説明

印字装置

【課題】卵にレーザビームで印字する印字装置において、簡易な構成で、卵に印字する文字の視認性を向上させることができる印字装置を提供すること。
【解決手段】印字装置3は、立てられた状態の卵8の頂部に印字する印字装置3であって、レーザビームを出射する1つのレーザヘッド31aと、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを卵8の頂部の上方側から卵8の頂部に向けて反射させる反射ミラー34a有し、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを第1方向D1及び第1方向D1に直交する第2方向D2に走査することで、レーザビームにより卵8の頂部に印字させる走査機構部32と、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームが、卵8を上方側から視た場合に卵8の頂部の上端部8aを中心とする円環状の文字列を印字するように、走査機構部32を制御する制御部36と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵にレーザビームで印字する印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザビームを出射するレーザヘッドを備え、卵にレーザビームで賞味期限等の文字を印字する印字装置が知られている。卵にレーザビームで印字する印字装置において、レーザビームの強度を一定にした状態で印字すると、卵の表面は曲面形状であるため、文字の濃さの濃淡が大きくなる可能性がある。文字の濃さの濃淡が大きくなると、卵に印字する文字の視認性が低下する可能性がある。
【0003】
これに対し、卵の形状等に基づいて、レーザビームの強度を調整して、卵に印字する印字装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の印字装置は、レーザビームの強度を調整することで、卵に印字される文字の濃さを適正に調整することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3347700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の印字装置は、卵の形状等を測定した後に、レーザビームの強度を調整して、卵に印字を行っている。そのため、卵の形状を測定する構成やレーザビームの強度を調整する構成が必要となるため、構成が複雑となる。
従って、簡易な構成で、卵にレーザビームで印字する文字の視認性を向上させることができる印字装置が望まれている。
【0006】
本発明は、卵にレーザビームで印字する印字装置において、簡易な構成で、卵に印字する文字の視認性を向上させることができる印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、立てられた状態の卵の頂部に印字する印字装置であって、レーザビームを出射する1つのレーザヘッドと、前記1つのレーザヘッドから出射されるレーザビームを前記卵の頂部の上方側から前記卵の頂部に向けて反射させる反射ミラーを有し、前記1つのレーザヘッドから出射されるレーザビームを第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に走査することで、レーザビームにより前記卵の頂部に印字させる走査機構部と、前記1つのレーザヘッドから出射されるレーザビームが、前記卵を上方側から視た場合に前記卵の頂部の上端部を中心とする円環状の文字列を印字するように、前記走査機構部を制御する制御部と、を備える印字装置に関する。
【0008】
また、前記制御部は、前記文字列を構成する複数の文字のそれぞれが、前記卵を上方側から視た場合に外周側の長さが内周側の長さよりも長い扇状となるように、前記走査機構部を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、卵にレーザビームで印字する印字装置において、簡易な構成で、卵に印字する文字の視認性を向上させることができる印字装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の包装装置1における各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】本発明の印字装置3の構成を説明する斜視図である。
【図3】本発明の印字装置3の構成を説明するブロック図である。
【図4】鶏卵8に印字される円環状の文字列81を説明する図であって、(a)は鶏卵8の上面図(上方側から視た図)であり、(b)は鶏卵8の斜視図である。
【図5】鶏卵8に印字される文字82が扇状に形成される場合の文字列81を説明する図であって、(a)は鶏卵8の上面図(上方側から視た図)であり、(b)は鶏卵8の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図5を参照して、本発明の実施形態の包装装置1について説明する。本発明の実施形態の包装装置1は、複数の鶏卵8を包装するための装置である。
図1は、本発明の一実施形態の包装装置1における各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、本発明の印字装置3の構成を説明する斜視図である。図3は、本発明の印字装置3の構成を説明するブロック図である。図4は、鶏卵8に印字される円環状の文字列81を説明する図であって、(a)は鶏卵8の上面図(上方側から視た図)であり、(b)は鶏卵8の斜視図である。図5は、鶏卵8に印字される文字82が扇状に形成される場合の文字列81を説明する図であって、(a)は鶏卵8の上面図(上方側から視た図)であり、(b)は鶏卵8の斜視図である。
【0012】
なお、本実施形態の包装装置1の説明において、10個の鶏卵8がトレイ7に載置されている状態で、5個の鶏卵8が一列に並ぶ方向であってトレイ7の長辺に沿う方向を「第1方向D1」という(図2参照)。第1方向D1は、トレイ7に載置された10個の鶏卵8が搬送装置4により搬送される場合の搬送方向Pに平行な方向でもある。第1方向D1に並ぶ5個の鶏卵8の一列が2列並ぶ方向であると共にトレイ7の短辺に沿う方向であって、水平方向で且つ第1方向D1に直交する方向を「第2方向D2」という(図2参照)。垂直方向を「Z方向」(第1方向D1及び第2方向D2に直交する方向でもある)という。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る包装装置1は、卵載置装置2と、印字装置3と、搬送装置4とを備える。
搬送装置4は、搬送ベルト41と、駆動ローラ42と、駆動モータ43とを備える。搬送ベルト41は、卵載置装置2と印字装置3とを通るように配置されており、トレイ7を移動させる搬送ラインを構成する。搬送ベルト41は、駆動モータ43により駆動されて、搬送ベルト41の上面に載置されたトレイ7を搬送方向Pに搬送する。これにより、搬送ベルト41は、トレイ7に載置された10個の鶏卵(卵)8を搬送方向P(第1方向D1)に搬送する。
【0014】
卵載置装置2は、10個の鶏卵8を立てた状態でトレイ7に載置する装置である。卵載置装置2は、10個の鶏卵8を、第1方向D1に5個並ぶ一列が第2方向D2に2列並んだ状態で、トレイ7の10個の凹部分に立てた状態で載置する。
トレイ7は、10個の鶏卵8を立てた状態で2列に並べて載置するための容器であって、一般的に卵パックや卵容器等と呼ばれる包装容器において、鶏卵8が載置される部分を構成する。トレイ7は、例えば、透明のプラスチック製のものやダンボール製のものなどがある。
【0015】
また、卵載置装置2は、10個の鶏卵8をトレイ7に載置した後に、トレイ7に蓋をかぶせる動作を行わない。なお、トレイ7の蓋は、後述する印字装置3による鶏卵8への賞味期限等の文字の印字の完了後に、後の工程でかぶせられる。これにより、10個の鶏卵8は包装された状態となる。その後、トレイ7に載置された状態で包装された10個の鶏卵8は、出荷される。
【0016】
印字装置3は、卵載置装置2の搬送方向Pの下流側に配置されている。印字装置3は、立てられた状態でトレイ7に載置される10個の鶏卵8の頂部に賞味期限等の文字を印字する装置である。本実施形態においては、鶏卵8の頂部は、立てた状態の鶏卵8において、側面から視た場合に、鶏卵8における上方側の頂点(上端部)から鶏卵8の高さの3分の1程度までの範囲の部分である。そのため、鶏卵8の頂部とは、鶏卵8における上方側の最も端部の点である頂点(上端部)のみを示すものではない。鶏卵8の頂部に印字する文字としては、賞味期限の文字のほかに、例えば、産卵日や生産者名やブランド名等の文字がある。
【0017】
印字装置3は、図2に示すように、搬送装置4と、2つの印字部30A,30Bとを備える。
本実施形態においては、2つの印字部30A,30Bは、印字装置3において、搬送方向Pの下流側及び上流側に離間して配置される。2つの印字部30A,30Bは、2列に並んで載置される鶏卵8の一方の1列又は他方の1列にそれぞれ対応して設けられている。
本実施形態においては、2つの印字部30A,30Bは、印字位置及び印字する鶏卵8の列が異なるのみで、その他は同様の構成である。そのため、2つの印字部30A,30Bの同様の構成については、2つの印字部30A,30Bそれぞれを印字部30として説明する。
【0018】
印字部30は、レーザ発振器31と、走査機構部としてのスキャナミラー機構部32と、集光レンズ35とを備える。搬送装置4は、前述の通り、10個の鶏卵8が載置されたトレイ7を搬送方向Pに搬送する。
【0019】
レーザ発振器31は、1つのレーザヘッド31aを有する。1つのレーザヘッド31aは、所定の径を有する1本のレーザビームを出射する。1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームは、スキャナミラー機構部32により走査されることで、鶏卵8の頂部の表面に賞味期限等の文字を印字する。また、1本のレーザビームの所定の径は、鶏卵8の表面を走査することにより、鶏卵8の表面に賞味期限等の文字を印字可能な径である。そのため、1つのレーザヘッド31aから出射される1本のレーザビームは、2個以上の鶏卵8を同時に照射することはない。
【0020】
スキャナミラー機構部32は、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを、レーザビームの走査範囲S内で、第1方向D1及び第2方向D2に走査する。第1方向D1及び第2方向D2に走査されたレーザビームは、鶏卵8の頂部に賞味期限等を印字することができる。
スキャナミラー機構部32は、例えば、単にスキャナミラーと呼ばれたり、ガルバノスキャナと呼ばれることもある。
【0021】
スキャナミラー機構部32は、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームの光路上において、レーザ発振器31と印字位置に位置した鶏卵8との間に配置される。ここで、鶏卵8の印字位置とは、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームの走査範囲S内に鶏卵8の頂部が位置する位置である。本実施形態においては、鶏卵8は、搬送装置4により搬送されることにより、印字位置に移動される。
【0022】
スキャナミラー機構部32は、第1方向走査部33と、第2方向走査部34とを有する。
第1方向走査部33は、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームの光路上において、第2方向走査部34よりもレーザ発振器31側に配置される。
第1方向走査部33は、第1ミラー33aと、第1ミラー駆動モータ33bとを有する。
【0023】
第1ミラー33aは、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを第2方向走査部34の第2ミラー34a(後述)に向けて反射させると共に、第1回転軸J1を中心に回動することで、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを第1方向D1に沿う方向に走査するミラーである。
【0024】
第1ミラー33aは、レーザビームを反射させる反射面を有する。第1ミラー33aの反射面は、レーザヘッド31aから出射されるレーザビームを第2ミラー34aに向けて反射させるように、レーザヘッド31a及び第2ミラー34aに対して所定角度傾いて面している。第1ミラー33aは、反射面の角度を変化させるように第1回転軸J1を中心に回動可能に構成される。第1回転軸J1は、Z方向に延びる回転軸である。
【0025】
第1ミラー駆動モータ33bは、出力軸33cが第1ミラー駆動モータ33bの回転駆動力を第1ミラー33aに伝達して、第1ミラー33aを第1回転軸J1を中心に回動させる。これにより、第1ミラー駆動モータ33bは、第1ミラー33aの反射面の角度を変化させて、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを第1方向D1に走査する。
【0026】
第2方向走査部34は、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームの光路上において、第1方向走査部33よりも印字位置に位置する鶏卵8側に配置される。
第2方向走査部34は、反射ミラーとしての第2ミラー34aと、第2ミラー駆動モータ34bとを有する。
【0027】
第2ミラー34aは、印字位置に位置する鶏卵8のZ方向の上方側に配置される。第2ミラー34aは、第1方向走査部33により反射されるレーザビームを印字位置に位置する鶏卵8のZ方向の上方側から鶏卵8の頂部に向けて反射させると共に、第2回転軸J2を中心に回動することで、1つのレーザヘッド31aから出射されて第1方向走査部33により反射されるレーザビームを第2方向D2に走査するミラーである。
【0028】
第2ミラー34aは、レーザビームを反射させる反射面を有する。第2ミラー34aの反射面は、第1ミラー33aにより反射されて照射されるレーザビームを印字位置に位置する鶏卵8に向けて反射させるように、第1ミラー33a及び印字位置に位置する鶏卵8に対して所定角度傾いて面している。第2ミラー34aは、反射面の角度を変化させるように第2回転軸J2を中心に回動可能に構成される。第2回転軸J2は、第1回転軸J1に直交すると共に第1方向D1に延びる回転軸である。
【0029】
第2ミラー駆動モータ34bは、出力軸34cが第2ミラー駆動モータ34bの回転駆動力を第2ミラー34aに伝達して、第2ミラー34aを第2回転軸J2を中心に回動させる。これにより、第2ミラー駆動モータ34bは、第2ミラー34aの反射面の角度を変化させて、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを第2方向D2に走査する。
【0030】
集光レンズ35は、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームの光路上において、第2方向走査部34と印字位置に位置する鶏卵8との間に配置される。集光レンズ35は、第2ミラー34aに反射されたレーザビームを集光して、鶏卵8にレーザビームを照射する。
【0031】
以上のように、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームの光路上には、レーザヘッド31aから印字位置に位置する鶏卵8までの間に、レーザヘッド31a、第1方向走査部33、第2方向走査部34、集光レンズ35及び鶏卵8が、この順に並んで配置されている。
これにより、1つのレーザヘッド31aから出射されたレーザビームは、第1方向走査部33の第1ミラー33aによって反射された後、さらに第2方向走査部34の第2ミラー34aによって反射され、集光レンズ35を介して、印字位置に位置する鶏卵8に照射される。
【0032】
また、スキャナミラー機構部32は、第1ミラー駆動モータ33bによって第1ミラー33aを回動させ、かつ、第2ミラー駆動モータ34bによって第2ミラー34aを回動させる。これにより、1つのレーザヘッド31aから出射されたレーザビームは、第1方向走査部33が第1ミラー33aを回動させることにより第1方向D1に走査され、第2方向走査部34が第2ミラー34aを回動させることにより第2方向D2に走査される。
【0033】
レーザビームの走査範囲Sは、図2に示すように、レーザビームが第1方向D1に走査可能な範囲と、レーザビームが第2方向D2に走査可能な範囲とで囲まれる範囲である。
本実施形態においては、レーザビームの走査範囲Sは、1個の鶏卵8が印字位置にある場合において、Z方向の上方側から視た場合に、少なくとも、1個の鶏卵8の頂部の部分を含む範囲となるように設定されている。
なお、レーザビームの走査範囲Sは、スキャナミラー機構部32の構成やスキャナミラー機構部32から鶏卵8までの距離やスキャナミラー機構部32の制御の設定等によって所定の範囲に設定される。
【0034】
以上のように構成されることにより、スキャナミラー機構部32は、レーザビームの走査範囲Sにおいて、1つのレーザヘッド31aから出射されたレーザビームを第1方向D1及び第2方向D2に走査可能である。そのため、1つのレーザヘッド31aから出射されたレーザビームは、レーザビームの走査範囲Sに位置する鶏卵8の頂部の任意の位置において、任意の文字を印字することができる。
【0035】
図3に示すように、印字装置3は、上記の構成の他に、制御部36と、記憶部37と、操作部38とを備える。
制御部36は、印字装置3を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。制御部36は、記憶部37に記憶された各種プログラムや印字に関する文字の画像情報等を適宜読み出して実行することにより、前述したレーザ発振器31やスキャナミラー機構部32等のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
また、制御部36は、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームが走査範囲S(1個の鶏卵8の頂部を含む範囲)を走査して文字を印字するようにスキャナミラー機構部32を制御する。
【0036】
また、制御部36は、記憶部37に記憶される情報に基づいて、図4(a)及び(b)に示すように、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームが、鶏卵8をZ方向の上方側から視た場合に鶏卵8の頂部の上端部8aを中心とする円環状の文字列81を印字するように、スキャナミラー機構部32を制御する。
本実施形態においては、「円環状」の文字列81は、鶏卵8の頂部の上端部8aを中心とする同心円状に形成されている。なお、「円環状」には、円が周方向に全てつながっていない場合も含まれ、例えば、円弧状又は略円弧状も含まれる。また、「円環状」には、完全な円状でなく、例えば、楕円状も含まれる。
【0037】
また、制御部36は、記憶部37に記憶される情報に基づいて、図5(a)及び(b)に示すように、文字列81を構成する複数の文字82のそれぞれが、鶏卵8をZ方向の上方側から視た場合に外周84側の長さが内周83側の長さよりも長い扇状となるように、スキャナミラー機構部32を制御する。
本実施形態においては、「扇状」の文字82は、内周83側から外周84側に向かうにしたがって周長が次第に長くなる末広がりの形状に形成されている。なお、「扇状」の外周及び内周は、円弧状に湾曲していなくてもよく、扇状には、例えば、台形状又は略台形状も含まれる。
【0038】
また、制御部36は、記憶部37に記憶された賞味期限等の文字の画像情報を、鶏卵8の表面に効率的に印字するように、スキャナミラー機構部32を制御する。
また、制御部36は、操作部38により入力された日付等の文字の情報を、所定の文字の形状(例えば、円環状の文字列や扇状の文字の形状)の画像情報に変換する。
【0039】
記憶部37は、本実施形態の印字装置3を動作させるための制御プログラムや印字に関する文字の画像情報等を予め記憶している。具体的には、記憶部37は、例えば、鶏卵8に印字する印字内容のタイトル(例えば「賞味期限」など)や、作業者により操作部38から入力された賞味期限の日時等の情報から変換された文字の形状(例えば、円環状の文字列や扇状の文字の形状)の画像情報等を記憶する。
操作部38は、作業者等が、賞味期限の日時等の数値を入力するテンキー等や、鶏卵8に印字する印字内容や、鶏卵8に印字する文字の形状(例えば、円環状の文字列や扇状の文字の形状)を選択する選択キー等を備える入力装置である。操作部38は、制御部36に接続されている。操作部38により入力された情報や選択された情報は、対応する画像情報が制御部36により記憶部37から読み出されたり、制御部36により画像情報に変換されて記憶部37に記憶される。
【0040】
次に、包装装置1の動作について説明する。
まず、卵載置装置2は、10個の鶏卵8を立てた状態で2列に並べてトレイ7に載置する。10個の鶏卵8が載置されたトレイ7は、搬送装置4により、印字装置3に向けて搬送される。
印字装置3に搬送された2列に並ぶ一方の列及び他方の列の鶏卵8それぞれは、対応する印字部30A,30Bにより印字される。なお、本実施形態の動作説明においては、前述の通り、一方の列及び他方の列の鶏卵8に対応する印字部30A,30Bそれぞれを印字部30として説明する。
【0041】
印字装置3に搬送された2列に並ぶ10個の鶏卵8のうちの一方の列及び他方の列の鶏卵8は、それぞれが対応する印字部30により、頂部に賞味期限等の文字が印字される。
一方の列及び他方の列の鶏卵8の先頭に位置する鶏卵8は、図2及び図3に示すように、印字位置に搬送される。鶏卵8の印字位置とは、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームの走査範囲S内に1個の鶏卵8の頂部が位置する位置である。レーザビームの走査範囲Sとは、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームが走査可能な範囲である。
【0042】
本実施形態においては、鶏卵8の頂部への印字は、搬送装置4によりトレイ7が搬送されている途中に、鶏卵8が載置されたトレイ7の移動中に行われる。
【0043】
一方の列又は他方の列の先頭に位置する1個の鶏卵8は、不図示の光センサに検知されることにより、印字位置に位置することが検知される。
先頭の鶏卵8が印字位置に位置することが光センサにより検知されると、制御部36は、光センサによる検知信号に基づいて、鶏卵8の上端部8aが、第2ミラー34aのZ方向の下方側に位置するタイミングを算出する。そして、制御部36は、その算出されたタイミングに基づいて、1つのレーザヘッド31aがレーザビームを出射するようにレーザ発振器31を制御する。
【0044】
また、制御部36は、光センサの検出信号に基づいて、鶏卵8の上端部8aが第2ミラー34aのZ方向の下方側に位置するときに、鶏卵8の頂部に印字するように、スキャナミラー機構部32を制御する。
なお、鶏卵8の頂部への印字は、鶏卵8の上端部8aが第2ミラー34aのZ方向の下方に位置するタイミング、又は、鶏卵8が搬送装置4により移動されている場合には、鶏卵8の上端部8aが第2ミラー34aのZ方向の下方の近傍に位置するタイミングにおいて実行される。
【0045】
制御部36は、レーザビームの走査範囲Sにおいて、記憶部37に記憶された画像情報や搬送装置4の搬送速度の情報等に基づいて、鶏卵8の頂部を走査するように、スキャナミラー機構部32を制御する。記憶部37には、鶏卵8に印字する印字内容のタイトルや、作業者により操作部38から入力された賞味期限の日時等の情報から変換された文字の形状(例えば、円環状の文字列や扇状の文字の形状)の画像情報等が記憶されている。
【0046】
1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームは、スキャナミラー機構部32に走査されることで、一方又は他方の1つの列の先頭に位置する1個の鶏卵8の頂部に賞味期限等の文字を印字する。
【0047】
制御部36は、鶏卵8に対して、効率的に印字が行われるように、スキャナミラー機構部32を制御することが好ましい。制御部36は、搬送方向Pに移動中の鶏卵8に対して、レーザビームの走査範囲Sを通り過ぎる前に、鶏卵8の頂部をレーザビームで走査して印字を完了させればよい。
【0048】
また、スキャナミラー機構部32は、レーザビームを第1方向D1及び第2方向D2に走査可能である。そのため、制御部36は、レーザビームの走査範囲Sに位置する鶏卵8の頂部の任意の位置において、任意の文字を印字するように制御することができる。レーザビームを第1方向D1及び第2方向D2に走査することにより、鶏卵8に対して、印字を行う文字の画像情報の上下左右のいずれの側からでも印字を行うことができる。
【0049】
ここで、制御部36は、例えば、円環状の文字列81を鶏卵8に印字することが操作部38により選択された場合には、記憶部37に記憶される情報に基づいて、図3、図4(a)及び(b)に示すように、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームが、鶏卵8をZ方向の上方側から視た場合に鶏卵8の頂部の上端部8aを中心とする円環状の文字列81を印字するように、スキャナミラー機構部32を制御する。
【0050】
これにより、第2ミラー34aにより反射されたレーザビームは、鶏卵8の頂部の上端部8aを中心とする円環状になるように、鶏卵8の頂部を走査する。
ここで、第2ミラー34aから鶏卵8の表面の円環状の部分までの距離は、略一定である。そのため、レーザヘッド31aから鶏卵8の表面の円環状の部分までの距離も略一定である。
このため、円環状の文字列81を印字することにより、例えば、直線状の文字列を鶏卵8の頂部の上端部8aを跨ぐように印字する場合に比べて、レーザヘッド31aから鶏卵8の表面の円環状の部分までの距離を略一定にすることができる。従って、レーザビームの強度を一定にしたままで、鶏卵8への印字の濃度の濃淡が大きくなることを抑制して、鶏卵8の頂部に印字することができる。これにより、簡易な構成で、鶏卵8に印字する文字の視認性を向上させることができる。
【0051】
また、制御部36は、例えば、複数の扇状の文字82で構成される円環状の文字列81を鶏卵8に印字することが操作部38により選択された場合には、図5(a)及び(b)に示すように、文字列81を構成する複数の文字82のそれぞれが、鶏卵8をZ方向の上方側から視た場合に外周84側の長さが内周83側の長さよりも長い扇状となるように、スキャナミラー機構部32を制御する。
【0052】
本実施形態においては、鶏卵8の頂部に印字される文字列81は、円環状に形成されることに加えて、文字82が扇状に形成されている。「扇状」の文字82は、鶏卵8をZ方向の上方側から視た場合に、内周83側から外周84側に向かうにしたがって周長が次第に長くなる末広がりの形状である。ここで、鶏卵8を立てたときの鶏卵8の頂部側の形状は、Z方向の上方側から視た場合に、上端部8aを中心とする円における円周の長さが、上端部8aからZ方向の中央側に向かうにしたがって長くなる形状である。そして、鶏卵8の表面に印字される文字列81を構成する複数の文字82は、鶏卵8の円周の長さに対応するように、Z方向の上方側から視た場合に、円周の長さが文字82の外側に向かうにしたがって大きい扇状である。
従って、鶏卵8の表面に印字される円環状の文字列81を構成する文字82それぞれの扇状の形状は、鶏卵8の頂部の曲面の形状に対応した形状となっている。これにより、文字列81が円環状に形成されることにより奏される上記効果に加えて、鶏卵8の表面に印字される文字の視認性を一層向上させることができると共に、デザイン性を向上させることができる。
【0053】
一方又は他方の列の鶏卵8の先頭に位置する1個の鶏卵8の頂部への印字後、トレイ7は、更に搬送方向Pに搬送される。そして、印字位置に移動された順に、一方及び他方の列において、鶏卵8に対して、レーザビームを走査して、鶏卵8の頂部に印字を行う。そして、一方及び他方の列において、先頭の鶏卵8から5番目の鶏卵8まで順次印字が完了することにより、一方及び他方の列に並ぶ鶏卵8への印字が完了する。
【0054】
印字装置3により印字された10個の鶏卵8は、トレイ7に載置された状態で、搬送装置4により搬送される。その後、10個の鶏卵8が載置されたトレイ7には蓋がかぶせられ、10個の鶏卵8は、トレイ7に載置された状態で包装され、出荷される。
【0055】
本実施形態の印字装置3によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の印字装置3においては、立てられた状態の鶏卵8の頂部に印字する印字装置3であって、レーザビームを出射する1つのレーザヘッド31aと、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを鶏卵8の頂部の上方側から鶏卵8の頂部に向けて反射させる第2ミラー34a有し、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームを第1方向D1及び第1方向D1に直交する第2方向D2に走査することで、レーザビームにより鶏卵8の頂部に印字させるスキャナミラー機構部32と、1つのレーザヘッド31aから出射されるレーザビームが、鶏卵8を上方側から視た場合に鶏卵8の頂部の上端部8aを中心とする円環状の文字列を印字するように、スキャナミラー機構部32を制御する制御部36と、を備える。
【0056】
そのため、鶏卵8の頂部に印字される文字列81は、鶏卵8の頂部の上端部8aを中心とした円環状に形成される。これにより、レーザヘッド31aから鶏卵8の表面の円環状の部分までの距離を略一定にすることができる。従って、レーザビームの強度を一定にしたままで、鶏卵8への印字の濃度の濃淡が大きくなることを抑制して、鶏卵8の頂部に印字することができる。これにより、簡易な構成で、鶏卵8に印字する文字の視認性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態の印字装置3においては、制御部36は、文字列81を構成する複数の文字82のそれぞれが、鶏卵8を上方側から視た場合に、外周84側の長さが内周83側の長さよりも長い扇状となるように、スキャナミラー機構部32を制御する。
【0058】
そのため、鶏卵8の頂部に印字される文字列81は、円環状に形成されることに加えて、文字82が扇状に形成されている。これにより、鶏卵8の表面に印字される円環状の文字列81を構成する文字82それぞれの扇状の形状は、鶏卵8の頂部の曲面の形状に対応した形状となっている。従って、文字列81が円環状に形成されることにより奏される上記効果に加えて、鶏卵8の表面に印字される文字の視認性を一層向上させることができると共に、デザイン性を向上させることができる。
【0059】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、トレイ7に立てた状態で鶏卵8に印字するように構成しているが、これに制限されない。例えば、別の載置台に立てた状態で鶏卵8に印字するように構成してもよい。
【0060】
また、前述の実施形態においては、鶏卵8への印字を、トレイ7の移動中に行っているが、これに制限されない。鶏卵8への印字は、例えば、トレイ7を停止した状態で行ってもよい。トレイ7を停止した状態で印字を行う場合には、停止状態で、鶏卵8の頂部の上端部8aのZ方向の真上からレーザビームを照射できるため、鶏卵8の頂部の上端部8aを中心とした円環状の文字列81を形成する場合に、第2ミラー34aから鶏卵8の表面の印字する部分までの距離を、精度よく略一定にすることができる。これにより、鶏卵8への印字の濃度の濃淡が大きくなることが一層抑制されて、鶏卵8に印字する文字の視認性を一層向上させることができる。
本発明の印字装置3によって印字される卵は、鶏卵に制限されず、例えば、うずらの卵でもよい。
【符号の説明】
【0061】
3 印字装置
8 鶏卵(卵)
8a 上端部
31a レーザヘッド
32 スキャナミラー機構部(走査機構部)
34a 第2ミラー(反射ミラー)
51 制御部
81 文字列
82 文字
83 内周
84 外周
D1 第1方向
D2 第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立てられた状態の卵の頂部に印字する印字装置であって、
レーザビームを出射する1つのレーザヘッドと、
前記1つのレーザヘッドから出射されるレーザビームを前記卵の頂部の上方側から前記卵の頂部に向けて反射させる反射ミラーを有し、前記1つのレーザヘッドから出射されるレーザビームを第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に走査することで、レーザビームにより前記卵の頂部に印字させる走査機構部と、
前記1つのレーザヘッドから出射されるレーザビームが、前記卵を上方側から視た場合に前記卵の頂部の上端部を中心とする円環状の文字列を印字するように、前記走査機構部を制御する制御部と、を備える
印字装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記文字列を構成する複数の文字のそれぞれが、前記卵を上方側から視た場合に外周側の長さが内周側の長さよりも長い扇状となるように、前記走査機構部を制御する
請求項1に記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−111071(P2013−111071A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263416(P2011−263416)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(390034223)イーデーエム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】