説明

印刷装置

【課題】印刷媒体の変形箇所に対してローラ機構を追従させて、印刷処理や搬送処理におけるローラ機構と印刷媒体との接触状態を適正化する。
【解決手段】印刷媒体(4)を載置する載置部(載置面8)と、ドラム部(6)と、押圧部材(変形補足ローラ10)とを備える。ドラム部は、載置部に載置された印刷媒体の平面形状に応じて、印刷媒体に接触する接触部分(接触領域16)が変形する。押圧部材は、ドラム部の内周面に接触させ、ドラム部を印刷媒体に向けて押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸がある印刷媒体に対して印刷処理や搬送処理を可能にするドラム機構を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタ等の印刷装置では、印刷媒体である用紙を装置内部に取込み、この用紙を転写部側まで搬送したり、文字や図形等を転写するためにドラム機構を利用している。このドラム機構による搬送では、回転するドラム部の外周面に用紙を接触させて所定の搬送方向に送っている。また、ドラム機構により転写を行う感光ドラムでは、印刷する文字や図形の形状にトナーインクを塗布したドラム部の転写面を回転させ、この転写面を用紙に接触させることで、トナーインクの転写を行う。ドラム機構を利用して印刷媒体を搬送したり、トナーインクの転写を行うには、印刷媒体と外周面とが適切に密着する必要がある。
【0003】
ドラム機構を備えた構成として、例えば、特許文献1には、磨耗した感光層の交換性を向上するため、環状フィルム感光体の内側に弾性体を密着させることや、弾性体を拡径方向に弾性変形させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、中間転写体に弾性層と、この弾性層の上に被膜層を形成し、これらの弾性層、被膜層が所定の体積抵抗率に設定されたものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、中間転写ベルトに画像を担持させる構成であって、像担持体と、非回転の転写部とを中間転写ベルトを介して対向させ、この転写部を押圧部材で押圧することで、転写部材の撓みによる画像の転写不良を防止するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−327415号公報
【特許文献2】特開平08−160762号公報
【特許文献3】特開2008−261908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来、用紙等の印刷媒体を搬送させる搬送ローラや感光ドラム等は、金属等の硬質素材で形成されており、変形した用紙が印刷装置に取り込まれた場合、外周面には、用紙の一部分しか接触しない状態となっていた。また、例えば、用紙の折り目や重なり等の凹凸がある場合にも、外周面に対して用紙の凸部のみが接触することになる。このようにドラム機構に対して印刷媒体の一部のみが接触する状態では、印刷媒体全体に対して均等な印刷処理や搬送処理が行えないという不都合があった。
【0008】
そこで、本開示の印刷装置の目的は、印刷媒体の変形箇所に対してローラ機構を追従させて、印刷処理や搬送処理におけるローラ機構と印刷媒体との接触状態を適正化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記目的を達成するため、本開示の印刷装置は、印刷媒体を載置する載置部と、ドラム部と、押圧部材とを備える。ドラム部は、載置部に載置された印刷媒体の平面形状に応じて、印刷媒体に接触する接触部分が変形する。押圧部材は、ドラム部の内周面に接触させ、ドラム部を印刷媒体に向けて押圧する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の印刷装置によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0011】
(1) 変形可能なドラム部に対して、その内部側から印刷媒体との接触面側に向けて押圧することで、ドラム部の外周面と印刷媒体との接触面積を増加させることができ、印刷領域の増加や、印刷媒体の搬送効率を向上させることができる。
【0012】
(2) ドラム部を印刷媒体の平面形状に追従させて印刷媒体の全体にドラム部を接触させるので、ドラムの回転により印刷媒体が受ける力が一定となり、搬送される印刷媒体に皺を生じさせない。
【0013】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る印刷装置のドラム部の構成例を示す図である。
【図2】図1に示すドラム部の断面構成例を示す図である。
【図3】変形補足ローラの接続構成例を示す図である。
【図4】ドラム部と印刷媒体との間に作用する力の状態例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る印刷装置の構成例を示す図である。
【図6】プロセス部における印刷機能の構成例を示す図である。
【図7】感光ドラムの側面断面の構成例を示す図である。
【図8】感光ドラムの構成及び設置状態例を示す図である。
【図9】感光ドラムの構成及び設置状態例を示す図である。
【図10】図9のX−X断面側の構成例を示す図である。
【図11】変形補足ローラの設置例を示す図である。
【図12】感光ドラムの駆動構成例を示す図である。
【図13】感光ドラムの支持状態例を示す図である。
【図14】支持軸の構成例を示す図である。
【図15】支持手段の構成例を示す図である。
【図16】用紙に対するトナー画像の転写状態の一例を示す図である。
【図17】用紙に対するトナー画像の転写状態の一例を示す図である。
【図18】用紙の凹凸に対して感光ドラムが追従した状態例を示す図である。
【図19】第3の実施の形態に係る印刷装置の変形補足ローラの構成例を示す図である。
【図20】保持部材の構成例を示す図である。
【図21】第4の実施の形態に係る印刷装置の変形補足ローラの構成例を示す図である。
【図22】変形用紙に対する変形補足ローラの追従状態例を示す図である。
【図23】変形用紙に対する変形補足ローラの追従状態例を示す図である。
【図24】第5の実施の形態に係る印刷装置のプロセス部の構成例を示す図である。
【図25】比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
【0016】
第1の実施の形態について、図1、図2及び図3を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る印刷装置のドラム部の構成例を示す図、図2は、図1に示すドラム部の断面構成例を示す図、図3は、変形補足ローラの接続構成例を示す図である。図1〜図3に示す構成は一例であって、本発明がこの構成に限定されない。
【0017】
この印刷装置2は、本開示の印刷装置の一例であって、印刷媒体4を回転させたドラムに接触させて、画像の転写処理や印刷方向への搬送処理等を実行するドラム機構を備えている。この印刷装置2のドラム機構は、印刷媒体4の表面形状に関わらずドラム表面の接触状態を維持して印刷処理を可能にする構成である。
【0018】
印刷媒体4は、印刷用紙や表面に印字処理が行える平面状の部材である。この印刷装置2に取り込まれる印刷媒体4は、例えば、印刷面が平面又はそれに近い状態の1枚の用紙の他、用紙の一部に折り目や段差、重なり部分が形成されたものも含まれる。また、印刷媒体4は、複数枚の用紙を貼付ける等により、例えば、印刷方向に対して常に、又は一定の範囲で重なり合って段差が形成されたものも含まれる。さらに、印刷媒体4は、樹脂製や金属製等の平板状の固形物や、繊維等の凹凸のある平面素材等であってもよい。
【0019】
このように凹凸となった印刷媒体4は、例えば、印刷処理を施す面に対して圧力等を加える等の処理を行っても印刷に適した平面にならない場合がある。そこで、この印刷装置2では、例えば、図1Aに示すように、変形したり又は段差等が形成され、表面形状が平面又はそれに近い状態とならない印刷媒体4に対し、図1Bに示すように、ドラム機構を印刷媒体4の形状に追従させる構成となっている。この印刷装置2には、例えば、ドラム6、載置部8、変形補足ローラ10を備えている。
【0020】
ドラム6は、本開示の印刷装置におけるドラム部の一例であって、胴体部分12に印刷媒体4を接触させて、印刷媒体4を所定の印刷方向に搬送させ、また、印刷画像を印刷媒体4に印字させるドラム機構を構成し、印刷媒体4の搬送方向に対して回転させている。このドラム6は、印刷媒体4の表面形状に応じて、印刷媒体4に対する接触部分を変形させるものであって、例えば、樹脂材料で構成されている。ドラム6は、例えば、円筒形状に形成され、外周部分を印刷媒体4に対して接触させる胴体部12、ドラム6の中心部側が開口された空洞部14が形成されている。
【0021】
載置部8は、載置した印刷媒体4をドラム6側に対して配置させる手段の一例であって、例えば、円柱状に形成され、その外周面上の一部に印刷媒体4を載置させている。この載置部8は、印刷媒体4がドラム6に接触する部分に合わせる位置に配置され、載置面が印刷媒体4を介してドラム6に対向して配置させ、ドラム6との間の接触部の一部又は全部が印刷媒体4を挟持している。即ち、図1Bに示すように、載置部8を印刷媒体4に接触するように配置している。そして、印刷媒体4がドラム6と接触する接触領域16において、載置部8は、ドラム6との間で印刷媒体4を挟持している。また、載置部8は、例えば、印刷媒体4の印刷方向に直交する向きの中心軸を基準に印刷方向に向けて回転する。これにより、ドラム6の回転と併せて、印刷媒体4を印刷方向に導くことができる。
【0022】
なお、この載置部8は、接触領域16を含んで印刷媒体4と接触させればよく、円筒形の部材で構成される場合に限られない。例えば、載置部8は、印刷媒体4の底面側に沿って配置され、印刷媒体4を印刷方向に導くベルト部品で構成してもよい。
【0023】
変形補足ローラ10は、ドラム6を内部側から印刷媒体4に向けて押圧する押圧部材の一例であって、ドラム6の胴体部12を押圧し、接触領域16においてドラム6を印刷媒体4に密着させることができる。変形補足ローラ10は、例えばドラム6の内部側の空洞部14内の底部側であって、ドラム6の接触領域16内に配置される。そして、図2に示すように、変形補足ローラ10がドラム6の内側から胴体部12を接触領域16に向けて押圧することで、印刷媒体4の平面形状に合わせた形状に変形させることができる。
【0024】
変形補足ローラ10は、例えば、複数のガイドローラ101、102、・・・10Nを一列に配置して構成されており、その一部分をドラム6の内壁に接触している。ドラム6が印刷媒体4の印刷方向に向けて回転していることから、変形補足ローラ10は、ドラム6との接触により回転力を受ける。これに対し変形補足ローラ10は、ドラム6の回転方向に合せて回転可能に設置している。これにより変形補足ローラ10は、ドラム6内部において、所定位置として、例えば底面側に配置され、常にドラム6の接触領域側を押圧することが可能となる。
【0025】
この変形補足ローラ10は、例えば、図3Aに示すように、各ガイドローラ101、102、・・・10Nが中心部分を連結軸18で連結しており、図3Bに示すように、連結軸18を中心として回転可能に構成している。ガイドローラ101、102、・・・10Nや連結軸18は、例えば、金属材料で形成され、ガイドローラ101、102、・・10Nと連結軸18とを一体に形成してもよい。
【0026】
連結軸18は、例えば、図示しない印刷装置2の筐体等、ドラム6の回転力を受けない構成部に対して固定する。このとき、変形補足ローラ10は、例えば、軸方向に対してFpの張力を生じさせ、ガイドローラ101、102、・・10Nを支持する連結軸18が撓まないように固定されている。
【0027】
なお、この連結軸18は、金属製のガイドローラ101、102、・・・10Nと一体に構成するもの限られず、例えば、樹脂製のワイヤー等を各ガイドローラ101、102、・・・10Nに貫通させるようにしてもよい。
【0028】
次に、印刷処理におけるドラムの状態について、図4を参照する。図4は、ドラム部と印刷媒体との間に作用する力の状態例を示す図である。図4に示す構成は、一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。
【0029】
ドラム6に対して印刷媒体4が配置されると、回転するドラム6の胴体部12は、印刷媒体4の平面に接触して、印刷媒体4を印刷方向に搬送する。図4に示すドラム6は、例えば、時計回りの方向(右回転)に回転しており、印刷媒体4を右側から左側に向けて搬送させている。この状態において、印刷媒体4の平面上に凹凸がある場合、ドラム6は、接触領域16において、印刷媒体4の表面の凹凸により上方向に力を受ける。印刷媒体から受ける力は、例えば、印刷媒体4が一定の平面形状であれば、この平面側から一定に作用するが、一部に凹凸がある場合、例えば凸部の頂点等、ドラム6に接触する部分のみに作用する。これに対して変形補足ローラ10は、印刷媒体4に対する接触領域16においてドラム6の内側から印刷媒体4に向けて、例えば、力Fで押圧している。これにより、印刷媒体4の凹凸による変形部分に対し、変形可能なドラム6の胴体部12は、印刷媒体4側に向けて押し付けられる。
【0030】
変形補足ローラ10の設置は、例えば、胴体部12に対して押圧する力Fの大きさに応じて空洞部14内での設置位置を決定すればよい。このように、変形補足ローラ10の押圧により、印刷媒体4の表面形状に対して、例えば、凸部分の頂点やその周辺のみに胴体部12が接触するのを回避でき、図2に示すように、印刷媒体4に胴体部12を追従させることができる。
【0031】
斯かる構成によれば、変形可能なドラム部に対して、その内部側から印刷媒体との接触面側に向けて押圧することで、ドラム部の外周面と印刷媒体との接触面積を増加させることができ、印刷領域の増加や、印刷媒体の搬送効率を向上させることができる。また、ドラム部を印刷媒体の平面形状に追従させて印刷媒体の全体にドラム部を接触させるので、ドラムの回転により印刷媒体が受ける力が一定となり、搬送される印刷媒体に皺を生じさせない。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
【0033】
次に、第2の実施の形態について図5を参照する。図5は、第2の実施の形態に係る印刷装置の構成例を示す図である。図5に示す構成は一例であって、本発明がこれに限定されない。
【0034】
図5に示す印刷装置20は、本開示の印刷装置の一例であって、例えば、印刷装置20の上部側からプリント動作部22、下側筐体部24、26とを備えており、印刷媒体である用紙の表面形状に追従可能なドラム機構を備えている。プリント動作部22は、例えば、文字や画像等が印字された印刷用紙を出力側に搬送する機能部であり、搬送ローラ28、30、32、34や排出部36、コントローラ部38等を備えている。下部筐体部24は、印刷処理を実行する機能部であって、例えば、用紙40を搭載した用紙カセット42、プロセス部44、定着部46を備えている。また、下部筐体部26は、例えば、用紙40の供給機能部であって、用紙カセット48を備えている。
【0035】
この印刷装置20では、上記実施の形態に示す印刷媒体4の表面形状に応じて変形可能なドラム機構を文字や図形を印刷用紙に印字する感光ドラムに利用した場合を示している。
【0036】
搬送ローラ28、30は、下側筐体部24側で印刷された用紙40を受け取り、プリント動作部22の搬送経路60側に送る手段の一例である。この搬送ローラ28、30は、例えば、用紙40の表裏面を挟み込んでガイドしている。また、搬送ローラ32、34は、搬送経路60を通過した用紙40を印刷装置20の排出部36に向けてガイドする手段である。
【0037】
コントローラ部38は、印刷装置20の制御機能部の一例であって、例えば、プロセス部44や定着部46等のプリント機能部に対する運転制御や、図示しない電源制御、その他外部の電子機器等からの印刷指示の処理制御等を行う。また、コントローラ部38は、プロセス部44や定着部46等に対する機構動作を制御するメカコン部を構成している。このコントローラ部38の運転制御機能や電源制御機能、外部電子機器との印刷制御は、例えば、コンピュータによる制御プログラムの実行により行われる。
【0038】
プロセス部44は、文字や画像等を用紙40に転写する画像転写手段の一例であって、例えば、印刷装置20の外部に接続したコンピュータ等からコントローラ部38が受信した画像データ等から印刷画像を生成させて転写を行う。このプロセス部44は、例えば、画像データから静電潜像を生成する感光ドラム50や、この感光ドラム50に着色材の一例であるトナーで生成されたトナー画像を用紙40に押し付ける転写ローラ54で構成されている。そして、感光ドラム50は、例えば、樹脂材料により用紙40の平面形状に応じて可変可能に構成されている。また、感光ドラム50の空洞部53内には、感光ドラム50を用紙40側に向けて押圧する変形補足ローラ52を備えている。
【0039】
定着部46は、トナー画像を用紙40に定着させる定着手段の一例であって、例えば、加熱ローラ56と、プレッシャーローラ58とを備えている。加熱ローラ56がトナー画像を加熱する。そして、プレッシャーローラ58は、加熱状態のトナー画像を加圧して用紙40に定着させる。定着を終えた用紙40は、搬送ローラ28、30によってプリント動作部22側に搬送され、排出部36から印刷装置20の外部に排出される。
【0040】
用紙カセット42、48は、印刷媒体である、例えば用紙40を収納して保持する手段の一例である。下側筐体部24には、用紙カセット42にある用紙40を搬送経路上に引き込む用紙引込み手段が設置されている。また、下側筐体部26には、用紙カセット48にある用紙40を搬送経路上に引き込む用紙引込み手段が設置されている。
【0041】
次に、本開示の印刷装置におけるドラム機構を備えたプロセス部の構成について、図6及び図7を参照する。図6は、プロセス部における印刷機能の構成例を示す図、図7は、感光ドラムの側面断面の構成例を示す図である。図6、図7に示す構成は一例であって、本発明がこれに限定されない。
【0042】
図6に示すプロセス部44(図5)は、例えば、図6に示すようにプリント指示された文字や画像を感光ドラム50にトナー画像として形成する手段として、帯電ローラ62、レーザー光源68、現像ローラ72を備えている。このプロセス部44では、帯電ローラ62により、例えば、感光ドラム50の表面側に負の電荷64を帯電させた後、レーザー光源68がプリントする画像に合わせてレーザー光70を照射(露光)する。レーザー光70が照射された部分の電荷64が消失することで、感光ドラム50に画像パターンが形成される。
【0043】
図7に示す感光ドラム50は、変形可能な樹脂材料で形成されており、例えば、外周ドラム92と内周ドラム94の2層で構成されている。この外周ドラム92は、外周面側を用紙40に接触させる第1の回転体の一例であって、印刷画像が形成される感光手段を構成する。この外周ドラム92は、屈曲性を持つ感光樹脂として、例えば、アモルファスシリコンやセレン、OPC(Organic Photo Conductor :有機感光体)等で形成されている。
【0044】
また、内周ドラム94は、外周ドラム92の内側に密着させ、内周面側を変形補足ローラ52と接触して第1の回転体とともに変形する第2の回転体の一例である。この内周ドラム94は、屈曲性を持つ樹脂材料として、例えば、ナイロン、フッ素系樹脂等で構成すればよい。
【0045】
帯電ローラ62は、感光ローラ50に電荷64を帯電させる手段の一例であって、例えば、図6に示すように、円筒形状に形成されて感光ローラ50の表面に接触するように配置している。この帯電ローラ62は、電源ユニット66に接続して交流電圧又は直流電圧を印加することで、感光ドラム50を帯電させている。
【0046】
レーザー光源68は、レーザー光70によって感光ドラム50の表面を露光させる手段の一例である。感光ドラム50は、レーザー光70が照射されることで電荷64がグランドに落ちることになり、その照射部分にトナー76を付着させることができる。レーザー光源68は、例えば、コントローラ部38からの制御指示を受け、印刷する印刷データのパターンに合せて感光ドラム50にレーザー光70を照射して静電潜像を形成する。この静電潜像を形成する光源は、レーザー光源68のほか例えば、LED等で構成してもよい。
【0047】
現像ローラ72は、感光ドラム50に対する露光により電荷64が失われた部分にトナー76を付着させる手段の一例である。現像ローラ72は、レーザー光70が照射されて形成された感光ドラム50上の静電潜像に対し、トナーを付着させる。この現像ローラ72は、例えば、トナー封入部74が設置され、現像ローラ72が回転することによりトナー封入部74からトナー76が取り込まれる。
【0048】
プロセス部44には、例えば、感光ドラム50を回転させる駆動手段78や電源ユニット80が接続されており、コントローラ部38(図5)からの制御指示に従って感光ドラム50の動作制御が行われる。
【0049】
また、転写ローラ54は、感光ドラム50に形成されたトナー画像を用紙40に転写させる手段の一例であって、用紙40の背面側に正の電荷を帯電させている。この転写ローラ54は、電源ユニット82に接続して交流電圧や直流電圧の印加を受けて用紙40を帯電させる。
【0050】
その他、プロセス部44には、例えば、用紙40を搬送させるための搬送ローラ84、86、88、90が設置されている。
【0051】
次に、プロセス部の設置構成例について図8、図9、図10及び図11を参照する。図8、図9は、感光ドラムの構成及び設置状態例を示す図、図10は、図9のX−X断面側の構成例を示す図、図11は、変形補足ローラの設置例を示す図である。図8〜図11に示す構成は一例であって、本発明がこれに限定されない。
【0052】
図8に示すプロセス部44は、例えば、感光ドラム50の両端側を保持する保持リング96やこの保持リング96に係合させて感光ドラム50を印刷装置20の筐体部97に支持する支持軸98が設置されている。
【0053】
保持リング96は、感光ドラム50に固着させて保持するとともに、後述する駆動手段からの駆動力を受けて感光ドラム50とともに回転する保持手段の一例である。この保持リング96は、感光ドラム50を両端側から挟持して感光ドラム50を回転軸方向に固定している。
【0054】
支持軸98は、保持リング96の一部又は全部に係合させて感光ドラム50や保持リング96を支持する支持手段の一例である。この支持軸98は、例えば、筐体部97に対して貫通させてもよく、又は溶接等によって固定させてもよい。
【0055】
図9に示す感光ドラム50の中心側の空洞部53の内部には、変形補足ローラ52を構成するガイドローラ521、522、・・・52N(図11)を保持する保持部材110が設置されている。保持部材110は、ドラムの内側から、ガイドローラをドラムと印刷媒体との接触部分に対応する領域に向けて固定するとともに、ドラム側に向けて密着させて保持する手段の一例である。この保持部材110は、例えば、感光ドラム50の左右の筐体部97に固定させ、感光ドラム50の内部の空洞部53(図10)を貫通させるように配置している。また、保持部材110は、例えば、変形補足ローラ52の上部側に接触する高さに配置させており、供給された用紙40の凹凸に応じた感光ドラム50の変形に対し、変形補足ローラ52を感光ドラム50側に押し付けている。
【0056】
図10に示すように、保持部材110は、空洞部53内において例えば、感光ドラム50と転写ローラ54とが用紙40を介して接触する接触領域に対して変形補足ローラ52を保持する位置に配置されている。そして、この保持部材110は、例えば、感光ドラム50から受ける回転力や用紙側から受ける力等により、変形補足ローラ52が、接触領域から外れるのを防止するように保持している。また、この保持部材110は、保持リング96や支持軸98に対して接触しない位置に配置されている。
【0057】
保持部材110は、図11に示すように、例えば、両端の側面側にガイドローラ521、522、・・・52Nを一列に連結した連結軸112を固定している。この連結軸112は、感光ドラム50の内側接触面に対して平行方向に配置され、感光ドラム50の変形に対して、変形補足ローラ52を元の位置に戻すための張力を付勢して設置されている。この連結軸112は、保持部材110に対する設置高さにより変形補足ローラ52の設置高さを設定することで、感光ドラム50に対する押圧力を調整することができる。また、連結軸112の両端は、保持部110から引っ張られながら固定されることで、例えば、感光ドラム50との接触面側に対して上下方向への変動に対向するための復元力を得るため、連結軸112の軸方向に向かって張力が付勢されればよい。
【0058】
この変形補足ローラ52は、感光ドラム50が変形していない状態において感光ドラム50の内部に接触する位置を基準高さとし、感光ドラム50の変形に応じて基準高さから感光ドラム50の円周方向に進退している。また、この変形補足ローラ52には、それぞれローラガイド114を備えている。このローラガイド114は、変形補足ローラ52に対する補正支持手段の一例であって、保持部材110に対して移動するのを防止するとともに、変形した用紙40に対してガイドローラ521、522、・・・52Nを押し下げるローラガイドを備えている。
【0059】
即ち、図11に示す各ガイドローラ521、522、・・・52Nは、例えば、配置された用紙40の一部に凸形状を持った場合において、この用紙の形状に応じてガイドローラ521、522、・・52Nが配置されている。このとき、用紙40が転写ローラ54に接触する位置に配置されたガイドローラ52Xの高さが基準高さX0 となる。また、用紙40の凸状態の位置に対応したガイドローラ523は、例えば、配置高さX1 の位置に移動している。このとき、ガイドローラ521は、基準高さX0 に対し感光ドラム50の円周方向に対して内側に移動していることを示している。また、この高さX1 の大きさは、用紙40の変形量を示している。
【0060】
保持手段110は、ローラガイド114の変動に対して基準高さまで押し戻すため、例えば、弾力性を備えた樹脂材料で構成すればよい。また、変形補足ローラ52や連結軸112、ローラガイド114は、例えば、金属又は樹脂材料で構成すればよい。
【0061】
次に、ドラム部に対する回転手段について図12、図13、図14及び図15を参照する。図12は、感光ドラムの駆動構成例を示す図である。図13は、感光ドラムの支持状態例を示す図、図14は、支持軸の構成例を示す図、図15は、支持手段の構成例を示す図である。図12〜図15に示す構成は一例であって、本願がこれに限定されるものではない。
【0062】
感光ドラム50は、例えば、駆動モータ120からの駆動力を受けて回転し、用紙40を搬送するとともにトナー画像を転写する。この駆動モータ120は、本開示の印刷装置における駆動手段の一例であって、例えば、プロセス部44(図5)内に配置され、コントローラ部38のメカコントロール機能によってON/OFFや回転数等が制御される。この駆動モータ120は、回転力を出力する回転軸部122を備えており、この回転軸部122には、駆動モータ120の回転力を感光ドラム50側に伝達する伝達ベルト124が係合している。
【0063】
伝達ベルト124は、環状に構成され、駆動モータ120の回転軸部122と保持リング96の周囲側との間に掛け回している。そして、駆動モータ120の回転軸部122が所定の方向に回転することで、伝達ベルト124が回転力を伝導して、保持リング96や感光ドラム50を回転させることができる。感光ドラム50及び保持リング96の回転方向は、回転軸部122の回転方向や伝達ベルト124の駆動伝達構造によって決めることができる。
【0064】
この回転駆動力を伝達するため、例えば、回転軸部122や保持リング96の外周面及び伝達ベルト124の内周面側に凹凸構造を備えてもよい。
【0065】
保持リング96と感光ドラム50とは、図13に示すように、例えば、接合部分126において、保持リング96の一部に対して感光ドラム50の樹脂材料を熱溶着させ、又は接着材等によって接着させている。この接合部分126は、保持リング96から感光ドラム50に対して回転力を伝達可能な強度を持たせて接合可能な手段であれば、熱溶着に限られず、他の手段を用いてもよい。
【0066】
また、回転する保持リング96及び感光ドラム50を支持する支持軸98は、例えば、保持リング96の内壁側に向けて複数のローラガイド130が形成され、このローラガイド130の先端側には、保持リング96と接触させるローラ132を備えている。
【0067】
図14に示すローラガイド130は、支持軸98が保持リング96を所定の位置及び高さで回転可能に支持する手段の一例であって、例えば、複数のローラガイド130が保持リング96の内壁に向けて所定の角度間隔で形成されている。このローラガイド130は、例えば、円柱状に形成され、先端部には、ローラ132を回転可能に収納している。そして、図14Bに示すように支持軸98は、一端側を筐体部97に固定され、他端側を保持リング96に対してローラガイド130を通じてローラ132を回転接触させることで、感光ドラム50を保持している。
【0068】
ローラ132は、ローラガイド130の先端に収納され、図15に示すように、その一部を保持リング96に接触させている。このローラ132は、固定されたローラガイド130に対して独立して回転可能に保持されており、保持リング96からの回転力を受けて回転することで、この回転力を支持軸98やローラガイド130に対して遮断する手段の一例である。
【0069】
図15Bに示すように、ローラ132は、例えば、保持リング96の外周面に対して伝達ベルト124を係合させる係合部134の位置に合せて配置すればよい。また、図15Cに示すように、保持リング96の内周面には、例えば、ローラ132及び支持軸98に対して保持リング96が左右方向に移動するのを防止するための凹部136が形成されている。
【0070】
このような構成において、図16に示す感光ドラム50は、内部に配置した変形補足ローラ52により、搬送された用紙40に向けて押圧されることで、用紙40の平面に対して平行にトナー画像140を転写させることができる。例えば、搬送された用紙40が載置面141に対して平行状態であり、また、平面上に凹凸が無ければ、変形補足ローラ52は、感光ドラム50と用紙40との接触面に対して平行な状態で押圧している。
【0071】
また、図17に示す用紙40には、例えば、一部に歪みや折目等が付けられて、載置面141に対して上向きに変形した変形部142、下向きに変形した変形部144が形成され、変形部144のみが載置面141に対して接触している。そして、例えば、変形部142と変形部144との間にトナー画像140を転写する場合、変形補足ローラ52は、この変形部142、144の形状に合わせて配置され、感光ドラム50と用紙40との接触面に向けて押圧する。これにより、図18に示すように、感光ドラム50が用紙40との接触面において変形部142、144に追従して変形する。そして、感光ドラム50が変形することで、トナー画像140は、用紙40の表面形状に対して平行に変形して用紙40に転写させることができる。
【0072】
斯かる構成によれば、感光ドラムに対して、内部側から用紙との接触面側に向けて押圧することで、ドラム部の外周面と印刷媒体との接触面積を増加させることができ、印刷精度を向上させることができる。また、変形した用紙が搬送された場合でも、用紙自体に無理な力を加えずに印刷処理を行えるので、皺を発生させることがない。また、感光ドラムが用紙との接触面に対して、一定の押圧状態とすることで、皺の発生を抑えることができる。
【0073】
〔第1及び第2の実施の形態の利点及び特徴事項〕
【0074】
(1) 本開示の印刷装置は、変形した用紙等の印刷媒体の表面形状に対して追従可能なドラム機構を備えている。このドラム機構は、屈曲性を持つ樹脂材料で構成される。また、ドラム機構の内側には、ドラムの本体部を印刷媒体側に押し付けて、凹凸な表面の印刷媒体に対してドラム本体部を沿わせる変形補足ローラを備えている。
【0075】
(2) 本開示のドラム機構は、樹脂製のドラム本体を保持する保持手段を備えている。この保持手段は、ドラム本体の両端側に設置され、例えば、金属製のリング形状で構成されている。また、このドラム機構に対する駆動手段として、例えば駆動モータや駆動ベルトを備えている。この駆動ベルトは、保持手段に対して設置されて回転駆動力を伝達する。保持手段には、ドラム機構を印刷装置の所定位置に設置するための支持軸が設置されている。この支持軸は、回転する保持手段に対して回転力を遮断するローラを備えて回転させない。これにより、支持軸は、ドラム機構に設置された変形補足ローラに接触しないことで、変形補足ローラがドラム本体部と印刷媒体との接触領域に対して押圧するのを妨げない。
【0076】
(3) このドラム機構によれば、変形した用紙にもトナーを転写でき、印刷品質の向上が計ることができる。
【0077】
〔第3の実施の形態〕
【0078】
次に、第3の実施の形態について、図19及び図20を参照する。図19は、第3の実施の形態に係る印刷装置の変形補足ローラの構成例を示す図、図20は、保持部材の構成例を示す図である。図19及び図20に示す構成は一例であって、本発明の構成がこれに限定されるものではない。
【0079】
図19に示す感光ドラム50には、空洞部53内に変形補足ローラ52を保持する保持部材150が設置されている。この保持部材150は、例えば、1列に並べて配置された複数の変形補足ローラ52を内部に収納し、感光ドラム50の内周面に対して変形補足ローラ52を押し付ける高さに設置している。この保持部材150は、例えば、図示しない印刷装置の筐体部等に対して固定すればよい。
【0080】
そして、この感光ドラム50は、例えば、転写ローラ54に載置された変形した用紙40に対して追従させている。この用紙40は、例えば、一部に載置面141から上向きに変形量X3 の高さに変形している。この変形部分に対して、感光ドラム50の本体部や変形補足ローラ52は、例えば、変形量X3 に合せて上向きに変移している。このとき、保持部材150は、設置高さを維持しており、変形補足ローラ52により感光ドラム50を印刷用紙40側に押し付けている。
【0081】
保持部材150は、図20Aに示すように、例えば、変形可能な樹脂材料で構成され、一辺側に変形補足ローラ52を収納する溝152が形成されている。この溝152は、例えば、複数の変形補足ローラ52を一列に接触させ、左右方向に変移させないように保持している。また、図20Bに示すように、この溝152は、用紙40の変形部分に応じて上下方向に変移する変形補足ローラ52に対し、この変形補足ローラ52に接触する部分を上下方向に伸縮変形させている。これにより、保持部材150は、用紙40の変形部分から受ける上下方向への力を緩衝させて、変形補足ローラ52を保持することができる。更に、保持部材150は、変形補足ローラ52を感光ドラム50側に向けて所定の圧力で接触するように押圧しているので、変形補足ローラ52の配置位置が感光ドラム50と用紙40との接触領域内に保持することができる。
【0082】
斯かる構成によれば、変形補足ローラを連結軸等で連結せずに、感光ドラムと用紙との接触領域内に一列に配置することができる。
【0083】
〔第4の実施の形態〕
【0084】
次に、第4の実施の形態について、図21、図22及び図23を参照する。図21は、第4の実施の形態に係る印刷装置の変形補足ローラの構成例を示す図、図22及び図23は、変形用紙に対する変形補足ローラの追従状態例を示す図である。図21〜図23に示す構成は一例であって、本願の構成がこれに限定されるものではない。
【0085】
図21Aに示す印刷装置の感光ドラム50の空洞部53には、例えば、複数の変形補足ローラ160(161、162、・・・16N)が設置されている。この変形補足ローラ160は、例えば、円盤状で構成され、各ローラ161,162、・・・16Nが中心部分において連結軸170によって連結されている。この連結軸170は、変形補足ローラ160の回転中心を構成している。
【0086】
変形補足ローラ160は、図21Bに示すように、連結軸170を中心に、感光ドラム50の胴体部172に接触する円盤部174が形成されている。既述のように感光ドラム50は、印刷媒体に対するトナー画像の転写や印刷媒体の搬送を行うために所定の方向に向けて回転する。これに対し、変形補足ローラ160は、感光ドラム50と印刷媒体(用紙40)との接触領域に配置させて押圧することから、この円盤部174を回転させることで、感光ドラム50の胴体部172の回転を受け流している。
【0087】
連結軸170は、例えば、両端側を図示しない印刷装置の筐体部に固定すればよく、連結した各変形補足ローラ161、162、・・・16Nが撓まないように左右方向に所定の張力を持たせている。また、この連結軸170は、連結した変形補足ローラ160が感光ドラム50に対して押圧させるように、胴体部172からの設置高さを調整している。そして、所定の高さに設置された変形補足ローラ160は、各ローラ161,162、・・・16N毎に、例えば、それぞれの自重によって胴体部172を押圧する。
【0088】
このような構成において、図22に示す感光ドラム50には、例えば、用紙176を台紙とし、この用紙176上に他の用紙又は樹脂カード等の他の物質で構成された部材178を重ねて構成した変形用紙が配置されている。このような変形用紙は、図示しない載置面に対して平行に載置されているが、印刷面側に凸形状が形成されており、用紙176側に対してトナー画像を転写するのが困難である。これに対し、この変形補足ローラ160は、この変形用紙に対して印刷処理を行う場合、変形領域180に配置された各ローラを上側に変移させ、用紙176及び部材178に向けて押圧することで、胴体部172を変形用紙に対して追従させることができる。
【0089】
また、図23に示す感光ドラム50には、例えば、用紙182と用紙184の一部が重なり合った変形用紙が載置されている。このような変形用紙においても、用紙同士が重なり合い上に凸形状となった変形領域186が形成されており、例えば、この変形領域186以外への印刷処理が困難となる。このような変形用紙に対して、変形領域186に配置された各ローラを上側に変移させ、用紙184及び用紙182に向けて押圧することで、胴体部172を変形用紙に対して追従させることができる。
【0090】
〔第5の実施の形態〕
【0091】
次に第5の実施の形態について、図24を参照する。図24は、第5の実施の形態に係る印刷装置のプロセス部の構成例を示す図である。図24に示す構成は一例であって、本願の構成がこれに限定されるものではない。
【0092】
この印刷装置200は、本開示の印刷装置の一例であって、例えば、プロセス部44として、用紙40にトナー画像140を転写する感光ドラム50や、感光ドラム50に対向して配置され、転写されたトナー画像を用紙40に対して押し付ける転写ローラ202を備えている。この転写ローラ202は、用紙40を載置する載置部141の一例であって、例えば、内部に空洞部202が形成され、樹脂材料等により変形可能な載置ドラムを構成する。
【0093】
この転写ローラ202の空洞部204内には、複数のローラ206が一列に連結されて配置されている。このローラ206は、載置ドラムの内周面を用紙40に向けて押圧する他の押圧部材の一例であって、例えば、用紙40に接触する接触領域内に配置されている。このローラ206は、例えば、感光ドラム50内に設置された変形補足ローラ52と同様に連結軸170で張力を持たせて連結し、転写ローラ202の胴体部172に対して接触する高さで固定すればよい。
【0094】
また、感光ドラム50は、既述のように、樹脂材料で構成され、変形した用紙40の変形部142、144に応じて変形する。また、この感光ドラム50の中心側に形成された空洞部53内には、用紙40との接触領域において感光ドラム50の胴体部を用紙40側に押圧する変形補足ローラ52が設置されている。
【0095】
プロセス部44では、用紙40を感光ドラム50と転写ローラ202で挟持しており、感光ドラム50及び転写ローラ202の胴体部が、用紙40に形成された変形部142、144に対して追従するように変形する。これにより、トナー画像140が形成された感光ドラム50の胴体部及びその転写画像を押し付ける転写ローラ202を用紙40の平面形状に合せて変形させ、用紙40の変形部分に対しても転写処理を行うことができる。また、感光ドラム50及び転写ローラ202によって用紙40の変形形状に合せて挟持することで、用紙40に無理な力を与えないので、印刷処理、搬送処理において、用紙40に対する皺の発生や破損等を防止できる。
【0096】
〔比較例〕
【0097】
次に、比較例について、図25を参照する。
【0098】
この比較例に示すプリンタの感光ドラム300は、例えば、金属製等の固体感光ドラムを用いてトナー画像の転写を行っている。このような固体感光ドラムでは、トナーを転写する為に感光ドラムと用紙が平行でなければならなかった。例えば、図25Aに示すように載置面301に対して平面形状が平行な用紙302が感光ドラム300に対して載置された場合、この感光ドラム300に形成されたトナー画像は、用紙302に対して正常に転写させることができる。
【0099】
これに対し、図25Bに示すように、載置された用紙302に凹凸や折目等の変形部分304、306がある場合、固体の感光ドラム300では、用紙の変形部分304、306に対して感光ドラム300の全体が均等に接触せず、トナー画像が適正に転写できない場合がある。即ち、感光ドラム300の表面が、例えば、変形した用紙の凸部のみに接触することで、トナー画像の一部しか転写できない場合ある。
【0100】
また、例えば感光ドラム300の下部側に対向させた図示しない転写ローラを配置し、用紙302を挟持させて変形部分304、306を矯正させた場合、用紙302の一部に無理に力が掛けられて折目や破損等が生じるおそれもあり、適正な印刷を行うのが困難であった。その他、転写ローラによる矯正は、例えば、薄い用紙を用いた場合にのみ適用することができ、例えば、所定の厚さを持った用紙や、紙以外の印刷媒体に適用するのが困難である。
【0101】
斯かる課題に対し、上記した本開示のドラム部を備えた印刷装置では、変形した用紙に対して追従させることで、ドラム部と用紙との接触面積を増加させて、適切にトナー画像の転写や用紙の搬送処理を行うことができる。
【0102】
〔他の実施の形態〕
【0103】
(1) 上記実施の形態では、変形可能なドラム部の構成例として、感光ドラム50及び転写ローラ202を示したがこれに限定されない。例えば、印刷媒体を搬送する搬送ローラ28、30、32、34を変形可能なドラム機構で構成してもよい。また、印刷装置において、変形可能なドラム部で構成して感光ドラム50、転写ローラ202、搬送ローラ28、30、32、34を組み合わせて設置してもよい。
【0104】
(2) 変形可能なドラム部を備えた印刷装置は、トナー画像の転写や用紙の搬送を行う構成を含む装置であればよく、例えばレーザープリンタ、ドットインパクトプリンタ、複写機、FAX等を含む。
【0105】
(3) また、本開示の印刷装置に利用可能な印刷媒体は、コピー用紙や普通紙等に限られず、厚紙や複数の用紙が重ねられたものを利用してもよい。その他、金属板等の硬度を備えた平面部材を利用してもよい。
【0106】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0107】
(付記1)印刷媒体を載置する載置部と、
前記載置部に載置された前記印刷媒体の平面形状に応じて、前記印刷媒体に接触する接触部分が変形するドラム部と、
前記ドラム部の内周面に接触させ、前記ドラム部を前記印刷媒体に向けて押圧する押圧部材と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【0108】
(付記2)前記ドラム部は、回転により前記印刷媒体を搬送方向に搬送させる円筒形状に形成され、
前記押圧部材は、回転する前記ドラム部の内部の空間内に配置され、前記ドラム部と前記印刷媒体との接触部分を前記ドラム部の内側から押圧することを特徴とする、付記1に記載の印刷装置。
【0109】
(付記3)前記ドラム部は、変形可能な樹脂材料で構成され、
外周面側を前記印刷媒体に接触させる第1の回転体と、
前記第1の回転体の内側に密着させ、内周面側を前記押圧部材と接触して前記第1の回転体とともに変形する第2の回転体と、
を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載の印刷装置。
【0110】
(付記4)更に、前記ドラム部を回転させる駆動力を発生する駆動手段と、
前記ドラム部の両端側に固着して前記ドラム部を保持し、前記駆動手段から駆動力を受けて前記ドラム部とともに回転する保持手段と、
前記保持手段の一部又は全部に係合させて前記ドラム部及び前記保持手段を支持する支持手段と、
を備え、
該支持手段は、
前記保持手段との接触部分に、前記保持手段からの回転力を遮断するガイド部材を備えることを特徴とする、付記1ないし3のいずれかに記載の印刷装置。
【0111】
(付記5)前記押圧部材は、
前記ドラム部の回転を受けて回転する複数のガイドローラと、
前記ガイドローラを、前記ドラム部の内部側から前記接触部分に対応する領域に向けて密着させるように保持する保持部材と、
を備え、前記ドラム部の回転に対して、前記接触部分に対応する領域内に固定されて前記ドラム部の内側から押圧することを特徴とする、付記1ないし4のいずれかに記載の印刷装置。
【0112】
(付記6)前記ドラム部の内部において、複数の前記押圧手段を一列に連結させる連結手段を備え、
該連結手段は、前記ドラム部の内部接触面に対して平行方向に配置されるとともに、前記ドラム部の変形に対して、前記押圧部材の配置位置を維持するための力を付勢して設置したことを特徴とする、付記1ないし5のいずれかに記載の印刷装置。
【0113】
(付記7)前記押圧部材は、前記ドラム部が変形していない状態において前記ドラム部の内部に接触する位置を基準高さとし、前記ドラム部の変形に応じて該基準高さから前記ドラム部の円周方向に進退することを特徴とする、付記1ないし6のいずれかに記載の印刷装置。
【0114】
(付記8)前記ドラム部は、印刷媒体に文字又は図形を転写する感光ドラム、前記印刷媒体を介して前記感光ドラムの対向側に配置する転写ローラ、前記印刷媒体を搬送する搬送ローラの何れか又は2以上を含むことを特徴とする、付記1ないし7のいずれかに記載の印装置。
【0115】
(付記9)前記載置部は、前記ドラム部の前記接触部の一部又は全部において前記印刷媒体を挟持することを特徴とする、付記1ないし8のいずれかに記載の印刷装置。
【0116】
(付記10)前記載置部は、
前記印刷媒体の平面形状に応じて、前記印刷媒体に接触する接触部分が変形する載置ドラムと、
該載置ドラムの内周面を前記印刷媒体に向けて押圧する他の押圧部材と、
を備えたことを特徴とする、付記1ないし9のいずれかに記載の印刷装置。
【0117】
以上説明したように、本開示の印刷装置の好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0118】
2、20、200 印刷装置
4 印刷媒体
6 ドラム
8 載置部
10、52、160、161、162、・・・16N 変形補足ローラ
101、102、・・・10N、521、522、・・・52N ガイドローラ
12 胴体部
14、204 空洞部
16 接触領域
18、112、170 連結軸
22 プリント動作部
24、26 下側筐体部
28、30、32、34、84、86、88、90 搬送ローラ
36 排出部
38 コントローラ部
40、176、182、184、186 用紙
42、48 用紙カセット
44 プロセス部
46 定着部
50 感光ドラム
54、202 転写ローラ
58 プレッシャーローラ
62 帯電ローラ
64 電荷
66、80、82 電源ユニット
70 レーザー光
72 現像ローラ
74 トナー封入部
92 外周ドラム
94 内周ドラム
96 保持リング
97 筐体部
98 支持軸
110 保持部材
114、130 ローラガイド
120 駆動モータ
122 回転軸部
124 伝導ベルト
126 接合部分
132、206 ローラ
134 係合部
136 凹部
140 トナー画像
141 載置面
142、144 変形部
150 保持部材
152 溝
174 円盤部
180 変形領域



【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を載置する載置部と、
前記載置部に載置された前記印刷媒体の平面形状に応じて、前記印刷媒体に接触する接触部分が変形するドラム部と、
前記ドラム部の内周面に接触させ、前記ドラム部を前記印刷媒体に向けて押圧する押圧部材と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ドラム部は、回転により前記印刷媒体を搬送方向に搬送させる円筒形状に形成され、
前記押圧部材は、回転する前記ドラム部の内部の空間内に配置され、前記ドラム部と前記印刷媒体との接触部分を前記ドラム部の内側から押圧することを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
更に、前記ドラム部を回転させる駆動力を発生する駆動手段と、
前記ドラム部の両端側に固着して前記ドラム部を保持し、前記駆動手段から駆動力を受けて前記ドラム部とともに回転する保持手段と、
前記保持手段の一部又は全部に係合させて前記ドラム部及び前記保持手段を支持する支持手段と、
を備え、
該支持手段は、
前記保持手段との接触部分に、前記保持手段からの回転力を遮断するガイド部材を備えることを特徴とする、請求項1又2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、
前記ドラム部の回転を受けて回転する複数のガイドローラと、
前記ガイドローラを、前記ドラム部の内部側から前記接触部分に対応する領域に向けて密着させるように保持する保持部材と、
を備え、前記ドラム部の回転に対して、前記接触部分に対応する領域内に固定されて前記ドラム部の内側から押圧することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ドラム部の内部において、復数の前記押圧手段を一列に連結させる連結手段を備え、
該連結手段は、前記ドラム部の内部接触面に対して平行方向に配置されるとともに、前記ドラム部の変形に対して、前記押圧部材の配置位置を維持するための力を付勢して設置したことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−15752(P2013−15752A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149905(P2011−149905)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】