説明

反射型光電センサおよびその製造方法

【課題】接着剤の流出を防ぎ、高感度で、信頼性の高い反射型光電センサを提供する。
【解決手段】発光素子3と、発光素子3前方に設けられた投光レンズ1と、発光素子3からの光を受光する受光素子4と、受光素子4前方に設けられた受光レンズ2と、受光素子4からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部5とを具備した、反射型光電センサであって、投光レンズ1及び受光レンズ2の少なくとも一方を、接着剤で固定した構造体6を具備している。そしてこの構造体6は、接着剤を接続部に供給する供給部11と、供給部11から供給された接着剤を接続部に導くガイド部6gとを具備し接着剤の流出を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型光電センサおよびその製造方法に係り、特に、発光素子と、この発光素子から前方に光を出射し、検出対象で反射した光を受光する受光素子とを備えた反射型光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
図18に従来の反射型光電センサの構成断面図を示す。従来の反射型光電センサは、投光レンズ1と、この投光レンズ1を介して前方に光を出射する発光素子3と、受光レンズ2と、この受光レンズ2を介して前方から入る光を受光する受光素子4と、これらの部品を実装している主回路部5を構成する基板を保持する構造体(センサボディ)6とを具備している。
発光素子3としては、電流を流すと発光するLED素子などが用いられ、受光素子4としては受光面における入射光の位置に応じて出力が変化するPSD(位置検出素子)や2分割フォトダイオード(2分割PD)などである。7はフィルタ、8はカバーである。
【0003】
このような構成の反射型光電センサでは、三角測距の原理が用いられている。つまり、図19に示すように、発光素子3から出射される赤外光などの光を投光レンズ1で集光し、前方の検出物体で反射し、この反射光を受光レンズ2で集光し、受光素子4で受光するものとすると、センサの検出距離は、三角形で示す形のLaで表される。実際、発光素子3と受光素子4は基板上で所定の離間距離をもつように実装されて固定されている。
このため、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が大きくなると、センサの検出距離Laは大きくなる。一方、図20に示すように投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が小さくなると、センサの検出距離Laは小さくなる。このようにして投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離を変えることによりセンサの有効検出距離を調整することができる。
【0004】
しかしながら、レンズが固定されていないとセンサの有効検出距離が変動することから、センサの検出距離を投光レンズ・受光レンズで調整した後に接着固定して、センサの検出距離が変動しないようにしている。そのため実使用時に周辺の障害物の影響によりセンサの検出距離を変更したい場合にも、変更することができない。このため、センサ設置場所の周辺の障害物に関する制約条件がでてくることになる。
そこで、センサの検出距離の変化にも対応できるように、レンズ位置を変更可能に構成した種々の反射型光電スイッチや、センサが提案されている(例えば特許文献1−6)。
【0005】
特許文献1では、光学系及び発光素子・受光素子の相対的な位置関係を変えて検知可能領域を変更するための調節手段を備えた反射型光電スイッチが提案されている。
【0006】
特許文献2では、投光側ホルダまたは受光側ホルダのいずれかに回転伝達部材を設け、ばねの一端を本体ケースによって受け止め、回転伝達部材によってネジの回転を直線運動に変え、投光側ホルダまたは受光側ホルダのいずれかを変位させるように構成されている。
【0007】
また特許文献3乃至6についても、発光素子と受光素子との位置関係を調整するようにした支持構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−55827号公報
【特許文献2】実開昭63−187238号公報
【特許文献3】特許昭62−070709号公報
【特許文献4】特開昭60−080710号公報
【特許文献5】特開昭54−164267号公報
【特許文献6】特開平10−062160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および2の例では、ネジの回転によってレンズ保持部材を移動させるものであり、移動に際してレンズの支持も十分でなくレンズの傾きや位置ずれを免れ得ないため、十分な検出範囲(検出距離)を確保するのが困難であるという問題があった。
また特許文献3乃至6の例においても、取扱が難しかったり、あるいは十分な検出距離の拡大を行うことができないなどという問題があった。
また、一旦距離を決定すると、レンズは固定するのが望ましい。レンズが固定されていないとセンサの検出距離が変動することから、各レンズを接着固定して、センサの検出距離が変動しないようにする必要がある。そこで図18−20に示す構造において、構造体6にレンズ1,2を固定する場合、構造体6に接着剤を塗布しレンズ1,2を固定する。このとき、図21に示すように構造体6とレンズ1,2の接する部分だけでなく、レンズ面の受光領域Aにも接着剤Pが付着しやすいという問題があった。このため、レンズを透過する光量の低下に伴うセンサ感度の低下、あるいは見栄えが低下するなどの問題があった。
このような接着剤の付着の問題は、レンズ間距離を現場で調整して固定する方式だけでなく、製造時に固定する方式においても同様であった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、レンズ面の受光領域への接着剤の流出を防止し、高感度で信頼性の高い反射型光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明は、発光素子と、前記発光素子前方に設けられた投光レンズと、前記発光素子からの光を受光する受光素子と、前記受光素子の前方に設けられた受光レンズと、前記受光素子からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部と、前記投光レンズ及び前記受光レンズの少なくとも一方を固定する接続部を備えた構造体と、を具備した、反射型光電センサであって、前記構造体は、接着剤を前記接続部に供給する供給部と、前記供給部から供給された前記接着剤を前記接続部に導くガイド部とを具備したことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記ガイド部または前記レンズの周縁部のいずれか一方が前記供給部に連通する凹溝を有するものを含む。
【0012】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記ガイド部は、前記供給部で鉛直方向の位置が最も高くなるように構成されたものを含む。
【0013】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記投光レンズ及び前記受光レンズは、いずれもその両側面にフランジ部を具備し、前記構造体は、前記フランジ部を挿通する溝部を具備し、前記ガイド部は、前記溝部に連通して装着されるとともに、前記供給部に連通し、前記フランジ部に沿うように形成された凹溝を有し、前記投光レンズ及び前記受光レンズが、前記フランジ部で前記構造体に前記接着剤で固定されたものを含む。
【0014】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記凹溝は前記ガイド部の長手方向全体にわたり形成されたものを含む。
【0015】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記凹溝は前記フランジ部との間に隙間を有するように、前記フランジ部よりも断面積が大きく構成されたものを含む。
【0016】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記凹溝は前記供給部から離間するに従い、深さが深く構成されたものを含む。
【0017】
また本発明は、反射型光電センサにおいて、前記溝部は前記凹溝を兼ねるように、前記供給部に連通して、前記フランジ部を挿通する位置に配設されたものを含む。
【0018】
また本発明の反射型光電センサの製造方法は、接着剤を前記接続部に供給する供給部と、前記供給部から供給された前記接着剤を前記接続部に導くガイド部とを具備した構造体に前記投光レンズ及び前記受光レンズの少なくとも一方を装着する工程と、前記供給部から接着剤を充填し、前記接着剤を硬化させることで前記構造体に前記投光レンズ及び前記受光レンズの少なくとも一方を固着する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この構成によれば、構造体が、接着剤を接続部に供給する供給部と、供給部から供給された接着剤を接続部に導くガイド部とを具備しているため、接着剤の流出により、レンズ面の受光領域に接着剤が付着するのを防ぎ、レンズを透過する光量の低下に伴うセンサ感度の低下、あるいは見栄えの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1の反射型光電センサを示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図
【図2】本発明の実施の形態1の反射型光電センサのレンズ装着前の構造体を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図
【図3】本発明の実施の形態1の反射型光電センサにおける接着剤用の供給部およびガイド部と接着剤の流れを示す説明図
【図4】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの要部断面図、(a)は図4のp−p断面、(b)は図4のq−q断面を示す
【図6】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの検出距離を示す説明図
【図7】本発明の実施の形態1の反射型光電センサの検出距離を示す説明図
【図8】接続部Bの要部拡大図
【図9】接続部Bの変形例を示す要部拡大図
【図10】本発明の実施の形態2の反射型光電センサの要部拡大断面図
【図11】本発明の実施の形態3の反射型光電センサの要部拡大断面図
【図12】本発明の実施の形態4の反射型光電センサのレンズ装着前の構造体を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図
【図13】本発明の実施の形態4の反射型光電センサにおける接着剤用の供給部およびガイド部と接着剤の流れを示す説明図
【図14】本発明の実施の形態4の反射型光電センサの要部拡大断面図
【図15】本発明の実施の形態4の反射型光電センサのレンズ装着前の構造体の変形例を示す図
【図16】本発明の実施の形態5の反射型光電センサのレンズ装着前の構造体を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図
【図17】本発明の実施の形態5の反射型光電センサにおける接着剤用の供給部11およびガイド部と接着剤の流れを示す説明図
【図18】従来例の反射型光電センサの断面図
【図19】従来例の反射型光電センサの断面図
【図20】従来例の反射型光電センサの断面図
【図21】従来例の反射型光電センサの断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る反射型光電センサについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1(a)および(b)は本発明の実施の形態1の反射型光電センサの上面図及び側面図である。図2(a)および(b)は本発明の実施の形態1の反射型光電センサのレンズ装着前の構造体の上面図及び側面図である。図3は本発明の実施の形態1の反射型光電センサにおける接着剤用の供給部11およびガイド部と接着剤の流れを示す説明図である。図3は図2のA−A断面図である。図4および図5に、本発明の実施の形態1の反射型光電センサの分解斜視図および要部断面図を示す。図5(a)は図4のp−p断面、図5(b)は図4のq−q断面を示す。図6および7に本発明の実施の形態1の反射型光電センサの検出距離の調整原理を示す。図8に接続部Bの要部拡大図を示す。
この反射型光電センサにおいては、投光レンズ1及び受光レンズ2をポリカーボネート製の構造体6に並置している。そして構造体6が、接着剤を接続部Bに供給する供給部11と、この供給部から供給された接着剤を接続部Bに導くガイド部6gとを具備したことを特徴とする。このガイド部6gは投光レンズ1及び受光レンズ2の周縁部のフランジ部(1a、)2aを相通する位置決め用の溝部を兼ねた凹溝を構成しており、供給部11に連通する凹溝を構成しており、この凹溝に接着剤が流れ込むように構成されている。
【0023】
このガイド部6gは構造体6の相対向する位置に互いに平行となるように形成され、フランジ部(1a、)2aの位置決めを行うための溝部を兼ねている。
そして、投光レンズ1と受光レンズ2は、このガイド部6gとしての溝部に沿って、挿入される。そして、投光レンズ1と受光レンズ2との距離が調整され、センサの検出距離を調整した状態で接着剤で固定される。
【0024】
一方この投光レンズ1及び受光レンズ2は、いずれもその両側面にフランジ部1a,2aを具備している。そしてこのガイド部6gにこのフランジ部1a,2aを挿通することで、回転することなく、平行な姿勢角と位置とを保持されている。なお、投光レンズ及び受光レンズは、このガイド部6gに沿って、受光レンズ2を基線長方向に変位可能とすることで、距離が調整され、センサの検出可能距離を調整した状態で接着剤で固定する。
【0025】
そして、投光レンズ1の後方には赤外線発光素子からなる発光素子3が設けられている。又受光レンズ2の後方には発光素子3からの光を受光する受光素子4が設けられている。
又発光素子3と、受光素子4からの出力信号に基づき信号処理を行う主回路部5とが同一の回路基板上に実装され、基板ブロックを構成している。
【0026】
主回路部5は、受光素子4からの出力信号から三角測距方式に従った測距結果により前方に障害物の有無を判断するもので、回路基板に実装され基板ブロックを構成する。
さらに、センサ表面には赤外光を透過するフィルタ7が設けられ、センサの裏面にはセンサ裏面を覆うカバー8が形成されている。
【0027】
そして、位置決め後、供給部(供給口)11から接着剤Pが充填され、ガイド部6gを通って所望の領域に充填されて、投光レンズ1及び受光レンズ2が構造体6に固着される。
【0028】
このようにして、構造体6に設けられたガイド部6gに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動でき、位置決め後接着剤Pで固定されるため、各レンズはそのガイド部6gに入って、各レンズが構造体6内を基線長方向に移動し姿勢角を維持しつつ位置決めがなされる。そして接着剤はガイド部6gの存在により、レンズの受光領域となる領域である有効領域に流れだすことなく、接着部であるガイド部内壁に供給される。
【0029】
例えば受光レンズ2が図6に示す位置にある時、検出可能距離すなわちセンサのフィルタ7から検出対象までの検出可能距離がLaとなっているものとする。
このとき、図7に示すように受光レンズ2が方向Aに移動せしめられた時、検出可能距離すなわちセンサのフィルタ7から検出対象までの検出可能距離がLbとなる。これにより、このセンサの有効検出可能距離LはLa>L>Lbとなる。
【0030】
このように、受光レンズは構造体内部をガイド部6gに沿って移動し、所望の位置で供給部11から接着剤Pを供給すると接着剤Pの流動性によりガイド部6gに沿って流動し、硬化することで、投光レンズ1と受光レンズ2の離間距離が決定される。このようにして、検出距離を微調整することができ、高精度の検出が可能となる。
【0031】
また、構造体6に設けられたガイド部6gに沿って、投光レンズ1及び受光レンズ2のフランジ部1a、2aが移動して、発光素子3及び受光素子4に対する姿勢角が良好に維持され、高精度の検出が可能となる。このように、ガイド部6gでフランジ部1a、2aの姿勢角が維持されているため、構造体6に発光素子3および受光素子4に対する姿勢角を維持することができる。
【0032】
なお、前記実施の形態1では、図8に示すように、ガイド部6g自体が供給部11に連通する凹溝を構成しており、凹溝に接着剤が流れ込むように構成したが、図9に変形例の要部拡大図を示すように、レンズの周縁部例えばフランジ部(1a)2aに供給部に連通する凹溝12をガイド部6gに連通するように別途設け、この凹溝12に接着剤Pが流れ込むように構成してもよい。この構成によれば、より確実に接着剤のはみ出しを抑制することができる。
【0033】
この凹溝12については、供給部11から次第に深くなるテーパ面を構成してもよい。また途中でフラット面があったり、次第に浅くなるテーパ面があったりしてもよい。また、テーパ面に代えて段差が存在していてもよい。
【0034】
またレンズの形状については前記実施の形態に限定されるものではなく、フランジ部無しに形成されているものもあり、適宜変更可能である。
【0035】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2の反射型光電センサを示す要部拡大断面図である。この例では、凹溝を構成するガイド部6gはフランジ部(1a、)2aとの間に隙間Cを有するように、フランジ部(1a、)2aよりも断面積が大きくなるように構成されている。つまり本来の位置決めを行うための溝部よりもガイド部6gの断面積を大きくし、隙間Cを形成するものである。
他部については前記実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
この構成により、ガイド部6gとフランジ部(1a、)2aとの間だけでなくこの隙間Cに接着剤が入り込み、より接合強度を高めるとともに、接着剤の有効領域への流れ込みを防ぐことが可能となる。
【0036】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
図11は、本発明の実施の形態3の反射型光電センサを示す要部拡大断面図である。この図は前記実施の形態1では図2に相当する。本実施の形態では、ガイド部6gは、供給部11で鉛直方向の位置が最も高く、供給部11から離間するに従い低くなるように構成されている。またこのときガイド部6gはフランジ部の幅よりも狭い部分をもつように形成することで、フランジ部の位置は水平に維持され、ガイド部6gの底部のみが傾斜するように構成されているため、接着剤Pはガイド部6gを伝わってR方向に効率よく流れるように構成される。他部については前記実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0037】
この構成によれば、ガイド部6gを構成する凹溝の深さが、供給部11から次第に深くなるテーパ面を構成しているため、R方向に自然に接着剤Pが流れ、ガイド部6gを伝わって接続部に浸透するため、よどみなく流れ、はみ出しもなく効率よく構造体6に接合することが可能となる。
【0038】
なお、前記実施の形態3では、ガイド部を構成する凹溝の深さが、供給部11から次第に深くなるテーパ面を構成したが、途中でフラット面があったり、次第に浅くなるテーパ面があったりしてもよい。また、テーパ面に代えて段差が存在していてもよい。
【0039】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4について説明する。図12(a)および(b)は本発明の実施の形態4の反射型光電センサのレンズ装着前の構造体の上面図及び側面図である。図13は本発明の実施の形態4の反射型光電センサにおける接着剤用の供給部11およびガイド部6gと接着剤の流れを示す説明図である。図13は図12のA−A断面図である。図14は供給部11及びガイド部6gの要部拡大断面図である。
本実施の形態の反射型光電センサは、ガイド部6gの周縁部に供給部11に連通する凹溝を形成し凹溝に接着剤が流れ込むように構成したことを特徴とするものである。本実施の形態ではガイド部6gの底面に底面凹溝13を有している。
この構成によれば、供給部11からガイド部6gに接着剤Pが供給されるが、ガイド部6g上および底面凹溝13を伝って矢印Sの方向に接着剤が流れていく。レンズのフランジ部の位置に到達するとガイド部6gとレンズの間だけでなく底面凹溝13にも必ず接着剤は流れ込む。このため、底面凹溝13がない場合に比べより確実に接着剤が流れ込み、接着剤の受光領域へのはみ出しを抑制することができかつ接着安定性が増す。そしてさらにこの構成に加え、前記実施の形態1の変形例で示したように、レンズとガイド部の間に隙間を設けてさらにこの底面凹溝13を形成してもよく、この場合もより接着強度が増大する。
【0040】
さらにまた、図15に変形例を示すように、ガイド部とレンズとの間に隙間Cを設け、この隙間Cにも接着剤が充填されるようにしてもよい。この例ではガイド部6gを構成する凹溝はフランジ部との間に隙間を有するように、フランジ部よりも断面積が大きくなるように構成される。
【0041】
(実施の形態5)
次に本発明の実施の形態5について説明する。図16(a)および(b)は本発明の実施の形態5の反射型光電センサのレンズ装着前の構造体の上面図及び側面図である。図17は本発明の実施の形態5の反射型光電センサにおける接着剤用の供給部11およびガイド部6gと接着剤の流れを示す説明図である。図17は図16のA−A断面図である。
本実施の形態の反射型光電センサは、上記実施の形態4の反射型光電センサの構成に加え、ガイド部6gを構成する凹溝の底面を供給部から離れるに従って深くなるように構成したことを特徴とするものである。他は前記実施の形態4と同様であり、ガイド部6gの周縁部に供給部11に連通する凹溝すなわち底面凹溝13を形成しこの底面凹溝13に接着剤が流れ込むように構成される。本実施の形態ではガイド部6gの底面に底面凹溝13を有している。
【0042】
この構成によれば、供給部11からガイド部6gに接着剤Pが供給されるが、ガイド部6gを構成する凹溝のテーパ面および底面凹溝13を伝って矢印Tの方向に接着剤が流れていく。レンズのフランジ部の位置に到達するとガイド部6gとレンズの間だけでなく底面凹溝13にも必ず接着剤は流れ込む。このため、底面凹溝13がない場合に比べより確実に接着剤が流れ込み受光領域へのはみ出しを抑制することができかつ接着安定性が増す。そしてさらにこの構成に加え、前記実施の形態1の変形例で示したように、レンズとガイド部の間に隙間を設けてさらにこの底面凹溝13を形成してもよく、この場合もより接着強度が増大する。
【0043】
以上説明してきた実施の形態1乃至5では、凹溝はフランジ部1a、2aの長手方向全体にわたって形成したが、一部でも良い。また、この凹溝はフランジの長手方向で複数個所にわたって形成されていても良い。ガイド部の断面積を、供給部から離間するに従って次第に大きくなるようにすることでより効率よく接着剤が充填される。
【0044】
なお、前記実施の形態では、発光素子としては赤外発光素子を用いたが、これに限定されることなく、紫外光源、可視光源など所望の光源を用いることは可能である。赤外発光素子を用いることにより、LED光源、蛍光灯光源など、照明用光源に影響を与えることなく、検出可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 投光レンズ
2 受光レンズ
1a,2a フランジ部
3 発光素子
4 受光素子
5 主回路部
6 構造体
6g ガイド部
7 フィルタ
8 カバー
12 凹溝
13 底面凹溝
P 接着剤
B 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子前方に設けられた投光レンズと、
前記発光素子からの光を受光する受光素子と、
前記受光素子の前方に設けられた受光レンズと、
前記受光素子からの出力信号に基づき、信号処理を行う主回路部と、
前記投光レンズ及び前記受光レンズのうち少なくとも一方のレンズを固定する接続部を備えた構造体と、を具備した、反射型光電センサであって、
前記構造体は、接着剤を前記接続部に供給する供給部と、前記供給部から供給された前記接着剤を前記接続部に導くガイド部とを具備した反射型光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の反射型光電センサであって、
前記ガイド部または前記レンズの周縁部のいずれか一方が前記供給部に連通する凹溝を有する反射型光電センサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反射型光電センサであって、
前記ガイド部は、前記供給部で鉛直方向の位置が最も高くなるように構成された反射型光電センサ。
【請求項4】
請求項1に記載の反射型光電センサであって、
前記投光レンズ及び前記受光レンズは、いずれもその両側面にフランジ部を具備し、
前記構造体は、前記フランジ部を挿通する溝部を具備し、
前記ガイド部は、前記溝部に連通して装着されるとともに、前記供給部に連通し、前記フランジ部に沿うように形成された凹溝を有し、
前記投光レンズ及び前記受光レンズが、前記フランジ部で前記構造体に前記接着剤で固定された反射型光電センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の反射型光電センサであって、
前記凹溝は前記ガイド部の長手方向全体にわたり形成された反射型光電センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の反射型光電センサであって、
前記凹溝は前記フランジ部との間に隙間を有するように、前記フランジ部よりも断面積が大きく構成された反射型光電センサ。
【請求項7】
請求項6に記載の反射型光電センサであって、
前記凹溝は前記供給部から離間するに従い、深さが深く構成された反射型光電センサ。
【請求項8】
請求項4に記載の反射型光電センサであって、
前記溝部は前記凹溝を兼ねるように、前記供給部に連通して、前記フランジ部を挿通する位置に配設された反射型光電センサ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の反射型光電センサの製造方法であって、
接着剤を前記接続部に供給する供給部と、前記供給部から供給された前記接着剤を前記接続部に導くガイド部とを具備した構造体に、
投光レンズまたは受光レンズのすくなくとも一方を装着する工程と、
前記供給部から接着剤を充填し、前記接着剤を硬化させることで前記構造体に前記投光レンズ及び前記受光レンズの少なくとも一方を固着する工程とを含む反射型光電センサの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−122858(P2012−122858A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274128(P2010−274128)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】