説明

厨芥処理装置

【課題】 厨芥処理装置において、人の手によらない自動的な清掃を、短時間で効率的に行うことを可能とする。
【解決手段】 本発明では、厨芥を粉砕する粉砕モード運転と、貯留室内及び排出室内を清掃する清掃モード運転と、を実行可能であり、前記清掃モード運転においては、粉砕部を一の方向に一定時間回転させた後に一定時間停止させる動作を、繰り返し行うこととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨芥処理装置に関し、特に、シンクの排水口に設けられ、投入された厨芥を粉砕し、粉砕された厨芥を洗浄水と共に排出する厨芥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厨芥処理装置においては、粉砕対象が厨芥であることから、使用の都度、又は定期的に清掃を行う必要がある。
清掃を行わずに放置すると、雑菌の発生により異臭を発する。更に取り付け場所が主にキッチンのシンク排水口であることから、雑菌の発生は衛生上も大きな問題となる。
従来の厨芥処理装置では、このような洗浄は厨芥処理装置の投入口から手を入れて、たわしやブラシによる手動の清掃作業を行うことで実施されるのが一般的であった。
このような場合、厨芥処理装置内部の突起物や刃によって、清掃作業を行う者が手に怪我をしてしまう恐れがあるという問題があった。
【0003】
また、厨芥処理装置が行う動作として、通常の粉砕モードとは別に清掃モードを設けることで、清掃を自動的に行うことができるものも提案されている(例えば特許文献1参照)。
かかる清掃モードによれば、清掃作業を行う者が手に怪我をする恐れは無い。
しかし、この場合、清掃モードの実行中は処理室内部の回転軸を一定方向に一定速度で回転させるものであるため、清掃の効率が悪く、清掃に長時間を要してしまうという問題があった。
【0004】
また、かかる清掃モードの実行中は、粉砕モード実行時とは逆方向に回転軸を回転させることで、洗浄水が滞留する効果を生じさせるものの、その効果は十分なものではなかった。このため、洗浄水を多量に供給したとしても、滞留水が少ない状態で非効率な清掃しか行えないという問題があった。
【特許文献1】特開2007−175645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、効率の良い清掃を行うことができる厨芥処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、厨芥投入口と、前記厨芥投入口に連通し、未粉砕の厨芥が貯留される貯留室と、前記貯留室の下方に設けられ、回転駆動されることにより厨芥を粉砕する粉砕部と、前記粉砕部の下方に設けられ、粉砕された厨芥が流入する排出室と、前記粉砕部と一体となって回転し、前記排出室内の厨芥を攪拌する攪拌部と、前記排出室に設けられ、粉砕された厨芥を外部に排出するための排出口と、前記粉砕部を駆動させる駆動手段と、前記駆動手段の動きを制御する制御手段と、を有し、洗浄水を給水しながら動作させる厨芥処理装置において、前記制御手段は、厨芥を粉砕する粉砕モード運転と、前記貯留室内及び前記排出室内を清掃する清掃モード運転と、を実行可能であり、前記清掃モード運転においては、前記粉砕部を一の方向に一定時間回転させた後に一定時間停止させる動作を、繰り返し行うこととした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、貯留室内及び排出室内に多量の滞留水を保持しながら、効率のよい清掃動作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による厨芥処理装置、及びこれを設置したシンク全体を示す断面図である。
【図2】図1のII−II断面図であり、排出室を切断して示す斜視断面図である。
【図3】粉砕モード運転におけるモータの駆動のタイムシークェンスを示すグラフである。
【図4】清掃モード運転におけるモータの駆動のタイムシークェンスを示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態による厨芥処理装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、厨芥投入口と、前記厨芥投入口に連通し、未粉砕の厨芥が貯留される貯留室と、前記貯留室の下方に設けられ、回転駆動されることにより厨芥を粉砕する粉砕部と、前記粉砕部の下方に設けられ、粉砕された厨芥が流入する排出室と、前記粉砕部と一体となって回転し、前記排出室内の厨芥を攪拌する攪拌部と、前記排出室に設けられ、粉砕された厨芥を外部に排出するための排出口と、前記粉砕部を駆動させる駆動手段と、前記駆動手段の動きを制御する制御手段と、を有し、洗浄水を給水しながら動作させる厨芥処理装置において、前記制御手段は、厨芥を粉砕する粉砕モード運転と、前記貯留室内及び前記排出室内を清掃する清掃モード運転と、を実行可能であり、前記清掃モード運転においては、前記粉砕部を一の方向に一定時間回転させた後に一定時間停止させる動作を、繰り返し行うことを特徴とする厨芥処理装置である。
この厨芥処理装置によれば、清掃モードにおいては粉砕部が短時間の回転、及び停止を繰り返すため、粉砕部の回転による遠心力により洗浄水が過剰に流出してしまうことが防止できる。この結果、貯留室内及び排出室内に多量の滞留水を保持しながら、効率のよい清掃動作を行うことが可能となる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記排出口は、前記粉砕部の回転軸を中心とする円のほぼ接線方向に向くように形成されており、前記清掃モード運転においては、前記排出室内の洗浄水が前記排出口から流出するのを、前記攪拌部によって妨げる方向に前記粉砕部が回転することを特徴とする厨芥処理装置である。
この厨芥処理装置によれば、攪拌部の回転によって、排出口からの洗浄水の流出が妨げられる。従って、貯留室内及び排出室内により多量の滞留水を保持しながら、効率のよい清掃動作を行うことが可能となる。
【0011】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、図1乃至図3を参照して、本発明の一実施形態による厨芥処理装置を説明する。図1は、本発明の一実施形態による厨芥処理装置、及びこれを設置したシンク4全体を示す断面図であり、図1(b)には図1(a)の厨芥処理装置部を拡大した断面図を示している。
また、図2は、図1のII−II断面図であり、排出室9を切断して示す斜視断面図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による厨芥処理装置1は、厨芥を投入する厨芥投入口2が、流し台(図示せず)のシンク4の底面に開口するように設置される。また、シンク4の近傍には水栓6が設けられており、厨芥処理装置1によって厨芥を粉砕する際及び清掃する際に、この水栓6から洗浄水が供給される。
【0013】
さらに、本実施形態の厨芥処理装置1は、厨芥投入口2を上方に形成した貯留室8と、この貯留室8の中に配置された回転板10と、この回転板10を回転駆動する駆動手段であるモータ12と、貯留室8下部の、回転板10の下側に設けられ、粉砕された厨芥が流入する排出室9、及び厨芥を排出室9から排水管(図示せず)に排出する排出口14と、を有する。
【0014】
また、貯留室8の下部の内壁面には固定刃16が取付けられている。さらに、回転板10の上面には、2つのスイングハンマ18がシャフト18aを中心に回転可能に取付けられている。また、モータ12の回転軸12aの中間部には、回転板10の下に落ちた厨芥を粉砕するブレード20a及び排出室9内の洗浄水を攪拌する攪拌部20bが取付けられ、これらは、回転軸12aから放射方向に延びている。本実施形態において、回転板10、スイングハンマ18及びブレード20aは、粉砕部を構成する。
【0015】
また、厨芥処理装置1は、制御手段であるコントローラ22を有し、コントローラ22は、厨芥投入口2に設けられた磁気検出素子24の検出信号に基づいて、モータ12を作動させるように構成されている。
【0016】
貯留室8は、上方に円形の厨芥投入口2が開口した概ね円錐台状に形成されている。また、厨芥投入口2は、シンク4の排水口30を兼ねており、シンク4内の水は厨芥投入口2から貯留室8に入り、排出室9、及び排出口14を介して排水管(図示せず)に排水されるように構成されている。
【0017】
また、回転板10は、貯留室8の下部に水平に支持された金属製の円板である。さらに、回転板10は、その中心がモータ12の回転軸12aにネジ止めされており、モータ12によって回転駆動される。また、回転板10には、それを直角に貫通するように、2本のシャフト18aが取付けられている。シャフト18aは、回転板10の上面側において、金属製のスイングハンマ18を回転可能に支持している。スイングハンマ18は、概ね直方体のブロック状であり、一端にシャフト18aが通されている。また、スイングハンマ18の底面は平面であり、先端に向かって厚さが厚く形成されている。また、スイングハンマ18の長さは、スイングハンマ18が、回転板10の半径方向外方に向けられたとき、その先端が回転板10の周縁とほぼ一致するように設定されている。
【0018】
一方、図1に示すように、貯留室8の中間部の内壁には、回転板10を取り囲むように、金属製の固定刃16が取付けられている。固定刃16には、円周方向に等間隔に多数の切り抜き部(図示せず)が形成されている。厨芥は、固定刃16の各切り抜き部(図示せず)のエッジと、スイングハンマ18の間に押し込まれることにより粉砕される。
【0019】
次に、図2を参照して、回転板10の下部、及びそこに形成された排出室9の構成を説明する。
図2に示すように、排出口14は、排出室9の側面部に水平方向に向けて形成された円筒状の管路であり、その先端は排水管(図示せず)に接続されている。また、排出口14は、回転板10を回転させるモータ12の回転軸12aを中心とする円のほぼ接線方向に向くように形成されている。このため、回転軸12aが図2の矢印D1方向に回転されると、排出室9内の洗浄水は攪拌部20bによって攪拌され、排出口14からの排水が抑制される。これにより、洗浄水は貯留室8内、及び排出室9内に滞留される。一方、回転軸12aが矢印D2方向に回転すると、洗浄水の排出口14からの排水が促進され、排出室9内の洗浄水は速やかに排出される。
【0020】
コントローラ22は、磁気検出素子24の検出信号に基づいて、厨芥処理装置1の粉砕モード運転又は清掃モード運転を実行するように構成されている。コントローラ22は、具体的には、マイクロプロセッサ、メモリ及びそれに記憶されたプログラム(以上図示せず)等により構成される。コントローラ22による制御の詳細は後述する。
【0021】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の第1実施形態による厨芥処理装置1の粉砕モード運転及び清掃モード運転における作用を説明する。図3は粉砕モード運転におけるモータ12の駆動のタイムシークェンスを示すグラフであり、図4は清掃モード運転におけるモータ12の駆動のタイムシークェンスを示すグラフである。
【0022】
まず、図3を参照して、本実施形態による厨芥処理装置1の粉砕モードにおける作用を説明する。
厨芥処理装置1を粉砕モードで起動させ、厨芥を粉砕するには、まず、粉砕すべき厨芥を厨芥投入口2から貯留室8に投入する。投入された厨芥は、回転板10の上に載せられる。次に、使用者は、厨芥投入口2の蓋体(図示せず)を厨芥投入口2に嵌め込みながら、蓋体を回動させる。蓋体には、磁石(図示せず)が埋め込まれており、厨芥投入口2に取付けられている磁気検出素子24が、蓋体が回動されたことを検知する。この操作が行われると、磁気検出素子24は、厨芥処理装置1を粉砕モードで起動させるための粉砕モード起動信号をコントローラ22に送る。このように、本実施形態の厨芥処理装置1では、蓋体の操作によってモータ12が起動されるため、使用者が貯留室8内に手を入れた状態でモータ12が回転されることはない。
【0023】
さらに、使用者は、水栓6の操作部6bを操作して、吐水口6aから吐水させ、貯留室8内に洗浄水を供給する。図3に示すように、磁気検出素子24からの粉砕モード起動信号がコントローラ22に入力されると、コントローラ22は、モータ12を起動させ、厨芥の粉砕を開始する。モータ12が起動され、回転板10が回転されると、回転板10上の厨芥は、固定刃16とスイングハンマ18の間で粉砕され、粉砕された厨芥は、洗浄水と共に回転板10の下側である排出室9に流入する。回転板10の下に流入した厨芥は、ブレード20aによってさらに粉砕され、洗浄水と共に排出口14から排水管(図示せず)へ排出される。
【0024】
図3に示すように、コントローラ22は、まず、モータ12をD1方向(図2)に約3秒間逆転させ、モータ12を約1秒間停止させた後、D2方向(図2)に約3秒間正転させる。次いで、この手順をもう1回繰り返した後、モータ12を約15秒間逆転させる。モータ12をD1方向に逆転させると、洗浄水は貯留室8内に滞留され、滞留した洗浄水の中で、厨芥はさらに微粉砕される。コントローラ22は、この後、さらにモータ12の逆転、正転を1回ずつ行い、モータ12を停止させる。モータ12のD2方向(図2)の正転は、回転板10の下に落ちた厨芥及び洗浄水の排出口14からの排出を促進させ、粉砕された厨芥及び洗浄水は速やかに排水管(図示せず)へ排出される。次いで、使用者は、水栓6を閉鎖させ、水栓6からの吐水を停止させて1回の粉砕モードの運転が終了する。
【0025】
尚、運転モード動作の終了時期としては、本実施例のように逆転、停止の繰り返し回数を固定する方法の他、回転中におけるモータ電流を監視し、最大電流値のばらつきが所定範囲内になったことを検知してから停止させる方法も考えられる。
この場合、貯留室8及び排出室9内部に残留する厨芥の状態を、モータ12に係る負荷の変動幅として間接的に観察することができるため、モータ12に係る負荷変動量、即ちモータ電流の変化率が略一定と判断された時点で、残留する厨芥が全て排出されたと推定するものである。
【0026】
このような方式によれば、厨芥が全て排出され、それ以上の粉砕モード運転が不要になった時点で動作を終了できるため、無駄な動作を防止できる。
一方、モータ電流に影響を与えない程度の微量な厨芥が残留する場合も考えられるため、本実施例のように繰り返しの回数を固定するほうがよい場合もある。
従って別の実施形態として、モータ電流の変動幅が一定になったことを検知するまで運転を行った後、それに続いて一定回数(例えば5回)の繰り返し動作を行うということも考えられる。
【0027】
また、厨芥処理装置1の粉砕モード運転が実行された場合においても、貯留室8に洗浄水が供給され、この洗浄水が貯留室8内及び排出室9内に滞留されながら攪拌されるため、貯留室8内及び排出室9内を清掃する効果をある程度期待することができる。即ち、厨芥処理装置1を起動させていない間に貯留室8内等に付着した汚れは、厨芥処理装置1を粉砕モードで運転した際に生じる洗浄水の流れによりある程度取り除かれる。従って、一般に、厨芥処理装置1を粉砕モードで運転した場合には、厨芥処理装置1を全く運転しない場合よりも、汚れが堆積する量は少なくなる。
【0028】
次に、図4を参照して、本実施形態による厨芥処理装置1の清掃モードにおける作用を説明する。
厨芥処理装置1の清掃モード運転を実行させるには、蓋体(図示せず)を厨芥投入口2に嵌め込みながら、蓋体をダブルクリックの要領で素早く二回回動させる。蓋体をこのように操作すると、磁気検出素子24は、清掃モード起動信号をコントローラ22に送る。
【0029】
清掃モード起動信号が検知されると、まず、コントローラ22は、モータ12を逆転、即ち図2のD1方向に5秒間回転させ、その後停止させる。停止してから3秒間待機した後、再び同じ方向(逆転)に5秒間回転させる。
本実施例における清掃モードの動作では、上記のように5秒間回転、3秒間停止を繰り返し、この繰り返し回数が所定回数(例えば14回)に達した時点で清掃モード運転を終了する。
【0030】
洗浄モード運転では、洗浄に最適化した運転条件を設定しており、厨芥を誤投入したまま洗浄モード運転された場合、装置の故障、粉砕不良、騒音振動などのトラブルが考えられるため、該洗浄モード運転では、運転初期におけるモータ負荷量を観測して、異常と判断された場合は、運転を停止して使用者に異常を報知し、正常と判断された場合には洗浄モードを継続するようにしている。
また洗浄モード動作の終了時期としては、本実施例のように所定の運転回数を決めてその回数が終了した時点とするほかに、洗浄終了の検出機構を設け、該検出機構の判断により終了することも可能である。
【0031】
次に、本実施例における清掃モード運転を、上記のように一定時間逆転、一定時間停止を繰り返し行うこととした理由について説明する。
従来のように、回転板10を図2のD2方向(逆転)に、一定回転数のまま継続させる場合、貯留室8、及び排出室9内部の洗浄水は、回転板10の回転速度と同程度の速度で回転するため、洗浄水には大きな遠心力が長時間に渡って作用することになる。かかる遠心力は、排出口14から洗浄水が排出されるのを促進するように働く。このため、清掃モード運転中においても洗浄水は厨芥投入口2から供給され続けてはいるが、貯留室8及び排出室9内部に定常的に滞留される洗浄水の量は僅かなものとなり、洗浄の効率は低下してしまうこととなる。
【0032】
尚、回転板10の回転方向を図2のD2方向(逆転)としたことで、攪拌部20bによって洗浄水が排出口14から排出されるのを妨げる効果が得られるが、遠心力によって排出口14からの排出が促進される効果のほうが大きいため、貯留室8及び排出室9内部に定常的に滞留される洗浄水の量は結局僅かなものとなってしまう。
【0033】
それに対して本実施例の場合、短時間の逆転動作、及び短時間の停止を繰り返し行うため、洗浄水に作用する遠心力は一定とならず、間欠的に作用することとなる。従って、洗浄水の排出が遠心力によって促進される効果が小さくなり、更に、攪拌部20bによって洗浄水の排出が妨げられる効果も影響するため、貯留室8及び排出室9内部に滞留される洗浄水の量は、従来に比べて多くなる。
この結果、本実施例における清掃モードにおいては、多量の洗浄水による厨芥の除去、それに続く洗浄水の排出、が繰り返されることとなり、効率的な清掃が行われる。
【0034】
次に、清掃モードにおける回転速度について説明する。
発明者らが、回転板10の回転速度と洗浄性との関係を実験で確認したところによると、洗浄性が最大となる最適な回転速度が存在することを発見した。
かかる最適な回転速度より小さい速度では洗浄性が小さくなり、かかる最適な回転速度より大きい速度であっても洗浄性が小さくなる。
また、このような最適な回転速度は、貯留室8及び排出室9の形状によって異なることも発見した。
【0035】
清掃モード運転中、回転板10が回転している間においては、洗浄水は遠心力を受けるため、貯留室8及び排出室9の側面に沿って、回転板10の回転速度近くの流速で流れることになる。かかる流れは、流速が小さければ略層流となり、流速が大きければ略乱流となる。
【0036】
一般には流速が大きいほど高い洗浄性が得られるが、流速が大きくなりすぎて流れが乱流となると、洗浄性が著しく低下してしまうことがわかった。この様な現象のメカニズムは不明であるが、乱流が形成された状態においても壁面近くでは境膜状の層流となっており、壁面近くの洗浄効果は、全体が層流である場合と比較して、悪化するものと思われる。
従って、回転板10の回転速度を上げて行き、層流から乱流に遷移する領域の回転速度が、上記の最適な回転速度ということになる。
【0037】
上述の最適な回転速度は、以下のように算出される。
流体の流れが層流となるか、乱流となるかは、レイノルズ数によって判断される。レイノルズ数Reは、流路の代表長さをL、流速をU、流体の比重をρ、流体の粘度をμとしたときに、(数1)で定義される無次元数である。厨芥処理装置の場合、流路の代表長さLとしては、図5における貯留室内寸法パラメータaとbを用いて(数2)で定義したLを算出し用いるとよい。
【数1】

【数2】

【0038】
平板上を流れる流体については、レイノルズ数が約500000となる流速が、層流から乱流に遷移する流速である。本実施例においては代表長さLが約30mmで、貯留室8の直径は約150mmである。これらに加え、一般に知られる水の比重及び粘度を用いてレイノルズ数が500000となるための流速Uを求め、更にその流速Uを回転速度に換算した場合、約1800回転/分であることが算出される。
従って、本実施例における清掃モードの動作は、回転板10を1800回転/分で5秒間回転させた後、3秒間停止させることを繰り返すこととしている。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができることは言うまでもない。

【符号の説明】
【0040】
1…本発明の一実施形態による厨芥処理装置
2…厨芥投入口
4…シンク
6…水栓
6a…吐水口
6b…操作部
8…貯留室
9…排出室
10…回転板
12…モータ
12a…回転軸
14…排出口
16…固定刃
18…スイングハンマ
18a…シャフト
20a…ブレード
20b…攪拌部
22…コントローラ
24…磁気検出素子
30…排水口
a …代表寸法のパラメータ
b …代表寸法のパラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨芥投入口と、
前記厨芥投入口に連通し、未粉砕の厨芥が貯留される貯留室と、
前記貯留室の下方に設けられ、回転駆動されることにより厨芥を粉砕する粉砕部と、
前記粉砕部の下方に設けられ、粉砕された厨芥が流入する排出室と、
前記粉砕部と一体となって回転し、前記排出室内の厨芥を攪拌する攪拌部と、
前記排出室に設けられ、粉砕された厨芥を外部に排出するための排出口と、
前記粉砕部を駆動させる駆動手段と、
前記駆動手段の動きを制御する制御手段と、
を有し、洗浄水を給水しながら動作させる厨芥処理装置において、
前記制御手段は、厨芥を粉砕する粉砕モード運転と、前記貯留室内及び前記排出室内を清掃する清掃モード運転と、を実行可能であり、
前記清掃モード運転においては、
前記粉砕部を一の方向に一定時間回転させた後に一定時間停止させる動作を、繰り返し行うことを特徴とする
厨芥処理装置。
【請求項2】
前記排出口は、前記粉砕部の回転軸を中心とする円のほぼ接線方向に向くように形成されており、
前記清掃モード運転においては、前記排出室内の洗浄水が前記排出口から流出するのを、前記攪拌部によって妨げる方向に前記粉砕部が回転することを特徴とする、
請求項1に記載の厨芥処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−227820(P2010−227820A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78126(P2009−78126)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】