説明

印刷配線基板にリード線を接続するための接続具

【課題】 従来の接続具にあっては、電線の抜き差し毎にカバーの取外しを行わなければならないので、電線の抜き差しが面倒であるといった問題があると共に錠ばね6は板ばねであることから、電線の抜き差しの繰り返しや長期間の使用によってバネ力が弱くなって接触不良が発生するといった問題があった。
【解決手段】 ケース1に対してカバー4を一体化し、ケース内にコイルスプリング2と操作体3を収納し、かつ、操作体をケースから突出させ、この突出した操作体をコイルスプリングのバネ力に抗して変移することでリード線をケースとカバーとの間に挿入して操作体から手を離すことでコイルスプリングのバネ力で操作体3の肩部33aとカバーとの間で挟持するようにした印刷配線基板にリード線を接続するための接続具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷配線基板の導電パターンに対して半田付けして固定した接続具に対して、電源線や信号線であるリード線を容易に接続あるいは離脱することができるようにした印刷配線基板にリード線を接続するための接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷配線基板に接続具を取付け、該接続具にリード線を取付けることでリード線を印刷配線基板の導電パターンに接続するものとして、例えば、特開昭54−155488号公報に開示されている発明がある。この発明は、本体10に栓刃1、端子板2、錠ばね6を内蔵し、栓刃1に形成したダボを端子板2の穴とによって一体化し、かつ、錠ばね6を端子板2内に挿入する。
【0003】
さらに、端子板2の電極接触面3に釦7を摺動自在に取付け、該釦7を摺動することで錠ばね6を変形させて錠ばね6と電極接触面3との間に隙間を開け、この状態において本体10に形成されている電線挿入用切欠11から電線を挿入した状態で釦7から手を離すことで錠ばね6の復元力によって電線は錠ばね6と電極接触面3の裏面側との間で挟持されるものである。
【0004】
また、前記本体10の開口部にはカバー13が取付けられており、電線を挟持するために前記釦7を操作するにはカバー13を本体10から取り除き前記した操作を行い、電線が錠ばね6と電極接触面3の裏面側との間で挟持した後にカバー13を本体10に被せるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−155488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した選考技術文献の発明にあっては、電線の抜き差し毎にカバーの取外しを行わなければならないので、電線の抜き差しが面倒であるといった問題があると共に錠ばね6は板ばねであることから、電線の抜き差しの繰り返しや長期間の使用によってバネ力が弱くなって接触不良が発生するといった問題があった。
【0007】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、ケースに対してカバーを一体化し、ケース内にコイルスプリングと操作体を収納し、かつ、操作体をケースから突出させてリード線の抜き差しが行えるようにしたので、リード線の抜き差し時に従来のようにカバーを取り外す必要がなく行えるので抜き差しを簡単に行うことができ、また、4部品から構成されているので部品点数が少なく組立が簡単であると共にコストの低減を図ることができ、また、リード線の挟持力をコイルスプリングのバネ力で行うことから、リード線の繰り返し抜き差しや長期間の使用によってもバネ力が変化することがなく、従って、リード線の挟持状態を長期間にわたって確実に行え接触不良が発生することがない印刷配線基板にリード線を接続するための接続具を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷配線基板にリード線を接続するための接続具は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、U字状に形成された一対の起立片の一方にはケーブルの芯線を挿入するための挿入用切欠部が形成され、該挿入用切欠部が形成された側の底面部の折曲部中央に孔が形成された導電性金属のケースと、該ケース内の底面に挿入されたコイルスプリングと、前記ケースの前記孔に係合される突起部、該突起部から前記ケースの起立片に沿って延長され、かつ、前記コイルスプリングの一端が当接する垂直部、該垂直部から斜め方向に延長された肩部を有する傾斜部、該傾斜部から垂直方向に延長された操作部とから形成された導電性金属の操作体と、U字状に形成され前記ケースの開口部側に被せた状態で固定する固定手段、前記操作体の前記操作部を導出するための開口部、天面部の両側から垂下され前期ケースの底面部から突出する端子片とから形成された導電性金属のカバーとから構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記ケースに対してカバーを固定する固定手段が、前記ケースの相対向する面に形成されている傾斜面に、前記カバーの相対向する面に形成されている爪片を折曲して固定すると共に前記ケースの底面に係合用切欠部を形成し、かつ、前記カバーの端子片を折曲して前記係合用切欠部に係合して固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記カバーにおける天面部のリード線が挿入される奥側に外側に向かって膨らむ隆起部を形成し、リード線を前記操作体の肩部とケースの起立部とで挟持した状態においてリード線の先端部分を収容するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は前記したように、ケースに対してカバーを一体化し、ケース内にコイルスプリングと操作体を収納し、かつ、操作体をケースから突出させ、この突出した操作体をコイルスプリングのバネ力に抗して変移することでリード線をケースとカバーとの間に挿入して操作体から手を離すことでコイルスプリングのバネ力で操作体の肩部とカバーとの間で挟持するようにしたので、リード線の抜き差し操作が非常に簡単であると共にリード線の繰り返し抜き差しや長期間の使用によってもコイルスプリングであることからバネ力が変化することがなく、従って、リード線の挟持状態を長期間にわたって確実に行え接触不良が発生することがなく、また、部品点数が少なく構造が簡単であることから組立が簡単であると共にコストの低減を図ることができる。
【0012】
また、ケースの相対向する面に形成されている傾斜面に、カバーの相対向する面に形成されている爪片を折曲してケースとカバーとを固定し、また、ケースの底面に係合用切欠部にカバーの端子片を折曲して係合してケースとカバーとを固定することで、2つの固定手段によって固定されるのでケースとカバーを確実にガタなく一体化することが可能である。
【0013】
さらに、カバーにおける天板のリード線が挿入される奥側に外側に向かって膨らむ凹部を形成し、リード線を前記操作体の肩部とケースの天板部とで挟持した状態においてリード線の芯線が凹部に入り込み多芯線とカバーの内面との接触面積が大きくなって接触抵抗を小さくできる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の印刷配線基板にリード線を接続するための接続具の実施例を示す分解斜視図である。
【図2】組立てた状態の側面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の接続具を印刷配線基板に半田付け固定しリード線を挿入する前の斜視図である。
【図5】(a)は操作体をコイルスプリングのバネ力に抗して変移しリード線の芯線を挿入した状態の断面図、(b)は芯線を挟持した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る印刷配線基板にリード線を接続するための接続具の実施例を図面と共に説明する。
1は導電性金属をU状に折曲して形成したケースにして、底面部11の中央左右には後述するカバー4の端子片42bが係合される係合用切欠部11aが形成され、また、底面部11の前後に形成された起立片12,13における一方の折曲部12には後述する操作体3の突起部31が係合される孔12aが形成され、さらに、ケーブルの芯線を挿入するための挿入切欠部12bが形成され、また、前記起立片12,13における側面部両側には前記カバー4における爪片42aを折り曲げることで係止される傾斜面12c,13aが形成されている。
【0016】
2は前記ケース1の底面部11に載置されるコイルスプリングにして、一端が起立片13の内壁面に当接し、他端がケース1にセットされた操作体3に当接する。
【0017】
3は操作体にして、前記ケース1の孔12aに係合される突起部31と、該突起部31から前記ケース1の起立片12に沿って延長され、かつ、前記コイルスプリング2の一端が当接する垂直部32と、該垂直部32から斜め方向に延長された肩部33aを有する傾斜部33と、該傾斜部33から垂直方向に延長された操作部34とから形成されている。
【0018】
4は導電性金属をU状に折曲して形成したカバーにして、天面部41には前記ケース1にセットした状態の前記操作体3における操作部34が突出する開口部41aと外側に向かって膨らむ隆起部41bが形成され、また、前記天面部41の両側から垂下した垂下片42が形成され、ケース1に被せた状態で内側に向かって折り曲げることで前記ケース1の傾斜面12c,13aと係合される爪片42aが形成されている。さらに、垂下片42の略中央下部からL字状に折曲され前記ケース1の底面部11に形成した係合用切欠部11aに係合される端子片42bが形成されている。
【0019】
このように構成したケース1、コイルスプリング2、操作体3およびカバー4を組み立てるには、先ず、ケース1の孔12aに操作体3の突起部31を嵌め込み、次いで、コイルスプリング2を操作体3の垂直部32とケース1の起立片13との間に配置する。次に、カバー4をケース1に被せるようにして端子片42bの折曲部分がケース1の係合用切欠部11aにおける裏面側に位置するように嵌め込む。
【0020】
次に、爪片42aを内側に折り込むことで、該爪片42aはケース1の傾斜面12c,13aに沿った状態となるので、爪片42aの上端が傾斜面12c,13aの上端水平面に当接する。従って、ケース1に対してカバー4は、端子片42bと係合用切欠部11aとの係合と、爪片42aと傾斜面12c,13aの上端水平面との係合の2ヵ所によって固定されるので、ケース1とカバー4とは確実にロック状態となって分離することがなくなる。
【0021】
そして、このようにして組み立てた本発明の接続具を印刷配線基板5におけるスルーホール51に端子片42cを差し込み、印刷配線基板5の裏面に形成されている導電パターン(図示せず)に半田付け固定する。
【0022】
この状態においてリード線6の芯線6aを取り付けるには、操作体3が通常時はコイルスプリング2のバネ力によって図2に示すようにケース1における挿入用切欠部12bの奥側が操作体3の傾斜部33によって塞がれた状態となっているので、操作部34をコイルスプリング2のバネ力に抗して図5(a)の如く右方向に移動することで、挿入用切欠部12bの奥側が開放されるので、リード線6の芯線61の挿入が可能となる。
【0023】
そして、ケーブル6の芯線61を挿入用切欠部12bから最奥部まで挿入すると、この状態において芯線61の下側に操作体3の傾斜部33における肩部33aが位置した状態となる。この状態において、操作部34から手を離すと図5(b)の実線で示すようにコイルスプリング2のバネ力によって操作体3は初期位置方向に戻されて芯線61は肩部33aとカバー4における隆起部41bの裏面との間で挟持され固定状態となる。
【0024】
この固定状態にあっては、リード線6の芯線61が隆起部41bに入り込み芯線とカバーの内面との接触面積が大きいので、芯線は多面積で隆起部41bと接触した状態となるので接触抵抗は小さくなって信号の減衰や電圧低下を防止することができる。
【0025】
なお、何らかの理由でリード線6を外す場合には、図5(b)の実線で示す芯線の挟持状態から2点鎖線で示す位置までコイルスプリング2のバネ力に抗して戻すことで抜き取ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ケース
11 底面部
11a 係合用切欠部
12,13 起立片
12a 孔
12b 挿入用切欠部
12c,13a 傾斜面
2 コイルスプリング
3 操作体
31 突起部
32 垂直部
33 傾斜部
33a 肩部
34 操作部
4 カバー
41 天面部
41a 開口部
41b 隆起部
42 垂下片
42a 爪片
42b 端子片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字状に形成された一対の起立片の一方にはケーブルの芯線を挿入するための挿入用切欠部が形成され、該挿入用切欠部が形成された側の底面部の折曲部中央に孔が形成された導電性金属のケースと、
該ケース内の底面に挿入されたコイルスプリングと、
前記ケースの前記孔に係合される突起部、該突起部から前記ケースの起立片に沿って延長され、かつ、前記コイルスプリングの一端が当接する垂直部、該垂直部から斜め方向に延長された肩部を有する傾斜部、該傾斜部から垂直方向に延長された操作部とから形成された導電性金属の操作体と、
U字状に形成され前記ケースの開口部側に被せた状態で固定する固定手段、前記操作体の前記操作部を導出するための開口部、天面部の両側から垂下され前記ケースの底面部から突出する端子片とから形成された導電性金属のカバーと、
から構成したことを特徴とする印刷配線基板にリード線を接続するための接続具。
【請求項2】
前記ケースに対してカバーを固定する固定手段が、前記ケースの相対向する面に形成されている傾斜面に、前記カバーの相対向する面に形成されている爪片を折曲して固定すると共に前記ケースの底面に係合用切欠部を形成し、かつ、前記カバーの端子片を折曲して前記係合用切欠部に係合して固定したことを特徴とする請求項1記載の印刷配線基板にリード線を接続するための接続具。
【請求項3】
前記カバーにおける天面部のリード線が挿入される奥側に外側に向かって膨らむ隆起部を形成し、リード線を前記操作体の肩部とケースの起立部とで挟持した状態においてリード線の先端部分を収容するようにしたことを特徴とする請求項1記載の印刷配線基板にリード線を接続するための接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−76831(P2011−76831A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226240(P2009−226240)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000137384)株式会社マックエイト (8)
【Fターム(参考)】