説明

厚み検査装置

【課題】 本発明は、申し込み用紙、配送伝票などに代表される各種帳票、あるいは帳票の表面にカード類が貼付されたカード付き帳票の厚みを、簡易なシステムで正確に厚み検査を行うことができる厚み検査装置の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明は、搬送ベルト60の載置面61に載置され搬送される帳票10の所定箇所と接触する接触子32の相対位置を検出する検出手段30によって得られる相対位置のデータから厚みを測定し、測定結果を判定手段50で基準となる厚みと比較し、正常品であるか否かを判定することにより、上記の課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、申し込み用紙、配送伝票などに代表される各種帳票、あるいは帳票の表面にカード類が貼付されたカード付き帳票の厚みを検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種帳票あるいはカード付き帳票の厚み検査は、一組の厚み検査装置で測定できる箇所は1箇所のみとなるので、帳票の最表面あるいはカード付き帳票のカード最表面の何れかで測定し厚みを検出し、予め定められた基準の厚みと比較し製品が正常品であるかの判断をしていた。
【0003】
例えばカード付き帳票にあっては、基準となるカード付き帳票の厚みは、カードの厚みと、帳票の厚みと、カードを帳票に固定するためのカードと帳票の間に塗られている糊量の厚みとの総和により、カード付き帳票の基準となる厚みを設定している。但し、カードの厚みと帳票の厚みは、規格によりほぼ一定であるが、カードと帳票の間に塗られている糊量の厚みは一定ではないことが多く、糊量の厚み公差値を大きくとる必要がある。従って、カード付き帳票の基準となる厚みは、糊量の厚みの公差値を考慮した許容範囲を持った設定としている。
【0004】
しかしながら、近年、帳票あるいはカード付き帳票によっては、帳票の各枚目の中に冊子や薄いチラシが挿入または貼付されている製品が多くなっており、冊子や薄いチラシが挿入または貼付された状態での厚み検査を行う必要がある。
【0005】
例えば、帳票に薄いチラシが挿入または貼付されたカード付き帳票に対して、カード最表面を従来の測定箇所が一箇所のみの一組の厚み検査装置で測定すると、チラシが薄いためにカードと帳票の間に塗られている糊量の厚みの公差値内にチラシの厚みが収まることが多く、帳票にチラシが入ってなくても、また、2枚入っていても正常品となる可能性があり、正確な検査を行うことができないという不具合があった。
【0006】
上記のように帳票に薄いチラシが含まれている場合の検査では、厚み検査装置では無く重量検査装置を使用している。しかしながら、重量検査装置は振動に弱いため、周辺の環境にも配慮して設置する必要もあり、従って、従来の厚み検査装置と比較し導入コストが高いという問題があった。
そこで従来は、特許文献1に挙げられているような、高い精度の厚み検査機を複数組み合わせて紙葉類の厚みを測定する検査装置を利用せざるを得なかった。
【特許文献1】特許第3849913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の紙葉類の厚み検査装置は、紙幣にも対応できる高い精度を出すために、複数の厚み検査機を設け、さらに高度な検出システムが必要となるという課題がある。そこで本発明は、簡易なシステムで正確に厚み検査を行うことができる厚み検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の厚み検査装置は、以下の各態様に記載の手段により上記の課題を解決するものである。
【0009】
本発明の第1の態様は、搬送ベルト上に載置され搬送過程にある帳票の所定箇所の厚みを検査する厚み検査装置において、前記帳票の載置面または前記帳票の最表面と接触する接触子、ならびに前記接触子の相対位置を検出する位置検出センサー部とからなる一組の検出手段を前記搬送ベルト上方に設け、前記接触子が前記載置面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データと、前記接触子が前記帳票の最表面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データとの差分から前記帳票の厚みを測定する厚み測定手段と、該厚み測定手段によって測定された前記帳票の厚みと、予め定められた基準厚みとを比較し判定する判定手段とによって前記帳票の厚みを検査するようにしたことを特徴とする厚み検査装置である。
【0010】
本発明の第2の態様は、搬送ベルト上に載置され搬送過程にあるカード付き帳票の所定箇所の厚みを検査する厚み検査装置において、前記帳票は最表面にカードが貼付されたカード付き帳票であって、前記カード付き帳票のカードの貼られていない面、又は前記カード付き帳票のカード最表面と接する接触子、ならびに前記接触子の相対位置を検出する位置検出センサー部とからなる一組の検出手段を前記搬送ベルト上方に設け、前記接触子が前記カード付き帳票のカードの貼られていない面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データと、前記接触子が前記カード付き帳票のカード最表面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データとの差分からカードの厚みを測定する厚み測定手段と、前記厚み測定手段によって測定されたカードの厚みと、予め定められた基準厚みとを比較し判定する判定手段とによって前記カードの厚みを検査するようにしたことを特徴とする厚み検査装置である。
【0011】
本発明の第3の態様は、前記第1または第2のいづれかの態様において、前記接触子の先端にコロを設けたことを特徴とする厚み検査装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1ならびに第2の態様によれば、搬送ベルト上方に検出手段を設け、該検出手段は接触子を備えており、該接触子が搬送過程にある帳票表面、帳票に貼付されたカード表面、ならびに搬送ベルトの表面と接触することによって、接触した箇所の相対位置データを検出するようにしたので、簡易な装置で、正確に帳票あるいはカードの厚みの検査が可能という効果がある。
本発明の第3の態様によれば、前記第1または2のいずれかの態様の効果に加え、接触子と位置センサー部とからなる検出手段の接触子の先端にコロを設けることにより、搬送状態での厚み検査が円滑に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の厚み検査装置100の検出手段30が、搬送ベルト60の上に位置する状態を示す断面図である。
【図2】本発明の厚み検査装置100の検出手段30が、カード付き帳票10の帳票の最表面に位置する状態を示す断面図である。
【図3】本発明の厚み検査装置100の検出手段30が、カード付き帳票10のカードの最表面に位置する状態を示す断面図である。
【図4】本発明の厚み検査装置100の検出手段30が、薄いチラシを含むカード付き帳票20の帳票の最表面に位置する状態を示す断面図である。
【図5】本発明の厚み検査装置100の検出手段30が、薄いチラシを含むカード付き帳票20のカードの最表面に位置する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0015】
図1から3は、発明の一実施形態に係わる厚み検査装置の構成を示す断面図である。
以下、検査対象となる帳票としてカード付き帳票を例に挙げて説明する。
【0016】
厚み検査装置100は、カード付き帳票10を搬送する搬送ベルト60と、接触子32と該接触子32の一方の先端にコロ33を設け、接触子32の他方の端が、搬送ベルト60の上方に固定された(図示せず)位置検出センサー部31の中を可動する構造とした検出手段30と、コロ33が載置面61に接触したときの検出手段30からの相対位置データと、コロ33が搬送されるカード付き帳票10の帳票13のカード貼られていない最表面およびカード11の最表面に接触したときの検出手段30からの相対位置データとを検出し、それぞれの差分から厚みを測定する厚み測定手段40と、基準となる厚みを記憶し、且つ、厚み測定手段40によって測定された帳票13およびカード10の厚みを、判定手段50において基準となる厚みと比較し、帳票13およびカード10の厚みが両方共に基準値の範囲内であるときのみ、カード付き帳票10は正常品と判断され、片方でも基準値の範囲外であれば異常品と判断する。
【0017】
位置検出センサー部31のセンサーは、光学センサー、磁気センサー等の変動する位置の検出が可能なものであれば何を用いても良い。
【0018】
接触子32の載置面61への押し付けは、一定の力であることが好ましい。たとえば、接触子32の自重によって載値面61へ接触子32を押し付けることができる。また、位置検出センサー31の内部に取り付けたバネ等による加重であっても良い。
【0019】
図1において、位置検出センサー31の内部に取り付けられたバネ34により加重を加えられる様子が図示されている。このバネ34は縮むバネを使用する。
【0020】
尚、測定箇所は、搬送されてくる帳票13の最初の端部70に接触子32が触れたときの検出手段30からの出力信号の変化をトリガーとして、帳票13の移動量に応じた時間を以って決めることができる。
【0021】
検出手段30は、載置面61の上方に、搬送されるカード付き帳票10のカードが通過する位置で固定され、且つ、コロ33の回転方向は搬送方向と同一方向になるように接触子32の先端に接続されている。これにより、搬送されるカード付き帳票10は、接触子32に引っかかることなく搬送される効果がある。
【0022】
従来のカード付き帳票10の厚み検査では、カード付き帳票10のカード11の最表面の位置データのみと、基準となる厚みとを比較し判定している。この場合の基準となる厚みは、カード11と糊12と帳票13のそれぞれの厚みの総和(d1+d2+d3)となるが、糊12の厚みd2が一定ではないことが多く、糊12の厚みd2の公差値を大きくとる必要がある。図4に示すように、帳票に薄いチラシを含むカード付き帳票20では、薄いチラシ14の厚みd4が、糊の厚みd2の公差値内に収まるため、薄いチラシ14が、入っていなくても、また、2枚入っていても、正常品と判断してしまうことがある。
【0023】
本発明の厚み検査装置100は、カード11と帳票13の厚みがそれぞれ検出することができるため、帳票に薄いチラシを含むカード付き帳票20においても、正常品であるか否かの判定を正確に行うことができる。
【0024】
(実施例1)
図2および3の示すように、厚み検査装置100において、下記構成のカード付き帳票10の厚み検査を行った結果、正常品の判定が得られた。

(1)カード
厚み 760μm
材質:PET(Polyethylene Terephthalate)あるいはPLA(polylactic acid)
(2)糊
厚み 150μm、公差 ±100μm
材質:天然ゴム
(3)帳票
厚み 120μm 材質:上質紙
【0025】
(実施例2)
図4および5の示すように、厚み検査装置100において、実施例1のカード付き帳票10に帳票に薄いチラシ21(厚み60μm、材質:上質紙)を1枚貼付した、薄いチラシを含むカード付き帳票20の厚み検査を行った結果、正常品の判定が得られた。
【0026】
(実施例3)
図示はないが、厚み検査装置100において、薄いチラシを2枚貼付した、異常品となるべく薄いチラシを含むカード付き帳票20を作成し厚み検査を行った結果、異常品の判定が得られた。
【0027】
(変形例)
以上、カード付き帳票を例に挙げて説明したが、カードの貼付されていない帳票においても同様に厚み検査を行うことができる。
【0028】
具体的には、コロ33が載置面61に接触したときの検出手段30からの相対位置データと、コロ33が帳票の最表面に接触したときの検出手段30からの相対位置データを検出し、厚み測定手段40によって、両者の差分から帳票の厚みを測定し、これと、予め定めておいた基準値となる帳票の厚みとを比較し、測定した帳票の厚みが基準値の範囲内であるかを判断する。
【符号の説明】
【0029】
10 カード付き帳票
11 カード
12 糊
13 帳票
20 帳票に薄いチラシを含むカード付き帳票
21 薄いチラシ
30 検出手段
31 位置検出センサー部
32 接触子
33 コロ
34 バネ
40 厚み測定手段
50 判定手段
60 搬送ベルト
61 載置面
100 厚み検出装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルト上に載置され搬送過程にある帳票の所定箇所の厚みを検査する厚み検査装置において、前記帳票の載置面または前記帳票の最表面と接触する接触子、ならびに前記接触子の相対位置を検出する位置検出センサー部とからなる一組の検出手段を前記搬送ベルト上方に設け、前記接触子が前記載置面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データと、前記接触子が前記帳票の最表面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データとの差分から前記帳票の厚みを測定する厚み測定手段と、該厚み測定手段によって測定された前記帳票の厚みと、予め定められた基準厚みとを比較し判定する判定手段とによって前記帳票の厚みを検査するようにしたことを特徴とする厚み検査装置。
【請求項2】
搬送ベルト上に載置され搬送過程にあるカード付き帳票の所定箇所の厚みを検査する厚み検査装置において、前記帳票は最表面にカードが貼付されたカード付き帳票であって、前記カード付き帳票のカードの貼られていない面、又は前記カード付き帳票のカード最表面と接する接触子、ならびに前記接触子の相対位置を検出する位置検出センサー部とからなる一組の検出手段を前記搬送ベルト上方に設け、前記接触子が前記カード付き帳票のカードの貼られていない面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データと、前記接触子が前記カード付き帳票のカード最表面に接触したときの前記検出手段からの相対位置データとの差分からカードの厚みを測定する厚み測定手段と、前記厚み測定手段によって測定されたカードの厚みと、予め定められた基準厚みとを比較し判定する判定手段とによって前記カードの厚みを検査するようにしたことを特徴とする厚み検査装置。
【請求項3】
前記接触子の先端にコロを設けたことを特徴とする請求項1または2何れか一項記載の厚み検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−132795(P2012−132795A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285433(P2010−285433)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】