説明

反射防止コーティングを備える透明基板

【課題】 機械的性能を改善した反射防止コーティングを提供し、特にこのようなコーティングを備えるガラスを自動車フロントガラスとして利用できるようにする。
【解決手段】 本発明はその面の少なくとも1つに反射防止コーティングAを備える特にガラスからなる透明基板に関する。
本発明によると、反射防止コーティングは屈折率の異なる少なくとも2種の材料から構成され且つその厚みeにおいて連続的に変化する組成をもつ単一薄層から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その面の少なくとも1つに反射防止コーティングを備え、板ガラスに組み込むように構成した特にガラスからなる透明基板に関する。
【背景技術】
【0002】
反射防止コーティングは、一般に屈折率の高い誘電材料をベースとする層と屈折率の低い誘電材料をベースとする層を交互に配置した干渉薄層のスタックから一般に構成される。このようなコーティングは透明基板に堆積すると、その光反射率を低下させ、従って、光透過率を増加する機能をもつ。従って、こうしてコーティングした基板はその透過光/反射光比が増加するので、その奥に置いた物体がよく見えるようになる。従って、最大反射防止効果を達成しようとする場合には、この種のコーティングを基板の両面に備えることが好ましい。
【0003】
有利な用途の1つは建物の設備である。この用途では、反射防止効果をもつガラスを例えば商店のショーウインドーとして使用すると、屋内照明が屋外照明より弱い構造でもショーウインドーの奥にあるものがよく見えるようになる。カウンターのガラスとしても使用できる。
【0004】
最近では、特に自動車製造業者の要望に応じて別の用途も考えられている。それはフロントガラスに反射防止効果を与え、一般に75%を上回る高レベルの光透過率と非常に低い(透過光の1%未満)残留曇り率を必要とする現行基準を満たすことである。必要な反射防止効果は、例えば光透過率Tを増加し、ドライバーと同乗者の視野を改善することができる。また、ドライバーを煩わせる寄生反射、特に自動車の車内機器の反射を弱める効果もある。
【0005】
必要な機械的及び化学的耐久性レベルに達することが困難であるため、今日までこの用途はあまり進展していない。
【0006】
実際に、フロントガラスには少なくとも面1即ち車内から外部を向いたフロントガラスの面に反射防止コーティングが配置されている。
【0007】
しかし、この面は多数の外力を受ける。例えば、走行状態のワイパーの往復は相当の摩耗を生じ、埃や小砂利がぶつかってコーティングのあちこちを機械的及び化学的(腐食)に傷付ける。
【0008】
これらの問題を解決し、フロントガラスとして使用できるように十分な機械的及び化学的耐久性をもつ反射防止コーティングを備えるガラスを開発するために、本願出願人はWO97/43224により、屈折率の高い材料と低い材料の層を交互に堆積した反射防止スタックを構成する層の少なくとも一部を熱分解層にすることを既に提案している。
【0009】
しかし、このスタックは完全に十分とは言えない。実際に、多数の界面が残るので、スタックの脆性の危険は避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第97/43224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は機械的性能を改善した反射防止コーティングを提供し、特にこのようなコーティングを備えるガラスを自動車フロントガラスとして利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明はその面の少なくとも1つに反射防止コーティングAを備える特にガラスからなる透明基板に関し、前記コーティングが屈折率の異なる少なくとも2種の材料から構成され且つその厚みにおいて連続的に変化する組成をもつ単一薄層から構成されることを特徴とする。薄層は100〜400nmの幾何学的厚みをもつことが好ましい。
【0013】
この層はその厚みにおいて屈折率が増加する少なくとも1個の第1のゾーン(基板に最も近接するゾーン)と、屈折率が減少する少なくとも1個の第2のゾーン(特に、大気に最も近接するゾーン)をもつと有利である。更にこれらの2つのゾーンの間に屈折率が比較的一定した中間ゾーンを設けてもよい。例えば、屈折率が約1.45〜1.65のI(0)値から少なくとも2、特に2.1〜2.4のI(1)値まで変化する第1のゾーンと、第1のゾーンよりも極めて薄い任意ゾーンとして、屈折率がほぼI(2)値に維持される第2のゾーンと、屈折率がI(1)に近似するか又はそれよりも僅かに小さいI(3)値に向かって減少する最終ゾーンを配置することができる。この層の特徴は、単層と全く同様に屈折率が徐々に変化する点にある。屈折率をもっと複雑に変化させることも可能である(屈折率の増加するゾーンと屈折率の減少するゾーンを交互に3個以上配置する)。
【0014】
その構造により、本発明の反射防止コーティングは自動車フロントガラスとしての利用にガラスを完全に適合できる。
【0015】
実際に、第1に、連続層の機械的耐性により、何の問題もなしに型押し工程が可能である。
【0016】
他方、本発明の反射防止コーティングは特に400〜500ナノメートルの波長範囲で非常に有効な紫外線濾過効果がある。この効果は合わせガラスの中間層として使用するPVB等の熱可塑性材料の効果と相俟って有利に作用する。
【0017】
こうして、自動車の車内のプラスチック材や塗料の劣化の危険が有効に避けられる。
【0018】
層は屈折率の異なる2種の材料のみから構成すると有利である。
【0019】
この態様によると、薄層はSiO(式中、xとyはその厚みにおいて夫々0〜2及び0〜1.33で連続的に変化する)をベースとすることが好ましい。
【0020】
同様にこの態様によると、空気等の周囲媒体との界面に近接して配置された層のゾーンにおいてxが厳密に0〜2で増加方向に変化し、yが厳密に1.33〜0で減少方向に変化することが好ましい。
【0021】
別の態様によると、本発明の薄層はSiTi1−z(式中、zはその厚みにおいて厳密に0〜1で連続的に変化する)をベースとする。
【0022】
周囲媒体との界面に近接して配置された層のゾーンにおいてzは厳密に0〜1で減少方向に変化することが好ましい。
【0023】
本発明の傾斜「単層」の反射防止効果を最適にするためには、空気等の周囲媒体との界面から0〜10ナノメートルの距離に配置されたゾーンにおいて薄層の屈折率を好ましくは1.35〜1.75、有利には1.38〜1.70とする。
【0024】
上記特徴により、本発明の基板を備えるガラスはフロントガラスに利用するのに必要な要件即ち直角入射で7%未満、更には6%未満、60°の入射角で10%未満のR値と直角入射で少なくとも75%のT値を完全に満足することができる。
【0025】
本発明によると、基板の外側に撥水機能をもつように傾斜「単層」の構造に含まれる材料の1種を選択することもできる。
【0026】
本発明の基板は反射防止コーティングのない面に例えば銀型の少なくとも1個の金属機能層を含む薄層のスタックを備えると有利である。
【0027】
スタックの型としては、誘電体/銀/誘電体又は誘電体/銀/誘電体/銀/誘電体の配置をもつスタックが考えられる。
【0028】
これらのスタックの型に関する詳細については、ヨーロッパ特許出願EP−A−0678484、EP−A−0645352及びEP−A−0635528を参照されたい。
【0029】
ヨーロッパ特許出願EP−A−0638527及びEP−A−0650938に記載されているように窒化物(例えば窒化チタン)層等の反射及び/又は濾過層を含むスタックを使用することもできる。
【0030】
金属機能層の厚みは日射防止性を与えるように20〜25ナノメートルとすることができる。
【0031】
スタックの好ましい配置は、ガラス/Si/ZnO/Ag/Ti/ZnO/Si/ZnO/Ag/Ti/ZnO/Siである。
【0032】
1態様によると、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の軟質透明基板にこの種のスタックを直接堆積することができる。このような材料としては、SOUTHWALL社から市販されている製品XiR 70(登録商標)が挙げられる。
【0033】
WO97/10185及びWO97/10186に記載されているように、本発明の層をもたないガラスの面にTiOをベースとする光触媒汚れ防止層を堆積することもできる。
【0034】
本発明は更に、少なくとも1枚の上記基板を含む合わせガラスにも関する。
【0035】
このようなガラスは、少なくとも1枚のポリビニルブチラール(PVB)シートを含む熱可塑性中間層を介して結合された特にガラスからなる2枚の透明基板を含んでもよく、反射防止コーティングAをもたない透明基板も好ましくはマグネトロンスパッタリング技術により堆積された反射防止コーティングA’を同様にその面の少なくとも1つに含む。
【0036】
このコーティングA’はガラス/SnO/SiO:Al/Nb/SiO:Alの配置をもつことが好ましい。
【0037】
スタックの最終層を堆積し易くする目的で、誘電層Nbの一部又は全体を同様の光学的性質をもつ材料(例えばTiO)で置換すると有利である。
【0038】
反射防止コーティングAを面1に配置し、反射防止コーティングA’を面4に配置すると有利である。
【0039】
このような合わせガラスは自動車フロントガラスとして利用するのに完全に適している。写真や絵画の保護用ガラスとして利用するのにも適している。
【0040】
更に、本発明の反射防止コーティングは、少なくとも1枚のガラス基板と、少なくとも1枚のエネルギー吸収性ポリマー(例えばポリウレタン)シートを含む所謂非対称合わせガラスにも利用することができる。
【0041】
合わせガラスを構成するガラス基板の種類の選択も重要であると思われ、全体として所望性能をもつガラスが得られるように、ガラス基板に固有の光学的及び/又は熱的性質を反射防止コーティングの光学的性質と組み合わせることができる。
【0042】
例えば、SAINT−GONAIN GLASS社から商品名“Planilux”として市販されているもののような透明ガラスの基板を選択することができる。こうして反射防止コーティングによる光透過性を更に増すことができるので、非常に透明なガラスが得られる。
【0043】
他方、板ガラスを構成する基板として、エネルギー透過性の低いガラス、特に内部着色ガラスの基板を選択してもよい。光透過性は多少低いが、有利な日射保護ガラスが得られ、反射防止コーティングにより得られる光透過性の増加効果により、この低い透明レベルを是正できるという利点がある。特にフロントガラスに適した内部着色ガラスは例えばSEKURIT SAINT−GOBAIN社から商品名“Sekurisol”又は“Thermocontrol”として市販されている。本発明の範囲ではエネルギー透過率の低い他の種のガラスも有利である。
【0044】
特に、米国特許第4190542号及び4101705号に記載されているようなブロンズ色ガラスや、自動車ガラス用に組成を調整したガラスを利用することができる。例えば、比T/Tにより定義される選択性が少なくとも1.30又は1.40〜1.50となり、緑色がかった色調をもつように、Fe、FeO及びCoO型の着色酸化物の割合を調整したTSA又はTSA++と呼ばれるガラスが挙げられる。更に詳細についてはヨーロッパ特許出願EP−A−0616883を参照すると有利である。この特許の教示によるガラス組成に記載された着色酸化物の割合(重量百分率)を以下に要約する。
【0045】
第1系列によると、
Fe 0.55〜0.62%
FeO 0.11〜0.16%
CoO 0〜12ppm、特に<12ppmであり、特にFe2+/Fe比は約0.19〜0.25である。
【0046】
第2系列によると、
Fe 0.75〜0.90%
FeO 0.15〜0.22%
CoO 0〜17ppm、特に<10ppmであり、特にFe2+/Fe比は約0.20である。
【0047】
内部着色ガラス、特に特許出願EP−A−0644164、WO95/00828又はWO96/00394に記載されているもののような緑青に着色したガラスでもよい。
【0048】
従って、これらの全種の着色ガラスの組成は、ガラスのエネルギー透過率値が30〜70%、特に35〜60%となり、光透過率値が50〜85%となるように選択すると有利である。
【0049】
最後に、本発明は時間tの間に少なくとも2種の前駆物質から高周波又はマイクロ波プラズマCVD技術により堆積される厚みeの少なくとも1個の薄層を含む反射防止コーティングAをその面の少なくとも1つに備える特にガラスからなる透明基板の製造方法に関する。本発明によると、時間tの間に少なくとも1個の堆積パラメーターを連続的に変化させる。
【0050】
「堆積パラメーター」とは、本発明の範囲ではプラズマCVD技術により使用される堆積圧、照射電力、前駆物質流速、基板温度、基板にかかる電圧等の条件の1つを意味する。
【0051】
非常に有利な特徴によると、時間tの間に変化させる堆積パラメーターは2種の前駆物質の少なくとも一方の流速である。
【0052】
本発明の別の態様によると、別の真空技術で本発明の反射防止コーティングAを堆積することもできる。特に磁場を利用するカソードスパッタリングが好ましい。酸化物と同様に、堆積雰囲気で酸化剤と共に反応性のスパッタリングを選択することができる。例えば1995年7月12日付け仏国特許FR95/08421に記載されているように、プラズマを用いないCVDによりコーティングを堆積することもできる。
【0053】
以下、図1〜3を参考に非限定的な実施例を詳細に説明することにより、他の詳細及び有利な特徴を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の反射防止コーティングをその面の1つに備えるガラス基板を示す。
【図2】本発明の層の屈折率の勾配を表す2種の曲線を示す。
【図3】2個の反射防止コーティングと低放射層を含むスタックを含む合わせガラスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施例1
図1はSiO(式中、xとyは厚みにおいて連続的に変化する)をベースとする厚み約250nmの層10をその面の1つに備える“Planilux”型ガラス基板を示す。このxとyの変化は図2の破線の曲線により示すプロフィルを与える。
【0056】
この傾斜層を得るために、下記のように13.56MHzの高周波プラズマCVD技術を使用した。
【0057】
真空にしたチャンバーに圧力を約26.7Paに維持しながらアルゴンを導入した。照射電力は100ワットである。
【0058】
使用したチャンバー(図示せず)は各々導管に連結した4個のオリフィスを含む。これらの導管の各々によりプラズマ生成ガス又は有機ケイ素ガスを導入することができる。
【0059】
本発明により堆積を実施するために、以下に記載するようなプラズマ生成ガスの成分の流速を連続的に経時変化させた。
【0060】
流速は常温常圧条件下である。
【0061】
時刻t=0で、シランSiH流速30cm/分、一酸化二窒素NO流速100cm/分及びアルゴン流速50cm/分で導入した。
【0062】
層の厚みの最初の2分の1の堆積に必要な時間の間に、シランとアルゴンの流速は初期流速から変えずに、一酸化二窒素NO流速を100cm/分から0cm/分、アンモニアNH流速を0cm/分から90cm/分に連続的に変化させた。
【0063】
層の厚みの残りの2分の1の堆積に必要な時間の間に、シランとアルゴンの流速は変えずに、逆に一酸化二窒素NO流速を0cm/分から100cm/分、アンモニアNH流速を90cm/分から0cm/分に連続的に変化させた。
【0064】
図2の曲線は各々本発明の層の厚みにおける屈折率の変化を示し、変化は入射角0°の最小光反射により最適化した。
【0065】
破線の曲線は上記混合物から得られた層に相当し、一点鎖線の曲線は第2の別の混合物から同様にして得られた層に相当する。この第2の混合物はチタンの有機金属前駆物質としてのTi(OCと酸素Oとからなる。
【0066】
これらの曲線のプロフィルは完全に連続しており、脆性の原因である界面がないことを示している。
【0067】
本発明の層の機械的耐久性を調べるために、図1のガラス基板に2種の耐摩耗性試験を実施した。
【0068】
第1の試験(A)はTaber試験であり、TABER Instrument Corp.製機械(モデル174“Standard Abrasion Tester”)により、研磨粉をエラストマーに埋封して作製した砥石車を使用して実施した。砥石車はCS 10F型であり、500gの負荷下に使用し、砥石車1回転を1サイクルとする。
【0069】
第2の試験(B)は基板をワイパーで拭うことにより実施する。ワイパーブレードが基板に加える力は約45Nであり、ブレードの速度は111サイクル/分とし、ブレードの1往復運動を1サイクルとする。ブレードの硬度は約70ショアAとする。
【0070】
実施例2(比較)
比較例として、本発明のガラス基板により得られる値即ち特に5%未満の光反射率値Rで得られる値に非常に近い分光光度値が得られるように層の厚みを調整し、スパッタリング堆積技術によりガラス/SiON/Si/SiO型スタックを作製した。
【0071】
次にこのスタックに上記と同一の耐摩耗性試験を実施した。
【0072】
下表1は上記2種の試験(A)及び(B)を実施した基板で所定数のサイクル後に実施した目視の結果を示す。
【0073】
【表1】

表1に明示されるように、本発明の層は比較例により作製したスタックよりも著しく優れた機械的耐久性を示す。
【0074】
実施例3及び4は厚み0.76mmのPVBシート11により結合した夫々厚み2.6mm及び2.1mmの2枚のPlanilux型透明ガラス基板1、2を使用する。これらの実施例は特に自動車用フロントガラスの適用を目的とする。この適用では、まず2枚の基板1、2にスタックを付けた後、図3に示すように基板1の外面1が凸面となり、基板2の外面4が凹面となるように型押しする。
【0075】
実施例3(本発明)
基板1の外面1を本発明の層10で被覆する。
【0076】
ヨーロッパ特許出願EP−A−0718250の記載によるガラス/Si/ZnO/Ag/Ti/ZnO/Si/ZnO/Ag/Ti/ZnO/Siの配置をもつ日射防止スタックで基板1の内面2を被覆する。
【0077】
対応する層の厚み(ナノメートル)を下表2に示す。
【0078】
【表2】

更に、ヨーロッパ特許出願EP−A−0728712に記載されているようにマグネトロンスパッタリング技術により堆積したガラス/SnO/SiO:Al/Nb/SiO:Alの配置の反射防止スタックで基板2の外面4を被覆する。
【0079】
対応する層の厚み(ナノメートル)を下表3に示す。
【0080】
【表3】

【0081】
実施例4(比較)
使用した基板1は薄層を含まない。
【0082】
基板2はその内面3のみを実施例2と同一の日射防止スタックで被覆する。
【0083】
下表4は実施例3及び4について入射角ゼロで測定した分光光度値(百分率)をまとめたものであり、a及びb値は面1の反射率を測定した。
【0084】
【表4】

この表から明らかなように、光透過率Tの値は本発明の層により著しく改善される。従って、所与光透過率値で銀層の厚みを増すことができ、従って、この種の合わせガラスの日射防止性能を改善することができる。
【0085】
実施例5(本発明)
基板1及び2はヨーロッパ特許EP−A−0644164の教示による組成をもち、より詳細には下記酸化物を下記重量割合で含有する。
【0086】
SiO 70.8%
Al 0.6%
CaO 9.50%
MgO 4.10%
NaO 13.8%
O 0.10%
Fe 0.86%
TiO 0.035%
FeO 0.28%
SO 0.10%。
【0087】
基板1はその外面1に本発明の層を含む。
【0088】
ガラス基板2はその外面3を実施例3と同一の反射防止スタックで被覆する。
【0089】
実施例6(比較)
本実施例ではコーティングをもたない以外は実施例5で使用したと同一の基板を使用する。
【0090】
下表5は実施例5及び6について入射角ゼロで測定した分光光度値をまとめたものであり、a及びb値は面1の反射率を測定した。
【0091】
【表5】

この場合も、2つの実施例の結果を比較することにより、光透過率Tの著しい改善が認められる。従って、この場合も所与Tで2枚の基板の一方を更に着色し、選択性を改善することが予想できる。
【符号の説明】
【0092】
1,2 基板
3 内面
4 外面
11 PVBシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その面の少なくとも1つに反射防止コーティングAを備える特にガラスからなる透明基板であって、反射防止コーティングが屈折率の異なる少なくとも2種の材料から形成されており且つその厚みeにおいて連続的に変化する組成をもつ単一薄層から構成されることを特徴とする前記透明基板。
【請求項2】
薄層が100〜400nmの厚みをもつことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
薄層が屈折率の異なる2種の材料のみから形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板。
【請求項4】
薄層がSiO(式中、xとyはその厚みにおいて夫々0〜2及び0〜1.33で連続的に変化する)をベースとすることを特徴とする請求項3に記載の基板。
【請求項5】
空気等の周囲媒体との界面に近接して配置された層のゾーンにおいてxが厳密に0〜2で増加方向に変化し、yが厳密に1.33〜0で減少方向に変化することを特徴とする請求項4に記載の基板。
【請求項6】
薄層がSiTi1−z(式中、zはその厚みにおいて厳密に0〜1で連続的に変化する)をベースとすることを特徴とする請求項3に記載の基板。
【請求項7】
空気等の周囲媒体との界面に近接して配置された層のゾーンにおいてzが厳密に0〜1で減少方向に変化することを特徴とする請求項6に記載の基板。
【請求項8】
空気等の周囲媒体との界面から0〜10ナノメートルの距離に配置されたゾーンにおいて薄層の屈折率が1.35〜1.75、有利には1.38〜1.70であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の基板。
【請求項9】
反射防止コーティングのない面に銀型の少なくとも1個の金属機能層を含む薄層のスタックを備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の基板。
【請求項10】
日射防止性を与えるように金属機能層の厚みが20〜25ナノメートルであることを特徴とする請求項9に記載の基板。
【請求項11】
薄層のスタックが、ガラス/Si/ZnO/Ag/Ti/ZnO/Si/ZnO/Ag/Ti/ZnO/Siの配置をもつことを特徴とする請求項9又は10に記載の基板。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の基板を少なくとも1つ含む合わせガラス。
【請求項13】
少なくとも1枚のポリビニルブチラール(PVB)シートを含む熱可塑性中間層を介して結合された特にガラスからなる2枚の透明基板を含み、反射防止コーティングAをもたない透明基板が好ましくはマグネトロンスパッタリング技術により堆積された反射防止コーティングA’を同様にその面の少なくとも1つに含むことを特徴とする請求項12に記載の合わせガラス。
【請求項14】
反射防止コーティングA’がガラス/SnO/SiO:Al/Nb又はTiO/SiO:Alの配置をもつことを特徴とする請求項13に記載の合わせガラス。
【請求項15】
反射防止コーティングAが面1に配置されており、反射防止コーティングA’が面4に配置されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の合わせガラス。
【請求項16】
自動車フロントガラス又は写真もしくは絵画の保護用ガラスとしての請求項12から15のいずれか一項に記載の合わせガラスの使用。
【請求項17】
時間tの間に少なくとも2種の前駆物質から高周波又はマイクロ波プラズマCVD技術により堆積される厚みeの少なくとも1個の薄層を含む反射防止コーティングAをその面の少なくとも1つに備える特にガラスからなる透明基板の製造方法であって、時間tの間に少なくとも1個の堆積パラメーターを連続的に変化させることを特徴とする前記方法。
【請求項18】
時間tの間に変化させる堆積パラメーターが2種の前駆物質の少なくとも一方の流速であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
特に磁場を利用し、好ましくは反応性のカソードスパッタリング技術により反射防止コーティングAを堆積することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−32168(P2011−32168A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219173(P2010−219173)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【分割の表示】特願平11−363467の分割
【原出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】