説明

原稿読取装置

【課題】環境温度や経年変化等に起因して透過光源の輝度が変動しても、透過原稿を安定して高精度に読み取れる原稿読取装置を提供する。
【解決手段】原稿1の幅方向の外側領域を含めて原稿1に対して斜め方向から光を照射する透過光源6と、原稿1の幅よりも外側に延ばした端部を有し、原稿1を透過した光を収束するレンズ体3と、該レンズ体3を通過した光を検出する受光部7と、受光部7が検出する原稿1の画像信号を処理して出力する信号処理部9と、レンズ体3および受光部7を支持するフレーム4とを備えた原稿読取装置において、フレーム4に支持され、透過光源6から原稿1の外側領域に照射された光を反射してレンズ体3の端部に入射させる反射体4aを備え、信号処理部9は、受光部7が検出する反射体4aからの反射光に基づいて原稿1の画像信号出力を調整可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機や紙幣判別器などに用いられ、透過原稿あるいは反射原稿を読み取る原稿読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透過原稿(ポジフィルム、ネガフィルム等の光透過性シートに記録された像)などの画像情報を読み取るイメージセンサとしては、例えば、特開平6−37972号公報(特許文献1)の図2には、原稿を押圧する透明板2A、透明原稿0a用の透過光源4Aおよび反射原稿0b用の反射板16などで構成した上部移動ユニット3Aを用いた「透過原稿読み取り時の画像読み取り装置」が開示されている。
また、特開2002−366942号公報(特許文献2)の段落0038には、原稿台14の周縁縁部に高反射率均一反射面を有する反射原稿(印刷用紙や印画紙などの光反射性シートに記録された像)用白基準28が設けられると共に、フィルム(透過原稿)の読み取り時には透過原稿ユニット37の面光源部56の照射光をフィルムホルダ68、84、86の白基準窓72、91、93を通してリニアセンサ20に入射させるようにした画像読み取りシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平6−37972号公報(図2)
【特許文献2】特開2002−366942号公報(段落0038、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、透過原稿を読み取る画像読み取り装置に関するものであるが、光源の使用環境や経年変化などがあっても、安定した高品質の画像読み取りを可能とする具体的な構成については記載されていない。
従って、特許文献1に記載の従来の画像読み取り装置においては、使用環境の変化等に伴って、搭載する照明素子(発光素子)の保有するTCR(抵抗温度係数:ppm/℃)により画像出力に変化が生じ、不安定性な読み取り画質になるという課題があった。
また、長時間の使用に起因する照明素子の経年変化に伴って、輝度の低下による読み取り品質の劣化が生じるという課題もあった。
【0004】
一方、特許文献2は、読み取る原稿が反射原稿であるか透過原稿であるかを自動的に判別し、その種類に応じた適切な処理を行う画像自動読み取りシステムに関するものであるが、透過原稿に対する画像の読み取り品質を改善することに関しては記載されていない。
【0005】
この発明は、環境温度変化や経年変化などに起因して透過光源の輝度に変動が生じても、透過原稿の読取精度に影響を与えないように、透過原稿の搬送領域の外側に透過光源からの入射光を感知する領域を設け、その感知領域の検出信号に基づいて画像信号出力の大きさを制御することにより、透過原稿の読取精度の劣化を軽減できる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る原稿読取装置は、原稿の幅方向の外側領域を含めて、前記原稿に対して斜め方向から光を照射する透過光源と、前記原稿の幅よりも外側に延ばした端部を有し、前記原稿を透過した光を収束するレンズ体と、該レンズ体を通過した光を検出する受光部と、該受光部が検出する前記原稿の画像信号を処理して出力する信号処理部と、前記レンズ体および前記受光部を支持するフレームとを備えた原稿読取装置において、前記フレームに支持され、前記透過光源から前記原稿の外側領域に照射された光を反射して前記レンズ体の端部に入射させる反射体を備え、前記信号処理部は、前記受光部が検出する前記反射体からの反射光に基づいて、前記原稿の画像信号出力を調整可能としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信号処理部は、受光部が検出する反射体からの反射光に基づいて原稿の画像信号出力を調整可能としているので、環境温度変化や経年変化等に起因して透過光源の輝度が変動しても、原稿の高精度なイメージ情報を安定して読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態例について説明する。
なお、各図間において、同一符合は、同一あるいは相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による原稿読取装置に用いられる反射型イメージセンサ部分の構成を示す平面図である。
なお、反射型イメージセンサは、CIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)とも呼ばれる。
図1において、1は、透明シート、フィルム、紙幣、有価証券、小切手などであり、透かしや光透過領域を有する原稿である。
2は反射用の照明装置である反射光源、3は原稿1で反射された光を収束するロッドレンズアレイ(レンズ体)、4は反射光源2やロッドレンズアレイ3を収納する筐体(フレーム)、4aは筐体4の端部に設けられた突起部である。
なお、図中の3本の矢印は、原稿1が搬送される方向を示している。
【0009】
図2は、光透過体5の平面図であり、光透過体5は、ガラス板などの光透過性を有する透明部材、半透明部材などで構成されている。
なお、光透過体5は、CIS(反射型イメージセンサ)において、原稿1と対向させて原稿1の照射面近傍に設けられている。
図において、5aは、光透過体5の一方の端部に設けられ、表面粗度を他の領域より大きくした第1の基準参照部、5bは、光透過体5の他方の端部に設けられ、表面粗度を他の領域より大きくした第2の基準参照部、5cは光透過体5の一部を厚み方向に研削して長溝を設けた窪み部である。
なお、第1の基準参照部5aおよび第2の基準参照部5bの表面粗度を他の領域より大きくする理由については後述する。
【0010】
図3は、図1に示すCIS(反射型イメージセンサ)のA−A断面部分において、透過用の照明装置である透過光源を付加した原稿読取装置の断面図である。
図において、6は、原稿1を介してCISに対向して設置され、LED光源などを搭載し、原稿1を斜め方向から照射し、原稿1の透過領域にあるイメージ情報を散乱光として原稿1を通過させてからロッドレンズアレイ3に情報を伝達させる透過光源である。
7は、反射光源2や透過光源6の光をロッドレンズアレイ3で収束した光を、画素ごとに読み取り領域に亘って受光する半導体チップ(センサIC)などで形成された受光部である。
また、8は、受光部7を搭載するプリント配線板などで構成したセンサ基板、9は、センサ基板8に搭載され、受光部7で光電変換された信号を信号処理する信号処理部(ASIC)、10はCISの入出力信号を受け渡しするコネクタである。
なお、透過原稿のイメージ情報としての散乱光は、光透過体5の窪み部5cからロッドレンズアレイ3に入射する。
【0011】
図4は、図1に示すCISのB−B断面部分において、透過用の照明装置(即ち、透過光源6)を付加した原稿読取装置の断面図である。
図に示すように、透過光源6からの直接光(即ち、原稿1を透過しない光)は、光透過体5の第1の基準参照部5aあるいは第2の基準参照部5bに入射する。
そして、光透過体5の第1の基準参照部5aあるいは第2の基準参照部5bに入射した直接光は、筐体4の端部に設けたられた突起部4aで反射されて、ロッドレンズアレイ3に入射する。
なお、図4は、透過光源6からの直接光が第2の基準参照部5bに入射している場合を示している。
【0012】
次に、本実施の形態による原稿読取装置の全体構成について説明する。
透過光源6は、CIS本体の外部において原稿1を挟むように設けられている。
透過光源6から出射し、原稿1の透過領域(例えば透かし部分)を通過した光は、散乱光となって光透過体5の窪み部5cを介してロッドレンズアレイ3により収束される。
また、原稿1の搬送領域以外(即ち、原稿1が無い領域)に入射した透過光源6からの光は、光透過体5の基準参照部5a、5bから直接光として、図4に示す筐体4の突起部4aで反射されてからロッドレンズアレイ3で収束される。
最終的に散乱光および直接光のいずれも、ロッドレンズアレイ3によって収束された後に、受光部7により受光されて光電変換される。
なお、受光部7は、各画素の光電変換信号を順次駆動する駆動回路を含んでいる。
【0013】
次に、図5を用いて、本実施の形態による原稿読取装置の動作について説明する。
図5は、原稿読取装置の構成と動作を説明するための図であり、図5(a)は原稿読取装置の構成を示すブロック図、図5(b)は受光部7の出力信号を増幅した後のアナログ信号(SO)を示す波形図である。
図5(a)に示すように、受光部7により光電変換されたアナログ出力信号(SO)は、順次画素毎に出力され、原稿1からのイメージ情報として信号処理部9に入力される。
信号処理部(ASIC)9は、受光部7が光電変換したアナログ信号をA/D変換してデジタル信号に変換するA/D変換器91や、A/D変換後に各画素(ビット)の信号出力をシェーディング補正や全ビット補正を行う補正回路92などを組込んでいる。
【0014】
以上のように、本実施の形態による原稿読取装置は、透過光源6、ロッドレンズアレイ(レンズ体)3および受光部7によって透過型イメージセンサを構成すると共に、反射光源2、ロッドレンズアレイ3および受光部7によって反射型イメージセンサ(CIS)を構成している。
そして、この原稿読取装置は、反射光源2と透過光源6に対してロッドレンズアレイ3および受光部7を共用しており、原稿1は、光透過体5と透過光源6との間を搬送されるように構成している。
即ち、透過光源6とCISとを組合せて、全体として原稿読取装置を構成している。
【0015】
さて、本実施の形態による原稿読取装置において、反射型イメージセンサ(CIS)の内部に搭載した反射光源2を使用して原稿1のイメージ情報を読み取る場合は、透過光源6は消灯し、反射光源2を点灯させて原稿1に対して斜め方向から照射する。
原稿1により反射された反射光(散乱光)は、ロッドレンズアレイ3を介して受光部7により受光され、受光部7において光電変換される。
一方、CIS側の外部に設置した透過光源6を使用して原稿1のイメージ情報、即ち、原稿1の透かし部分や透過領域を読み取る場合には、反射光源2は消灯し、透過光源6を点灯させて原稿1を照射し、原稿1を透過した透過光はロッドレンズアレイ3を介して受光部7により受光され、受光部7で光電変換される。
【0016】
この場合にも、透過光源6の照射光は、原稿1に対して斜め方向から照射されるので、原稿1を透過した散乱光は、ロッドレンズアレイ3を介して受光部7により受光されて光電変換されることになる。
一方、光透過体5の端部に設けられた基準参照部5a、5bを介して筐体(フレーム)4の突起部4aに入射し、反射された直接光は、そのままロッドレンズアレイ3に入射され、これが透過光源6の照度(光量)を参照する参照信号となる。
【0017】
次に、参照信号について説明する。
信号処理部(ASIC)9からクロック信号(CLK)とこれに同期したスタート信号(SI)が受光部7の駆動回路に出力され、そのタイミングにより受光部7から光電変換されたアナログ信号が出力される。
図5(b)は、受光部7の出力信号を増幅した後のアナログ信号の波形を示しており、原稿1のイメージ(画像)情報、基準参照部5a、5bを通過して筐体4の突出部4aで反射する直接光から得られる参照情報、および原稿1と基準参照部5a、5bとの間で得られる情報を示している。
【0018】
アナログ信号(SO)は、信号処理部9のA/D変換器91によりデジタル信号に変換され、補正回路92によりサンプル・ホールドを含むシェーディング補正または全ビット補正などが行われる。
補正回路92による補正は、あらかじめ基準信号データを記憶したRAM93から基準信号を読み出し、A/D変換されたイメージ情報に相当するデジタル信号を演算加工することにより行う。
例えば、RAM93には予め光源のむらや各受光部のばらつきデータを収納しており、読み取り対象の原稿が白の場合は、0<各画素(受光部)<1の値をリアルデータに対して乗算して補正する。
また、読み取り対象の原稿が黒の場合や光源消灯時のばらつきも補正する場合には減算して補正する。
【0019】
透過光源6を使用する場合には、透過光源6を点灯し、反射光源2を消灯することにより、原稿1の無い状態または適度の透明原稿を透過した透過光を受光部7で受光して光電変換し、これをRAM93の基準信号データとして、実働時の補正データに適用することができる。
実働時には、通常、A/D変換もしくは補正された読み取り信号は、そのままREAL出力信号として読み取りシステム(図示なし)に送られ、画像再生もしくは画像識別が行われる。
【0020】
また、このような一連の動作は、信号処理部9におけるCPU94の制御によって行われる。
その補正データあるいは基準信号データは、受光部7やロッドレンズアレイ3における各素子間のばらつきを補正するためであるから、CIS側に搭載される反射光源2を使用することにより、従来における補正板や参照用の白色基準原稿を用いて補正データを作成してもよい。
また、図5に示すように、信号処理部9は参照信号処理部100を有している。
照信号処理部100は、RAM93に収納されたラインデータをさらに信号処理する信号処理回路95を有しており、信号処理回路95は、RAM93からRAM97(RAMa、RAMb、RAMcで構成)に収納されたラインデータと基準参照部5a、5bに対応する受光部7の光電変換出力の参照情報とを照合や比較などの演算加工をして画像出力信号(SIG)として出力する。
また、参照信号処理部100は、信号処理回路95の出力信号を可変増幅するデジタル可変増幅器96を有している。
【0021】
次に、基準参照部5a、5bについて説明する。
基準参照部5a、5bは、図1に示す「原稿1の搬送領域の両外側(即ち、搬送される原稿1が無い領域)」において、図2に示すように光透過体5の表面に形成されている。
原稿1が反射原稿である場合は透かし領域が無いので、透過光源6から出射した光は反射原稿においてほとんど反射され、受光部7には入射しないため、ここでは原稿1が透過原稿である場合について説明する。
透過光源6から出射した光は、原稿1の透過領域を通過した後に、受光部7に入射する一方、原稿1の幅が狭いときには、原稿1の外側を通過して光透過体5から受光部7に直接入射する光もある。
【0022】
図6は、透過光源6によって原稿1を読み取った場合におけるCIS側の光電変換後のデジタル変換した出力波形を示した波形図である。
本実施の形態では、受光部7の分解能を400dpi(配列ピッチ0.0635mm)とし、画素数1536ビット(素子)の場合について説明する。
出力波形の出力値は、A/D変換された補正後の出力を8ビット分解能(256段階/digit)で表示し、数値が高いほど光電変換出力は高いものとする。
図6では、CISの主走査方向の全読み取り幅に対して、まず、透過光が光透過体5の端部に設置した基準参照部5aに対応する受光部7の領域(画素位置1〜64付近)に入射した光電変換出力波形を表現している。
次に、順次、原稿1が無い領域を読み取り、原稿1がある領域を読み取り(即ち、原稿のイメージ情報を読み取り)、他端側の原稿1が無い領域を読み取り、最後に光透過体5の他端に設置した参照基準部5bに対応する受光部7(画素位置1473〜1536付近)の領域に入射した光電変換出力波形を表現している。
【0023】
図6に示すように、1ライン(第nライン)を読み取った後は、ブランキング期間を設け、次のライン(第n+1ライン)を読み取る。
各ラインで読み込んだ基準参照部5aおよび5bに対応する画素位置の情報は、それぞれ図5に示したRAM97のRAMaおよびRAMbに記憶される。
また、光透過体5上の搬送領域を搬送される原稿1の読取データ(イメージ情報)は、RAMcに記憶される。
本実施の形態では、この基準参照部5a、5bからの参照信号を用いて原稿の読み取り信号を制御し、参照信号の出力が所定範囲の上限側に漸近する場合には図5に示すデジタル可変増幅器96の増幅率を漸減し、下限側に漸近する場合にはデジタル可変増幅器96の増幅率を漸増させるように制御する。
【0024】
基準参照部5a、5bは、光透過体5の表面をフッ酸などで表面を粗化させる化学的処理あるいはサンドブラスト法などの物理的研削処理によって光透過体5の表面部分を粗化し、約0.02mmp−pの凹凸部を形成している。
このように形成した基準参照部5a、5bに光が入射すると、直接光の一部は散乱反射するため光透過率を低下させることができ、これによりCIS側の出力波形は飽和状態にならないようにすることができる。
【0025】
また、基準参照部5a、5bは、ハード的には、読み取る原稿1の平均的な光透過率に合わせるために使用するものである。
即ち、原稿1の光透過率が高い場合には、表面粗化による光の散乱を多くして基準参照部5a、5bの光透過率を低下させ、原稿1の光透過率が低い場合には、表面粗化による光の散乱を低下させて基準参照部5a、5bの光透過率を上げることが可能となる。
つまり、基準参照部5a、5bを設けることによって、反射体である突起部4aに入射する光の強さは、原稿1の平均的な光透過率に応じて調整可能である。
一方、ソフト的には、基準参照部5a、5bは、読み取る原稿1に対して原稿1が無い領域の出力値が飽和値である場合には、原稿読み取り領域の出力を飽和値以下の適切なダイナミックレンジ幅で読み取る。
【0026】
他方、原稿1が無い領域の出力値が飽和値以下にあっては、原稿読み取り領域の出力値を増幅して適切なダイナミックレンジ幅で読み取る参照情報を提供する役割も果たすものである。
即ち、光の照射量の比較的少ない透過光源6である場合には、原稿1が無い領域の出力値は小さいので、原稿読み取り領域の出力を後段のデジタル可変増幅器96で増幅しダイナミックレンジ幅を広げる参照情報を提供する。
【0027】
また、基準参照部5a、5bは、読み取る原稿1に対して原稿1が無い領域の出力値と原稿読み取り領域の出力値とを明瞭に区分けして読み取らせる役目を有している。
即ち、基準参照部5a、5bは表面粗化されているものの、原稿1が無い領域同様に、原稿1が通過しないので、その光透過率から原稿1が無い領域の出力値を推定する参照情報を提供するためのものでもある。
【0028】
なお、基準参照部5a、5bは光透過体5の表面を表面粗化して透過光源6からの直接光の入射を調整するようにしたが、基準参照部5a、5bの代わりに筐体4の突出部4aで反射する光を調節し、参照情報とすることでも同様な効果を奏する。
即ち筐体4の突出部4aの反射面を印刷手段で黒色とすることにより最小反射量の調整が可能である。
また、本実施の形態では筐体4と突出部4aは一体化されている場合に説明したが、突出部4aに対応する位置に専用の反射板を取り付けて光量調整しても良い。
【0029】
本実施の形態によれば、透過原稿の読み取り時において、斜め方向から原稿に照射する透過光源からの直接光に対して原稿読取領域の外側に透過光源6からの直接光の光量を調節する光を調整反射する領域を設け、この参照信号を用いて原稿の読み取り信号を制御し、参照信号の出力が所定範囲の上限側に漸近する場合には増幅率を漸減し、下限側に漸近する場合には増幅率を漸増させるように信号処理部で制御するので、使用環境や経年変化による照明素子の輝度変化が生じても、読み取り品質を劣化させない画像読取装置を得ることが可能となる。
また、原稿読取領域においては受光部7に直接光を入射させず散乱光によるイメージ情報を入射させるので、高分解能の画像情報を得ることも可能となる。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態による原稿読取装置は、原稿1の幅方向の外側領域を含めて、原稿1に対して斜め方向から光を照射する透過光源6と、原稿1の幅よりも外側に延ばした端部を有し、原稿1を透過した光を収束するレンズ体3と、該レンズ体3を通過した光を検出する受光部7と、該受光部7が検出する原稿1の画像信号を処理して出力する信号処理部9と、レンズ体3および受光部7を支持するフレーム(筐体)4とを備えた原稿読取装置において、フレーム4に支持され、透過光源6から原稿1の外側領域に照射された光を反射してレンズ体3の端部に入射させる反射体(突起部)4aを備え、信号処理部9は、受光部7が検出する反射体(突起部)4aからの反射光に基づいて、原稿1の画像信号出力を調整可能としている。
【0031】
従って、本実施の形態によれば、信号処理部は、受光部が検出する反射体からの反射光に基づいて原稿の画像信号出力を調整可能としているので、環境温度変化や経年変化などに起因して透過光源の輝度が変動しても、原稿の高精度なイメージ情報を安定して読み取ることができる。
また、原稿の搬送領域の外側において、原稿を透過しない直接光を反射させ、その反射光をレンズ体の端部に入射させ、これを参照信号に用いることにより光量の制御を行うと共に、透過光源は原稿の照射部に対して斜め方向から照射するため、散乱光により原稿のイメージ情報を読み取ることから、不要な直接光の入射がなくなり高精細にイメージ情報を読み取ることが可能となる。
【0032】
また、本実施の形態では、反射体(突起部)4aに入射する光の強さは、原稿1の光透過率に応じて調整可能である。
従って、受光部7から出力する原稿のイメージ情報波形が飽和するのを防止できる。
また、本実施の形態では、原稿1に対して透過光源6と反対側に配置され、原稿1に光を照射する反射光源2を更に備え、原稿1で反射する反射光源2からの光をレンズ体3で収束させる。
従って、原稿が透過原稿の場合は、環境温度変化や経年変化などに起因して透過光源の輝度が変動しても、原稿の高精度なイメージ情報を安定して読み取れると共に、原稿が反射原稿の場合でも、原稿のイメージ情報を読み取ることができる。
【0033】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、反射光源2は蛍光ランプや冷陰極管であったが、このような反射光源2に代えて、図7に示すような断面が円形の棒状光源を用いてもよい。
図7に示すように、本実施の形態における光源は、光学波長の異なる複数のLED素子(例えば、赤色LED素子、緑色LED素子および青色LED素子)が組み込まれた光源ユニット(LEDボード)21と導光体(光カイドとも称す)22で構成される。なお、光源ユニット21は導光体22の両端に設けてもよい。
図8は、実施の形態2による原稿読取装置に用いられる反射型イメージセンサ部分の構成を示す平面図である。
また、本実施の形態における透過光源(図3および図4の透過光源6に相当する)も、図7に示した光源と同様の構成となっている。
なお、光源ユニット21に組み込まれる光学波長の異なる複数のLED素子は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色のLED素子にかぎ限られるものではなく、2種類(例えば、緑色と赤外線など2色)のLED素子や4種類(例えば、R、G、B、IR)のLED素子であってもよい。
本実施の形態による画像読取装置は、実施の形態1における透過光源あるいは反射光源に代えて、光学波長の異なる複数の複数のLED素子(例えば、R、G、B3色のLED素子)が組み込まれた光源ユニット21と原稿1の幅方向に延びる導光体22で構成された光源を用いることを特徴とする。
【0034】
例えば、本実施の形態による原稿読取装置は、原稿1の搬送方向に対して直交する方向に延長し、原稿1の照射部に光を照射する導光体22と、この導光体22の端部に設けた光源ユニット21と、導光体22に対向して配置し、原稿1の幅よりも外側に延びた端部を有するレンズ体(ロッドレンズアレイ)3と、このレンズ体3を通過した光を検出する受光部7を配列したセンサ基板8と、導光体22、レンズ体3およびセンサ基板8を支持する筐体(フレーム)4と、原稿1に対してレンズ体3と反対側に配置し、原稿1の照射部に対して斜め方向から光りを照射する透過光源(即ち、光源ユニット21と導光体22で構成された光源)と、原稿1の幅の外側において透過光源体の光を反射させてその反射光をレンズ体3の端部に入射するようにフレーム(筐体)4に支持された反射体(突起部)4aとを備えている。
【0035】
また、本実施の形態による原稿読取装置は、基板に光学波長の異なる複数のLED素子(例えば、RGB3色のLED素子)が組み込まれた光源ユニット21と、この光源ユニット21の光を原稿の照射部に導く導光体22と、原稿1の幅よりも外側に延長した端部を有するレンズ体3と、このレンズ体3を通過した光を検出する受光部7を配列したセンサ基板8と、光源ユニット21と導光体22を支持するフレーム4と、原稿1に対してレンズ体3と反対側に配置し、原稿1の照射部に対して斜め方向から光を照射する透過光源(即ち、光源ユニット21と導光体22で構成された光源)と、原稿1の幅の外側において透過光源の光を反射させてその反射光をレンズ体3の端部に入射するようにフレーム(筐体)4に支持された反射体(突起部)4aとを備えている。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態による原稿読取装置の透過光源は、光学波長の異なる複数のLED素子(例えば、RGB3色のLED素子)が組み込まれた光源ユニット21と、この光源ユニット21から出射する光学波長の異なる複数の光を原稿1の照射面に導く導光体22で構成されている。
従って、導光体22は、その外表面から光学波長の異なる複数のLED光を原稿に向かって放射するので、透過原稿のカラー画像の読み取りが可能となり、更に精度の高い原稿読取装置を得ることができる。
【0037】
なお、前述した実施の形態1および2では、主として原稿1が透過原稿であり、主として透過原稿の画像を読み取る場合について説明したが、原稿1に対して透過光源と反対側に配置され、原稿1に光を照射する反射光源2を更に備えて、原稿1で反射する反射光源からの光をレンズ体3で収束させてもよい。
これにより、原稿1が透過原稿である場合には透過光源を点灯し、原稿1が反射原稿である場合には反射光源を点灯させることが可能となるので、原稿が透過原稿あるいは反射原稿のいずれの場合にも原稿1のイメージを得ることができる。
特に、反射光源が、透過光源と同様に、光学波長の異なる複数のLED素子(例えば、RGB3色のLED素子)が組み込まれた光源ユニット21と、この光源ユニット21から出射する光学波長の異なる複数の光を原稿1の照射面に導く導光体22で構成されている場合は、反射原稿のカラー画像の読み取りが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、環境温度変化や経年変化等に起因する光源の輝度変動の影響を軽減できる高精度な原稿読取装置の実現に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態1による原稿読取装置のCIS部分の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による原稿読取装置の光透過体の構成を示す図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】実施の形態1による原稿読取装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態1による原稿読取装置において、透過光源により原稿を読み取った場合におけるCIS側の光電変換後のデジタル変換した出力波形を示す図である。
【図7】実施の形態2による原稿読取装置の光源を説明するための図である。
【図8】実施の形態2による原稿読取装置のCIS部分の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 原稿 2 反射光源
3 ロッドレンズアレイ(レンズ体)
4 筐体(フレーム) 4a 突起部(反射体)
5 光透過体 6 透過光源
7 受光部 8 センサ基板
9 信号処理部 21 光源ユニット
22 導光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の幅方向の外側領域を含めて、前記原稿に対して斜め方向から光を照射する透過光源と、前記原稿の幅よりも外側に延ばした端部を有し、前記原稿を透過した光を収束するレンズ体と、該レンズ体を通過した光を検出する受光部と、該受光部が検出する前記原稿の画像信号を処理して出力する信号処理部と、前記レンズ体および前記受光部を支持するフレームとを備えた原稿読取装置において、
前記フレームに支持され、前記透過光源から前記原稿の外側領域に照射された光を反射して前記レンズ体の端部に入射させる反射体を備え、
前記信号処理部は、前記受光部が検出する前記反射体からの反射光に基づいて、前記原稿の画像信号出力を調整可能としたことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記反射体に入射する光の強さは、前記原稿の光透過率に応じて調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記反射体は、前記レンズ体の端部を挟むように、その両側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記反射体は、前記レンズ体の両端部に対応して配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
前記透過光源は、光学波長の異なる複数のLED素子が組み込まれた光源ユニットと、該光源ユニットから出射する光学波長の異なる複数の光を前記原稿の照射面に導く導光体とで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記原稿は、透かし部を有する紙幣であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記原稿に対して前記透過光源と反対側に配置され、前記原稿に光を照射する反射光源を備え、前記原稿で反射する反射光源からの光を前記レンズ体で収束させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記反射光源は、光学波長の異なる複数のLED素子が組み込まれた光源ユニットと、該光源ユニットから出射する光学波長の異なる複数の光を前記原稿の照射面に導く導光体とで構成されていることを特徴とする請求項7に記載の原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−301353(P2008−301353A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146987(P2007−146987)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】