説明

反射屈折投影対物レンズ

【課題】NA>1の開口数で液浸リソグラフィが可能な非常に高い像側開口数を有する真空紫外(VUV)領域で使用する反射屈折投影対物レンズの提供。
【解決手段】物体面101上のパターンを像面102上に結像するための反射屈折投影対物レンズであって、パターンを第1中間像103に結像する第1対物レンズ部110と、第1中間像を第2中間像104に結像する第2対物レンズ部120と、第2中間像を像面102上に結像する第3対物レンズ部230とを有し、第1連続鏡面を有する第1凹面鏡121と、第2連続鏡面を有する少なくとも1つの第2凹面鏡122とが、第2中間像104の上流側に配置され、瞳面が、物体面と第1中間像との間、第1及び第2中間像の間、及び第2中間像と像面との間に形成され、主光線高さがすべての凹面鏡121,122で光学的に離して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体面上に配置されたパターンを像面上に結像するための反射屈折投影対物レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の投影対物レンズは、半導体デバイス及び他の種類のマイクロデバイスの作製に使用される投影露光系、特にウェハスキャナ又はウェハステップに用いられて、以下に総称的に「マスク」又は「レチクル」と呼ぶフォトマスク又はレチクル上のパターンを、感光性コーティングを有する物体上に超高解像度で縮小して投影する働きをする。
【0003】
より微細な構造体を生成するために、使用する投影対物レンズの像側端部の開口数(NA)の増加、及びより短い波長、好ましくは波長が約260nm未満の紫外線の使用の両方が求められている。
【0004】
しかし、必要な光学素子の作製に入手可能である波長領域で十分に透明である材料、特に合成石英ガラス及び結晶フッ化物は非常に少ない。入手可能であるこれらの材料のアッベ数は互いにかなり接近しているので、十分にうまく色補正された(色収差が補正された)純粋屈折系を設けることが困難である。
【0005】
上記問題を鑑みて、屈折及び反射素子、すなわち特にレンズ及び鏡を組み合わせた反射屈折系は、主に上記種類の高解像度投影対物レンズの構成に使用される。
【0006】
必要な材料が高価であること、及び大型レンズの作製に十分な大きさの結晶フッ化カルシウムの入手が限定的であることは、特に非常に大きい開口数NA、たとえばNA=0.80以上に対して157nmのマイクロリソグラフィの分野では問題になる。したがって、用いられるレンズの数及び大きさを減少させることができると同時に、結像忠実度の維持、さらには向上に資する方策が望まれる。
【0007】
良好な色補正とともに中程度のレンズ量であるという要件をシステムに与えるために、少なくとも2つの凹面鏡を有する反射屈折投影対物レンズが提案されてきた。米国特許第6,600,608B1号は、投影対物レンズの物体面上に配置されたパターンを第1中間像に結像する第1純粋屈折対物レンズ部と、第1中間像を第2中間像に結像する第2対物レンズ部と、第2中間像を直接的に、すなわちさらなる中間像を介さないで、像面上に結像する第3対物レンズ部とを有する反射屈折投影対物レンズを開示している。第2対物レンズ部は、中央穴を有する第1凹面鏡及び中央穴を有する第2凹面鏡を備えた反射屈折対物レンズ部であって、凹面鏡の鏡面は互いに向き合って、その間に鏡間空間又は反射屈折キャビティを画定している。第1中間像は、物体面に隣接した凹面鏡の中央穴内に形成される一方、第2中間像は、物体面に隣接した凹面鏡の中央穴内に形成される。対物レンズは、軸方向対称性を有し、軸方向及び横方向に良好な色補正を与える。しかしながら、凹面鏡の反射面は穴で中断されているので、光学系のひとみは不明瞭である。
【0008】
欧州特許第EP1069448B1号は、互いに向き合う2つの凹面鏡を有する別の反射屈折投影対物レンズを開示している。凹面鏡は、凹面鏡の近傍に位置する中間像上に物体を結像する第1反射屈折対物レンズ部の一部である。これが唯一の中間像であって、それは、第2純粋屈折対物レンズ部によって像面に結像される。物体は、反射屈折結像系の像とともに、互いに向き合う鏡によって画定される鏡間空間の外に位置する。2つの凹面鏡、共通の直線状の光軸、及び反射屈折結像系によって形成されて凹面鏡の1つのそばに位置する1つの中間像を有する同様な光学系が、日本特開2002−208551A号及び米国特許出願第2002/00241A1号に開示されている。
【0009】
欧州特許出願第1336887号(US2004/0130806A1号に対応)は、単一の共通の直線状光軸を有するとともに、第1中間像を形成する第1反射屈折対物レンズ部、第1中間像から第2中間像を形成する第2反射屈折対物レンズ部、及び第2中間像から像を形成する屈折型の第3対物レンズ部をその順序で有する。各反射屈折系は、互いに向き合う2つの凹面鏡を有する。中間像は、凹面鏡によって画定される鏡間空間の外に位置する。凹面鏡は、光学的にひとみ面の近傍で、投影対物レンズの中間像よりひとみ面に近い位置にある。
【0010】
SPIE 5377.65会報(2004年)「光学マイクロリソグラフィXVII」にB.W. Smithによって紹介された、T.松山、T.石山及びY.大村による論文「Nikon Projection Lens Update(ニコン投影レンズ最新情報)」には、従来型ジオプトリックDUV系と、DUV系のレンズ群の間に挿入された6鏡EUVカトプトリック系との組み合わせである反射屈折投影レンズの設計例が示されている。第1中間像が、凸面鏡の上流側のカトプトリック(純粋反射型)群の第3鏡の後方に形成される。第2中間像は、純粋反射型(カトプトリック)第2対物レンズ部によって形成される。第3対物レンズ部は、純粋屈折型であり、ペッツバール和補正のために第3対物レンズ部内の最小ビーム直径のウエスト部分での負の屈折力を特徴とする。
【0011】
日本特開2003−114387A号及び国際特許出願第01/55767A号は、単一の共通の直線状光軸、中間像を形成する第1反射屈折対物レンズ部、及び中間像を本光学系の像面上に結像する第2反射屈折対物レンズ部を有する反射屈折投影対物レンズを開示している。凹面鏡及び凸面鏡が組み合わせて使用されている。
【0012】
本出願人によって2003年10月17日に出願された米国特許仮出願第60/511,673号は、非常に高いNAを有し、NA>1で液浸リソグラフィに適する反射屈折投影対物レンズを開示している。好適な実施形態では、正確に3つの中間像が形成される。交差形の実施形態は、物体から第1中間像を形成する第1屈折型対物レンズ部と、第1物体から第2中間像を形成する第2反射屈折対物レンズ部と、第2中間像から第3中間像を形成する第3反射屈折対物レンズ部と、第3中間像を像面上に結像する第4屈折型対物レンズ部とを有する。反射屈折対物レンズ部の各々は、1つの凹面鏡を有し、折り曲げ平面鏡がそれに伴っている。凹面鏡は、凹面鏡面が互いに向き合っている。折り曲げ鏡は、中間に、すなわち凹面鏡によって画定される鏡間空間内に配置される。凹面鏡は同軸的でよく、反射屈折部の光軸は、屈折結像系内に画定される光軸に対して垂直でも、傾斜してもよい。
【0013】
上記書類の開示内容はすべて、参照によって本出願に援用される。
【0014】
SPIE第237号(1980年)292〜298ページのD. DeJagerによる論文「Camera view finder using tilted concave mirror erecting elements(傾斜凹面鏡正立素子を使用したカメラビューファインダー)」は、1:1伸縮正立リレー系の素子として2つの凹面鏡を有するカメラビューファインダーを開示している。この光学系は、無限遠にある物体を実像に結像するように構成され、その実像は正立して、接眼レンズを介して見ることができる。カトプトリックリレー系の上流側及び下流側の光学系屈折部の個々の光軸は、互いに平行に外れている。互いに向き合う凹面鏡を有する光学系を形成するために、鏡を傾斜させなければならない。その著者は、このタイプの物理的に実現可能な光学系では像品質が低いと結論付けている。
【0015】
国際特許出願第92/05462号及び第WO94/06047号及びOSA/SPIE会報(1994年)389ページ以降の論文「Innovative Wide-Field Binocular Design(革新的広視野双眼鏡構造)」は特に、単一の折り曲げられない光軸を有するインライン光学系として構成された双眼鏡及び他のビューイング器具用の反射屈折光学系を開示している。一部の実施形態は、光軸の一方側に配置された物体側鏡面を有する第1凹面鏡と、光軸の反対側に配置されて第1鏡と向き合う鏡面を有する第2凹面鏡とを有し、それにより、凹面鏡の面の湾曲が鏡間空間を画定する。前方屈折レンズ群が、第1鏡付近に第1中間像を形成し、第2中間像が、2つの向き合った鏡によって形成された空間の外に形成される。垂直方向より水平方向に大きい狭視野が、光軸から外して配置される。物体側屈折レンズ群はコリメートされた入力を有し、像側屈折レンズ群はコリメートされた出力を有し、テレセントリックから遠くに入射及び射出ひとみが形成される。ひとみの形状は、リソグラフィ投影レンズの場合の、円形であって光軸上に中心がなければならないひとみ面と異なり、半円形である。
PCT出願第01/04682A1号は、マンジャンミラーとして構成された1つの凹面鏡を有するウェハ検査用の反射屈折UV結像系を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,600,608B1号
【特許文献2】欧州特許第EP1069448B1号
【特許文献3】特開2002−208551A
【特許文献4】米国特許出願第2002/00241A1号
【特許文献5】欧州特許出願第1336887号
【特許文献6】US2004/0130806A1号
【特許文献7】特開2003−114387A
【特許文献8】国際特許出願第01/55767A号
【特許文献9】米国特許仮出願第60/511,673号
【特許文献10】国際特許出願第92/05462号
【特許文献11】第WO94/06047号
【特許文献12】PCT出願第01/04682A1号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】SPIE 5377.65会報(2004年)「光学マイクロリソグラフィXVII」にB.W. Smithによって紹介された、T.松山、T.石山及びY.大村による論文「Nikon Projection Lens Update(ニコン投影レンズ最新情報)」
【非特許文献2】SPIE第237号(1980年)292〜298ページのD. DeJagerによる論文「Camera view finder using tilted concave mirror erecting elements(傾斜凹面鏡正立素子を使用したカメラビューファインダー)」
【非特許文献3】OSA/SPIE会報(1994年)389ページ以降の論文「Innovative Wide-Field Binocular Design(革新的広視野双眼鏡構造)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の1つの目的は、NA>1の開口数で液浸リソグラフィを可能にする値に達することができる非常に高い像側開口数の可能性を有する真空紫外(VUV)領域で使用するのに適する反射屈折投影対物レンズを提供することである。本発明の別の目的は、比較的少量の光学材料で作製されることができる反射屈折投影対物レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記及び他の目的の解決策として、本発明は、1つの態様によれば、投影対物レンズの物体面上に設けられたパターンを投影対物レンズの像面上に結像するための反射屈折投影対物レンズであって、
物体面上に設けられたパターンを第1中間像に結像する第1対物レンズ部、
第1中間像を第2中間像に結像する第2対物レンズ部、及び
第2中間像を像面上に結像する第3対物レンズ部、
を備え、第1連続鏡面を有する第1凹面鏡と、第2連続鏡面を有する少なくとも1つの第2凹面鏡とが、第2中間像の上流側に配置され、ひとみ面が、物体面と第1中間像との間、第1及び第2中間像の間、及び第2中間像と像面との間に形成され、かつすべての凹面鏡がひとみ面から光学的に離して配置される、反射屈折投影対物レンズを提供する。
【0020】
本発明のこの態様による構造では、光軸に中心を置いた円形ひとみを軸対称光学系内に設けることができる。第2中間像の形成に資する光学系部内に2つ以上の凹面鏡が設けられており、凹面鏡の使用部分は、軸対称照明から相当にずれている。好適な実施形態では、正確に2つの凹面鏡が設けられ、優れた結像品質及び非常に高い開口数を得るのに十分である。単一の共通の折り曲げられない(直線状の)光軸を有し、製造、調節及びフォトリソグラフィ露光系への組み込みが容易である光学系を提供することができる。折り曲げ平面鏡はまったく必要ない。しかしながら、よりコンパクトな構造にするために、1つ又は複数の折り曲げ平面鏡を用いることもできる。
【0021】
すべての凹面鏡は、ひとみ面から「光学的に離して」配置され、そのことは、それらがひとみ面の光学的近傍外に配置されることを意味する。それらは、ひとみ面より視野面に光学的により近づけて配置されるであろう。ひとみ面から光学的に離れた(すなわち、ひとみ面の光学的近傍外の)好適な位置は、主光線の高さをhC、結像プロセスの周縁光線の高さをhMとして、光線高さ比H=hC/hM>1で特徴付けられるであろう。周縁光線高さhMは、(光軸に最も近い)内側視野点から開口絞りの縁部まで進む周縁光線の高さである一方、主光線高さhCは、(光軸から最も遠く離れた)最外側視野点から光軸に対して平行に、又は小さい角度をなして進んで、開口絞りが位置することができるひとみ面位置で光軸と交差する主光線の高さである。言い換えると、すべての凹面鏡は、主光線高さが周縁光線高さを超える位置にある。
【0022】
ひとみ面から「光学的に離れた」位置は、光ビームの断面形状が、ひとみ面上又はそのすぐ近くに見られる円形から大きくずれている位置である。ここで使用する「光ビーム」という表現は、物体面から像面まで進むすべての光線の束のことである。ひとみ面から光学的に離れた鏡位置は、光ビームの伝播方向に直交する相互に垂直な方向の光ビームのビーム直径が、互いから50%より多く、又は100%ずれる位置として定義されるであろう。言い換えると、凹面鏡上の被照明部分は、円から大きくずれた、ウェハスキャナ用のリソグラフィ投影対物レンズにおける好適な視野形状に対応する高アスペクト比の矩形に似た形状を有するであろう。したがって、一方向が他方向より相当に小さいコンパクトな矩形、又はほぼ矩形の小さい凹面鏡を使用してもよい。したがって、高開口の光ビームは、鏡縁部で口径食を生じることなく、光学系全体を案内されることができる。
【0023】
「上流側」又は「下流側」という表現が本明細書に使用される場合はいつも、これらの表現は、投影対物レンズの物体面から像面まで進む光ビームの光路に沿った相対位置を表す。したがって、第2中間像の上流側の位置は、光学的に物体面と第2中間像との間の位置である。
【0024】
本発明の別の態様によれば、投影対物レンズの物体面上に設けられたパターンを投影対物レンズの像面上に結像するための反射屈折投影対物レンズであって、
物体面上に設けられたパターンを第1中間像に結像する第1対物レンズ部、
第1中間像を第2中間像に結像する第2対物レンズ部、及び
第2中間像を像面上に結像する第3対物レンズ部、
を備え、第2対物レンズ部は、第1連続鏡面を有する第1凹面鏡と、第2連続鏡面を有する第2凹面鏡とを含み、凹面鏡の凹面鏡面は互いに向き合って、鏡間空間を画定しており、
少なくとも第1中間像が、幾何学的に第1凹面鏡及び第2凹面鏡の間の鏡間空間内に位置する、反射屈折投影対物レンズが提供される。
【0025】
本明細書では、「中間像」という表現は一般的に、完全な光学系によって形成され、物体面に対して光学的に共役の平面上に位置する「近軸中間像」を言う。したがって、中間像の場所又は位置について言及するときはいつも、物体面に対して光学的に共役であるこの平面の軸方向位置のことである。
【0026】
本発明の上記態様は、以下の包括的考察に基づいてより明らかに理解されるであろう。
【0027】
Jan Hooglandが幾つかの出版物で指摘しているように、光学的構造において求めることができる最も困難な要求は、特にそれが全屈折構造である場合、それが平面像を有することである。平面像を設けるには逆のレンズの屈折力が必要であり、それは、より強力なレンズ、より長い光学系長さ、より多い光学系ガラス量、及びより強いレンズ曲線から生じるより大きい高次像収差を招く。
【0028】
これとは逆に、光学系が湾曲像を有することができることは、低いレンズ屈折力、より弱い湾曲、よりコンパクトな構造に自動的につながり、ガラスの量が大幅に減少し、高次像収差が大幅に小さくなる。
【0029】
Shaferは、(非球面を持たないで)正レンズだけを使用する湾曲像を有するレンズ構造を示しており、非常に良好な性能を有する。前側の4又は5個の弱い正レンズ群は、球面収差及びコマの補正を行うことができ、厚い正の液浸レンズは非点収差補正を行うことができる。像は大きく湾曲する。
【0030】
しかしながら、リソグラフィには平面像が必須である。したがって、その場合の問題は、湾曲像が許容されるときに生じる良好な特性の妨害を最小限に抑えながらこれをいかに与えるかになる。
【0031】
クックトリプレットやダブルガウス構造のような一部の従来型レンズは、構造の中央に強い負屈折力を置くことによって平面像を達成する。しかし、それは、湾曲像を有することで列挙された利益のすべてを完全に破壊し、レンズ屈折力が強力でなければならず、湾曲は高次収差を悪くする。
【0032】
強い負レンズを像の直前に置き、それが近いほどよい従来型視野平坦化ペッツバールレンズ構造により、はるかに良好な解決策が提供される。この場合、構造のまさに最後のこの負レンズが、構造の像平坦化手段のすべてを与え、構造の残り部分は、弱い湾曲、低いレンズ屈折力、少ないガラス量などを有する。また、収差補正性能が非常に高い。それが、1960年代の超高解像空中偵察レンズ用にこの構造形式が使用された理由である。
【0033】
しかしながら、強い負のレンズを像の直線に置くと、射出ひとみ位置がテレセントリックから非常に遠く離れることになるので、この優れた構造をリソグラフィに使用することができない。また、リソグラフィでは、テレセントリック射出ひとみが常に必要である。
【0034】
おそらくは、視野平坦化ペッツバールレンズにテレセントリック射出ひとみを設ける唯一の方法は、開口絞りを構造の前方から極めて遠くに移動させ、良好な高次収差補正に望ましい位置から遠く離すことである。反対に、ダブルガウスのような一部の他の構造形式は、開口絞り位置をその好適な場所と比べて大して変化させないで、テレセントリック射出ひとみを有するように修正されることができる。そのように、リソグラフィでのこのテレセントリック射出ひとみ要件のために、最良の構造形式をあきらめて、望ましさが低いものに変えることが強要される。
【0035】
本発明は、上記態様を考慮して、良好な妥協解決策を提供する。
【0036】
像を平坦化し、テレセントリック射出ひとみを有し、さらに開口絞りを良好な収差補正に最も望ましい位置の近くに保持するための何らかの方法を見つけることができれば、湾曲像構造の多くの利益のすべてを維持することができる。
【0037】
正屈折力レンズに、それが実際に有するものと逆のペッツバール湾曲を与えることができれば、完全であろう。そのような「マジックレンズ」は、もし存在するとすれば、湾曲像構造の湾曲像のすぐ近くに配置されることができるであろう。その場合、それは像を平坦化し、さらには設計上の開口絞りを所望される位置に置いたまま、テレセントリック射出ひとみを与えることを助けさえするであろう。
【0038】
この問題には凹面鏡が理想的である。凹面鏡は、正レンズのように正の屈折力を有するが、ペッツバール湾曲の逆符号を有する。そのため、像の直前に置かれた凹面鏡は、湾曲像レンズ構造の像を平坦化することができ、テレセントリックひとみを与えるのを助ける正屈折力を有し、また色の問題が全くない。
【0039】
残念ながら、それはまた、光を進んできた方向にそのまま戻して送るので、結果的に生じた像にまったくアクセスできなくする。1つの解決策は、レンズ系を大きく軸から外して使用することであり、その場合、1つ又は2つの反射を像のすぐ近くに有し、最終像が鏡から「歩き去り」、完全に入射光線外に位置することが可能であろう。しかし、短時間の研究からでも、これが構造の高NA端部では実現不可能であるか、主レンズ系(すなわち、像側集束レンズ系)を大きく軸から外して使用することになり、そのため、それの性能が非常に低くなってしまうことがわかる。
【0040】
リソグラフィ構造の、たとえば約4X倍率の他端部では、状況がはるかに良好である。その場合、低NA像を鏡対から「歩き去らせる」ことができる前に、主屈折構造を同様に軸から外して使用する必要がない。1つではなく2つの凹面鏡を使用することにより、光は同一方向に進み続け、像にアクセスすることができる。軸から最小量を外した使用状態で主レンズ系を使用するとき、最良の性能結果が生じる。しかし、大きく軸から外れた主レンズ系を使用することにより、光線が口径食を伴わないで凹面鏡対を通ることが助けられる。そのため、これらは両立しない目的なのである。
【0041】
口径食の問題を最小限に抑え、かつすべての開口数にわたってそれらが光学系に影響を与えないようにするために、低NAの中間像を、反射の前後の2つの光線束が幾何学的に分離しているが、互いに隣接しているすべての位置に隣接させることが好ましい。この時、隙間は主に視野寸法によって決定され、開口数による変倍は非常に不完全に過ぎない。このことは、実際の高NA反射屈折構造に達するのに重要である。
【0042】
最良の解決策は、2つの鏡を主レンズ系とその低NA物体側端部との間に設けないことである。それにより、鏡の口径食を生じないために、主レンズを軸から大幅に外して使用することが避けられる。鏡は、物理的に(必ずしも光学的ではない)低NA物体の各側に位置しなければならない。その場合、主レンズ系を光軸にはるかに近づけて使用することができる。好適度が低い解決策は、両方の鏡を主光学系及びその低NA端部物体の外に置くことである。最後に記載した2つのいずれの場合も、低NA物体が完全な光学系の端部ではなくなるので、それを再結像する必要がある。
【0043】
物体を第1実中間像に再結像する間、この第1リレー系の光学系倍率は、それが拡大光学系であるように設計されることができる。これにより、中間像でのNAがますます減少し、したがって、口径食問題が緩和される。口径食が光学系NAに依存する度合いがますます小さくなる。
【0044】
好適な構造では、主レンズ系の低NA物体面の(やはり光学的ではなく物理的に)各側に、2つの凹面鏡が存在し、光学系は、鏡口径食を伴わないで、軸にできる限り近づけて使用される。この場合、たとえば約1X又は1.5Xの拡大で動作する別の屈折系又は反射屈折系のいずれかを使用して、この潜在物体を別の実像位置に取り次ぐことができる。
【0045】
両方の鏡が物理的及び光学的に低NA物体の外にある別の解決策は、まさにこれらの同じ2つの鏡が再結像を行う可能性を与える。しかし、非常に大きい作動距離及び厚い鏡基板が必要であることから、軸から大きく外れた主光学系を使用する必要がある口径食問題を伴わないが、これは実際的ではない。そのため、この別の解決策も、個別の1X又は1.5X拡大屈折又は反射屈折リレー系を使用することから利益を得る。
【0046】
これらの場合はすべて、1つ又は2つの屈折系の像を平坦化するために、1対の凹面鏡を使用する。凸面鏡はまったく使用されない。その場合、屈折系は、湾曲像構造について記載した利益を有することができる。
【0047】
本発明の好適な実施形態による、共に凹状の2つの反射面だけを有する構造には、従来技術と比べて幾つかの利点がある。
【0048】
中央ひとみが不明瞭である従来型光学系と比べて、本発明の幾つかの実施形態による構造では、鏡の寸法が小さく、不明瞭部分がまったくなく、二回又は三回透過レンズがなく、強い鏡出力のために光学系の視野平坦化が非常に効果的である。他の実施形態では、二回又は三回透過レンズが存在してもよい。
【0049】
好ましくは2つの屈折リレー群を有する本発明による実施形態は、ウェハに近い屈折レンズ群、すなわち第3対物レンズ部から約3X又は4Xの縮小倍率を有し(そのため、一端部で高NAであるだけ)、他方の屈折群(第1対物レンズ部)は両端部で低NAである。その結果、必要なレンズ屈折力がはるかに小さく、また所望の収差補正を得るために必要な素子が比較的少ない。
【0050】
一部の従来型光学系は限定NA光学系であることがわかっている。反対に、本発明による好適な構造は、そのような困難を伴わず、液浸光学系用の、NA=1に近いか、それを超える非常に高いNA値を処理することができる。好ましくは、2つの中間像は両方とも低NA値を有し、鏡がその縁で互いの空間に干渉する問題がない。
【0051】
本発明による一部の有用な構造を軸色に関して補正することが困難であることに注意されたい。しかしながら、好適な実施形態のレンズは非常に小さく、それらの屈折力は非常に弱く、そのため新しい構造の軸色は許容可能な値である。
【0052】
リソグラフィ用の他の従来型高NA反射屈折系は、構造内に少なくとも1つの凸面鏡を必要とするか、又は多数の鏡を有して非常に長いトラック長構造を与えがちである。凹面鏡及び幾つかのレンズと組み合わせて凸面鏡を使用することは、反射屈折構造の基本であることができ、口径食を避けるには大きすぎる軸外し状態で使用する必要がない明瞭な構造を有することができるようにする。これは、折り曲げ平面鏡を有していないインライン光学系である幾つかの従来特許構造の特徴である。反射屈折部は、光学系のレチクル端部上にある。そのような構造には少なくとも2つの問題がある。1つは、口径食を伴わないで凹面鏡の縁部を除くために、レチクルの後の第1中間像が凹面鏡を除かなければならず、凸面鏡から出た光線が光軸に対してかなり鋭角になりやすいことである。その場合、これらの光線を捕捉して、それらを折り曲げて光軸及び主集束レンズ群の方に戻すために、幾つかの視野レンズ又は視野鏡が必要である。これらの視野レンズ又は鏡は、光線を捕捉してひとみを主収束レンズ群の方に再結像するために、非常に大きく、かつ屈折力が強くなければならない。それらが視野レンズである場合、それらは大径で、強い正屈折力を有し、結果的に構造のガラス量が過大になる。加えて、それらは多くの正屈折力を有し、光学系のペッツバール湾曲の補正をさらに困難にする。代わりに視野鏡を使用する場合、それらが非常に大径でなければならず、光線の口径食を避けるようにそれらを構成することが困難である。しかしながら、それらは、視野レンズと逆の符号を有するので、ペッツバール補正を確かに助ける。これらの種類の光学系に係わる第2問題は、光学系内の凸面鏡が像の平坦化を助けるためにペッツバール湾曲の間違った符号を有することである。これにより、光学系にほとんどの凹面鏡から十分に良好なペッツバール補正を与え、それにより、この負担が完全に主集束レンズ群にかかることがないようにするための方法を幾つかの鏡で見つけるために、4又は6鏡光学系になりがちである。
【0053】
反対に、本発明の好適な実施形態は、凸面鏡をまったく有しておらず、不明瞭さ又は口径食を伴うことなく光軸に極めて接近して動作できるようにする幾つかの特徴を有する。そしてこれは、中間像の寸法がさほど大きくなく、構造内の視野レンズを過大にする必要がないことを意味する。凸面鏡がなく、2つの凹面鏡だけであるので、新規な構造は、従来技術の多重鏡光学系と比べて非常に単純である。それの2つの凹面鏡は、光学系内の、ほとんどすべてが正でよいレンズに対してまさに適正量のペッツバール補正を与えることができ、このように得られた構造は、比較的短いトラック長、小型の素子、少ないガラス量、非常に良好な収差補正、及び超高浸漬NA値での動作能力を有する。
【0054】
本発明による新規な構造に特有の他の特に有用な特徴がある。この構造のNA値が高いので、それは鏡の寸法に、あるいはその構造が光軸にいかに接近して動作することができるかにほとんど関係がない。従来技術によるすべての他のインライン構造では、口径食及び不明瞭さを避けるために、NAの増加に伴って、動作を軸からますます離しておくことが必要である。これにより、高次収差が悪化し、性能が低下し、反射屈折部内の素子の寸法が大きくなる。新規な構造は、その問題を伴わない点で、非常に珍しい。
【0055】
1つの共通の直線状の光軸を有する実施形態の代替例が、少なくとも1つの折り曲げ平面鏡を有する反射屈折構造によって与えられる。その場合、光路の一部が、たとえば光軸に対して90度に折り曲げられ、それから戻され、再び折り曲げて戻され、それにより、レチクル及びウェハは平行である。入射及び射出軸(すなわち、光軸の物体側及び像側部分)は、一部の実施形態では同軸的でよく、あるいは別の実施形態では横方向に食い違ってもよい。
【0056】
そのような構造は、光学系内にまさに1つの動力付き鏡を有することができ、これは凹面鏡と、2つの折り曲げ平面鏡である。本出願人によって2003年10月17日に出願された米国特許仮出願第60/511,673号に開示されている構造のような幾つかの構造は、2つの凹面鏡と2つの平面折り曲げ鏡とを有する。これらの折り曲げ構造は、ここで説明している本発明による新規な構造の良好な特性の多くを有することができる。しかしながら、これらの折り曲げ鏡では偏光の問題が発生する可能性があり、そのため、折り曲げ鏡を有しない好適な実施形態が非常に魅力的になる。
【0057】
一部の実施形態では、鏡間空間内に配置された、自由入射面及び自由射出面を有する少なくとも1つのレンズがあり、中間像と凹面鏡との間、又はその逆の光路でレンズを少なくとも2回透過する。そのような鏡関連レンズは、負の屈折力を有することができ、それを割り当てられている凹面鏡に似た湾曲方向を有するメニスカスレンズとして構成されるであろう。色補正は、このように正の影響を受けることができる。レンズは、光軸の、対応する凹面鏡が位置する側だけに配置された切頭レンズとして構成されてもよい。鏡関連レンズが光軸を横切って延在する場合、レンズを放射光が3回透過し、そのため、レンズの量を大して増加させることなく、光学効果が増加する。一方又は両方の凹面鏡が、鏡関連レンズを有してもよい。
【0058】
一部の実施形態では、第1凹面鏡及び第2凹面鏡は、実質的に同一又は正確に同一の湾曲を有するように構成される。これにより、凹面鏡を同一のブランク材料から同時に製造することができ、そのため、最初に第1及び第2凹面鏡用の鏡ブランクを製造し、その後、鏡ブランクを、第1及び第2凹面鏡として使用される2つの切頭鏡に分離する。これにより、製造を容易にすると共に、コスト効率を向上させることができる。同様に、2つの同様な切頭鏡関連レンズに使用されるレンズ材料を1つのレンズブランクから製造することができ、最初に形作り、次に2つの切頭レンズに分離する。このように、同一に、又はほぼ同一に構成され、互いに関して対称的に配置されることができる反射屈折サブ群を有する光学系を妥当な製造コストで設けることが可能である。
【0059】
一部の実施形態では、凹面鏡の少なくとも1つの鏡面が非球面である。一部の実施形態では、両方の凹面鏡の凹面が非球面である。非球面の凹面鏡は、光学補正を容易にし、かつレンズの量を減少させることができる。
【0060】
一部の実施形態では、中間像と対応の凹面鏡との間に少なくとも1つのレンズを配置し、そのレンズの少なくとも一方の面が非球面であることが有益であるとわかっている。非球面は、中間像に面する表面でよい。これにより、視野収差を効果的に補正することができる。
【0061】
一部の実施形態では、両方の凹面鏡が球形鏡面を有し、したがって、製造が容易でありかつ光学性能が向上する。1<D/(|c1|+|c2|)・10-4<6の条件が満たされることが有益であることがわかっている。ここで、Dが第3対物レンズ部のレンズ素子の最大直径(単位はmm)、c1及びc2が凹面鏡の曲率(単位はmm-1)である。この条件が満たされれば、第3結像系での正屈折力と投影対物レンズ内の凹面鏡によるペッツバール補正とが最適に釣り合う。この条件は、球面及び非球面の両方の凹面鏡に当てはまる。
【0062】
凹面鏡の基本形状と、当てはまる場合、非球面特性が光学性能に大きく影響を与えるので、規定の光学的特性を有する高品質鏡を製造するためには凹面鏡の製造方法が望ましい。pmax=R−(R2−D2/4)0.5として、pmax<0.22Rの関係が成り立つ場合、比較的「平坦的な」凹面鏡、すなわち凹面側の深さが比較的浅い凹面鏡を特に高い光学品質で製造することができることがわかった。この関係において、Rは非球面鏡面の曲率半径であり、Dは非球面鏡の直径である。好ましくは、D≦1.3Rの条件、さらに好ましくはD≦1.2Rの条件が満たされる。パラメータpは、光学表面上の点の「サジッタ」又は「立ち上がり高さ」を表す。このパラメータは、ときには文字どおり(サジッタの代わりの)SAG(サグ)も表す。サジッタpは高さhの、すなわちそれぞれの点の、光軸からの半径方向距離の関数である。
【0063】
一般的に、製造の観点から、鏡面の頂点での凹面鏡の曲率(頂点曲率)をできる限り同じようにすることが好ましいであろう。第1及び第2鏡の頂点曲率半径をR1及びR2とすると、好ましくは、
0.8<|R1/R2|<1.2
の条件が成り立つ。
【0064】
一部の実施形態は、第1中間像が幾何学的に鏡間空間内に位置する一方、第2中間像が鏡空間の外に配置されるように構成される。その場合、第1及び第2対物レンズ部は反射屈折対物レンズ部であることができ、ここで第1凹面鏡が、第1対物レンズ部の、第1中間像を形成する部分である一方、第2凹面鏡が、第2対物レンズ部によって第1中間像から第2中間像を形成するのに資する。
【0065】
互いに向き合う第1及び第2凹面鏡によって定められる鏡群は、光軸に面する凹面鏡の縁部に接近した最も近い凹面鏡に隣接する位置にある鏡群入口及び鏡群出口を有することができる。投影対物レンズのひとみ面を鏡群入口及び鏡群出口の近傍に配置することができ、それにより、鏡群は、鏡群入口及び鏡群出口の間でひとみの結像を行う。その場合、第1及び第2凹面鏡は光軸の一方側に位置することができる。視野面が鏡群入口及び鏡群出口の近傍にある他の実施形態では、第1及び第2凹面鏡は光軸の対向側に位置するであろう。
【0066】
本発明の別の態様によれば、1つの第1凹面鏡及び少なくとも1つの第2凹面鏡を有する投影対物レンズが提供され、第1凹面鏡は第1非球面鏡面を有し、第2凹面鏡は第2非球面鏡面を有し、また第1及び第2鏡面はほぼ同一の非球面形状を有する。非球面形状は同一でよい、すなわち、同一の非球面定数及び基本球面半径によって説明されることができる。本発明のこの態様は、凹面鏡のすべてがひとみ面から光学的に離して配置されている、特に正確に2つの凹面鏡が使用されている実施形態で利用されるであろう。しかしながら、1つ又は複数の凹面鏡がひとみ面上または光学的にひとみ面付近に位置する投影対物レンズでも、利点が利用されるであろう。第1及び第2鏡面がほぼ同じ、又は同一の非球面形状を有する場合、球形の基本形状から材料を除去するためにほぼ同一の研削及び研磨ステップを、又は他のステップを使用して非球面形状を作製することができるので、製造を簡略化することができる。さらに、複数の凹面鏡面を検査するために、非球面形状を特徴付けるための同一の検査装置を使用することができるので、非球面の製造中に使用される検査プロセスを高いコスト効率で構成することができる。その意味で、「ほぼ同じ非球面形状」という表現は、同一の光学検査装置によって検査されることができる非球面形状を包含すると理解されたい。当てはまる場合、表面形状は、同一の光学検査装置を使用することができるという意味で同様であるが、作動距離が異なることもあろう。
【0067】
一実施形態では、第2対物レンズ部が、それぞれ非球面を有する2つの凹面鏡を有し、第1及び第2鏡面は実質的に同一の非球面形状を有する。一実施形態では、この形式の第2対物レンズ部が反射屈折対物レンズ部である、すなわち、ほぼ同一の非球面形状を有する非球面鏡面を有する2つの凹面鏡だけで構成されている。この形式の反射屈折第2対物レンズ部も可能である。
【0068】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの凹面鏡を有し、その凹面鏡の鏡面が放物形状を有する反射屈折投影対物レンズを提供している。一実施形態では、2つの凹面鏡が設けられ、それらの凹面鏡の少なくとも一方が放物形状を有する。放物面鏡(すなわち、鏡の経線が放物型である凹面鏡)を使用することは、特に鏡の非球面形状の検査に関して有利であることがわかっている。放物面鏡は、平行な入射光を1つの単一焦点に集光し、それにより、放物面鏡面に当たる平行光線は、球面収差を受けることなく、1つの焦点に集光する。この形式の放物面鏡は、平面的な波面を有する検査ビームを生じるように構成された比較的簡単な光学検査装置を使用することによって容易に検査されることができる。簡単な構造を有する光学検査装置を使用し、それにより、非球面鏡の検査を高コスト効率にすることができる。
【0069】
投影対物レンズの所望機能を得るために光学的特性が必須であるが、光学系の製造に伴うコストに関する他の要因及び/又は光学系の全体的寸法及び形状に影響を与える要因もクリティカルであろう。また、レンズ取り付け及びレンズマニピュレータの組み込みの側面も考慮しなければならない。一種の実施形態は、この点に関して、特に第1対物レンズ部内のレンズ素子が少数である投影対物レンズが提供されることで特に有利である。一実施形態では、第1対物レンズ部が正レンズだけを有する。本明細書で使用する「レンズ」という表現は、減法屈折力を有する光学素子を表すものとする。これに関して、ほぼ平行な平面を有するプレートはレンズではなく、したがって、正レンズに加えて挿入されるであろう。正レンズだけを使用することにより、レンズの最大直径が比較的小さい、軸方向にコンパクトな第1対物レンズ部を提供することが可能になる。一実施形態では、第1対物レンズ部は、大きい屈折力を有する6個のレンズだけを有する。第1対物レンズ部内に1つ又は複数の非球面を設けてもよい。非球面レンズ面の適当な非球面形状を使用することにより、コンパクトな構造を得ることができる。傾向として、より多くの非球面を使用するほど、それだけ第1対物レンズ部をよりコンパクトに構成することができる。好適な実施形態では、レンズ素子の数と非球面の数との比が1.6未満である。一実施形態では、第1対物レンズ部の、物体面の直後の第1レンズ素子が、物体面に面する非球面を有し、その非球面は、ほぼ平坦であり、非球面の各点においてR>300mmである局部曲率半径Rを有する。このようにして、物体側テレセントリック性及び歪曲などの視野収差の有効な補正を得ることができる。
【0070】
すべての負レンズ(すなわち、大きい負屈折力を有するレンズ)がひとみ面から光学的に離して配置される場合、ジオプトリック系のコンパクトな形状も容易にすることができる。言い換えると、構造をコンパクトな形状に関して最適化しようとする場合、ひとみ面に光学的に近い負レンズを排除すべきである。
【0071】
レンズや鏡などの光学素子、及び/又はプレートやプリズムなどのほぼ平坦な面に設けられた非球面を利用して、光学系の補正状態と、全体寸法及び材料使用量との両方を改善することができる。非球面の最適表面形状は、理論的考察及び/又は数値計算から引き出されることができる。しかしながら、光学系を製造することができるか否かは、他の要因の中でも、非球面を必要な光学品質で所望形状に実際に製造することができるか否かの問題によって決まる。本発明の実現可能性の検討は、光学系内、特にマイクロリソグラフィに適した高解像投影対物レンズ内での非球面の使用を管理する幾つかの本質的な規則を示している。
【0072】
一実施形態によれば、投影対物レンズは、非球面の光学的使用部分内に変曲点がない表面形状の非球面を有する少なくとも1つの光学素子を有する。回転対称非球面では、「変曲点」は、非球面の局部曲率において符号変化が生じる経線方向に沿った点として特徴付けられる。言い換えると、変曲点は、幾何学的に非球面の局部凸面領域と局部凹面領域との間に見られる。少なくとも1つの非球面を有する複数の光学素子が設けられているとき、すべての非球面が、変曲点のない表面形状を有することが好ましい。妥協案として、非球面の少なくとも50%又は60%又は70%又は80%又は90%に変曲点がないように光学系を設計することが有利であろう。非球面から変曲点をなくすことは、変曲点を有する非球面と比較したとき、完成した非球面の光学品質を向上させることがわかっている。変曲点が排除されれば、表面処理工具の材料除去効果をより均一にすることができると考えられる。他方、変曲点を含む表面領域に研磨工具が作用している場合、変曲点の各側での工具の材料除去作用が相当に異なり、したがって、完成した表面の光学品質にばらつきが生じるであろう。
【0073】
本発明の別の態様によれば、投影対物レンズは、少なくとも1つの非球面を有する複数の光学素子を含み、すべての非球面は、光軸の外に極限点がない表面形状を有し、極限点は方程式:
【数1】

【0074】
によって定められる。この方程式において、上記の非球面の数学的記述を記載する方程式に関連して説明したように、パラメータ「p」は、高さhの点の、(光軸上に位置する)表面の頂点から光学素子の光軸に平行に測定した距離を表す。パラメータp(h)も、光学表面上の点の「サジッタ」又は「立ち上がり距離」と表される。これらの考察に基づき、「極限点」は、それぞれ関数p(h)の最大値及び最小値である。本発明者の研究から、極限点の領域では、仕上げに使用される工具の材料除去作用が、極限点の周囲の部分に加えられる作用と大きく異なり、そのため、不均一な光学表面品質が生じるであろうから、非球面の作製中は光軸の外の極限点(h=0)がクリティカルであることがわかった。
【0075】
(光学的使用半径hoptによって画定される)光学的使用部分を含むが、その部分を越えて最大高さhmax>hoptまで進む部分内では、この条件に従う必要があり、ここで、hmax=hopt+ORであり、ORは、光学的使用部分に隣接した「オーバーラン部分」の半径方向幅であって、光学的使用部分の周縁を研磨するとき、そのオーバーラン部分で回転工具が光学表面と接触するであろう。オーバーラン部分の一般的な幅は、工具の寸法によって決まり、5mm〜15mmの程度であろう。
【0076】
非球面上の極限点は製造の観点からクリティカルであるのに対して、極限点は、非球面の屈折力を半径(経線)方向に所望通りに変化させるために光学的観点から望ましいであろう。妥協案として、少なくとも1つの極限点を有する非球面が、使用可能直径全体にわたってほぼ平坦であることが有利であるとわかっている。言い換えると、少なくとも1つの極限点を有する非球面の基本形状は平面的である、又は平面からわずかにずれているだけであるべきである。それに関して、少なくとも1つの極限点を有する少なくとも1つの非球面を備え、Pmax=0.5、さらに好ましくはPmax=0.25として、これらの非球面について、
|p(h)|<pmax
の条件が成り立つ投影対物レンズが好ましい。
【0077】
上記の非球面用の好適な条件は、本発明の一定の実施形態で実行される実現可能性検討から引き出されたものである。しかしながら、非球面を備えた光学素子を有する他の形式の光学系でも、その条件を利用することができるであろう。したがって、本発明のこれらの態様は、本発明の好適な実施形態の他の特徴から独立的に有益である。
【0078】
本発明の別の態様によれば、第1対物レンズ部は、凹面鏡と、湾曲鏡面を有する少なくとも1つの追加鏡とを備え、凹面鏡及び追加鏡の湾曲鏡面は互いに向き合っている。本実施形態では、湾曲鏡面を有する2つの鏡が、第1中間像の形成に資する。好ましくは、この形式の第1対物レンズ部は反射屈折型である、すなわち、凹面鏡及び追加鏡に加えて、少なくとも1つのレンズが設けられる。凹面鏡及び追加鏡は好ましくは、第2及び第3対物レンズ部の光軸と一致する共通の直線状の光軸を共用し、そのため、すべての対物レンズ部は、共通の直線状の光軸を共用する。好ましくは、この形式の第1対物レンズ部は、拡大結像系として構成される。一部の実施形態では、追加鏡は、その対物レンズ部の凹面鏡の効果を少なくとも部分的に補償する凸面鏡面を有する凸面鏡である。好ましくは、この形式の第1対物レンズ部は、第1及び第2凹面鏡を含む第2対物レンズ部と組み合わされ、その凹面鏡表面が互いに向き合って、鏡間空間を画定する。これらの実施形態では、一般的に第1中間像はその鏡間空間の外に位置するであろうが、第2中間像は鏡間空間内に位置するであろう。2つの対物レンズ部(第1対物レンズ部及び第2対物レンズ部)内に分散させた少なくとも3つの凹面鏡、好ましくは正確に3つの凹面鏡を有する実施形態は、すべての凹面鏡がひとみ面から光学的に離して配置されるような構造にすることができる。しかしながら、所望されれば、少なくとも1つの凹面鏡、特に第1対物レンズ部内に位置する凹面鏡を光学的にひとみ面の近くに位置させることも可能である。
【0079】
この形式の実施形態では、凹面鏡によって与えられる補正能力が、中間像によって分離された2つの対物レンズ部間で有利に分散されることができ、それにより、補正作用間の良好な釣り合い及び補償を得ることができる。凹面鏡によって支持された一定の補正効果が光路内で2回存在するように、第1及び第2対物レンズ部を構成することも可能である。しかしながら、異なった対物レンズ部内の異なった凹面鏡において主要光線(主光線)及び周縁光線の高さが異なるであろうから、補正手段は、それらが異なった光学効果を有する光学位置に配置されるであろう。光学素子のインライン配置(1つの共通の直線状光軸)によって与えられるすべての利点を保持することができる。
【0080】
上記及び他の性質は、特許請求の範囲だけでなく、説明及び図面にも見ることができ、個々の特徴は、本発明の実施形態及び他の領域で単独で、又は小組み合わせの形で使用されることができ、有利かつ特許性がある実施形態を個別に表すであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明による投影対物レンズの第1実施形態の長手方向断面図である。
【図2】図1の光学系を通過する内側軸外ビームを示す図である。
【図3】図1の光学系を通過する外側軸外ビームを示す図である。
【図4】本発明による投影対物レンズの第2実施形態の長手方向断面図である。
【図5】図4に示された実施形態の凹面鏡上のビームのフットプリントを示す概略図である。
【図6】図4に示された実施形態の凹面鏡上のビームのフットプリントを示す概略図である。
【図7】NA値が異なり、かつ開口絞りの位置が異なる、図4の実施形態の変更形を示す。
【図8】NA値が異なり、かつ開口絞りの位置が異なる、図4の実施形態の変更形を示す。
【図9】NA値が異なり、かつ開口絞りの位置が異なる、図4の実施形態の変更形を示す。
【図10】本発明による投影対物レンズの第3実施形態の、それぞれ概略図及びレンズ部分を示す。
【図11】本発明による投影対物レンズの第3実施形態の、それぞれ概略図及びレンズ部分を示す。
【図12】本発明による投影対物レンズの第4実施形態の、それぞれ概略図及びレンズ部分を示す。
【図13】本発明による投影対物レンズの第4実施形態の、それぞれ概略図及びレンズ部分を示す。
【図14】鏡の幾何学的配置を示すための、第3実施形態の反射屈折対物レンズ部の斜視図を示す。
【図15】凹面鏡と傾斜視野(図15a)との間に二回透過レンズを有する別の実施形態の概略図である。
【図16】図15に従って構成された実施形態全体のレンズ部分を示す。
【図17】図15に示された原理に従って構成された別の実施形態のレンズ部分を示す。
【図18】凹面鏡間に三回透過レンズを有する実施形態の概略図である。
【図19】図18に示された原理に従って構成された実施形態のレンズ部分を示す。
【図20】凹面鏡の一方の近くに鏡関連レンズを有する実施形態のレンズ部分を示す。
【図21】本発明による投影対物レンズの別の実施形態のレンズ部分を示す。
【図22】同様な浅い凹面鏡を有する、本発明による投影対物レンズの別の実施形態のレンズ部分を示す。
【図23】同様な浅い凹面鏡を有する、本発明による投影対物レンズの別の実施形態のレンズ部分を示す。
【図24】凹面鏡の押し込み深さを画定するための図を示す。
【図25】鏡間空間内の唯一の中間像と、鏡群の入口及び出口に近いひとみ面とを有する、本発明による投影対物レンズの別の実施形態のレンズ部分を示す。
【図26】図25に示された実施形態の、物体面と第1中間像との間の部分の拡大図を示す。
【図27】カトプトリック第2対物レンズ部が正確に同一の非球面を有する2つの凹面鏡を有する、本発明の実施形態のレンズ部分を示す。
【図28】カトプトリック第2対物レンズ部を有し、第1凹面鏡が放物面鏡として構成されている実施形態のレンズ部分を示す。
【図29】放物面鏡を光学的に検査する検査装置を示す概略図である。
【図30】正レンズのみを有し、かつ非球面の数が異なるコンパクトな第1対物レンズ部を有する投影対物レンズの実施形態を示す。
【図31】正レンズのみを有し、かつ非球面の数が異なるコンパクトな第1対物レンズ部を有する投影対物レンズの実施形態を示す。
【図32】正レンズのみを有し、かつ非球面の数が異なるコンパクトな第1対物レンズ部を有する投影対物レンズの実施形態を示す。
【図33】変曲点を有する従来型非球面の概略図を示す。
【図34】すべての非球面に変曲点がない実施形態のレンズ部分を示す。
【図35】極限点を有する非球面を示す概略図である。
【図36】極限点が存在することによる問題を排除した投影対物レンズの実施形態のレンズ部分を示す。
【図37】少数の非球面を有する別の実施形態のレンズ部分を示す。
【図38】少数の非球面を有する別の実施形態のレンズ部分を示す。
【図39】2つの凹面鏡を含む反射屈折第1対物レンズ部と、2つの凹面鏡を有する反射屈折第2対物レンズ部とを有する実施形態のレンズ部分を示す。
【図40】2つの湾曲鏡を有する第1対物レンズ部と、2つの凹面鏡を有する反射屈折第2対物レンズ部とを有する別の実施形態のレンズ部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明の好適な実施形態の以下の説明で、「光軸」という用語は、関係する光学素子の曲率中心を通る直線又は一連の直線状線分を意味するものとする。光軸は、折り曲げ鏡(偏向鏡)又は他の反射面によって折り曲げられる。ここに提示する例の場合、関係する物体は、集積回路のパターンを付けたマスク(レチクル)か、何らかの他のパターン、たとえば、格子パターンのいずれか一方である。ここに提示する例では、物体の像は、フォトレジスト層をコーティングした、基板として機能するウェハ上に投影されるが、液晶ディスプレイの部品又は光学格子用の基板などの他の形式の基板も可能である。
【0083】
図面に示された構造の規格値を開示するために表が提供されている場合、表(複数可)にはそれぞれの図面と同一の番号が付けられている。
【0084】
図1は、約193nmUVの作動波長用に構成された本発明による反射屈折投影レンズ100の第1実施形態を示す。それは、物体面101上に配置されたレチクル上のパターンの像を、正確に2つの実中間像103、104を生じながら、像面102に縮小して、たとえば4:1の縮尺で投影するように構成されている。第1屈折対物レンズ部110が、物体面上のパターンを第1中間像103に拡大して結像するように構成され、第2反射屈折対物レンズ120が、第1中間像103を1:1に近い倍率で第2中間像104に結像し、第3屈折対物レンズ部130が、第2中間像104を像面102上に強い縮小率で結像する。第2対物レンズ部120は、物体側に面する凹面鏡面を有する第1凹面鏡121と、像側に面する凹面鏡面を有する第2凹面鏡122とを有する。鏡面は両方とも連続している、又は中断していない、すなわちそれらは穴又は内孔を有していない。互いに向き合う鏡面は、凹面鏡によって画定された湾曲面によって取り囲まれた、鏡間空間125とも呼ばれる反射屈折キャビティ125を画定する。中間像103、104は両方とも、反射屈折キャビティ125内に位置し、少なくとも近軸中間像がほぼその中間にあって、鏡面から十分に離れている。
【0085】
凹面鏡の各鏡面は、物理的鏡面の縁部を越えて延びて鏡面を含む数理表面である「湾曲表面」又は「湾曲した表面」を画定する。第1及び第2凹面鏡は、共通の回転対称軸を有する回転対称湾曲表面の一部分である。
【0086】
光学系を通るビーム路をわかりやすくするために、図2及び図3は、軸外物体側視野から生じた2つの異なったビーム束を示す。図2のビーム束は、光軸に最も近い物点から発生するのに対して、図3では、ビーム束は光軸から最も離れた物点から発生する。中間像が凹面鏡間のほぼ中央に位置することが、この図面で明らかにわかる。図2では、鏡間で交差する光ビームの交点の図示の位置は、近軸中間像の位置に近い。反対に、図3では、鏡間で交差する光ビームの交点の図示の位置又は区域は、近軸中間像の位置から遠くにずれている。
【0087】
光学系100は回転対称的であり、すべての屈折及び反射光学部材に共通の1つの直線状の光軸105を有する。折り曲げ鏡はない。凹面鏡は小径であり、それらを互いに接近させる、又はむしろその間に位置する中間像に近づけることができる。凹面鏡は両方とも、軸対称表面の軸外部分として構成され、かつ照明される。光ビームは、口径食を伴わないで、光軸に面する凹面鏡の縁部のそばを通過する(たとえば、図4又は図7〜図9を比較されたい)。
【0088】
凹面鏡での最大光ビーム高さは、第3対物レンズ部内での最大光ビーム高さとほぼ同じである。好ましくは、凹面鏡での最大光ビーム高さは、第3対物レンズ部内での最大光ビーム高さの1.5倍未満、又は1.2倍未満である。これにより、投影対物レンズ内の光ビームのすべてが、その第3対物レンズ部の光軸を中心にして物体面から像面まで延び、かつその第3対物レンズ部内での最大ビーム高さの1.5倍、好ましくは1.2倍の最大半径を有する円筒として画定された空間内に位置する構造が可能である。
【0089】
本光学系は、良好な横色補正を有するが、軸色は完全には補正されない。本実施形態では、両方の凹面鏡がマンジャンミラーとして構成されている。各マンジャンミラーは、鏡面処理された凸面を有する負メニスカスレンズからなる。鏡の補正不足の球面収差は、負レンズの過剰球面収差によって相殺される。両方の凹面鏡は、屈折力が非常に小さい。凹面鏡は、単純な鏡として構成されてもよい(図4を比較されたい)。それらが(メニスカスレンズを伴わない)単純な鏡である場合、透明光学材料の量が減少するが、鏡を切断する必要があるであろう。
【0090】
投影対物レンズは、液浸レンズとして構成される。補正状態は、26・5.0mm2の視野全体にわたって1.1NAで約9ミリ波である。視野半径は65mmである。最適の球形からのずれ(変形)が1.0mmを超える非球面は必要ない。最大素子の最大直径が220mmであることは、レンズの使用量が抑えられる可能性を示す。この構造では、トラック長(物体面と像面との間の軸方向距離)が1160mmであり、ガラス量が少ない。像面に隣接する最後のレンズは、液浸用にフッ化カルシウムで作製される。
【0091】
この新しい構造は、横色補正が非常に良好であるが、軸色に関しては全くそうでない。しかし、レンズが小型であることにより、同一NAの全屈折構造より軸色が少なくなる。ひとみ収差は十分に補正され、主光線は両端部でほぼ正確にテレセントリックである。
【0092】
2つだけの反射と少ないガラス量とを有する構造には、不明瞭さの問題がまったくなく、そのため、鏡は好適な寸法であり、大きすぎず、それらの強い屈折力が、光学系のペッツバール補正のほぼすべてを行う。実施形態では、2つの中間像が反射屈折キャビティのほぼ正確に中央にある。
【0093】
本明細書に示されていない変更形は、本出願人が2003年10月17日に出願した米国特許仮出願第60/511,673号に開示されているものとよく似た第1屈折対物レンズ部及び第3屈折対物レンズ部を有する。対応の明細書は参照によって援用される。
【0094】
この基本構造は、特にマンジャンミラーのガラスを取り除いた場合、さらにより少量の光学材料でやっていく可能性を持っている。(図4を比較されたい。)
図4には、第2実施形態が示されている。構造及び/又は機能の点で図1のものと同一又は同様である機構又は機構群は、同様な番号に100を加えて示されている。
【0095】
投影対物レンズ200は、対物レンズの射出面と像面との間の高屈折率浸漬流体、たとえば純水と組み合わせて使用されるとき、像側開口数NA=1.20を有するλ=193nm用の液浸レンズとして構成される。視野寸法は26・5.0mm2である。この構造用の規格値が、表4にまとめられている。最も左側の欄は、屈折、反射又は他の指定の表面の番号を示し、第2欄は、その表面の半径r[mm単位]を示し、第3欄は、その表面と次の表面との間の距離d[mm単位]、すなわち光学部材の「厚さ」と呼ばれるパラメータを示し、第4欄は、その光学素子の作製に用いられた材料を示し、第5欄は、その作製に用いられた材料の屈折率を記載する。第6欄は、光学素子の光学的使用可能な透明な半直径[mm単位]を示す。表中の半径r=0は、平坦面(半径が無限大)を表す。
【0096】
この特定実施形態の場合、表4の12表面、すなわち表面2、3、8、12、15、16、17、19、22、30、33及び35は非球面である。表4Aは、これらの非球面の関連データを示し、それからそれらの表面形状のサジッタ又は立ち上がり高さp(h)を高さhの関数として、
【数2】

【0097】
の方程式を用いて計算することができ、ここで半径の逆数(1/r)は問題の表面の表面頂点での曲率であり、hはその上の点の光軸からの距離である。したがって、サジッタ又は立ち上がり高さp(h)は、その点を問題の表面の頂点からz方向に沿って、すなわち光軸に沿って測定した距離を表す。定数K、C1、C2などは表4Aに示されている。
【0098】
対物レンズは17レンズを有するので、それらのレンズの50%を超える、又は60%を超えるものが非球面レンズである。
【0099】
図1の実施形態のように、折り曲げ鏡がなく、すべての光学部材に共通の直線状で折り曲げられない光軸のままである。第1実施形態と異なって、互いに向き合う凹面鏡221、222は、マンジャンミラーではなく単純な鏡であり、それにより、光学系の全体量を減少させることができる。カトプトリック(純粋反射)群220を進む光の経路を示すために、図5及び図6は、凹面鏡上のビームの「フットプリント」を示す。図5には、第1凹面鏡221の位置でのフットプリントが示されている。楕円線の下側群は、第1凹面鏡221で反射したビームを表し、楕円線の上側群は、第2凹面鏡222から第2屈折部230に向かって進むビームを表す。図6には、第2凹面鏡222の位置でのフットプリントが示されている。下側部分は、第1屈折部210から第1凹面鏡221に進むビームを表す一方、上側の楕円線は、第2凹面鏡222で反射して像面に進むビームを表す。鏡上の使用部分は単純な連続形状を有し、そのため、鏡は、たとえば取り付けが容易である矩形鏡として作製されることができることがわかる。
【0100】
凹面鏡での全体的なビーム断面形状が、ひとみ位置で見られる円形から大きくずれていることは、特徴的な機能である。本実施形態では、相互に垂直方向のビーム直径が約1:3の比率であり、走査方向yの直径は、横走査方向xの直径の50%又は30%未満である。ビーム形状は矩形の視野形状に似ており、凹面鏡がひとみ面より視野面に近い、すなわち凹面鏡がひとみ面から光学的に離れた位置にあることを示す。したがって、小型で狭い鏡を凹面鏡として使用することができる。これにより、開口数が高いときでも、光束が口径食を伴わないで凹面鏡の一方側を通るように案内することが容易である。
【0101】
一般的に本発明による実施形態では、凹面鏡の寸法が開口数に正比例することはなく、そのため、鏡寸法を不必要に大きくすることなく、非常に高い値のNA、たとえばNA>1.3又はNA>1.4を得ることができる。
【0102】
図7〜図9には、第2実施形態の幾つかの有益な変更例が示されている。構造及び/又は機能の点で図4のものと同一又は同様である機構又は機構群には同様な番号を付けて示す。すべての変更例は、対物レンズの射出面と像面との間の高屈折率浸漬流体、たとえば純水と組み合わせて使用されるとき、像側開口数NA≧1を有するλ=193nm用の液浸レンズとして構成される。視野寸法は26mm・5.0mmである。規格値が、図7について表7及び7Aに、図8及び図9に付いて表8及び8Aに示されている。図8及び図9の構造は同一であり、その違いは開口絞りAの位置にある。
【0103】
図7の変更例(NA=1.1)は、凹面鏡上の使用部分が、図4の実施形態の場合より小さいことを特徴とする。したがって、矩形の凹面鏡の寸法をさらに小さくすることができる。
【0104】
図8の変更例(NA=1.15)は、開口絞りAが、第3純粋屈折部230の最大ビーム直径領域内に位置することを特徴とする。反対に、密接な関係にある図9の変更例(NA=1.15)では、開口絞りAが第1屈折対物レンズ部210内に位置する。このことは、その構造によって開口絞りを配置することができる位置に関する融通性が得られることを示す。
【0105】
上記実施形態は、すべての光学素子に共通の直線状の折り曲げられない光軸を特徴とする。そのような構造の潜在的な問題点は、凹面鏡用に設けられた取り付け部のために、トラック長が長くなることがある、又はビーム路が妨害されることがあることであろう。以下に、少なくとも1つの折り曲げ平面鏡を有する実施形態を、コンパクトな構造を得るための代替構造として示す。
【0106】
図10には、第3実施形態が示されている。構造及び/又は機能の点で図1のものと同一又は同様である機構又は機構群は、同様な番号に200を加えて示されている。図11は、図10に示された基本に基づいて構成された実施形態の長手方向断面図を示す。
【0107】
図10の反射屈折投影対物レンズ300の実施形態は、それが第1中間像303を生成する第1屈折対物レンズ部310と、第1中間像から第2中間像304を生成する第2反射屈折対物レンズ部320と、第2中間像を像面302上に再結像する第3屈折対物レンズ部330とを有する点で、上記実施形態の幾つかに似ている。第2対物レンズ部は、それが反射屈折対物レンズ部になるようにする少なくとも1つのレンズを備えてもよい。
【0108】
上記実施形態と異なって、第2対物レンズ部320は4つの反射面、すなわち2つの折り曲げ平面鏡306、307と、互いに向き合った2つの凹面鏡321、322とを有する。これらの鏡の凹面鏡面がカトプトリックキャビティ325を画定し、その内部に折り曲げ鏡及び中間像が位置する。
【0109】
第1中間像303のすぐ近くに位置する第1折り曲げ鏡306は、物体面から進む放射光を第1凹面鏡321上に反射するように配置されており、第1凹面鏡321は、光を直接的に、すなわち中間像を伴わないで、第2凹面鏡322に反射する。第2凹面鏡から反射した光は第2折り曲げ鏡307に当たり、これが光を物体面に反射し、それにより、第2折り曲げ鏡のすぐ近くに第2中間像を生成する。この構造では、凹面鏡及びこれらの鏡の取り付け部が、物体面及び像面間に延びる中央主要部の外に位置する。凹面鏡は共通光軸305’を有し、これは、光軸の、本実施形態では横方向にずれている物体側及び像側部分305”及び305”’に対して正確に、又はほぼ垂直であろう。光軸に対する折り曲げ鏡の傾斜角は45°でよいが、それから大きく、たとえば5又は10度までずらしてもよい。したがって、70°〜110°の傾斜角が、凹面鏡の共通光軸と光軸の物体及び像側部分との間に生じるであろう。
【0110】
中間像は幾何学的に凹面鏡の間に位置するが、光学的には凹面鏡間に中間像がないことに注意されたい。この構造は、凹面鏡上の小さいスポット直径を可能にし、これは、幾何学的光案内値(エタンデュ)を減少させるのに有利である。ひとみ面309が、両方の凹面鏡から距離を置いて、主光線308が凹面鏡によって画定される光軸305’と交差する位置にある。ここに開口絞りを配置してもよい。凹面鏡の少なくとも一方が、光軸から鏡の縁部まで半径方向に減少する曲率を有する非球面反射面を有することが、有利であろう。
【0111】
軸外物体側視野を第1中間像に変換する純粋屈折第1対物レンズ部310は、正の屈折力を有する第1レンズ群LG11と、正の屈折力を有する第2レンズ群LG12とを有する。これらのレンズ群の間で主光線308が光軸と交差する位置に開口絞りを設けてもよい。カトプトリック対物レンズ部320は、第1中間像を第2中間像に結像し、凹面鏡間のひとみ面を有する。純粋屈折第3対物レンズ部330は、正の屈折力を有する第1レンズ群LG31と、正の屈折力を有する第2レンズ群LG32とを有する。開口絞りA用の位置が、LG31及びLG32間にある。
【0112】
図12は、2つの凹面鏡421及び422と2つの中間像403、404とを有する別の投影対物レンズ400の概略図を示す。構造及び/又は機能の点で図10のものと同一又は同様である機構又は機構群は、同様な番号に100を加えて示されている。図13は、図12に示された基本に基づいて構成された実施形態の長手方向断面図を示す。
【0113】
図10、図11に示された実施形態とは異なって、凹面鏡421、422は共通の直線状光軸を共用していない。代わりに、凹面鏡421の光軸は、物体面及び像面間の光軸405と一致する。凹面鏡422の光軸は、光軸405に対してほぼ垂直である。鏡取り付け部用の構造空間は、物体及び像面を結ぶ光軸の外に位置し、これは好都合であろう。光軸の物体側及び像側部分が同軸的であることに注意されたい。両方の凹面鏡が光軸405の一方側に位置するので、第1及び第2折り曲げ鏡を、凹面鏡と向き合って、光が進むときに二回使用される鏡面を有する単一の平面鏡406として構成することができる。また、2つの個別の凹面鏡421、422を組み合わせて、二回使用される単一の凹面鏡を形成することもできる。
【0114】
図14は、鏡の幾何学的配置を説明するための、第3実施形態のカトプトリック対物レンズ部の斜視図を示す。被照明部分が単純な形であるとともに連続的であるので、折り曲げ鏡及び凹面鏡は幾何学的に単純な形を有することができることがわかる。本実施形態の凹面鏡及び折り曲げ鏡は、取り付けが容易である矩形である。
【0115】
図15は、光学性能を向上させる機構及び製造を容易にする機構を有する投影対物レンズ500の別の実施形態の概略図を示す。図16は、図15に示された原理に従って構成された投影対物レンズのレンズ部分を示す。本実施形態の規格値が、表16及び16Aに示されている。構造及び/又は機能の点で図1のものと同一又は同様である機構又は機構群は、同様な番号に400を加えて示されている。
【0116】
第1中間像503を第2中間像504に結像する働きをする第2対物レンズ部520は、第1凹面鏡521と、光学的に第1凹面鏡521の下流側の第2凹面鏡522とを有する。第1及び第2凹面鏡の湾曲面は、投影対物レンズのすべての光学素子が共用する光軸と同軸的な共通回転対称軸を有する。第1及び代2凹面鏡で使用される中断のない鏡面が、光軸505の対向側に位置している。第1鏡関連レンズ551が、光学的に第1中間像503と第1凹面鏡521との間で第1凹面鏡の直前に配置され、それにより、第1中間像と第1凹面鏡との間の光路中、及び第1凹面鏡と第2凹面鏡との間の光路中でレンズの二回透過が行われる。第2凹面鏡と像面との間の光路の妨害を避けるために、第1鏡関連レンズ551は、光軸の外に配置された切頭レンズとして構成されている。第2鏡関連レンズ552が第2凹面鏡522の直前に配置され、それにより、第1及び第2凹面鏡間の光路中、及び第2凹面鏡と像面502との間の光路中で二回使用される。レンズ552は切頭され、それにより、物体面501及び第1凹面鏡521間の光路内に延在しないようにしている。第1及び第2鏡関連レンズ551、552の両方は、自由入口及び出口表面を有する自立形レンズである。特に、それぞれの凹面鏡に面するレンズ面は、凹面鏡の曲率と異なった曲率を有し、これにより、マンジャンミラーを有する実施形態と比べたとき、追加的な自由度が可能である(図1を比較されたい)。両方の鏡関連レンズ551、552は、対応の凹面鏡の湾曲と同様な湾曲方向を有する、すなわち対応の凹面鏡の凹面鏡面に面する凸面を有する負メニスカスレンズとして構成されている。凹面鏡の直前に配置された負の屈折力は、長さ方向色収差(CHL)の補正を改善するのに役立つ。第2対物レンズ部のすべての光学的活性表面は球形であり、これにより、製造が大幅に容易になり、かつ光学性能が向上する。特に、非球面、特に非球面鏡面を有する実施形態と比べたとき、迷光が減少するであろう。
【0117】
高いアスペクト比の矩形であって、横走査方向(x方向)に幅aを、走査方向(y方向)に狭い幅bを有し、軸を外して光軸から距離cに配置された視野が図15aに示されている。液浸対物レンズは、193nmで浸漬媒体としての純水と組み合わせて使用したとき、像側開口数NA=1.2を有する。本光学系は、物体及び像側でテレセントリックであって、実質的に視野区域収差がない。
【0118】
図17には、図15に関連して説明した原理に従った光学系の変更形のレンズ部分が示されている。NA=1.2を有する193nm液浸レンズの規格値が、表17及び17Aに示されている。構造及び/又は機能の点で図1のものと同一又は同様である機構又は機構群が、同様な番号に500を加えて示されている。第2対物レンズ部620は、球面凹面鏡621、622の直前に非球面負メニスカスレンズ651、652を有し、これらはそれぞれの凹面鏡へ往復する光路中で二回使用される。簡単にするために、凹面鏡621、622及びそれぞれの凹面鏡の直前の対応のレンズ651、652からなる各光学素子群を「反射屈折サブ群」と呼ぶ。図17の実施形態では、反射屈折サブ群621、651及び反射屈折サブ群622、652は同一に構成され、互いに対称的に配置されている。特に、光学表面の半径、光学表面の軸方向距離すなわち厚さ、及び対称関連レンズ及び対称関連凹面鏡の光学表面の直径が同一である。これにより、それぞれレンズ651、652及び鏡621、622を同一のブランク材料から同時に作製することができる。したがって、図17に例示的に示されている形式の構造では、第2反射屈折対物レンズ部に使用される光学素子の材料及び製造のコストを大幅に削減することができる。
【0119】
切頭鏡として構成される第1凹面鏡及び第2凹面鏡を有する投影レンズの反射屈折又はカトプトリック対物レンズ部用の光学素子の対応の製造方法では、最初に、鏡面の所望の凹形状が得られるように第1及び第2凹面鏡用の鏡ブランクを作製し、次に、形付けられた鏡ブランクを、第1及び第2凹面鏡として使用される2つの切頭鏡に分離するようにして、第1及び第2鏡を作製する。鏡ブランクは、表面処理後に2つに切断される単一部品でよい。鏡面を形作る前に、2つの個別のブランク部品を、たとえばリンギング又はセメント接着によって接合することも可能である。これにより、表面処理後の分離が容易になる。鏡基板のコーティングは、鏡基板部品の分離前に、又は後に行ってもよい。鏡関連レンズも同様に作製されるであろう。
【0120】
図16に示された実施形態とのさらなる違いは、レンズ651、652の、それぞれの凹面鏡に近い表面の少なくとも一方が非球面形状であることにある。実施形態では、レンズ651、652の各凹レンズ面が非球面である。本光学系の視野面である、それぞれの中間像に接近して配置された非球面は、物体結像の歪曲のような視野依存収差又はひとみ結像の球面収差に対して強い影響が及ぶように構成されることができる。一般的に、中間像と対応の凹面鏡との間で光学的に中間像に近づけて(中間像の上流側又は下流側に)少なくとも1つのレンズを配置し、中間像と凸面鏡との間に配置されたレンズの少なくとも一方の表面を非球面にすることが有益であろう。特に、中間像に面するレンズ面が非球面であろう。
【0121】
代替実施形態では、図16及び図17の実施形態の切頭レンズである鏡関連レンズは、光軸を横切って延びる完全メニスカス形負レンズとして構成され、そのため、それらの透過は三回である。具体的に言うと、(第2凹面鏡622に対応する)レンズ652が光軸605を横切って延在し、それにより、物体面から進行する光が、第1中間像603を形成する前に、次に光軸の反対側で第1及び第2凹面鏡の間の光路中に、また第2凹面鏡と像面との間の光路中にこのレンズを透過するようにしてもよい。同様に、第1凹面鏡621に対応するレンズ651が光軸を横切って延在し、それにより、レンズは、第1凹面鏡へ往復する光路中に二回、及び第2中間像604と像面との間の光路中に三回使用される。本実施形態では、中間像の上流側及び下流側で三回透過される2つの非球面が設けられ、これにより、光学補正が容易になる。さらに、切頭レンズの取り付けと比べたとき、レンズの取り付けが改善される(図18及び図19を比較されたい)。
【0122】
図18には、三回透過するように使用される2つのレンズを有する投影対物レンズ700の概略図が示されている。図19は、この形式の実施形態を示し、その規格値が表19及び19Aに与えられている。図15〜図17に関連して詳細に記載した機構と同一又は同様である機構は、同様な参照番号にそれぞれ100又は200を加えて示されている。
【0123】
反射屈折第2対物レンズ部720は、第1中間像703を第2中間像704に結像する働きをする。第1鏡関連レンズ751が、光学的に第1中間像703と第1凹面鏡721との間に配置されており、光軸705の反対側では、第2鏡関連レンズ752が、光学的に第2凹面鏡722と第2中間像704との間に配置されている。両方の鏡関連レンズ751、752は、光軸を横切って、それぞれの凹面鏡721、722を通る光のビーム路内に延びている。具体的に言うと、第2鏡関連レンズ752は、物体面751と第1凹面鏡721との間のビーム路内に延びているのに対して、第1鏡関連レンズ751は、第2凹面鏡752と像面との間のビーム路内に延びている。したがって、鏡関連レンズ751、752の各々は光学的に三回使用され、それにより、レンズの光学効果が最大になることができ、同時に光学材料の使用量を最小にすることができる。さらに、切頭レンズの取り付けと比べたとき、レンズ751、752の取り付けが容易である。
【0124】
3回透過型レンズ751、752は好ましくは、光軸の一方側に対応し、対応の凹面鏡へ往復する光路中に二回の透過が行われる第1レンズ区域と、光軸の他方側に対応して一回の透過が行われる第2区域とを有するマルチグレードレンズとして構成されることができ、第1レンズ区域及び第2レンズ区域が、レンズの少なくとも一方側に異なったレンズ面曲率を有し、それにより、マルチグレードレンズは、共通位置で作用するが相互に独立的に作用する1対のレンズを形成することができる。光軸の両側で異なった光学屈折力を与えるモノリシックマルチグレードレンズを単一のレンズブランクから作製することができ、従来通りに円形取り付け部で取り付けることができる。光軸の各側のレンズ区域は異なった非球面形状を有することができ、その場合、製造しやすくするために、非球面は好ましくは同一の球面ベースの形状に基づく。レンズ752の、第1中間像に最も近い部分、及びレンズ751の、第2中間像に最も近い部分の両方は、視野面に近い位置にあり、それにより、レンズ面は、特に非球面に形成されている場合、視野収差の補正に有効である。
【0125】
図19に示されている実施形態では、両方の三回使用型レンズ751、752は、関連の凹面鏡と同様の湾曲方向を有するとともに弱い負の屈折力を有する負メニスカスレンズとして構成されている。他の実施形態では、レンズが光学屈折力をほとんど有していなくてもよい。いずれの場合も、光学補正を支援するために、少なくとも1つのレンズ面が非球面であろう。
【0126】
すべての実施形態において、第1ジオプトリック対物レンズ部は、平坦な物体側視野から第1中間像を形成する働きをする。第1中間像の寸法及び軸方向位置は、第1中間像に関連した収差とともに、第1対物レンズ部の光学性質によって決まる。上記の実施形態の場合と同様に、第1対物レンズ部は、正の屈折力を有する第1レンズ群LG11と、正の屈折力を有する第2レンズ群LG12とに細分割され、光学系のひとみ面711は、レンズ群の間で結像の主光線708が光軸と交差する軸方向位置に配置する。結像処理に使用される開口数を決定する開口絞りをこのひとみ面の近傍に設けてもよい。しかしながら、図18及び図19に示されている実施形態では、開口絞りAが、第3ジオプトリック対物レンズ部内の、このひとみ面に対して光学的に共役のひとみ面の近傍に設けられている。ひとみ面711と第1中間像との間の第2レンズ群LG12は、第1中間像のすぐ上流側に負メニスカスレンズ752を含む。
【0127】
図19の実施形態では、第1レンズ群LG11は、像側凹面及び弱い光学屈折力を有する正メニスカスレンズ781と、像側凹面及び弱い負屈折力を有する負メニスカスレンズ782と、物体側凹面を有する正メニスカスレンズ783と、両凸正レンズ784と、像側凹面を有する正メニスカスレンズ785と、ひとみ面711の直前に像側凹面を有する正メニスカスレンズ786とからなる。第2レンズ群LG12は、物体に面する強い湾曲の凹面を有するメニスカス形レンズ787と、物体側凹面を有する正メニスカスレンズ788と、すぐ後の両凸正レンズ789と、鏡関連第2レンズの一体部分である負メニスカスレンズ752とを有する。ひとみ面にすぐ続き、ひとみ及び物体面に面する凹面を有するメニスカスレンズ787は、第1対物レンズ部内の球面収差、非点収差及び像湾曲を補正するのに特に有効である。光学補正は、第1レンズ群LG11の発散ビーム部分内に配置された負メニスカスレンズ782及び正メニスカスレンズ783によって形成される負−正二重レンズによっても積極的な影響を受ける。光学的に物体面に近い射出凹面を有する負メニスカスレンズは、主光線の高さが周縁光線の高さより高い領域内に配置され、それにより、歪曲などの視野収差を効果的に補正することができる。
【0128】
図20に示され、表20及び20Aに与えられる規格値を有する投影対物レンズ800の実施形態は、図19に示された実施形態の変更例として説明することができる。その実施形態と同様に、第1凹面鏡821の直前に負メニスカスレンズ851が配置されており、このレンズ851を光ビームが三回透過する。図19の実施形態とは異なって、レンズ851が、光ビームが三回透過する唯一のレンズである。第2凹面鏡822の直前には負屈折力又は正屈折力がまったくない。したがって、反射屈折対物レンズ部に必要な透明光学材料の量が、図19に示された実施形態の場合より少ない。第1対物レンズ部の倍率は|β1|≒1.9である。
【0129】
図21には、図15に関連して詳細に説明した原理に従って全体的に構成された投影対物レンズ900の別の実施形態が示されている。規格値が表21及び21Aに示されている。参照番号は同様であるが、400を加えた番号である。特に、各凹面鏡921、922には、光学的にそれぞれの凹面鏡と凹面鏡の上流側又は下流側の中間像との間で凹面鏡の直前に負メニスカスレンズ951、952が割り当てられている。各負メニスカスレンズ951、952は、光軸の、対応の凹面鏡が位置する側だけに配置された切頭レンズとして構成されている。したがって、光は鏡関連レンズを二回透過する。第1対物レンズ部910を2つのレンズ群に細分割することができ、レンズ群LG11は物体面とひとみ面911との間に配置され、レンズ群LG12はひとみ面と第1中間像903との間に配置される。図19に示された実施形態の場合と同様に、第1レンズ群LG11は、負−正二重レンズ982、983を有し、負メニスカスレンズ982は物体面の近くに設けられ、像面に面する凹面射出側を有する。この負レンズに続く正屈折力は、2つの正メニスカスレンズに分割され、その各々は物体に面する凹面側を有する。物体に面する強い湾曲の凹面入口側を有するメニスカスレンズ987が、ひとみ面911のすぐ下流側に配置されている。このレンズは、第1対物レンズ部内での球面収差、非点収差及び像湾曲を補正するのに光学的に有効である。
【0130】
第3対物レンズ部930は、第2中間像904と開口絞りAとの間の第1レンズ群LG31と、開口絞りAと像面との間の第2レンズ群LG32とからなる。開口絞りは、第3対物レンズ部の最大ビーム直径の領域と像面との間に配置されている。開口絞りAにすぐ続く両凸正レンズ996は、入射側及び射出側の両方が非球面である両非球面レンズである。互いに近接し、像面のすぐ上流側の収束ビーム路内に配置された非球面は、収差補正に強い影響を及ぼす。特に、より高次の球面収差及びコマが積極的な影響を受ける。第3対物レンズ部内には1つの負レンズ991があるだけである。両凸負レンズ991は、第3対物レンズ部のビーム路内に浅いウエストを画定している。負レンズ991の下流側のすべてのレンズは正レンズである。第3対物レンズ部の漸増する大きいビーム直径の領域内に負レンズをなくすことにより、ビーム直径を小さく保つことができ、したがって、第3対物レンズ部のレンズに使用される光学材料の需要量が減少する。
【0131】
両方の凹面鏡921、922は球面鏡面を有し、したがって、製造が容易であるとともに、光学性能が向上する。Dが第3対物レンズ部のレンズ素子の最大直径(単位mm)であり、c1及びc2が凹面鏡921、922の曲率(単位mm-1)である場合、図21の実施形態によって、
1<D/(|c1|+|c2|)・10-4<6
の条件が満たされる。曲率cは、頂点での曲率半径の逆数である。この条件が満たされれば、第3対物レンズ部でのペッツバール補正と正屈折力との間に良好な釣り合いを得ることができる。
【0132】
図22は、図4に示された実施形態のものと同様の全体構造を有する、すなわち2つの凹面鏡1021、1022からなり、屈折光学素子をまったく含まない第2対物レンズ部1020を有する投影対物レンズ1000の変更例を示す。同様な機構/機構群の参照番号は同様であるが、800を加えた番号である。規格値が表22及び22Aに示されている。第1中間像1003を生成するための第1ジオプトリック対物レンズ部1010は、物体面とひとみ面1011との間の第1レンズ群LG11と、ひとみ面と第1中間像との間の第2レンズ群LG12とに細分割されている。第1レンズ群LG11は、両凸正レンズ1081で始まり、その後に像側凹面を有する負メニスカスレンズ1082と両凸正レンズ1083とが続く。光ビームがわずかに発散する領域内に配置されている負メニスカスレンズ1082の凹面射出側に特に高い入射角が発生する。高い入射角は、強い補正影響を有する。レンズ1081、1082、1083によって与えられる正−負−正の順序が有効であることがわかっている。したがって、第1中間像を生成する第1対物レンズ部が、像に面する少なくとも1つの凹面を含み、それが好ましくは正−負−正レンズの順序で含まれる場合、好都合であろう。
【0133】
図23は、全体的に図4に関連して説明した原理に従って構成された投影対物レンズ1100の別の実施形態を示す。規格値が表23及び23Aに示されている。第2対物レンズ部1120は純粋反射型であり、したがって、透明光学材料はまったく必要ない。製造を容易にする機構に関する幾つかの態様を、本実施形態及び図24に関連させてここで説明する。しかしながら、それらは他の実施形態で実行されることもできる。両方の凹面鏡1121、1122は同様な表面を有し、これによって製造が容易になるとともに、光学性能が向上する。一般的に、凹面鏡の形状は一定の収差に強い影響を有する。特に、像湾曲(ペッツバール湾曲)は、鏡の頂点湾曲の影響を受ける。非球面鏡面を使用する場合、非球面の基本データが一定の視野依存収差を、特に凹面鏡でのビーム高さをyとするとき、y4に比例するひとみの球面収差を定める。鏡面の形状に影響する両方の要素は光学構造に深く根付き、互いに依存している。特に、たとえば凹面鏡の強い湾曲は強い視野依存収差を誘発するので、非球面の形式に関する第2要素は第1要素(基本湾曲)によって強く影響される。
【0134】
凹面鏡の製造しやすさ及び光学性能間の良好な妥協に影響する一定の決定的な要素が認識されている。凹面鏡の製造から生じる1つの破壊的な要素は、凹面鏡面を作製するために工具を鏡基板の材料内へ押し込まなければならない深さである。この押し込み深さを図24では「pmax」で表す。鏡の縁部の最大サジッタ又は立ち上がり高さは、光軸と直交し、かつ凹面鏡の縁部に触れる平面と、それに平行であって凹面鏡の頂点に触れる平面との軸方向離隔距離として定義されるであろう。図24に概略的に示されているように、pmaxは、非球面鏡面の曲率半径Rと非球面鏡の直径Dとに依存する。(非球面形状の場合の)第1近似式で、pmaxは:pmax=R−(R2−D2/4)0.5によって与えられる。光学効果に強い影響を与えることなく鏡の基本形状を変更することはできないので、製造しやすさに影響を与えるための自由パラメータとして鏡面の直径だけを使用することができる。製造を考えるとき、研磨の前に鏡基板の基本形状を定めるために必要な鏡基板の研削に特に取り組む。D≦1.3Rの条件が満たされることが好ましく、またD≦1.2Rの条件が満たされ、それにより、pmax≦0.22Rの条件も満たされることがより好ましいであろうことがわかった。2つの鏡の湾曲鏡面の頂点での曲率半径ができる限り似ている場合も、製造が容易になる。R1が第1鏡の頂点曲率半径であり、R2が第2鏡の頂点曲率半径である場合、0.8<|R1/R2|<1.2の条件が満たされることが好ましい。図23に示されている実施形態で、この条件と、pmax≦0.22R及びD≦1.3Rの2つの条件とが満たされる。曲率半径の関係に関する条件に加えて、これらの条件の一方が満たされれば、十分であろう。
【0135】
図23に示された実施形態では、鏡1121、1122の曲率がほとんど同一であり(曲率半径の差は1%未満)、非球面形状がほぼ同一である。鏡1121、1122が第2対物レンズ部の唯一の光学素子であり、したがって、この部分がカトプトリック部になる。第2対物レンズ部1120の光学素子の最大直径は、第3対物レンズ部内のレンズの最大直径より小さいか、それとほぼ同じである。これにより、ウェハステッパ又はウェハスキャナへの軸方向対称投影対物レンズの実装が容易になる。開口絞りAが第3対物レンズ部内に設けられているが、第1対物レンズ部内でそれのひとみ面1111の近傍に設けてもよい。
【0136】
図25には、投影対物レンズ1200の別の実施形態が示されている。図26は、第2中間像を像面1290上に約1:4の縮尺で結像するための純粋屈折対物レンズ部1230の物体である第2中間像1204と物体面1201との間の部分の詳細図を示す。
【0137】
物体面1201に配置された物体を像面1202上に縮小して結像するように構成された投影対物レンズ1200全体は、3つの対物レンズ部1210、1220、1230からなり、その各々は、対物レンズ部の上流側の視野面を対物レンズ部の下流側の視野面に結像するように構成されている。第1対物レンズ部1210は、4つの連続したレンズ1211、1212、1213及び1214からなり、それに続いて第1中間像1203のすぐ上流側に第1凹面鏡1221を有する。したがって、第1対物レンズ部は反射屈折型である。第2対物レンズ部1220も反射屈折型であって、第1中間像1203のすぐ下流側の第2凹面鏡1222と正レンズ1226、1227、1228、1229とを有し、これらはすべて第1中間像1203を第2中間像1204に再合焦するのに有効である。第3対物レンズ部1230は純粋に屈折型であり、光学系の自由にアクセス可能な開口絞りAを有する。
【0138】
上記実施形態と異なり、第1中間像1203だけが、凹面鏡1221、1222によって画定される鏡間空間内に位置し、第2中間像1204はこの鏡間空間の外に位置する。互いに向き合う2つの凹面鏡1221、1222によって形成される鏡群は、鏡群入口と鏡群出口とを有する。第2鏡1222の、光軸1205に面する縁部に幾何学的に隣接する位置にある鏡群入口で、物体側から進行してくる放射光が鏡間空間に入り、また、放射光は凹面鏡上で反射した後、第1鏡1221の、光軸に面する縁部に幾何学的に隣接する位置にある鏡群出口で鏡間空間から出る。投影対物レンズの第1ひとみ面PS1が鏡群入口の近傍に位置し、第2ひとみ面PS2が鏡群出口の近傍に位置することは、本実施形態の特徴的な機能である。反対にほとんどの他の実施形態、たとえば図1〜図4及び図7〜図14に示されているものでは、鏡群の入口及び鏡群の出口が光学的に中間像に近く、これらは投影レンズの視野面である。また、上記実施形態では、第1凹面鏡から反射した放射光は、第2凹面鏡に当たる前に光軸と交差し、これにより、光軸の両側の凹面鏡の反射面上に放射光のフットプリントが有効に残る。反対に図25及び図26に示された実施形態では、第1及び第2凹面鏡1221、1222が光軸の同一側に位置している。この違いにより、凹面鏡によって画定された空間内の光路は、上記実施形態で凹面鏡の頂点間の中程に配置された対称点に関してほとんど点対称的である一方、光路は、光軸に垂直で、図25及び図26の実施形態の凹面鏡の頂点間の中程に配置された鏡面に関してほとんど鏡像対称的である。
【0139】
物体面1201と像面1202との間の視野面の1つ、すなわち、第2中間像1204の視野面が、凹面鏡1221、1222によって画定される鏡間空間外に距離を置いて自由にアクセス可能に配置されているので、視野面に近いレンズの作用によって視野収差に影響を与えることが望まれる場合、図25、26に示された実施形態の原理にほぼ従って構成された実施形態が光学的に有利であろう。図25に示されているように、2つの視野レンズ1229、1235は、第2中間像1204の近くで、この中間像のすぐ上流側(1229)及びすぐ下流側(1235)に配置され、これにより、収差補正用の視野レンズ群を形成している。
【0140】
第1及び第2対物レンズ部1210、1220は、凹面鏡1221、1222によって幾何学的に画定された鏡群からこの鏡群の後方に距離を置いて中間像1204を形成するのに有効である。鏡群の出口の近傍にひとみ面PS2が配置されているので、組み合わされてフーリエ変換レンズ群として作用するレンズ群1226〜1228を使用して、中間像1204を位置付け、かつその特性を定めることができ、中間像1204は次に、第3対物レンズ部1230によって像面1202上に再結像される。これらの性質は、第1及び第2対物レンズ部1210、1220によって形成されるサブ光学系を、前方及び下流の光学系の光路を連結するリレー系として有用にする。鏡群の凹面鏡1221、1222の作用により、このリレー系は像湾曲に強い影響を有し、鏡群の上流側及び下流側の正レンズの逆の影響を少なくとも部分的に補償するように構成されることができる。
【0141】
図27は、図4に示された実施形態のものと同様の全体構造を有する、すなわち2つの凹面鏡1321、1322からなり、屈折光学素子をまったく含まない第2反射対物レンズ部1320を有する投影対物レンズ1300の変更例を示す。同様な機構/機構群の参照番号は図4と同様であるが、1100を加えた番号である。規格値が表27及び27Aに示されている。
【0142】
第1中間像1303を生成するための第1ジオプトリック対物レンズ部1310は、物体面1301にすぐ続いて第1レンズ素子1312を有し、この第1レンズ素子の入射面は非球面であって物体面の方に凸状であり、第1対物レンズ部内の、それぞれ正屈折力を有するレンズ群の間に開口絞りAが設けられている。カトプトリック第2対物レンズ部1320の凹面鏡1321、1322はそれぞれ非球面鏡面を有する。鏡1321、1322の非球面鏡面が同一の非球面形状を有することが、この構造の特徴的特性である。これにより、製造工程中に両凹面鏡の非球面形状を測定するためにまったく同一の光学検査装置を使用することができる。表27、27Aからわかるように、(鏡面の基本形状を示す)凹面鏡の半径と(表面25、26の基本形状からの非球面ずれを示す)非球面定数とが同一である。他の実施形態では、2つの凹面鏡間で基本形状及び非球面定数がわずかに異なってもよい。この場合も、鏡面が同様な形状であり、それにより、同一の測定光学素子を両鏡面の検査に使用することができれば、製造工程のコストに関する大幅な改善を得ることができる。
【0143】
レンズ部分が図28に示されている投影対物レンズ1400は、図4に示された実施形態のものと同様の全体構造を有する。したがって、同様な機構/機構群の参照番号は同様であるが、1200を加えた番号である。規格値が表28及び28Aに示されている。
【0144】
開口絞りAを有する第1ジオプトリック対物レンズ部1410が、第1中間像1403を形成するように構成されている。第2カトプトリック(純粋反射)対物レンズ部1420は、第1凹面鏡1421及び第2凹面鏡1422からなり、これらは組み合わされて、第1中間像1403から第2中間像1404を生成する。ジオプトリック第3対物レンズ部1430は、第2中間像1404を像面1402上に結像するように構成されており、それにより、作動中に浸漬流体I(水)の薄い層が放射光によって移動する。構造を最適化するとき、鏡製造中の非球面鏡面の光学検査を容易にするように特に注意が払われた。この目的のために、第1凹面鏡1421の鏡面は放物形状を有する(表28Aの表面23を比較されたい)。
【0145】
なぜ鏡面の放物形状が検査を容易にするかを理解しやすくするために、以下の考察を行う。一般的な場合、非球面鏡面の光学検査には、鏡面の所望非球面形状に適合させた歪曲波面を有する検査放射光を発生し、それにより、非球面に対する検査波の局部入射角が、非球面の各位置について直角であるように構成された個別適応型光学検査系を使用する必要がある。この目的には、歪曲波面を成形するために、無収差光学系又は補償光学系(K光学系)を使用する光学検査装置又は計算機ホログラム(CGH)又はそれらの組み合わせが一般的に用いられる。各非球面形状用に個別に設計された検査光学素子を構成することは高価であり、代替方法が望まれる。
【0146】
反対に、放物形状を有する非球面鏡は簡単な検査装置で検査することができる。さらに説明するために、純粋円錐形の回転対称表面形状を、
【数3】

【0147】
の方程式によって説明できると考える。但し、pは表面点の軸方向座標、kは円錐定数、cは表面の(光軸が鏡面と交差する)頂点での曲率(すなわち半径rの逆数(1/r))、hは(光軸に対して垂直に測定した)高さである。この方程式を使用して、円錐定数kの値によって異なった円錐形回転対称表面形状を生成することができる。たとえば、球面形状はk=0に対応し、k=−1の値は放物線を示し、k<−1の値は双曲線を示し、−1<k<0の値は楕円形を示す。これらの形状のすべてでは、(表面の形状に応じて)特定位置に配置された物点が収差を伴わないで結像される(無収差結像)ことが一般的である。したがって、少なくとも1つの非球面円錐鏡が本発明の実施形態に、又は凹面鏡を有する他の投影対物レンズに有用であろう。鏡検査の要件を考慮すると、球面収差を伴わないで結像される物点は無限遠に位置するので、放物形状(k=−1)が特に有用である。言い換えると、検査ビームからの光、すなわち放物面に光軸に平行に当たる平行光は、放物面鏡によって単一の焦点に合焦するであろう。検査波のビーム束を発散又は収束させるための特別な装置がまったく必要ないので、これは有利である。検査波は平面波面を有する。
【0148】
可能な検査装置が図29に概略的に示されている。この場合、放物面鏡面1421が、この鏡面によって定められる光軸OAと共に示されている。検査装置は、光軸OAに平行かつ放物面鏡面に入射する平行検査光ビームを発生するように構成された検査光学系1460を有する。検査装置はさらに、放物面鏡1421の所望形状に関連させて、放物面鏡の焦点と一致する曲率中心1490を有するような形状及び配置にした球面鏡1470を有する。この装置では、光学素子1460によって与えられた平面波面を有し、かつ放物面鏡面1421に入射する検査波1495は最初、球面鏡1470に当たる前に放物面鏡によって放物面鏡の焦点1490に収束される。球面鏡1470は、検査波を反射し、同一経路に沿って検査光学素子1460に戻す。平面基準波と放物面鏡から反射して戻る波との間の経路長さのずれを使用して、放物面鏡の放物形状を特徴付けることができる。
【0149】
投影対物レンズ1400は、物体側及び像側でテレセントリックである。物体側のテレセントリック性に資する1つの特性は、物体面にすぐ続く第1レンズ素子(正メニスカス1412)の入射側の特別な凸形状である。物体側の最初の2つのレンズの非球面が、テレセントリック性に資する。テレセントリックビームには、物体及び像側での視野区域誤差がほとんどない、すなわち、物体側及び像側視野全体でのテレセントリック性にばらつきがほとんどない。
【0150】
図30〜図32には、カトプトリック第2対物レンズ部を有する図4に示されたものと同様の全体構造を有する投影対物レンズの3つのさらなる実施形態1500、1600及び1700が示されている。同様な機構/機構群の参照番号は同様であるが、それぞれ1300、1400、1500を加えた番号である。規格値が表30、30A、31、31A及び32、32Aに示されている。これらの実施形態を構成するとき、物体側視野を第1中間像に結像するためのリレー系として働く第1ジオプトリック対物レンズ部1510、1610、1710に必要な材料使用量及び設置空間の最適化を特に重要視した。
【0151】
図30、図31及び図32のすべての実施形態に共通の特性として、第1対物レンズ部は6つのレンズ素子、すなわち屈折力が相当に強い透明光学素子だけを有する。正レンズだけを使用し、それにより、最大直径が比較的小さく軸方向に短い対物レンズ部内に強い集束力を有する第1対物レンズ部が生じる。すべての実施形態において、平行平面プレート1519、1619、1719が、投影対物レンズのそれぞれの第1ひとみ面1511、1611、1711にすぐ続いて配置されている。ひとみ面の近くに少なくとも1つのほぼ平行平面のプレートを置くことの1つの利点は、そのようなプレートを非球面化して、製造によって発生した収差又は他の効果を補正することができる(補正非球面)ことである。そのようなプレートは交換可能である。図30の実施形態では、開口絞りAが、第1対物レンズ部1510内の、平行プレート1519の直前のひとみ位置に設けられている。図31及び図32の実施形態では、開口絞りが、第3対物レンズ部内の、それぞれ第3ひとみ面1631、1731の位置で最大ビーム直径の領域に設けられている。上記のすべての実施形態は、像側ひとみ面と像面との間に正レンズだけを有し、図30の実施形態は、像側ひとみ面と像面との間に5つのそのような正レンズを有し、その他の実施形態(図31、図32)は4つの正レンズだけを有する。
【0152】
図30〜図32の実施形態の第1対物レンズ部の比較図から、非球面の使用と物体面にすぐ続く第1レンズ素子の入射面の曲率との間の一定の関係が明らかになる。図30の実施形態では、第1レンズ素子1512が、物体面に面する非球面入射面を有する両凸正レンズであり、この入射面はわずかに湾曲しているだけであって、曲率半径が300mmを超える。(点線で示された)6つの非球面が使用されている。第1中間像1503の領域内で交差する光線から明らかなように、コマが、第1中間像1503内の1つの顕著な結像誤差である。この誤差は、第1中間像の下流側の光学表面の構造によって補償される。反対に、図31に示された実施形態では、第1レンズ素子(正メニスカス1612)の非球面入射面が、曲率半径が300mm未満(この場合、R≒154mm)の比較的強い凸湾曲を有する。第1対物レンズ部1610には4つの非球面が用いられているだけである。第1中間像1603にコマがほとんどないように、非球面を湾曲入射面の光学効果に適応させる。これは、少数の非球面で高品質の第1中間像を得るのに、入射側の強い凸湾曲が有効である傾向を示す。図32に示されている実施形態の第1対物レンズ部1710では、中程度の数の5つの非球面が、中程度の曲率(曲率半径>300mm)を有する第1素子(両凸レンズ1712)の入射面と組み合わせて使用されている。湾曲がない(平坦面)、又は弱い湾曲(たとえば曲率半径>500nm以上の値)の投影対物レンズの入射面を設けると、対物レンズが周囲圧力の圧力変動に対して比較的鈍感になる。すべての3つの実施形態の第1対物レンズ部において、非球面の数が正レンズの数に等しいか、それより少ないので、正レンズ素子だけが使用されているときで、屈折力を有するレンズの数と非球面の数との比が1.6未満である場合、コンパクトな構造を得ることができることがわかる。
【0153】
図30〜図32の実施形態は、すべての対物レンズ部に共通の直線状の光軸及びカトプトリック第2対物レンズ部を有する好適な構造の枠組み内で、第3対物レンズ部の軸方向長さより相当に短い軸方向長さを有する対物レンズの入射側(第1対物レンズ部)にリレー系を構成することが可能であることを示す。(物体面と第1中間像との間を測定した)軸方向長さは、(第2中間像と像面との間を測定した)第3対物レンズ部の軸方向長さの90%未満、又は80%未満でよい。このことは、屈折対物レンズ部間の第2(カトプトリック又は反射屈折)対物レンズ部のさまざまな異なった位置でこの構造を使用することができることを表す。
【0154】
図30〜図32の実施形態では、像面に最も近い平凸レンズ、すなわち対物レンズの最後のレンズがフッ化カルシウムで作製されている。この材料は、放射光誘発型密度変化(特に圧密化)に対する感度が低いので、最後のレンズが溶融石英からなる対物レンズと比較したとき、対物レンズの有効寿命が長くなるであろう。しかしながら、水性浸漬液で作動するように構成されている液浸対物レンズでは、フッ化カルシウムは水に溶解可能であるので、フッ化カルシウム製の最後のレンズ素子は問題になる。したがって、光学系の寿命が短くなるであろう。したがって、最後のレンズ素子を攻撃性の浸漬液によって生じる劣化から保護する保護層が有用であろう。適当な保護層が、たとえば本出願人によって2003年12月19日に出願された米国特許仮出願第60/530,623号に記載されており、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。図30〜図32の実施形態では、厚さが0.3mmである溶融石英の薄い平行平面プレートをリンギングによって平凸フッ化カルシウムレンズの平面的な射出面に付着させている。投影対物レンズの射出面を提供する平面的な平行石英ガラスプレートは、所望ならば交換することができる。高い放射光負荷によって溶融石英材料が損傷した場合、及び/又は溶融石英保護プレートの汚染及び/又は引っ掻き傷が発生した場合、交換が望まれるであろう。
【0155】
一例として図32の実施形態を使用して、本発明による投影対物レンズのさらなる特徴的特性を説明する。この目的のために、理解しやすいように、(光軸AXから最も遠くに離れた)最外側視野点から光軸にほぼ平行に進行し、それぞれ結像対物レンズ部1710、1720、1730の1つの内部にある3つの連続したひとみ面位置P1、P2、P3で光軸と交差する主光線CRを太線で描いている。主光線に沿った各位置で光軸AXと主光線CRとがなす角度を以下では「主光線角度」と呼ぶ。第1中間像1703の位置で主光線CRは発散する(主光線の高さが光伝播方向に増加する)。第1中間像の後に主光線の高さが増加することは、第1中間像1703の下流側の第1対物レンズ部1710の負の主光線交差長さに対応する。ここで、「主光線交差長さ」は、中間像の位置と、中間像での主光線CRに対する接平面の交点との間の軸方向長さであると定義される。交点は、第1対物レンズ部1710内の第1中間像の物体側に位置する。第1中間像に対する負の主光線交差長さは、第1対物レンズ部の負の(虚)射出ひとみに対応する。反対に、収束主光線が第2中間像1704の位置に存在し、第2中間像の下流側の正の主光線交差長さに対応し、この交差長さは第2中間像の下流側に存在する実射出ひとみに対応する。したがって、第2中間像1704に対する第2対物レンズ部1720の実射出ひとみは、第3対物レンズ部1730(実射出ひとみ)の外で像面を越えた位置にある。第1対物レンズ部1710の虚射出ひとみは、第2対物レンズ部1720の実入射ひとみと一致する。これらの条件が与えられたとすると、少なくとも2つの中間像を有する投影対物レンズが提供され、1つの結像対物レンズ部(この場合、屈折第1対物レンズ部と屈折第3対物レンズ部との間に配置された反射屈折又はカトプトリック第2対物レンズ部)が、第1及び第2中間像間で実像形成を行い、さらに、実入射ひとみが実射出ひとみに結像される。屈折第1対物レンズ部内にアクセス可能なひとみ面P1が存在し、別のアクセス可能なひとみ面P3が第3対物レンズ部内に存在するので、この形式の投影対物レンズは、結像プロセスで使用される開口数を効果的に定めるように開口絞りを置く2つの可能な位置を有する。ここで、「アクセス可能」という表現は、対物レンズ部の、投影対物レンズ内を進む光が一回だけ透過する部分内の可能な開口絞り位置を意味する。
【0156】
さらに、本明細書で論じる好適な実施形態による投影対物レンズは、物体面と像面との間に3つの実ひとみ面P1、P2、P3を有し、これらのひとみ面の1つの最大主光線角度は、物体側開口数より小さく、また(1)3つのひとみ面のうちの2つの最大周縁光線高さが、第3ひとみ面(この場合は第3ひとみ面P3)の最大周縁光線高さのせいぜい50%であること、(2)ひとみ面のうちの2つの最大主光線角度が、第3ひとみ面での最大主光線角度の少なくとも2倍であること、及び(3)ひとみ面のうちの2つの最大主光線角度が、物体側開口数の少なくとも2倍であることの条件の少なくとも1つが満たされる。
【0157】
次に、使用される非球面の製造及び検査の態様に関して最適化された多数の実施形態を示す。レンズの非球面の作製中に生じる問題の1つを示すために、図33(a)及び図33(b)は各々、非球面入射面ASを有する薄い正レンズLを有する従来型対物レンズを通る経線方向のレンズ断面の拡大部分図を示す。図33(a)には、非球面レンズLの光学作用を示すために、透過ビーム束の周縁に沿って進む特性光線R1と、光学系の光軸の近くを進む特性ビームR2が示されている。従来型光学系CONVでは、非球面ASが、光軸の近くを進む光線に対して正レンズとして、また光ビームの周縁の近くの光線(光線R1)に対して負レンズとして作用するように構成されている。経線方向の屈折力のこの変化を得るために、非球面は、光軸の周囲の部分には正の曲率(C>0)を、光線R1が通過する周縁領域には負の曲率(C<0)を有する。局部曲率C=0で特徴付けられる変曲点IPが、(光軸の周囲の)凸部分と(周縁部の)凹部分との間に位置付けられている。このように得られる湾曲方向の局部変化は光学的観点から望ましいであろうが、表面仕上げを考えるとき、効率的な表面研磨を行うために妥当な直径を有する(図33(b)に工具Tとして概略的に示されている)仕上げ工具は、変曲点の周囲の領域内で相当に不均一な効果を有するであろうから、変曲点はクリティカルである。したがって、変曲点を有する非球面の十分な光学品質を得ることが困難である。
【0158】
非球面が変曲点を有していない場合、これらの問題を回避することができる。図34に示されている投影対物レンズ1800(規格値が表34及び34Aに与えられている)は、非球面のいずれも変曲点を有しないように構成されている。
【0159】
本発明者が製造の観点からクリティカルであると認識した非球面の別の特徴を、図35に関連させて説明する。本発明者は、光軸の外での非球面の表面形状上の極限点(最小値又は最大値)が排除される場合、又はそれが不可能であれば、極限点が、ほぼ平坦な基本形状を有する非球面上だけで使用される場合、非球面の高い光学品質を得ることができることがわかった。図35において、2つの非球面AS1及びAS2の表面形状が関数p(h)によって概略的に示されており、但し、pは光軸に平行に(z方向に)測定され、hは表面点の高さであって、この高さは、表面点と光軸との間の半径方向距離に対応する。ここで使用するパラメータpは、光軸に直交し、かつ対応の表面点と交差する平面と、それに平行であって光軸上の光学素子の頂点Vに触れる平面との軸方向離隔距離を表す。
【0160】
これに関連して、非球面上の極限点は、(表面の傾斜を特徴付ける)一次導関数が、
【数4】

【0161】
によって与えられ、二次導関数が、
【数5】

【0162】
によって与えられることによって特徴付けられる(ここで、二次導関数は表面湾曲を示す)。したがって、図35の第1非球面AS1は、二次導関数の符号が逆である第1極限点EX11及び第2極限点EX12を有する一方、第2非球面AS2は1つの極限点EX21だけを有する。ここで使用する定義では、光学表面の頂点V(h=0)は、常にここで考慮する回転対称型非球面の極限点であるので、頂点Vを考慮から外す。
【0163】
図35には、光軸(h=0)と、工具で、たとえば研磨によって仕上げを行う表面部分の外周部との間の表面形状を概略的に示す。この仕上げ部分は、最大高さhmaxによって特徴付けられる。作動で光学的に使用される最大部分は一般的により小さく、そのため、光学的に使用される半径は、最大値hopt<hmaxによって特徴付けられる。光学的に使用される部分外で、その部分の縁部と光学部材の縁部との間の部分をオーバーラン領域ORとする。この部分は通常、光学素子の取り付けに使用される。しかしながら、製造中、オーバーラン領域は、最適表面形状に関連した考察に含まれなければならない。
【0164】
以下に、最適表面品質が望まれる場合、非球面上の極限点がクリティカルである理由を説明する。このために、妥当な大きさの直径を有する回転研磨工具Tが、第1極限点EX11の領域内で動作している。極限点EX11の周囲の「谷」と工具Tとの間の相対寸法により、ほとんどの時間で工具がクリティカルな底領域を「跨ぐ」ので、凹状の谷の底部の部分が十分に研磨されないであろう。したがって、極限点領域内の表面品質は、クリティカルな極限点から遠く離れた領域の表面品質と異なるであろう。他方、極限点が非球面上の凸状「山」に対応する場合、この部分は周囲の部分より強く研磨され、それによっても極限点領域内で表面品質のむらが生じるであろう。非球面が極限点を有しない場合(頂点で必要な極限点を除く)、これらの問題を回避することができる。光学的に使用される部分の周辺領域を処理する時、工具Tは一般的に、(hoptで)光学的に使用される最大部分を越えて延在するので、縁部領域OR内でも極限点が排除されることが望ましい。
【0165】
他方、経線方向に非球面の屈折力の一定変化を得るためには、極限点を有する非球面が望ましいであろう。本発明者は、ほぼ平坦な基本形状を有する光学表面上に極限点が存在する場合、製造の観点から極限点を容認することができることを発見した。たとえば、平凸又は平凹レンズの平面側,又は平行平面プレートの表面上に非球面を形成することができる。好ましくは、極限点を有するそのような表面の最大z変化量(pmax)の絶対値が0.5mmを超えてはならず、より好ましくは、0.25mm未満でなければならない。したがって、光学表面品質に大したムラを伴うことなく、非球面上の極限点の光学利点を得ることができる。
【0166】
図36には、すべての非球面が、光軸から外れた極限点を有していない投影対物レンズ1900の実施形態を示す。規格値が表36及び36Aに示されている。極限点を有する非球面が望まれる場合、これは、一般的に|r|>2000mmの長い半径を有するほぼ平坦な基本形状を有する光学表面上に形成されるべきである。
【0167】
図37及び図38は、図4に与えられた全体構造に従って構成された、すなわちそれぞれカトプトリック(純粋反射)第2対物レンズ部2020、2120を有する投影対物レンズ2000、2100の実施形態を示す。同様な機構/機構群の参照番号は同様であるが、それぞれ1800、1900を加えた番号である。規格値が表37、37A及び38、38Aに示されている。これらの実施形態を設計するとき、非球面などの補正手段をわずかにし、かつ中程度の数のレンズ素子を有する釣り合った構造に特に重点を置いた。さらに、投影対物レンズの異なった部分間での屈折力の釣り合った分布が、光学系全体での調和的ビーム偏向に資する。調和的な全体構造により、単一レンズ素子又はレンズ群の調節不良に対する構造の感度が低くなり、また、たとえば単一レンズ又はレンズ群を軸方向に、光軸に対して垂直に移動させ、かつ/又は傾動させることにより、光学系の性能に動的な影響を与えるマニピュレータの組み込みが容易になる。
【0168】
図37の実施形態では、10個の非球面が使用されているだけであり、これらは、上記考察に従って、比較的高コスト効率で製造かつ検査されることができる。最後の光学素子(像面2002の直前の平凸レンズ2050)は溶融石英で作製され、光学的に使用される部分の縁部の厚さが約23mmである。全体的な波面誤差は1.6mλまで減少する。すべてのレンズが溶融石英で作製され、すべてのレンズを作製するためには約60kgの溶融石英のブランク材料が必要である。それに対して、図38の実施形態の最後の素子を形成する平凸レンズ2150はフッ化カルシウムで作製され、これは、放射光誘発密度変化(圧密化及び希薄化)の傾向が低い。中程度の労力で作製することができる12個の非球面を使用することにより、2.1mλの波面誤差で特徴付けられる性能を得ることができる。本実施形態では、全体的なブランク質量で、約63kgの溶融石英及び1.5kgのフッ化カルシウムが使用される。
【0169】
図39及び図40には、とりわけ、物体側視野を第1中間像に結像する第1対物レンズ部が、1つの凹面鏡と湾曲鏡面を有する1つの追加鏡とを有する反射屈折対物レンズ部であって、凹面鏡及び追加鏡の湾曲鏡面は互いに向き合い、それにより、第1対物レンズ部が、すべての対物レンズ部に共通の単一の直線状の光軸を有する好適な実施形態の投影対物レンズ内のリレー系として働くことができる。
【0170】
図39に示された投影対物レンズ2200の規格値が、表39及び39A(非球面定数)に与えられている。本光学系は、浸漬流体として水(n=1.436677)を使用するように193nm用に設計されている。最後の像側光学素子(フッ化カルシウム製の平凸レンズ2260)を除いたすべてのレンズが溶融石英で作製されている。光軸から21.8mm外して配置された26mm・5.5mmの像側視野寸法で像側開口数NA=1.2が得られる。トラック長(物体像距離)は1125mmである。
【0171】
第1反射屈折対物レンズ部2210が、第1中間像2203を生成するように構成されている。第1中間像から第2中間像2204を生成するように構成された第2反射屈折対物レンズ部2220は、互いに向き合って鏡間空間を画定する凹面鏡面を有する第1凹面鏡2221及び第2凹面鏡2222と、第1中間像のすぐ下流側の非球面入射凹面を有する正のメニスカスレンズ2229とを含む。ジオプトリック第3対物レンズ部2230が、第2中間像を像面2202上に結像するように構成されており、放射光によって水(浸漬流体I)の薄い層が移動する。第3対物レンズ部内に開口絞りAが位置付けられている。
【0172】
第1対物レンズ部2210は、物体側視野から光学順に、強い非球面の入射面及び非球面射出面を有する両凸正レンズ2211と、非球面入射凹面及び球面射出面を有する正のメニスカスレンズ2212と、物体側凹面鏡面を有し、光軸に対して偏心配置されているが、光軸2205と交差する凹面鏡2213とを含む。凹面鏡から反射して戻された放射光は、物体側視野及び凹面鏡2213間を通る放射光と比べて、逆方向に、かつほとんど光軸の反対側で正メニスカス2212へ進む。凸鏡面を有する追加鏡2214が、凸面鏡2211の像側表面上の軸外ミラーコーティングによって設けられている。放射光は、第1中間像を形成する前に、正のメニスカス2212を三回透過する。したがって、レンズ2212は、側方に外れたレンズ領域で三回使用される。
【0173】
凹面鏡2213は光学的にひとみ面の近くに位置付けられているが、凸面鏡2214は光学的に中間像2203の近くに配置されている。したがって、視野収差及びひとみ収差は、凹面及び凸面鏡2213、2214の一致した形状を選択することにより、個別に補正されることができる。これにより、第1中間像2203の補正状態を調節し、それにより、第1中間像の下流側に続く、反射屈折第2対物レンズ部2220を含む2つの対物レンズ部によって残留結像誤差を補正することができる。
【0174】
第1対物レンズ部は、大きい倍率|β1|>1を有する拡大系として構成されている。第1中間像2203は、第2対物レンズ部の凹面鏡2221及び2222間に画定された鏡間空間の外で、凹面鏡2213の最も近い縁部に幾何学的に近接した位置にあり、それにより、第1中間像と第1凹面鏡2221との間の光路長が比較的長くなる一方、第2凹面鏡2222と第2中間像2204との間の光路長が比較的短くなる。したがって、第2対物レンズ部の凹面鏡の寸法は大きく異なり、第1凹面鏡の光学的使用部分は、第2凹面鏡上の対応部分の約2倍の大きさである。両方の凹面鏡2221及び2222が光軸から外れた位置にあり、それにより、光軸は光学的に使用される鏡面と交差しない。凹面鏡は、中心光線及び周縁光線の光線高さ間の比に関して異なった位置にあるので、異なった結像誤差に対する凹面鏡の補正効果を2つの反射屈折対物レンズ部2210及び2220間で分散させることができる。
【0175】
図40に示された投影対物レンズ2300は、光学系の設計波長λ(193nm)又はその何分の一(たとえば、λ/2又はλ/4以下)の程度の有限像側作動距離を有する「固体浸漬レンズ」として構成されている。結像用に、最後のレンズの射出面から出る消散型視野を使用することができる。本光学系は、光学的近視野リソグラフィに適する。本出願人によって2003年7月9日に出願されたドイツ特許出願第10332112.8号を参照することができ、これには光学近視野リソグラフィ用の好適な条件が明記されている。この場合、像側開口数NA>1を得るために浸漬流体が必要ない。実施形態では、像側視野寸法22mm・4.5mm用にNA=1.05であり、像側視野は軸から39mm外して配置される。全体の縮小率は1:4であり、トラック長は1294.4mmである。この構造では、最後の像側平凸レンズ2360を含めたすべてのレンズが溶融石英で作製されている。規格値が表40及び40A(非球面定数)に示されている。
【0176】
物体側視野から第1中間像2303を拡大倍率で生成するように構成された第1反射屈折対物レンズ部2310は、光路に沿った順に、非球面入射面及び球面射出面を有する両凸正レンズ2311と、物体側鏡面を有する凹面鏡2312と、凹面鏡に面して、レンズ2311の像側レンズ面の上層部分上のミラーコーティングによって形成されてわずかに湾曲した凸鏡面を有する凸面鏡2313と、凹面入射側を有する両球面正メニスカスレンズ2314と、第1中間像2303のすぐ近傍に位置付けられた強い非球面の射出面を有する両凸正レンズ2315とを含む。
【0177】
第2反射屈折対物レンズ部2320は、第1中間像2303を受け取って、第2対物レンズ部の第1凹面鏡2321及び第2凹面鏡2322によって画定された鏡間空間内に幾何学的に位置する第2中間像2304を形成する。第2対物レンズ部はさらに、それぞれ対応の凹面鏡2321及び2322の鏡面のすぐ前方に位置付けられた負メニスカスレンズ2325、2326を含む。これにより、長手方向色収差(CHL)に対する強い補正効果を得ることができる。物体側非球面及び像側球面を有する両凸正レンズ2328が、第1及び第2凹面鏡2321、2322間において投影対物レンズの直径全体にわたって広がって、放射光がそれを三回透過する、すなわち、1回目は第1中間像と第1凹面鏡との間、2回目は第1及び第2凹面鏡2321、2322の間、3回目は第2凹面鏡2322と第2中間像2304との間である。
【0178】
本実施形態では、3つの凹面鏡2312、2321、2322はすべて、投影対物レンズのひとみ面から光学的に離れた位置にある。また、ほぼ平坦な凸面鏡2313は、明らかに第1ひとみ面P1の外に位置する。本構造は、第1及び第2対物レンズ部間の反射屈折対物レンズ部の補正効果を分散させることができる。
【0179】
本発明は、投影露光装置内への実際の実装の多くの点で、従来の屈折投影対物レンズに似た性質を有する反射屈折投影対物レンズを製造することができ、それにより、屈折系及び反射屈折系間の切り換えが非常に容易である。第1に、本発明は、単一の直線状の(折り曲げられていない)光軸を有する反射屈折投影対物レンズを構築することができる。さらに、光軸の一方側に配置された物体側視野を、光軸の反対側に配置された像側視野に結像することができる、すなわち、「負の倍率」で結像が行われる。第3に、対物レンズは等方性倍率を有するように構成されることができる。ここで、「等方性倍率」という表現は、「像反転」がない、すなわち物体側視野と像側視野との間にキラリティの変化がない像形成を意味する。言い換えると、右側座標系に描かれたレチクル上の特徴が、像でも同様に右側座標系に描かれることができる。光軸に対して垂直なx及びyの両方向で、負の等方性倍率が存在する。これにより、屈折投影対物レンズでの結像にも使用された同一形式のレチクルを使用することができる。これらの特徴により、たとえばレチクル及びウェハステージでの大幅な再構成が必要ないので、本発明による反射屈折投影対物レンズの、屈折投影対物レンズ用に構成された従来型露光装置内への実装が容易になる。また、屈折投影対物レンズで使用されるように構成されたレチクルを、原則的には本発明による反射屈折投影対物レンズに使用することもできる。このようにして、エンドユーザでの相当なコスト節約を得ることができる。
【0180】
前述したように、本発明は、高い開口数の反射屈折投影対物レンズの構築を可能にし、特に開口数NA>1での液浸リソグラフィを可能にし、これは比較的少量の光学材料で構成されることができる。材料の使用量を少なくすることができるのは、特にコンパクトな投影対物レンズを製造することができることを説明する以下の考慮パラメータで表される。
【0181】
一般的に、像側開口数NAが増加するのに伴って、投影対物レンズの寸法が劇的に増加する傾向がある。最大レンズ直径Dmaxは、k>1としてDmax〜NAkに従ったNAの増加に伴って直線関係より大きく増加する傾向があることが実験的にわかっている。値k=2は、本用途の目的で使用される近似値である。さらに、最大レンズ直径Dmaxは、(像側視野高さY’によって表される)像側視野寸法に比例して増加することがわかっている。本用途の目的には、比例依存であると仮定する。これらの考慮に基づいて、第1コンパクト化パラメータCOMP1は、
COMP1=Dmax/(Y’・NA2
と定義される。コンパクトな構造が望まれる場合、ある値の像側視野高さ及び開口数について、第1コンパクト化パラメータCOMP1ができる限り小さくなければならないことは明らかである。
【0182】
投影対物レンズを提供するために必要な材料使用量全体を考えると、レンズの絶対数NLも関連がある。一般的に、レンズの数がより少ない光学系が、レンズの数がより多い光学系より好ましい。したがって、第2コンパクト化パラメータCOMP2は、
COMP2=COMP1・NL
と定義される。やはり、COMP2の値が小さいことは、コンパクトな光学系であることを表す。
【0183】
さらに、本発明による投影対物レンズは、入射側視野面を光学的に共役な射出側視野面に結像するために少なくとも3つの対物レンズ部を有し、結像対物レンズ部は、中間像で結合されている。一般的に、光学系の結像対物レンズ部の数NOPが大きいほど、投影対物レンズを構築するために必要なレンズの数及び材料全体が増加するであろう。1つの対物レンズ部当たりのレンズの平均数NL/NOPをできる限り小さく保つことが望ましい。したがって、第3コンパクト化パラメータCOMP3は、
COMP3=COMP1・NL/NOP
と定義される。やはり光学材料使用量が少ない投影対物レンズは、COMP3が小さい値であることによって特徴付けられるであろう。
【0184】
表41は、コンパクト化パラメータCOMP1、COMP2、COMP3を計算するために必要な値をまとめており、各光学系についてのこれらのパラメータのそれぞれの値が規格値表で示されている((図面と同一の番号に対応する)表番号が表41の第1欄に与えられている)。したがって、少なくとも1つの凹面鏡及び少なくとも3つの結像対物レンズ部(すなわち、少なくとも2つの中間像)を有するコンパクトな反射屈折投影対物レンズを得るために、次の条件の少なくとも1つに従うべきである、すなわち、
COMP1<11
好ましくは、COMP1<10.8、より好ましくはCOMP1<10.4、さらに好ましくはCOMP1<10に従うべきである。
【0185】
COMP2<300
好ましくは、COMP2<280、より好ましくはCOMP2<250、さらに好ましくはCOMP2<230に従うべきである。
【0186】
COMP3<100
好ましくは、COMP3<90、より好ましくはCOMP3<80、さらに好ましくはCOMP3<75に従うべきである。
【0187】
表41は、本発明による好適な実施形態が、一般的にこれらの条件の少なくとも1つに従うことを示し、本明細書でわかりやすく説明した設計規則に従って中程度の材料使用量のコンパクトな構造が得られることを表している。
【0188】
所望ならば、投影対物レンズの光学素子間の空き空間を満たすために、さまざまな種類の充填ガスを使用することができる。たとえば、実施形態の所望性質に応じて、充填ガスとして空気又は窒素又はヘリウムを使用することができる。
【0189】
好適な実施形態は、以下の条件の1つ又は複数によって特徴付けられるであろう。好ましくは第1対物レンズ部は、好ましくは1<|β1|<2.5の範囲の倍率β1を有する拡大系として構成される。これにより、第1中間像で低NAが確保され、口径食の問題を回避するのに役立つ。|β1|は1:1でよく、あるいはわずかに小さく、たとえば0.8≦|β1|≦1でもよい。好ましくは第2対物レンズ部は、ほぼ単位倍率を有する、すなわちほとんど拡大又は縮小がない光学系として構成される。特に、第2対物レンズ部は、倍率β2が0.4<|β2|<1.5、より好ましくは0.8<|β2|<1.25、又は0.9<|β2|<1.1の光学系として構成されてもよい。好ましくは第3対物レンズ部は、縮小率|β3|<1を有する。投影対物レンズ全体の倍率βは、β=β1・β2・β3である。第2中間像は、像寸法より大きい寸法を有してもよい。
【0190】
好ましくは、第1中間像及び第2中間像の両方が、幾何学的に第1凹面鏡及び第2凹面鏡の間の鏡間空間内に位置する。それらは、幾何学的に第1凹面鏡及び第2凹面鏡の間の鏡間空間内で2つの凹面鏡間の中間点付近に中心が位置する中間領域内に位置することができ、中間領域は、第1及び第2凹面鏡の湾曲表面の頂点間の軸方向距離の90%以下の軸方向広がりを有する空間内に延在する。
【0191】
2つの凹面鏡の間の光軸上の距離をd、第1中間像と第1凹面鏡との間の光軸上の距離をd1、第2凹面鏡と第2中間像との間の光軸上の距離をd2とすると、好ましくは0.5d/2<d1<1.5d/2、及び0.5d/2<d2<1.5d/2の関係が満足される。上記距離は、光軸に沿って測定されるもとのし、光軸は折り曲げられてもよい。好ましくは、軸から最も外れた視野点の主光線は、第1中間像の位置の近傍で2つの凹面鏡間のd/4〜3d/4の上記領域内で光軸と交差する。その場合、ひとみ位置は鏡から離れている。
【0192】
少なくとも1つの中間像、好ましくはすべての中間像が、中間像と、ほとんどの実施形態では鏡面である次の光学表面との間に有限最短距離が存在するように位置付けられるように光学系を構成することが有益であることがわかっている。有限最短距離を維持すれば、光学表面上又はその内部の汚染又は欠陥が像面に鮮明に結像され、それにより、パターンの所望の結像が妨害されることを回避することができる。好ましくは、有限距離は、中間像での放射光の開口数に応じて、中間像に隣接する光学表面に当たる放射光のサブ開口(特定の視野点のフットプリント)が、少なくとも3mm、又は少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mmの最小直径を有するように選択される。図面及び表から、ほとんど又はすべての実施形態において、鏡間空間内の中間像と、光学的に中間像に最も近接して配置された鏡面との間の距離に関してこれらの条件が容易に満たされることは明らかである。凹面鏡間の中間領域内に中間像が配置される実施形態が、この点で特に良好である。
【0193】
フッ化カルシウムにすることができる最後の像側レンズを考えられる例外として、上記実施形態の透明光学部材はすべて同一材料、すなわち溶融石英(SiO2)で作製される。しかしながら、作動波長で透明である他の材料、特に結晶性アルカリ土類金属フッ化物材料も使用することができる。必要ならば、たとえば色収差の補正を助けるために、少なくとも1つの第2材料を用いることもできる。もちろん、本発明の利益は、他の波長、たとえば248nm又は157nmでの使用を意図した光学系の場合にも利用されることができる。
【0194】
一部又はすべての条件が、上記実施形態の一部又はすべてで満たされる。
【0195】
上記光学系はすべて、実際の物体から実像を(たとえばウェハ上に)形成するための完全な光学系であってもよいことを理解されたい。しかしながら、本光学系は、より大きい光学系の部分光学系として使用されてもよい。たとえば、上記光学系のための「物体」は、物体面の上流側の結像系(リレー系)によって形成された像でもよい。同様に、上記光学系によって形成された像は、像面の下流側の光学系(リレー系)のための物体として使用されてもよい。
【0196】
好適な実施形態の上記説明は、例示のために与えられている。本開示から、当業者であれば、本発明及びそれに付随した利点を理解できるだけでなく、開示されている構造及び方法に対する様々な変化及び修正が明らかであることがわかるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲及びそれの同等物によって定義されるような本発明の精神及び範囲に入るすべての変化及び修正を包含することが要求される。
【0197】
すべての特許請求の範囲の内容は、本明細書の一部を構成する。
【表4】

【表4A】

【表7】

【表7A】

【表8】

【表8A】

【表16】

【表16A】

【表17】

【表17A】

【表19】

【表19A】

【表20】

【表20A】

【表21】

【表21A】

【表22】

【表22A】

【表23】

【表23A】

【表27】

【表27A】

【表28】

【表28A】

【表30】

【表30A】

【表31】

【表31A】

【表32】

【表32A】

【表34】

【表34A】

【表36】

【表36A】

【表37】

【表37A】

【表38】

【表38A】

【表39】

【表39A】

【表40】

【表40A】

【表41】

【0198】
本出願は、2004年1月14日に出願された米国特許仮出願第60/536,248号、2004年7月14日に出願された米国特許仮出願第60/587,504号、2004年10月13日に出願された米国特許仮出願第60/617,674号、2004年7月27日に出願された米国特許仮出願第60/591,775号及び2004年9月24日に出願された米国特許仮出願第60/612,823号の優先権の利益を主張する。これらの米国特許仮出願すべての開示内容は、本出願の記載内容の一部を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影対物レンズ(200)の物体面(201)上に設けられたパターンを投影対物レンズの像面(202)上に結像するための反射屈折投影対物レンズであって、
物体面上に設けられたパターンを第1中間像(203)に結像する第1対物レンズ部(210)と、
第1中間像を第2中間像(204)に結像する第2対物レンズ部(220)と、
第2中間像を像面(202)上に結像する第3対物レンズ部(230)とを有し、
第1連続鏡面を有する第1凹面鏡(221)と、第2連続鏡面を有する少なくとも1つの第2凹面鏡(222)とが、第2中間像(204)の上流側に配置され、
ひとみ面が、物体面と第1中間像との間、第1及び第2中間像の間、及び第2中間像と像面との間に形成され、
主光線高さが結像プロセスの周縁光線高さを超える位置のひとみ面から、すべての凹面鏡(221,222)が光学的に離して配置されることを特徴とする、反射屈折投影対物レンズ。
【請求項2】
正確に2つの凹面鏡(221,222)と正確に2つの中間像(203,204)とが存在する、請求項1に記載の投影対物レンズ。
【請求項3】
第1対物レンズ部(210)が、ジオプトリック結像系であり、
第2対物レンズ部(220)が、第1及び第2凹面鏡(221,222)を含み、凹面鏡の凹面鏡面が互いに向き合って、鏡間空間を画定しており、
少なくとも第1中間像(203)が、幾何学的に第1凹面鏡と第2凹面鏡との間の鏡間空間内に位置する、請求項1又は2に記載の投影対物レンズ。
【請求項4】
第1中間像(203)及び第2中間像(204)の両方が、幾何学的に第1凹面鏡と第2凹面鏡との間の鏡間空間内に位置する、請求項3に記載の投影対物レンズ。
【請求項5】
第1対物レンズ部(210)及び第2対物レンズ部(220)及び第3対物レンズ部(230)が、共通の直線状の光軸を共用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項6】
第1凹面鏡(321)及び第2凹面鏡(322)の湾曲面が、光軸の反射屈折部又はカトプトリック部を画定する共通の回転対称軸(305’)を有し、この回転対称軸が、光軸の物体側部分(305”)及び像側部分(305”’)に対して角度を付けて傾斜している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項7】
凹面鏡(221,222)の少なくとも1つの鏡面が非球面である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項8】
第1対物レンズ部(1210)が、単一の第1凹面鏡(1221)を含む反射屈折対物レンズ部であり、第2対物レンズ部(1220)が、単一の第2凹面鏡(1222)を含む反射屈折対物レンズ部である、請求項1、2、5又は7のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項9】
互いに向き合う第1及び第2凹面鏡(1221,1222)によって画定された鏡群が、鏡群入口及び鏡群出口を有し、鏡群入口が、第2凹面鏡(1222)の、光軸に面する縁部に幾何学的に隣接する位置にあり、鏡群出口が、第1凹面鏡(1221)の、光軸に面する縁部に幾何学的に隣接する位置にあり、投影対物レンズ(1200)のひとみ面(PS1,PS2)が、鏡群入口の近傍及び鏡群出口の近傍に配置される、請求項1、2、5、7又は8のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項10】
第1凹面鏡(221)から反射した放射光が、第2凹面鏡(222)に当たる前に光軸と交差するように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項11】
第1対物レンズ部(210)が、純粋屈折型であり、第2対物レンズ部(220)が、カトプトリック又は反射屈折型であり、第3対物レンズ部(230)が、純粋屈折型である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項12】
投影対物レンズ(200)が凸面鏡をまったく含まない、請求項1〜11のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項13】
第1対物レンズ部(210)が、拡大結像系として構成されていて、好ましくは倍率β1が1<|β1|<2.5の範囲にある拡大結像系として、第1対物レンズ部が構成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項14】
第2対物レンズ部(220)が、ほぼ単位倍率の光学系として構成されていて、好ましくは倍率β2が0.4<|β2|<1.5の範囲にあり、より好ましくは0.9<|β2|<1.1の範囲にある光学系として第2対物レンズ部が構成されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項15】
第3対物レンズ部(230)が、|β3|<1の縮小率β3を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項16】
第2中間像(204)が、像寸法より大きい寸法を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項17】
第1凹面鏡(121)及び第2凹面鏡(122)の少なくとも一方が、マンジャンミラーとして構成される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項18】
第1凹面鏡(221)及び第2凹面鏡(222)の少なくとも一方が、前面鏡として構成される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項19】
凹面鏡の少なくとも一方が、光軸から鏡の縁部まで半径方向に減少する絶対値の曲率を有する非球面反射面を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項20】
投影対物レンズ(200)が折り曲げ平面鏡をまったく含まない、請求項1〜5又は7〜19のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項21】
凹面鏡(221,222)での最大光ビーム高さが、第3対物レンズ部内での最大光ビーム高さの1.5倍未満である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項22】
凹面鏡(221,222)の直径が、第1及び第2中間像の寸法の150%未満である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項23】
投影対物レンズ(200)内のすべての光ビームが、前記第3対物レンズ部の光軸の周りで物体面から像面まで延びかつ前記第3対物レンズ部内での最大ビーム高さの1.5倍の最大半径を有する円筒として画定された空間内に位置する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項24】
最大自由直径が、前記第3対物レンズ部内での最大ビーム高さの2.4倍である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項25】
第1凹面鏡(221)の半径R1と第2凹面鏡(222)の半径R2との間で、0.7<|R1/R2|<1.3の関係が満たされる、請求項1〜24のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項26】
第1凹面鏡(221)の半径R1と、第2凹面鏡(222)の半径R2と、2つの凹面鏡の間の光軸上の距離dとの間で、0.7<(|R1|+|R2|)/2/d<1.3の関係が満たされる、請求項1〜25のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項27】
自由入射面及び自由出口面を有する少なくとも1つのレンズ(2328,2325,2326)が、第1及び第2凹面鏡(2321,2322)の間で画定された鏡間空間内に配置される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項28】
レンズが、凹面鏡へ往復する放射光が2回透過するように配置される鏡関連レンズであり、好ましくは鏡関連レンズ(2325,2326)が、負レンズであり、及び1又は鏡関連レンズ(2325,2326)が、負の屈折力、及びそれに割り当てられた凹面鏡の湾曲方向と同様な湾曲方向を有するメニスカスレンズであり、及び/又は鏡関連レンズ(2325,2326)が、対応の凹面鏡が位置する光軸の側にほとんど配置された切頭レンズとして構成される、請求項27に記載の投影対物レンズ。
【請求項29】
第1及び第2凹面鏡(2321,2322)の間で画定された鏡間空間内に少なくとも1つのレンズ(2328)が配置され、そのレンズが物体面及び像面間で光ビームにより3回透過される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項30】
第1凹面鏡(621)及び第2凹面鏡(622)が、本質的に同一の、又は正確に同一の湾曲面を有するように構成される、請求項1〜29のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項31】
第1凹面鏡(621)及び第2凹面鏡(622)が、最初に第1及び第2凹面鏡用の鏡ブランクを作製して鏡面の所望の凹面形状を得た後、鏡ブランクを分離して、第1及び第2凹面鏡として使用される2つの切頭鏡にするようにして製造される、請求項1〜30のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項32】
第2対物レンズ部が、第1凹面鏡(621)及び第1鏡関連レンズ(651)からなる第1反射屈折サブ群と、第2凹面鏡(622)及び第2鏡関連レンズ(652)からなる第2反射屈折サブ群とを含み、これらの反射屈折サブ群が、本質的に同一に構成される、請求項1に記載の投影対物レンズ。
【請求項33】
第1及び第2凹面鏡の凹面が、非球面である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項34】
第1及び第2凹面鏡によって画定された鏡間空間内で、中間像と、光学的に中間像に近い対応の凹面鏡との間に少なくとも1つのレンズ(2328)が配置され、そのレンズの少なくとも1つの表面が非球面であり、好ましくはレンズの非球面が中間像に面する表面である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項35】
第1凹面鏡(921)が曲率c1(単位はmm-1)を有し、第2凹面鏡(922)が曲率c2(単位はmm-1)を有し、D(単位はmm)が第3対物レンズ部のレンズ素子の最大直径であり、
1<D/(|c1|+|c2|)・10-4<6
の条件が満たされる、請求項1〜34のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項36】
Rが非球面鏡面の曲率半径であり、Dが直径であり、p=R−(R2−D2/4)0.5であるとき、少なくとも1つの凹面鏡が、p>0.22Rの条件を満たし、好ましくはD>1.3Rの条件が満たされる、請求項35に記載の投影対物レンズ。
【請求項37】
第1中間像(1203)が、幾何学的に第1及び第2凹面鏡(1221,1222)の間で画定された鏡間空間内に位置し、第2中間像(1204)が、鏡間空間の外に配置されるように、投影対物レンズ(1200)が構成される、請求項1、2、5、7〜9、12、15、16、20〜26のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項38】
第1及び第2凹面鏡(1221,1222)が、光軸の同一側に位置する、請求項1、2、5、7〜9、12、15、16、20〜27又は37のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項39】
第1凹面鏡(221)及び第2凹面鏡(222)が、光軸の対向側に位置する、請求項1〜5、7、10〜38のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項40】
第1及び第2凹面鏡の間で画定される鏡間空間の外で、第1及び第2凹面鏡(1221,1222)によって画定される鏡群と第2中間像(1204)との間に少なくとも1つのレンズ(1228)が配置される、請求項1、2、5、7〜9、12、15、16、20〜27、37又は38のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項41】
投影対物レンズが、非球面入射面と非球面出口面とを有する少なくとも1つの両非球面レンズ(996)を含み、好ましくは第3対物レンズ部(930)が、ひとみ面を有し、両非球面レンズ(996)が、ひとみ面と像面との間に配置される、請求項1〜40のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項42】
第1対物レンズ部(210)が、像面に面する凹面を有する少なくとも1つのレンズを含み、好ましくは像面に面する凹面を有するレンズが、物体面と第1対物レンズ部のひとみ面との間に配置されたメニスカスレンズである、請求項1〜41のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項43】
第1対物レンズ部(210)が、ひとみ面と、物体面及びひとみ面の間に配置された第1レンズ群とを含み、第1レンズ群が、正レンズ、負レンズ及び正レンズをこの順に含み、負レンズが、像に面する凹面を有する、請求項1〜42のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項44】
第2対物レンズ部(1120)の光学素子の最大直径が、第3対物レンズ部(1130)のレンズの最大直径以下である、請求項1〜43のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項45】
第3対物レンズ部(230)が、ひとみ面と、第2中間像(204)及びひとみ面間に配置された負屈折力とを含み、ビーム路内に浅いウエストが画定されるようになっていて、ウエストと像面(202)との間に負レンズがまったく配置されない、請求項1〜44のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項46】
第3対物レンズ部(230)が、わずか2つの負レンズを含む、請求項1〜45のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項47】
像側開口数NA>0.9である、請求項1〜46のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項48】
投影対物レンズ(200)が、収差に関して適応された液浸対物レンズとして構成されていて、最後の光学素子と像面との間の像側作動距離が、1より相当に大きい屈折率の浸漬媒体で満たされるようになっており、好ましくは、投影対物レンズが、浸漬媒体と一緒に使用されるとき、NA>1.1の像側開口数を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項49】
物体側端部及び像側端部の両方でテレセントリックであり、及び/又は本質的に共心の入射ひとみを有する、請求項1〜48のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項50】
第1対物レンズ部(210)内に開口絞り(A)が設けられ、又は第2対物レンズ部内に開口絞りが設けられ、又は第3対物レンズ部内に開口絞りが設けられる、請求項1〜49のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項51】
約120nmから約260nmにわたる波長範囲に入る紫外線で使用されるように構成される、請求項1〜50のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項52】
第1凹面鏡(1321)が第1非球面鏡面を有し、第2凹面鏡(1322)が第2非球面鏡面を有し、第1及び第2鏡面が本質的に同じ又は同一の非球面形状を有し、及び/又は第2対物レンズ部が2つの凹面鏡を有し、その各々が非球面鏡面を有しており、第1及び第2鏡面が本質的に同じ又は同一の非球面形状を有し、及び/又は第2対物レンズ部が、本質的に同じ又は同一の非球面形状を有する非球面鏡面を有する2つの凹面鏡だけからなるカトプトリック対物レンズ部である、請求項1〜51のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項53】
第1及び第2凹面鏡(1421)の少なくとも一方が、放物面形状を有する鏡面を有する、請求項1〜52のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項54】
第1対物レンズ部(1710)が、純粋屈折型であって、正レンズだけを有し、好ましくは、第1対物レンズ部には、正レンズに加えて、本質的に平行な平面を有するプレートが設けられている、請求項1〜7、10〜36又は39〜53のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項55】
第1対物レンズ部(1710)が、純粋屈折型であって、6個のレンズだけを有する、請求項1〜7、10〜36又は39〜54のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項56】
第1対物レンズ部(1710)が、純粋屈折型であって、レンズ素子と非球面とを含み、レンズ素子の数と非球面の数との比が1.6未満である、請求項1〜7、10〜36又は39〜55のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項57】
第1対物レンズ部(1710)の、物体面の直後の第1レンズ素子(1712)が、物体面に面する非球面を有し、その非球面は、本質的に平坦であって、非球面の各点での局部半径R>300mmである、請求項1〜56のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項58】
すべての負レンズが、ひとみ面から光学的に離して配置される、請求項1〜57のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項59】
投影対物レンズ(1800)が、非球面の光学的使用領域内に変曲点がない表面形状を有する非球面を有する少なくとも1つの光学素子を有し、好ましくは少なくとも1つの非球面を有する複数の光学素子が設けられ、非球面の少なくとも50%に変曲点がなく、より好ましくは少なくとも1つの非球面を有する複数の光学素子が設けられ、すべての非球面が、変曲点のない表面形状を有する、請求項1〜58のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項60】
投影対物レンズ(1900)が、非球面を有する少なくとも1つの光学素子を有し、非球面が、光軸外の非球面の光学的使用領域内に極限点がない表面形状を有し、パラメータpが、光学素子の光軸に平行に測定された、その表面の頂点から高さhの点の距離を表すとき、極限点は、
【数1】

によって定められており、好ましくは、投影対物レンズが少なくとも1つの非球面を有する複数の光学素子を含み、非球面の少なくとも50%が、極限点がない表面形状を有し、より好ましくは、少なくとも1つの非球面を有する複数の光学素子が設けられ、すべての非球面が、光軸外に極限点がない表面形状を有する、請求項1〜59のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項61】
光学的使用半径hoptによって画定される光学的使用領域を含み、hmax=hopt+ORかつORが少なくとも5mmであるときに、その領域を越えて最大高さhmax>hoptまで進む領域内で、非球面が極限点を有さない、請求項60に記載の投影対物レンズ。
【請求項62】
少なくとも1つの極限点を有する非球面が、光学的使用領域全体にわたって本質的に平坦である、請求項1〜61のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項63】
少なくとも1つの極限点を有する少なくとも1つの非球面を備え、その非球面は、光学素子の光学的使用部分全体にわたって本質的に平坦であり、pmax=0.5mmのとき、その非球面について、
|p(h)|<pmax
の条件が成り立つようにした、請求項1〜62のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項64】
第1対物レンズ部(2210)が、凹面鏡(2213)と、湾曲鏡面を有する少なくとも1つの追加鏡(2214)とを含み、凹面鏡及び追加鏡の湾曲鏡面が、互いに向き合っている、請求項1、2、5、7、10、13、15、16、20、39又は47〜51のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項65】
追加鏡(2214)が、凸面鏡面を有する、請求項64に記載の投影対物レンズ。
【請求項66】
追加鏡(2313)がひとみ面の光学的に近くに位置する、請求項64又は65に記載の投影対物レンズ。
【請求項67】
第1対物レンズ部が、反射屈折型であって、凹面鏡(2312)及び追加鏡(2313)に加えて、少なくとも1つのレンズ(2314)を含む、請求項64〜66のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項68】
第2対物レンズ部が、第1鏡面を有する第1凹面鏡(2321)と、第2鏡面を有する第2凹面鏡(2322)とを含み、これらの凹面鏡の凹面鏡面が、互いに向き合って、鏡間空間を画定する、請求項64〜67のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項69】
投影対物レンズが正確に3つの凹面鏡(2312,2321,2322)を有する、請求項64〜68のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項70】
投影対物レンズのすべての凹面鏡(2312,2321,2322)が、ひとみ面から光学的に離して配置される、請求項64〜69のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項71】
第1対物レンズ部(2310)及び第2対物レンズ部(2320)及び第3対物レンズ部(2330)が、共通の直線状の光軸を共用する、請求項64〜70のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項72】
第1対物レンズ部(2310)が拡大結像系として構成される、請求項64〜71のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項73】
投影対物レンズの光学素子間の空き空間を満たすために、少なくとも1つの充填ガスが使用され、その充填ガスが、空気及び窒素及びヘリウムのうちの1つである、請求項1〜72のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項74】
少なくとも1つの非球形円錐鏡を有する、請求項1〜73のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項75】
複数のレンズを有し、50%を超えるレンズが非球面レンズである、請求項1〜74のいずれか1項に記載の投影対物レンズ。
【請求項76】
照明系と反射屈折投影対物レンズとを有してマイクロリソグラフィに使用される投影露光系であって、投影対物レンズが、請求項1〜75のいずれか1項に従って構成される、投影露光系。
【請求項77】
半導体デバイス又は他の形式のマイクロデバイスを作製する方法であって、
所定パターンを有するマスクを設ける工程と、
所定波長を有する紫外線でマスクを照明する工程と、
請求項1〜75のいずれか1項に記載の反射屈折投影対物レンズを使用して、投影対物レンズの像面の近傍に配置された感光基材上にパターンの像を投影する工程と、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2012−234214(P2012−234214A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193455(P2012−193455)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2008−9105(P2008−9105)の分割
【原出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】