説明

反射シート

【課題】省灯化直下型バックライトにおいて生じやすいランプイメージを低減できる反射シートを提供すること。
【解決手段】本発明の反射シートは、熱可塑性樹脂(A)及び当該熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において、熱可塑性樹脂(A)と非相溶である少なくとも1種の樹脂(B)を含む内層部と、熱可塑性樹脂(C)及び平均粒径0.1μm〜20μmの拡散剤を含む表層部と、を備え、少なくとも表層部及び内層部の2層から構成され、熱可塑性樹脂(C)と拡散剤との屈折率差が0.02から1.50の範囲であるとともに、以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする。
0.015≦Δn×w≦0.35…式(1)
Δn:拡散剤と熱可塑性樹脂(C)の屈折率差(絶対値)
w:拡散剤の表層部含有量(g/m

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に孔を含む樹脂組成物の反射シートであって、特に液晶表示装置のバックライトなどに用いられる反射材に適した反射シートに関する。
【背景技術】
【0002】
反射シートは、液晶表示装置においてLEDや冷陰極管などの点状あるいは線状の光源の光を面状に反射させることによって均一な面状の光源を得るための反射板として使用されており、特に液晶テレビなどの大型液晶表示装置の直下型バックライトの反射板として用いられる。従来、反射シートとしては、内部に微細な空洞を含むシートやシートの表面に銀などの金属反射層を設けたものなどが使用されている。
【0003】
大型液晶テレビなどの大型液晶表示装置においては、表示画面を明るくするために線状光源である冷陰極管を複数本平行に配置して使用する。この場合、冷陰極管に由来する縞状のランプイメージが発生しやすいために、反射シートにおいても拡散反射するシートを用いてランプイメージの低減を図っている。
【0004】
拡散反射する反射シートとしては、上記の内部に微細な空洞を含む反射シートが一般的で、例えば、ポリエステル樹脂やポリプロピレン樹脂に無機粉末を添加したシートを延伸して、無機粉末を起点とする微細な空洞を形成させた反射シートや(特許文献1)、ポリエステル樹脂からなるシートに窒素ガスや炭酸ガスなどを含浸させて発泡させた反射シートなどがある(特許文献2)。
【0005】
冷陰極管などの線状光源から発し、これらの反射シートで反射した光は、明るさに縞状の強弱ばらつき、すなわちランプイメージが生じやすい。これは、冷陰極管直上が明るくなり、冷陰極管の間が暗くなるためである。上記大型液晶テレビなどでは、入射した光を均等に反射するために、反射光が液晶パネルに入る前に拡散板を使用して、液晶パネルに入る光の輝度を均一化させることが一般に行われる。この際、隣り合う冷陰極管同士の距離を狭くする(<30mm)ことにより、ランプイメージが低減される。また、種々の光学シートを拡散板の上に配設することによりランプイメージの低減が図られている。
【0006】
しかし、現在、省エネ、低コストの流れから、更なる冷陰極管の低減が強く望まれている。バックライト中の冷陰極管を減らすことにより、冷陰極管同士の距離が増大し、結果、冷陰極管由来のランプイメージは増大する傾向にあり、このランプイメージの低減が省灯化TV開発の大きな課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平6−89160号公報
【特許文献2】特許第2925745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、省灯化直下型バックライトにおいて生じやすいランプイメージを低減できる反射シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の反射シートは、熱可塑性樹脂(A)及び当該熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において、前記熱可塑性樹脂(A)と非相溶である少なくとも1種の樹脂(B)を含む内層部と、熱可塑性樹脂(C)及び平均粒径0.1μm〜20μmの拡散剤を含む表層部と、を備え、少なくとも前記表層部及び前記内層部の2層から構成され、前記熱可塑性樹脂(C)と前記拡散剤との屈折率差が0.02から1.50の範囲であるとともに、以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする。
0.015≦Δn×w≦0.35…式(1)
Δn:拡散剤と熱可塑性樹脂(C)の屈折率差(絶対値)
w:拡散剤の表層部含有量(g/m
【0010】
本発明の反射シートにおいては、熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の反射シートにおいては、熱可塑性樹脂(C)としてポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の反射シートにおいては、熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において熱可塑性樹脂(A)と非相溶性である樹脂(B)としてポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の反射シートにおいては、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前記鉛直方向への反射光相対強度が、20%〜80%となる入射方向を有することが好ましい。
【0014】
本発明の反射シートにおいては、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前記鉛直方向への反射光強度が入射方向による異方性を有しており、前記鉛直方向への反射光相対強度が最も低い入射方向A2での前記鉛直方向への反射光相対強度L2と、前記入射方向A2と直交する入射方向A1での前記鉛直方向への反射光相対強度L1の比L1/L2が1.2以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の反射シートにおいては、拡散剤が、炭酸カルシウム、シリコーン樹脂、架橋スチレン、架橋アクリル、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0016】
本発明のバックライトは、上記反射シートを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の反射シートは、熱可塑性樹脂(A)及び当該熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において、前記熱可塑性樹脂(A)と非相溶である少なくとも1種の樹脂(B)を含む内層部と、熱可塑性樹脂(C)及び平均粒径0.1μm〜20μmの拡散剤を含む表層部と、を備え、少なくとも前記表層部及び前記内層部の2層から構成され、前記熱可塑性樹脂(C)と前記拡散剤との屈折率差が0.02から1.50の範囲であるとともに、以下の関係式(1)を満たす反射シートであるので、冷陰極管をはじめとする線状の光源を使用する直下型バックライトの中で特に省灯化バックライトのランプイメージを低減する効果を有する。ランプイメージを低減することにより、直下型バックライト中の冷陰極管の削減が可能となる。
0.015≦Δn×w≦0.35…式(1)
Δn:拡散剤と熱可塑性樹脂(C)の屈折率差(絶対値)
w:拡散剤の表層部含有量(g/m
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】輝度、ランプイメージ評価に使用したバックライトユニット寸法を説明するための図である。
【図2】実施例1に記載の試料のL1方向入射時、L2方向入射時の反射光強度分布を示す図である。
【図3】比較例3に記載の試料のL1方向入射時、L2方向入射時の反射光強度分布を示す図である。
【図4】実施例1から実施例9に記載の試料のランプイメージを示す図である。
【図5】比較例1から比較例7に記載の試料のランプイメージを示す図である。
【図6】比較例3、比較例7を除く全実施例に記載の試料のΔn×Wとランプイメージの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、厚みが200μm以下のものをフィルムといい、厚みが200μmを超えるものをシートというように用語を区別して用いるケースがあるが、本明細書においては、上記のフィルム及びシートの両者を共にシートという。また、本明細書中、バックライトの記載において画面側を上方、画面裏側を下方と記載する。
【0020】
本実施の形態に係る反射シートは、熱可塑性樹脂(A)及びこの熱可塑性樹脂(A)と非相溶である樹脂(B)を含有する少なくとも1層の内層部と、熱可塑性樹脂(C)及び光を拡散する拡散剤を含有する少なくとも1層の表層部と、を備える2層構造を有する。本実施の形態に係る反射シートにおいては、表層部に熱可塑性樹脂(C)に対して所定の屈折率を有するとともに、所定の平均粒径を有する拡散剤を含有することにより、反射シートで反射される光が内層部及び拡散剤によって拡散され、ランプイメージを低減することができる。
【0021】
(反射シート内層部を構成する組成物)
本実施の形態に係る反射シートにおいては、少なくとも表層部及び内層部の2層から構成され、内層部は、熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)に対して非相溶性である少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)とを含む。
【0022】
本実施の形態に係る反射シートの内層部を構成する熱可塑性樹脂(A)としては、特には限定されないが、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂などのオレフィン系樹脂;6ナイロン、66ナイロンなどのポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリメチレンメタアクリレートなどのアクリル樹脂;ポリスチレン、ポリスチレン−メチルメタアクリレート共重合体などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性も高く、高い反射率が得られやすいことから、ポリプロピレン樹脂がより好ましい。ここで、ポリプロピレン樹脂を用いる場合、開孔核材として、該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の少なくとも一種を含む。
【0023】
本実施の形態において、ポリプロピレン樹脂とは、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体からなるポリプロピレン樹脂をいう。熱可塑性樹脂(A)は、JIS K7210の方法で温度230℃、荷重21.2Nで、測定されるメルトフローレートが0.1g/分〜10g/分であるポリプロピレン樹脂であることが好ましい。メルトフローレートは、ポリプロピレン樹脂を溶融成形するときの押出機の負荷及び樹脂組成物の熱による変色の観点から、0.1g/分以上であることが好ましく、樹脂の粘度及び成形性の観点から、10g/分以下であることが好ましい。
【0024】
熱可塑性樹脂(A)に対して非相溶性である樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう)としては、熱可塑性樹脂(A)の延伸が可能な温度における弾性率が、熱可塑性樹脂(A)より高い樹脂がより好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。特に、熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂を用いる場合、樹脂(B)としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。これらの樹脂のなかから少なくとも1種類の樹脂をポリプロピレン樹脂と溶融混合して用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂を用いることが最も好ましい。なお、ここで、「非相溶性」とは、互いに混ざり合わず、分離している状態を意味する。特に、本実施の形態においては、樹脂(B)がポリプロピレン樹脂中に分散していることが好ましく、分離していることは走査型顕微鏡(SEM)で確認できる。
【0025】
樹脂(B)の好ましい例であるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、直鎖状ポリカーボネート、分岐鎖状ポリカーボネートの中から単独で、又は複数種を組み合わせて使用することができる。また、ポリカーボネート樹脂としては、JIS K7210の方法で温度300℃、荷重11.8Nで測定されたメルトフローレートが0.1g/10分〜50g/10分であるポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリプロピレン樹脂との混合を均一にするという観点から、ポリカーボネート樹脂のメルトフローレートは0.1g/10分以上が好ましく、延伸時に孔を形成しやすいという観点から、メルトフローレートは50g/10分以下が好ましい。
【0026】
本実施の形態に係る反射シートにおいては、樹脂組成物全体の30重量%以上80重量%以下が、熱可塑性樹脂(A)であることが好ましい。樹脂延伸時の張力及び延伸性の観点から、内層部樹脂組成物全体に占める熱可塑性樹脂(A)の比率は30重量%以上が好ましく、より好ましくは40重量%以上である。一方、内層部樹脂組成物を押し出したシートを延伸してシートの内部に孔を形成させて90%以上の高い平均全反射率の反射シートを得るためには、内層部樹脂組成物全体に占める熱可塑性樹脂(A)の比率は80重量%以下が好ましく、より好ましくは70重量%以下である。ここでいう平均全反射率とは、波長550nmの光について反射シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の全反射率を測定し、両方向の平均値をいう。
【0027】
樹脂(B)の含有量は、延伸張力を小さくするという観点から、樹脂組成物全体の70重量%以下であることが好ましい。シートの孔数及び孔体積を多くして90%以上の高い平均全反射率を得るという観点から、樹脂(B)の含有量は、樹脂組成物全体の20重量%以上が好ましく、特に好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
【0028】
樹脂組成物を処方する場合、重量%と体積%の換算は、各樹脂の基本特性の密度から計算出来る。例えばポリプロピレン樹脂の密度は0.89g/cm〜0.91g/cm、ポリカーボネート樹脂の密度は1.2g/cmであり、必要に応じてこれらの値から容易に換算することができる。
【0029】
本実施の形態では、樹脂組成物に、さらに開孔核剤、紫外線吸収剤、その他必要に応じて無機粉末を添加しても良い。
【0030】
(反射シート表層部を構成する組成物)
本実施の形態に係る反射シートは、少なくとも表層部及び内層部の2層以上から構成され、表層部が少なくとも熱可塑性樹脂(C)及び、平均粒径0.1μm〜20μmである拡散剤を含有する。
【0031】
熱可塑性樹脂(C)は、内層部の熱可塑性樹脂(A)と同じ樹脂であっても良く、また、異なった種類の熱可塑性樹脂を用いても良い。熱可塑性樹脂(C)において好ましいものの種類としては、熱可塑性樹脂(A)と同じものが挙げられる。
【0032】
本実施の形態に係る反射シートは、表層部に、拡散剤を含有する。ここで、本実施の形態において、拡散剤とは、熱可塑性樹脂(C)中に分散し、光を拡散させる効果を発現するものであればよく、球状、棒状、繊維形状等のいずれの形状であっても良く、また、有機系、無機系いずれであっても良い。このように、本実施の形態においては、反射シートの表層部に拡散剤を含有することにより、例えば所定の間隔をとって平行に配置された冷陰極管からの光が反射シート表層部の拡散剤で適度に拡散されるので、ランプイメージが低減する。
【0033】
本実施の形態において、拡散剤の平均粒径は0.1μm以上、20μm以下である。平均粒径は、走査型顕微鏡(SEM)を用いて拡大した反射シート表層部の断面写真で観察することにより容易に求めることができる。表層部厚み×1mm幅中に観察される拡散剤の粒径を測定し、その平均により平均粒径を求めることができる。平均粒径を0.1μm以上とすることにより、光の入射方向および直交方向への過度な散乱を抑制し、入射光の正反射方向にブロードな拡散を付与でき、結果、良好なバックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。平均粒径を20μm以下とすることにより、拡散剤が表層部から離脱することなく表層部に安定に存在することができる。好ましくは、0.15μm以上、15μm以下であり、より好ましくは、0.2μm以上、12μm以下である。
【0034】
本実施の形態において、表層部中の拡散剤の含有量は、拡散剤と熱可塑性樹脂(C)との屈折率差によるが、表層部は拡散剤を0.05g/m以上、5g/m以下で含有することが好ましい。ここで、表層部中の拡散剤の含有量は、表層部/内層部/表層部の3層構造の反射シートの場合、バックライト上面となる片側の表層部の含有量である。表層部中の拡散剤の含有量を0.05g/m以上とすることにより、良好な拡散効果を付与でき、結果、良好なバックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。また、表層部中の拡散剤の含有量を5g/m以下とすることにより、過度な拡散を抑制し、内層部中の熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)由来の拡散反射効果を打ち消すことなく良好なバックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。より好ましくは0.07g/m以上、4g/m以下であり、特に好ましくは0.08g/m以上、3g/m以下、最も好ましくは0.09g/m以上、2g/m以下である。
【0035】
本実施の形態において、表層部中の拡散剤の濃度としては、0.1重量%以上、20重量%以下が好ましい。0.1重量%以上とすることで、良好な拡散効果を付与でき、20重量%以下とすることで、拡散剤が表層部から離脱することなく表層部に安定に存在することができる。好ましくは、0.2重量%以上、15重量%以下、より好ましくは、0.3重量%以上、12重量%以下、特に好ましくは、0.5重量%以上、10重量%以下である。
【0036】
本実施の形態において、熱可塑性樹脂(C)と拡散剤との屈折率差(Δn)は、0.02以上、1.50以下である。表層部の熱可塑性樹脂(C)と拡散剤との屈折率差(Δn)を0.02以上とすることで、良好な光の拡散効果を付与することができ、結果、バックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。また、屈折率差(Δn)を1.5以下とすることで、過度な拡散を抑制し、良好なバックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。より好ましくは、Δnが0.02以上、1.0以下、特に好ましくは、Δnが0.03以上、0.5以下、最も好ましくは、Δnが0.03以上、0.3以下である。ここで、屈折率差(Δn)が上記の範囲であれば、拡散剤の屈折率と樹脂(C)の屈折率のどちらが高くてもかまわない。特に、本実施の形態においては、熱可塑性樹脂(C)と拡散剤との屈折率差(Δn)を上記所定の範囲にすることにより、反射シートで反射される光が内層部由来の低拡散性を保持しつつ、入射光の正反射方向にブロードな拡散を付与できる。この低拡散性と正反射方向へのブロードな拡散により、ランプイメージを効果的に低減することができる。
【0037】
本実施の形態においては、拡散剤の種類は特に限定されないが、炭酸カルシウム、シリコーン樹脂、架橋スチレン、架橋アクリル、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マイカ、タルク、PTFE、ガラスビーズなどが取り扱いの容易性、熱可塑性樹脂(C)中での安定性の観点から好ましい。より好ましくは、炭酸カルシウム、シリコーン樹脂、架橋スチレン、架橋アクリル、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムが挙げられる。また、これらの拡散剤には必要に応じて表面改質がされていてもよい。特に酸化亜鉛、酸化チタンにおいては、一般的にアルミナ、シリカなどであらかじめ表面改質がされているので、これらを用いてもよい。また、別途ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛などの表面改質剤を添加しても良い。なお、これらの拡散剤は、1種類で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
【0038】
本実施の形態に係る反射シートは、表層部の拡散剤と熱可塑性樹脂(C)との屈折率差(Δn)と、表層部中の拡散剤の含有量(以下、w(g/m))の積(Δn×w)が、0.015以上、0.35以下であることを特徴とする。Δn×wを0.015以上とすることで、良好な光の拡散効果を付与することができ、結果、バックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。また、Δn×wを0.35以下とすることで、過度な拡散を抑制し、内層部中の熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)由来の拡散反射効果を打ち消すことなく良好なバックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。好ましくは、Δn×wが0.017以上、0.34以下、より好ましくは、Δn×wが0.018以上、0.33以下である。
【0039】
本実施の形態に係る反射シートにおいては、上記の拡散剤の含有量と屈折率差(Δn)の範囲内(Δn×w)において、拡散剤の含有量が少ない場合、熱可塑性樹脂(C)と拡散剤の屈折率差(Δn)を大きくすることにより、光の拡散が大きくなり、拡散剤の含有量が低下してもランプイメージを低減できる。また、拡散剤の含有量が多い場合、屈折率差(Δn)を小さくすることにより、拡散剤による光の乱反射を低減することができるので、ランプイメージをより効果的に低減できる。なお、本実施の形態に係る反射シートにおいては、光の拡散反射を制御できれば拡散剤の含有量と屈折率差(Δn)以外の関係を用いて設計してもよく、例えば、拡散剤の粒径及び含有量を組み合わせてもよい。
【0040】
本実施の形態に係る反射シートは、表層部に紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤としては、有機系の紫外線吸収剤、及び、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機系の紫外線吸収剤いずれを用いても良い。有機系の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などの紫外線吸収剤が使用できる。この中でもトリアジン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が、耐紫外線性、樹脂との相溶性から好適に使用できる。有機系の紫外線吸収剤の一例として、チバスペシャルティケミカルズ社製T1577,T234が挙げられる。紫外線吸収剤の表層部中の濃度としては、ブリードアウト性、透明性とのバランスで決められるが、0.1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。特に好ましくは0.15重量%以上、8重量%以下である。
【0041】
また、紫外線吸収剤として、酸化チタン、酸化亜鉛といった無機粉末を用いる場合、これら紫外線吸収剤の粒径が0.1μm以上、20μm以下であれば、拡散剤としての効果も有するので、拡散剤とみなして含有量を計算することができる。一方、紫外線吸収剤の粒径が0.1μm以下のものに関しては、上記拡散剤の拡散効果を阻害しない範囲で用いることができる。
【0042】
本実施の形態に係る紫外線吸収剤の含有量は、表層部に0.01g/m以上、5g/m以下が含まれることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.01g/m以上であれば、良好な紫外線吸収性能が発現し、5g/m以下であれば、ブリードアウトの懸念も少なく、十分な表層部透明性を担保することができる。より好ましい範囲は0.05g/m以上、4g/m以下、特に好ましいのは0.1g/m以上、4g/m以下である。
【0043】
(反射シートの構造)
本実施の形態に係る反射シートは、表層部及び内層部の少なくとも2層から構成され、例えば、表層部/内層部/表層部の3層構造でもよく、表層部表面にさらに耐光層などの層を有していても良い。また、表層部及び内層部の2層から構成される場合、反射シートの光源側に用いられる層を表層部、光源と反対側に用いられる層を内層部とする。さらに、3層以上から構成される場合、3層以上の中に、表層部、内層部を有していれば良く、例えば、耐光層を最表層に付与した場合、最表層部(耐光層)/表層部/内層部という構成であっても良い。
【0044】
本実施の形態に係る反射シートの内層部は、内部に孔を有する構造が好ましく、この孔構造により反射性能を効果的に発現させることができる。ここでいう孔とは、いわゆる空孔、空洞であり、連続孔、独立孔、どのような形態であっても良い。内部に孔を有することにより、孔と熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)との界面で光が反射し、高い反射性能を発現させていると考えられる。
【0045】
内層部の厚みとしては、60μm以上、900μm以下であることが好ましい。内層部の厚みが60μm以上あれば、良好な反射性能を発現させることが可能となり、900μm以下であれば、良好な軽量性を担保することができる。また、より好ましくは70μm以上、700μm以下であり、特に好ましくは70μm以上、600μm以下である。
【0046】
本実施の形態において、表層部の厚みとしては、2μm以上、90μm以下であることが好ましい。表層部の厚みが2μm以上であれば、良好な成形容易性が得られ、90μm以下であれば、良好な軽量性を担保することができる。また、より好ましくは2μm以上、70μm以下であり、特に好ましくは3μm以上、50μm以下である。
【0047】
本実施の形態に係る反射シート全体の厚みとしては、70μm以上、1000μm以下であることが好ましい。反射シート全体の厚みが70μm以上あれば、良好な反射性能を発現させることが可能となり、1000μm以下であれば、良好な軽量性を担保することができる。また、より好ましくは80μm以上、800μm以下であり、特に好ましくは80μm以上、700μm以下である。
【0048】
本実施の形態に係る反射シート全体の坪量としては、10g/m以上、500g/m以下であることが好ましい。反射シート全体の坪量が10g/m以上あれば、良好な反射性能を発現させることが可能となり、500g/m以下であれば、良好な軽量性を担保することができる。また、より好ましくは20g/m以上、400g/m以下であり、特に好ましくは40g/m以上、300g/m以下である。
【0049】
本実施の形態に係る反射シートは、表層部、内層部を含めた全体の密度が0.1g/cm以上、0.75g/cm以下であることが好ましい。全体の密度が0.1g/cm以上であれば反射シートとして十分な強度を保持することができる。また0.75g/cm以下であれば、微小な孔を多数有する構造を形成し、高い反射率を得るとともに、良好な軽量性を担保することができる。より好ましくは0.2g/cm以上、0.7g/cm以下であり、特に好ましくは0.2g/cm以上、0.6g/cm以下、最も好ましくは、0.3g/cm以上、0.5g/cm以下である。
【0050】
本実施の形態において、反射シートは少なくとも表層部及び内層部の2層を備える。適切な拡散剤を適切な量を含有する表層部を付与することにより、前方散乱性を増大させ、ランプイメージ低減効果を増大させることができる。これら2層以上の反射シートの作製方法としては、例えば、表層部、内層部を別途押出し成膜し、ラミネートさせる作製方法、内層部作製後、表層部を塗工により形成する作製方法、表層部、内層部を共押出しにより一体的に成膜し、その後延伸開孔させる作製方法が挙げられるが、特に好ましくは、表層部、内層部を共押出しにより一体的に成膜し、その後延伸開孔させる作製方法である。特に、表層部と内層部を共押出しにより一体的に成膜することにより、内層部中の表層部近傍の樹脂(B)を良好に配向させることができ、結果、後述する反射光強度の入射方向による異方性を大幅に増大させることができる。
【0051】
本実施の形態に係る反射シートは、波長が550nmの光を入射したときの平均全反射率が90%以上であることが好ましい。波長が550nmの光を入射したときの平均全反射率が90%以上であれば、液晶用バックライトに搭載したときに、十分な輝度が得られるからである。より好ましくは95%以上である。
【0052】
本実施の形態に係る反射シートは、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの反射シート面の鉛直方向への反射光相対強度が、20%〜80%となる入射方向を有することが好ましい。ここで、反射光相対強度とは、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの反射シート面の鉛直方向への反射光強度を、標準白色板に60度の入射角で光を入射したときの0度方向への反射光強度で割り返した値である。入射方向からの反射光相対強度を20%以上とすることで、バックライト中で光源の十分な拡散性を付与することが出来、80%以下とすることで、冷陰極管の直上を暗くしてランプイメージを十分に低減することができる。また、反射光相対強度は、より好ましくは、30%〜75%、特に好ましくは、40%〜72%である。
【0053】
ここで、本実施の形態での反射光相対強度の測定は、日本電色工業社製GC5000L変角光度計を用いて容易に測定することができる。この装置は、試料を乗せるステージ及び点光源としてハロゲンランプ、受光部を有する構成であり、入射したい角度から試料に入射させ、受光部を1度刻みで動かすことにより、反射光の反射角度分布の測定が可能である。本発明においては、試料に対して60度の方向から点光源を入射し、0度すなわち頂角方向の輝度を求めることで反射光強度の測定が可能である。また、0度方向への反射光相対強度が20%〜80%となるか否かは、反射シートを測定して得られた0度方向の反射光強度を、標準白色板を測定して得られた0度方向の反射光強度で割り返すことで算出することが出来る。また、標準白色板の20%〜80%となる入射方向を有するか否かは、上記測定において反射シートを5度刻みで回転させて測定を行い、標準白色板の20%〜80%となる入射方向があるかを確認することができる。ここで、標準白色板とは日本電色工業社製GC5000L変角光度計に付属する標準板(STANDARD PLATE)をいう。
【0054】
すなわち、0度方向への反射光相対強度が20%〜80%となることは、すべての入射方向からの入射角60度の光に対して満足する必要はなく、ある特定の入射方向からの入射角60度の光において満足すれば良い。例えば、入射方向によって反射光強度に異方性を有する反射シートであれば、ある特定の入射方向からの入射角60度の光において0度方向への反射光相対強度が20%〜80%であれば十分であり、他の入射方向からの入射角60度の光において、0度方向への反射光相対強度が20%〜80%となっていなくてもよい。
【0055】
本実施の形態に係る反射シートは、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの反射シート面の鉛直方向への反射光相対強度が入射方向による異方性を有していることが好ましい。ここで、入射方向による異方性を有するか否かは、変角光度計で、反射シートを5度刻みで回転させて測定を行い、0度方向への反射光相対強度が入射方向により違いが出るか否かでわかる。反射光相対強度に入射方向による異方性がある反射シートを適切にバックライトに用いることで、線状光源である冷陰極管由来のランプイメージを効果的に低減することができる。また、鉛直方向への反射光相対強度が最も低い入射方向A2での反射シート面の鉛直方向への反射光相対強度L2と、入射方向A2と直交する入射方向A1での反射シート面の鉛直方向への反射光相対強度L1の比L1/L2が1.2以上であることがより好ましい。L1/L2が1.2以上である反射シートを、適切にバックライトに用いることで、線状光源である冷陰極管由来のランプイメージを効果的に低減することができる。特に好ましくは、L1/L2が1.3以上、最も好ましくは、1.4以上である。
【0056】
入射方向による異方性を有する反射シートをバックライトに組み込む際、反射光相対強度が最も低い入射方向A2と冷陰極管が直交するように反射シートを設置することが好ましい。入射方向A2と冷陰極管を直交させることにより、冷陰極管直上の明るさを低減し、結果、ランプイメージを大幅に解消できる。
【0057】
このランプイメージ低減の効果の発現機構は明確にはなっていないが、反射シートの入射角60度で入射した光の0度方向への反射光相対強度を20%〜80%と低く抑えることで、冷陰極管の直交方向への拡散反射が低減し、冷陰極管から冷陰極管直下の反射シートに当たった光は該冷陰極管自体が障害となり拡散板までたどり着けない。その結果、該冷陰極管直上へたどり着く光量が低下しランプイメージ低減に寄与していると考えられる。
【0058】
本実施の形態に係る反射シートの作製方法の一例としては、熱可塑性樹脂(C)と拡散剤の混合物を副押出し機に投入し、熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶の樹脂(B)の混合物を、主押出し機に投入し、高シェアをかけながらダイスから共押出しし、MD方向に配向させたものを延伸することで作製することが出来る。この場合、反射シートの押出し方向(MD方向)を入射方向とすることで入射角60度で入射した光の0度方向への反射光強度が標準白色板の20%〜80%となる。このような反射光相対強度を示す反射シートの作製方法の一例として、共押出しによる表層部/内層部/表層部の2種3層反射シートの作製方法を以下に説明する。
【0059】
共押出しによる作製方法の一例としては、表層部原料(熱可塑性樹脂(C)および拡散剤)、内層部原料(熱可塑性樹脂(A)および樹脂(B))を別の押出し機で溶融混合させ、押出機の先端に取り付けた積層ダイからシート状に押し出す。ここで、押し出される樹脂組成物の量を安定させるために押出機とダイの間にギヤポンプを使用してもよい。ダイから押し出される際に、ダイとのシェアにより内層部の樹脂(B)がMD方向に配向する。この樹脂(B)がMD方向に配向することにより、MD方向から入射した光の0度方向への反射光相対強度が低く抑えられるが、機構は明確ではない。また、表層部原料の熱可塑性樹脂(C)中に拡散剤が良好に分散し内層部とともに層状に押出される。
【0060】
得られた積層シートを、冷却ローラーなどで冷却固化させた後、延伸機で延伸する。延伸工程では、内層部の熱可塑性樹脂(A)と樹脂(B)との界面を開裂させてシートの内部に孔を生成すると同時に、シートの厚みを所望の厚みにまで薄くすることができる。ここで延伸工程においては、通常の2軸延伸法が採用出来る。即ち、縦横逐次2軸延伸、横縦逐次2軸延伸、同時2軸延伸、さらにこれらの2軸延伸の後に、縦横いずれかあるいは両方の方向に再延伸することもできる。好ましくは、最も汎用的な縦横逐次2軸延伸である。延伸は速度差をつけた複数のローラーの間をシートを通過させてMD方向にシートを延伸する縦延伸工程と、クリップテンターなどを使用してシートのTD方向に延伸する横延伸工程とを単独又は組み合わせて行うことができる。あるいは、パンタグラフ延伸機などの同時2軸延伸機を使用してMD方向とTD方向を同時に延伸することもできる。2軸延伸の延伸倍率はMD方向、TD方向各々1.5倍以上であって、且つ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下であることが好ましい。また、必要に応じて、延伸後に熱収縮処理を行っても良い。
【0061】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0062】
<評価方法>
反射シートについて評価する物性の項目及びその評価方法についてまず説明する。
【0063】
(1)厚み
反射シートの厚みは、ピーコック社製厚み計を使用して測定した。また、共押出しにより作製した反射シートは、キーエンス社製デジタル顕微鏡による断面観察により、各層の厚みを測定した。
【0064】
(2)全反射率・平均全反射率
反射シートの全反射率は、分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)と積分球試料台(島津製作所社製、MPC2200)を使用して入射角8度で測定した。ポリテトラフルオロエチレンの標準白板(ラボスフェア社製、スペクトラロン)の反射率を100%とした相対反射率を波長400nm〜700nmの範囲で測定し、波長550nmの光について、シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の測定値を全反射率とし、両者の平均値を平均全反射率とした。また、市販TVに搭載された反射シートに関しては、TVの横方向と縦方向に対応する方向の各々から入射した時の測定値を全反射率とし、両者の平均値を平均全反射率とした。
【0065】
(3)坪量
反射シートを50mm角に切り出し、その重量を測定することで求めた。
【0066】
(4)密度
反射シートを50mm角に切り出し、その重量と中心部と各辺の中央部の計5点の厚みの平均値求め、密度を計算した。
【0067】
(5)60度入射、0度反射光相対強度測定
日本電色工業社製変角光度計(GC5000L)を用いて測定した。点光源の入射角を60度にセットし、資料をステージに載せて、受光部を−85度から+85度まで1度刻みで反射光強度を測定した。得られた結果の±1度の範囲の値を平均化し、0度方向の反射光強度とした。また、標準白色板として、日本電色工業社製変角光度計(GC5000L)に付属する標準板(STANDARD PLATE)を使用し同様の測定を行った。ここで、0度方向への反射光相対強度が20%〜80%か否かは、反射シートを測定して得られた0度方向の反射光強度を、標準白色板を測定して得られた0度方向の反射光強度で割り返すことで算出した。また、標準白色板の20%〜80%となる入射方向を有するか否かは、上記測定を、反射シートを5度刻みで回転させて測定を行い、標準白色板の20%〜80%となる方向があるか否かで確認した。なお、本測定において、標準白色板の0度方向への反射光強度は90.5cd/mであった。
【0068】
(6)輝度、ランプイメージ評価
バックライトユニットとして、ソニー社製のBRAVIA(登録商標)32インチ S−2500(冷陰極管光源)のバックライトユニットに用いられていた冷陰極管(管直径3mm)、及び制御基板を取り外し、反射シートと冷陰極管の距離が3.0mm(管中心から)、拡散板下面と冷陰極管が18.5mm(管中心から)で固定し、冷陰極管同士の間隔のみ40mmから47.5mm(管中心から管中心まで)まで変化できるように、評価用バックライトを作製した。冷陰極管同士の間隔のみ変化させてそのときのランプイメージの有無を確認した。バックライトの寸法、構成を図1に示す。同図に示すように、線状に配置された冷陰極管1を挟んで下側に反射シート2が配置され、上側に拡散板3、光学シート4a〜4dが順に積層されている。ここで、バックライトユニットの拡散板3、光学シート4a〜4dとしては、日立社製のWooo(登録商標)32インチUT32に用いられている拡散板(以下、DPと略記、図中3)側から拡散シート(以下、DSと略記、図中4a)、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート(以下、プリズムシートと略記、図中4b)、DS(図中4c)及び反射型偏光シート(図中4d)の順で積層したものを用いた。
【0069】
輝度及びランプイメージは、コニカミノルタ社製の2次元色彩輝度計(CA2000)を使用し、光線制御ユニットから75cm離して設置し、光線制御ユニットの中心部22mm×178mm[34ドット分(x)×275ドット分(y)]の範囲で測定した平均輝度値を輝度とした。ここで、x方向は冷陰極管と並行方向、y方向は冷陰極管と直交方向である。輝度むらの定量的評価方法としてはx軸(22mm)方向の平均輝度値を求め、y軸方向について、冷陰極管同士の間隔(mm)に相当するドット数をdとして、各々の点の輝度値を各々の点から±d/2の範囲内の輝度平均値、すなわち冷陰極管間隔の輝度平均値で割り返した値の標準偏差値としてランプイメージを求めた。この値が小さいほどランプイメージは低減されていることとなる。
【0070】
次に、本発明者らは、以下の実施例1から実施例9において、各種拡散剤及び屈折率差Δn×含量Wを変化させた反射シートを作成し、バックライト実装評価を実施した。実施例1〜実施例4においては、拡散剤として架橋スチレンを用い、Δn×Wを変化させてランプイメージの低減効果を測定した。また、実施例5では、拡散剤として炭酸カルシウムを用い、実施例6〜実施例8では、シリコーン樹脂を用い、実施例9では、酸化チタンを用いてそれぞれランプイメージの低減効果を測定した。その結果、何れの場合においても高いランプイメージ低減効果を得ることができた。
【0071】
また、本発明者らは、拡散剤として、粒径が細かい酸化亜鉛(比較例1)、Δn×wが小さいシリコーン樹脂(比較例2)、Δn×wが大きい酸化チタン(比較例3、比較例4)を用いた反射シート、拡散剤未添加の反射シート(比較例5)、内層部の樹脂が異なる反射シート(比較例6)及び市販の液晶TVの反射シート(比較例7)を用いて実施例1〜実施例9と同様にバックライト実装評価を実施しランプイメージ低減効果を測定した。以下、本発明者らが調べた内容について詳細に説明する。
【0072】
(実施例1)
内層部原料として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を用いた。この原料樹脂をシリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の同方向回転2軸押出機を使って、シリンダー温度を250℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、温度を250℃に調整したギヤポンプを介して、マルチマニホールドダイに供給した。また、表層部原料として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を93重量%、架橋スチレン(綜研化学社製、KSR−8、粒径8μm、屈折率1.59)を7重量%の混合物を用いた。この表層部原料をシリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の単軸押出機を使って、シリンダー温度を210℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、マルチマニホールドダイに供給した。ここで、マルチマニホールドダイには、表層部/内層部/表層部比が1/10/1となるように各原料を供給し、合流させ、リップ巾が400mmでクリアランスが1.9mmで押し出した。ここで、押出しライン速度は、0.5m/分となるように押出しを行った。押し出された溶融樹脂を80℃に設定した一対のピンチローラーで引き取り、MD方向に溶融樹脂を引っ張りながら樹脂を冷却固化させて厚みが1.7mmのシートを作製した。
【0073】
得られたシートを、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0074】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ18μm/369μm/16μm、193g/m、0.48g/cm、97.0%であった。また、Δn×Wは0.126であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は71.7%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は106.9%と高く、L1/L2は、1.49であった。参考に、TD方向(L1方向)から入射したとき、及びMD方向(L2方向)から入射したときの反射光強度を図2に示す。L1方向入射の反射光強度に対し、L2方向入射の反射光強度が小さくなり、入射方向により、反射光強度に大きな違いがあることがわかる。なお、図2において入射光は−60度と表示されている角度から入射しており、+60度付近の反射光強度が大きくなっているのは正反射に由来するものである。
【0075】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、拡散板/DS/プリズムシート/DS/反射型偏光シートを配設(以下、全シート配設)して、ランプイメージを確認したところ、0.0027、0.0021、0.0023、0.0036と冷陰極管同士の間隔を広げてもランプイメージは低い値を保持した。
【0076】
(実施例2)
表層部として、架橋スチレン(綜研化学社製、KSR−8、粒径8μm、屈折率1.59)を10重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)90重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0077】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ18μm/366μm/17μm、194g/m、0.48g/cm、97.1%であった。また、Δn×Wは0.180であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は76.0%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は106.1%と高く、L1/L2は、1.40であった。
【0078】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0026、0.0020、0.0024、0.0038と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0079】
(実施例3)
表層部として、架橋スチレン(綜研化学社製、KSR−3A、粒径3μm、屈折率1.59)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)93重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0080】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ17μm/385μm/16μm、192g/m、0.46g/cm、97.0%であった。また、Δn×Wは0.119であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は71.2%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は108.3%と高く、L1/L2は、1.52であった。
【0081】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0028、0.0021、0.0023、0.0039と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0082】
(実施例4)
表層部として、架橋スチレン(綜研化学社製、KSR−3A、粒径3μm、屈折率1.59)を3重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)97重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0083】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ16μm/379μm/16μm、193g/m、0.47g/cm、96.9%であった。また、Δn×Wは0.046であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は66.9%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は120.7%と高く、L1/L2は、1.80であった。
【0084】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0038、0.0032、0.0024、0.0034と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0085】
(実施例5)
表層部として、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、CUBE−B、粒径2μm、屈折率1.58)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)93重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0086】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ16μm/385μm/16μm、209g/m、0.50g/cm、97.1%であった。また、Δn×Wは0.101であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は70.7%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は108.7%と高く、L1/L2は、1.54であった。
【0087】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0030、0.0024、0.0024、0.0033と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0088】
(実施例6)
表層部として、シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、X52−1621、粒径5μm、屈折率1.43)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)93重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0089】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ18μm/374μm/17μm、196g/m、0.48g/cm、97.0%であった。また、Δn×Wは0.076であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は68.1%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は110.6%と高く、L1/L2は、1.63であった。
【0090】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0032、0.0025、0.0024、0.0034と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0091】
(実施例7)
表層部として、シリコーン樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、トスパール120、粒径2μm、屈折率1.43)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)93重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0092】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ17μm/391μm/17μm、203g/m、0.48g/cm、97.3%であった。また、Δn×Wは0.071であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は76.1%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は105.6%と高く、L1/L2は、1.39であった。
【0093】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0030、0.0022、0.0021、0.0036と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0094】
(実施例8)
表層部として、シリコーン樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、トスパール120、粒径2μm、屈折率1.43)を3重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)97重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0095】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ16μm/369μm/16μm、198g/m、0.49g/cm、97.1%であった。また、Δn×Wは0.029であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は67.2%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は121.2%と高く、L1/L2は、1.80であった。
【0096】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0034、0.0029、0.0023、0.0034と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0097】
(実施例9)
表層部として、酸化チタン(テイカ社製、JR805、粒径250nm、屈折率2.8)を1重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)99重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0098】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ17μm/374μm/17μm、197g/m、0.48g/cm、97.5%であった。また、Δn×Wは0.223であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は77.1%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は112.3%と高く、L1/L2は、1.46であった。
【0099】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0025、0.0020、0.0024、0.0037と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げても、いずれの間隔においてもランプイメージは低いものであった。
【0100】
(比較例1)
表層部として、酸化亜鉛(堺化学社製、Finex50W、粒径20nm、屈折率1.9)を5重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)95重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0101】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ17μm/378μm/16μm、198g/m、0.48g/cm、97.1%であった。また、Δn×Wは0.349であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は62.0%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は140.2%と高く、L1/L2は、2.26であった。
【0102】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0052、0.0043、0.0036、0.0034と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げるにつれて、ランプイメージは低減するものの、冷陰極管間隔を40mmから47.5mmの間において、ランプイメージはいずれも高いものとなった。適切な粒径の拡散剤を用いていないため、良好な拡散性を付与できておらず、結果、ランプイメージが高いものとなったと考えられる。
【0103】
(比較例2)
表層部として、シリコーン樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、トスパール120、粒径2μm、屈折率1.43)を1重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)99重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0104】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ17μm/368μm/17μm、198g/m、0.49g/cm、97.1%であった。また、Δn×Wは0.010であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は64.3%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は138.1%と高く、L1/L2は、2.15であった。
【0105】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0048、0.0040、0.0035、0.0034と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げるにつれて、ランプイメージは低減するものの、冷陰極管間隔を40mmから47.5mmの間において、ランプイメージはいずれも高いものとなった。Δn×Wが0.010と低いため、良好な拡散性を付与できておらず、結果、ランプイメージが高いものとなったと考えられる。
【0106】
(比較例3)
表層部として、酸化チタン(テイカ社製、JR805、粒径250nm、屈折率2.8)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)93重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0107】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ17μm/382μm/16μm、199g/m、0.48g/cm、97.6%であった。また、Δn×Wは1.559であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのTD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は99.4%と高かった。なお、A1方向すなわちMD方向の反射光相対強度L1は99.8%であり、L1/L2は、1.00とほぼ等方拡散であり、異方拡散性を示さなかった。
【0108】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0027、0.0044、0.0061、0.0080と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げるにつれて、ランプイメージが大幅に増大し、冷陰極管間隔を42.5mmから47.5mmと省灯条件においてランプイメージは非常に高いものとなった。Δn×Wが1.559と高く、過度な拡散性を付与し、内層部に由来する拡散効果が消され、結果、ランプイメージが高いものとなったと考えられる。参考に、MD方向(L1方向)から入射したとき、及びTD方向(L2方向)から入射したときの反射光強度を図3に示す。L1方向入射の反射光強度に対し、L2方向入射の反射光強度がほぼ等しくなり、反射光強度が、入射方向によらずほとんど違いがないことがわかる。Δn×Wが1.559と高く、過度な拡散性を付与しているためと考えられる。
【0109】
(比較例4)
表層部として、酸化チタン(テイカ社製、JR805、粒径250nm、屈折率2.8)を2重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)98重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0110】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ19μm/369μm/18μm、199g/m、0.49g/cm、97.5%であった。また、Δn×Wは0.498であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのTD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は99.1%と高かった。なお、A1方向すなわちMD方向の反射光相対強度L1は99.2%であり、L1/L2は、1.00とほぼ等方拡散であり、異方拡散性を示さなかった。
【0111】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0025、0.0040、0.0057、0.0073と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げるにつれて、ランプイメージが大幅に増大し、冷陰極管間隔を42.5mmから47.5mmと省灯条件においてランプイメージは非常に高いものとなった。Δn×Wが0.498と高く、過度な拡散性を付与し、内層部に由来する拡散効果が消され、結果、ランプイメージが高いものとなったと考えられる。
【0112】
(比較例5)
表層部として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)100重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出し、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0113】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ17μm/376μm/17μm、199g/m、0.49g/cm、97.2%であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのMD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は61.3%と低かった。なお、A1方向すなわちTD方向の反射光相対強度L1は152.0%と高く、L1/L2は、2.48であった。
【0114】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0051、0.0042、0.0034、0.0035と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げるにつれて、ランプイメージは低減するものの、冷陰極管間隔を40mmから47.5mmの間において、ランプイメージはいずれも高いものとなった。表層部に適切な拡散剤を用いていないため、拡散性を付与できず、結果、ランプイメージが高いものとなったと考えられる。
【0115】
(比較例6)
内層部原料として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を70重量%、硫酸バリウム(堺化学社製、B−1)を30重量%混合した原料樹脂を用い、表層部として、シリコーン樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、トスパール120、粒径2μm、屈折率1.43)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)93重量%を用いて、実施例1と同様にして押出しライン速度0.5m/分で押出し、縦延伸、横延伸を行い、2種3層共押出し反射シートを得た。
【0116】
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ18μm/276μm/17μm、232g/m、0.75g/cm、95.1%であった。また、Δn×Wは0.076であった。変角光度計測定において、A2方向は、反射シートのTD方向であり、そのときの反射光相対強度L2は84.3%と高かった。なお、A1方向すなわちMD方向の反射光相対強度L1は88.7%であり、L1/L2は、1.05であった。
【0117】
この反射シートを、A2方向と冷陰極管の長手方向とが直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0018、0.0032、0.0051、0.0076と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げるにつれて、ランプイメージが大幅に増大し、冷陰極管間隔を42.5mmから47.5mmと省灯条件においてランプイメージは非常に高いものとなった。内層部に適切な樹脂を用いていないため、拡散性が制御できておらず、結果、ランプイメージが高いものとなったと考えられる。
【0118】
(比較例7)
本評価用バックライトとは別の市販の液晶TVから反射シートを取り出した。この反射シートは、表層部/内層部/表層部の3層構造を有しており、内層部、および表層部の樹脂としてポリエステル樹脂を用いていた。また、内層部に開孔核剤として硫酸バリウムを含有する構造であった。この反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度、平均全反射率は、それぞれ24μm/150μm/22μm、235g/m、1.20g/cm、96.7%であった。変角光度計測定において、最も反射光相対強度が低くなるA2方向での反射光相対強度L2は88.9%と高かった。なお、A1方向の反射光相対強度L1は88.1%であり、L1/L2は、0.99とほぼ等方散乱であった。
【0119】
この反射シートを、バックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0018、0.0029、0.0047、0.0068と冷陰極管間隔を40mmから47.5mmまで広げるにつれて、ランプイメージが大幅に増大し、冷陰極管間隔を42.5mmから47.5mmと省灯条件においてランプイメージは非常に高いものとなった。
【0120】
以上の結果、CCFL間隔を42.5mm、45.0mmと省灯化しても、実施例1から実施例9に記載の反射シートを適切に用いることでランプイメージの増大を抑制できることがわかる。実施例1から実施例9の結果を表1に、比較例1から比較例7の結果を表2に示す。また、実施例1から実施例9のランプイメージを図4に、比較例1から比較例7のランプイメージを図5に示す。図4に示すように、実施例1から実施例9のランプイメージは、CCFL間隔40mm〜47.5mmの範囲において、約0.0020〜約0.0040の範囲内となる。一方、図5に示すように、比較例1、比較例2、比較例5では、CCFL間隔40mm付近のランプイメージが約0.0050と大きく、また、CCFL間隔が大きくなるにつれて低下する。また、比較例3、比較例4、比較例6、比較例7では、CCFL間隔の増大に伴いランプイメージが大きく増大することが分かる。このように、表層部に適切な粒径の拡散剤を、0.015≦Δn×w≦0.35となるように含有させることにより、CCFL間隔を42.5mm、45.0mmと省灯化した条件においても良好なランプイメージを示すことがわかる。参考にX軸にΔn×wの値を、Y軸にCCFL間隔45.0mmの時のランプイメージをプロットした図を図6に示す。適切な粒径の拡散剤を、0.015≦Δn×w≦0.35となるように含有させることで、ランプイメージの大幅な低減が可能であることがわかる。
【0121】
【表1】

【0122】
表1に示すように、本実施の形態に係る反射シートは、拡散剤として架橋スチレンを用いた場合(実施例1〜実施例4)、及びシリコーン樹脂を用いた場合(実施例6〜実施例8)、Δn×Wが広い範囲でランプイメージ低減効果が発現することが分かる。また、拡散剤として、炭酸カルシウムを用いた場合(実施例5)、酸化チタンを用いた場合(実施例9)にも同様にランプイメージの低減効果が発現することが分かる。
【0123】
【表2】

【0124】
一方、表2に示すように、拡散剤の粒径が細かい場合(比較例1)、Δn×wが小さい場合(比較例2)、Δn×wが大きい(比較例3、比較例4)には、ランプイメージが大きいことが分かる。また、拡散剤未添加の反射シート場合(比較例5)、内層部の樹脂が異なる場合(比較例6)及び市販の液晶TVの反射シート(比較例7)を用いた場合、ランプイメージが大きくなることが分かる。以上のように、本実施の形態においては、所定の粒径及び屈折率を有する拡散剤を用いることにより、効果的にランプイメージが低減できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の反射シートは、バックライトのランプイメージを大きく低減でき、液晶表示装置のバックライトユニットとして好適に使用できる。
【符号の説明】
【0126】
1 冷陰極管
2 反射シート
3 拡散板
4 光学シート類
4a 拡散シート
4b プリズムシート
4c 拡散シート
4d 反射型偏光シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂(A)及び当該熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において、前記熱可塑性樹脂(A)と非相溶である少なくとも1種の樹脂(B)を含む内層部と、熱可塑性樹脂(C)及び平均粒径0.1μm〜20μmの拡散剤を含む表層部と、を備え、少なくとも前記表層部及び前記内層部の2層から構成され、前記熱可塑性樹脂(C)と前記拡散剤との屈折率差が0.02から1.50の範囲であるとともに、以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする反射シート。
0.015≦Δn×w≦0.35…式(1)
Δn:拡散剤と熱可塑性樹脂(C)の屈折率差(絶対値)
w:拡散剤の表層部含有量(g/m
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射シート。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂(C)としてポリプロピレン樹脂を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射シート。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において前記熱可塑性樹脂(A)と非相溶性である前記樹脂(B)は、ポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の反射シート。
【請求項5】
反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前記鉛直方向への反射光相対強度が、20%〜80%となる入射方向を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射シート。
【請求項6】
反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前記鉛直方向への反射光強度が入射方向による異方性を有しており、前記鉛直方向への反射光相対強度が最も低い入射方向A2での前記鉛直方向への反射光相対強度L2と、前記入射方向A2と直交する入射方向A1での前記鉛直方向への反射光相対強度L1の比L1/L2が1.2以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射シート。
【請求項7】
前記拡散剤が、炭酸カルシウム、シリコーン樹脂、架橋スチレン、架橋アクリル、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の反射シート。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の反射シートを具備したことを特徴とするバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−69988(P2011−69988A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220920(P2009−220920)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】