説明

反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置

【課題】可視光全域に渡って諸収差を良好に補正した広い撮像領域に渡って高い解像力を有する反射屈折光学系を得ること。
【解決手段】物体側から順に、該物体側の面が凸形状で光軸周辺に設けられた正屈折力の光透過部と光透過部より外周側の物体側の面が反射面である裏面反射部とを有する第1の光学素子と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状で光軸周辺の負屈折力の光透過部と光透過部より外周側で像面側の面が反射面である裏面反射部とを有する第2の光学素子とを有し、第2の光学素子の物体側と像側の面の曲率半径を各々RM2a、RM2b、第2の光学素子の光軸上の厚さをt、第2の光学素子の材料の波長587.6nmでの屈折率をNdとし、1/(|RM2b|/2)−1/(|RM2a|+t)=1/s’、{(s’−t)xNd}/(Nd+1)=Raplとおいたとき、Rapl×0.8<|RM2a|<Rapl×1.2を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物体を拡大し、観察する際に好適な反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の病理検査では、光学顕微鏡を用いて病理標本(試料)を直接、人の目で観察している。近年、病理標本を画像データとして取り込み、ディスプレイ上で観察するバーチャル顕微鏡と呼ばれるものが利用されている。バーチャル顕微鏡では、病理標本の画像データをディスプレイ上で観察できるため、複数人で同時に観察することができる。また、このバーチャル顕微鏡を用いると、画像データを遠方の病理医と共有して診断を仰ぐこともできるなど多くの利点がある。しかし、この方法は、病理標本を撮像して画像データとしてすべて取り込むまでに時間がかかるという問題があった。
【0003】
時間がかかる原因の1つとして、大きな病理標本を顕微鏡の狭い撮像領域を用いて画像データとして取り込まねばならないことが挙げられる。顕微鏡の撮像領域が狭い場合、病理標本を複数の領域に分けて複数回撮像して複数の画像を取得し、それらを繋げることで一枚の画像とする必要がある。そこで、撮像回数を少なくして画像データを取り込む時間を短縮するために、顕微鏡には広い撮像領域を有する光学系を使うことが求められている。さらに、この光学系には可視領域での高い解像力を有することが求められている。
【0004】
特許文献1は、可視光全域に渡って収差を良好に低減した生体細胞などの観察に好適な屈折光学系を開示している。特許文献2は、集積回路やフォトマスクに存在する欠陥を検査するために可視光全域に渡って高い解像力を有した反射屈折光学系を開示している。また、特許文献3は、広い領域に微細なパターンを紫外線波長域の光を用いて露光し、半導体素子を製造するのに好適な反射屈折光学系を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭60−034737号公報
【特許文献2】特表2007−514179号公報
【特許文献3】WO00/39623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の光学系は、可視光全域に渡って諸収差を良好に低減しているが、撮像領域の大きさが必ずしも十分でない。また、特許文献2の光学系は可視光全域に渡って諸収差を良好に低減し、高い解像力を有しているものの撮像領域の大きさが必ずしも十分でない。また、特許文献3の光学系は広い領域に渡って高い解像力を有するものの、諸収差を良好に補正している波長領域が可視光全域に渡っておらず、十分でない。
【0007】
そこで、本発明は、可視光全域に渡って諸収差を良好に補正した広い撮像領域に渡って高い解像力を有する反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の反射屈折光学系は、物体からの光束を集光して該物体の中間像を形成する反射屈折部と、該中間像が形成される位置に配置されたフィールドレンズ部と、該中間像を像面に結像させる屈折部を有し、該反射屈折部は、該物体側から順に、該物体側の面が凸形状で光軸周辺に設けられた正の屈折力の光透過部と該光透過部より外周側に設けられた該物体側の面が反射面である裏面反射部とを有する第1の光学素子と、該物体側に凹面を向けたメニスカス形状で光軸周辺に設けられた負の屈折力の光透過部と該光透過部より外周側に設けられた該像面側の面が反射面である裏面反射部とを有する第2の光学素子とを有し、該第1の光学素子の裏面反射部の反射面と該第2の光学素子の裏面反射部の反射面とが向き合うように配置されており、該物体からの光束は、順に該第1の光学素子の光透過部、該第2の光学素子の裏面反射部、該第1の光学素子の裏面反射部、該第2の光学素子の光透過部を介して、該フィールドレンズ部側へ出射しており、該第2の光学素子の該物体側と該像面側の面の曲率半径を各々RM2a、RM2b、該第2の光学素子の光軸上の厚さをt、該第2の光学素子の材料の波長587.6nmでの屈折率をNdとし、
【0009】
【数1】

【0010】
とおいたとき、
Rapl×0.8<|RM2a|<Rapl×1.2
なる条件を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可視光全域に渡って諸収差を良好に補正し、広い撮像領域に渡って高い解像力を有する持つ反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の撮像装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例1の反射屈折光学系の要部概略図である。
【図3】本発明の実施例1の反射屈折光学系の横収差図である。
【図4】本発明の実施例2の反射屈折光学系の要部概略図である。
【図5】本発明の実施例2の反射屈折光学系の横収差図である。
【図6】本発明の実施例3の反射屈折光学系の要部概略図である。
【図7】本発明の実施例3の反射屈折光学系の横収差図である。
【図8】本発明の実施例4の反射屈折光学系の要部概略図である。
【図9】本発明の実施例4の反射屈折光学系の横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す通り、本発明の反射屈折光学系104は、物体103からの光束を集光して物体の中間像IMを形成する反射屈折部CATと、中間像IMが形成される位置に配置されたフィールドレンズ部FLとを有する。更に中間像IMを像面(撮像素子105)に結像させる屈折部DIOを有する。また、本発明の撮像装置1000は光源手段101と、光源手段101からの光束で物体103を照明する照明光学系102と、物体103を結像する反射屈折光学系104を有する。更に反射屈折光学系104によって結像された物体像を光電変換する撮像素子105と、撮像素子105からのデータより画像情報を生成する画像処理系106とを有する。
【0014】
図1は本発明の撮像装置の要部概略図である。図2は本発明の反射屈折光学系の実施例1の要部概略図である。図3は本発明の反射屈折光学系の実施例1の横収差図である。図4は本発明の反射屈折光学系の実施例2の要部概略図である。図5は本発明の反射屈折光学系の実施例2の横収差図である。図6は本発明の反射屈折光学系の実施例3の要部概略図である。図7は本発明の反射屈折光学系の実施例3の横収差図である。図8は本発明の反射屈折光学系の実施例4の要部概略図である。図9は本発明の反射屈折光学系の実施例4の横収差図である。
【0015】
横収差図は、試料103上で収差を計算した結果を、ミリメートル単位で、中心波長587.6nm、波長656.3nm、波長486.1nm、波長435.8nmに関して示した。
【0016】
以下、図1を参照して、本発明の反射屈折光学系104を有する撮像装置1000の構成について説明する。撮像装置1000は、光源(光源手段)101からの光を照明光学系102によって集光して試料(物体)103を均一に照明する。このとき使用する光は可視光(例えば、波長400nm〜波長700nm)が用いられる。結像光学系104は、試料(物体)103の像を撮像素子105上に結像する反射屈折光学系より成っている。撮像素子105で取得した信号(画像情報)から画像処理系106によって画像データを生成し、生成した画像データをディスプレイ(表示手段)107などに表示する。画像処理系106では結像光学系104で補正しきれなかった収差を補正する、または撮像位置の異なった画像データを繋げて一枚の画像データに合成するなど用途に応じた処理が行われる。
【0017】
図2、4、6、8に示すように、各実施例の反射屈折光学系104は、試料(物体)103の光束を集光し、所定面に中間像IMを形成する反射面と屈折面を含む反射屈折部CATを有する。更に、中間像IMからの光束を集光し、後述する屈折部DIO方向へ導光するフィールドレンズ部FLを有し、中間像IMを撮像素子(像面)105に結像する屈折部DIOを有する。
【0018】
反射屈折光学系104を構成する反射屈折部CATは、物体側から順に、第1の光学素子M1と第2の光学素子M2を少なくとも有する。第1の光学素子M1は、試料103側(物体側)の面M1aが凸形状で光軸周辺が正の屈折力の光透過部M1Tと、その外周側に試料103側の面M1aに反射面(例えばアルミや銀等の反射膜)が施された裏面反射部を有する。第2の光学素子M2は、試料103側に凹面を向け、メニスカス形状で光軸周辺が負の屈折力の光透過部M2Tと、その外周側に撮像素子105側(像面側)の面M2bに反射面(例えばアルミや銀等の反射膜)が施された裏面反射部を有する。第1の光学素子M1の裏面反射部の反射面と第2の光学素子M2の裏面反射部の反射面が向き合うように配置されている。
【0019】
屈折部DIOは、試料103からの光束のうち面M1aや面M2bで反射されずに直接光透過部を通過してきた光軸近傍の光束を遮光し、撮像素子105に入射するのを防止する遮光板SHを有する。このとき遮光する領域を大きくすると結像性を悪化させてしまうため、なるべく遮光する割合(以後この割合を遮光率とする)を低くすることが重要である。
【0020】
各実施例の反射屈折光学系104では、照明光学系102からの光束で照明され、試料103から出射した光束は第1の光学素子M1の光透過部M1Tを通過する。その後、第2の光学素子M2の屈折面M2aに入射し、その後裏面M2bで反射し、反射面M2aを通過して第1の光学素子M1の屈折面M1bに入射する。その後、第1の光学素子M1の裏面M1aで反射する。そして屈折面M1bを通過し、第2の光学素子M2の光透過部M2Tを通過して通過してフィールドレンズ部FL側へ出射し、試料103の中間像IMを形成する。中間像IMは、フィールドレンズ部FLを構成するレンズ内部に形成される。中間像IMは、複数の屈折光学素子を含む屈折部DIOによって撮像素子105上に拡大結像される。撮像素子105に結像された試料103の像は画像処理系106によって処理されて、表示手段107に表示される。
【0021】
各実施例において、第2の光学素子M2の物体側と像側の面M2a、M2bの曲率半径を各々RM2a、RM2bとする。第2の光学素子M2の光軸上の厚さをtとする。第2の光学素子M2の材料の波長587.6nmでの屈折率をNdとする。そして
【0022】
【数2】

【0023】
とおいたとき、
Rapl×0.8<|RM2a|<Rapl×1.2 ・・・(1)
なる条件を満足するのが良い。
【0024】
また第2の光学素子M2の硝材のアッベ数をνM2とする。このとき
νM2>40 ・・・(2)
なる条件を満足している。
【0025】
条件式(1)は、第2の光学素子M2の物体側の面M2aに強い負の屈折力を持たせても収差の発生を抑制し、広い波長領域に渡って収差を低減するためのものである。第2の光学素子M2の屈折面M2aの強い負の屈折力により強い発散作用を持たせることは、以下に示すような光学効果を得るためにも重要である。
・正レンズ作用の第1の光学素子M1の中心付近の光透過部を有効径と比較して相対的に小さくすることができ、遮光率を低く抑えることができる。
・反射屈折部CATと屈折部DIOの軸上色収差を相殺することができるため、屈折部DIOの凸レンズパワー(正レンズの屈折力)を強くすることができ、全長の短縮が容易になる。
【0026】
ここで(a1)式は、反射面M2bに対する結像関係の式であり、物点が屈折面M2aの曲率中心にあり、像点が反射面M2bから距離S’の位置にあることを表している。(a2)式は、反射面M2bから距離S’の位置にある虚像の物点に対し、屈折面M2aがアプラナティックな条件となるための曲率半径Raplを示している。
【0027】
条件式(1)は、屈折面M2aがアプラナティックな条件となるための曲率半径Raplからどの程度外れて良いかを示している。条件式(1)である程度幅があるのは、他の面で発生する収差とのバランスを取るためであり、第1の光学素子M1とバランスを取るためにも条件式(1)を満たすことが好ましい。条件式(1)を満たさないと第2の光学素子M2の屈折面M2aで大きな収差が発生し、広い波長領域に渡って収差を抑制することが困難となる。
【0028】
条件式(2)は、第2の光学素子M2の硝材を低分散にすることで、2次の軸上色収差を低減するためのものである。通常の屈折光学系では、物体を結像させるために正レンズのパワーを負レンズのパワーより強くしなければならない。そのため、正レンズに低分散の硝材、負レンズに高分散の硝材を用いることによって色収差の補正を行っている。このとき、低分散の硝材と高分散の硝材で波長に対する屈折率変化の割合が違うため、2次の色収差となって現れる。一方、本実施例に係る反射屈折光学系では、第2の光学素子M2の負の屈折面M2aのパワー(屈折力)を大きくしても、色収差の生じない反射面M2bのパワーを強くすることで結像させることができる。このため、第2の光学素子M2の硝材に低分散の(アッベ数の大きな)硝材を用いることで、2次の軸上色収差を低減することができる。条件式(2)を満たさないと2次の軸上色収差を低減することができず、広い波長領域に渡って収差を抑制することが困難となる。
【0029】
各実施例では(a1)、(a2)、条件式(1)の3つの式を満たすことによって、以下に示すような屈折面M2aでの収差が抑えられた構成とすることができる。
・最初に屈折面M2aに入射する光線がほぼ0度で入射する。
・反射面M2bによって反射された光線が屈折面M2aから射出する際、屈折面M2aの曲率半径がアプラナティックな条件となっている。
【0030】
各実施例において最も有効径の大きな屈折面M2aで収差を低減することにより、広い波長領域に渡って収差を低減するのを容易にしている。
【0031】
更に好ましくは条件式(1)、(2)の数値を次の如く設定するのが良い。
Rapl×0.9<|RM2a|<Rapl×1.1 ・・・(1a)
νM2>50 ・・・(2a)
また、第2の光学素子M2の反射面は非球面形状を有し、光透過部M2T側から外周側にかけて曲率が緩やかになっていくことが好ましい。このように設定することで、色収差の発生を低減し、球面収差を良好に補正している。
【0032】
[実施例1]
図2は、本発明の実施例1における反射屈折光学系104Aの要部断面図である。実施例1の反射屈折光学系において、物体側の開口数NAは0.7であって、結像倍率は10倍、試料103の物体高はφ14mmであり、反射屈折部CATに開口絞りASが配置されている。反射屈折部CATに開口絞りASを配置することによって、屈折部に配置する場合と比べて絞り径が大きくなってしまう半面、瞳の歪みを低減することができる。
【0033】
光学系104Aは、物体側、像面側ともテレセントリックに構成されており、遮光率が面積比で2割以下と抑えられている。また白色光での波面収差の最悪値が50mλ(rms)以下に抑えられている。
【0034】
[実施例2]
図4は、本発明の実施例2における反射屈折光学系104Bの要部断面図である。図4において図2と同じ部材には同符号を付している。実施例2の構成は実施例1と略同じである。
【0035】
実施例2の光学系において、物体側の開口数NAは0.7であって、結像倍率は4倍、試料103の物体高はφ20mmであり、実施例1と違い屈折部DIOに開口絞りASが配置されている。物体側、像面側ともテレセントリックに構成されており、遮光率が面積比で2割以下と抑えられている。また白色光での波面収差最悪値が50mλrms以下に抑えられている。
【0036】
[実施例3]
図6は、本発明の実施例3における反射屈折光学系104Cの要部断面図である。図6において、図2と同じ部材には同符号を付している。実施例3の構成は実施例1と略同じである。
【0037】
実施例3の光学系において、物体側の開口数NAは0.7であって、結像倍率は6倍、試料103の物体高はφ17.5mmであり、実施例1と違い屈折部DIOに開口絞りASが配置されている。物体側、像面側ともテレセントリックに構成されており、遮光率が面積比で2割以下と抑えられている。また白色光での波面収差最悪値が100mλ(rms)以下に抑えられている。
【0038】
[実施例4]
図8は、本発明の実施例4における反射屈折光学系104Dの要部断面図である。図8において、図2と同じ部材には同符号を付している。実施例4は実施例1に比べて反射屈折部CATの構成が異なっている。実施例4は反射屈折部CATを構成する第1、第2の光学素子M1、M2との間に平行平板PLを設けている。
試料103からの光束は、平行平板PLを2回通過してフィールドレンズ部FL側へ出射する。
【0039】
本実施例では、平行平板PLの中心に遮光板SHを配置することによって、光軸近傍の光束を屈折部DIOに到達する前に遮光している。このことによって、屈折部DIO内で発生する不要光を減らすことができる。
【0040】
また、平行平板PLを傾ける機構を備えることによって、組み立て時に発生するレンズの偏心によるコマ収差を調整することができる。
【0041】
実施例4の光学系において、物体側の開口数NAは0.7であって、倍率は4倍、資料103の物体高はφ20mmであり、実施例1と違い屈折部DIOに開口絞りASが配置されている。物体側、像面側ともテレセントリックに構成されており、遮光率が面積比で2割以下と抑えられている。また白色光での波面収差最悪値が50mλ(rms)以下に抑えられている。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明はスキャンすることで大きな試料を撮像する撮像装置にも、スキャンせずに試料を撮像する撮像装置にも適用可能である。
【0043】
以下、各実施例の数値実施例を示す。面番号は、物体面(試料面)から像面まで数えた光学面の順番である。rは第i番目の光学面の曲率半径である。dは第i番目と第i+1番目の間隔である(符号は物体側から像面側へ測ったときを(光が近行するときを)正、逆方向を負としている)。
【0044】
Nd、νdは波長587.6nmに対する材料の屈折率とアッベ数をそれぞれ示している。
【0045】
非球面の形状は、以下の式に示す一般的な非球面の式で表される。以下の式において、Zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、a、b、c、d、e、f、g、h、i・・・は各々、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次、18次、20次、・・・の非球面係数である。
【0046】
【数3】

【0047】
「E−X」は「10−X」を意味する。前述した各条件式と数値実施例との関係を表−1に示す。
【0048】
(数値実施例1)
Rapl=87.52
RM2a=-87.05
νM2=40.75

面番号 r d Nd νd
物体面 5.31
1 572.96 11.74 1.52 64.14
2 -3971.93 70.93
3 -87.05 7.37 1.58 40.75
4 -115.96 -7.37 1.58 40.75
5 -87.05 -60.93
6 絞り -10.00
7 -3971.93 -11.74 1.52 64.14
8 572.96 11.74 1.52 64.14
9 -3971.93 70.93
10 -87.05 7.37 1.58 40.75
11 -115.96 4.40
12 -280.62 7.55 1.73 45.75
13 -24.25 5.00 1.76 27.58
14 -63.13 0.50
15 44.30 8.03 1.62 60.32
16 -134.04 15.13
17 64.29 14.17 1.56 58.80
18 -57.90 20.93
19 -26.52 5.00 1.70 33.94
20 -60.24 3.37
21 2035.38 15.68 1.63 35.46
22 -70.44 0.89
23 117.93 21.53 1.68 39.58
24 -74.17 0.50
25 56.79 12.02 1.74 30.97
26 177.00 3.06
27 165.39 5.00 1.76 27.58
28 53.42 40.67
29 -38.60 5.00 1.76 27.58
30 -229.85 13.99
31 -35.70 5.00 1.76 27.58
32 -181.79 11.22
33 -143.30 22.66 1.52 53.64
34 -56.43 23.57
35 -219.04 17.88 1.75 34.24
36 -110.37 1.09
37 -4269.61 17.81 1.63 57.69
38 -282.70 3.00
像面

【0049】
【表1】



【0050】
(数値実施例2)
Rapl=147.19
RM2a=-118.31
νM2=70.24

面番号 r d Nd νd
物体面 13.39
1 736.61 24.08 1.49 70.24
2 -9661.75 97.67
3 -118.31 9.38 1.49 70.24
4 -170.29 -9.38 1.49 70.24
5 -118.31 -97.67
6 -9661.75 -24.08 1.49 70.24
7 736.61 24.08 1.49 70.24
8 -9661.75 97.67
9 -118.31 9.38 1.49 70.24
10 -170.29 10.00
11 -458.41 5.89 1.64 58.37
12 -119.83 3.29
13 -54.79 5.00 1.65 33.79
14 -998.82 11.55 1.62 60.25
15 -54.52 0.73
16 79.77 7.04 1.62 60.29
17 483.74 34.05
18 59.02 11.53 1.76 40.10
19 109.31 0.50
20 65.70 20.52 1.49 70.35
21 -118.81 26.00
22 絞り 18.84
23 -49.26 33.31 1.81 25.43
24 -79.27 0.50
25 122.53 26.67 1.64 55.38
26 -86.46 0.50
27 57.90 15.51 1.49 70.35
28 78.67 17.39
29 -124.44 5.74 1.57 42.86
30 58.49 15.64
31 -147.56 8.96 1.76 47.82
32 -75.81 11.90
33 -59.72 8.10 1.60 38.03
34 272.55 9.12
35 -178.62 19.27 1.72 34.72
36 -68.40 0.50
37 1362.89 16.90 1.51 60.49
38 -142.77 10.50
像面

【0051】
【表2】



【0052】
(数値実施例3)
Rapl=142.21
RM2a=-167.82
νM2=52.43

面番号 r d Nd νd
物体面 13.72
1 770.39 22.33 1.52 58.90
2 2378.98 111.82
3 -167.82 11.37 1.52 52.43
4 -207.81 -11.37 1.52 52.43
5 -167.82 -111.82
6 2378.98 -22.33 1.52 58.90
7 770.39 22.33 1.52 58.90
8 2378.98 111.82
9 -167.82 11.37 1.52 52.43
10 -207.81 5.32
11 -93.86 16.27 1.74 44.85
12 -69.67 8.31
13 -61.43 9.19 1.76 27.58
14 144.61 9.27 1.63 57.85
15 -53.51 0.50
16 47.71 14.72 1.62 60.32
17 140.40 11.60
18 57.13 21.31 1.70 48.31
19 -40.24 6.48 1.67 32.07
20 -89.71 16.86
21 絞り 13.99
22 -32.96 5.71 1.51 60.74
23 -270.01 8.97
24 -379.49 14.34 1.75 28.15
25 -67.23 1.24
26 211.55 19.56 1.58 57.81
27 -76.67 0.52
28 59.11 17.64 1.62 60.34
29 1974.65 6.99
30 -254.08 5.06 1.76 27.58
31 66.65 17.14
32 -70.16 8.91 1.74 37.46
33 -47.20 4.82
34 -41.79 5.00 1.51 63.55
35 327.69 20.12
36 -38.88 6.83 1.76 27.58
37 -156.16 4.60
38 -158.31 22.61 1.74 42.70
39 -61.08 0.76
40 353.15 19.11 1.69 49.27
41 -226.39 17.00
像面

【0053】
【表3】



【0054】
(数値実施例4)
Rapl=145.96
RM2a=-122.05
νM2=52.43

面番号 r d Nd νd
物体面 13.39
1 819.00 16.40 1.49 70.24
2 -3201.41 28.35
3 ∞ 13.97 1.49 70.24
4 ∞ 68.55
5 -122.05 9.54 1.52 52.43
6 -172.82 -9.54 1.52 52.43
7 -122.05 -68.55
8 ∞ -13.97 1.49 70.24
9 ∞ -28.35
10 -3201.41 -16.40 1.49 70.24
11 819.00 16.40 1.49 70.24
12 -3201.41 28.35
13 ∞ 13.97 1.49 70.24
14 ∞ 68.55
15 -122.05 9.54 1.52 52.43
16 -172.82 10.00
17 126.58 6.22 1.74 44.85
18 -950.12 9.32
19 -64.86 5.00 1.68 31.36
20 537.54 8.74 1.62 60.32
21 -56.79 0.50
22 82.22 7.50 1.49 70.41
23 635.34 23.00
24 64.84 14.27 1.69 49.87
25 618.89 5.01 1.76 27.58
26 709.49 10.48
27 -96.82 8.38 1.75 34.46
28 -68.50 28.14
29 絞り 48.00
30 -577.36 14.75 1.74 44.85
31 -104.66 0.50
32 116.63 19.70 1.74 44.85
33 -222.26 0.50
34 65.69 7.94 1.76 27.58
35 70.78 13.16
36 -483.66 5.00 1.74 28.39
37 53.97 51.45
38 -43.90 5.00 1.62 36.83
39 -429.14 6.13
40 -138.53 17.04 1.74 44.50
41 -58.87 0.50
42 357.86 13.06 1.74 44.85
43 -313.15 10.50
像面

【0055】
【表4】



【0056】
【表5】

【符号の説明】
【0057】
101 光源
102 照明光学系
103 試料
104 反射屈折光学系
105 撮像素子
IM 中間像
CAT 反射屈折部
FL フィールドレンズ部
DIO 屈折部
M1 第1の光学素子
M2 第2の光学素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体からの光束を集光して該物体の中間像を形成する反射屈折部と、該中間像が形成される位置に配置されたフィールドレンズ部と、該中間像を像面に結像させる屈折部を有する反射屈折光学系であって、
該反射屈折部は、該物体側から順に、該物体側の面が凸形状で光軸周辺に設けられた正の屈折力の光透過部と該光透過部より外周側に設けられた該物体側の面が反射面である裏面反射部とを有する第1の光学素子と、該物体側に凹面を向けたメニスカス形状で光軸周辺に設けられた負の屈折力の光透過部と該光透過部より外周側に設けられた該像面側の面が反射面である裏面反射部とを有する第2の光学素子とを有し、該第1の光学素子の裏面反射部の反射面と該第2の光学素子の裏面反射部の反射面とが向き合うように配置されており、
該物体からの光束は、順に該第1の光学素子の光透過部、該第2の光学素子の裏面反射部、該第1の光学素子の裏面反射部、該第2の光学素子の光透過部を介して、該フィールドレンズ部側へ出射しており、
該第2の光学素子の該物体側と該像面側の面の曲率半径を各々RM2a、RM2b、該第2の光学素子の光軸上の厚さをt、該第2の光学素子の材料の波長587.6nmでの屈折率をNdとし、
【数1】


とおいたとき、
Rapl×0.8<|RM2a|<Rapl×1.2
なる条件を満足することを特徴とする反射屈折光学系。
【請求項2】
前記第2の光学素子の硝材のアッベ数をνM2とするとき、
νM2>40
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の反射屈折光学系。
【請求項3】
前記第2の光学素子の裏面反射部の反射面は非球面形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の反射屈折光学系。
【請求項4】
前記物体側と前記像面側はテレセントリックに構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反射屈折光学系。
【請求項5】
前記反射屈折部に開口絞りを配置したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反射屈折光学系。
【請求項6】
光源手段と、前記光源手段からの光束で物体を照明する照明光学系と、該物体を結像する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の反射屈折光学系と、該反射屈折光学系によって結像された物体像を光電変換する撮像素子と、該撮像素子からの信号を用いて画像情報を生成する画像処理系と、を有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61530(P2013−61530A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200546(P2011−200546)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】