説明

原料装入装置及び回転炉床炉

【課題】炉体に形成された原料装入口の隙間から炉内に空気が入り込むことを防止し、炉の加熱処理を安定して行うことのできる原料装入装置を提供する
【解決手段】工業炉に原料を装入する振動式の原料装入装置であって、炉体に形成されている原料装入口の上方に位置するように、前記原料装入装置の下面に凸状に形成された原料供給部と、前記原料装入口の輪郭に沿った形状の環状部材であって、その内周面が前記原料供給部の側面と隙間を介して対向するように配置されると共に、炉体表面に対して摺動自在に載置されるシール筒と、原料装入装置と炉体表面との隙間に、前記シール筒の外周を囲むように充填されたシール材と、前記充填されたシール材を外周方向から囲うように配置され、原料装入装置の下面から炉の上面まで架け渡された第1のカーテンと、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料装入装置及び回転炉床炉に関し、特に、炉内に原料を装入する原料装入装置のシール構造に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
工業炉の一つである回転炉床炉は、炉床を一方向に回転させながら原料を炉床上に供給し、原料を連続的に加熱処理する炉である。製鉄等の技術分野において、回転炉床炉は、鉄鉱石や製鉄廃棄物等を加熱還元して付加価値の高い還元鉄(DRI)を得るための還元炉として使用される。
【0003】
図1は、回転炉床炉の概略構造を示す斜視図である。回転炉床炉1は、図1に示すように、例えば平面形状が環状(ドーナツ状)に形成された炉床2を有し、図示しない駆動装置によって炉床2が水平面内の一方向に回転する。炉床2の上面側は、例えば断面形状が矩形のハウジング3によって囲われており、このハウジング3によって囲われた空間(炉内空間)31が原料を加熱する処理空間となる。そのため、ハウジング3の側面には炉内空間31内を加熱するための加熱装置32が複数配置されている。加熱装置32は、例えばバーナーであり、還元炉として使用する場合は、炉内空間31に還元燃焼領域が形成されるように燃焼条件や炉内に吹き込む空気量などが調節される。炉内に吹き込んだ空気等は、ハウジング3の上面に連結された排気ダクト33を介して炉外に排出される。
【0004】
ハウジング3の上面には、原料を炉床上に落下供給する原料装入装置4が配置されている。原料は、例えば鉄鉱石や製鉄廃棄物等に炭材を混ぜてペレット状又はブリケット状などにしたものである。原料装入装置4としては、例えば振動式の装入装置が用いられる(例えば、特許文献1,2参照)。また、ハウジング3内における炉床2の幅方向に沿って、加熱処理された原料を排出するためのスクリューコンベア5が配置されている。スクリューコンベア5は、回転するスクリュー羽根によって、炉床上の原料を炉の外周側に搬送して排出口6を通じて回収装置61に供給する。
【0005】
原料装入装置4は、ハウジングの上面に形成された開口部(原料装入口)の上方に配置されており、この原料装入口を通じて炉内に原料を装入する。しかしながら、原料装入装置4が振動式である場合、原料装入装置4の振れ幅を考慮し、原料装入装置4を原料装入口から離間配置して振動が炉に干渉するのを抑えている。離間距離はできる限り小さく設定されるが、振動式の場合、通常時に比べて起動・定時時の共振による揺れが大きいため、50〜100mm程度離す必要がある。さらに炉内圧力は0〜−10Paの負圧側に制御されるので、原料装入口の隙間から空気が炉内に入り込んで、炉内の還元雰囲気に影響を及ぼし、原料の還元が充分でなくなる場合がある。さらに、還元性を維持するために燃料の消費が増加するという問題もある。
【0006】
また、還元鉄(DRI)を得るための回転炉床炉1の場合、排ガス中に粉塵が含まれるため、排ガスの処理系統内に集塵機を設置するのが一般的である。集塵機は、パルス的に噴射される空気を集塵フィルターに吹き付け、集塵フィルターから粉塵を払い落す洗浄(いわゆる逆洗)が周期的に行われる。この場合、パルス圧力の作用で瞬間的に炉内圧力が上昇し、原料装入口34の隙間から僅かな量ではあるが粉塵と炉内ガスが噴き出して周囲を汚染することがある。
【0007】
特許文献3には、2枚の板でV字型可動扉を形成し、V字の谷間に原料が落ちた重さで扉が開いて原料を炉に装入する原料装入装置が開示されている。しかしながら、原料の連続投入中は可動扉が開いた状態であり、炉内と外気が通じて炉内への侵入空気、或いは炉内ガスの噴出しを防止することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−106775号公報
【特許文献2】特願2000−351343号公報
【特許文献3】特開2004−503737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
すなわち、本発明は、一例として挙げた上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、炉体に形成された原料装入口の隙間から炉内に空気が入り込むことを防止し、炉の加熱処理を安定して行うことのできる原料装入装置及び回転炉床炉を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、炉体に形成された原料装入口の隙間から粉塵や炉内ガスが噴き出すのを抑えることのできる原料装入装置及び回転炉床炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の原料装入装置は、工業炉に原料を装入する振動式の原料装入装置であって、炉体に形成されている原料装入口の上方に位置するように、前記原料装入装置の下面に凸状に形成された原料供給部と、前記原料装入口の輪郭に沿った形状の環状部材であって、その内周面が前記原料供給部の側面と隙間を介して対向するように配置されると共に、炉体表面に対して摺動自在に載置されるシール筒と、原料装入装置と炉体表面との隙間に、前記シール筒の外周を囲むように充填されたシール材と、前記充填されたシール材を外周方向から囲うように配置され、原料装入装置の下面から炉の上面まで架け渡された第1のカーテンと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記原料装入装置は、原料装入装置の上面側に形成された開口部と、この開口部の上方に配置される吸引フードと、この吸引フードの下面側開口端から前記原料装入装置の開口部まで架け渡されると共に、前記開口端及び開口部の全周を囲う第2のカーテンと、をさらに備えることができる。この場合、例えば吸引フードで捕集した原料をリサイクル可能にするために、吸引フードを集塵機に接続し、さらに集塵機を原料の成形機の上流側にある原料の混練機と接続することが好ましい。
【0013】
前記第2のカーテンの下端は、例えば、前記原料装入装置の上面側開口部の輪郭に沿った形状の枠部材が連結されており、この枠部材と前記原料装入装置の上面側開口部の隙間にシール部材が配置され、さらに枠部材と原料装入装置が脱着可能な固定手段によって接続することができる。さらに、前記第2のカーテンは、周方向の全周に渡って形成されたファスナーをその上部側及び下部側に有し、この上下のファスナー間の部分が交換自在であることが好ましい。原料装入装置に原料を投入するための開口部からの空気の侵入および粉塵の飛散をも防止するために、前記吸引フードは、第2のカーテンで囲まれる空間内が炉内及び原料装入装置の内圧よりも負圧になるように吸引する吸引装置に接続される構成とすることができる。
【0014】
また、本発明の回転炉床炉は、回転する炉床と、炉床の上面側に炉内空間を形成するハウジングと、ハウジングの上方に配置される前記原料装入装置と、前記炉内空間を加熱する加熱装置と、炉床の上面に配置される排出装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の原料装入装置は、炉体に形成されている原料装入口の輪郭に沿った形状の環状部材であって、その内周面が前記原料供給部の側面と隙間を介して対向するように配置されると共に、炉体表面に対して摺動自在なシール筒を有し、このシール筒の外周を囲むように耐熱綿又は耐熱毛布を含むシール材を充填し、さらにシール材を外周方向から覆うように第1のカーテンを配置した構成である。このような構成を採用したことにより、振動式の原料装入装置を用いても、原料装入口のシール性を高めることができるので、炉の加熱処理を安定して行うことが可能となり、粉塵や炉内ガスの噴き出しを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】回転炉床炉の構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に従う原料装入装置を含む原料供給系統を示す図である。
【図3】上記原料装入装置の原料供給部とシール筒を示す図である。
【図4】上記原料装入装置の原料供給部とシール筒を示す図である。
【図5】上記原料装入装置の吸引手段を示す図である。
【図6】上記原料装入装置の吸引手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態による回転炉床炉について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
【0018】
本実施形態の回転炉床炉1は、図1に一例を示した従来の回転炉床炉1と同様に、平面形状が環状(例えば、リング状やドーナツ状など)に形成されている炉床2、炉床2の上面側を囲って炉内空間31を形成するハウジング3,例えばバーナーなどの加熱装置32、原料を炉床上に装入する振動式の原料装入装置4,加熱処理された原料を搬送するスクリューコンベア5,加熱処理された原料を排出する排出口6,及び排気ダクト33を備えている。
【0019】
炉に原料を供給する原料供給系統は、図2に示すように、例えば鉄鉱石や製鉄廃棄物が貯留される原料タンク7と、コークスなどの炭材が貯留される原料タンク71を備えている。原料タンク7,71から取り出された鉄鉱石と炭材は、混練機72によって混練され、成形機73によってペレット状又はブリケット状などに成形される。混練機72及び成形機73は、公知のものを使用することができる。成形された原料は、例えばベルト式のコンベア74によって搬送され、原料装入装置4によって炉内に装入される。
【0020】
原料装入装置4は、ハウジング3の上面に形成されている原料装入口34の上方に位置するように配置されている。原料装入口34は、例えば炉の半径方向に沿って長方形状に形成されている。原料装入装置4は、例えば炉の半径方向に沿って配置される概ね矩形状の外装体41を備え(図1参照)、その長さ方向の一端側上面に開口部(原料投入口)42が形成され、他端側下面に凸状の原料供給部43が形成されている。
【0021】
原料供給部43は、例えば外装体41の底面の一部が下方側に隆起した長方形状の凸部であり、凸部の底面に原料を落下させる開口部(原料供給口)44が形成されている(図3参照)。凸部とされる部分(43)は、その底面が原料装入口34に対応する形状となっている。原料装入口34に対応する形状とは、好ましくは原料装入口34と同じ形状又は相似形状である。但し、原料供給部43は、外装体41の底面の一部が隆起した構造に限定されることはなく、例えば外装体41の底面に開口部(原料供給口)44を形成し、この開口部44の輪郭に沿って起立壁を設けることによって凸状としてもよい。
【0022】
原料装入装置4の外装体41の底面は、原料の搬送面を形成している。従って、原料投入口から原料を投入すると共に、振動装置(不図示)によって外装体を振動させることによって、原料が搬送面を移動し、原料供給部43から原料が落下して炉内に装入される。
【0023】
本実施形態の原料装入装置4は、原料装入口34の輪郭に沿った形状をなすシール筒45をさらに備えている。原料装入口34の輪郭に対応する形状とは、好ましくは原料装入口34と同じ形状又は相似形状である。シール筒45は、例えば鋼材などの耐火性を有する材料によって形成される。
【0024】
シール筒45は、図3に示すように、原料装入口34の輪郭に沿って長方形状に形成された環状部材であり、原料装入口34の外周を囲むようにしてハウジング3の上面に配置されている。より詳しくは、シール筒45は、中段で一旦内側に折れ曲がり、さらに上方に起立する2段構造45(45a,45b)になっている。そして、上段部分45aの内周面が、図4に示すように、原料供給部43の側面と隙間を介して対向するように配置されている。すなわち、原料供給部43とシール筒45を印籠状に組み合わせている。対向する側面同士の隙間は、原料を供給するときに振動する原料装入装置4が、シール筒45に衝突しないようにするために設けられる。還元鉄の原料供給に用いられる振動式供給装置4の場合、通常運転時の振動幅が約3〜5mmであるため、横方向の隙間L1を10mmに設定することが好ましい。
【0025】
さらに、原料装入装置4が起動・停止するときに縦方向に大きく揺れたときの衝突をも防止するために、シール筒45の上端と原料装入装置4の下面との隙間L2を50〜100mmに設定し、凸状に形成された原料供給部43の下端とハウジング3の上面との隙間L3を50〜100mmに設定するのが好ましい。すなわち、前述の横方向及び縦方向の隙間L1〜L3の設定値は、原料装入装置4とシール筒45又は原料装入装置4とハウジング3が衝突するのを防止しつつ、その隙間の大きさを最小限に止めている。
【0026】
シール筒45は、ハウジング3の上面に摺動自在に配置されている。ハウジング3の上面に摺動自在に配置する方法としては、例えばシール筒45を単にハウジング3の上面に載置することが一例として挙げられる。従って、シール筒45は、例えば原料装入装置4が起動・停止時に大きな横揺れを起こして衝突したとしても、ハウジング3の上面に沿って摺動(すなわち、横移動)するだけであり、原料装入装置4の動きを拘束はしない。さらに、衝突によってシール筒45自身が破損等することが抑えられる。
【0027】
例えばバネによって支持された原料装入装置4の場合、起動・停止時にバネが共振して横方向に50〜100mmの揺れを起こす場合がある。しかし、通常時の振動幅が3〜5mm程度であるにも関わらず、起動・停止時の横揺れ幅に合わせて隙間L1を設定すると、シール筒45と原料供給部43との間に広い空間ができてしまい、その空間内のいわゆるデッドスペースに粉塵が堆積してしまう場合がある。そのため、本実施形態では、シール筒45を摺動自在な構造とすることによって、シール筒45と原料供給部43の隙間L1を最小限にすることを可能にしている。原料装入装置4の起動・停止時にシール筒45の位置がズレたとしても、ズレ量は隙間L1の範囲内であり、シール筒45は原料供給部43との印籠状の取合によって、大きなズレが抑制される為、原料装入装置4の起動・停止のたびにシール筒45を元の位置に合わせなおすことは必要としない。
【0028】
さらに、原料装入装置4の下面とハウジング3の上面との隙間には、シール筒45の外周を囲むようにして耐熱性のシール材46が敷き詰められている。耐熱性のシール材46としては、例えば耐熱綿又は耐熱毛布を用いることができる。より具体的には、セラミックファイバー綿又はセラミックファイバーブランケットを用いることができる。さらに、シール材46を外周側から覆うようにカーテン(第1のカーテン)47が設けられている。このカーテン47は、少なくとも原料装入装置4の下面からハウジング3の上面に跨る長さであり、上端側が原料装入装置4の下面に固定支持され、下端側は自由端となっている。下端側も固定するようにしてもよい。カーテン47には、例えば耐熱布又は耐熱ゴムなどの可撓性及び伸縮性を有する素材が用いられる。
【0029】
上記のように、シール筒45の外周を囲むようにして充填されるシール材46は、カーテン47によって外周から囲われており、原料装入装置4の振動によって崩れ落ちるのが防止されている。また、シール筒45は、原料装入装置4の振動によってシール材46が原料装入口34側に崩れ落ちるのを防止している。
【0030】
続いて、説明を図2及び図5に移し、原料のリサイクル系統について説明する。本実施形態の原料装入装置4は、長方形状の開口部(吸引口)48が外装体41の上面側に形成されている。この吸引口48は、粉塵を吸引することのできるオープン構造であればよく、形状及び大きさは特に限定されないが、炉内の粉塵も吸引可能にするために原料供給部43の上方位置に形成することが好ましい。
【0031】
そして、吸引口48の上方には、吸引フード8が配置されており、吸引フード8の下面側の開口端から原料装入装置4の上面までカーテン81(第2のカーテン)が架け渡されている。カーテン81は、図5に示すように、吸引フード8の下面側の開口部の全周に渡って設けられており、従って吸引口48も全周に渡ってカーテン81で囲われている。カーテン81には、例えば耐熱布又は耐熱ゴムなどの可撓性及び伸縮性を有する素材が用いられる。
【0032】
カーテン81の下端は、吸引口48の輪郭に対応する形状の枠部材82が接続されている。吸引口48の輪郭に対応する形状とは、好ましくは吸引口48と同じ形状又は相似形状である。枠部材82は、例えば鋼材などの耐火性を有する材料で形成されている。
【0033】
枠部材82は、例えば図6に示すように、原料装入装置4の外装体41の上面に対して数mmから数cm程度の僅かな隙間を介するように配置され、ゴム製のシール材83によって隙間をシールしている。さらに枠部材82は、位置ズレを防止するために位置決めピン84と固定手段85を用いて、原料装入装置4の上面に脱着自在に固定されている。固定手段85には、例えば工具を用いないで脱着可能なスプリングパチン錠(タキゲン株式会社C-1150相当)を用いることができる。このように枠部材82を脱着自在にすれば、カーテン82を昇降可能な巻き上げ式にすることができる。従って、吸引口48を利用して原料装入装置4の内部点検と清掃を容易に行うことが可能となる。外装体41の原料搬送面に原料の粉が付着して堆積すると、原料が炉内へ均一に装入されなくなることがある。しかし、本実施形態の原料装入装置4は、カーテン81を巻き上げれば吸引口48を利用して上部側がら搬送面の点検と清掃が行えるので、その作業を容易に行うことが可能である。
【0034】
さらにカーテン81は、図5に示すように、その上部側及び下部側に、周方向の全周に渡ってファスナー86が形成されている。従って、カーテン81は、上下のファスナー86間の部分が交換可能であり、例えば長期に亘って使用することでカーテン81に穴が開いた場合には、上下のファスナー86間の部分を新しいものに交換することができる。
【0035】
また、吸引フード8の上部側に形成されている吸引口は、図2に示すように、配管などの流路87を介して集塵機88が接続され、さらに配管などの流路87を介して吸引ファンなどの吸引装置89が接続されている。炉の運転時には、吸引装置89を稼働させてカーテン81で囲まれる空間内を負圧にする。このとき、カーテン81で囲まれる空間内の圧力が、炉内圧力よりも0〜50Paの範囲で低くなるように吸引量を調節するのが好ましい。通常、炉内の圧力は、0〜−10Paの負圧に制御されている。
【0036】
さらに集塵機88は、配管などの流路87を介して混練機72とも接続されており、集塵フィルターに空気をパルス的に吹き付けることで払い落した集塵を混練機72に供給可能にしている。すなわち、吸引フード8から吸引した粉塵を混練機72に供給するように構成されている。粉塵は炉内で粉化した原料が主成分であるため、吸引フード8で吸引した粉塵を混練機72に戻すことによって原料をリサイクルし、原料の節約をすることが可能となっている。
【0037】
以上のように、本実施形態の原料装入装置4によれば、炉体に形成されている原料装入口34の輪郭に沿った形状のシール筒45を、原料供給部43と印籠状に組み合わせ、このシール筒45の外周を囲むように例えば耐熱綿又は耐熱毛布を含むシール材46を充填し、さらにシール材46を外周方向から囲うようにカーテン47を配置したことにより、振動式の原料装入装置4を用いても、原料装入口34のシール性を高めることができるので、炉の加熱処理を安定して行うことが可能となり、粉塵や炉内ガスの噴き出しを防止することが可能となる。
【0038】
さらに、本実施形態の原料装入装置4によれば、シール筒45をハウジング3の上面に摺動自在な構成としたことにより、原料装入装置4が振動式である場合であっても、隙間を最小限に設定することができ、原料装入口34のシール性を高めることができる。
【0039】
上記のように、本実施形態の原料装入装置4は、原料装入口34のシール特性を高めた構造であるが、原料投入口42と原料装入口34とは連通した状態のままであり、原料投入口42からの空気の侵入、或いは炉内ガス・粉塵の噴き出しを完全に防止することはできない。そのため、本実施形態の原料装入装置4は、第2のカーテン81で囲まれる空間内を炉内よりも負圧に設定しており、これにより原料投入口42からも炉内に空気が侵入すること、反対に原料投入口42から炉内ガスや粉塵が外部に飛散することを防止しているのである。
【0040】
なお、上述の実施形態では、回転炉床炉に適用される原料装入装置を好ましい一例として説明したが、回転炉床炉以外の工業炉にも適用可能である。
【0041】
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。従って、本発明の範囲は、前述の実施形態及び添付図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0042】
1 回転炉床炉
2 炉床
3 ハウジング
34 原料装入口
4 原料装入装置
41 外装体
42 原料投入口
43 原料供給部
45 シール筒
46 シール材
47 第1のカーテン
8 吸引フード
81 第2のカーテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業炉に原料を装入する振動式の原料装入装置であって、
炉体に形成されている原料装入口の上方に位置するように、前記原料装入装置の下面に凸状に形成された原料供給部と、
前記原料装入口の輪郭に沿った形状の環状部材であって、その内周面が前記原料供給部の側面と隙間を介して対向するように配置されると共に、炉体表面に対して摺動自在に載置されるシール筒と、
原料装入装置と炉体表面との隙間に、前記シール筒の外周を囲むように充填されたシール材と、
前記充填されたシール材を外周方向から囲うように配置され、原料装入装置の下面から炉の上面まで架け渡された第1のカーテンと、を備えたことを特徴とする原料装入装置。
【請求項2】
原料装入装置の上面側に形成された開口部と、
この開口部の上方に配置される吸引フードと、
この吸引フードの下面側開口端から前記原料装入装置の上面側開口部まで架け渡されると共に、前記開口端及び開口部の全周を囲う第2のカーテンと、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の原料装入装置。
【請求項3】
前記吸引フードが集塵機に接続されており、さらに集塵機が原料の成形機の上流側にある原料の混練機と接続されていることを特徴とする請求項2に記載の原料装入装置。
【請求項4】
前記第2のカーテンの下端は、前記原料装入装置の上面側開口部の輪郭に沿った形状の枠部材が連結されており、この枠部材と前記原料装入装置の上面側開口部の隙間にシール部材が配置され、さらに枠部材と原料装入装置が脱着可能な固定手段によって接続されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の原料装入装置。
【請求項5】
前記第2のカーテンは、周方向の全周に渡って形成されたファスナーをその上部側及び下部側に有し、この上下のファスナー間の部分が交換自在であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の原料装入装置。
【請求項6】
前記吸引フードは、第2のカーテンで囲まれる空間内が炉内及び原料装入装置の内圧よりも負圧になるように吸引する吸引装置に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の原料装入装置。
【請求項7】
回転する炉床と、炉床の上面側に炉内空間を形成するハウジングと、ハウジングの上方に配置される前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の原料装入装置と、前記炉内空間を加熱する加熱装置と、炉床の上面に配置される排出装置と、を備えたことを特徴とする回転炉床炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−208815(P2011−208815A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73951(P2010−73951)
【出願日】平成22年3月28日(2010.3.28)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】