説明

危険物質を運搬し貯蔵するためのコンテナ及びそのコンテナを製造するための方法

塩素などの危険物を運搬し、貯蔵するためのコンテナは、エンド・キャップをもつ円筒形の本体を含む。エンド・キャップは、圧力容器を形成するために、本体に溶接される。エンド・キャップは、衝突による損傷から溶接を保護するために、本体の端部に対して窪んだ周辺エッジをもつ。並置した構成要素の構造は、隅肉溶接で共に取り付けることができる重ね接合を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(0001)
本発明は、加圧された運搬容器に関し、より詳細には、加圧された危険物を運搬し貯蔵するためのコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
(0002)
有毒又は危険な化学薬品を貯蔵するために使用されるコンテナは、当技術分野ではよく知られている。長年の間、様々な化学薬品の製造業者及び使用者は、これらの物質を運搬し貯蔵するために、コンテナを購入してきた。これらのコンテナに貯蔵された化学薬品のいくつかは、塩素、二酸化硫黄並びに多くの他の化学薬品を含む。これらの物質は、それらの意図された目的では有用であるが、ある状態で、人間に接触させられるならば、それらは危険となり得ることが理解される。
【0003】
(0003)
有害物質を運搬するためのコンテナの1つのタイプは、マルチ・ユニット・タンク車である。運搬用に特定の量の化学薬品を貯蔵するために、コンテナを、寸法決めし、構成することができる。一般に、このタイプのコンテナは、炭素鋼から構成される。安全の目的で、壁厚及び材料タイプなどのいくつかの特徴が、有害物質を取り扱うためのコンテナに関連する政府の規制によって、規定されている場合がある。一般に、コンテナは極めて耐久性があり、多くの年又は何十年もの有効寿命をもつ。耐久性はこれらの物質を安全に貯蔵する耐用寿命を保証するのに重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(0004)
さらにより多くのコンテナが製造され、これらのコンテナの寿命が比較的長いので、このタイプのコンテナの必要が減少し得る。したがって、業界において、優れた対費用効果で、競争できることが重要である。必要なのは、危険物質を貯蔵するためのコンテナであり、これらのコンテナをそれに基づいて作らねばならない基準を維持しながら、コストを下げるコンテナを構成するための方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(0005)
1つの実施形態では、本発明は、容器及びその容器を構成する方法を含み、その方法は、端部分をもつほぼ管状又は円筒形の本体を準備するステップであって、端部分が周辺リップをもつステップと、周辺エッジをもつ少なくとも1つの第1端部材を準備するステップであって、第1端部材が凸状の構造をもつ、すなわち容器の圧力側に対して凸であるステップと、円筒形の本体の周辺リップの内部に、第1端部材の周辺エッジを位置決めし、重ね接合を形成するステップと、第1端部材の周辺エッジを、円筒形の本体の周辺リップに、溶接するステップとを含む。
【0006】
(0006)
溶接された圧力容器を構成する方法の1つの態様は、第1端部材の凸部分が、ほぼ円筒形の本体の内部に面するように、第1端部材を位置決めするステップを含む。
【0007】
(0007)
溶接された圧力容器を構成する方法の別の態様は、端部分をもつほぼ円筒形の本体を準備するステップであって、端部分が周辺リップをもち、周辺リップが、円筒形の本体の中心線軸の方向に曲げられるステップを含む。
【0008】
(0008)
溶接された圧力容器を構成する方法のさらに別の態様は、円筒形の本体と、端部材との間に内部溶接接合部を形成する重ね接合を隅肉溶接するステップを含む。
【0009】
(0009)
溶接された圧力容器を構成する方法のさらに別の態様は、端部分をもつほぼ円筒形の本体を準備するステップであって、端部分が周辺リップをもち、本体が516グレード70炭素鋼から構成されるステップを含む。
【0010】
(0010)
溶接された圧力容器を構成する方法のさらに別の態様は、安全逃し弁を準備するステップと、少なくとも1つの第1端部材に、安全逃し弁を取り付けるステップとを含む。
【0011】
(0011)
本発明の別の実施形態では、加圧された物質を収容するための容器は、内部領域を画定する本体部分と、湾曲部分をもつ少なくとも1つの第1端部材であって、湾曲部分が内部領域に対して凸状であるように、本体部分に取り付けられる少なくとも1つの第1端部材とを含み、少なくとも1つの第1端部材が本体部分に融接され、少なくとも1つの第1端部材及び本体部分が、本体部分に対して内部にある重ね接合を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(0015)
図示が本発明の実施形態を説明するための目的だけであり、同一のものに限定するものではない図面を次に参照して、図1は全体を1で示された運搬及び/又は貯蔵コンテナを示す。コンテナ1又は容器1は、複数の物質のうちの1つ又は複数を収容するように構成することができる。1つの実施形態では、物質は、危険物質、或いは塩素、二酸化硫黄又は他の危険物などの化学薬品でよい。一般に、このタイプのコンテナは、塩素2000ポンドを収容するように構成されている。そのようなものとして、このタイプのコンテナを示すのに、「トン・コンテナ」という表現が作り出された。コンテナ1を、図に示すようなほぼ円筒形のコンテナとして作ることができる。このようにして、本体3又は貯蔵コンテナ1の本体部分3は、中心軸Xの周りで湾曲してもよく、円形の断面をもつことができる。コンテナ1は端壁又は端部材6を含むこともできる。危険物質を運搬及び貯蔵する際、コンテナ1を加圧できるように、端部材6を、本体3に取り付けることができる。1つの実施形態では、以下の段落でさらに説明されるように、端部材6を本体3に溶接することができる。したがって、コンテナ1は、圧力逃し弁15でよい、1つ又は複数の弁15を含むこともできる。弁15は、加圧された危険物の貯蔵で使用するのに適切であるような任意のタイプの弁でよい。弁15は、コンテナ1を望むように満たし、及び/又は収容された物質を空にするために、使用することができる。弁15は、過剰圧力の場合に、圧力除去を行なうために、安全手段として使用することもできる。さらに、本発明の実施形態で使用するのに適切なように、弁15を使用する任意の方法を選ぶことができる。
【0013】
(0016)
続けて図1を参照して、本体3又はシェルは、圧延成形された鋼板から直円筒形の構造に構成することができる。1つの実施形態では、鋼板は13/32インチの最小の厚さをもち、実質的に81 1/2インチの長さをもつことができる。圧延成形されたとき、I.D.、すなわち内径は29 1/4インチでよい。さらに、本体3を形成するのに使用される鋼のタイプは、ASME SA−516グレード70炭素鋼でよい。しかし、連邦規則集のタイトル49に限らないが、それを含む適切な規則制限に従う鋼の他のグレードを使用することとしてもよい。鋼の本体3が円筒に形成されると、本体3の側部を接合するために、溶接によって継ぎ目7を共に融着することができる。1つの実施形態では継ぎ目7を融接することができる。より詳細には、溶接された接合は二重溶接つき合せ接合でよい。本体3が形成された後で、応力除去処理などの溶接後処理を行うこととしてもよい。
【0014】
(0017)
続けて図1を参照し、次に図2を参照して、端部材6又はヘッドは、本体3と同じタイプの材料、すなわちSA−516グレード70炭素鋼で形成することができる。しかし、端部材6の厚さは、本体3より厚くてよい。1つの実施形態では、厚さは、約0.7インチでよい。最小の厚さは、11/16インチでよい。しかし、本発明の実施形態で使用するのに適するような妥当な判断によって、前記最小の厚さより大きい任意の厚さを、選ぶことができる。端部材6を、本体3の内径に対応する外径をもつ円板又は板の形状に作ることができる。端部材6又はその部分は湾曲していてもよい。より詳細には、端部材6を、そのそれぞれの中心部分9で湾曲でき、それによって、端部材6は対応する半径を有するドーム形状をもつ。本体3内に位置決めされるとき、端部材6の湾曲部分は、容器1の内部領域に対して凸状でよい。言い換えれば、端部材6を、容器1内の圧力に対して凸で位置決めできる。コンテナ1内の圧力を減じるための安全機構として、これを使用することができる。コンテナ1内の圧力が特定の閾値まで増加した場合、中央部分9が圧力に対して凹になるように、端部材6の中央部分9を反対側にできる。凸状の方向を逆にされた端部材6は、コンテナ1の全体の体積を増加させ、それによって、コンテナ1内の圧力を下げることが理解される。ここで、コンテナ1は2つの端部材6を含むこととしてもよく、端部材6夫々が本体3の遠位端に配置されることに注意すべきである。各端部材6を圧力に対して凸に、又はコンテナ1の内部に対して凸状に挿入することができる。端部材6は、端部材6の中心線Cに対して実質的に平行に延びる周辺エッジ8を含むこともできる。端部材6はほぼ円形なので、周辺エッジ8のO.D.、すなわち外径は、本体3のI.D.に対応できる。
【0015】
(0018)
続けて図1及び2を参照して、周辺エッジ8が周辺リップ4に対してひっこむように、端部材6を、本体3の内部に位置させることができる。このようにして、重ね接合又は隅肉重ね接合の構造を生み出すように、周辺エッジ8及び周辺リップ4を並置することができる。上述のように、端部材6を、本体3に溶接し、又は融接することができる。詳細には、周辺エッジ8を、本体3の周辺リップ4に溶接することができる。溶接接合部11が本体3の外面の反対の位置に作られることに注意すべきである。すなわち、溶接接合部は、本体の内部領域にあり、他の物体との衝突から起こり得るような外部損傷にさらされない。炭素鋼材料の使用に適している水中アークプロシージャを使用して、これらの構成要素を溶接することができる。しかし、シールド・ガス溶接、又は妥当な工学的判断で選ばれる任意の他の溶接プロセスを使用して、重ね接合を溶接することもできる。
【0016】
(0019)
図2を続けて参照し、次に図3を参照して、コンテナの構造の構成要素3、6が、互いに溶接された後、溶接された接合をさらに保護するために、縁処理(chiming)として知られるプロセスで、本体の端部5を、中心軸Xに向かって内側にテーパを付けることとしてもよい。確実な溶接接合を提供するのに使用するために必要なような、本体3の端部5のテーパの最終角度に合わせるように任意の角度で、端部材6の周辺エッジ8を、事前に輪郭をつけ、又は事前に作ることとしてもよいことを理解すべきである。
【0017】
(0020)
続けて図のすべてを参照して、次に、コンテナ3を構成するプロセスが説明される。平面の鋼板を、本体の遠位端に開口をもつ直円筒形の本体に圧延成形することで、コンテナ3を構成することができる。それから、円筒形の本体の長手方向の接合を溶接し、必要ならば、応力除去処理してもよい。それから、それぞれ本体の内部に対して凸状の構造をもつ、第1端部材及び第2端部材を、本体のそれぞれの端部に挿入することができる。それから、端部材の周辺エッジと周辺リップが、本体のキャビティの内部に、重ね接合又は隅肉重ね接合を形成するように、端部材を、本体の周辺リップに並置することができる。それから、接合を溶接することができ、コンテナの加圧に適するように、構成要素、すなわち、端部材及び本体のインターフェースを密封する。コンテナを構成するプロセスの任意のところで、コンテナの構成要素に、穴を開け、加圧された危険物を貯蔵するコンテナに、弁、プラグ又は使用に適する任意の他のものを受けるために、使用するために、ねじを切ることができる。
【0018】
(0021)
本発明は好ましい実施形態を参照して本明細書内で記載されてきた。明らかに、本明細書を読み、理解することで、修正及び変更が他の人に考えつく。それらが添付の請求の範囲及びその等価の範囲内に入る限り、本発明はすべてのそのような修正及び変更を含むことを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
(0012)
【図1】本発明の実施形態による危険物質を貯蔵するためのコンテナの斜視図である。 (0013)
【図2】本発明の実施形態による危険物質を貯蔵するためのコンテナの構成要素を示す部分切断側面図である。 (0014)
【図3】本発明の実施形態による危険物質を貯蔵するためのコンテナの部分切断側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された物質を収容するための容器であって、
内部領域を画定する本体部分と、
湾曲部分をもつ少なくとも1つの第1端部材であって、前記湾曲部分が前記内部領域に対して凸状であるように、前記本体部分に取り付けられる少なくとも1つの第1端部材とを含み、
前記少なくとも1つの第1端部材が前記本体部分に融接される容器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1端部材及び前記本体部分が重ね接合を形成する請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記重ね接合が、前記本体部分に対して内部にある請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1端部材が前記内部領域の内部に完全に収納され、
前記本体部分の一端が縁処理される(is chimed)請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記本体部分が金属又は金属合金から形成される請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記本体部分がASME SA−516グレード70炭素鋼から形成される請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記本体部分が約13/32インチの最小の厚さをもつ請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1端部材が、ASME SA−516グレード70炭素鋼から形成され、
前記少なくとも1つの第1端部材が約11/16インチの最小の厚さをもつ請求項5に記載の容器。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1端部材が、それぞれ前記本体部分の遠位端に取り付けられた第1湾曲端部材及び第2湾曲端部材を含み、前記第1端部材及び第2端部材の前記湾曲部分が前記内部領域に対して凸状である請求項1に記載の容器。
【請求項10】
前記本体部分が長手方向の継ぎ目を含み、
前記長手方向の継ぎ目が融接される請求項9に記載の容器。
【請求項11】
関連する加圧された物質で前記容器を満たすための、1つ又は複数の弁をさらに含む請求項10に記載の容器。
【請求項12】
加圧された物質を収容するための容器を構成する方法であって、
周辺リップを画定する端部分をもつ管状本体を準備するステップと、
周辺エッジをもつ少なくとも1つの第1端部材を準備するステップであって、前記少なくとも1つの第1端部材が湾曲しているステップと、
重ね接合を形成するように、前記本体の前記周辺リップに、前記少なくとも1つの第1端部材の前記周辺エッジを並置させるステップと、
前記本体の前記周辺リップに、前記少なくとも1つの第1端部材の前記周辺エッジを溶接するステップとを含む方法。
【請求項13】
前記本体が内部領域を画定し、前記重ね接合が前記本体の内部にある請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記湾曲部分が前記内部領域に対して凸状になるように、前記少なくとも1つの第1端部材を位置決めするステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記本体の前記端部分を縁処理する(chiming)ステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記本体の前記周辺リップに、前記少なくとも1つの第1端部材の前記周辺エッジを溶接するステップが、
前記少なくとも1つの第1端部材の前記周辺エッジと、前記本体の前記周辺リップとの前記重ね接合を隅肉溶接し、それによって前記本体と前記少なくとも1つの第1端部材との間に内部溶接接合部を形成するステップを含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
周辺リップを画定する端部分をもつ管状本体を準備するステップが、
周辺リップを画定する端部分をもつほぼ円筒形の本体を提供するステップであって、前記本体が516グレード70炭素鋼から形成されるステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項18】
弁を準備するステップと、
前記弁を前記少なくとも1つの第1端部材に取り付けるステップとをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記弁が安全逃し弁である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第1端部材の前記周辺エッジを前記本体の前記周辺リップに溶接するステップの後に、前記容器を応力除去処理するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−536600(P2009−536600A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510155(P2009−510155)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/068562
【国際公開番号】WO2008/054872
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(508331442)コロンビアナ ボイラー カンパニー,エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】