。これらプーリ44a,44bのうち一方のプーリ44bはキャリッジモータ12の軸に固定されている。この駆動ベルト13は、キャリッジ30の左端縁および右端縁にそれぞれ固定されている。
【0033】
キャリッジ30には複数色のインクをそれぞれ吐出するための20個の印刷ヘッド28が設けられている。各印刷ヘッド28は同色のインクを吐出する複数のノズルnが列状に配置されたインク吐出部としてのノズル列を有し、後述する駆動制御部330(図6参照)に制御されて所定のノズルnからインクを吐出する。印刷ヘッド28及びノズルnの配列については後述する。また、キャリッジ30には、搭載された20個の印刷ヘッド28に、各印刷ヘッド28にて吐出するインクを一時的に貯留する複数のサブタンク3が搭載されている。キャリッジ30のキャリッジ移動方向の移動範囲の外側には、サブタンク3にインクを供給するためのメインタンク9が設けられている。また、キャリッジ30には、印刷用紙等の先端位置や紙幅等を検知するための反射型光学式センサ31が、印刷用紙等と対向する側に設けられている。この反射型光学式センサ31は、印刷されたパターン等の濃度を測定するための濃度測定部としても用いられる。
【0034】
また、キャリッジ30は、図3に示すように2段のサブタンク用プレート30A、30Bを備えている。サブタンク用プレート30A、30B上には、それぞれ複数のサブタンク3が搭載されている。各サブタンク3は、バルブ4を経由して印刷ヘッド28の各々に接続されている。また、サブタンク3は、インク供給路14(図2)によってメインタンク9に接続されている。メインタンク9は、印刷ヘッド28から吐出するブラックK、シアンC、淡シアンLC、マゼンタM、淡マゼンタLM、イエロYの6種類のインクを格納している。
【0035】
この実施の形態では、ブラックK、シアンC、淡シアンLC、マゼンタM、淡マゼンタLM、イエロYの6色のインクのサブタンク3a〜3fが設けられている。これらの6つのサブタンク3a〜3fは、対応する6つのメインタンク9a〜9fにそれぞれ接続されている。但し、利用可能なインクは6色に限らず、4色のインク(例えば、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエロY)や、7色のインク(例えば、ブラックK、淡ブラックLK、シアンC、淡シアンLC、マゼンタM、淡マゼンタLM、イエロY)等、上記の例に限ることなく利用することができる。
【0036】
プリンタ20は、キャリッジ30がキャリッジモータ12により駆動される駆動ベルト13に牽引されて、ガイドレール11に沿ってキャリッジ移動方向に移動し、このキャリッジ30に備えられた20個の印刷ヘッド28からインクを吐出することにより、印刷用紙搬送部21により搬送された印刷用紙Pに印刷する。
【0037】
===ノズル及び印刷ヘッドの配置===
図4は1つの印刷ヘッド28の下面におけるノズルの配置を説明するための図である。印刷ヘッド28の下面には、48個のノズルが印刷用紙Pの搬送方向に列状に配置されたノズル列が、吐出するインク色毎に設けられている。各インク色のノズル列、すなわちブラックノズル列K、濃シアンノズル列C、淡シアンノズル列LC、濃マゼンタノズル列M、淡マゼンタノズル列LM、イエロノズル列Yは、ガイドレール11に沿う方向に間隔を隔てて並べて配置されている。各ノズルには、各々のノズルからインクを吐出するための駆動素子としてピエゾ素子PE(図7)が設けられている。
【0038】
図5は、キャリッジ30を矢印A(図3)の方向から見た図である。当然のことながら図5に示す左右の方向は図1に示す左右の方向とは逆方向となる。キャリッジ30は、20個の印刷ヘッド28a,28b,・・・,28tから構成される印刷ヘッド群27を備えている。20個の印刷ヘッド28は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って、互いに間隔を隔てて5個ずつ配置された印刷ヘッド列が、キャリッジ移動方向に沿って4列並べられている。各印刷ヘッド28a,28b,・・・,28tが有するノズルの位置は、印刷用紙の搬送方向において一致しないように配置されている。例えば図5に示すように、各列の最上位置に位置する4つの印刷ヘッド28a,28f,28k、28pでは、図5における最も右に位置する印刷ヘッド28aが最も上側に位置し、右から3列目の最上位置の印刷ヘッド28kが上から2番目に位置し、右から2列目の最上位置の印刷ヘッド28fが上から3番目に位置し、最も左に位置する列の最上位置の印刷ヘッド28pが上から4番目に位置している。そして、最も上側に位置する印刷ヘッド28aの48番ノズルと、上から2番目に位置する印刷ヘッド28kの1番ノズルとの、搬送方向における距離が、各ノズル列におけるノズルピッチk・Dと一致するように配置されている。以下、上側から2番目の印刷ヘッド28kと3番目の印刷ヘッド28f、及び、3番目の印刷ヘッド28fと4番目の印刷ヘッド28pの搬送方向における距離も同様にノズルピッチk・Dと一致するように配置されている。さらに、各印刷ヘッド列の上下方向の同じ位置に配置された4つの印刷ヘッド28同士も、最上位置に位置する4つの印刷ヘッド28と同様に配置されている。従って、最も右の列の最上に位置する印刷ヘッド28aの一番ノズルから、最も左の列の最下に位置する印刷ヘッド28tの48番ノズルまでは、搬送方向には等ピッチに配置されることになる。
【0039】
また、キャリッジ30の上部側には、反射型光学式センサ31が設けられている。この反射型光学式センサ31は、印刷時に用紙等が搬送される搬送方向において、印刷ヘッド群27に対し下流側に位置するように配置されている。
【0040】
===印刷用紙搬送部===
印刷用紙Pを搬送するための印刷用紙搬送部21は、前記2本のガイドレール11の背面側に設けられている。そして、この印刷用紙搬送部21は、下側ガイドレール11bより下方にて印刷用紙Pを回動自在に保持する用紙保持部15と、上側のガイドレール11aより上方にて印刷用紙Pを搬送する用紙搬送ホルダ16と、それら用紙保持部15と用紙搬送ホルダ16との間にて搬送される印刷用紙Pが沿わされるプラテン17とを有している。
【0041】
プラテン17は、搬送される印刷用紙Pの全幅に亘る平面を有している。そして、この平面は、搬送方向に搬送される印刷用紙Pを同方向に沿わせて支持する支持面として機能する。
用紙保持部15は、印刷用紙Pを回転自在に保持するホルダ15aを備えている。このホルダ15aは、印刷用紙Pを保持した状態で回動軸となる軸体15bを有し、その軸体15bの両端部には、供給する印刷用紙Pの蛇行や斜行を防止するためのガイド円盤15cがそれぞれ設けられている。
用紙搬送ホルダ16は、印刷用紙Pを搬送するための搬送ローラ16aと、これと対向して配置され搬送ローラ16aとの間に印刷用紙Pを挟持する挟持ローラ16bと、搬送ローラ16aを回動させるための搬送モータ18とを備えている。搬送モータ18の軸には駆動ギア18aが、搬送ローラ16aの軸には駆動ギア18aと噛み合う中継ギア18bがそれぞれ設けられ、搬送モータ18の動力は、駆動ギア18aと中継ギア18bとを介して搬送ローラ16aに伝達される。すなわち、ホルダ15aに保持された印刷用紙Pは、搬送ローラ16aと挟持ローラ16bとの間に挟持され、プラテン17に沿わされて搬送モータ18によって搬送される。
【0042】
===プリンタの制御部===
図6は、プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
プリンタ20には、1つの主制御部310、キャリッジ30上の複数の印刷ヘッド28にそれぞれ対応する複数のデータ処理部320、プリンタ20が接続されたコンピュータから入力された画像データをプリンタ20にて印刷可能な印刷データに変換する画像処理部350、キャリッジモータ12を駆動するためのCRモータ駆動ドライバ105、搬送モータ18を駆動するための搬送モータ駆動ドライバ106、などが設けられている。キャリッジ30には、各印刷ヘッド28が、それぞれ対応する駆動制御部330と1つにユニット化されている。また、プリンタ20には、各駆動制御部330と対応するデータ処理部320が設けられ、駆動制御部330と対応するデータ処理部320とは1本のフレキシブルケーブル340にて接続されている。
【0043】
主制御部310は、プリンタ全体の制御を行う制御回路であり、各印刷ヘッド28が有する各ノズル列にて、パターンを印刷した際に吐出されるインクの吐出量が、同パターンを印刷する際の理論上の吐出量に対する偏差をノズル列ごとに示す吐出量情報を記憶する記憶部としてのメモリ401とアクセス可能に構成されている。吐出量情報については後述する。
【0044】
データ処理部320は、プリンタ20とキャリッジ30との間の双方向通信を行うための制御回路である。駆動制御部330は、前述したように印刷ヘッド28にインクを吐出させるための制御を実行するとともに、データ処理部320と双方向通信を行うための制御回路である。
データ処理部320は、制御回路400と、差動ドライバ410と、SRAM420と、インターフェース430とを有している。
駆動制御部330は、制御回路500と、差動ドライバ510と、SRAM520と、インターフェース530と、原駆動信号生成部540と、を有している。制御回路500は、PTSパルス発生回路502と、マスク信号発生回路504とを有している。
【0045】
なお、制御回路400と差動ドライバ410とは、本体側の送受信部(データ処理部)を構成する。また、制御回路500と差動ドライバ510とは、キャリッジ側の送受信部(駆動制御部)を構成する。PTSパルス発生回路502とマスク信号発生回路504と原駆動信号生成部540とは、ヘッド駆動制御部を構成する。
【0046】
インターフェース430,530との間に接続されたフレキシブルケーブル340は、クロック信号SCLKを伝送するためのクロック信号線と、フラグ信号FLGを伝送するためのフラグ信号線対と、シリアルにデータDATAを伝送するためのシリアル信号線対と、を有している。なお、本明細書において、信号を示す符号と、その信号線(または信号線対)を示す符号とは、同じものを使用している。
【0047】
画像処理部350は、解像度変換処理部と、色変換処理部と、ハーフトーン処理と、ラスタライズ処理部と、複数の色変換データテーブルLUTとを有している。
解像度変換処理部は、入力された画像データの解像度を、印刷解像度に変換する役割を果たす。解像度変換された画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換処理部は、色変換データテーブルLUTを参照しつつ、画素毎にRGB画像データを、プリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。また、色変換処理部は、互いに異なる印刷ヘッド28に設けられ同色のインクを吐出するノズル列において、同一の印刷データにより各々のノズル列から吐出されるインクの吐出量の差を小さくするカラーキャリブレーション処理を実行する。カラーキャリブレーション処理については後述する。
【0048】
カラーキャリブレーション処理された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーン処理部は、ディザ法等のいわゆるハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像を2値データにて表現した2値画像データを生成する。この2値画像データは、ラスタライズ処理部及びラスタロウ変換処理部によりプリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。印刷データPDは、キャリッジ30の各移動時のドット形成状態を示すラスタデータと、用紙搬送量を示すデータと、を含んでいる。
【0049】
===印刷ヘッドの駆動===
次に、印刷ヘッド28の駆動について、図7を参照しつつ説明する。
図7は、駆動制御部(図6)内に設けられた駆動信号生成部の構成を示すブロック図であり、図8は、駆動信号生成部の動作を示す原駆動信号ODRV、印刷信号PRT(i)、駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。
図7において、駆動制御部330は、複数のマスク信号発生回路504と、原駆動信号生成部540と、駆動信号補正部505とを備えている。マスク信号発生回路504は、印刷ヘッド28のノズルn1〜n48をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子に対応して設けられている。なお、図7において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
【0050】
原駆動信号生成部540は、ノズルn1〜n48に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分のキャリッジ移動期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号であり、各ノズルからインクを吐出させるための基準吐出信号である。すなわち、各印刷ヘッド28が有するすべてのノズルは、同一の原駆動信号ODRVに基づいてインクを吐出する。そして、キャリッジ30が所定の位置に到達したことが、リニア式エンコーダ等の出力により検出されると、原駆動信号ODRVの出力が開始される。このため、各印刷ヘッド28の各ノズル列からインクを吐出して印刷用紙の同一の目標位置に液体滴跡列としてのドット列を形成した際に、それらドット列のキャリッジ移動方向の位置が一致するように、原駆動信号ODRVの出力タイミングが調節されている。
【0051】
図7に示すように、入力されたシリアル印刷信号PRT(i)は、原駆動信号生成部540から出力される原駆動信号ODRVとともにマスク信号発生回路504に入力される。このシリアル印刷信号PRT(i)は、一画素当たり2ビットのシリアル信号であり、その各ビットは、第1パルスW1と第2パルスW2とにそれぞれ対応している。そして、マスク信号発生回路504は、シリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクするためのゲートである。すなわち、マスク信号発生回路504は、シリアル印刷信号PRT(i)が1レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子に供給し、一方、シリアル印刷信号PRT(i)が0レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスを遮断する。
【0052】
図8示した通り、原駆動信号ODRVは、各画素区間T1、T2、T3において、第1パルスW1と第2パルスW2とを順に発生する。なお、画素区間とは、一画素分のキャリッジ移動期間と同じ意味である。
【0053】
図8に示す通り、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『1、0』に対応しているとき、第1パルスW1のみが一画素区間の前半で出力される。これにより、ノズルから小さいインク滴が吐出され、被印刷体には小さいドット(小ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『0、1』に対応しているとき、第2パルスW2のみが一画素区間の後半で出力される。これにより、ノズルから中サイズのインク滴が吐出され、被印刷体には中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『1、1』に対応しているとき、第1パルスW1と第2パルスW2とが一画素区間で出力される。これにより、ノズルから大きいインク滴が吐出され、被印刷体には大きいドット(大ドット)が形成される。以上説明したとおり、一画素区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の3つの異なる値に応じて互いに異なる3種類の波形を有するように整形され、これらの信号に基づいて印刷ヘッド28は3種類のサイズのドットを形成することが可能である。
【0054】
===反射型光学式センサの構成例===
図9は、反射型光学式センサ31の一例を説明するための模式図である。反射型光学式センサ31は、例えば発光ダイオードから構成される発光部38と、例えばフォトトランジスタから構成される正反射受光部40及び拡散反射受光部41とを有している。
【0055】
この反射型光学式センサ31は、発光部38が発した光が媒体としての例えば印刷用紙に対し所定の角度をなして光を照射するように設定されており、正反射受光部40は、印刷用紙に照射された反射光の主に正反射成分が入射される位置に配設されている。また、拡散反射受光部41は、発光部38と、正反射受光部40との中間位置、即ち印刷用紙Pの照射位置に対して鉛直上に配置され、これら発光部38と、正反射受光部40と、拡散反射受光部41とは搬送方向に並べて配置されている。そして、これら正反射受光部40と、拡散反射受光部41とに受光された入射光は、電気信号に変換され、受光した反射光の光量に応じた反射型光学式センサ31の出力値として、電気信号の大きさが測定される。このとき、光沢紙等にて反射した光は正反射受光部40の出力が大きくなり、普通紙等にて反射した光は拡散反射受光部41の出力が大きくなることにより、紙種を判別することが可能である。そして、反射型光学式センサ31は、発光部38が発した光が用紙にて反射した際における受光部40,41の出力と、プラテン17にて反射した際における受光部40,41の出力との違いにて、用紙の先端位置、及び、紙幅を検出する。また、反射型光学式センサ31は、発光部38が発した光が用紙の印刷されていない部位にて反射した際における受光部40,41の出力、印刷されている部位にて反射した際における受光部40,41の出力に基づいて、印刷されている部位の濃度を測定することが可能である。すなわち、濃度が高い場合には、所定領域内に吐出されたインク量が多いため、吐出されたインクにて形成されたドットの占有面積が大きくなる。このため、ドットのない白紙部分が小さくなるため、反射光による受光部40,41の出力が低くなる。一方、濃度が高い場合には、所定領域内に吐出されたインク量が少ないため、吐出されたインクにて形成されたドットの占有面積が小さくなる。このため、ドットのない白紙部分が大きくなるため、反射光による受光部40,41の出力が高くなる。このような受光部40,41の出力の違いに基づいて印刷パターンの濃度を測定することが可能である。
【0056】
なお、上記においては、図に示されるように、発光部38と正反射受光部40と拡散反射受光部41とを一体として反射型光学式センサ31とする構成としたが、発光機器と2つの受光機器のように各々別個の機器として構成してもよい。
【0057】
また、上記においては、受光した反射光の光量を得るために、反射光を電気信号に変換した後に電気信号の大きさを測定することとしたが、これに限定されるものではなく、受光した反射光の光量に応じた受光センサの出力値を測定することができればよい。
【0058】
===カラーキャリブレーション処理===
ノズルから吐出されるインクは、ノズルやピエゾ素子等の個体差、インクの種類などにより、同一の印刷データにて駆動しても必ずしも同量のインクが吐出されるとは限らない。そして、プリンタ20は設計上の理論値に基づいて制御されるため、インクの吐出量が理論値と異なるノズル列と、理論値通りにインクを吐出するノズル列(以下、基準ノズル列という)とを同じ制御にて駆動すると、本来は同じ濃度に印刷されるべき画像が、ノズル列ごとに異なる濃度にて印刷され、色むらが発生したり、色合いの異なる画像が印刷されてしまうことになる。
このため、各印刷ヘッドにそれぞれ設けられた複数のノズル列のうち、異なる印刷ヘッドにて同色のインクを吐出するノズル列から吐出されたインクにより印刷される画像の濃度の差が小さくなるように、カラーキャリブレーション処理を実行する。
カラーキャリブレーション処理は、印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいてそれぞれ変換することにより、複数のノズル列にて印刷される画像の濃度と、本来吐出すべき基準となるインクの量、すなわち基準量のインクにより印刷された画像の濃度との差が小さくなるようにする処理である。
【0059】
ここでは、第1実施形態として、前記吐出量情報を、所定の信号に基づいて吐出されるインクの基準量に対する前記所定の信号に基づいて各ノズル列からそれぞれ吐出されたインクの量の偏差を示す情報とする例について説明する。第1実施形態では、たとえば、印刷装置の製造時などにおいて、基準ノズル列から実際に吐出されたインクの量を実測して基準量を求め、プリンタ20が有する各ノズル列からそれぞれ吐出されたインクの量を実測して求め、これら実測した値から基準量に対する、各ノズル列からそれぞれ吐出されたインクの量の偏差を吐出量情報として求めメモリ401に記憶しておく。ここで、基準となる量のインクを吐出するノズル列とは、設計上の理論値どおりの量のインクを吐出するノズル列であり、プリンタ20に搭載されているノズル列とは異なるノズル列である。
【0060】
具体的には、吐出量情報を取得するために、まず、所定の駆動信号により各ノズル列から吐出されるインクの量を予め実測しておく。
各ノズル列および基準ノズル列から吐出されたインクの量の測定は、所定の駆動パルス(以下、評価パルスという)を出力する評価パルス発生回路と電子天秤とを用いて実測する。例えば、印刷ヘッドを評価パルス発生回路に電気的に接続し、評価パルス発生回路から発生した評価パルスにてピエゾ素子を駆動して、ノズル列からインクを吐出させる。そして、吐出されたインクを電子天秤にて実測する。このとき、評価パルスとして、たとえば、実測するノズル列が有するすべてのノズルから、大ドットを形成するためにインクを吐出する際の駆動信号を用いる。
【0061】
実測した各ノズル列からのインクの吐出量は、評価パルスにて駆動した際に、基準ノズル列から本来吐出されるべきインクの量、すなわち吐出されるインクの量の理論値を基準値「50」とし、この基準値に対する偏差を各々求め、求めた値を吐出量情報としてメモリ401に記憶する。ここで、吐出量情報は「ID50」のように偏差を示す値の前に「ID」を付して示し、各吐出量情報をID値という。たとえば、評価パルスにて駆動した際に理論値通りのインク量を吐出するノズル列のID値は「ID50」であり、理論値より少ない量のインクを吐出するノズル列のID値は、理論値との偏差に応じて「ID49」「ID48」・・・となり、理論値より多い量のインクを吐出するノズル列のID値は、理論値との偏差に応じて「ID51」「ID52」・・・となる。
【0062】
前記濃度対応情報は、前述した画像処理部350の色変換処理部にて、画像データの画素毎にRGBの256階調画像データを、プリンタ20が利用可能なCMYKの256階調画像データに変換した後に、CMYKの256階調画像データに対しカラーキャリブレーション処理を実行する際に用いられる変換データテーブルである。
【0063】
図10は、第1実施形態におけるカラーキャリブレーションにて用いられる変換データテーブルの概念を説明するための図である。
【0064】
図10は、評価パルスにてインクを吐出させた際に、基準ノズル列と、吐出量が互いに異なるノズル列、すなわちID値が異なる既定インク吐出部としての既定ノズル列を複数用い、所定領域における画素形成割合を違えて画像を印刷し、印刷した画像の濃度を実測した値と、画素形成割合との相関を示している。ここで、画素形成割合とは、所定領域内に設けられ1つの画素を形成可能な単位画素形成領域の総数に対する当該所定領域に形成する画素数にて表される割合を示している。図10において、縦軸は、画素形成割合を示しており、横軸は、印刷した画像の濃度を示している。ここで、印刷した画像の濃度は、所定領域内の全域にインクが吐出されている画像の濃度を階調値「255」、全くインクが吐出されない画像の濃度を階調値「0」とする256段階の階調値にて示している。この変換データテーブルは、プリンタ20が利用可能な複数のインク色(K,C,LC,M,LM,Y)毎に設けられ、256段階の階調値は、印刷すべき画像データから印刷データを生成する際に、CMYKの256階調データにおいて濃度を示す値に相当する。
【0065】
図10には、基準となるID値(ID50)の基準ノズル列を用いた際に印刷される画像の濃度、およびID48、ID51のノズル列にて、画素形成割合を段階的に違えて印刷した画像の濃度と、印刷した画像の画素形成割合と、を対応付けた3本のグラフが示されている。ID50のグラフは、段階的に画素形成割合を違えた複数の画像を、基準ノズル列を用いて印刷し、印刷した画像の濃度を濃度測定器により実測し、実測した値を階調値に置き換えてプロットしたグラフである。たとえば、画素形成割合100%の画像、すなわち、100個の画素を形成可能な領域内に100個の画素を形成した画像を基準ノズル列を用いて印刷し、印刷した画像の濃度を実測して、実測値を画素形成割合100%と濃度を示す階調値「255」との交点にプロットする。また、画素形成割合50%であれば、100個の画素を形成可能な領域内に50個の画素を形成した画像を基準ノズル列を用いて印刷し、印刷した画像の濃度を実測して、実測値を画素形成割合50%と濃度を示す階調値「128」との交点にプロットする。そして、画素形成割合を段階的に変化させた画像を基準ノズル列を用いて印刷し、印刷した画像の濃度の実測値をプロットすることにより、ID50のグラフを完成させる。ID48、ID51のグラフも同様に、ID48、ID51の既定ノズル列をそれぞれ用いて実測値をプロットしたグラフであり、たとえばID48のノズル列にて画素形成割合50%の画像を印刷し、印刷した画像の濃度を実測すると階調値「115」である。また、ID51のノズル列にて画素形成割合50%の画像を印刷し、印刷した画像の濃度を実測すると階調値「140」である。このように異なる画素形成割合の画像を複数印刷し、印刷した画像の濃度を実測した値をそれぞれプロットして図10のようなグラフを作成する。この例では3本のグラフを示したが、少なくともノズル列に設定され得るID値に対応して、その数だけグラフが形成されることになる。このようなグラフにて示される変換データテーブルが、メモリ401に記憶されている。
【0066】
カラーキャリブレーションは、各ノズル列のID値と、変換データテーブルとに基づいて、次のように実行される。
第1印刷ヘッド28aの濃マゼンタノズル列Mにて形成される所定の画素に対応する解像度変換後のRGBデータを色変換処理する際に、当該画素に対するマゼンタの濃度が、色変換データテーブルLUTでは「128」に設定されていたとする。この濃度「128」は、ID50のノズル列にて画像を形成する場合の濃度である。このため、濃度「128」のデータに基づいて本来形成されるべき画像は、濃度「128」のデータに基づいてID50のノズル列にて形成される画素形成割合50%の画像である。
【0067】
一方、第1印刷ヘッド28aの濃マゼンタノズル列Mは、ID51である。第1印刷ヘッド28aの濃マゼンタノズル列Mにて、基準ノズル列にて形成される階調値「128」と同じ濃度の画像は、基準ノズル列にて画素形成割合40%の画像に相当することが図10のグラフに示されている。このため、ID51のノズル列にて印刷する階調値「128」のデータを、基準ノズル列にて形成される画素形成割合40%の画像の濃度に相当する階調値「110」に変換する。
【0068】
また、この画素と同様の濃度「128」のドットを、第2印刷ヘッド28bの濃マゼンタノズル列Mにて形成する場合について考える。第2印刷ヘッド28bの濃マゼンタノズル列MはID48である。第2印刷ヘッド28bの濃マゼンタノズル列Mにて、基準ノズル列にて形成される階調値「128」と同じ濃度の画像は、基準ノズル列にて画素形成割合58%の画像に相当することが図10のグラフに示されている。このため、ID48のノズル列にて印刷する階調値「128」のデータを、基準ノズル列にて形成される画素形成割合58%の画像の濃度に相当する階調値「135」に変換する。
【0069】
そして、各ノズル列のID値と、変換データテーブルとに基づいて、各色のインクを吐出するノズル列毎に濃度を変換した変換データを生成することにより、ID値の異なるノズル列、すなわちインクの吐出特性が異なるノズル列にて形成される画像の濃度のばらつきを抑えることが可能である。
【0070】
===印刷動作===
図11は吐出量情報のデータテーブルの一例を示す図である。図11では、説明の便宜上、2つの印刷ヘッドに対応する吐出量情報のデータテーブルを示しているが、各印刷ヘッドにおけるノズル列毎のデータテーブルがメモリ401に記憶されている。図11において、例えば第1ヘッドの淡シアンLCを吐出する淡シアンノズル列のID値は50であり、設計上の理論値(ID50)通りにインクが吐出される。一方、第2ヘッドの淡シアンノズル列のID値は52であり、これは基準ノズル列から吐出されるインクの基準量を50としたときに、基準量に対する偏差52(ID52)に相当する量のインクを吐出するノズル列であることを示している。すなわち、この場合には、同一の印刷データにて淡シアンインクLCを吐出するノズル列を駆動しても、第2ヘッドの淡シアンノズル列にて印刷される画像の濃度は、第1ヘッド28aの淡シアンノズル列にて形成される画像の濃度より高くなる。このため、ID値が異なるノズル列にて同一の印刷データにて吐出されたインクにより形成される画像の濃度の差が小さくなるように印刷データを生成する。
【0071】
印刷データを生成する処理をプリンタ20の動作に沿って説明する。図12は、印刷データを生成する処理を説明するためのフローチャートである。ここでは、第1印刷ヘッド28a及び第2印刷ヘッド28bの濃マゼンタノズル列Mにて形成される画像の濃度の差を小さくするように印刷データを生成する例について説明する。
【0072】
プリンタ20は、まず、プリンタ20に接続されたコンピュータからの印刷指令信号、印刷情報と共に画像データを受信する(S101)。印刷情報は、印刷する画像の解像度、バンド印刷、インターレース方式の印刷等の印刷方式など印刷に関する諸条件を示すデータである。すなわち、プリンタ20では、この印刷情報を取得することにより、本印刷動作において、間欠的に搬送する印刷用紙の搬送量、1つのラスタ印刷するためのキャリッジ30の移動回数、キャリッジ30の各移動の際に、インクの吐出を可能とするノズルを特定することが可能となる。
【0073】
画像データは画像処理部350により、入力されたRGBの画像データの解像度が印刷解像度に変換される(S102)。このとき、変換された個々のデータはそれぞれ印刷される画像を構成する各画素に対応している。すなわち、変換された後のデータは、印刷される画像の各画素に対応しており、プリンタ20は、画像データとともに取得した印刷情報に基づいて、各画素が形成されるノズルを特定することが可能となる。
【0074】
解像度変換されたデータは、色変換処理部にてデータ変換処理が実行される(103)。色変換処理は、まず、色変換データテーブルLUTを参照して、画素毎にRGBの256階調データからプリンタ20にて印刷するためのCMYKの256階調データに色変換処理される(S103a)。
色変換処理された画像データは、画像処理部350にて、印刷されるノズル列ごとに領域が分けられたメモリに分割して格納される(S103b)。図13は、データが印刷されるノズル列ごとに記憶領域を分けて格納されるメモリ401を示す概念図である。メモリ401は、各印刷ヘッド28のノズル列ごとに、各ノズル列にて印刷されるデータが格納される領域が区画されており、メモリのアドレス等により区画された領域を指定することにより所定の領域に格納されたデータを指定することが可能である。
ノズル列ごとに対応付けられた記憶領域に格納されたデータは、各記憶領域毎に前述したカラーキャリブレーション処理が実行される(S103c,S103d)。このとき、主制御部310は各ノズル列に対応するID値を取得し(S103c)、取得したID値、変換データテーブルに基づいて、ID50の濃度に対応する256階調の濃度を示すデータに、格納された記憶領域ごとにデータが一括に変換される(S103d)。
【0075】
色変換処理されたデータは、各色毎に1つのデータに戻される。すなわち、各ノズル列ごとに記憶領域を分けて格納されていたデータが、分割される前の各色毎に画像データとなるように、データが再配置される(S104)。
【0076】
色変換処理されて再配置されたデータは、ハーフトーン処理部にて、いわゆるハーフトーン処理されて2値化されたハーフトーン画像データに生成される(S105)。このハーフトーン画像データは、ラスタライズ処理部及びラスタロウ変換処理部によりプリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられるラスタライズ処理及びラスタロウ変換処理が実行され、最終的な印刷データPDとして出力される(S106)。このとき、印刷データPDとともに、用紙搬送量を示すデータも出力される。
【0077】
制御回路500は、主制御部310の指令に基づいてPTSパルス発生回路にて所定のタイミングでPTS信号を発生させ、原駆動信号生成部540と同期をとり、印刷データPDに基づいて適宜マスク処理して生成したノズル列毎に対応する駆動信号を出力し、印刷ヘッド28を駆動して印刷する(S107)。
【0078】
上記第1実施形態のプリンタ20によれば、吐出量情報としてのID値と、変換データテーブルとに基づいて生成した印刷データにより、異なる印刷ヘッド28の同色のインクを吐出するノズル列を駆動するので、同色のインクを吐出する異なるノズル列にて形成された画像の濃度を、ほぼ均一にそろえることが可能である。このため、異なる印刷ヘッド28を用いて1つの画像を印刷する場合であっても、各印刷ヘッド28から吐出された同色のインクにて形成される画像の濃度がほぼ等しく、形成されるドットのサイズがほぼ等しくなるため、印刷された画像の中で色合いのムラ等が生じにくく、良好な画像を印刷することが可能である。
【0079】
また、カラーキャリブレーション処理する際に、印刷するノズル列ごとに画像データを各々別の記憶領域に格納し、格納されている記憶領域ごとに一括して画像データを変換するので、変換処理が容易であるとともに、短時間にて実行することが可能である。
【0080】
上記第1実施形態では、色変換処理の際に、ノズル列のID値に基づいて濃度の変換を行う例を示したが、RGB画像データを色変換データテーブルLUTとに基づいて色変換処理し、色変換したデータをハーフトーン処理する際に、印刷されるノズル列ごとにデータをメモリに分割して格納し、各ノズル列のID値に基づいて、画像の所定領域内に大、中、小のドットを分布させる割合を変更してもよい。この場合には、たとえばハーフトーン処理としてディザ法を用いる場合には、ディザマトリクスによって画素ごとに与えられる閾値を、ノズル列のID値に応じて変換しておくことで実現可能である。
【0081】
図14は、本発明における他の構成を示すブロック図である。
上記第1実施形態においては、すべての印刷ヘッド28が1つの画像処理部350にて生成された印刷データに基づいて印刷する例について説明したが、図14に示すように、複数の印刷ヘッド(この例では2つの印刷ヘッド)につき1つの画像処理部350が対応付けられており、各画像処理部350にて生成された印刷データに基づいて、画像処理部350に対応付けられた印刷ヘッドごとに画像を印刷する構成としてもよい。この場合には、色変換処理部にて実行されるカラーキャリブレーション処理は、複数の印刷ヘッド28にて構成されるインク吐出部群集合体としての印刷ヘッド集合体29が有する同色のインクを吐出するノズル列毎にカラーキャリブレーション処理を実行する。この場合には、印刷ヘッド集合体29ごとに画像処理部350を有しているので、各印刷ヘッド集合体29にて画像を印刷することが可能である。そして、各印刷ヘッド集合体29は、同色のインクを吐出するノズル列を少なくとも2つ有しているので、各印刷ヘッド集合体29が有する同色のインクを吐出するノズル列にて印刷される画像の濃度の差が小さくなるように画像データを変換することにより、各印刷ヘッド集合体29にて印刷された画像において濃度ムラの発生を抑え、色合いの異なる画像が印刷されることを抑えることが可能である。
【0082】
===吐出量情報における第2実施形態===
上記第1実施形態では、所定の信号に基づいて吐出されるインクの基準量に対する、前記所定の信号に基づいて各ノズル列からそれぞれ吐出されたインクの量の偏差を、吐出したインクの重量により求め吐出量情報としたが、第2実施形態では、各ノズル列にて実際に印刷したパターンの濃度を測定した濃度情報を吐出量情報とする例について説明する。
【0083】
各ノズル列の濃度情報は、例えば、所定の濃度の印刷パターンを印刷するための画像データに基づいて、各ノズル列にてそれぞれ印刷した印刷パターンの濃度を、基準の濃度に対する偏差を示すID値にて示し、ノズル列毎にID値と対応付けた濃度データテーブルをメモリ401に記憶する。所定の濃度の印刷パターンとは、例えば、濃度を0〜255の値で示される256段階の階調にて表現可能な場合に、256段階のいずれかの階調にて示される濃度に相当する画像である。このとき、印刷パターンが、例えば、128の値にて示される階調などハーフトーンの場合には、周知のハーフトーン処理された画像データに基づいて印刷される。
【0084】
<濃度データテーブルの生成方法の一例>
図15は、濃度データテーブルの生成方法の一例を説明するための図である。
まず、所定の濃度の印刷パターンを印刷するための画像データに基づいて、所定の印刷パターンを印刷した際に、基準となる濃度の印刷パターンを印刷可能な基準プリンタ又は基準印刷ヘッドを用いて、所定の印刷パターンを各ノズル列にて印刷する(S201)。基準プリンタ又は基準印刷ヘッドを用いて印刷した所定の印刷パターンを以下、基準印刷パターンという。
【0085】
基準印刷パターンを印刷した印刷用紙を、カラーキャリブレーションを行うプリンタ20にセットして、印刷用紙搬送部21にて搬送する。このとき、印刷用紙を搬送しつつキャリッジ30を移動させ、キャリッジ30に搭載された反射型光学式センサ31と基準印刷パターンとが対向したときに、基準印刷パターンの濃度を反射型光学式センサ31にて測定する。そして、基準印刷パターンの濃度として反射型光学式センサ31の出力を、ノズル列毎に記憶する(S202)。
【0086】
次に、基準印刷パターンと同じ画像データを用いてプリンタ20にて、所定の印刷パターンを各ノズル列にて印刷する(S203)。その後、印刷パターンを印刷した印刷用紙を、印刷用紙搬送部21にて搬送しつつ、キャリッジ30を移動させて、プリンタ20にて印刷した印刷パターンの濃度として反射型光学式センサ31の出力を、ノズル列毎に記憶する(S204)。プリンタ20では、反射型光学式センサ31を用紙搬送方向の下流側に配置しているので、印刷パターンを印刷した後に用紙を逆方向に搬送することなく濃度を測定することが可能である。
【0087】
そして、プリンタ20にて印刷した印刷パターンによる反射型光学式センサ31の出力の、基準印刷パターンによる反射型光学式センサ31の出力に対する偏差を、基準印刷パターンによる反射型光学式センサ31の出力を基準値「50」として示したID値とし、このID値をノズル列毎に求める(S205)。求めたID値と、ノズル列とを対応付けた印刷ヘッド毎の濃度データテーブルを生成し、メモリ401に記憶する(S206)。ID値は、例えば、求めるID値をIDx、基準印刷パターンの濃度をV0、プリンタ20にて印刷した印刷パターンの濃度をVsとすると式1にて求められる。
IDx=Vs/V0×50 ・・・(式1)
このとき、基準印刷パターンの濃度は、例えば、反射型光学式センサ31の出力にて、白地を3.0Vとすると、ブラックが0.5V、シアンが1.5V、淡シアンが1.7V、マゼンタが1.5V、淡マゼンタが1.7V、イエローが2.0Vであり、濃度が高い方が、低い出力を示している。ここでは、反射型光学式センサ31の出力は、印刷パターンの濃度に対し、リニアに変化するものと見なしてID値を求めている。
【0088】
このようにして生成した濃度データテーブルの概念は図11に示した吐出量情報のデータテーブルと同様である。たとえば、図11の吐出量情報のデータテーブルを濃度データテーブルとみなしたときには、第1ヘッドのブラックインクKを吐出するノズル列の特性情報は、設計上の理論値(ID50)通りにインクを吐出することにより、基準プリンタ又は基準印刷ヘッドを用いて印刷した際と同様の濃度の画像が印刷されることを示している。また、第1ヘッドのブラックインクKを吐出するノズル列と、第2印刷ヘッドのブラックインクKを吐出するノズル列とにて、それぞれ同じ画像データに基づいて印刷パターンを印刷した場合には、第2印刷ヘッドにて印刷した印刷パターンの方が濃度が高い印刷パターンが印刷されることを示している。
【0089】
第2実施形態における駆動信号を生成する処理は、インクの吐出量を測定した第1実施形態と同様なので説明を省略する。尚、第2実施形態においても、説明の便宜上、2つの印刷ヘッドに対応する濃度データテーブルを示したが、印刷ヘッド毎の吐出データテーブルがメモリ401に記憶されている。
【0090】
このような濃度データテーブルを用いてカラーキャリブレーションを行うことにより、実際に印刷された印刷パターンの濃度を実測した吐出量情報と、濃度対応情報とに基づいて、ノズル列にて印刷される画像の濃度のばらつきが小さく、また、基準量のインクによる画像の濃度との差がより小さくなるように、画像データを容易に変換することが可能である。よって、実際のプリンタに則した適切なカラーキャリブレーションが実行され濃度ムラが少なく、適切な色調のより良好な画像を印刷することが可能である。
【0091】
また、印刷パターンの濃度を測定する濃度測定部として、例えば、用紙検出用のセンサや、紙幅を検出するセンサとして用いられるキャリッジ30に搭載された反射型光学式センサ31を用いることが可能である。このため、カラーキャリブレーションのためだけにセンサを搭載する必要はなく、製造コストを抑えることが可能である。
【0092】
上記実施形態においては、反射型光学式センサ31が、印刷ヘッドに対し用紙搬送方向の下流側に設けられている例について説明したが、必ずしも下流側に設けなくとも良い。例えば、印刷ヘッドに対し上流側に配置しても良い。この場合には、印刷パターンが印刷された際には、印刷パターンは反射型光学式センサより上流側に位置することになる。このため、印刷パターンが印刷された用紙を、印刷時とは逆方向に搬送する必要がある。一方、反射型光学式センサ31が、印刷ヘッドに対し用紙搬送方向の下流側に設けられている上記実施形態のプリンタであれば、印刷パターンが印刷された用紙を逆方向に搬送することなく濃度を測定することが可能である。このため、印刷パターンを印刷し、濃度を測定する際の処理が容易であり、且つ、短時間にて効率よく実行することが可能である上記実施形態の方が望ましい。さらに、上記実施形態においては、反射型光学式センサを1つ備えた例を示したが、反射型光学式センサを複数備えても良い。この場合には、印刷パターンの濃度を測定する処理に費やされる時間を短縮することが可能であるが、反射型光学式センサの個体間ばらつきにより、測定値に誤差を生じる畏れがある。このため、反射型光学式センサを1つ備えた第3実施形態のプリンタの方が、より良好な画像を印刷することが可能である。
【0093】
上記第2実施形態においては、基準印刷パターン及びプリンタ20にて印刷した印刷パターンの濃度の測定を、プリンタ20が有する反射型光学式センサ31にて行う例について説明したが、プリンタ20の外部に設けられた別の濃度測定器(例えば、X−Rite938(商品名:X―Rite社製))にて測定し、ID値を求めてもよい。この場合には、プリンタ20に濃度測定用のセンサを設ける必要はなく、また、基準印刷パターンをプリンタ20にセットしなくとも濃度が測定可能であるが、実機にて測定するためにより精度の良いカラーキャリブレーションが可能であるという点で、上記反射型光学式センサ31を用いる第2実施形態の方が優れている。
【0094】
上記第1実施形態では、吐出量情報として、各ノズル列から吐出されるインクの量に基づくデータテーブルをメモリ401に記憶しておく例を、第2実施形態では、各ノズル列から吐出したインクにて印刷した印刷パターンの濃度の測定値に基づく濃度データテーブルをメモリ401に記憶しておく例について、それぞれ別個の実施例として説明した。しかしながら、必ずしも別に実施する必要はなく、例えば、プリンタの製造時に吐出量に基づくデータテーブルをメモリ401に記憶しておき、ユーザー等が必要に応じて印刷パターンを印刷して、印刷した印刷パターンの濃度を測定して、吐出量に基づくデータテーブルを濃度データテーブルに書き換えることとしても良い。このようなプリンタにあっては、ユーザー等は、プリンタを入手した状態であっても、吐出量に基づくデータテーブルを用いて、ノズルからの吐出量の温度による変動を抑えて、安定してインクを吐出させ良好な画像を印刷することが可能である。さらに、使用する場所に設置されたプリンタにより、実際の使用環境にて印刷パターンを印刷して得られた濃度データテーブルに、吐出量に基づくデータテーブルを書き換えることにより、より良好な画像を印刷することが可能である。このとき、ユーザー等により吐出量に基づくデータテーブルを濃度データテーブルに書き換える場合には、基準印刷パターンの濃度を示す情報は、予めメモリに記憶されていることが望ましい。
【0095】
===その他の実施形態===
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0096】
(1)上記実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0097】
(2)本発明は、一般にインク滴を吐出するタイプの印刷装置に適用可能であり、カラーインクジェットプリンタ以外の種々の印刷装置に適用可能である。例えば、インクジェット方式のファクシミリ装置やコピー装置にも適用可能である。
【0098】
<<<印刷システム等の構成>>>
次に、本発明に係る実施形態の一例である印刷システム、コンピュータプログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0099】
図16は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。印刷システム700は、コンピュータ本体702と、表示装置704と、プリンタ706と、入力装置708と、読取装置710とを備えている。表示装置704は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ706は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置708は、本実施形態ではキーボード708Aとマウス708Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置710は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置710AとCD−ROMドライブ装置710Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0100】
図17は、図16に示した印刷システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体702が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ802と、ハードディスクドライブユニット804等の外部メモリがさらに設けられている。
【0101】
なお、以上の説明においては、プリンタ706が、コンピュータ本体702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710と接続されて印刷システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、印刷システムが、コンピュータ本体702とプリンタ706から構成されても良く、印刷システムが表示装置704、入力装置708及び読取装置710のいずれかを備えていなくても良い。
【0102】
また、例えば、プリンタ706が、コンピュータ本体702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ706が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0103】
また、上述した実施形態における、プリンタを制御するコンピュータプログラムが、プリンタコントローラのメモリに記憶されており、プリンタコントローラがこのコンピュータプログラムを実行することにより、上述した実施形態のプリンタ動作を達成してもよい。
【0104】
このようにして実現された印刷システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【符号の説明】
【0105】
3,3a〜3f サブタンク,4 バルブ,9,9a〜9f メインタンク,
11 ガイドレール,11a 上側のガイドレール,11b 下側のガイドレール,
12 キャリッジモータ,13 駆動ベルト,14 インク供給路,
15 用紙保持部,15a ホルダ,15b 軸体,15c ガイド円盤,
16 用紙搬送ホルダ,16a 搬送ローラ,16b 挟持ローラ,
17 プラテン,18 搬送モータ,18a 駆動ギア,18b 中継ギア,
20 プリンタ,21 印刷用紙搬送部,22 印刷部,27 印刷ヘッド群,
28,28a〜28t 印刷ヘッド,
30 キャリッジ,30A,30B サブタンクプレート,
31 反射型光学式センサ,38 発光部,40 正反射受光部,
41 拡散反射受光部,44a,44b プーリ,
105 CRモータ駆動ドライバ,106 搬送モータ駆動ドライバ,
310 主制御部,320 データ処理部,330 駆動制御部,
340 フレキシブルケーブル,350 画像処理部,
400 制御回路,401 メモリ,410 差動ドライバ,420 SRAM,
430 インターフェース,500 制御回路,502 PTSパルス発生回路,
504 マスク信号発生回路,510 差動ドライバ,520 SRAM,
530 インターフェース,540 原駆動信号生成部,
700 印刷システム,702 コンピュータ本体,704 表示装置,
706 プリンタ,708 入力装置,708A キーボード,708B マウス,
710 読取装置,710A フレキシブルディスクドライブ装置,
710B CD−ROMドライブ装置,802 内部メモリ,
804 ハードディスクドライブユニット,
LUT 色変換データテーブル,n ノズル,ODRV 原駆動信号,
P 印刷用紙,PE ピエゾ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、
前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、
前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける濃度対応情報と、
を有し、
印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置において、
前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域を備え、前記画像データを、記憶されている前記記憶領域ごとに変換することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記吐出量情報は、所定の信号に基づいて吐出されるインクの前記基準量に対する、前記所定の信号に基づいて前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量の偏差であることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置において、
前記基準量は、基準となる量のインクを吐出するインク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であり、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量は、各インク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記複数のインク吐出部は、それぞれサイズが異なる複数種類のドットを形成可能であり、
前記複数のインク吐出部から吐出されたインクの量は、前記複数種類のドットのうち、最も大きなサイズのドットを形成するために吐出したインクの量を実測した値であることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記吐出量情報は、前記インク吐出部からそれぞれ吐出されたインクにて印刷された所定の印刷パターンの濃度と、前記基準量のインクを吐出して印刷された前記所定の印刷パターンの濃度に基づいて求められることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記所定の印刷パターンの濃度を測定可能な濃度測定部を有し、
前記吐出量情報は、前記所定の印刷パターンの濃度を前記濃度測定部にて測定した値に基づいて求めることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記濃度測定部は、前記インク吐出部群と一体に設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の印刷装置において、
前記印刷パターンは、所定方向に搬送される媒体に印刷され、
前記濃度測定部は、前記インク吐出部群に対し、前記所定方向の下流側に設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記吐出量情報は、前記印刷パターンの濃度を外部に設けられた濃度測定器にて測定した値に基づいて求めることを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の印刷装置において、
前記濃度対応情報は、所定領域内に設けられ1つの画素を形成可能な単位画素形成領域の総数に対する当該所定領域に形成する画素数にて表される画素形成割合と、前記画素形成割合に基づいて、
前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、および、前記画素形成割合に基づいて前記既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度とを対応付けた情報であることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項10に記載の印刷装置において、
前記画素形成割合に基づいて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、及び、前記画素形成割合に基づいて前記既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度は、実測した値であることを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の印刷装置において、
前記画像データは、画素ごとに当該画素の濃度を示す階調値を有し、
前記階調値を、
前記吐出量情報と、前記濃度対応情報とに基づいて、
当該階調値にて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した場合の画像の濃度と同じ濃度の画像が印刷されるように、変換することを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の印刷装置において、
前記インク吐出部群を複数有するインク吐出部群集合体を少なくとも2つ備え、前記インク吐出部群集合体ごとに対応付けられた画像処理部を各々有し、前記インク吐出部群集合体が有する同色のインクを吐出するインク吐出部は、当該インク吐出部群集合体に対応付けられた前記画像処理部にて前記画像データが各々変換されることことを特徴とする印刷装置。
【請求項14】
複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、
所定の信号に基づいて吐出されるインクの前記基準量に対する、前記所定の信号に基づいて前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量の偏差を示す吐出量情報と、
所定領域内に設けられ1つの画素を形成可能な単位画素形成領域の総数に対する当該所定領域に形成する画素数にて表される画素形成割合と、前記画素形成割合に基づいて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、および、前記画素形成割合に基づいて前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷した画像の濃度とを対応付けた濃度対応情報と、
を有し、
印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置において、
前記基準量は、基準となる量のインクを吐出するインク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であり、前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインクの量は、各インク吐出部から実際に吐出されたインクの量を実測した値であり、
前記複数のインク吐出部は、それぞれサイズが異なる複数種類のドットを形成可能であり、
前記複数のインク吐出部から吐出されたインクの量は、前記複数種類のドットのうち、最も大きなサイズのドットを形成するために吐出したインクの量を実測した値であり、
前記画素形成割合に基づいて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した画像の濃度、及び、前記画素形成割合に基づいて前記既定インク吐出部にて印刷した画像の濃度は、実測した値であり、
前記画像データは、画素ごとに当該画素の濃度を示す階調値を有し、
前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域を備え、前記画像データの前記階調値を、記憶されている前記記憶領域ごとに、前記吐出量情報と、前記濃度対応情報とに基づいて、当該階調値にて、前記基準量のインクを吐出するインク吐出部にて印刷した場合の画像の濃度と同じ濃度の画像が印刷されるように、変換することを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、
前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、
前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける濃度対応情報と、
を有し、
印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置にて実行されるコンピュータプログラムにおいて、
前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域に記憶し、記憶された前記記憶領域ごとに前記画像データを変換することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続され、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部を有する少なくとも2つのインク吐出部群を備え、
前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、
前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける濃度対応情報と、
を有し、
印刷すべき画像データを、前記吐出量情報と、吐出するインクの色に応じた前記濃度対応情報とに基づいて、前記複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるようにそれぞれ変換し、変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出する印刷装置と、を有する印刷システムにおいて、
前記画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに記憶するための複数の記憶領域を備え、前記画像データを、記憶されている前記記憶領域ごとに変換することを特徴とする印刷システム。
【請求項17】
前記複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されるインクの量と、基準となるインクの基準量との相違を示す吐出量情報と、
前記吐出量情報が互いに異なる複数の既定インク吐出部を用いてそれぞれ印刷された画像の濃度を、前記基準量のインクによる画像の濃度に、前記インクの色ごとに対応付ける、吐出するインクの色に応じた濃度対応情報と、
に基づいて、
少なくとも2つのインク吐出部群の、複数色のインクを色ごとに吐出するための複数のインク吐出部にて印刷される画像の濃度と、前記基準量のインクによる画像の濃度との差が小さくなるように、
印刷すべき画像データを、印刷する前記インク吐出部ごとに複数の記憶領域に記憶するステップと、
前記複数の記憶領域に記憶されている前記画像データを、記憶されている前記記憶領域ごとに変換するステップと、
変換された前記画像データに基づいて前記複数のインク吐出部からインクを吐出するステップと、
を有する印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−51357(P2011−51357A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278296(P2010−278296)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【分割の表示】特願2004−109337(P2004−109337)の分割
【原出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】