説明

厨芥処理装置

【課題】
厨芥処理装置の噛み込みを予防すること
【解決手段】
噛み込みの発生を回転数により予測して、回転を停止させ、噛み込みを予測した回転方向とは逆方向に回転させ、停止させ、正方向に回転させ、停止させることを順に複数回繰り返し噛み込み状態を解除し、運転を停止して報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンに設置して使用する、生ごみ等の厨芥処理装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
生ごみ等の厨芥処理装置においては従来より、粉砕容器内部に投入された生ごみを粉砕機構により給水下ですり潰して微粉砕し、粉砕物を排水とともに排出する。
このような生ごみの厨芥処理装置においては粉砕装置内部に骨などの硬い生ごみがあったり、或いは誤って粉砕容器内部にスプーンやフォーク等の異物が落ちたりすると、粉砕機構がこれを噛み込んでしまうといったことが起り得る。
このような噛み込みが発生したとき、装置をそのまま運転続行すると生ごみを粉砕処
理できないばかりか装置の故障に繋がるといった問題があった。
【0003】
このようなことから、噛込み異常が発生したときにその異常を検知して回転刃(モータ
)を逆転させる等の異常解除モードで動作させるようになしたものが、例えば下記特許文
献1に開示されている。
しかし、文献1に開示されているような従来の異常検知手段では、回転数の低下を検知した後も一定の時間をかけて回転数、及びモーター電流値の変化の監視を続けるため、完全に噛みこんだ状態となった後で、噛み込みの発生を判断していた。
このため、停止時には回転歯に異物がしっかりと噛み込んだ状態となっており、その後に噛み込み解除モードでの運転を行っても、解除に必要なトルクは大きなものとなり、噛み込みが解除できないことが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−55379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、生ごみの厨芥処理装置において、噛み込み予測をすることによって、異物が完全に噛みこむ前の段階で早めに停止指令を出し、噛み込みの発生を防止することのできる、又は噛み込みが発生しても、停止後に容易に噛み込み解除をすることのできる厨芥処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、シンクの排水口に設けられ、投入された厨芥を粉砕し、粉砕された厨芥を洗浄水と共に排出する厨芥処理装置であって、粉砕すべき厨芥を投入する厨芥処理室と、回転駆動されることにより、上記厨芥処理室内に投入された厨芥を粉砕する粉砕機構と、前記粉砕機構を回転駆動する駆動機構と、前記駆動機構の動作を制御する制御部と、前記粉砕機構の回転数を検出する検出機構と、を備え、前記制御部は、前記検出機構により検出された前記粉砕機構の回転数が所定値以下となった場合には、前記駆動機構を直ちに停止させた後、逆転指令、停止指令、正転指令、停止指令を順に複数回繰り返す噛み込み解除動作を行うことで、早めに噛み込みを予測し、異物が完全に噛み込む前に粉砕機構の回転を止め、さらに噛み込みを解除動作によって自動的に噛み込みの解除を試みることを可能とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、異物が完全に噛みこむ前に噛み込みの発生を予測し、直ちに粉砕機構の回転を停止させることを可能とし、停止時点で噛み込みが発生していたとしても、容易に噛み込みを解除することのできる厨芥処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による厨芥処理装置をシンクに設置した状態を示す断面図である。
【図2】図1のA−A断面図であり、粉砕機構の断面図である。
【図3】図2のB−B断面図であり、粉砕機構の部分断面図である。
【図4】同厨芥処理装置の制御ブロック図であり、矢印実線は動力系電力の経路を、矢印破線は信号系の経路をあらわす。
【図5】同厨芥処理装置の運転状態の一例を示す回転数と時間のチャート図である。
【図6】同厨芥処理装置の制御ステップの一例を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、シンクの排水口に設けられ、投入された厨芥を粉砕し、粉砕された厨芥を洗浄水と共に排出する厨芥処理装置であって、粉砕すべき厨芥を投入する厨芥処理室と、回転駆動されることにより、上記厨芥処理室内に投入された厨芥を粉砕する粉砕機構と、前記粉砕機構を回転駆動する駆動機構と、前記駆動機構の動作を制御する制御部と、前記粉砕機構の回転数を検出する検出機構と、を備え、前記制御部は、前記検出機構により検出された前記粉砕機構の回転数が所定値以下となった場合には、前記駆動機構を直ちに停止させた後、逆転指令、停止指令、正転指令、停止指令を順に複数回繰り返す噛み込み解除動作を行うことを特徴とする厨芥処理装置である。
この装置によれば、粉砕機構の回転数を検出することによって噛み込みの発生を予測し、所定の回転数を下回った場合には噛み込みが発生するものと判断し、粉砕機構を駆動する駆動機構を直ちに停止させた後、噛みこみの発生を予測した時点における粉砕機構の回転方向(正方向)とは逆方向に短時間トルクを発生し、さらに停止して後、短時間正方向にトルクを発生し、さらに逆方向、正方向のトルク発生を繰り返し、所定回数行った後に停止する。この繰り返し動作は噛み込みが解除された時点でそれ以上行う必要はなく、必要回数を超えて多数回行うことはかえって厨芥処理室内部の破壊を損傷するため好ましくない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記駆動機構は前記粉砕機構の回転を制動する制動機構を備えており、前記駆動機構を停止させる際、前記制御部は、前記駆動機構を駆動させるための電力供給を遮断すると同時に、前記制動機構を作動させることにより前記駆動機構の停止が行われることを特徴とする厨芥処理装置である。
この厨芥処理装置によれば、噛み込みの発生を予測した後直ちに粉砕機構の回転を確実に停止させることが可能となる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記噛み込み解除動作が完了した後、その旨を使用者に報知する報知手段を有していることを特徴とする厨芥処理装置である。
この厨芥処理装置によれば、厨芥処理装置が異常停止するとその旨が直ちに使用者に報知されるため、使用者はこれに気づいて、噛み込んだ異物の除去等を行った後、再度粉砕処理を開始するための操作を行うことが可能となる。
【0012】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、図1から図4を参照して、本発明の一実施形態による厨芥処理装置を説明する。図1は、本発明の一実施形態による厨芥処理装置をシンクに設置したときの概略を示す断面図であり、図2は図1のA−A断面図であり、粉砕機構の断面図である。また図3は、図2のB−B断面図であり、粉砕機構の部分断面図である。図4は同厨芥処理装置の制御ブロック図であり、矢印実線は動力系電力の経路を、矢印破線は信号系の経路をあらわす。
【0013】
図1によると、本発明の一実施形態による厨芥処理装置12はシンク20の排水口21の下部に設置され、排水口21に連通する厨芥処理室11と該厨芥処理室11の内部に生ごみを粉砕処理するための粉砕機構6と、この粉砕機構6を回転駆動するための駆動機構10と、該駆動機構10を運転制御するための制御部13と、該駆動機構10の回転数を検出し該制御部13にフィードバックする検出機構14と、回転数が所定値以下であった場合には駆動機構の回転を停止するように制動を掛ける制動機構15と、制御状態を報知する報知手段16とからなる。
【0014】
図2は本発明の一実施形態であって、図1のA−A断面図であり、粉砕機構の断面図である。また図3は図2のB−B断面図であり、粉砕機構の部分断面図である。本実施例によると前記粉砕機構6は、中央に図1に示す駆動機構10と動力的に連結する回転軸3を備え、該回転軸3からの回転力が回転板4に伝えられるように強固に固定されている。また該回転板4の上部には生ごみを押しつぶして粉砕するためのスイングハンマ2が回転自在にシャフト5によって固定されており、さらに、該回転板2と該スイングハンマ2の回転周囲を囲むように所定の隙間7を設けて固定歯1が固定されている。
【0015】
また図4は同厨芥処理装置の制御ブロック図であり、矢印実線は動力系電力の経路を、矢印破線は信号系の経路をあらわす。
駆動機構10は、図示しない粉砕機構6に動力伝達可能に接続さる回転軸3と、回転状態を知るために回転数を検出する検出機構14と、該駆動機構10を停止するための制動機構15からなり、該駆動機構10を制御するための制御部13とは、該駆動機構10に必要に応じて駆動電力を与えるための動力系電力線と、該検出機構14からの回転数信号を受ける信号線および、回転数信号に基づき噛み込み判断がされた場合に、駆動機構10の駆動用動力を遮断し、制動機構15を起動するため電力を供給する切換機構30を介して接続されている。
【0016】
また図4において、制御部13は電源回路17と、駆動回路18と、制御回路19とからなり、該電源回路17は商用電源(図示せず)から受けた電力を、制御回路19の電力と、駆動回路18を経由して駆動機構10の駆動用電力(図中実線矢印)とに供給するように構成され、正常時において駆動回路18からの電力は切換機構30を介して、駆動機構10の回転用電力として供給されるが、噛み込み状態を検知したときは切換機構30は制御回路19からの指令により駆動回路18からの電力経路を駆動機構10の回転駆動向けを遮断し、制動機構15向けに適切な電力を供給するように構成される。
このように構成したことで、回転数で噛み込み発生の予測判断ができ、制御部13が噛み込みが発生すると予測した場合、駆動機構10への電源は遮断され回転力は発生しないため慣性による回転運動だけとなる。また同時に、制動機構15を作動させるように回路が構成されるので、ブレーキを有効に利かせることができ、噛み込み予測後直ちに停止させることが可能となり、噛み込み前に回転停止を完了できる確率が高くなる。万が一噛み込んでも比較的ゆるい噛み込みであるので、噛み込みの解除に必要な動作トルクを小さくすることが可能となる。
なお、本実施例において駆動機構10としてはDCモータを、制動機構15は、電磁ブレーキを使用し、回転数の検出機構14として、ホールICを採用した。
【0017】
次にその動作と作用について説明する。
図1のシンク20の排水口21から投入された厨芥は、前記排水口21の下部に設置した厨芥処理装置12を起動するスイッチ(図示せず)を操作することで、該厨芥処理装置12を構成する制御部13から駆動機構10に対して、粉砕機構6を駆動するよう信号が出され、粉砕運転を実施するように構成されている。また、制御部13は、検出機構14から駆動機構10の回転数計測情報をフィーバックされることで、運転状態を把握している。運転時に、駆動機構10の回転数が所定値以下である場合は、制御回路19が噛み込みが発生すると判断し、該制御回路19は、駆動回路18と切換機構30に回転停止指令と制動指令を出し、該切変え機構30は、回転駆動のための電力供給を遮断し、制動機構15を作動するように回路を切り換える。この動作により、駆動機構10とそれに連結する粉砕機構6の回転は直ちに停止され、次に制御回路19は制動指令を解除し、噛み込みが発生すると判断した時点における回転方向(正方向)とは逆方向の回転トルクを発生するように駆動回路18と切換機構30に指令を出す。所定の非常に短い時間経過後に、停止指令を出し、続いて正方向の回転トルクを発生するように駆動回路18に指令を出す。さらにこの正方向、逆方向のトルク発生の繰り返しを所定回数実施して噛み込み解除動作を行った後に、停止指令を出し、同時に異常停止であることの報知を報知手段16によって行う。
【0018】
この図1〜図4のように構成したことにより、本発明の厨芥処理装置は、粉砕処理運転時は常時回転数を検出し、噛み込み状態になるとの予測判断をした場合ただちに回転を停止するよう動作することで噛み込みを予防し、またこの判断結果に基づいて、粉砕運転を停止させ、噛み込み解除動作を所定回数行った後、停止して異常発生を報知する厨芥処理装置を提供することが可能となった。
【0019】
図5は本発明における厨芥処理装置12の運転状態の一例を示す回転数と時間のチャート図であり、図6は同厨芥処理装置12の制御ステップの一例を示すチャート図である。
【0020】
図5では、S10〜S12の領域で運転開始から約1000rpmを超える回転数で運転され、まもなく1500rpm付近から1000rpmの回転数になるように運転されているが、途中で800rpmに落ちて、上下しながら500rpm付近まで下がっているところがある。
運転計画ではこのへこみはなく、異物などの噛み込みで回転数が落ちているが、500rpmより高い回転数を維持できたので噛み込み異常とは判断していない。
ところが、S14〜S18の領域の手前で急激に回転数が低下しておりS14〜S18の領域では500rpmを下回ったため、噛み込み発生を予測し、噛み込み対応モードに入っている。S20〜S34は噛み込み解除動作とその後の停止、報知モードである。
ここで、噛み込み解除動作では、駆動機構10に連結する粉砕機構6は実質的な回転をしないため回転数を検出することは不可能であり、回転方向と発生するトルクが設定されているだけである。噛み込み解除するには、回転角度にして数度も動く必要は無く、実質的には噛み込み部位の隙間があく程度の回転角で十分である。本件では、このときのトルクとして通常運転時の起動時の設定トルクを使用し、特に噛み込み解除のためにトルク増強などの調整はしないで解除する。大きなトルクを発生すると、噛み込みが外れたときに弾みがつき、過剰回転を起こし内部を損傷したり、噛み込みが外れない場合は逆に深く噛み込みを起こし、事態を悪くすることが懸念される。
【0021】
具体的には、運転の初期である起動時には負荷状態が未知であるため、装置の利用できる最大出力の数%〜十数%程度のトルクをかけて運転し、回転数が測定できる回転域まで達した時点で回転数制御に入る方法を用いているので、本格的に回転する前に回転指令を止め、逆方向に回転指令を出し、また回転指令を止めの繰り返しをするので、回転は起こらず、噛み込み箇所の隙間の緩みが大きくなり、したがって噛み込んだものを容易に取り外せる状態にすることができる。
また、噛み込み解除運転の停止後は、噛み込みモードでの停止であることを報知して知らせるので使用者が粉砕機構6の確認をわせ、噛み込み状態の確認と異物の除去を促すことが可能である。
【0022】
また、図6は、図5のときの制御回路での動作ステップを模式的に示したフローチャートである。ここで、開始ステップは図5の時間ゼロの時点をしめす。運転開始して、順調に回転数が上昇し、目標値(約1100rpm)に到達してまもなく、第二の目標値(約1500rpm)に増速している。途中で回転数が低下しているが噛み込み予測判断をする500rpmより高回転数であるためそのまま運転は継続している(S10〜S12)、しかしS12において回転数が500rpm以下となったことを検出すると、S16で回転制動指令が出され、S18で停止したかどうかをチェックする。S20でS22〜S32まで実施する噛み込み解除動作のカウントを開始し、噛み込み解除動作に入る。S34で解除動作が所定回数に達したか否かの判断をし、S36では所定の繰り返し回数Nに達しているので停止指令がだされる。そしてさらに、S38で駆動回路に電力供給しないように指令が出され、次にS40で噛み込み解除動作後の停止モードであることを報知する報知指令が出される。最後にS42によって、リセット待ち受けモードにする。
リセット待ちうけモードにすることで、正常時に有効であったスイッチ操作は無効とされ、駆動回路は機能しないようにセットされている。使用者が外部からリセット操作をしないと、スイッチ操作が機能しないように構成することが可能である。
このように構成することで、異常発生時に使用者がその場にいない場合でも異常による停止ということを、暗示的に示すことが可能であり、内部の確認を促すことができる。
【0023】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができることは言うまでもない。
例えば、本実施例において、制動機構は電磁ブレーキとしたが、駆動回路を短絡させる方法によるショートブレーキによるものでもかまわない、また、機械的に制動を行う方式のブレーキ等、種々の機構を採用することができる。


【符号の説明】
【0024】
1…固定歯
2…スイングハンマ
3…回転軸
4…回転板
5…シャフト
6…粉砕機構
7…隙間
8…小穴
10…駆動機構
11…厨芥処理室
12…厨芥処理装置
13…制御部
14…検出機構
15…制動機構
16…報知手段
17…電源回路
18…駆動回路
19…制御回路
20…シンク
21…排水口
30…切換機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの排水口に設けられ、投入された厨芥を粉砕し、粉砕された厨芥を洗浄水と共に排出する厨芥処理装置であって、
粉砕すべき厨芥を投入する厨芥処理室と、
回転駆動されることにより、上記厨芥処理室内に投入された厨芥を粉砕する粉砕機構と、前記粉砕機構を回転駆動する駆動機構と、
前記駆動機構の動作を制御する制御部と、
前記粉砕機構の回転数を検出する検出機構と、を備え、
前記制御部は、前記検出機構により検出された前記粉砕機構の回転数が所定値以下となった場合には、
前記駆動機構を直ちに停止させた後、
逆転指令、停止指令、正転指令、停止指令を
順に複数回繰り返す噛み込み解除動作を行うことを特徴とする厨芥処理装置。
【請求項2】
前記駆動機構は前記粉砕機構の回転を制動する制動機構を備えており、前記駆動機構を停止させる際、前記制御部は、前記駆動機構を駆動させるための電力供給を遮断すると同時に、前記制動機構を作動させることにより前記駆動機構の停止が行われることを特徴とする、請求項1に記載の厨芥処理装置。
【請求項3】
前記噛み込み解除動作が完了した後、その旨を使用者に報知する報知手段を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の厨芥処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−234272(P2010−234272A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85331(P2009−85331)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】