説明

原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器

【課題】 簡単な構成で事務機器の前側にいて操作者がドライバーなどの工具を用いて容易に弾性手段の弾力の微調節を連続的に行うことのできるように成した原稿圧着板開閉装置並びに事務機器を提供する。
【解決手段】
事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材か、この取付部材へ第1ヒンジピンを介して回動可能に取り付けられる支持部材の側に付勢手段を構成する弾性手段のバネ受部材を設け、このバネ受部材に弾性手段の弾力調節手段を設け、この弾力調節手段を弾性手段の弾力を受けて当該弾性手段の軸方向へ移動可能と成した調節プレートを有するものとし、この調節プレートを動作させる弾力調節手段の調節部材をバネ受部材に弾性手段と交わる方向に設け、もってこの調節部材を原稿圧着板を開いた状態で事務機器の前側にいて操作できるように成したことで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の原稿圧着板を有する事務機器に用いて好適な、原稿圧着板開閉装置、並びにその原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の原稿圧着板開閉装置は、少なくとも、底板とこの底板の両側部より立ち上げた両側板を有し、事務機器の機器本体に前記底板を取り付ける取付部材と、上板とこの上板の両側部より垂下させた両側板を有し、この両側板を前記取付部材の両側板にヒンジピンを介して回動可能に取り付けたところの原稿圧着板を支持する支持部材と、取付部材と支持部材の間に弾接した、例えばコンプレッションスプリングから成る弾性手段とを備えている。
【0003】
この弾性手段は、本来、原稿圧着板の開成時にその重量を感じさせることなく開かしめ、所定の開成角度範囲(約20°〜60°)で原稿圧着板から手を離しても自然落下しないように支持する機能を有している。しかしながら、弾力の経時的変化は避けられずそれが持つべき上記機能に支障が生ずることから、弾力調節手段を備えている。
【0004】
この弾力調節手段のほとんどのものは、下記する特許文献1〜2に示されているように、弾性手段の一端部側にあてがった調節部材を弾性手段の軸方向からドライバー等の工具を用いて軸方向へ動かして弾性手段の有効長を調節することによって、弾力を調節するものであった。
【0005】
しかしながら、このような構成の弾力調節手段であると、原稿圧着板開閉装置を装置本体或は、原稿圧着板から取り外して調節しなくてはならず、調節操作が行いにくいという問題点があった。
【0006】
そこで、この調節を事務機器の前側にいて行なうことができるようにしたものとして、下記特許文献3に記載されたものが公知である。
【0007】
この特許文献3に記載されたものは、バネ受部材に設けられ、弾性手段を受ける調節部材をカム凸部とカム凹部を有する2枚の第1ディスクと第2ディスクで構成し、このうちの第2ディスクを回転可能に成すと共に、操作用突起を第2ディスクからバネ受部材の外部へ突出させたもので、この操作突起を操作者が原稿圧着板開閉装置の前側にいて指で押して第2ディスクを段階的に回転させることにより第1ディスクを上下方向へ移動させて弾性手段の弾力を調節するというものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−202640号公報
【特許文献2】特開2004−101620号公報
【特許文献3】特開2009−237046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献3に記載された弾性手段の弾力調節方法によると、操作者が事務機器の前側にいて指で操作突起を左右へ押して回転させるものであることから、調節操作が容易であるという利点は有するも、指で調節することから微調節が困難であるという問題が新たに発生している。即ち、第2ディスクには弾性手段のバネ荷重がかかっているため、指で第2ディスクを回転させて調節することは容易ではない上に、調節幅がカムの段数に限定してしまうため、微調節が困難であるという問題が発生している。
【0010】
弾性手段の弾力の経時的変化は、弾性手段の劣化は勿論のこと、事務機器が置かれた環境、原稿圧着板の開閉頻度、さらには、フリクション手段のフリクショントルクの経時的変化等と密接に関連しており、段階的な調節では充分に対応できないという問題点がある。
【0011】
本発明の目的は、簡単な構成で事務機器の前側にいて操作者がドライバーなどの工具を用いて容易に弾性手段の弾力の微調節を連続的に行うことのできるように成した原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明は、原稿圧着板を有する事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材の両側板へその両側板をヒンジピンを介して回動可能に取り付けられると共に前記原稿圧着板を直接或は支持部材へ回転可能に取り付けたリフト部材を介して支持する支持部材と、前記取付部材と前記支持部材の間に当該支持部材を前記原稿圧着板の開成方向へ付勢する付勢手段とを有するものにおいて、前記取付部材か支持部材の側に前記付勢手段を構成する弾性手段のバネ受部材を設け、このバネ受部材に前記弾性手段の弾力調節手段を設け、この弾力調節手段を前記弾性手段の弾力を受けて当該弾性手段の軸方向へ移動可能と成した調節プレートを有するものとし、この調節プレートを動作させる前記弾力調節手段の調節部材を前記バネ受部材に前記弾性手段と交わる方向に設け、もってこの調節部材を前記原稿圧着板を開いた状態で前記事務機器の前側にいて操作できるように成したことを特徴とする。
【0013】
その際に本発明は、前記付勢手段を、前記取付部材の両側板の間の前記第1ヒンジピンの位置とは異なる位置に設けて受圧部材に対して揺動可能に取り付けた第1揺動バネ受部材と、前記支持部材の自由端側に設けた作動部材に対して揺動可能に取り付けられると共に、前記第1揺動バネ受部材と嵌縮可能に係合された第2揺動バネ受部材と、前記第1揺動バネ受部材と前記第2揺動バネ受部材との間に弾設された弾性手段とで構成することができる。
【0014】
本発明はまた、前記付勢手段を、前記支持部材の中に摺動可能に設けられ、前記取付部材の両側板の間の前記第1ヒンジピンの位置とは異なる位置に設けた受圧部材に対して圧接摺動可能となるように設けた第1摺動バネ受部材と、前記支持部材の自由端側に回動可能に取り付けられたリフト部材に設けた作動部材に圧接し、当該支持部材の中に摺動可能に設けられた第2摺動バネ受部材と、前記第1摺動バネ受部材と前記第2摺動バネ受部材との間に弾設された弾性手段とで構成することができる。
【0015】
本発明はまた、前記調節プレートを、前記バネ受部材の内底部に固定させた第1調節プレートと、この固定調節プレートに重ね合わされて回転可能に設けられた第2調節プレートとを有するものとすることができる。
【0016】
本発明はさらに、前記調節部材を、前記回転調節プレートの外周に設けた歯部と噛み合うウォームギアとすることができる。
【0017】
本発明はまた、前記固定調節プレートを、前記バネ受部材の内底部に一体に形成させることができる。
【0018】
本発明はさらに、前記調節プレートを前記バネ受部材内に設けた雄ネジ部にネジ着させ、この調節プレートを前記調節部材で回転可能となるように構成することができる。
【0019】
そして本発明は、上記に記載の原稿圧着板開閉装置を備えたことを特徴とする、事務機器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のように構成したので、事務機器の前側にいて、原稿圧着板を装置本体より取り外したり、原稿圧着板開閉装置より原稿圧着板を取り外したり、或は原稿圧着板より原稿圧着板開閉装置を取り外したり、さらには事務機器を動かしたりすることなく、弾性手段を備えた原稿圧着板開閉装置の弾力を調節できるので、弾性手段の弾力の調節作業が行い易いという作用効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器(複写機)の原稿圧着板を開いてみた正面図である。
【図2】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の斜視図である。
【図3】図2に示した原稿圧着板開閉装置の分解斜視図である。
【図4】図2に示した原稿圧着板開閉装置の閉成状態を説明する縦断面図である。
【図5】図2に示した原稿圧着板開閉装置の開閉動作を説明する縦断面図である。
【図6】図2に示した原稿圧着板開閉装置において、原稿が厚物原稿の場合の操作を説明する縦断面図である。
【図7】図2に示した原稿圧着板開閉装置の全開成状態時の状態を説明する縦断面図である。
【図8】本発明に係る弾力調節手段の要部を示す平面断面図である。
【図9】図2に示した原稿圧着板開閉装置の第1揺動バネ受部材を示し、(a)図はその斜視図であり、(b)図はその平面図である。
【図10】図2に示した原稿圧着板開閉装置の弾力調節手段の構成部材を示し、(a)図は第1調節部材の斜視図であり、(b)図は第2調節部材の斜視図である。
【図11】本発明に係る弾力調節手段のカバー部材の斜視図である。
【図12】本発明に係る弾力調節手段の動作を説明する説明図であり、(a)図は調節開始前の中立状態を示し、(b)図は調節部材を右方向へ回転させた状態を示し、(c)図は調節部材を左方向へ回転させた状態を示している。
【図13】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の他の実施例を示す斜視図である。
【図14】図13に示した原稿圧着板開閉装置の分解斜視図である。
【図15】図13に示した原稿圧着板開閉装置の閉成状態での縦断面図である。
【図16】図13に示した原稿圧着板開閉装置の全開成状態での縦断面図である。
【図17】図13に示した原稿圧着板開閉装置へ設置した弾力調節手段の要部を示す平面図である。
【図18】図13に示した原稿圧着板開閉装置の第1摺動バネ受部材を示し、(a)図はその斜視図であり、(b)図はその平面図である。
【図19】本発明に係る原稿圧着板開閉装置のさらに他の実施例を示す縦断面図である。
【図20】本発明に係る弾力調節手段の他の実施例を示す説明図である。
【図21】本発明に係る弾力調節手段のさらに他の実施例を示す説明図である。
【図22】本発明に係る弾力調節手段のさらに他の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る原稿圧着板開閉装置並びに原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器を添付図面に基づいて詳述するが、本発明において、事務機器には、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等が含まれるが、これらのものに限定されない。また、原稿圧着板開閉装置としては、下記する実施例1〜3のものが代表的なものとして含まれるが、これも実施例1〜3に記載のものに限定されない。さらに、バネ受部材としては、実施例1の第1揺動バネ受部材と第2揺動バネ受部材、実施例2のカムスライダーを兼ねる第1摺動バネ受部材や、第2摺動バネ受部材、実施例3のカムスライダー兼ねる摺動バネ受部材などが含まれるが、これもこれらのものに限定されない。そして、受圧部材は、ピン状のもの、カム状のもの、ローラー状のものが含まれ、作動部材としては、ピン状のもの、リフト部材に設けたピン状以外の部材が含まれることになるがこれも実施例のものに限定されず、この発明の目的を逸脱しない範囲でさまざまなその他の実施例が考えられる。さらに、調節プレートといった場合には、カム部付のものと、カム部付きのものでないもの、回転するものと、回転しないものがそれぞれ矛盾しない範囲で含まれる。尚、この調節プレートはそれぞれの基盤部にカム部が設けられたものは、2枚が重ねられて用いられた場合には、上側、下側のどちら側が回転するようにしても良い。
【実施例1】
【0023】
図1〜図12は本発明に係る原稿圧着板開閉装置、並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器の一例を示す。本発明に係る実施例1の原稿圧着板開閉装置Aは、図1に示したように、事務機器1の装置本体2の後部上端の左側において原稿圧着板3を開閉可能に取り付けるものである。事務機器1としては、上述したようにとくに限定されず、例えば、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等が挙げられ、とくに複写機が好ましいものとして挙げられるが、このものに限定されない。また、図1に示したように原稿圧着板開閉装置は、通常左右一対用いられ、原稿自動送り装置3aつきの原稿圧着板3を開閉するものは、向かって左側の原稿圧着板開閉装置Aである。この原稿圧着板開閉装置Aの方が重量のある原稿自動送り装置3aを装備させているため、右側の荷重が余りかからない原稿圧着板開閉装置Bとは通常その構成が異なっている。しかし、原稿圧着板が原稿自動送り装置つきのものでないものの場合には、その構成が左右共に同じ場合もある。本発明に係る原稿圧着板開閉装置Aの弾力調節手段は、原稿圧着板開閉装置の構成が同じであっても、異なっていても、左側の原稿圧着板開閉装置Aと同じように右側の原稿圧着板開閉装置Bに適用することは任意であって、左側のものに限定されない。
【0024】
図面によれば、原稿圧着板開閉装置Aの取付部材4は、例えば、図2〜図7に示したように、装置本体2に取り付けられる底板4aと、この底板4aの両側端部から上方へ立ち上げた両側板4b、4bと、底板4aの一端部(後端部)から当該底板4aに対して直交する方向に延びる略矩形状の後板4cとで構成されている。底板4aは、とくに図3に示したように、平面略矩形状に形成され、取付ネジ5bが取り付けられる取付孔4dと、取付釦5a(図4参照。)が挿通係止される平面鍵孔形状の取付孔4eとを有し、取付ネジ5bと取付釦5aによって装置本体2の後部上端に取り付けられるものである。指示記号5cのものは、後板4cに図示してない取付ネジで取り付けられるストッパー部材である。両側板4b、4bには、一対の軸受部材6、6を装着固定させる変形装着孔4f、4fが設けられると共に、後述する受圧部材7を取り付ける受圧部材取付孔4g、4gが設けられている。
【0025】
支持部材8は、例えば、上板8aと、この上板8aの両側端部からそれぞれ当該上板8aに対して直交する方向に垂下させた両側板8b、8bとで構成されており、両側板8b、8bの一端部側には、第1ヒンジピン9を挿入固定させる第1ヒンジピン取付孔8c、8cが設けられ、その他端部側には、後述する第2ヒンジピン10を回転可能に挿入する第2ヒンジピン取付孔8d、8dが設けられている。支持部材8は取付部材4の両側板4b、4bの変形装着孔4f、4fに固定した軸受部材6、6に対して回転可能に軸支させた第1ヒンジピン9の両端部をその第1ヒンジピン取付孔8c、8cへ挿入固定させることによって、取付部材4に対して回転可能に取り付けられている。指示記号11、11で示したものは、第1ヒンジピン9の両端部を挿通させつつ軸受部材6、6のフランジ部6a、6aと支持部材8の両側板8b、8bの間に介在されるワッシャーである。
【0026】
指示記号13で示したものは、リフト部材であり、このリフト部材13は、上板13aと、この上板13aの両側部より下方へ垂下させた両側板13b、13bと、この両側板13b、13bの下端部より外側へ折り曲げたところの原稿圧着板3の取付板13c、13cとで構成されており、両側板13b、13bには、その一端部側に第2ヒンジピン10を挿入固定させる第2ヒンジピン取付孔13d、13dと、後述する作動部材14を挿入固定させる作動部材取付孔13e、13eが設けられている。このリフト部材13はその第2ヒンジピン取付孔13d、13dに取り付けられる第2ヒンジピン10を介して支持部材8の第2ヒンジピン取付孔8d、8dへ第2ヒンジピン10を介して回転可能に連結されると共に、その取付板13c、13cへ原稿圧着板3の後端部を取り付けるものである。
【0027】
このリフト部材13にはさらに、原稿圧着板3の高さ調節手段15を構成する高さ調節ネジ15aが、その上板13aに設けた雌ネジ部13fへ取り付けられており、その先端を支持部材8の上板8aに当接させている。
【0028】
付勢手段16は、この実施例1のものは、その中央部に第1スプリング収容部17aを有し、下端部に設けた係合溝17bを、受圧部材7と係合させて揺動可能に設けたところの前端部側と上端部側を開放させた筒状のバネ受部材の一例である第1揺動バネ受部材17と、前板18aと、この前板18aの両側より折り曲げた両側板18b、18bと、前板18aの上端部より折り曲げた天板18cで囲まれた第2スプリング収容部18dと、第1揺動バネ受部材17の背部とスライド可能に係合する係合片18g、18gと受圧部材7と係合する係合溝18f、18fを有し、両側板18b、18bの上端部に設けた連結孔18e、18eにピン状の作動部材14を挿通させて揺動可能に設けたバネ受部材の一例である第2揺動バネ受部材18と、第1揺動バネ受部材17と第2揺動バネ受部材18の間に第1スプリング収容部17aと第2スプリング収容部18dに収容されつつ弾設された大小一対のコンプレッションスプリング19a、19bから成る弾性手段19と、第2揺動バネ受部材18の天板18cの側に弾性手段19によって固定された、例えばオイルダンパーのようなダンパー手段20と、弾性手段19と第1揺動バネ受部材の17の内底部との間に設けた弾力調節手段21とで構成されている。尚、指示記号22、22のものはカラーであり、ピン状の受圧部材7、第1ヒンジピン9、第2ヒンジピン10、作動部材14はそれぞれその一端部にフランジ部7a、9a、10a、14aを、他端部にかしめ部7b、9b、10b、14bを有し、それぞれ、受圧部材取付孔4g、4g、軸受部材6、6、第2ヒンジピン取付孔13d、13d、及び作動部材取付孔13e、13eから抜け出ないように係合する構成である。さらに指示記号17fで示したものは、調節部材取付片23d、23d、調節部材26、及びカバー部材27の収容凹部である。
【0029】
フリクション手段12、12は、とくに図8に示したように、第1揺動バネ受部材17と第2揺動バネ受部材18との間に設けられている。即ち、第1揺動バネ受部材17の上面側と下面側の両側部に設けられた第1フリクション凸条17g、17g及び第2フリクション凸条17h、17hと、これらの第1フリクション凸条17g、17g及び第2フリクション凸条17h、17hが摺圧接する第2揺動バネ受部材18の前板18aの内側と係合片18g、18gの内側との間に、原稿圧着板3の開閉操作に伴い第1揺動バネ受部材17と第2揺動バネ受部材18が嵌縮動作をする際にフリクショントルクが第1ヒンジピン9の軸回りに創出される構成である。尚、このフリクション手段は、軸受部材6、6とワッシャー11、11との間にフリクション手段12、12と共に、或は単独で設けても良い。また、フリクション手段12、12は、第2フリクション凸条17h、17hと第2揺動バネ受部材18との間で構成しても良い。
【0030】
この付勢手段16は、作動部材14を介してリフト部材13を常に支持部材8と重なり合う方向へ回転付勢させており、この回転付勢力で支持部材8を回転付勢させ、原稿圧着板3をその開成方向へ付勢させている。リフト部材13はこれを省略させたもの、リフト部材13があっても他の付勢手段を用いるもの等がある。
【0031】
弾力調節手段21は、第1揺動バネ受部材17の内底部に設けた第1スプリング収容部17aに収容固定されたところの、基板部23aと、この基板部23aの中央部に設けた装着孔23bと、基板部23aの外周部の一方に設けた係止片23cと、基板部23aの外周部の他端部側に設けた調節部材取付片23d、23dと、基板部23aの装着孔23bを挟んで対向位置に設けた一対のカム部23e、23eとから構成された第1調節プレート23と、基板部24aと、この基板部24aの中央部に設けた装着孔24bと、基板部24aの1端部側に設けた係止部24cと、基板部24aの装着孔24bを挟んで対向位置に設けた一対のカム部24d、24dとから構成される回転可能な第2調節プレート24と、この第2調節プレート24の係止部24cと係合した係止駒25を移動可能にネジ着させて調節部材取付片23d、23dの軸止孔23f、23fへ回転可能に取り付けた調節ネジからなる調節部材26と、平面略U時形状の湾曲したカバー部材27とで構成されている。尚、このカバー部材27の湾曲部27a、27aの一方のもの、つまり、調節部材26の頭部26a側には、レンチなどの工具28の挿通溝27bが設けられている。カバー部材27にはさらに、とくに図11に示したように、その下端部から一対の安定片27c、27cが、その中央部からは押さえ片27dがそれぞれ折り曲げて設けられており、第1調節プレート23と第2調節プレート24の上下方向の動きを抑える役目を持つと共に、第1揺動バネ受部材17を補強するための役割を持っている。
【0032】
第1スプリング収容部17aは、第1調節プレート23の基板部23aの形状に合わせてあり、とくに図9に示したように、その中央部に突設したボス部17cを有しており、図4乃至図7に示したように、ボス部17cに第1調節プレート23と第2調節プレート24の各装着孔23bと24bが装着されている。尚、とくに図9の(b)において、指示記号17d、17dで示したものは、第1調節プレート23のカム部23e、23eを逃がすための逃がし凹部であり、指示記号17eで示したものは、係止片23cの係合凹部である。そして、調節部材26は、第1揺動バネ受部材17に対して弾性手段19と交わる方向へその取付位置が定められており、第1揺動バネ受部材17の前部右側には、この調節部材26の頭部26aと係合して回転させる工具28の先端を挿入させる挿入孔29が設けられている。
【0033】
以下に上記した実施例1に係る原稿圧着板開閉装置Aと事務機器1の作用効果について説明する。
【0034】
原稿圧着板3と装置本体2に対して閉じた状態においては、図4に示したように、付勢手段16の弾性手段19は、第1揺動バネ受部材17内の第2調節プレート24と第2揺動バネ受部材18との間において最大に圧縮された状態にあるが、その際の弾力よりも、原稿圧着板3が支持部材8を介して第1ヒンジピン9の回りに発生させる回転トルクの方が勝っているので、原稿圧着板3は装置本体2のコンタクトガラス2a上へ圧着されている。したがって、薄物の原稿の場合には、この原稿はコンタクトガラス2a上へ圧着されることになる。
【0035】
次に、原稿圧着板3の手前側を手で持ってこれを上方へ開くと、最初は原稿圧着板3の重量を感じるが、次第に付勢手段16の弾性手段19の弾力が勝り始め、操作者は原稿圧着板3の重量を感じることなく開くことができ、図5に示したように、開成角度30°前後で、原稿圧着板3より手を離しても、弾性手段19の回転トルクとフリクション手段12、12のフリクショントルクの相乗効果により、自然落下することなく開成状態で保持される。
【0036】
そこで、両手で原稿を交換することが可能となる。この自立開成角度は、略20°〜60°の間であるのが通常である。
【0037】
原稿が本のような厚物原稿の場合には、原稿圧着板3を必要な角度開いてコンタクトガラス2a上へ厚物原稿30を置き、原稿圧着板3を閉じると、原稿圧着板3の後部が厚物原稿30の角に当たるので、さらに力を入れて下押しすると、図6に示したように、原稿圧着板3がリフト部材13と共に弾性手段19の弾力に抗して第2ヒンジピン10を支点に反転することにより、厚物原稿30の上面を略水平に覆うことにより外光がコンタクトガラス2aを介して装置本体2内へ侵入してしまうのを防ぎ、鮮明な複写を行うことを可能とするものである。
【0038】
リフト部材13の反転時には、上述したように、リフト部材13が第2ヒンジピン10を支点に反転し、この時第2ヒンジピン10を支点に旋回する作動部材14が第2揺動バネ受部材18を押して弾性手段19を圧縮させるので、複写が終わり原稿圧着板3より手を離すと、原稿圧着板3は弾性手段19が第2揺動バネ受部材18と作動部材14を介してリフト部材13を回転させることにより、原稿圧着板3は自動的に或は容易に余り力を加えることなく、元の位置に戻る。
【0039】
弾力調節手段21を用いて弾性手段19の弾力を調節する場合には、とくに図7に示したように、原稿圧着板3を全開状態にすると、原稿圧着板開閉装置Aの第1揺動バネ受部材17の前側が前面を向き、調節部材26を操作するための挿入孔29が前方を向くので、事務機器1の前側にいて、装置本体2を動かすことなく、例えば図7に示したように、レンチからなる工具28を挿入孔29より挿入して調節部材26の頭部26aと係合させることにより調節部材26を左右いずれかの方向へ回すことが可能になり、係止駒25を介して第2調節プレート24が左右へ回転することにより、第1調節プレート23との間の互いのカム部の接触により、当該第2調節プレート24は上下動作するので、この上下動作により、この第2調節プレート24上に圧接している弾性手段19の弾力を調節できるものである。
【実施例2】
【0040】
図13〜図18は、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の他の実施例を示す。この実施例2に係る事務機器31の原稿圧着板開閉装置Cの構成は次のとおりである。
【0041】
図面によれば、原稿圧着板開閉装置Cの取付部材34は、例えば、図13〜図18に示したように、装置本体32に取り付けられる底板34aと、この底板34aの両側端部から上方へ立ち上げた両側板34b、34bと、底板34aの一端部(後端部)から当該底板34aに対して直交する方向に延びる略矩形状の後板34cとで構成されている。底板34aは、とくに図15と図16に示したように、平面略矩形状に形成され、取付ネジ35bが挿通される取付孔34dと、取付釦35a(図15参照。)が挿通係止される平面鍵孔形状の取付孔34eとを有し、その取付ネジ35bと取付釦35aによって装置本体32の後部上端に取り付けられるものである。両側板34b、34bには、一対の軸受部材36、36を装着固定させる変形装着孔34f、34fが設けられると共に、後述する受圧部材37を取り付ける受圧部材取付孔34g、34gが設けられている。
【0042】
支持部材38は、例えば、上板38aと、この上板38aの両側端部からそれぞれ当該上板38aに対して直交する方向に垂下させた両側板38b、38bと、この両側板38b、38bの先端側より内側へ折り曲げられた抱持片38c、38cで構成されており、両側板38b、38bの一端部側には、第1ヒンジピン39を挿入固定させる第1ヒンジピン軸支孔38d、38dが設けられ、その他端部側には、後述する第2ヒンジピン40を回転可能に挿入する第2ヒンジピン軸支孔38e、38eが設けられると共に、両側板38b、38bの第2ヒンジピン軸支孔38e、38eの近くには、作動部材44を逃がす切欠溝38f、38fが設けられている。支持部材38は、取付部材34の両側板34b、34bの変形装着孔34f、34fに固定した軸受部材36、36に対して回転可能に軸支させた第1ヒンジピン39の両端部をその第1ヒンジピン固定孔36b、36bへ挿入固定させることによって、取付部材34に対して回転可能に取り付けられている。指示記号41、41で示したものは、第1ヒンジピン39の両端部を挿通させつつ軸受部材36、36のフランジ部36a、36aと支持部材38の両側板38b、38bの間に介在されるフリクションワッシャーであり、第1ヒンジピン39はその一端部をかしめることによって、フリクションワッシャー41、41と軸受部材36、36のフランジ部36a、36aとの間にフリクショントルクを発生させるフリクション手段42、42を構成している。尚、このフリクション手段42、42は実施例のものにその構成を限定されるものではない。実施例1のもののように、第1摺動バネ受部材47と支持部材38との間に併用して、或は単独で設けても良い。
【0043】
指示記号43で示したものは、リフト部材であり、このリフト部材43は、上板43aと、この上板43aの両側部より下方へ垂下させた両側板43b、43bと、この両側板43b、43bの下端部より外側へ折り曲げたところの原稿圧着板33の取付板43c、43cとで構成されており、この両側板43b、43bには、その一端部側に第2ヒンジピン40を挿入固定させる第2ヒンジピン取付孔43d、43dと、後述する作動部材44を挿入固定させる作動部材取付孔43e、43eが設けられている。このリフト部材43はその第2ヒンジピン取付孔43d、43dに取り付けられる第2ヒンジピン40を介して支持部材38の第2ヒンジピン軸支孔38e、38eへ第2ヒンジピン40を介して回転可能に連結されると共に、その取付板43c、43cへ原稿圧着板3の後端部を取り付けるものである。
【0044】
このリフト部材43にはさらに、原稿圧着板3の高さ調節手段45を構成する高さ調節ネジ45aが、その上板43aに設けた雌ネジ部43fへ取り付けられており、その先端を支持部材38の上板38aに当接させている。尚、このリフト部材43にあっては、これを弾性手段49によらず、第2ヒンジピン40に環巻きさせた捩じりコイルスプリングの弾力を用いるように構成しても良い。この場合には作動部材44を省略して第2摺動バネ受部材48を支持部材38の内部へ摺動可能に収装させることが考えられる。本発明はこのような構成の原稿圧着板開閉装置であっても良い。
【0045】
付勢手段46は、この実施例2のものは、その中央部に第1スプリング収容部47aを有し、カム部47bを受圧部材37に当接させながら支持部材38に対し摺動可能に抱持片38c、38cの下側に抱えられて当該支持部材38の中に収容されたカムスライダーを兼ねる第1バネ受部材の一例としての第1摺動バネ受部材47と、その中央部に第2スプリング収容部48aを有し、そのカム部48bを作動部材に当接させつつ支持部材38に対し摺動可能に抱持片38c、38cの下側に抱えられて当該支持部材38の中に収容されたバネ受部材の一例としての第2摺動バネ受部材48と、第1摺動バネ受部材47と第2摺動バネ受部材48の間に第1スプリング収容部47aと第2スプリング収容部48aに収容されつつ弾設されたコンプレッションスプリングから成る弾性手段49と、弾性手段49と第1摺動バネ受部材47の内底部との間に設けた弾力調節手段50とで構成されている。尚、受圧部材37、第1ヒンジピン39、第2ヒンジピン40、作動部材44は、それぞれその一端部にフランジ部37a、39a、40a、44aを、他端部にかしめ部37b、39b、40b、44bを有し、それぞれ、受圧部材取付孔34g、34g、軸受部材36、36、第2ヒンジピン取付孔43d、43d、及び作動部材取付孔43e、43eから抜け出ないように係合する構成である。
【0046】
付勢手段46は、第2摺動バネ受部材の上面48bに摺圧接している作動部材44を介してリフト部材43を常に支持部材38と重なり合う方向へ回転付勢させており、この回転付勢力で支持部材38を回転付勢させ、原稿圧着板3をその開成方向へ付勢させている。リフト部材43はこれを省略させたもの、リフト部材43があっても他の付勢手段を用いるもの等がある。
【0047】
弾力調節手段50は、第1摺動バネ受部材47の内底部に設けた第1スプリング収容部47aに収容固定されたところの、基板部53aと、この基板部53aの中央部に設けた装着孔53bと、基板部53aの外周部の一方に設けられ係合凹部47dと係合させた係止片53cと、基板部53aの外周部の他端部側に設けた調節部材取付片53d、53dと、基板部53aの装着孔53bを挟んで対向位置に設けた一対のカム部53e、53eとから構成された第1調節プレート53と、基板部54aと、この基板部54aの中央部に設けた装着孔54bと、基板部54aの一端部側に設けた係止部54cと、基板部54aの装着孔54bを挟んで対向位置に設けた一対のカム部54d、54dとから構成される回転可能な第2調節プレート54と、この第2調節プレート54の係止部54cと係合した係止駒55を移動可能にネジ着させて調節部材取付片53d、53dの軸止孔53f、53fへ回転可能に取り付けた調節ネジから成る調節部材56と、平面湾曲形状を呈したカバー部材57とから構成されており、カバー部材57の湾曲部57a、57aの一方のもの、つまり、調節部材56の頭部56a側には、レンチなどの工具58の挿通溝57bが設けられている。このカバー部材57はその高さが実施例1のものと異なっているが、その役割は実施例1のカバー部材27と同じである。
【0048】
第1スプリング収容部47aは、第1調節プレート53の基板部53aに合わせた形状となっており、その中央部に突設したボス部47cを有し、このボス部47cに第1調節プレート53と第2調節プレート54の装着孔53bと54bが装着されている。そして、調節部材56は、第1摺動バネ受部材47に対して弾性手段49と交わる方向へその取付位置が定められており、第1摺動バネ受部材47の前部右側には、この調節部材56の頭部56aと係合して回転させる例えばレンチのような工具58の先端を挿入させる挿入孔59が設けられている。
【0049】
以下に実施例2に係る原稿圧着板開閉装置Cの作用効果について説明する。
【0050】
この実施例2に係る原稿圧着板開閉装置Cを用いての原稿圧着板の操作方法及びその動作については、実施例1のものと大差はないので、その説明を省略する。この原稿圧着板開閉装置Cのものも、装置本体32の後部上端右側へ取り付けられて、原稿圧着板33をその閉成状態でコンタクトガラス32a上へ圧着させ、中間開成角度において弾性手段49の弾力とフリクション手段42のフリクショントルクにより、原稿圧着板33を保持し、本のような厚物原稿に対しては、リフト部材43が弾性手段49の弾力に抗して反転して原稿圧着板33で厚物原稿の上面を水平状態で覆うことができるものである。
【0051】
ただ、原稿圧着板33の開閉操作に伴なう、第1摺動バネ受部材47と第2摺動バネ受部材48の動きが実施例1のものと異なっている。即ち、第1摺動バネ受部材47と第2摺動バネ受部材48は、支持部材38の中において摺動可能に収装されると共に、第1摺動バネ受部材47は、そのカム部47bを取付部材34の両側板34b、34b間に取り付けた受圧部材37と摺圧接させている。このことにより、第1摺動バネ受部材47と第2摺動バネ受部材48は、原稿圧着板33の開閉操作に伴ない、互いに同軸方向へ支持部材38の中で摺動し、実施例1のもののように支持部材に対して揺動しない。
【0052】
弾力調節手段50の構成は実施例1のものとカバー部材57の形状が異なるのみで後は同じであり、その作用効果も同じであるので説明を省略する。この実施例2に係る弾力調節手段50も原稿圧着板33を開いた状態で事務機器31の前側にいて第1摺動バネ受部材47の挿入孔59よりレンチ等の工具58を差し込んで調節部材56を左右いずれかの方向へ回転させて弾性手段49の弾力の調節を行うことができるものである
【0053】
尚、この実施例2に係る原稿圧着板開閉装置Cにあっては、作動部材44はピン状のもの以外に、リフト部材43の両側板43b、43b内に取り付けたピン状以外の部材、或はリフト部材43の上板43aの先端側より折り曲げた頂板に固定したもの、頂板より折り曲げて形成させたもの等のものがあり、受圧部材37は、ピン状、ローラー状のものであっても良い。
【実施例3】
【0054】
図19は、さらに原稿圧着板開閉装置のさらに他の実施例を示す。この実施例3に係る事務機器61の原稿圧着板開閉装置Dは、取付部材64が装置本体62の後部上端に設けた装着孔62bへ上下方向へ摺動可能に挿入させる脚部64cを有する点で、先の実施例1と2のものと異なっており、この取付部材64の底板64aの両側から立ち上げた両側板64b、64b(一方のみ表示)にヒンジピン65を介して筒状の支持部材66がその両側板66a、66a(一方のみ表示)を回転可能に連結させており、この支持部材66に原稿圧着板63が取り付けられている。したがって、実施例1と2のもののように、リフト部材はなく、筒状の支持部材66の中にバネ受部材の一例であるカムスライダーを兼ねる第1摺動バネ受部材67の凸部67aが、取付部材64の両側板64b、64b(一方のみ表示)の間に取り付けた受圧部材を兼ねるカム部材68のカム表面68aに圧接している。そして、第1摺動バネ受部材67と支持部材66の内底部66bとの間にコンプレッションスプリングから成る弾性手段69が弾設されることにより、原稿圧着板63の開閉操作時に、第1摺動バネ受部材67の凸部67aがカム部材68のカム表面68aに摺圧接して、原稿圧着板63の開閉トルクを制御するようになっている。
【0055】
弾力調節手段70は、第1摺動バネ受部材67内部に設けられ、当該第1摺動バネ受部材67のスプリング収容部67bの内底部に設けたボス部67cに取り付けられた第1調節プレート71と、この第1調節プレート71とに重ねられてボス部67cに取り付けられる共に弾性手段69と第1調節プレート71との間に設けた第2調節プレート72とで構成され、図示してないが実施例1と2に示された調節ネジからなる調節部材を、第1摺動バネ受部材67の同じく図示してない挿入孔より工具を差し込んで調節部材を回転させることにより、第2調節プレート72を回転させて事務機器31の前側にいて弾性手段69の弾力を調節することができるものである。
【0056】
本発明はこのような原稿圧着板開閉装置Dにも実施できるものであり、実施例1〜3に示した原稿圧着板開閉装置を適宜組み合わせて用いることが可能である。
【実施例4】
【0057】
図20は弾力調節手段の他の実施例を示す。この実施例4に係る弾力調節手段75は、実施例1や2の第1調節プレートに設けるカム部を、バネ受部材76の内底部76a内に一体に設けたカム部76b、76bで構成して、実施例1や2の第1調節プレートを省略したものである。尚、支持記号76cのものは、図示してない第2調節プレートを回転可能に取り付けるボス部であり、バネ受部材76には、工具などの挿通孔77が設けられている。この実施例4の場合、調節部材78は想像線で示したように、バネ受部材76の内底部76aに設けた収装部76dに設置される。
【0058】
このように実施すると、実施例1や2の第1調節プレートを省略してコストダウンを図ることができる。
【実施例5】
【0059】
図21は、本発明に係る弾力調節手段の他の実施例を示す。この実施例5に係る弾力調節手段80は、実施例1と2に示した調節ネジからなる調節部材がウォームギア81となっており、第2調節プレート82にこのウォームギア81と噛み合う歯部82aが該第2調節プレート82の縁部に設けられている。この実施例に係るものは、第1調節プレートがウォームギアとかみ合うようにしても良い。
【0060】
このように実施しても、本発明の目的を達成できる。
【実施例6】
【0061】
図22は、本発明に係る弾力調節手段のさらに他の実施例を示す。この実施例6に係る弾力調節手段90は、調節プレート91が1枚であり、この調節プレート91が基板部91aの中央に設けた雌ネジ部91bを、第1バネ受部材92の内底部に設けたボス部92aに設けた雄ネジ部92bを螺合させており、弾性手段93の一端部が調節プレート91上に当接している。尚、ダンパー手段を用いたものは、ダンパー手段のケース部に雄ネジ部を設け、この雄ネジ部に調節プレートに設けた雌ネジ部をネジ着させるように構成しても良い。
【0062】
調節部材の構成は、実施例1と2のものと同じであることが好ましいが、実施例5の構成のものであっても良い。調節プレート91は図示してない調節部材で実施例1や2と同じようにして左右いずれかの方向へ回転させられることにより、上下方向へ移動し、弾性手段93の弾力を調節することができるものである。
【0063】
このように構成しても、本発明の目的を達成できる。
【0064】
その他、付勢手段の弾性手段に大小のコイルスプリングを用い、実施例1のように軸方向に重ね合わせたものは、内側の弾力の弱い弾性手段のみ、弾力を調節できるように構成しても良いし、弾性手段を複数個並置させたものにも本発明に係る弾力調節手段を用いることができ、この場合はさらに、並置させた弾性手段の一方のものの弾力を本発明に係る弾力調節手段で調節するように構成しても良い。また、弾力調節手段は、第2揺動バネ受部材や第2摺動バネ受部材の側に設けても良い。また、調節部材は、バネ受部材の側部に取り付け、バネ受部材の側部に工具の挿入孔を設けることも考えられる。本発明の弾力調節手段の中にはこのような構成のものも含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は以上のように構成したので、装置本体の前側にいて工具を用いて簡単容易に弾性手段の弾力を無段階に調節することができることから、事務機器のとくに複写機の原稿圧着板開閉装置に適用して最適なものであり、またこのような校正の原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器として最適なものである。
【符号の説明】
【0066】
A 原稿圧着板開閉装置
B 原稿圧着板開閉装置
C 原稿圧着板開閉装置
D 原稿圧着板開閉装置
1、31、61 事務機器
2、32、62 装置本体
3、33、63 原稿圧着板
4、34、64 取付部材
4b、8b、13b、18b、34b、38b、43b、64b、66a 両側板
7、37 受圧部材
8、38、66 支持部材
9、39 第1ヒンジピン
10、40 第2ヒンジピン
13、43 リフト部材
14、44 作動部材
15a、45a 調節ネジ
16、46 付勢手段
17 第1揺動バネ受部材
18 第2揺動バネ受部材
19、49、69、93 弾性手段
21、50、70、75、80、90 弾力調節手段
23、53、71 第1調節プレート
24、54、72 第2調節プレート
26 調節部材(調節ネジ)
47 第1摺動バネ受部材
48 第2摺動バネ受部材
56、78 調節部材
76、92 バネ受部材
81 ウォームギア
82、91 調節プレート
82a 歯部
92b 雄ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿圧着板を有する事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材の両側板へその両側板を第1ヒンジピンを介して回動可能に取り付けられると共に前記原稿圧着板を直接或は支持部材へ第2ヒンジピンを用いて回転可能に取り付けたリフト部材を介して支持する支持部材と、前記取付部材と前記支持部材の間に当該支持部材を前記原稿圧着板の開成方向へ付勢する付勢手段とを有するものにおいて、前記取付部材か支持部材の側に前記付勢手段を構成する弾性手段のバネ受部材を設け、このバネ受部材に前記弾性手段の弾力調節手段を設け、この弾力調節手段を前記弾性手段の弾力を受けて当該弾性手段の軸方向へ移動可能と成した調節プレートを有するものとし、この調節プレートを動作させる前記弾力調節手段の調節部材を前記バネ受部材に前記弾性手段と交わる方向に設け、もってこの調節部材を前記原稿圧着板を開いた状態で前記事務機器の前側にいて操作できるように成したことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
【請求項2】
前記付勢手段を、前記取付部材の両側板の間の前記第1ヒンジピンの位置とは異なる位置に設けて受圧部材に対して揺動可能に取り付けた第1揺動バネ受部材と、前記支持部材の自由端側に設けた作動部材に対して揺動可能に取り付けられると共に、前記第1揺動バネ受部材と嵌縮可能に係合された第2揺動バネ受部材と、前記第1揺動バネ受部材と前記第2揺動バネ受部材との間に弾設された弾性手段とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項3】
前記付勢手段を、前記支持部材の中に摺動可能に設けられ、前記取付部材の両側板の間の前記第1ヒンジピンの位置とは異なる位置に設けた受圧部材に対して圧接摺動可能となるように設けた第1摺動バネ受部材と、前記支持部材の自由端側に回動可能に取り付けられたリフト部材に設けた作動部材に圧接し、当該支持部材の中に摺動可能に設けられた第2摺動バネ受部材と、前記第1摺動バネ受部材と前記第2摺動バネ受部材との間に弾設された弾性手段とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項4】
前記調節プレートは、前記バネ受部材の内底部に固定させた第1調節プレートと、この第1調節プレートに重ね合わされて回転可能に設けられた第2調節プレートとを有するものとし、前記調節部材を前記第2調節プレートを回転させる調節ネジとしたことを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項5】
前記調節部材を、前記調節プレートの外周に設けた歯部と噛み合うウォームギアとしたことを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項6】
前記第1調節プレートを、前記バネ受部材の内底部に一体に形成させたことを特徴とする、請求項1と2に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項7】
前記調節プレートを、前記バネ受部材内に設けた雄ネジ部にネジ着させ、この調節プレートを前記調節部材で回転可能となるように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の原稿圧着板開閉装置を備えたことを特徴とする、事務機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−139317(P2011−139317A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298196(P2009−298196)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】