説明

印刷装置

【課題】カラーのインクジェット印刷において、全ての色のインクについて印刷欠陥を検出する。
【解決手段】印刷装置は、インクジェット方式にてカラー印刷を行う装置であり、印刷媒体を走査方向に移動する走査機構、および、走査機構による搬送途上の印刷媒体に向けてインクの微小液滴を吐出する吐出ユニットを備える。印刷装置では、印刷媒体の各ページに印刷されたページ識別子95が撮像部により撮像され、検査部において、撮像部の出力から取得されたページ識別結果と印刷データに含まれるページ識別情報とが比較される。ページ識別子95は、印刷装置にて使用される複数色のインクのそれぞれのみにより印刷された単色部951a〜951dを含んでいるため、当該複数色のうちいずれの色のインクにおいて印刷欠陥が発生した場合であっても、印刷欠陥が発生した最初のページの検査において当該印刷欠陥を速やかに検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクの微小な液滴を吐出する複数の吐出口が配列された吐出機構を印刷媒体に対して相対的に走査することにより、印刷媒体に印刷を行うインクジェット方式の印刷装置が用いられている。また、近年、クレジットカードの請求書等のようにページ毎に印刷内容が異なる印刷(いわゆる、バリアブル印刷)にもインクジェット方式の印刷装置が利用され、例えば、長尺状の印刷媒体に設定された複数のページの表裏両面に連続的に印刷が行われる。
【0003】
このような印刷装置では、ページの表面に印刷された内容と裏面に印刷された内容とが対応しない(すなわち、一のページの裏面に、他のページの裏面に印刷される予定の内容が印刷されてしまう)印刷欠陥を検査するために様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1では、長尺状の印刷媒体の表裏両面にカラー印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、各ページの表面および裏面に数字や記号、バーコード等の識別子を印刷し、印刷媒体の搬送方向の下流において表裏両面の識別子を撮像および比較することにより、表裏の印刷内容が対応しない印刷欠陥を検査する技術が開示されている。
【0004】
一方、特許文献2では、電子写真式の印刷装置において、印刷媒体の表裏両面にバーコード等を印刷するとともに当該バーコード等を下流側にて撮像および比較することにより、特許文献1と同様に、表裏の印刷内容が対応しない印刷欠陥を検出する技術が開示されている。特許文献2の印刷装置では、隣接するページの表面のバーコード同士を比較し、また、裏面のバーコード同士を比較することにより、一のページの表面および裏面の双方が欠落する印刷欠陥の検出も図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−58446号公報
【特許文献2】特開2004−314610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1や特許文献2のような印刷装置では、各ページの表裏に印刷されるバーコードが、通常のバーコードリーダで読み取り可能なK(ブラック)の色のインクにより印刷されている。このため、カラー印刷が行われる印刷装置においてK以外の色のインクによる印刷欠陥が発生した場合、当該印刷欠陥を検出することはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、カラーのインクジェット印刷において、全ての色のインクについて印刷欠陥を検出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、印刷装置であって、インクジェット方式にて複数色のインクにより印刷媒体に印刷を行う印刷機構と、前記印刷機構を制御することにより、前記印刷媒体の各ページが印刷される際に、前記各ページの印刷データに含まれるページ識別情報に基づいて、ページ識別子を前記印刷媒体に印刷する印刷制御部と、前記ページ識別子を撮像する撮像部と、前記撮像部の出力からページ識別結果を取得し、前記ページ識別結果と前記ページ識別情報とを比較して印刷欠陥を検出する検査部とを備え、前記ページ識別子は、その形状により「0」〜「9」の1桁の整数のうちいずれか1つをそれぞれ表すとともに前記複数色のインクのうちいずれか1つの色のインクのみによりそれぞれ印刷される複数の単色部を備え、前記複数の単色部は、識別子印刷領域において、印刷が行われない空白領域と交互に配列される複数の単色部印刷領域に印刷され、前記各ページのページ識別子が、前記複数色の全ての色による単色部を含む。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷装置であって、前記検査部が、前記複数色のうち一の色のインクについて、他の色の単色部に対する前記一の色の単色部の相対位置のずれにより、前記一の色のインクによる印刷欠陥を検出する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の印刷装置であって、前記各ページのページ識別子がバーコードである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、前記印刷機構により前記印刷媒体の両面に印刷が行われ、前記両面にページ識別子が印刷され、前記撮像部が、前記両面のページ識別子のそれぞれを撮像し、前記検査部が、前記撮像部の出力から前記両面のページ識別結果を取得して前記両面の印刷の整合性を検査する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷装置であって、前記印刷機構が、印刷前の印刷媒体のロールを保持するとともに前記ロールから前記印刷媒体を繰り出す供給部と、前記印刷媒体の印刷が行われた部位を巻き取る巻取部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、カラーのインクジェット印刷において、全ての色のインクについて印刷欠陥を検出することができる。また、印刷欠陥を速やかに検出することができる。また、請求項3の発明では、ページ識別結果を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
【図2】吐出ユニットの底面図である。
【図3】制御ユニットの機能を示すブロック図である。
【図4】印刷媒体の平面図である。
【図5】ページ識別子を拡大して示す平面図である。
【図6】単色部の形状と単色部が表す数値との関係を示す図である。
【図7】他のページ識別子を拡大して示す平面図である。
【図8】第2の実施の形態に係るバーコードを拡大して示す平面図である。
【図9】第3の実施の形態に係る印刷装置の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置1の外観を示す斜視図である。印刷装置1は、長尺状の印刷用紙である印刷媒体9上に、インクジェット方式にてカラー印刷を行う装置である。印刷装置1は、複数色のインクにより印刷媒体9の(+Z)側の主面91(以下、「表面91」という。)に印刷を行う印刷機構11、印刷媒体9の印刷が終了した部位を撮像する撮像部6、および、これらの機構を制御する制御ユニットを備える。
【0016】
印刷機構11は、印刷媒体9を図1中のY方向(以下、「走査方向」ともいう。)に移動する走査機構27、および、走査機構27による搬送途上の印刷媒体9に向けてインクの微小液滴を吐出する吐出ユニット3を備える。吐出ユニット3および撮像部6は、走査機構27の上方((+Z)側)に配置され、走査機構27を跨ぐようにして基台20に設けられるフレーム25に固定される。
【0017】
走査機構27では、それぞれが図1中のX方向(すなわち、水平かつY方向に垂直な方向)に長い複数のローラ271がY方向に配列されており、複数のローラ271の(+Y)側には印刷前のロール状の印刷媒体9(供給ロール)を保持する供給部272が設けられ、複数のローラ271の(−Y)側にはロール状の印刷媒体9(巻取ロール)を保持する巻取部273が設けられる。以下の説明では、単に印刷媒体9という場合は搬送途上の印刷媒体9(すなわち、複数のローラ271上の印刷媒体9)を意味するものとする。
【0018】
走査機構27の一のローラ271aには、印刷媒体9の走査方向の移動速度を検出するエンコーダ29が設けられる。そして、後述の走査制御部412(図3参照)がエンコーダ29の出力に基づいて巻取部273のモータの回転を制御することにより、印刷媒体9の印刷が行われた部位が巻取部273により巻き取られるとともに、供給部272の供給ロールから印刷媒体9が繰り出されて(−Y)方向に一定速度にて移動する。このとき、供給部272が有するモータにて印刷媒体9に対して移動方向とは逆向き((+Y)方向)の負荷(テンション)を付与することにより、複数のローラ271上の印刷媒体9が波打つことなく滑らかに移動する。
【0019】
図2は吐出ユニット3を示す底面図である。吐出ユニット3はそれぞれが互いに異なる色のインクを吐出する複数(本実施の形態では、4個)のヘッドであるインクジェットヘッド31を備え、これらのインクジェットヘッド31は同様の構造を有する。複数のインクジェットヘッド31はY方向(すなわち、走査方向)に配列されて吐出ユニット3の取付部30に取り付けられる。
【0020】
図2中の最も(+Y)側のインクジェットヘッド31はK(ブラック)の色のインクを吐出し、Kのインクジェットヘッド31の(−Y)側のインクジェットヘッド31はC(シアン)の色のインクを吐出し、Cのインクジェットヘッド31の(−Y)側のインクジェットヘッド31はM(マゼンタ)の色のインクを吐出し、最も(−Y)側のインクジェットヘッド31はY(イエロー)の色のインクを吐出する。なお、吐出ユニット3では、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト等の他の色用のインクジェットヘッド等も設けられてよい。
【0021】
図1に示すように、撮像部6は、複数のCCD(Charge Coupled Device)素子を有する2次元CCDカメラ61を備える。2次元CCDカメラ61は、吐出ユニット3よりも印刷媒体9の搬送方向の下流側である(−Y)側に配置され、下方を通過する印刷後の印刷媒体9の表面91上の一部を撮像する。
【0022】
印刷装置1では、X方向に関し、各インクジェットヘッド31(図2参照)が印刷媒体9上の印刷領域の全体に亘って(ここでは、印刷媒体9のX方向の全体に亘って)設けられており、走査機構27により印刷媒体9が吐出ユニット3に対して走査方向に1回だけ相対移動することにより(すなわち、印刷媒体9が(−Y)方向へと移動して吐出ユニット3の下方を1回だけ通過することにより)、印刷媒体9への画像の印刷が完了する(いわゆる、ワンパス印刷が行われる)。
【0023】
図3は、制御ユニット4の機能を示すブロック図であり、図3では、制御ユニット4に接続される印刷装置1の構成の一部を併せて示す。制御ユニット4は、印刷機構11を制御する印刷制御部41、印刷媒体9上の印刷欠陥を検出する検査部42、および、様々な情報を記憶する記憶部43を備える。印刷制御部41は、吐出ユニット3における4個のインクジェットヘッド31からのインクの吐出を制御する吐出制御部411、および、走査機構27に対する制御を行う走査制御部412を有する。
【0024】
印刷媒体9には、図4に示すように、走査方向に配列されるとともにそれぞれに画像が印刷される予定の複数のページ93が設定されており、印刷装置1では、ページ93毎に印刷媒体9の表面91に印刷される画像が異なるバリアブル印刷が行われる。図4では、隣接する2つのページ93の境界を二点鎖線にて示す。図3に示す記憶部43には、印刷媒体9の複数のページ93に印刷される画像にそれぞれ対応する複数の印刷データ431が記憶されており、各ページの印刷データ431には、当該ページを他のページから識別するためのページ識別情報432(例えば、当該ページが何ページ目であるかを示す情報)が含まれる。
【0025】
図1に示す印刷装置1では、印刷制御部41が、複数の印刷データ431(図3参照)に基づいて走査機構27および吐出ユニット3を制御することにより、印刷媒体9の吐出ユニット3に対する走査方向への相対移動に同期して吐出ユニット3から印刷媒体9に向けてインクが吐出され、印刷媒体9に対する印刷が行われる。図4に示す印刷媒体9の各ページ93が印刷される際には、各ページの印刷データ431に含まれるページ識別情報432に基づいて、各ページ93の幅方向の一方の端部(本実施の形態では、(−X)側の端部)に設定された識別子印刷領域950にページ識別子95が印刷される。図4では、図の理解を容易にするために、識別子印刷領域950を二点鎖線にて示すが、実際には、当該二点鎖線の矩形は印刷されない(図5、図7および図8においても同様)。
【0026】
識別子印刷領域950は、例えば、印刷媒体9の搬送等に利用される印刷媒体9のX方向の両側部に設けられたパンチ穴の外側に設定される。また、識別子印刷領域950の前後((−Y)側および(+Y)側)には、ページの区切りや印刷開始位置を示す目印等が印刷される。図4では、上述のパンチ穴や他の目印等の図示を省略している。
【0027】
図5は、ページ識別子95を拡大して示す平面図である。図5では、図4中にて縦方向に平行に描いているY方向を左右方向に平行に描いている。ページ識別子95は、Kの色のインクのみにより印刷された単色部951a、Cの色のインクのみにより印刷された単色部951b、Mの色のインクのみにより印刷された単色部951c、および、Yの色のインクのみにより印刷された単色部951dを含む。換言すれば、ページ識別子95は、印刷装置1において印刷に使用される複数色(本実施の形態では4色)の全ての色による単色部951a〜951dを含む。
【0028】
単色部951a〜951dはそれぞれ、識別子印刷領域950内においてY方向に配列される4つの単色部印刷領域955a〜955dに印刷され、隣接する2つの単色部印刷領域の間には空白領域955e(すなわち、印刷が行われない領域)が設けられる。単色部951a〜951dはそれぞれ、その形状により、「0」〜「9」の1桁の整数のうちいずれか1つを表す。図5では、図の理解を容易にするために、単色部印刷領域955a〜955dをそれぞれ二点鎖線にて囲んで示すが、実際には、当該二点鎖線の矩形は印刷されない(図8においても同様)。
【0029】
図6は、単色部の形状と単色部の表す数値との関係を示す図である。図6に示すように、1つの単色部印刷領域をY方向に4等分した4つの領域のうち、最も左側(印刷媒体9上では(−Y)側に対応する。)の領域のみが着色されている場合には、単色部は「0」を表す。また、左側の2つの領域が着色されている場合には、単色部951は「1」を表し、左から2番目の領域のみが着色されている場合には、単色部951は「2」を表す。
【0030】
単色部951は、左側から2番目および3番目の領域が着色されている場合には「3」を表し、左側から3番目の領域のみが着色されている場合には「4」を表す。単色部印刷領域955の右側の2つの領域が着色されている場合には、単色部951は「5」を表し、最も右側の領域のみが着色されている場合には、単色部951は「6」を表す。さらに、単色部は、左側から2番目の領域および最も右側の領域が着色されている場合には「7」を、最も左側および最も右側の領域が着色されている場合には「8」を、最も左側の領域および左側から3番目の領域が着色されている場合には「9」を表す。
【0031】
図1に示す印刷装置1では、印刷媒体9に対する印刷と並行して、撮像部6により各ページの識別子印刷領域950に印刷されたページ識別子95(図5参照)が撮像される。撮像部6からの出力は制御ユニット4の検査部42(図3参照)へと送られ、検査部42において、撮像部6の出力からページ識別結果が取得される。このとき、検査部42では、撮像部6にて撮像されたページ識別子95の単色部951a〜951dのそれぞれからページ識別結果が取得される。本実施の形態では、単色部951a〜951dがそれぞれ表す数値として「4」、「3」、「2」および「1」が取得され、撮像されたページが1234ページ目であることがわかる。そして、各ページ識別結果と印刷データ431に含まれるページ識別情報432(図3参照)とが比較され、各ページ識別結果とページ識別情報432とが異なると印刷欠陥が検出される。
【0032】
以下、Kの色のインクを例として印刷欠陥の検出の具体的な態様について説明する。なお、以下の説明は、他の色のインクにおいても同様である。Kの色のインクにより印刷される予定のデータにおいてページ欠落等が生じ、異なるページに印刷される予定のデータが印刷された場合、ページ識別子95のKの色の単色部951aから取得されるページ識別結果がページ識別情報432と異なるため、Kの色のインクによる印刷欠陥が検出される。
【0033】
また、印刷媒体9の1つのページに対応する印刷データ431において、Kの色のインクにより1ページに印刷される予定のデータの一部が消失する等して、Kの色のインクによる印刷結果がY方向にずれてしまう場合には、Kの色の単色部951aが識別子印刷領域950からY方向にずれた位置に印刷される。したがって、撮像部6により単色部951aを適切に撮像することができず、単色部951aから取得されるページ識別結果がページ識別情報432と異なるため、Kの色のインクによる印刷欠陥が検出される。
【0034】
Kの色のインクのにより印刷される予定のデータが全て消失し、あるいは、Kの色のインクを吐出するインクジェットヘッド31において吐出不良が生じる等してKの色のインクによる印刷が行われなかった場合には、Kの色の単色部951aが印刷されず、単色部951aに対応するページ識別結果が取得されないため、Kの色のインクによる印刷欠陥が検出される。
【0035】
以上に説明したように、印刷装置1では、印刷媒体9の各ページに印刷されたページ識別子95が撮像部6により撮像され、検査部42において、撮像部6の出力から取得されたページ識別結果と印刷データ431に含まれるページ識別情報432とが比較される。ページ識別子95は、印刷装置1にて使用される複数色のインクの全ての色による単色部951a〜951dを含んでいるため、当該複数色のうちいずれの色のインクにおいて印刷欠陥が発生した場合であっても、印刷欠陥が発生した最初のページの検査において当該印刷欠陥を速やかに検出することができる。また、検査部42により、ページ識別子95の単色部951a〜951dのそれぞれからページ識別結果が取得され、各ページ識別結果とページ識別情報432とが比較されることにより、印刷欠陥が発生したインクの色を容易に特定することができる。
【0036】
印刷装置1では、印刷制御部41による制御を変更することにより、印刷媒体9の各ページのページ識別子全体を、印刷装置1にて使用される複数色のインクのうちいずれか1つの色のインクのみにより印刷し、予め定められたページ数(印刷装置1にて使用されるインクの色数(本実施の形態では4)以上のページ数であり、以下、「単位ページ数」という。)だけ印刷が行われる間に、上記複数色のインクの全ての色のインクによりページ識別子を印刷することもできる。換言すれば、ページ識別子が1つの単色部となっており、印刷制御部41の制御により、単位ページ数だけ印刷が行われる間に、上記複数色の全ての色による単色部が印刷される。
【0037】
単位ページ数が4の場合は、例えば、1ページ目の識別子印刷領域950(図4参照)にKの色のインクによりページ識別子が印刷され、2ページ目の識別子印刷領域950にCの色のインクによりページ識別子が印刷され、3ページ目の識別子印刷領域950にMの色のインクによりページ識別子が印刷され、4ページ目の識別子印刷領域950にYの色のインクによりページ識別子が印刷される。また、5ページ目以降は、ページ識別子の色が、K,C,M,Yの順にページ毎に変更される。
【0038】
図7は、図5に示すページ識別子95とは形状と数値との関係が異なる他のページ識別子95aを示す図である。図7に示す例では、ページ識別子95aが印刷される識別子印刷領域950が、Y方向に交互に配列された複数の着色領域953aおよび複数の空白領域953bを有し、(−Y)側から(+Y)方向に配列された複数の着色領域953aがそれぞれ、低位から高位へと向かう2進数の複数の桁に対応する。そして、着色領域953aが着色されている場合には、対応する2進数の桁の値が「1」となり、着色されていない場合には「0」となる。したがって、図7に示すページ識別子95aは5ページ目を表す。
【0039】
図1に示す印刷装置1では、上述と同様に、撮像部6により各ページのページ識別子95a(図7参照)が撮像され、検査部42により、撮像部6の出力からページ識別結果が取得されて印刷データ431のページ識別情報432(図3参照)と比較される。そして、一のページにおいてページ識別結果とページ識別情報432との不一致が検出されると、当該ページにおける印刷欠陥が検出されるとともに当該ページにおいてページ識別子95aの印刷に用いられた色のインクにおいて印刷欠陥が発生したと判断される。このように、各ページのページ識別子95aが、印刷装置1にて使用される複数色のインクのうちいずれか1つの色のインクのみにより印刷されることにより、印刷欠陥が発生したインクの色を容易に特定することができる。
【0040】
ところで、各ページのページ識別子95aを1色のインクのみにて印刷する方法では、例えば、ページ識別子95aの色が、1ページ目からK,C,M,Yの順にページ毎に変更されるとすると、2ページ目においてKの色のインクによる印刷欠陥が発生した場合、次にKの色のインクによりページ識別子95aが印刷される5ページ目の検査が行われるまで印刷欠陥は検出されない。したがって、印刷欠陥の発生から検出までの時間をできるだけ短くするという観点からは、同色のインクにてページ識別子95aが印刷される複数のページの間隔はできるだけ小さい方が好ましい。
【0041】
印刷装置1では、上述のように、単位ページ数を印刷装置1にて使用されるインクの色数(本実施の形態では4)に等しくした上で、ページ識別子95aの色をページ毎に順番に変更することにより、印刷欠陥を比較的速やかに検出することができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置について説明する。第2の実施の形態に係る印刷装置は、印刷媒体9の各ページの識別子印刷領域950に、図5に示すページ識別子95に代えて図8に示すバーコード96がページ識別子として印刷される点、および、図1に示す撮像部6において2次元CCDカメラ61に代えてバーコードリーダが設けられる点を除き、図1に示す印刷装置1と同様の構造を有する。以下の説明では、第2の実施の形態に係る印刷装置の構成のうち図1に示す印刷装置1の構成と対応するものに同符号を付す。
【0043】
第2の実施の形態に係る印刷装置では、印刷媒体9の各ページに印刷されたバーコード96が撮像部6のバーコードリーダにより撮像され、検査部42(図3参照)において、撮像部6の出力から取得されたページ識別結果(すなわち、バーコードリーダによる読み取り結果)と印刷データ431に含まれるページ識別情報432(図3参照)とが比較される。バーコード96は、図8に示すように、印刷装置1で使用される複数色(本実施の形態では、4色)の全ての色による単色部951a〜951dを含んでいるため、第1の実施の形態と同様に、当該複数色のうちいずれの色のインクにおいて印刷欠陥が発生した場合であっても、印刷欠陥が発生した最初のページの検査において当該印刷欠陥を速やかに検出することができる。図8では、図の理解を容易にするために、単色部951a〜951dをそれぞれ二点鎖線にて囲んで示すが、実際には、当該二点鎖線の矩形は印刷されない。
【0044】
また、第1の実施の形態と同様に、検査部42により、バーコード96の単色部951a〜951dのそれぞれからページ識別結果が取得され、各ページ識別結果とページ識別情報432とが比較されることにより、印刷欠陥が発生したインクの色を容易に特定することができる。さらには、ページ識別子としてバーコード96が用いられることにより、既存のバーコードリーダを利用してページ識別子からページ識別結果を容易に取得することができる。
【0045】
第2の実施の形態に係る印刷装置では、第1の実施の形態と同様に、印刷制御部41による制御を変更することにより、印刷媒体9の各ページのバーコード96全体を、K,C,M,Yのうちいずれか1つの色のインクのみにより印刷し、単位ページ数だけ印刷が行われる間に、K,C,M,Yの全ての色のインクによりバーコード96を印刷することもできる。換言すれば、バーコード96が1つの単色部となっており、印刷制御部41の制御により、単位ページ数だけ印刷が行われる間に、上記複数色の全ての色による単色部が印刷される。
【0046】
第2の実施の形態に係る印刷装置では、各ページのバーコード96が、印刷装置にて使用される複数色のインクのうちいずれか1つの色のインクのみにより印刷される場合であっても、第1の実施の形態と同様に、印刷欠陥が発生したインクの色を容易に特定することができる。また、第1の実施の形態と同様に、単位ページ数を印刷装置にて使用されるインクの色数(本実施の形態では4)に等しくした上で、バーコード96の色をページ毎に順番に変更することにより、印刷欠陥を比較的速やかに検出することができる。
【0047】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る印刷装置について説明する。図9は、第3の実施の形態に係る印刷装置1aの構成を示す正面図である。印刷装置1aでは、印刷媒体9の表面91と裏面92とを反転させる反転機構5が印刷媒体9の搬送経路上に設けられる。また、印刷機構11が、反転機構5よりも(−Y)側にて印刷媒体9の裏面92に対向して配置されるもう1つの吐出ユニット3aをさらに備え、撮像部6が、吐出ユニット3aよりも(−Y)側に配置されるもう1つの2次元CCDカメラ61aを備える。その他の構成は図1に示す印刷装置1と同様であり、以下の説明では、印刷装置1の構成に対応する印刷装置1aの構成に同符号を付す。
【0048】
印刷装置1aでは、吐出ユニット3により印刷媒体9の表面91に向けてインクの微小液滴が吐出され、撮像部6の2次元CCDカメラ61により、印刷媒体9の表面91に設定された複数のページの識別子印刷領域950(図4参照)が順次撮像される。そして、反転機構5により印刷媒体9の表面91と裏面92とが反転されて裏面92が(+Z)側となり、吐出ユニット3aにより、印刷媒体9の走査方向への移動に同期して印刷媒体9の裏面92に向けてインクの微小液滴が吐出される。印刷装置1aでは、印刷機構11(すなわち、吐出ユニット3、吐出ユニット3aおよび走査機構27)により印刷媒体9の表面91および裏面92の各ページに対する印刷が行われ、印刷装置1aにて使用される複数色のインク(本実施の形態では、K,C,M,Yの4色のインク)の全ての色による単色部951a〜951dを含むページ識別子95(図5参照)も印刷媒体9の両面の各ページに印刷される。
【0049】
撮像部6の2次元CCDカメラ61aは、下方を通過する印刷媒体9の裏面92に設定された複数のページの識別子印刷領域950(図4参照)を順次撮像する。印刷装置1aでは、撮像部6の2次元CCDカメラ61,61aにより、印刷媒体9の両面(すなわち、表面91および裏面92)のページ識別子95がそれぞれ撮像され、制御ユニット4の検査部42(図3参照)により、撮像部6の出力から両面のページ識別結果が取得される。
【0050】
そして、印刷媒体9の表面91および裏面92のそれぞれにおいて、第1の実施の形態と同様に、各ページのページ識別結果と、制御ユニット4の記憶部43に格納されている各ページの印刷データ431のページ識別情報432(図3参照)とが比較され、各ページ識別結果とページ識別情報432とが異なると印刷欠陥が検出される。
【0051】
印刷装置1aでは、第1の実施の形態と同様に、印刷装置1aにて使用される複数色のインクのうちいずれの色のインクにおいて印刷欠陥が発生した場合であっても、印刷欠陥が発生した最初のページの検査において当該印刷欠陥を速やかに検出することができる。また、印刷欠陥が発生したインクの色を容易に特定することができる。
【0052】
第3の実施の形態に係る印刷装置1aでは、特に、各ページの表面91の撮像結果から取得されたページ識別結果と裏面92の撮像結果から取得されたページ識別結果との組み合わせを、当該ページの表面91の印刷データ431に含まれるページ識別情報432と裏面92の印刷データ431に含まれるページ識別情報432との組み合わせと比較することにより、表面91のおよび裏面92の印刷の整合性(すなわち、一のページ分の印刷媒体9の表面91に印刷された内容に対応する内容が裏面92に印刷されているか否か)を容易に検査することができる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0054】
上述の図5ないし図8に示すページ識別子は好ましい例であり、印刷媒体9に印刷される内容等に応じてページ識別子の形状とページ識別子が表す数値との関係は適宜変更されてよい。
【0055】
上記実施の形態に係る印刷装置では、走査機構27による印刷媒体9の移動に代えて、例えば、印刷媒体9が固定されて吐出ユニット3および撮像部6(並びに、吐出ユニット3a)が走査方向に移動されてもよい。換言すれば、走査機構27により印刷媒体9が吐出ユニット3および撮像部6(および、吐出ユニット3a)に対して相対的に走査方向に移動されていればよい。
【0056】
印刷装置1の構造は、吐出ユニットが走査方向に垂直な方向に往復移動し、吐出ユニットの1方向への1回の移動毎に印刷媒体9が走査方向に所定距離だけ移動される(いわゆる、シャトル印刷を行う)印刷装置に適用されてもよい。また、印刷装置1では、例えば、長尺状でない複数の印刷媒体に対して順次印刷を行う枚葉印刷が行われてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,1a 印刷装置
6 撮像部
9 印刷媒体
11 印刷機構
41 印刷制御部
42 検査部
91 表面
92 裏面
93 ページ
95,95a ページ識別子
96 バーコード
272 供給部
273 巻取部
431 印刷データ
432 ページ識別情報
951a〜951d 単色部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
インクジェット方式にて複数色のインクにより印刷媒体に印刷を行う印刷機構と、
前記印刷機構を制御することにより、前記印刷媒体の各ページが印刷される際に、前記各ページの印刷データに含まれるページ識別情報に基づいて、ページ識別子を前記印刷媒体に印刷する印刷制御部と、
前記ページ識別子を撮像する撮像部と、
前記撮像部の出力からページ識別結果を取得し、前記ページ識別結果と前記ページ識別情報とを比較して印刷欠陥を検出する検査部と、
を備え、
前記ページ識別子は、その形状により「0」〜「9」の1桁の整数のうちいずれか1つをそれぞれ表すとともに前記複数色のインクのうちいずれか1つの色のインクのみによりそれぞれ印刷される複数の単色部を備え、
前記複数の単色部は、識別子印刷領域において、印刷が行われない空白領域と交互に配列される複数の単色部印刷領域に印刷され、
前記各ページのページ識別子が、前記複数色の全ての色による単色部を含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記検査部が、前記複数色のうち一の色のインクについて、他の色の単色部に対する前記一の色の単色部の相対位置のずれにより、前記一の色のインクによる印刷欠陥を検出することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置であって、
前記各ページのページ識別子がバーコードであることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記印刷機構により前記印刷媒体の両面に印刷が行われ、前記両面にページ識別子が印刷され、
前記撮像部が、前記両面のページ識別子のそれぞれを撮像し、
前記検査部が、前記撮像部の出力から前記両面のページ識別結果を取得して前記両面の印刷の整合性を検査することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記印刷機構が、
印刷前の印刷媒体のロールを保持するとともに前記ロールから前記印刷媒体を繰り出す供給部と、
前記印刷媒体の印刷が行われた部位を巻き取る巻取部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60016(P2013−60016A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249992(P2012−249992)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2009−223671(P2009−223671)の分割
【原出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】