説明

印刷装置

【課題】3つのセンサの検出信号だけを用いて被印刷用紙の向きを確実に検出する。
【解決手段】プラテンローラ111と、サーマルラインヘッド112と、プラテンローラ111により搬送される被印刷用紙53の搬送経路の、搬送方向と直交する直交方向における一方側端部を挟むようにそれぞれ設けられ、被印刷用紙53の有無に対応した検出信号をそれぞれ出力する第1用紙検出センサ35a及び第2用紙検出センサ35bと、第1用紙検出センサ35a及び第2用紙検出センサ35bから直交方向における他方側に設けられ、被印刷用紙53の有無に対応した検出信号を出力する第3用紙検出センサ35cとを有し、第1用紙検出センサ35a及び第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cそれぞれからの検出信号に応じて、被印刷用紙53の向きが正常であるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷用紙に所望の印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被印刷用紙(原稿)を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送手段(搬送ローラ)を有する、印刷装置用の媒体搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、被印刷用紙の搬送方向に直交する直交方向に沿って、用紙の種類・幅に応じて、所定間隔で5個のセンサ(用紙検出センサ、A4幅センサ、A3幅センサ、B4幅センサ、B5幅センサ)が配置されている。そして、設定手段で設定された用紙サイズ設定(A4サイズ、A3サイズ、B4サイズ、B5サイズ)と、上記5個のセンサの検出結果とを比較し、整合しない場合には、用紙の向きが正しくない向きであると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−2704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、被印刷用紙の向きを検出するために、搬送方向に直交する直交方向に沿って5個のセンサを設け、それら5個のセンサからの検出信号をすべて参酌する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、3つのセンサの検出信号だけを用いて被印刷用紙の向きを確実に検出することができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、被印刷用紙を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印刷用紙に対し、所望の印刷を行う印字手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印刷用紙の搬送経路の、前記搬送方向と直交する直交方向における一方側端部を挟むようにそれぞれ設けられ、前記被印刷用紙の有無に対応した検出信号をそれぞれ出力する第1センサ及び第2センサと、前記第1センサ及び第2センサから前記直交方向における他方側に設けられ、前記被印刷用紙の有無に対応した検出信号を出力する第3センサと、前記第1センサ、前記第2センサ、及び前記第3センサそれぞれからの検出信号に応じて、前記被印刷用紙の向きが正常であるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願発明の印刷装置は、被印刷用紙を搬送する搬送手段と、搬送される被印刷用紙に印刷を行う印字手段とを有している。また、第1センサ、第2センサ、第3センサの3つのセンサが設けられており、これら第1〜第3センサは、被印刷用紙の有無に対応した検出信号をそれぞれ出力する。
【0008】
そして、第1センサ及び第2センサは、被印刷用紙の搬送経路の、搬送方向と直交する方向における一方側端部を挟むようにそれぞれ設けられている。したがって、例えば第1センサが被印刷用紙が無いことに対応した検出信号(以下適宜、「紙無し信号」という)を出力し、第2センサが被印刷用紙があることに対応した検出信号(以下適宜、「紙有り信号」)を出力していれば、上記被印刷用紙の一方側端部の位置は正しい位置にあることがわかる。
【0009】
また、第3センサは、上記一対の第1及び第2センサよりも上記直交方向における他方側(言い換えれば搬送経路の他方側寄り)に設けられている。したがって、もし仮に、上記のように第1センサが紙無し信号を第2センサが紙有り信号を出力している状態で、第3センサが紙無し信号を出力している状態が存在すれば、被印刷用紙の一方側端部の位置は正しいけれども被印刷用紙の向きが曲がっていることになる。これに対して、上記のように第1センサが紙無し信号を第2センサが紙有り信号を出力している状態で、第3センサが(紙無し信号ではなく)紙有り信号のみを出力している状態が継続すれば、被印刷用紙の向きは正しい向きで投入され、かつ、正しい向きのまま搬送されていることがわかる。
【0010】
以上に対応して、本願発明では、判定手段が、第1センサ、第2センサ、及び第3センサそれぞれからの検出信号に応じて、被印刷用紙の向きが正常であるか否かを判定する。これにより、3つのセンサの検出信号だけを用いて、被印刷用紙が正しい向きで投入されたかどうか、及び、正しい向きで(斜行することなく)搬送されているかどうか、を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、3つのセンサの検出信号だけを用いて被印刷用紙の向きを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態である携帯型プリンタの外観構成を表す斜視図である。
【図2】携帯型プリンタの内部構造を表す図1中II−II断面による側断面図である。
【図3】携帯型プリンタの内部構造を表す、前方側斜め上方向から見た分解斜視図である。
【図4】携帯型プリンタの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図5】用紙検出センサの回路構成図である。
【図6】3つの用紙検出センサと被印刷用紙との位置関係を説明する説明図である。
【図7】挿入口に被印刷用紙を投入する直前における各用紙検出センサの紙無し検出状態を表す説明図である。
【図8】挿入口に正常に被印刷用紙を投入した直後における第1用紙検出センサの紙無し検出状態、及び、第2、第3用紙検出センサの紙有り検出状態による、正常搬送状態を表す説明図である。
【図9】排出口から印刷後の被印刷用紙が正常に排出された状態における各用紙検出センサの紙無し検出状態を表す説明図である。
【図10】挿入口に被印刷用紙を右側にずらした状態で投入した場合における第1、第2用紙検出センサの紙無し検出状態、及び、第3用紙検出センサの紙有り検出状態を表す説明図である。
【図11】挿入口に被印刷用紙を左側にずらした状態で投入した場合における各用紙検出センサのすべての紙有り検出状態を表す説明図である。
【図12】挿入口に被印刷用紙が斜め投入される直前の各用紙検出センサの紙無し検出状態を表す説明図である。
【図13】被印刷用紙が斜め投入された直後における第2用紙検出センサのみの紙有り検出状態を表している説明図である。
【図14】被印刷用紙が斜行状態で搬送されている状態において、第3用紙検出センサのみの紙有り検出状態を表す説明図である。
【図15】CPUにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図16】用紙検出センサの他の例を表す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明を、印刷装置としての携帯型のプリンタに適用した場合の実施形態である。
【0014】
図1、図2、及び図3を用いて、本実施形態の携帯型プリンタ1の外観構成及び内部構造について説明する。以下では、図1中左下方向を前方、図1中の右上方向を後方、図1中の左上方向を左方、図1中の右下方向を右方として説明する。また、以下の説明において各部品について前後左右上下の各方向をいうときは、当該各部品が携帯型プリンタ1に取り付けられた状態での各方向に対応させて説明する。
【0015】
図1〜図3において、携帯型プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器2(後述の図4参照)より有線通信あるいは無線通信を介して受信した印刷データを、種々の被印刷用紙53に印刷する。この携帯型プリンタ1は、樹脂材料で構成された、装置外郭を構成する略直方体形状のハウジング100と、シャーシ組立体50とを組み付けることによって、概略組み立てられる。
【0016】
ハウジング100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102と、トップカバー101の上面前方側に開閉可能に設けられたカバー部材103とを備えている。
【0017】
ハウジング100内には、搬送手段としてのプラテンローラ111と、印字手段としてのサーマルラインヘッド112とが設けられている。サーマルラインヘッド112は、後方側端部に軸部材113を備えた放熱板114上に設けられており、この放熱板114は上記サイドシャーシ部材130L,130Rにより軸部材113を中心に回動可能に支持されている。また、アンダーカバー102の内表面に設けられたメインシャーシ部材150には、上記サーマルラインヘッド112を支持する放熱板114をプラテンローラ111側に回動付勢する複数のコイルバネ115が設けられている。これにより、サーマルラインヘッド112は上記プラテンローラ111に圧接可能となっている。
【0018】
ハウジング100の後方側には、略棒状の充電式電池10を収容するバッテリ収納室105が設けられており、このバッテリ収納室105にはバッテリ室カバー170が着脱可能に設けられている。当該バッテリ室カバー170を取り外した状態では、上記バッテリ収納室105がハウジング100の背面部分に開口する。
【0019】
シャーシ組立体50は、アンダーカバー102の内表面に設けられた、シャーシ組立体50の底部を構成する上記メインシャーシ部材150と、このメインシャーシ部材150の長手方向両側端部より立設される一対の上記サイドシャーシ部材130L,130Rとを備えている。サイドシャーシ部材130L,130Rは、軸孔131にプラテンローラ111の軸部材111aを挿通することにより、プラテンローラ111を回転可能に支持している。プラテンローラ111は、駆動モータ11により回転駆動されることで被印刷用紙53を搬送する。またサイドシャーシ部材130L,130Rは、サーマルラインヘッド112を備えた放熱板114を、前述した軸部材113を介して回動可能に支持している。
【0020】
左側のサイドシャーシ部材130Lには、プラテンローラ111を駆動する上記駆動モータ11と、この駆動モータ11の駆動力をプラテンローラ111の上記軸部材111aに伝達する、複数のギアからなるギア機構132が設けられている。
【0021】
また、サイドシャーシ部材130L,130Rの上部には、ビーム部材140が架け渡され、ネジにより固定されている。そして、挿入口104(導入口)から投入された被印刷用紙53をプラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部Pに案内するガイド部材120が、ハウジング100を構成するトップカバー101、アンダーカバー102、及びカバー部材103とは分離された別体として構成されており、上記ビーム部材140に固定されることによって、サイドシャーシ部材130L,130Rに設けられている。なお、挿入口104は、ガイド部材120とカバー部材103との間の圧接部Pに導く隙間によって略スリット状に形成されており、被印刷用紙53の最大幅サイズに対応可能な大きさとなっている。
【0022】
ガイド部材120は、その上部に、シャーシ組立体50への組み付け時に略水平となる水平面121と、この水平面121から装置内部側に向けて傾斜した傾斜面122とを有している。これら水平面121及び傾斜面122上には、被印刷用紙53の案内方向に沿って形成された複数の突条部材123が、長手方向に並列して設けられている。
【0023】
上記構成において、印刷時には、カバー部材103を閉じた状態でトップカバー101とカバー部材103との間に形成された挿入口104に上記被印刷用紙53が投入される。投入された被印刷用紙53は、挿入口104の下方に設けられたガイド部材120により、後述するプラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部Pに案内される。プラテンローラ111は所定の圧接力で被印刷用紙53に接触し、被印刷用紙53を搬送する。この搬送される被印刷用紙53に対し、サーマルラインヘッド112が所望の印刷を行う。印刷完了後に、被印刷用紙53は、カバー部材103とアンダーカバー102との間に形成された排出口107より排出される。このとき、後述する最大の特徴である3つの用紙検出センサ35a,35b,35c(詳細は後述。図1及び図3参照)の検出結果に基づきプラテンローラ111による搬送制御と、サーマルラインヘッド112による印刷制御が行われる。なお、紙詰まり等が生じた場合には、カバー部材103を開放することで、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされ、容易に被印刷用紙53を引き出すことが可能となる。
【0024】
次に、図4を用いて、携帯型プリンタ1の制御系について説明する。
【0025】
図4において、携帯型プリンタ1は、CPU12を有している。CPU12は、SDRAM13の一時記憶機能を利用しつつROM14に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンタ1全体の制御を行う。ROM14には、印字駆動制御プログラム等、制御上必要な各種のプログラムが格納されている。また、後述する図15のフローの制御手順を実行するための制御プログラムも格納されている。
【0026】
また、CPU12は、携帯型プリンタ1の電源のオン・オフ処理を行う電源回路15と、プラテンローラ111を駆動する駆動モータ11の駆動制御を行うモータ駆動回路16と、サーマルラインヘッド112の駆動制御を行うサーマルヘッド制御回路17とに接続されている。
【0027】
またCPU12は、上述した用紙検出センサ35a〜c(詳細には、第1用紙検出センサ35a、第2用紙検出センサ35b、及び第3用紙検出センサ35c)と、用紙送り操作を行うためのフィードキー40(図1及び図3も参照)と、電源のオン・オフ操作を行うための電源キー30(図1及び図3も参照)とに接続されている。CPU12は、用紙検出センサ35a〜cの検出結果に基づき、挿入口104に被印刷用紙53が投入されているか否かを検出する(詳細は後述)。
【0028】
またCPU12は、電源キー30又はフィードキー40が押し下げられた場合に、当該押し下げられたキーに対応した処理を実行する。フィードキー40が押し下げられると、CPU12は、上記モータ駆動回路16に制御信号を出力し、駆動モータ11を駆動させてプラテンローラ111を回転させ、被印刷用紙53を所定量搬送するフィード処理を行う。このフィードキー40は、例えば被印刷用紙53の搬送方向途中位置から印刷を開始するために用紙送りをする場合や、搬送方向長さが所定の長さよりも長い被印刷用紙53を用いた場合において印刷終了後に用紙を排出するような場合に、操作される。一方、携帯型プリンタ1の電源オフ状態で電源キー30が押し下げられると、CPU12は、電源回路15に制御信号を出力して電源のオン処理を行い、電源オン状態で電源キー30が押し下げられると、電源回路15に制御信号を出力して電源のオフ処理を行う。
【0029】
またCPU12は、USBインターフェース駆動回路21と、無線通信部22と、赤外線通信部23とに接続されている。USBインターフェース駆動回路21は、USB端子24(図1も参照)に接続されたUSBケーブル(図示省略)を介して上記外部機器2との間で行われる通信の制御を行う。また無線通信部22は、上記外部機器2との間で行われる赤外線以外の電波による無線通信の制御を行う。また赤外線通信部23は、上記外部機器2との間で行われる赤外線通信の制御を行う。なお、外部機器2は、例えば、CPU2aと、RAM2bと、ROM2cとを備えている。
【0030】
上記構成の制御系において、携帯型プリンタ1で印刷を行う際には、操作者(ユーザ)は、PC端末や携帯電話等の外部機器2を用いて被印刷用紙53に印刷する印刷データの入力を行うとともに、印刷開始指示入力を行う。これにより、外部機器2から携帯型プリンタ1に、上記USBケーブル、又は、無線通信若しくは赤外線通信を介して、印刷データが送信される。このようにして外部機器2から印刷データが入力された場合、その印刷データが例えばSDRAM13のテキストメモリに記憶される。その記憶された印刷データは再び読み出され、制御回路の変換機能により所定の変換がされることで、ドットパターンデータが生成され、バッファ(例えばCPU12の内部に設けられる)に記憶される。そして、サーマルラインヘッド112がサーマルヘッド制御回路17を介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されてバッファに記憶されたドットパターンデータの印刷を行う。また、これと同期して駆動モータ11がモータ駆動回路16を介して被印刷用紙53の搬送制御を行う。
【0031】
図5を用いて、用紙検出センサ35a〜cの回路構成を詳細に説明する。
【0032】
図5において、用紙検出センサ35a〜cは、互いに同一の構成となっており、この例では、光学的手法を用いた光学センサである。この例では、用紙検出センサ35a〜cは、投光器35A(投光手段)及び受光器35B(受光手段)を備えている。投光器35Aは、被印刷用紙53に向けて投光する。受光器35Bは、上記投光器35Aから発せられ、上記被印刷用紙53から反射された反射光を受光し、受光した光量に対応する電圧を出力する。また、用紙検出センサ35a〜cは上述した投光器35Aと受光器35Bの他に、負荷抵抗R1,R2を有している。この例の投光器35Aは発光ダイオードで構成されており、そのアノード端子71が抵抗R1を介して電源(電源電圧Vcc)に接続され、カソード端子72が接地されている。また、この例の受光器35Bはフォトトランジスタで構成されており、そのコレクタ端子73が電源に接続され、エミッタ端子74が検出電圧値Vを出力する出力端子であるとともに抵抗R2を介して接地されている。この例では、被印刷用紙53の搬送方向に沿って投光器35A、受光器35Bの順に並んで配置されている。
【0033】
このような構成の用紙検出センサ35a〜cにおいて、受光器35Bは、上記投光器35Aが点灯した際の被印刷用紙53を介した反射光Lrを受光し、それらの総受光量に応じたレベルの検出電圧値Vを出力する。この例では、受光器35Bを構成するフォトトランジスタのコレクタ側が電源側に接続されていることにより、上記総受光量が大きくなるほど高いレベルの検出電圧値Vを出力する。
【0034】
以上の基本構成及び動作において、本実施形態における携帯型プリンタ1の最大の特徴は、上記のような被印刷用紙53に対する搬送制御を行うために、第1用紙検出センサ35a、第2用紙検出センサ35b、第3用紙検出センサ35cの3個が設けられ、これら各用紙検出センサ35a,35b,35cが被印刷用紙53の有無に対応した検出信号をそれぞれ出力することにある。以下、その詳細を図6〜図14により順を追って説明する。
【0035】
<被印刷用紙に対する3つのセンサの配置位置>
図6を用いて、上記用紙検出センサ35a〜cと、それらの検出対象である、被印刷用紙53との位置関係を説明する。
【0036】
図6(a)及び図6(b)において、この例は、1枚のシート状の被印刷用紙53を示している。図6(a)が想定される最大寸法の被印刷用紙53の例を示しており、図6(b)が想定される最小寸法の被印刷用紙53の例を示している。なお、複数枚の被印刷用紙53がミシン目状の予定切断線を介し結合した状態のいわゆるロール紙であってもよい。
【0037】
被印刷用紙53の材質は、通常のこの種の紙と同様、白色などの光反射性の性質を備えている。この結果、上述した受光器35Bの出力特性により、用紙検出センサ35a〜cのそれぞれは、被印刷用紙53に正対しているときの受光器35Bからの検出電圧値V(以下適宜、「紙有り信号」という)が、被印刷用紙53に正対していないときの受光器35Bからの検出電圧値V(以下適宜、「紙無し信号」という)よりも大きくなる。
【0038】
<第1用紙検出センサ35a及び第2用紙検出センサ35b>
ここで、上記第1用紙検出センサ35a及び上記第2用紙検出センサ35bは、搬送方向下流側への上記被印刷用紙53の搬送経路の、搬送方向と直交する直交方向すなわち幅方向における、一方側(この例では左側)端部に、隣接して設けられている。詳細には、第1用紙検出センサ35aと第2用紙検出センサ35bとは、被印刷用紙53の搬送経路の、左端部を挟むようにそれぞれ設けられている(図6(a)及び図6(b)中の左側の2点鎖線参照)。
【0039】
<第3用紙検出センサ35c>
一方、搬送経路の略中央部に、第3用紙検出センサ35cが設けられている。この第3用紙検出センサ35cは、上記一対の第1及び第2用紙検出センサ35a,35bよりも上記幅方向における他方側(言い換えれば搬送経路における第1用紙検出センサ35aや第2用紙検出センサ35bよりも他方側。この例では、上記センサ35a,35bより右側)に設けられている。このとき、図6(b)に示すように、第3用紙検出センサ35cは、被印刷用紙53の種類に関係なく、被印刷用紙53が搬送されるときに当該被印刷用紙53の幅方向内側に位置するように配置されている(図6(a)及び図6(b)中の右側の2点鎖線参照)。そのために第3用紙検出センサ35cは、第2用紙検出センサ35bからの距離Wtが、最小幅の被印刷用紙53(想定される被印刷用紙53のうち幅方向の寸法が最小であるもの)の幅方向寸法Wm以下となるように配置されている。
【0040】
そして、本実施形態では、操作者が、被印刷用紙53の左端を挿入口104の左端に当接させつつ当該挿入口104に投入することで、第1用紙検出センサ35aは被印刷用紙53に正対せず第2用紙検出センサ35bが被印刷用紙53に正対し、かつ第3用紙検出センサ35cが被印刷用紙53に正対した状態で、正しく被印刷用紙53が搬送されるように予め設定されている。
【0041】
これにより、例えば第1用紙検出センサ35aが被印刷用紙53に正対していないことに対応した上記紙無し信号を出力し、第2用紙検出センサ35bが被印刷用紙53に正対していることに対応した上記紙有り信号を出力していれば、上記被印刷用紙53の一方側端部の位置は正しい位置にあることがわかる。このようにして第1用紙検出センサ35a及び第2用紙検出センサ35bは、被印刷用紙53の紙端検出のために用いられる。
【0042】
また、このように、第1用紙検出センサ35aが紙無し信号を、第2用紙検出センサ35bが紙有り信号を出力している状態で、第3用紙検出センサ35cが紙無し信号を出力している状態が存在すれば、被印刷用紙53の一方側端部(この例では左端)の位置は正しいけれども被印刷用紙53の向きが曲がっている(斜行している)ことになる。これに対して、上記のように第1用紙検出センサ35aが紙無し信号を、第2用紙検出センサ35bが紙有り信号を出力している状態で、第3用紙検出センサ35cが紙無し信号ではなく紙有り信号のみを出力している状態が継続すれば、被印刷用紙53の向きは(斜め投入ではなく)正しい向きで投入され、かつ、正しい向きのまま(斜行することなく)搬送されていることがわかる(詳細は後述)。
【0043】
一方、上述の搬送により被印刷用紙53の搬送が終了して後端部(図6(a)及び図6(b)の上端部)が用紙検出センサ35b,35cの位置を通過した場合、上記のようにして紙有り信号を出力していた第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cは、被印刷用紙53が存在しなくなることによって受光器35Bでの受光量が著しく低下し、紙無し信号を出力することとなる。本実施形態では、被印刷用紙53の搬送終了時において、上記のように検出信号が変わることによって、被印刷用紙53の搬送方向終端部が第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cの位置を通過したこと(搬送が終了したこと)を検出することができる(詳細は後述)。
【0044】
次に、上記のような各用紙検出センサ35a〜cの受光器35Bからの検出信号(検出電圧値V)の特性に基づき実行される、上記斜行検出、終端検出、斜め投入検出、等について図7〜図14により説明する。
【0045】
<正常投入→正常搬送→終端検出の挙動>
上記したように、印刷実行時には、操作者によって挿入口104に被印刷用紙53が投入される。このとき、図7に示すように、投入直後で被印刷用紙53の搬送方向先端が各用紙検出センサ35a〜cの検出範囲に到達していない(用紙検出センサ35a〜cよりも搬送方向の上流側に位置している)場合は、投光器35Aからの投光の被印刷用紙53による反射がほとんどない。このため、用紙検出センサ35a〜cはそれぞれ上記紙無し信号を出力している状態(以下適宜、紙無し検出状態という)となっている(図示×印参照)。
【0046】
そして、図8に示すように、(被印刷用紙53の左端が挿入口104の左端に略合致した状態で)上記投入がさらに進み、被印刷用紙53が第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cの検出範囲に到達すると、それら用紙検出センサ35b,35cの投光器35Aからの投光の被印刷用紙53による反射光Lrが受光器35Bで受光され、用紙検出センサ35b,35cは上記検出電圧値Vが大きい上記紙有り信号を出力する状態(以下適宜、紙有り検出状態という)となる(図示○印参照)。なお、第1用紙検出センサ35aは引き続き紙無し検出状態を維持している。これにより、CPU12の制御によってプラテンローラ111が駆動されて被印刷用紙53の搬送が開始される。こうしてプラテンローラ111の駆動力に基づき所定量の搬送が行われた後に、CPU12の制御によってサーマルラインヘッド112による被印刷用紙53への印刷が開始される。上記の搬送開始後、(後述のような斜行が発生せず)被印刷用紙53が正しく搬送されている場合は、図示のように、第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cが被印刷用紙53に正対し第1用紙検出センサ35aが被印刷用紙53に正対しない状態が維持される。この結果、第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cは上記紙有り検出状態が維持されるとともに第1用紙検出センサ35aは上記紙無し検出状態が維持され、CPU12の制御によるプラテンローラ111の駆動が維持されて被印刷用紙53の搬送が続行される。
【0047】
その後、図9に示すように、被印刷用紙53の斜行が生じることなく第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cのみが上記紙有り検出状態で被印刷用紙53の搬送が維持され、被印刷用紙53の終端部が第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cの位置を通過すると、第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cは、被印刷用紙53の不存在に対応した上記紙無し検出状態となる。この変化によって、被印刷用紙53の搬送完了が検出される。
【0048】
<横ずれ投入の検出挙動>
一方、上記したように、印刷実行時には、操作者によって挿入口104に被印刷用紙53が投入される。その際、上記図7のように、被印刷用紙53の左端が挿入口104の左端に略合致した状態で正しく上記投入が行われた場合は前述のように引き続き被印刷用紙53の搬送が行われる。しかしながら、図10に示すように、携帯型プリンタ1の挿入口104に被印刷用紙53が投入される際に、被印刷用紙53が上記幅方向のいずれかに(この例では右側に)ずれた状態で投入されると、第1用紙検出センサ35aのみならず第2用紙検出センサ35bの位置にも被印刷用紙53が正対しない状態となる。これによって、第1用紙検出センサ35aのみならず第2用紙検出センサ35bも上記紙無し検出状態となる(なお第3用紙検出センサ35cは紙有り検出状態である)。この状態では、CPU12によって被印刷用紙53は投入されていないものとみなされ、プラテンローラ111は駆動せず、被印刷用紙53の搬送が開始されない。
【0049】
同様に、図11に示すように、携帯型プリンタ1の挿入口104に被印刷用紙53が投入される際に、被印刷用紙53が左側にずれた状態で投入されると、第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cのみならず第1用紙検出センサ35aの位置にも被印刷用紙53が正対する状態となる。これによって、第1用紙検出センサ35a、第2用紙検出センサ35b、第3用紙検出センサ35cのすべてが上記紙有り検出状態となる。この状態でも、上記同様、CPU12によって被印刷用紙53は投入されていないものとみなされ、プラテンローラ111は駆動せず、被印刷用紙53の搬送が開始されない。
【0050】
<斜め投入の検出挙動>
一方、図12に示すように、携帯型プリンタ1の挿入口104に被印刷用紙53が投入される際に、被印刷用紙53が上記幅方向のいずれかに傾いた状態(この例では、上端が左側にずれ下端が右側にずれることで全体として左側に傾いた態様で)で投入されると、例えば図13に示すように第2用紙検出センサ35bのみが被印刷用紙53に正対する状態となる。これによって、第1用紙検出センサ35a及び第3用紙検出センサ35cが上記紙無し検出状態となり、上記第2用紙検出センサ35bのみが上記紙有り無し検出状態となる。この状態では、CPU12によって被印刷用紙53は投入されていないものとみなされ、プラテンローラ111は駆動せず、被印刷用紙53の搬送が開始されない。なお、上記同様にして、被印刷用紙53が全体として右側に傾いた態様で投入された場合にも、(用紙検出センサ35b,35cが紙有り検出状態でかつ第1用紙検出センサ35aが紙無し検出状態とはならないことから)プラテンローラ111は駆動せず、被印刷用紙53の搬送が開始されない。
【0051】
<斜行検出挙動>
また、上記図8のように、被印刷用紙53の左端が挿入口104の左端に略合致し第1用紙検出センサ35aが紙無し検出状態で第2用紙検出センサ35b及び第3用紙検出センサ35cが紙有り検出状態で搬送されていたが、その後何らかの理由で、被印刷用紙53の搬送方向が傾き斜行状態となる場合がある。あるいは挿入口104への投入時にわずかに投入方向が傾いていたが、傾斜角が小さかったため搬送が開始されてしまった後、時間の経過により斜行が顕著となった場合もある。このような斜行状態が発生すると、例えば図14に示すように、第2用紙検出センサ35bが被印刷用紙53に正対しなくなり紙無し検出状態となる(図示×印参照)。これにより、CPU12の制御によってプラテンローラ111の駆動が停止され、被印刷用紙53の搬送が停止される。これ以外の態様の搬送途中の斜行の発生時においても、用紙検出センサ35b,35cが紙有り検出状態でかつ第1用紙検出センサ35aが紙無し検出状態とはなっている状態から、いずれかの用紙検出センサ35a〜cの検出状態が異なるものに変わった場合には、CPU12によって斜行が発生したとみなされ、プラテンローラ111の駆動が停止され、被印刷用紙53の搬送が停止される。
【0052】
<CPUの制御内容>
次に、以上の手法を実現するためにCPU12により実行される制御手順を、図15を用いて説明する。
【0053】
図15において、例えば携帯型プリンタ1の電源がオンにされることにより、このフローが開始される。まず、ステップS300で、CPU12は、挿入口104から被印刷用紙53が投入されることで、第2用紙検出センサ35bが上記紙有り検出状態となっているかどうかを判定する。紙有り検出状態となるまで判定が満たされずループ待機し、紙有り検出状態となったらステップS300の判定が満たされ、ステップS310に移る。
【0054】
ステップS310では、CPU12は、第1用紙検出センサ35aが上記紙無し検出状態となっているかどうかを判定する。紙無し検出状態ではない場合(言い換えれば紙有り検出状態の場合)は判定が満たされずステップS300に戻り、同様の手順を繰り返す。第1用紙検出センサ35aが紙無し検出状態であればステップS310の判定が満たされ、ステップS320に移る。
【0055】
ステップS320では、CPU12は、第3用紙検出センサ35cが上記紙有り検出状態検出状態となっているかどうかを判定する。紙有り検出状態ではない場合(言い換えれば紙無し検出状態の場合)は判定が満たされずステップS300に戻り、同様の手順を繰り返す。第3用紙検出センサ35cが紙有り検出状態であればステップS320の判定が満たされ、ステップS330に移る。なお、上記ステップS300、上記ステップS310、及び上記ステップS320は、各請求項記載の投入判定手段として機能する。
【0056】
ステップS330では、CPU12は、モータ駆動回路16に制御信号を出力し、駆動モータ11によりプラテンローラ111を駆動させる。これにより、挿入口104に投入されている被印刷用紙53の搬送が開始される。
【0057】
その後、ステップS340で、CPU12は、被印刷用紙53の搬送が開始された後、サーマルラインヘッド112の通電により所望の印字が開始されるべき位置までの所定の距離を搬送されたかどうかを判定する。所定距離搬送されるまでは判定が満たされず、ループ待機する。なお、この所定距離の判定は、例えばステッピングモータである上記駆動モータ11への駆動信号のパルス数をカウントする等、適宜の公知の手法で行えば足りるので、詳細な説明を省略する。上記所定の距離だけ搬送されてステップS340の判定が満たされると、ステップS350に移る。
【0058】
ステップS350では、CPU12は、モータ駆動回路16に制御信号を出力し、駆動モータ11によるプラテンローラ111の駆動を停止する。これにより、被印刷用紙53の搬送が停止し、その後のステップS360の印刷指示待ちの待機状態となる。
【0059】
ステップS360では、CPU12は、印刷指示があったか、すなわち上記外部機器2から印刷データを含む印刷指示信号が入力されたかどうか、を判定する。印刷指示信号が入力されるまでは判定が満たされずループ待機し、印刷指示があるとステップS360の判定が満たされ、ステップS370に移る。
【0060】
ステップS370では、CPU12は、サーマルヘッド駆動回路17に制御信号が出力されてサーマルラインヘッド112を通電するとともに、モータ駆動回路16に制御信号を出力してプラテンローラ111による被印刷用紙53の搬送が再開される。これによって、前述のようにしてバッファに記憶されたドットパターンデータが順次被印刷用紙53に印刷される。その後、ステップS380に移る。
【0061】
ステップS380では、上記ステップS300と同様、CPU12は、第2用紙検出センサ35bが上記紙有り検出状態となっているかどうかを判定する。紙無し検出状態であれば判定が満たされず後述のステップS450に移る。紙有り検出状態であればステップS380の判定が満たされ、ステップS390に移る。
【0062】
ステップS390では、上記ステップS310と同様、CPU12は、第1用紙検出センサ35aが上記紙無し検出状態となっているかどうかを判定する。紙無し検出状態ではない場合(言い換えれば紙有り検出状態の場合)は判定が満たされず後述のステップS450に移る。第1用紙検出センサ35aが紙無し検出状態であればステップS390の判定が満たされ、ステップS400に移る。
【0063】
ステップS400では、上記ステップS320と同様、CPU12は、第3用紙検出センサ35cが上記紙有り検出状態検出状態となっているかどうかを判定する。紙有り検出状態ではない場合(言い換えれば紙無し検出状態の場合)は判定が満たされず後述のステップS450に移る。第3用紙検出センサ35cが紙有り検出状態であればステップS400の判定が満たされ、ステップS410に移る。なお、上記ステップS380、上記ステップS390、及び上記ステップS400は、各請求項記載の搬送判定手段として機能する。そして、これらステップS380、ステップS390、及びステップS400と、上記ステップS300、上記ステップS310、及び上記ステップS320とが、各請求項記載の判定手段として機能する。
【0064】
ステップS410では、CPU12は、上記ステップS360で入力された印刷指示信号に含まれる印刷データにより、現在の搬送方向位置が印刷完了位置であるかどうかを判定する。印刷完了位置でなく印刷途中の位置であった場合にはステップS410の判定が満たされず、ステップS380に戻って同様の手順を繰り返す。印刷完了位置であった場合にはステップS410の判定が満たされ、ステップS420に移る。
【0065】
ステップS420では、CPU12は、サーマルヘッド駆動回路17に制御信号を出力しサーマルラインヘッド112への通電を終了する。これにより、ステップS370で開始したサーマルラインヘッド112の印刷動作が停止する。その後、ステップS430に移る。
【0066】
ステップS430では、CPU12は、搬送終了位置か(具体的には、第1用紙検出センサ35a、第2用紙検出センサ35b、第3用紙検出センサ35cのすべてが上記紙無し検出状態となったかどうか)を判定する。被印刷用紙53がまだ搬送中であって被印刷用紙53の終端部が用紙検出センサ35b,35cを通過していない場合はそれら用紙検出センサ35b,35cが紙有り検出状態であるのでステップS430の判定が満たされずループ待機する。用紙検出センサ35b,35cが(第1用紙検出センサ35aとともに)紙無し検出状態になるとステップS430の判定が満たされ、ステップS440に移る。
【0067】
ステップS440では、CPU12は、モータ駆動回路16に制御信号を出力してプラテンローラ111による被印刷用紙53の搬送を停止する。これによって、ステップS370で開始された被印刷用紙53の搬送が停止し、このフローを終了する。
【0068】
一方、前述したように、ステップS380において第2用紙検出センサ35bが紙無し検出状態であって判定が満たされなかった場合、ステップS390において第1用紙検出センサ35aが紙有り検出状態であって判定が満たされなかった場合、ステップS400において第3用紙検出センサ35cが紙無し検出状態であって判定が満たされなかった場合は、ステップS450に移行する。このステップS450では、上記ステップS420と同様、CPU12は、サーマルヘッド駆動回路17に制御信号を出力しサーマルラインヘッド112を非通電状態として印刷を中止する。その後、ステップS460に移る。
【0069】
ステップS460では、CPU12は、上記ステップS440と同様、モータ駆動回路16に制御信号を出力し、駆動モータ11によるプラテンローラ111の駆動を停止することで被印刷用紙53の搬送を停止する。その後、ステップS470に移る。なお、上記ステップS330、ステップS350、ステップS440、及びステップS460が、各請求項記載の搬送制御手段として機能する。
【0070】
ステップS470では、CPU12は、図示しない適宜の表示手段に制御信号を出力し、所定のエラー表示を行い(あるいは音声報知等を行ってもよい)、このフローを終了する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の携帯型プリンタ1においては、第1用紙検出センサ35a、第2用紙検出センサ35b、第3用紙検出センサ35cそれぞれからの検出信号に応じて、被印刷用紙53の向きが正常であるか否かを判定する。具体的には、第1用紙検出センサ35aが紙無し検出状態であり、第2用紙検出センサ35bが紙有り検出状態であり、第3用紙検出センサ35cが紙有り検出状態であることによって、被印刷用紙53の向きを検出する。このように、3つのセンサの検出信号だけを用いて、被印刷用紙53が正しい向きで投入されたかどうか、及び、正しい向きで(斜行することなく)搬送されているかどうか、を確実に検出することができる。
【0072】
また、本実施形態においては特に、ステップS300、ステップS310、及びステップS320により、正しい向きで被印刷用紙53が投入されるまではステップS330での搬送が行われない。これにより、斜め投入のまま搬送することによる紙詰まりの発生や携帯型プリンタ1内部の各部位の破損等の発生を、確実に防止することができる。
【0073】
また、本実施形態においては特に、ステップS380、ステップS390、及びステップS400により、搬送途中で被印刷用紙53が斜行状態となったらステップS460で搬送が停止される。これにより、斜行搬送による紙詰まりの発生や携帯型プリンタ1内部の各部位の破損等の発生を、確実に防止することができる。
【0074】
また、本実施形態においては特に、図6に示したように、第3用紙検出センサ35cが、最小幅の被印刷用紙53(例えばいわゆるB5サイズの用紙。あるいはA4サイズの用紙としてもよい)の幅方向内側に配置されている。これにより、被印刷用紙53の幅方向寸法が小さすぎて第3用紙検出センサ35cが当該被印刷用紙53の存在を検出できなくなるのを防止することができる。この結果、寸法の異なる種々の被印刷用紙53のうちいずれが投入された場合であっても、被印刷用紙53が正しい向きで投入されたかどうか、及び、正しい向きで搬送されているかどうか、を確実に検出することができる。
【0075】
また、本実施形態においては特に、第1用紙検出センサ35a、第2用紙検出センサ35b、第3用紙検出センサ35cそれぞれが、搬送される被印刷用紙53に向かって投光可能な投光器35A、及び、受光した光量に対応した検出電圧値を出力可能な受光器35B、を備えた光学センサである。これにより、前述したように、被印刷用紙53が存在する場合には、投光器35Aから投光された光が被印刷用紙53で反射され、その反射光により受光器35Bでの受光量が多くなる。逆に被印刷用紙53が存在しない場合には、受光器35Bでの受光量が少なくなる。受光器35Bは受光量の大小に対応して検出電圧値が変動する。このような挙動を利用し、当該検出電圧値の値を適宜のしきい値と比較することで、被印刷用紙53の有無を容易かつ確実に検出することができる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について順を追って説明する。
【0077】
(1)受光器35Bの出力電圧極性が逆の場合
上記実施形態においては、用紙検出センサ35a〜cの受光器35Bを構成するフォトトランジスタがコレクタ接地されていることにより(上記図5参照)、受光器35Bの受光量が大きいほど高いレベルの検出電圧値Vを出力していた。しかし、これに限られず、上記図5に対応する図16に示すように、受光器35Bのフォトトランジスタをエミッタ接地することで、受光器35Bの受光量が大きいほど低いレベルの検出電圧値Vを出力するようにしてもよい。この場合、被印刷用紙が存在する場合と存在しない場合とで、検出電圧値Vの大小関係が逆の挙動になる。
【0078】
(2)その他
以上においては、被印刷用紙53は、その左端が挿入口104の左端に対し当接するように投入される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、被印刷用紙53の右端が挿入口104の右端に対し当接するように投入される場合や、被印刷用紙53の幅方向中心線が挿入口104の左右方向中心線に一致するように投入される場合に、本願発明を適用してもよい。要は、正常な投入状態及び正常な搬送状態において、第1用紙検出センサ35aが紙無し検出状態であり、第2用紙検出センサ35bが紙有り検出状態であり、第3用紙検出センサ35cが紙有り検出状態となるように、被印刷用紙53と用紙検出センサ35a〜cとの位置関係が設定されていれば足りる。またその際、これら用紙検出センサ35a〜cは上記のような光学センサにも限られず、磁気式、超音波式等の他の非接触検出の手法によるセンサであってもよいし、公知の機械式のリミットスイッチや荷重センサ等の接触検出の手法によるセンサであってもよい。これらの場合も同様の効果を得る。
【0079】
なお、以上において、図4、図5、図16の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0080】
また、図15に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0081】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0082】
1 携帯型プリンタ(印刷装置)
104 挿入口
107 排出口
111 プラテンローラ(搬送手段)
112 サーマルラインヘッド(印字手段)
35a 第1用紙検出センサ(第1センサ、光学センサ)
35b 第2用紙検出センサ(第2センサ、光学センサ)
35c 第3用紙検出センサ(第3センサ、光学センサ)
35A 投光器(投光手段)
35B 受光器(受光手段)
53 被印刷用紙
Lr 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷用紙を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被印刷用紙に対し、所望の印刷を行う印字手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被印刷用紙の搬送経路の、前記搬送方向と直交する直交方向における一方側端部を挟むようにそれぞれ設けられ、前記被印刷用紙の有無に対応した検出信号をそれぞれ出力する第1センサ及び第2センサと、
前記第1センサ及び第2センサから前記直交方向における他方側に設けられ、前記被印刷用紙の有無に対応した検出信号を出力する第3センサと、
前記第1センサ、前記第2センサ、及び前記第3センサそれぞれからの検出信号に応じて、前記被印刷用紙の向きが正常であるか否かを判定する判定手段と
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記判定手段は、
前記第1センサから前記被印刷用紙が無いことに対応した前記検出信号が出力され、かつ、前記第2センサから前記被印刷用紙があることに対応した前記検出信号が出力され、かつ、前記第3センサから前記被印刷用紙があることに対応した前記検出信号が出力されたときに、前記被印刷用紙の向きが正常であると判定する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印刷装置において、
装置外郭を構成し、前記搬送手段、前記印字手段、前記第1乃至第3センサが設けられる筐体と、
前記筐体に開口し、前記被印刷用紙を受け入れて前記搬送手段へと導く導入口と、
前記搬送手段を制御する搬送制御手段と、
を有し、
前記判定手段は、
前記導入口から投入された前記被印刷用紙の向きが正常であるか否かを判定する投入判定手段を備え、
前記搬送制御手段は、
前記投入判定手段により前記被印刷用紙の向きが正常であると判定された場合に搬送を開始するように、前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の印刷装置において、
前記判定手段は、
前記搬送制御手段の制御に基づき前記搬送手段による搬送が開始された後、搬送される前記被印刷用紙の向きが正常であるか否かを判定する搬送判定手段を備え、
前記搬送制御手段は、
前記搬送判定手段により前記被印刷用紙の向きが正常でないと判定された場合に搬送を停止するように、前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記第3センサは、
前記第2センサからの距離が、想定される前記被印刷用紙のうち前記直交方向の寸法が最小である被印刷用紙の当該寸法以下となるように、配置されている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記第1センサ、前記第2センサ、及び前記第3センサのそれぞれは、前記搬送手段により搬送される前記被印刷用紙に向かって投光可能な投光手段、及び、受光した光量に対応した検出電圧値を出力可能な受光手段、を備えた光学センサである
ことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−246120(P2012−246120A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121106(P2011−121106)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】