説明

原点検出装置

【課題】 特に、固定磁性層及びフリー磁性層を有する磁気抵抗効果素子を用いて、従来に比べて高精度に原点検出を行えるようにした原点検出装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 磁石1の中心1cが原点検出範囲にあるとき、各磁気抵抗効果素子のフリー磁性層には水平磁場成分H1が作用するためフリー磁性層をその水平磁場方向に向かせることができ、磁化を安定化でき、ヒステリシスを十分に小さくでき、高精度な原点検出を行うことができる。そして前記磁石1の中心1cが、原点検出範囲にあるとき、差動出力が生じ、前記原点検出範囲から離れると、差動出力がゼロになるため、差動出力の有無の判断により、原点検出を行うことができ、基準電圧設定回路が必要でない等、簡単な回路構成で、高精度な原点検出を行うことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗効果素子と磁石とを用いた原点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、磁石の相対移動に対する原点検出用の「磁気センサ素子」に関する発明が開示されている。
【0003】
しかしながら特許文献1では、具体的な素子構成が明確でなく、実際どのような磁気素子を用いればよいのか定かでない。また各磁気素子と磁石との位置関係も明確ではない。
【0004】
下記特許文献2には、固定磁性層(ピンド層)の磁化方向が異なる磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層に対する固定磁化方法が例えば特許文献2の図13、図14等に開示されているが、原点検出に関する記載はない。
【0005】
下記特許文献3には、原点検出用の「位置センサー」が開示されており、被検出磁石の磁界を打ち消すためのバイアス磁石を磁気センサに備えるものである。しかし特許文献3の方法では、被検出磁石の磁界を打ち消すために磁界強度が強いバイアス磁石が必要になると考えられるし、また被検出磁石の磁界強度と、バイアス磁石の磁界強度とのバランスの調整が非常に難しいと考えられる。また、特許文献3の方法では、原点検出となる出力がゼロとなる磁気センサと被検出磁石と相対距離範囲は長いか、あるいは、出力がゼロとなる箇所が複数箇所に存在するものと考えられ、大まかな原点検出しかできない。特許文献4、5には磁界センサとして、磁気抵抗効果素子をブリッジ回路で接続したものである。これらには原点検知のための具体的な磁石の配置および磁気抵抗効果素子の配置については触れられていない。
【特許文献1】特開2003−130933号公報
【特許文献2】特開2007−64692号公報
【特許文献3】特開平5−175483号公報
【特許文献4】特開2000−35470号公報
【特許文献5】特開2005−69744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高精度な原点検出を行うには、磁石から発生する外部磁界を捉える磁気検出素子の電気特性にヒステリシスがない(あるいはヒステリシスが十分に小さい)ことが重要である。
【0007】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、固定磁性層及びフリー磁性層を有する磁気抵抗効果素子を用いて、従来に比べて高精度に原点検出を行えるようにした原点検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における原点検出装置は、基板上に設けられた外部磁界に対して電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子と間隔を空けて対向する磁石とを備え、前記磁石はその中心が前記基板に対する相対基準位置(原点)から相対移動可能に支持されており、
前記磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定された固定磁性層と、前記固定磁性層と非磁性層を介して形成され外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層とを有しており、前記磁石の中心が原点検出範囲にあるとき、前記フリー磁性層に前記磁石から前記フリー磁性層と非磁性層間の界面と平行な面内の水平磁場成分が作用する位置にてブリッジ接続されており、
前記磁石の中心が原点検出範囲にあるとき、前記磁気抵抗効果素子の電気抵抗値に基づいて差動出力が生じ、前記磁石の中心が前記原点検出範囲から離れると、前記磁気抵抗効果素子の電気抵抗値に基づいて差動出力がゼロになることを特徴とするものである。
【0009】
上記のように磁石の中心が原点検出範囲にあるときには、前記フリー磁性層には水平磁場成分が作用するためフリー磁性層をその水平磁場方向に向かせることができ、磁化を安定化でき、飽和磁化状態あるいはそれに近い状態にできるため、ヒステリシスを十分に小さくでき、高精度な原点検出を行うことができる。また、前記磁石の中心が、原点検出範囲に位置したとき、差動出力が生じ、前記磁石の中心が前記原点検出範囲から離れると差動出力がゼロになるため、差動出力の有無の判断により、原点検出を行うことができ、基準電圧設定回路が必要でない等、簡単な回路構成で、高精度な原点検出を行うことが可能である。
【0010】
また本発明では、前記磁気抵抗効果素子は、第1の磁気抵抗効果素子と、第2の磁気抵抗効果素子と、第3の磁気抵抗効果素子と、第4の磁気抵抗効果素子とを備え、
前記第1の磁気抵抗効果素子及び第2の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は同一であり、前記第3の磁気抵抗効果素子及び第4の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は、前記第1の磁気抵抗効果素子及び第2の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向と反平行であることが好ましい。
【0011】
このとき、前記第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、第1の出力取出し部を介して直列接続され、
前記第3の磁気抵抗効果素子と第4の磁気抵抗効果素子は、第2の出力取出し部を介して直列接続され、
前記第1の磁気抵抗効果素子と第3の磁気抵抗効果素子とが入力端子を介して接続されるとともに、第2の磁気抵抗効果素子と第4の磁気抵抗効果素子とがグランド端子を介して接続され、
前記第1の出力取出し部と第2の出力取出し部とが差動増幅器を介して外部出力端子に接続されていることが好ましい。上記により簡単な回路構成で、差動出力を大きくでき高精度な原点検出を行うことが可能である。また、ブリッジ回路を構成する抵抗素子が全て同じ膜構成の磁気抵抗効果素子で形成できるので、温度特性のばらつき、すなわち抵抗温度係数(TCR)のばらつきによる影響を小さくできる。
【0012】
また、上記において、前記基板の表面に、前記磁石の相対移動方向、あるいは前記磁石が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向に第1の仮想線、及び、前記第1の仮想線と直交する方向に第2の仮想線を引き、前記原点が、前記第1の仮想線と第2の仮想線との交点の高さ方向に、あるいは平面視にて前記第2の仮想線の延長線上に位置するとき、
各磁気抵抗効果素子は、夫々、前記第1の仮想線、及び第2の仮想線で区切られた各象限内のいずれかに配置されていることが好ましい。
【0013】
上記により差動出力を大きくでき、また各磁気抵抗効果素子に対して適切に、水平磁場成分を作用させることができ、高精度に原点検出を行うことができる。
【0014】
また本発明では、前記磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は、前記磁石の相対移動方向、あるいは前記磁石が相対回転移動するときには前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向を向いていることが好ましい。あるいは、前記磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は、前記磁石の相対移動方向と直交する方向、あるいは前記磁石が相対回転移動するときには前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向と直交する方向を向いていてもよい。
【0015】
また少なくとも前記磁石の中心が原点にあるとき、前記磁気抵抗効果素子のフリー磁性層と非磁性層間の界面と平行な面は、前記磁石の着磁面である前記磁気抵抗効果素子との対向面と平行関係にあることが好ましい。
【0016】
また上記において、前記磁石の中心が前記原点に位置したとき、前記磁石の前記対向面は、前記第2の仮想線を挟んで対向する各磁気抵抗効果素子の間に位置するように、第2の仮想線方向に向けた細長形状で形成されていることが好ましい。これにより前記磁石の中心が原点に位置したときに、前記磁気抵抗効果素子に対して適切に水平磁場成分を作用させることができ、ヒステリシスが小さく高精度な原点検出を行うことができる。さらに、前記原点検出範囲を小さくでき、より高精度に原点検出を行うことが可能である。
【0017】
また本発明では、前記磁石の対向面の全面及びその反対面の全面は夫々、N極あるいはS極に着磁されていることが好ましい。
【0018】
さらに本発明では、少なくとも前記磁石の中心が原点にあるとき、前記磁気抵抗効果素子のフリー磁性層と非磁性層間の界面と平行な面は、前記磁石の着磁面である前記磁気抵抗効果素子との対向面と直交関係にあってもよい。このとき、前記磁石の対向面の相対移動方向における半分がN極に、残り半分がS極に着磁されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では磁気抵抗効果素子のヒステリシスを小さくでき、簡単な回路構成で、高精度に磁石の前記基板に対する相対基準位置(原点)を検出することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の第1実施の形態の原点検出装置の斜視図、図2は、磁石中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図3は、原点検出装置を構成する磁気センサの回路構成図、図4は図2の状態から磁石が図示左方向(X(−)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図5は図2の状態から磁石が図示右方向(X(+)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図6は、図1及び図2とは異なる形状の磁石中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図7は本実施形態における磁気抵抗効果素子を膜厚方向から切断した断面図、図8は、横軸をX方向への磁石の原点からの直線移動距離、縦軸を差動出力(センサ出力)としたグラフ、である。
【0021】
図1に示すように原点検出装置4は、磁石1と、前記磁石1と高さ方向(図示Z方向)にて間隔を空けて対向する位置に設けられた磁気センサ3とを有して構成される。前記磁気センサ3は基板2の表面2aに設置されている。
【0022】
図1に示すように前記磁石1の前記磁気センサ3と対向する対向面1aは全面がN極に着磁されており、前記対向面1aとの反対面1bは全面がS極に着磁されている。
【0023】
例えば図1に示す原点検出装置4は前記磁気センサ3及び基板2が固定側であり、前記磁石1が可動側である。図1では、前記磁石1の中心1cは、前記基板2に対して基準位置(以下、原点Pという)にある。ここで「磁石1の中心1c」とは前記磁石1の膜厚中心で切断した切断面(図示X−Y平面)の幅方向(図示X方向)及び長さ方向(図示Y方向)の中心を意味するものとする。また、原点Pは、後述する磁気センサ3の差動出力がゼロになるポイントであり、例えば、この第1実施形態では、前記磁石1の中心1cが、前記基板2の表面2aの中心O1と高さ方向(図示Z方向)に位置したとき、前記磁石1の中心1cを原点Pとする。なお原点Pの位置は、後述する磁気センサ3内に配置されている磁気抵抗効果素子の位置の変更等にて変更できる。
【0024】
そして前記磁石1は、その中心1cが、原点Pから図示X方向に直線移動可能に支持されている。
【0025】
前記磁気センサ3の内部には、図2に示すように4個の巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)が設けられている。
【0026】
前記巨大磁気抵抗効果素子は、図7に示すように基台10上に下から反強磁性層11、固定磁性層12、非磁性層13、フリー磁性層14及び保護層15の順に積層されている。固定磁性層12は第1固定磁性層12aと第2固定磁性層12cが非磁性中間層12bを介して積層された積層フェリ構造を有している。反強磁性層11はその結晶配向性を向上させるため、下地層11aの上に積層されている。
【0027】
前記反強磁性層11は例えばIrMnで形成され、、下地層11aはシード層として機能するNiFeCrで形成され、前記第1固定磁性層12aおよび第2固定磁性層12cはCoFeで非磁性中間層12bはRuで形成され、前記非磁性層13はCuで形成され、前記フリー磁性層14はCoFeとNiFeの積層で形成され、前記保護層15はTaで形成される。前記巨大磁気抵抗効果素子の層構成は、上記以外の構成であってもよいが、固定磁性層12、非磁性層13及びフリー磁性層14を必須層としている。この場合固定磁性層12は積層フェリ構造でなくてもよい。また前記非磁性層13がAl等の絶縁材料で形成されるとき、前記磁気抵抗効果素子はトンネル型磁気抵抗効果素子(TMR素子)として構成される。磁気抵抗効果素子がTMR素子の場合は、電流を積層膜に対して垂直方向に流すように電極を形成する必要があるが、磁気抵抗効果素子としては巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)と基本的に同じである。
【0028】
前記反強磁性層11と前記第1固定磁性層12aとの間には磁場中熱処理により交換結合磁界が生じており、非磁性中間層12bを介した層間の交換バイアス磁界により前記第2固定磁性層12cの磁化方向m12は所定方向に固定されている。この実施形態では、前記固定磁性層12の磁化方向m12は図示X(+)方向に固定されている。一方、フリー磁性層14の磁化方向m14は固定されておらず外部磁界Hによって磁化変動可能となっている。図7では前記磁化方向m14が図示X(+)方向を向いているが、前記外部磁界Hが図示X(+)方向に生じているためである。そして前記フリー磁性層14の磁化方向m14が外部磁界Hに対して磁化変動することで、前記固定磁性層12の磁化方向m12との関係で電気抵抗値が変動する。
【0029】
図2に示すように磁気抵抗効果素子は、第1の磁気抵抗効果素子17、第2の磁気抵抗効果素子18、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20により構成される。各磁気抵抗効果素子17,18,19,20は全て図7に示す層構成の巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)で構成されている。また図2では、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20が矩形状に図示されているが、実際には例えばミアンダ形状で形成されるほうが望ましい。
【0030】
以下では、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のR−H曲線はすべて同じであるとして説明する。すなわち固定磁性層とフリー磁性層との磁化関係が同じであれば抵抗値は同じである。
【0031】
図7に示すように、この第1実施形態では、前記フリー磁性層14と非磁性層13との界面と平行な面(図示X−Y面)は、図1に示す磁石1の対向面1aと平行な関係にある。
【0032】
図2に示すように前記第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18は共通の基台21上に形成され、前記第1の磁気抵抗効果素子17を構成する固定磁性層12の磁化方向B(図7では符号m12と付したが、ここでは他の磁気抵抗効果素子の磁化方向と区別するために表記を変更した。以下同じである)と前記第2の磁気抵抗効果素子18を構成する固定磁性層12の磁化方向Cは共に図示X(+)方向に固定されている。固定磁性層12の磁化方向は第2固定磁性層12cの磁化方向m12に代表される。
【0033】
一方、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20は、前記第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18と別の基板22上に共に設置され、前記第3の磁気抵抗効果素子19を構成する固定磁性層12の磁化方向Dと前記第4の磁気抵抗効果素子20を構成する固定磁性層12の磁化方向Eは共に図示X(−)方向に固定されている。すなわち第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18の固定磁性層12の磁化方向B,Cと、前記第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20の固定磁性層12の磁化方向D,Eとは反平行の関係となっている。
【0034】
第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18を設置した基台21と第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20を設置した基台22を別々としたが、これは、各基台21,22上に設置される磁気抵抗効果素子の固定磁性層12の磁化方向が互いに異なっており同じ磁場中熱処理を行えないためである。よって別々の工程にて、第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18と、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20は形成されることになる。
【0035】
また図2に示すように、基板2の中心O1から前記磁石1の直線移動方向である図示X方向に引いた第1の仮想線と、図示X−Y面内にて前記第1の仮想線に直交する方向に引いた第2の仮想線を前記基板2の表面2aに引いたとき、前記第1の磁気抵抗効果素子17,第2の磁気抵抗効果素子18,第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20は夫々、前記第1の仮想線と第2の仮想線とで仕切られた4つの象限内のいずれかに配置されている。
【0036】
図2に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子17は、左上象限25内に位置し、第2の磁気抵抗効果素子18は右上象限26内に位置し、第3の磁気抵抗効果素子19は左下象限27内に位置し、第4の磁気抵抗効果素子20は右下象限28内に位置する。
【0037】
各磁気抵抗効果素子17,18,19,20は、前記基板2の中心O1上、第1の仮想線上及び第2の仮想線上を跨ぐことなく、前記中心O1から等間隔で離れた位置に配置される。
【0038】
図3に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子17と第2の磁気抵抗効果素子18は、第1の出力取出し部36を介して直列接続されている。また、前記第3の磁気抵抗効果素子19と第4の磁気抵抗効果素子20は、第2の出力取出し部31を介して直列接続されている。
【0039】
また、前記第1の磁気抵抗効果素子17と第3の磁気抵抗効果素子19とが入力端子32を介して接続されるとともに、第2の磁気抵抗効果素子18と第4の磁気抵抗効果素子20とがグランド端子33を介して接続されている。
【0040】
さらに前記第1の出力取出し部36と第2の出力取出し部31とが差動増幅器34を介して外部出力端子35に接続されている。
【0041】
図2に示す形態では、固定磁性層12の磁化方向B,Cが同一である前記第1の磁気抵抗効果素子17と第2の磁気抵抗効果素子18は、前記第2の仮想線を挟んだ両側のいずれかの象限内(図2では、左上象限25と右上象限26)に配置されるとともに、固定磁性層12の磁化方向D,Eが同一である前記第3の磁気抵抗効果素子19と第4の磁気抵抗効果素子20も、前記第2の仮想線を挟んだ両側の残りの象限内(図2では、左下象限27と右下象限27)に配置されている。
【0042】
図1に示す磁石1は、その中心1cが原点Pにあるとき、図2に示すように、前記磁石1の前記対向面1aは、前記第2の仮想線を挟んで対向する各磁気抵抗効果素子の間に位置するように、第2の仮想線方向(図示Y方向)に向けた細長形状で形成されていることが好適である。なおこのとき、前記磁石1の側縁部31d,1dが多少、前記磁気抵抗効果素子17,18,19,20上に重なっていても良い。例えば図1に示す前記磁石1の幅寸法w1は0.5〜2mm程度である。また前記磁石1の長さ寸法l1は2〜10mm程度である。また前記磁石1の厚さ寸法t1は1〜5mm程度である。また、図1に示す前記磁気センサ3の幅寸法w2は1〜5mm程度である。また前記磁気センサ3の長さ寸法l2は1〜5mm程度である。また前記磁気センサ3の厚さ寸法t2は1〜2mm程度である。また図2に示す各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の間隔t3は、0.01〜1mm程度である。
【0043】
図2に示すように、前記磁石1の中心1cが前記原点Pにあるとき、磁石1の対向面1aから、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に図示X−Y面内の水平磁場成分H1が作用する。前記水平磁場成分H1は、前記磁石1の中心1cより図示X(−)側にある第1の磁気抵抗効果素子17及び第3の磁気抵抗効果素子19には、図示X(−)方向から、前記磁石1の中心1cより図示X(+)側にある第2の磁気抵抗効果素子18及び第4の磁気抵抗効果素子20には、図示X(+)方向から作用する。この結果、図2に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子17のフリー磁性層14の磁化方向F(図7では符号m14と付したが、ここでは他の磁気抵抗効果素子の磁化方向と区別するために表記を変更した。以下同じである)、及び、第3の磁気抵抗効果素子19のフリー磁性層14の磁化方向Yは、共に図示X(−)方向になり、第2の磁気抵抗効果素子18及び第4の磁気抵抗効果素子20のフリー磁性層14の磁化方向G,Iは、共に図示X(+)方向になる。
【0044】
第1の磁気抵抗効果素子17と第4の磁気抵抗効果素子20の固定磁性層12の磁化方向B,Eとフリー磁性層14の磁化方向F,Iは反平行となり電気抵抗値が最大値となる。また、第2の磁気抵抗効果素子18と第3の磁気抵抗効果素子19の固定磁性層12の磁化方向C,Dとフリー磁性層14の磁化方向G,Yは平行になり電気抵抗値が最小値となる。その結果、図3に示す差動増幅器34から差動出力が生じ、外部出力端子35から原点検出信号が得られる。
【0045】
図8は、横軸をX方向への磁石1の原点Pからの図示X方向への直線移動距離、縦軸を差動出力としたグラフである。図8に示すように前記磁石1の中心1cが原点Pにあるとき、最も差動出力は大きくなる。
【0046】
図2の状態から磁石1が図示X(−)方向に移動すると、前記磁石1から各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に及ぶ水平磁場成分H1の方向が、全体的に徐々に図示X(+)方向に変化する。前記磁石1の中心1cが各磁気抵抗効果素子17,18,19,20から図示X(−)方向に離れると、図4に示すように、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14の磁化方向J,K,L,Mは図示X(+)方向を向く。この結果、第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18の電気抵抗値は、最小抵抗値になり、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20の電気抵抗値は最大抵抗値になる。
【0047】
したがって各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値に基づいて差動出力がゼロになり、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。
【0048】
一方、図2の状態から磁石1が図示X(+)方向に移動すると、前記磁石1から各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に及ぶ水平磁場成分H1の方向が全体的に徐々に図示X(−)方向に変化する。前記磁石1の中心1cが各磁気抵抗効果素子17,18,19,20から図示X(+)方向に離れると、図5に示すように各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14の磁化方向W,X,Q,Rは図示X(−)方向を向く。この結果、第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18の電気抵抗値は最大抵抗値になり、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20の電気抵抗値は、最小抵抗値になる。
【0049】
したがって図3に示す回路において、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値に基づき差動出力はゼロになり、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。
【0050】
図8に示すように、前記磁石1の中心1cが原点Pにあるとき、差動出力は最大値となり、磁石1の中心1cが原点Pから離れると、前記差動出力は徐々に小さくなりやがてゼロになる。この明細書において、前記差動出力が生じている範囲を「原点検出範囲」とする。
【0051】
図2,図4,図5に示すように、前記磁石1の中心1cが原点Pから図示X方向に移動したとき、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14には、回転する水平磁場成分H1が作用するため、差動出力には、前記磁石1の中心1cが原点Pに位置した時の最大値からゼロになるまでの移行範囲が存在する。
【0052】
この移行範囲をできる限り小さくすることで「原点検出範囲」をある程度小さくできる。具体的には「原点検出範囲」を1mm以下に抑えることができる。「原点検出範囲」を小さくするには図示Y方向に延びる細長形状の磁石1を用いるとともに、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20を4象限のいずれかに配置し、さらに各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の間隔T3をできる限り小さくすることが好適である。本実施形態では、原点検出範囲において、センサ出力がピーク値をとるため、出力の閾値Vtを超える範囲を設定することにより原点の検知精度を高めてもよい。この場合、基準電圧設定回路(差動電位が所定以上になったら原点検出信号を生成する回路)を用いる。また原点検出範囲での出力を微分回路により変換することで、原点検知の精度を高めてもよい。
【0053】
本実施形態では、前記磁石1の中心1cが原点検出範囲にあるとき、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の前記フリー磁性層14に前記磁石1から前記フリー磁性層14と非磁性層13間の界面と平行な面内(図示X−Y面内)にて方向が変化する水平磁場成分H1が作用し、その磁場方向に磁化方向が向く状態が維持されているため、飽和磁化状態あるいはそれに近い状態が保たれている。このように、フリー磁性層の磁化m14が水平磁場成分H1による回転角度によって連続的に変化することに相当し、さらに第1〜第4の磁気抵抗効果素子はの差動出力を検知する構造を有することにより、原点近傍の出力のヒステリシスを十分に小さくできる。ヒステリシスを小さくする上で、フリー磁性層14と第2固定磁性層12cの層間の交換バイアス磁界(Hin)を小さくし、水平磁場成分H1に対しての影響を少なくすることが好ましい。また本実施形態のように積層フェリ構造とすることで、固定磁性層磁化m12とフリー層磁化m14の静磁界的な影響も低減することが好ましい。ただし本実施形態において、層間の交換バイアス磁界(Hin)は、水平磁場成分H1より小さい範囲であればよいため、Hinの正負および大きさについて特に限定されない。
【0054】
また本実施形態では、図8に示すように、前記磁石1の中心1cが、原点検出範囲内に位置したとき、差動出力が生じ、それ以外の時には差動出力がゼロになるため、例えば基準電圧設定回路を設けなくても、差動出力の有無の判断により、原点検出を行うことができる。したがって簡単な回路構成で、高精度な原点検出を行うことが可能である。
【0055】
図2に示す各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の素子構成、及び図3の回路構成は一例であるが、簡単な回路構成で差動出力を大きくでき、且つ、高精度に原点検出を行うことができる。さらに各磁気抵抗効果素子17,18,19,20を同じ層構成で構成できるので、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の温度特性のばらつき、すなわち抵抗温度係数(TCR)のばらつきによる影響を小さくできる。したがって高精度な原点検出を行うことができ、図2,図3は最も好ましい構成である。
【0056】
ただし、4つの磁気抵抗効果素子17,18,19,20の配置を、図2の状態から変えたり、図3に示す回路の接続を変えたりすることも可能である。
【0057】
また、図2では、4つの磁気抵抗効果素子17,18,19,20を第1の仮想線と第2の仮想線に区切られた各象限内に設けたが、例えば各磁気抵抗効果素子17,18,19,20を図示X方向に一列に並べたり、あるいは図示Y方向に一列に並べることもできる。ただし図2のように、4つの磁気抵抗効果素子17,18,19,20を第1の仮想線と第2の仮想線に区切られた各象限内に設けた構成のほうが、素子配置が簡単であり、且つ原点検出範囲を小さくでき、高精度に原点検出を行うことができ好適である。
【0058】
また図2では4つの磁気抵抗効果素子17,18,19,20を用いたが、例えば前記磁気抵抗効果素子は2個であってもよい。例えば図2に示す固定磁性層12の磁化方向C,Dが反平行の第2の磁気抵抗効果素子18と第3の磁気抵抗効果素子19を用い、第1の磁気抵抗効果素子17及び第4の磁気抵抗効果素子20を固定抵抗として、図2の原点検出時にて、差動出力がゼロとなるように各固定抵抗値を調整しておく。なお回路構成は図3と同じである。また前記磁気抵抗効果素子は2個であってもよいが、差動出力を大きくし、また温度特性のばらつき、すなわち抵抗温度係数(TCR)のばらつきによる影響を小さくして、高精度な原点検出を行うには図2に示すように4つの磁気抵抗効果素子17,18,19,20をブリッジ接続することが好適である。
【0059】
また図1に示すように前記磁石1は前記対向面1aの全面がN極に、反対面1bの全面S極に着磁されているが、例えば、前記磁石1の対向面1aの直線移動方向(図示X方向)における半分がN極に、残り半分がS極に着磁されている形態であってもよい。
【0060】
また図6に示すように、磁石30の中心30aが、原点Pに位置したとき、前記基板2上の素子形成領域(全ての磁気抵抗効果素子が入る大きさの領域。図6に示す点線Aで囲まれた領域)よりも大きい面積で形成されていてもよい。これにより前記磁石1の中心1cが原点検出範囲に位置したときに、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20に対して適切に水平磁場成分H1を作用させることができ、ヒステリシスが小さく高精度な原点検出を行うことができる。
【0061】
例えば、前記磁石30の前記磁気センサ3との対向面の全面はN極に、前記対向面と反対面の全面はS極に着磁されているとする。
【0062】
図6に示すように、磁石30の中心30aが、原点Pに位置したとき、磁石30の対向面から、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に図示X−Y面内の水平磁場成分H1が作用する。前記水平磁場成分H1は、前記磁石1の対向面1aの中心から各磁気抵抗効果素子17,18,19,20に対して放射状に広がる。図6に示すように、第1の磁気抵抗効果素子17と第4の磁気抵抗効果素子20の固定磁性層12の磁化方向B,Eとフリー磁性層14の磁化方向S,Vとの磁化関係は同じになり、第2の磁気抵抗効果素子18と第3の磁気抵抗効果素子19の固定磁性層12の磁化方向C,Dとフリー磁性層14の磁化方向T,Uの磁化関係は同じになる。第2の磁気抵抗効果素子18及び第3の磁気抵抗効果素子19の電気抵抗値は、第1の磁気抵抗効果素子17及び第4の磁気抵抗効果素子20の電気抵抗値よりも小さくなる。その結果、図3に示す差動増幅器34から差動出力が生じ、外部出力端子35から原点検出信号が得られる。
【0063】
前記磁石30の中心30aが前記原点Pから図示X(−)方向、あるいは、図示X(+)方向に移動すると、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14には、水平磁場成分の方向が変化して各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値が変化する。前記磁石30の中心30aが前記素子形成領域Aから離れて、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14の全てに図示X(−)方向、あるいは図示X(+)方向から水平磁場成分が作用すると、図4,図5で説明したとおり、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗変化に基づいて差動出力がゼロになる。
【0064】
図9は、本発明の第2実施の形態の原点検出装置の斜視図、図10は、磁石中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、である。
【0065】
図9に示すように原点検出装置50は、磁石51と、前記磁石51と図示Y方向にて間隔を空けて対向する位置に設けられた磁気センサ52とを有して構成される。前記磁気センサ52は基板53の表面53aに設置されている。
【0066】
例えば図9に示す原点検出装置50は前記磁気センサ52が固定側であり、前記磁石51が可動側である。図9では、前記磁石51の中心51cは、前記基板53に対して基準位置(原点)にある。ここで「磁石51の中心51c」とは前記磁石51の膜厚中心で切断した切断面(図示X−Y平面)の幅方向(図示X方向)及び長さ方向(図示Y方向)の中心を意味するものとする。また、原点Pは、磁気センサ52の差動出力が最大となるになるポイントであり、この第2実施形態では、図10に示す基板53の中心O2から前記磁石51の直線移動方向である図示X方向に引いた第1の仮想線と、図示X−Y面内にて前記第1の仮想線に直交する方向に第2の仮想線を前記基板2の表面2aに引いたとき、平面視にて前記第2の仮想線上に位置する前記磁石51の中心51cを原点Pとする。なお原点Pの位置は、後述する磁気センサ52内に配置されている磁気抵抗効果素子の位置の変更等にて変更できる。
【0067】
前記磁石51は、その中心51cが、原点Pから図示X方向に直線移動可能に支持されている。
【0068】
図9に示すように前記磁石51の前記磁気センサ52と対向する対向面52aは前記磁石51の直線移動方向の半分がN極に、残り半分がS極に着磁されている。
【0069】
前記磁気センサ52内に設けられる磁気抵抗効果素子の層構成は図7で説明したとおりである。
【0070】
図9,図10に示すように、この第2実施形態では、前記磁石51の中心51cが原点Pにあるとき、前記磁気抵抗効果素子のフリー磁性層14と非磁性層13間の界面と平行な面(図示X−Y面)は、前記磁石51の前記磁気抵抗効果素子との対向面51aと直交関係にある。
【0071】
図10に示すように、前記磁気センサ52内には、4つの磁気抵抗効果素子54,55,56,57が設けられている。また図10に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54,第2の磁気抵抗効果素子55,第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57は夫々、前記第1の仮想線と第2の仮想線とで仕切られた4つの象限内のいずれかに配置されている。
【0072】
図10に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54は、左下象限60内に位置し、第3の磁気抵抗効果素子56は左上象限61内に位置し、第2の磁気抵抗効果素子55は右下象限62内に位置し、第4の磁気抵抗効果素子57は右上象限63内に位置する。
【0073】
回路構成は図3と同じである。すなわち、前記第1の磁気抵抗効果素子54と第2の磁気抵抗効果素子55は、図3に示す第1の出力取出し部36を介して直列接続されている。また、前記第3の磁気抵抗効果素子56と第4の磁気抵抗効果素子57は、図3に示す第2の出力取出し部31を介して直列接続されている。
【0074】
また、前記第1の磁気抵抗効果素子54と第3の磁気抵抗効果素子56とが図3に示す入力端子32を介して接続されるとともに、第2の磁気抵抗効果素子55と第4の磁気抵抗効果素子57とが図3に示すグランド端子33を介して接続されている。
【0075】
さらに図3に示すように、前記第1の出力取出し部36と第2の出力取出し部31とが差動増幅器34を介して外部出力端子35に接続されている。
【0076】
図10に示すように、第1の磁気抵抗効果素子54の固定磁性層の磁化方向54aと、前記第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向55aは同一方向であり、前記第1の磁気抵抗効果素子54と第2の磁気抵抗効果素子55は共通の基台65上に設置されている。また、前記第3の磁気抵抗効果素子56の固定磁性層の磁化方向56aと前記第4の磁気抵抗効果素子57の固定磁性層の磁化方向57aは前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向に対して反平行であり、前記第3の磁気抵抗効果素子56と第4の磁気抵抗効果素子57は共通の基台66上に設置されている。図10に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向54a,55aは共に図示Y(−)方向を向いており、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の固定磁性層の磁化方向56a,57aは共に図示Y(+)方向を向いている。
【0077】
図10に示すように、前記磁石51の中心51cが前記原点Pにあるとき、磁石51の対向面51aから、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57のフリー磁性層14に図示X−Y面内の水平磁場成分H2が作用する。第1の磁気抵抗効果素子54及び第3の磁気抵抗効果素子56には、図示Y(+)方向の水平磁場成分H2が作用し、第2の磁気抵抗効果素子55及び第4の磁気抵抗効果素子57には、図示Y(−)方向の水平磁場成分H2が作用する。この結果、図10に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54のフリー磁性層14の磁化方向54b(図7では符号m14と付したが、ここでは他の磁気抵抗効果素子の磁化方向と区別するために表記を変更した。以下同じである)、及び第3の磁気抵抗効果素子56のフリー磁性層14の磁化方向56bは、共に図示Y(+)方向を向き、前記第2の磁気抵抗効果素子55のフリー磁性層14の磁化方向55b、及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層14の磁化方向57bは、共に図示Y(−)方向を向く。
【0078】
これにより、第1の磁気抵抗効果素子54と第4の磁気抵抗効果素子57の固定磁性層の磁化方向54a,57aとフリー磁性層の磁化方向54b、57bとの磁化関係は同じになり、抵抗値としては最大抵抗値となる。また、第2の磁気抵抗効果素子55と第3の磁気抵抗効果素子56の固定磁性層の磁化方向55a,56aとフリー磁性層の磁化方向55b、56bとの磁化関係は同じになり、抵抗値としては最小抵抗値となる。その結果、図3に示す差動増幅器34から差動出力が生じ、外部出力端子35から原点検出信号が得られる。
【0079】
図10に示すように前記磁石51の中心51cが原点Pにある状態から、例えば前記磁石51が図示X(−)方向に移動すると、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第3の磁気抵抗効果素子56のフリー磁性層に作用する水平磁場成分H2の方向が変化して、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第3の磁気抵抗効果素子56の電気抵抗値が変化する。やがて、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子56には図示Y(−)方向の水平磁場成分H2が作用して、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第3の磁気抵抗効果素子56のフリー磁性層の磁化方向54c、56cは図示Y(−)方向を向き、前記第1の磁気抵抗効果素子54の電気抵抗値は最小値となり、第3の磁気抵抗効果素子56の電気抵抗値は最大値となる。一方、第2の磁気抵抗効果素子56の電気抵抗値は、最小値、第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値は最大値の状態にあり、このとき差動出力はゼロになり、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。
【0080】
一方、図10に示すように前記磁石51の中心51cが原点Pにある状態から、前記磁石51が図示X(+)方向に移動すると、前記第2の磁気抵抗効果素子55及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層に作用する水平磁場成分H2の方向が変化して、前記第2の磁気抵抗効果素子55及び第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値が変化する。やがて、前記第2の磁気抵抗効果素子55及び第4の磁気抵抗効果素子57には図示Y(+)方向の水平磁場成分H2が作用して、前記第2の磁気抵抗効果素子55及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層の磁化方向55c、57cは図示Y(+)方向を向き、前記第2の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値は最大値となり、第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値は最小値となる。一方、第1の磁気抵抗効果素子54の電気抵抗値は最大値となり、前記第3の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値は最小値の状態にあり、このとき差動出力はゼロになり、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。
【0081】
上記した第1実施形態及び第2実施形態の原点検出装置ではいずれも磁石1,51が移動可能に支持されているが、基板2,53側が移動可能に支持されていてもよい。また、前記磁石及び基板の双方が移動可能であってもよい。
【0082】
また上記の実施形態では、前記磁石1,51が直線移動するものであったが、図11に示すように前記磁石1が回転板70に固定されて、前記回転板70がその中心70aを回転中心として回転するものであってもよい。図11に示す状態では、前記磁石1の中心1cが前記基板2の中心O1と高さ方向(図示Z方向)にて一致した状態であり、前記磁石1の中心1cが原点Pにある。このとき、第1の仮想線は、前記原点Pを相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向である。また、図2での固定磁性層の磁化方向B,C,D,Eは、前記原点Pを相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向(図示X方向)を向いている。あるいは、図10の磁石51と基板53との関係とした場合、前記固定磁性層の磁化方向は、前記原点Pを相対回転方向上の接点としたときの接線方向と直交する方向(図示Y方向)を向いている。前記磁石1の中心1cが原点Pにある状態では図2で説明したように各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に水平磁場成分が作用し、図2に示す固定磁性層とフリー磁性層との磁化関係により、差動出力が生じて、外部出力端子35から原点検出信号が得られる。そして前記回転板70の時計方向、あるいは反時計方向への回転により、前記磁石1が原点検出範囲から離れると、図4あるいは図5で説明した、固定磁性層とフリー磁性層との磁化関係により、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値が変動し、差動出力がゼロになり、外部出力端子35からは原点非検出信号が得られる。
【0083】
図11に示すように、前記回転板70の側面には、前記中心線CLから所定の回転角θ1,θ2だけ離れた位置に補助磁石80,81が設けられている。前記補助磁石80,81は前記磁石1の回転方向の両側に設けられている。この補助磁石80,81は、前記回転板70が所定角以上回転しても、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20に常に水平磁場成分を与え、高精度に、磁石1の中心1aが原点検出範囲にあるときに差動出力が生じ、磁石1の中心1aが原点検出範囲から離れると差動出力がゼロになるように、所定方向の水平磁場成分を広範にわたって生じさせるためのものである。図11に示すように、例えば前記磁石1のN極に着磁された対向面1aが前記回転板70の側面から外部に露出している。一方、補助磁石80,81は、前記磁石1の対向面1aとは異極、すなわちS極に着磁された着磁面80a,81aが前記磁石1方向に向くように前記回転板70の側面に立てた状態で設置されている。これにより、前記磁石1の対向面1aから前記補助磁石80,81に向けて所定方向への水平磁場成分が生じる。
【0084】
前記補助磁石80,81の設置は任意である。すなわち前記補助磁石80,81は無くてもよい。例えば本実施形態では、磁気センサ3が磁石1からの距離が離れ、水平磁場成分がない状態では、図4あるいは図5に示す固定磁性層とフリー磁性層との磁化状態が得られるように、各磁気抵抗効果素子の固定磁性層とフリー磁性層間に所定の層間交換バイアス磁界(Hin)を生じさせておけば、水平磁場成分が無い状態でも、図4あるいは図5の磁化状態が得られ、磁石1の中心1cが原点検出範囲から離れた状態にて差動出力をゼロにすることも可能である。前記層間交換バイアス磁界(Hin)の調整は例えば固定磁性層とフリー磁性層間に介在する非磁性層の膜厚調整により行うことが可能である。例えば図4の状態を得るには磁気抵抗効果素子17、18のHinを正とし、磁気抵抗効果素子19、20のHinを負とすればよい。また本実施形態において、磁気抵抗効果素子17、18、19、20のHinをすべて正もしくは負とした場合も、水平磁場成分がない状態で差動出力がゼロとなる。
【0085】
なお磁石1の移動範囲の全範囲に所定の水平磁場成分が生じている場合は別として、前記磁石1の移動範囲が長く、水平磁場成分が生じていない範囲があるときには、その移動範囲内のすべてに適切に所定方向の水平磁場成分が生じるように、補助磁石80,81を設けることが好適である。
【0086】
なお、前記補助磁石80,81は回転移動する構成のものだけでなく、図1,図9に示す直線移動する構成のものにも当然使用することが可能である。
【0087】
次に図1に示す実施形態の原点検出装置および図11に示す構成を用いて、磁気センサのセンサ出力値(差動電位)の評価を実施した。
【0088】
ここでは、幅寸法w1を5mm、長さ寸法l1を5mm、厚さ寸法t1を3mmとした信越化学工業(株)製のネオジウム磁石(型番:N45H)から成る原点検出用磁石1を用いた。また図11のように補助磁石80,81を有した構成になっている。
【0089】
前記補助磁石80,81を、中心線CLから55度(回転角θ1,θ2)だけ離れた位置に配置した。また前記回転板70の半径Rは30mmであった。
【0090】
磁気センサ3には、図6に示す構成と同様のものを用いた。磁気センサ3の寸法は幅寸法w2が2mm、長さ寸法l2が2mm、厚さ寸法t2が0.75mmのものを用いた。また各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の間隔t3は、0.2mmである。磁気センサ3の寸法より磁石1が大きい構成となっている。
【0091】
磁気抵抗効果素子にはGMR素子を用い、下地層NiFeCr4nm;反強磁性層IrMn8nm;固定磁性層がCoFe1.5nm、Ru0.9nm、CoFe1.5nmの積層フェリ構造;非磁性層がCu2.0nm;フリー磁性層がCoFe1nm、NiFe3nm;保護層がTa5nmの構成のものを用いた。ここでフリー磁性層14と固定磁性層12の層間交換バイアス磁界(Hin)は0〜0.5mTの範囲で制御されている。
【0092】
センサ出力の評価は、前記磁気センサ3と前記原点検出用磁石1間の高さ方向(Z方向)の寸法を2mmとし、前記回転板70を時計方向、及び反時計方向に回転させて、センサ出力(差動電位)を第1〜4の磁気抵抗素子の出力から見積もった。その評価結果を図12、図13に示す。
【0093】
図12は前記回転板70の回転中心70aと前記磁石1の中心1cとの中心線CLの前記回転中心70aからの回転角θとセンサ出力値(差動出力)との関係を示すグラフで、図13は図12の±2度の回転角θの範囲での差動出力の変移を拡大したものである。ここで回転角度θは図11の時計周りを正としている。
【0094】
図12,図13に示すように、差動出力は回転角θの変化に伴って原点付近で差動出力を生じ、原点から離れた位置で差動出力がゼロとなっている。ここで原点近傍の回転角度±1度は±0.5mmの範囲での出力状態を示すことに相当する。これは磁石の寸法(5×5×3mm程度)や磁気センサの寸法(2×2×0.75mm程度)に対し、高い精度で原点を検知できることを意味している。原点付近の出力ピークは、前記したようにヒステリシスもなく、電圧の閾値Vtを設定した基準電圧設定回路等との組み合わせにより、さらに精度の高い原点検知が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施の形態の原点検出装置の斜視図、
【図2】磁石中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、
【図3】原点検出装置を構成する磁気センサの回路構成図、
【図4】図2の状態から磁石が図示左方向(X(−)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、
【図5】図2の状態から磁石が図示右方向(X(+)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、
【図6】図1及び図2とは異なる形状の磁石中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、
【図7】本実施形態における磁気抵抗効果素子を膜厚方向から切断した断面図、
【図8】横軸をX方向への磁石の原点からの直線移動距離、縦軸を差動出力(センサ出力)としたグラフ、
【図9】本発明の第2実施の形態の原点検出装置の斜視図、
【図10】磁石中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、
【図11】別の原点検出装置の構成を示す側面図、
【図12】回転板の回転中心と磁石中心との中心線CLの回転中心からの回転角θとセンサ出力値(差動出力)との関係を示すグラフ、
【図13】図12の±2度の回転角θの範囲での差動出力の変移を拡大したグラフ、
【符号の説明】
【0096】
1、30、51 磁石
2、53 基板
3、52 磁気センサ
4、50 原点検出装置
11 反強磁性層
11a 下地層
12 固定磁性層
12a 第1固定磁性層
12b 非磁性中間層
12c 第2固定磁性層
13 非磁性層
14 フリー磁性層
15 保護層
17、54 第1の磁気抵抗効果素子
18、55 第2の磁気抵抗効果素子
19、56 第3の磁気抵抗効果素子
20、57 第4の磁気抵抗効果素子
25、26、27、28、60、61、62、63 象限
31、36 出力取出し部
32 入力端子
33 グランド端子
34 差動増幅器
35 外部出力端子
70 回転板
80、81 補助磁石
B、C、D、E、54a、55a、56a、57a 固定磁性層の磁化方向
F、G、I、J、K、L、M、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、54b、54c、55b、55c、56b、56c、57b、57c フリー磁性層の磁化方向
O1、O2 基板の中心
P 原点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた外部磁界に対して電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子と間隔を空けて対向する磁石とを備え、前記磁石はその中心が前記基板に対する相対基準位置(原点)から相対移動可能に支持されており、
前記磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定された固定磁性層と、前記固定磁性層と非磁性層を介して形成され外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層とを有しており、前記磁石の中心が原点検出範囲にあるとき、前記フリー磁性層に前記磁石から前記フリー磁性層と非磁性層間の界面と平行な面内の水平磁場成分が作用する位置にてブリッジ接続されており、
前記磁石の中心が原点検出範囲にあるとき、前記磁気抵抗効果素子の電気抵抗値に基づいて差動出力が生じ、前記磁石の中心が前記原点検出範囲から離れると、前記磁気抵抗効果素子の電気抵抗値に基づいて差動出力がゼロになることを特徴とする原点検出装置。
【請求項2】
前記磁気抵抗効果素子は、第1の磁気抵抗効果素子と、第2の磁気抵抗効果素子と、第3の磁気抵抗効果素子と、第4の磁気抵抗効果素子とを備え、
前記第1の磁気抵抗効果素子及び第2の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は同一であり、前記第3の磁気抵抗効果素子及び第4の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は、前記第1の磁気抵抗効果素子及び第2の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向と反平行である請求項1記載の原点検出装置。
【請求項3】
前記第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、第1の出力取出し部を介して直列接続され、
前記第3の磁気抵抗効果素子と第4の磁気抵抗効果素子は、第2の出力取出し部を介して直列接続され、
前記第1の磁気抵抗効果素子と第3の磁気抵抗効果素子とが入力端子を介して接続されるとともに、第2の磁気抵抗効果素子と第4の磁気抵抗効果素子とがグランド端子を介して接続され、
前記第1の出力取出し部と第2の出力取出し部とが差動増幅器を介して外部出力端子に接続されている請求項2記載の原点検出装置。
【請求項4】
前記基板の表面に、前記磁石の相対移動方向、あるいは前記磁石が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向に第1の仮想線、及び、前記第1の仮想線と直交する方向に第2の仮想線を引き、前記原点が、前記第1の仮想線と第2の仮想線との交点の高さ方向に、あるいは平面視にて前記第2の仮想線の延長線上に位置するとき、
各磁気抵抗効果素子は、夫々、前記第1の仮想線、及び第2の仮想線で区切られた各象限内のいずれかに配置されている請求項2又は3に記載の原点検出装置。
【請求項5】
前記磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は、前記磁石の相対移動方向、あるいは前記磁石が相対回転移動するときには前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向を向いている請求項1ないし4のいずれかに記載の原点検出装置。
【請求項6】
前記磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向は、前記磁石の相対移動方向と直交する方向、あるいは前記磁石が相対回転移動するときには前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向と直交する方向を向いている請求項1ないし4のいずれかに記載の原点検出装置。
【請求項7】
少なくとも前記磁石の中心が原点にあるとき、前記磁気抵抗効果素子のフリー磁性層と非磁性層間の界面と平行な面は、前記磁石の着磁面である前記磁気抵抗効果素子との対向面と平行関係にある請求項1ないし5のいずれかに記載の原点検出装置。
【請求項8】
前記磁石の中心が前記原点に位置したとき、前記磁石の前記対向面は、前記第2の仮想線を挟んで対向する各磁気抵抗効果素子の間に位置するように、第2の仮想線方向に向けた細長形状で形成されている請求項7記載の原点検出装置。
【請求項9】
前記磁石の対向面の全面及びその反対面の全面は夫々、N極あるいはS極に着磁されている請求項7又は8に記載の原点検出装置。
【請求項10】
少なくとも前記磁石の中心が原点にあるとき、前記磁気抵抗効果素子のフリー磁性層と非磁性層間の界面と平行な面は、前記磁石の着磁面である前記磁気抵抗効果素子との対向面と直交関係にある請求項1ないし4又は6のいずれかに記載の原点検出装置。
【請求項11】
前記磁石の対向面の相対移動方向における半分がN極に、残り半分がS極に着磁されている請求項10記載の原点検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−74908(P2009−74908A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243945(P2007−243945)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】