説明

印字情報付き包装材

【課題】 インクジェット方式で、微細な可変情報等を印字可能とし、特に二次元コード等の印字を明瞭なものとすると共に、包装材に施された印刷部分に影響されることなく可変情報を読み取ることができ、且つ、印字された可変情報等の改竄を防止することが可能な印字情報付き包装材を提供することにある。
【解決手段】 プラスチックフィルムからなる基材層に順に形成される印刷層とインクジェット方式で印字される可変情報印字層との間に金属蒸着したフィルム等の印刷以外の方法で形成した隠蔽層を設け、該隠蔽層の可変情報印字面にインキ受容層を設け、最内層に熱接着性樹脂層を設けたことを特徴とする印字情報付き包装材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
微細な文字や図形からなる可変情報等を印字可能で、印字された可変情報等の改竄を防止すると共に、可変情報等の高精度の読取を可能とした印字情報付き包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
紙素材を用いた紙箱や紙カップ、プラスチック素材を用いた包装容器や包装袋は、あらゆる分野の製品或いは商品の包装体として利用されており、これに用いられる包装材への、商品名や商品デザイン、商品の特性や取り扱いの説明、商品の容量や原材料の表示等、多岐に亘る表示がオフセット印刷やグラビア印刷などの印刷方法により施されて使用されている。一般的に、上記のような表示は、長期間に亘って変化しないものである。これに対し、「可変情報」すなわち、製造年月日や製造ロット番号、内容物が食品の場合には、賞味期限や品質保持期限等、刻々と変化する情報については、例えば、別個に製造され可変情報が印刷されたラベルを貼付したり、インクジェットプリンター等により、包装材の外面に直接可変情報を印字することが一般に行われている。最近では、商品情報やキャンペーン情報など大量の情報を二次元コード等によって告知することも行なわれ、特にキャンペーンの告知情報は、短期間の可変情報として扱われることも一般化している。
【0003】
従来、インクジェット受容層を表面に形成した紙製素材と、紙製素材の他方の面にヒートシール層を積層した積層体からなり、インクジェット方式により表面に画像、文字等の情報を記録可能とした包装材が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、製品が包装された状態では、外面から目視できず、製品購入後に包装材を開封し内容物を取り出した状態で、包装材の内面から印字されたユニークナンバーなどの情報を目視にて確認可能とし、例えばキャンペーン等の懸賞サイトに接続し、ユニークナンバーを入力して応募できるようにした包装袋が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291978号公報
【0005】
【特許文献2】特開2004−067219号公報
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明は、紙カップのように紙製の素材からなるもので、耐水性やヒートシール性の付与のために、例えばポリエチレン等の樹脂の積層等によりインキ吸収能力の低い素材において、素材の一方の面にインクジェット受容層を形成することにより、表面への印字を可能にしたものであるが、包装形態としては紙カップや紙箱等に限られ、包装袋やPETボトル等の表示ラベル等のフィルムからなる包装材には使用できず、用途が限定されてしまうという問題がある。包装容器や包装袋に用いられるプラスチックフィルム表面へのインクジェットプリントによる印字は、プラスチック素材と印字されるインキとの接着性が強固でなく、インキが受容吸収されないために滲みが発生し易く、特に、微細な文字や図形については再現性の低いものであった。
【0007】
また、特許文献2の発明は、その請求項1に示された構成「最外フィルム層、透明バリア層、ヒートシール層を順次積層する積層材からなり、最外フィルム層の裏面にインキ層からなる隠蔽層、白色インキ層、インクジェット記録方式で印字した隠蔽情報層を順に設けた隠蔽層付き包装容器」に関するものであり、プラスチックフィルムにインクジェット方式で印字した後、印字面をヒートシール層により保護したものである。上記構成によれば、印字する内容がユニークナンバー等のように目視にて確認できる情報であれば白色インキ層上に設けられる印字情報の読み取りに問題はないが、大量の情報をエンコードした二次元コード等の印字情報の場合は、バーコードリーダーや携帯電話等の読み取り端末による読み取りが行なわれるため、例えばカーボンブラック等の無機顔料を着色剤とするインキ層からなる隠蔽層の発色を白色インキ層で十分に隠蔽できず、白色インキ層上に設けられる印字情報の読み取りエラーとなる惧れがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、インクジェット方式で、微細な可変情報等を印字可能とし、特に二次元コード等の印字を明瞭なものとすると共に、包装材に施された印刷部分に影響されることなく可変情報を読み取ることができ、且つ、印字された可変情報等の改竄を防止することが可能な印字情報付き包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、裏面に印刷層を設けた基材層と隠蔽層と最内層となる熱接着性樹脂層とが順次積層されており、前記隠蔽層の前記熱接着性樹脂層側の面にインキ受容層とインクジェット方式で印字される可変情報印字層とが順次形成されており、前記印刷層と前記可変情報印字層との間に隠蔽層が介在していることを特徴とする印字情報付き包装材であって、一般の印刷用インキにより印刷される印刷層とインクジェット方式で印字される可変情報印字層との間に、隠蔽層を設けることにより、特にバーコードリーダーや携帯電話等の読み取り端末による読み取り精度を向上させ、さらに隠蔽層の可変情報印字面にインキ受容層を設けることにより、滲みのない高精細な印字を可能にし、印字により伝達できる情報量を増大させる。
【0010】
請求項2の発明は、前記隠蔽層が金属蒸着膜を有するプラスチックフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の印字情報付き包装材、また、請求項3の発明は、前記隠蔽層が金属箔からなることを特徴とする請求項1記載の印字情報付き包装材であって、金属蒸着膜を有するプラスチックフィルムまたはアルミニウム等の金属箔からなる隠蔽層とインクジェット方式で印字される可変情報印字とのコントラストが形成でき、バーコードリーダーや携帯電話等の読み取り端末による読み取りが行い易い。
【0011】
請求項4の発明は、前記隠蔽層が白色顔料を含んだプラスチックフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の印字情報付き包装材であって、白色顔料を含んだプラスチックフィルムからなる隠蔽層とインクジェット方式で印字される可変情報印字とのコントラストが形成でき、バーコードリーダーや携帯電話等の読み取り端末による読み取りが行い易く、また目視もし易い。
【0012】
請求項5の発明は、前記可変情報印字層に印字される情報が、縦80dpi以上×横80dpi以上の可変情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印字情報付き包装材であって、より微細で情報量の大きな印字を再現することができるので、販売者側から消費者へのより大量の情報提供が可能となり、消費者には情報取得による商品への信頼性や利便性の向上が可能となる。
【0013】
請求項6の発明は、前記可変情報印字層に印字される情報が、読み取り端末により認識可能とした可変情報であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印字情報付き包装材であって、読み取り端末で認識可能な、より微細で大きな情報量の印字を行うので、大量の情報の提供と取得が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の印字情報付き包装材は、隠蔽層の熱接着性樹脂層側の面にインキ受容層を設けたので、隠蔽層を形成する金属蒸着膜を有するプラスチックフィルム等にインクジェット方式で多量の情報量の高精細な印字が可能で、包装材の開封前には外部から印字情報が視認できず、開封後に確認でき、且つ、印刷層と可変情報印字層との間に金属蒸着膜を有するプラスチックフィルム、または、アルミニウム等の金属箔、或いは、白色顔料を含むプラスチックフィルム等による隠蔽層を設けることにより、印刷層に影響されることが無く、バーコードリーダーや携帯電話等の読み取り端末による読み取り精度を向上させた包装材を提供できる。
【0015】
特に、可変情報の印字面となる隠蔽層面にインキ受容層を設けることで、情報量の多い可変情報(二次元コード等)の印字を高精細に行なうことができ、エンドユーザーへの伝達情報量を増加させることが可能となり、販売者側として商品情報(商品の生産・流通等の履歴情報、商品の特性情報等)やキャンペーン告知情報(募集情報等)の表示が行え、消費者側には取り扱い情報(調理情報等)等による利便性の向上が可能となる。
【0016】
さらに、インクジェット方式で印字された可変情報印字層が、隠蔽層と熱接着性樹脂層との間に設けられているため、包装材同士や内容物との擦過等での印字面の汚損による印字情報の毀損や、印字情報の改竄を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る包装材の積層構成の一例を示す説明用拡大断面図。
【図2】同じく包装材を用いて形成した包装袋の一例を示す説明用断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明につき、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明に係る印字情報付き包装材の積層構成の一例を示す説明用拡大断面図で、包装材Sは外側から基材層1、接着層2、隠蔽層3、接着層2’、熱接着性樹脂層4を順に積層しており、基材層1の内面に印刷層5、隠蔽層3の内面にインキ受容層6、可変情報印字層7を順次設けた積層構成からなるものであり、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm/印刷/接着/アルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム12μm/インキ受容層/可変情報印字層/接着/線状低密度ポリエチレン60μmで構成される。上記積層構成は一例であって、本発明を限定するものではない。
【0019】
本発明の包装材において、一般的な表示等の印刷が可能な基材としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ビニロン、セロハン等の合成樹脂を主体とする各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
上記のフィルムないしシートは、未延伸あるいは一軸方向または二軸方向等に延伸されたものであってもよい。フィルムないしシートの厚さとしては、個々の包装の課題等により任意であるが、凡そ10〜200μm程度が好ましい。
【0020】
基材層1に設けた印刷層5には、内容物の表示、装飾、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他の表示のために、文字、絵柄、図形、記号等の任意の印刷を、基材層1の裏面、又は表面に設けることができる。尚、図1に示すように印刷層5を基材層1の裏面に設けることで、基材層1により印刷層5が保護されるので、表面からの擦れ等によるインキ剥がれを防止できる。又、基材層1の表面に設ける場合には、さらに表面保護層を設けることが一般的に行なわれている。
印刷層5は、例えば、通常のインキ組成物を使用してグラビア印刷或いはオフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法によって、形成することができる。
【0021】
隠蔽層3は、印刷層5と可変情報印字層6との間に、印刷以外の方法で隠蔽する層を設け、前記可変情報印字層6の印字部分が前記印刷層5の文字や絵柄の影響を受けずに読み取りを可能とするもので、例えば、アルミニウム等の金属をプラスチックフィルムに真空蒸着して蒸着膜を形成したフィルム、アルミニウム等の金属箔、ポリオレフィン樹脂を主材として白色顔料を含んだ着色フィルムを好ましく用いることができ、読み取り機による認識精度を向上させることができる。
金属蒸着膜を形成する金属としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)、銅(Cu)、錫(Sn)等の金属を使用することができる。
着色フィルムに使用される白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、体質顔料である水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ、タルク等がある。
【0022】
インキ受容層6は、インクジェットプリンターにより印字されるインキを受容するため、隠蔽層3を形成するフィルムの印字面に予め塗布等により形成されるもので、インキ受容層6を形成する材料は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
また、インキ受容層6の材料には、インキを受容する空隙を有する多孔質材料(白顔料やシリカ粒子等)を分散させるが、特に、印字部分の読み取りにバーコードリーダーや携帯電話等の読み取り端末を使用する場合、白の顔料、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を分散させることが、インキ受容層と印字部分とのコントラストを上げ認識し易くするために、効果的である。
塗布法として、例えば、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法、その他等の方法で塗布することができ、その固形分塗布量としては、乾燥状態で0.1g/m2〜5g/m2が好ましく用いることができ、望ましくは0.5g/m2〜2g/m2である。
【0023】
可変情報印字層7は、インクジェット方式のインクジェットプリンターを用いた印字により形成される層である。インクジェット方式は記録用インキを微細な圧電素子の圧力、あるいは発熱抵抗体素子の加熱によって発生するエアーの圧力によってノズルから噴射し、受像層に付着させることにより記録を行なう方式である。
可変情報には、製造年月日、加工年月日、消費期限、賞味期限等の商品に表示が必要とされ且つ目視できる状態とされた可変情報と、生産や流通の履歴情報、商品情報、キャンペーンの告知情報等、大量の情報をエンコードした二次元コード等を、バーコードリーダーや携帯電話等の読み取り端末により認識可能とした可変情報とがあり、特に、二次元コード等は、滲み等の無い状態で印字されることが必要であるので、前述したようにインキ受容層6を設けることで、正確且つ再現性良く印字することができる。
また、可変情報印字層7は、隠蔽層3と熱接着性樹脂層4との間に設けられているので、包装材同士や内容物との擦過等で印字面が汚損されて印字情報が毀損したり、故意による印字情報の改竄を防止できる。
【0024】
熱接着性樹脂層4を構成するプラスチックフィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ビニロン、セロハン等の合成樹脂を主体とする各種の樹脂の透明なフィルムないしシートを使用することができる。
【0025】
基材層1と隠蔽層3及び熱接着性樹脂層4をそれぞれ接着する方法としては、ドライラミネート用接着剤を介して積層するドライラミネーション法、或いは、溶融押出し接着性樹脂を介して積層する押出しラミネーション法等で行うことができる。
ドライラミネート用接着剤としては、例えば、1液或いは2液硬化型ないしは非硬化型のビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、或いはエマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができ、コーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他で塗布できる。
溶融押出し性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン・マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を使用できる。
【0026】
図2は、上記積層構成の包装材を用いて形成した包装袋の一例を示す説明用断面図で、本発明に係る包装材Sを用いて製造される包装袋Pは、包装材Sの互いに対向する端縁部を重ね合わせ熱接着して背シール部を形成し、形成された筒状の両端をそれぞれ重ね合わせて端部シール部を形成してなるピロータイプ袋であって、基材層1の裏面に通常のインキ組成物を使用して印刷層5を形成した後に隠蔽層3を接着層2を介して接着し、隠蔽層3の裏面にインキ受容層6を塗布し、インキ受容層6にインクジェットプリンター装置を使用して可変情報印字層7を印字した上で、隠蔽層3に接着層2’を介して熱接着性樹脂層4を積層して形成されており、可変情報印字層6は熱接着性樹脂層4により保護されている。尚、図の表示を明瞭にすべく、上記接着層2及び2’を省略して描画している。
上記は本発明に係る包装材を用いて形成した包装袋の一例であって、これに限定されるものではなく、本発明に係る包装材を用いて、上記のように包装材端縁の内層の面を対向させて折り曲げるか、或いは包装材端縁をそれぞれ重ね合わせ、さらに包装材の外周の周辺端部をヒートシールし、種々の包装袋に製造することができる。また、この包装袋の一例において、可変情報印字層6は、隠蔽層3の内面に印字され、包装袋Pの外面からは読み取られることがなく、開封することにより印字部分の読み取りが可能となるが、先述のように、可変情報のうちにも表示が義務付けられ目視されるべき情報と、キャンペーン情報や、「当り」「外れ」のように購入者を特定して取得が可能であるべき情報があり、包装材Sの積層構成において何れの位置に印字するかは適宜決定される。
【0027】
尚、本発明に係る包装材を用いて形成されるのは上記包装袋に限定されるものではなく、例えば、蓋材、壜体や缶体或いは前述の袋体等に用いられるラベル、単位商品や集積商品の帯体や外包体等にも使用することができる。
【0028】
本発明の印字情報つき包装材について、以下の実施例等により説明を行う。
【実施例1】
【0029】
実施例1は、基材層となる厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面にグラビア印刷方式にて印刷加工を行った後、厚み12μmのアルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを隠蔽層としてウレタン系ドライラミネート接着剤3.0g/m2を介してラミネートし、次いで可変情報の印字部分にメジウム(透明)インキをグラビアコート法にて塗布してインキ受容層とし、該インキ受容層にインクジェットプリンターを用いてQRコード(登録商標)を印字した後、ウレタン系ドライラミネート接着剤3.0g/m2を介して低密度ポリエチレン60μmを全面にラミネートしたものである。
【実施例2】
【0030】
実施例2は、基材層となる厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面にグラビア印刷方式にて印刷加工を行った後、厚み12μmのアルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを隠蔽層としてウレタン系ドライラミネート接着剤3.0g/m2を介してラミネートし、次いで可変情報の印字部分に白色インキをグラビアコート法にて塗布してインキ受容層とし、該インキ受容層にインクジェットプリンターを用いてQRコード(登録商標)を印字した後、ウレタン系ドライラミネート接着剤3.0g/m2を介して低密度ポリエチレン60μmを全面にラミネートしたものである。
【0031】
比較例1は、基材層となる厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面にグラビア印刷方式にて印刷加工を行った後、可変情報の印字部分に隠蔽層として墨色インキ、次いで白色インキをグラビアコート法にて塗布してインキ受容層とし、該インキ受容層にインクジェットプリンターを用いてQRコード(登録商標)を印字した後、ウレタン系ドライラミネート接着剤3.0g/m2を介して低密度ポリエチレン60μmを全面にラミネートしたものである。
【0032】
比較例2は、基材層となる厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面にグラビア印刷方式にて印刷加工を行った後、可変情報の印字部分に隠蔽層として墨色インキ、次いで白色インキを二層(二度刷)にグラビアコート法にて塗布してインキ受容層とし、該インキ受容層にインクジェットプリンターを用いてQRコード(登録商標)を印字した後、ウレタン系ドライラミネート接着剤3.0g/m2を介して低密度ポリエチレン60μmを全面にラミネートしたものである。
【0033】
上記で得られた実施例1、2および、比較例1、2の構成からなるフィルムについて、印字されたQRコード(登録商標)の読み取りを異なる会社の携帯電話を読み取り端末A、Bとして読み取りを行った評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
上記の表1に示す読み取りの評価結果から明らかなように、実施例1、実施例2の構成からなるフィルムの印字については、読み取り端末A、Bのいずれによっても、良好に読み取ることができ、隠蔽層として設けたアルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムが、印刷層を十分に隠蔽するとともに、インキ受容層のメジウムインキ及び白色インキと可変情報印字インキとのコントラストを明らかにして、読み取りが正確に行われた。これに対し、比較例1、2では、隠蔽層の墨色インキの発色が白色インキによって十分に隠し切れず、白色インキ層上に印字された可変情報の読み取りに時間を要したり、読み取りが出来ない結果となった。
【符号の説明】
【0036】
P 包装袋
S 包装材
Q 内容物
1 基材層
2、2’ 接着層
3 隠蔽層
4 熱接着性樹脂層
5 印刷層
6 インキ受容層
7 可変情報印字層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に印刷層を設けた基材層と隠蔽層と最内層となる熱接着性樹脂層とが順次積層されており、前記隠蔽層の前記熱接着性樹脂層側の面にインキ受容層とインクジェット方式で印字される可変情報印字層とが順次形成されており、前記印刷層と前記可変情報印字層との間に隠蔽層が介在していることを特徴とする印字情報付き包装材。
【請求項2】
前記隠蔽層が金属蒸着膜を有するプラスチックフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の印字情報付き包装材。
【請求項3】
前記隠蔽層が金属箔からなることを特徴とする請求項1記載の印字情報付き包装材。
【請求項4】
前記隠蔽層が白色顔料を含んだプラスチックフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の印字情報付き包装材。
【請求項5】
前記可変情報印字層に印字される情報が、縦80dpi以上×横80dpi以上の可変情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印字情報付き包装材。
【請求項6】
前記可変情報印字層に印字される情報が、読み取り端末により認識可能とした可変情報であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印字情報付き包装材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−254331(P2010−254331A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105373(P2009−105373)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】