説明

反応性イオンビームエッチングによる表面構造化方法、構造化した表面及び利用

本発明は、表面を構造化するための方法、言い換えれば、サブミクロンの高さHと、ミクロン又はサブミクロンの幅と称される少なくとも1つの横方向の特性寸法とを有する凹凸又はパターン(2)の少なくとも一組を、基材(1)、特にガラスの表面に、イオンビームエッチングにより形成するための方法であって、次の工程、すなわち、厚さが少なくとも100nmの材料を供給し、この材料は混成且つ固体の材料であって、単一の又は混合Si酸化物であり前記材料中の酸化物のモル百分率が少なくとも40%、とりわけ40%と94%の間であるもの、及び前記酸化物のSiと別の少なくとも1つの種、特に金属であって、当該材料中における種のモル百分率が6〜50%の範囲であって前記酸化物の百分率よりも小さく、当該種の少なくとも大部分は50nmより小さい最大特性寸法を有するもの、を含み、前記混成材料は特に、前記エッチングの前において準安定性である工程と、前記エッチングの前に前記混成材料を任意選択的に加熱する工程と、前記混成材料の表面の1cm2より大きいエッチング表面を1時間未満のエッチング時間で、前記パターンの組が形成されるまで構造化する工程を含み、この構造化工程は前記混成材料を加熱することを任意選択的に含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面構造化の分野に関し、特に反応性イオンエッチングを利用した表面構造化方法、構造化した表面を有する製品、およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の構造化は、多くの技術分野に応用できることから、相当に興味の持たれるものである。
【0003】
幾何学的な表面構造の網状組織を作ることは、材料に新たなそして独自の機能を与えるのを可能にするが、その組成とそのバルクの特性は変更しない。
【0004】
表面構造の大きさは小さく、特に幅あるいは周期がサブミクロンの大きさのため、構造化の技術は主として、マスクとウェット又はドライエッチングを使用する技術であり、それらはとりわけマイクロエレクトロニクスあるいは(小さな)集積光学部品で用いられるリソグラフィー技術(光学リソグラフィー、e−ビームリソグラフィーなど)である。
【0005】
反応性イオンエッチング(RIE)は、フッ素化又は塩素化誘導体であり、六フッ化イオウ(SF6)又は四フッ化炭素(CF4)が最も一般的である反応性ガスを用い、マスクすることにより、多くの場合はリソグラフィー手法でのマスキングにより、ガラスを構造化するのに用いられている多数の技術のうちの一つである。
【0006】
しかし、それらは、大量生産の製品、特にガラス製の製品には、次の理由の一つ以上のために不適当である。
・原価が高い(マスクの製造、設備、位置合わせなど)。
・処理能力が小さく(スキャン速度)、複雑である(いくつもの工程)。
・表面構造の大きさに制限がある(波長が限られる)。
・構造化できる面積が小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が対象とするのは、第一に、ミクロンサイズのスケールで構造化され、そして様々な工業的制約を満たす製品、とりわけガラス製品を製造するための有効な方法であり、それは迅速であって、製造するのが簡単であり(マスクの必要がなく、好ましくは単一の工程のみ)、及び/又は任意の大きさの面積に、最大の大きさのものにさえ、適していて、且つ表面構造のタイプ及び/又は大きさとそれらの密度について柔軟性をもたらし、それらの制御を行うものである。
【0008】
この方法はまた、得られる構造化した製品、とりわけガラス製品の範囲を拡大しようとするものでもあり、特に新たな幾何学的特性と新たな機能性及び/又は用途を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明はまず、表面を構造化するための方法、すなわち高さがサブミクロンサイズであり、そしてサブミクロンサイズ又はミクロンサイズ(サブミリメートルサイズ)である少なくとも1つの横方向の寸法(幅と呼ばれる)を有する、表面構造と呼ばれる凹凸の少なくとも1つの配列(平均して一般に同じ形状を有する)を、反応性イオンエッチングにより形成するための方法を提供するものであり、この方法は次の工程、すなわち、
・前記材料を少なくとも100nmに等しい厚さで供給する工程であり、当該材料は次のものを含む固体混成材料である工程、
・単一のケイ素酸化物又は混合ケイ素酸化物であって、前記材料中の当該酸化物のモル百分率が少なくとも40%、とりわけ40%と99%の間であるもの、及び
・前記酸化物のケイ素と異なる性質の少なくとも1つの種であって、特に前記反応性イオンエッチングの作用下で前記ケイ素酸化物より移動性であり、当該種は好ましくは金属であって、当該材料中における当該1以上の種のモル百分率は1%から最大50%までの範囲、とりわけ5%から20%まで、あるいは更に40%までの範囲であるとともに、前記酸化物の百分率よりは小さいものにとどまり、当該種の少なくとも大部分、更には少なくとも80%又は少なくとも90%は、50nmより小さい、好ましくは25nm以下で、更には15nm以下の、最大特性寸法(大きさと称される)を有するもの、
・とりわけ前記混成材料は前記エッチングより前において準安定性であり、すなわち標準的な温度及び圧力条件下で動力学的には安定であり且つ標準的な温度及び圧力条件下で熱力学的には不安定であって、所定の活性化エネルギーEaによって全体的な最小値とは別の局所的な極小ポテンシャルエネルギーにある、
・前記エロージョンの前に前記材料を、特に前記活性化エネルギーを当該エッチングにより提供される値E1に低下させる(ゼロにはしない)のを目的として、任意選択的に(前もって)加熱する工程であり、(任意選択的な加熱は、Eaが大きすぎる場合、移動性の金属種の凝集の動力学的挙動が前記混成材料のエッチングの速度に比べ非常に遅くなるからである)、当該(前もっての)加熱とエッチングは任意選択的に時間的に切り離され、当該前もっての加熱は任意選択的にIR放射処理で置き換えられる工程、
・前記混成材料の表面を前記反応性イオンエッチングの作用下で構造化する工程であり、前記ビームのイオンからのエネルギーの供給がかくして前記(準安定性の)混成材料を動力学的に不安定にし、かくして前記構造が、特に前記金属種の、ゾーン(液滴の形をした)の配列、及び/又は前記材料の前記金属種を富化したゾーンの配列で構成される自己組織化したマスクの形成によって得られ、当該マスクは前記混成材料の表面での前記金属種の凝集によって形成されて、
・前記(準安定性の)固体混成材料のエッチングは30分より短い時間継続し、好ましくは15分以下、あるいは10分以下の時間継続し、それにより前記材料が、特にそれが被膜である場合に、確実に消費されないようにし、
・反応性ガスは一般に、フッ素化又は塩素化されたガス(SF6、CF4、C32、CHF3又はC23)であり、
・エッチングの領域は1cm2より大きく、更には10cm2以上、更には1m2以上であり、
・エッチングを方向性にするために、前記表面構造の配列が形成されるまで、任意選択的に電場が印加される、
工程、
・前記エッチングの間に、特に前記活性化エネルギーを低下させる(ゼロにはしない)よう、前記混成材料を任意選択的に加熱する工程、
を含む。
【0010】
これまでは、ガラスの、もっと広く言ってケイ素酸化物の、反応性イオンエッチングの作用下での高い処理能力のマスクなしの構造化は、注目されてこなかった。
【0011】
しかしながら、本出願人は、マスクなしの反応性イオンエッチングを可能にし、そしてエッチング中に作られる表面の形態を制御する酸化物に基づく材料の、固有の特性を発見した。
【0012】
前記ケイ素酸化物と移動性の元素とは、反応性イオンエッチングによってそれらに十分なエネルギーが供給されると分離する。
【0013】
マスクは、このエッチングと同時に作り出される。材料の上記固有の特性が、エッチング中に作り出される表面形態を制御する。
【0014】
こうして、単一の工程でもって直接機能的に構造化された材料を作ることが可能になる。
【0015】
従って、酸化物にその目的のための少なくとも1つの種を加えることで十分であって、その種はとりわけ、当業者が選択することになる次の特性、すなわち、
・分離と「マスク」効果が表面を滑らかにする表面の緩和を支配するために、反応性イオンエッチング下でSi酸化物のものより高い移動性(例として、種を選択するために例えばケイ酸塩又は他の酸化物中でのイオン拡散の検討を利用することができる)、
・その分離を可能にするのに十分高い凝集エネルギー、
を有する。
【0016】
マスクを作り出しそして十分な密度の表面構造を得るためには、大きなエッチング領域を覆って十分な量の種が存在する。
【0017】
種は、エッチング中にマスクを作り出すように、所望のエッチング深さに関して十分な深さであることが見いだされる。
【0018】
種は、酸化物と密接するが、混和はしない。
【0019】
種の大きさは、材料中における種の均一な分布のため、従ってより均一な構造化のために、制限される。
【0020】
Si酸化物中における種の含有量は、マイクロプローブ分析又はXPSで測定することができる。当然、構造化の作業後には、構造化した厚さにおいて、種の含有量は、例えば構造の高さに依存し、金属の状態にも依存する濃度プロファイルで、変動することができる。
【0021】
本発明による厳選された部類のSi酸化物/金属混成材料は、反応性イオンエッチング中に自己組織化する十分に緻密で均一なマスクを自然に作り出して、それにより次に示す(マスクなしの)特性のうちの1つ以上をもたらす。
・均一な構造、すなわちエロージョン処理された領域全体にわたって同様である平均の高さH、平均的な形状、及び平均の密度。
・一般に丸くなった(円形の)端部を備え、サブミクロンサイズの平均的な横方向の寸法、又は幅W、を有する、2Dレリーフ表面構造、例えば円錐又はバンプ。この表面構造は任意選択的に実質的に対称性を有し、従って、サブミクロンサイズであり上記の幅と同様の又は実質的にそれと等しい平均の「最大」横方向寸法、又は長さL、を有する(幅Wは長さLとほぼ等しく、あるいは少なくとも幅Wは0.7Lより大きいかそれと等しい)。
・等方性である、すなわち優先的な配向方向を持たない、表面構造。典型的に垂直の又は垂直に近い腐食角の場合。
・緻密な網状組織の表面構造、すなわち幅Wに対する平均の間隔Dの比が10未満、又は5未満、あるいは2未満であり、これが1cm2、100cm2、あるいは1m2の面積に及んでいる表面構造。
・かなりのものであって、且つ素速く得られる、表面構造高さH。
【0022】
各表面構造について、考慮される高さは最大高さであり、幅は底部で測定される。間隔Dは、2つの隣り合う表面構造の中心間の平均距離である。
【0023】
距離H、W、Dは、AFM又は走査型電子顕微鏡SEMで測定することができる。平均値は、例えば、少なくとも50の表面構造について得られる。
【0024】
構造化された材料は、一般に次のものを有する表面構造の配列を含む。
・5nmより大きく、あるいは30nm以上、又は50nm以上の、平均高さH。
・特に光学用途向けに、場合により300nm未満、好ましくは200nm未満の、平均幅W。
・300nm未満、好ましくは200nm未満の、平均間隔D。
【0025】
アスペクト比(H/W)は3より大きくてよい。
【0026】
密度、すなわちD/Wは、高さに依存することができる。
【0027】
好ましくは、幅Wは5D以下、とりわけD未満である。
【0028】
高さHと幅Wの平均二乗偏差は30%未満(例えば高温にて)でよく、あるいは10%以下、又は5%以下でもよい。
【0029】
間隔Dの平均二乗偏差は50%未満(例えば高温で)でよく、あるいは30%未満、又は10%以下でもよい。
【0030】
上記の混成材料は準安定性と称される。準安定性の既知の定義は、材料が動力学的には安定であるが熱力学的には安定でないというものである。定常状態への移行は、ゆっくりと起こるか、あるいは速度がゼロである。物理化学的系をそのポテンシャルエネルギーで表すと、準安定状態は局所的なポテンシャルエネルギーが最小であるものに相当する状態であることを特徴とする。系が熱力学的に平衡な状態に対応する全体的な最小エネルギーの状態に達することができるためには、活性エネルギーEaと称されるエネルギーの量がそれに供給されなくてはならない。
【0031】
所定の混成物については、活性エネルギーは製造方法に依存することがある。
【0032】
構造化は、材料の固有の準安定性により、及びシリカの選択的なエッチングにより誘起される。この準安定性は、移動性種の選択によって制御される。
【0033】
上記の混成材料は、本質的に無機材料からなることができる。酸化物と前記金属との合計は、混成材料の少なくとも70モル%、更には90モル%あるいは95モル%を構成することができる。
【0034】
上記の混成材料は、反応性イオンエッチングのためにほかの「中性」元素を(とりわけ30%未満)、好ましくは10%又は5%未満、含有することができる。
【0035】
本発明による構造化方法は、容易に自動化し、製品に対し実施されるその他の通常の工程と結びつけることができる。この方法はまた、製造過程を単純化する。この方法は、大量の及び/又は大規模の製品製造、とりわけ、電子、建設又は自動車産業向けのガラス製品、特に窓ガラスの、製造に適している。本発明による構造化方法は更に、表面構造の特性寸法をより大きな領域にわたり、許容される公差で、すなわち所望の性能を損なわないもので、ますます小さくするのを可能にする。
【0036】
プラズマが、構造化のための十分なエネルギー(活性化エネルギーを超える)を瞬時に供給することができる。
【0037】
エッチングプロセスは更に、必然的に酸化物を加熱し、それだけで活性化エネルギーを供給するのに十分なこともあり、あるいはそれとは別に、上に見られるように追加の加熱が必要なこともある。
【0038】
表面の到達温度は、混成材料に応じ、また構造化操作の条件に応じて変動する。基準の温度は材料の裏側(エロージョン処理される面の反対側)の温度である。
【0039】
より一般的に言うと、温度も本発明による混成材料の構造化に役割を演じることができる。
【0040】
更に、構造化を開始し又は加減する(構造化の一部変更及び/又は促進する)ために、例えばレリーフ(もしくはバンプ)の高さ又はアスペクト比を増大させるため、あるいは密度を低下させるために、エッチングに先立ち及び/又はエッチング(の全てもしくは一部)の間で、材料を50℃より高い温度、更には70℃以上、好ましくは100℃、更には120℃以上、とりわけ150〜300℃の範囲の温度に加熱する。
【0041】
反応性イオンエッチング中における分離と緩和との間には競合がある。好ましくは所定の制御された温度までの、エッチング中の加熱は、以外にも緩和以上に分離を増進し、従って構造化が促進される。
【0042】
レリーフの構成において温度が上昇すると、種はより大きな凝集体を形成し(レリーフの頂点において)、これらの凝集体は間隔がより広がって、それゆえレリーフの高さが特に増加し、レリーフ間の間隔も増加する。
【0043】
加熱/エネルギー供給操作の温度は、更に制限されることがある(エネルギー費及び/又は関係する材料の耐性能力、例えば混成材料の被膜を支持する有機基材の耐熱能力の理由で)。
【0044】
当然ながら、加熱とプラズマ出力を組み合わせて、広範囲の幅/高さ/密度の構造を得てもよい。
【0045】
それが効果的であるため、エッチングの時間は15分以下でよく、15分以下でもよい。
【0046】
エッチングは減圧下で行われる。例えば薄膜被着反応器で。
【0047】
本発明により構造化される前に、表面は必ずしも平滑であるとは限らず、既に構造化されていてもよい。
【0048】
構造化の可能な混成材料において(あるいは構造化された表面の下にある厚さにおいて)、前記種は任意選択的にイオン化されてもよく(従って酸化される)、あるいはそうされなくてもよく、それを希釈しても(材料中において孤立化させる)及び/又は凝集体の形にしてもよく、その凝集体は好ましくは(実質的に)球状である。
【0049】
これは、構造化可能である混成材料を製造するのに用いられる方法に依存し、また特にそれを取り込む方法に依存する。
【0050】
前記種は、下記で説明するように、イオン注入により(イオン衝撃により)、イオン交換により、あるいは粒子の取り込み又はその場での成長(金属塩などからの)により、取り込むことができる。
【0051】
前記種は、好ましくは、次に示す種、特に金属、のうちの少なくとも1つから選定される。
・銀Ag。特に光学機能(UVと可視光との境界で誘起される吸収)及び/又は触媒及び/又は抗菌機能向け。
・銅Cu。特に光学機能向け。
・金Au。生物分子のグラフト向け、センサー向け、(非線形の)光学用途向け、及び/又は抗菌機能向け。
・コバルトCo。磁性機能向け。
・鉄Fe。磁性及び/又は触媒機能向け。
・白金Pt。触媒機能向け。
・ニッケルNi。磁性及び/又は触媒機能向け。
・スズSn。電気機能向け。
・更にはガリウムGa、アンチモンSb又はインジウムIn。表示又は放送機能向け。
【0052】
鉛PbとモリブデンMoは、環境上の理由から使用しないのが好ましい。
【0053】
いくつかの金属は所定の機能性を提供する凝集体を形成することができ、例えば磁気メモリー用のCo/Ptが挙げられる。
【0054】
その他の遷移金属、例えばTi、Nb、Cr、Cd、Zr(特にシリカ中の)、Mnなど、を用いることも考えられる。
【0055】
より効果的な構造化のためには、種が凝集するのを可能にするように、種の有効電荷はゼロ又は0.5未満(EELSにより与えられる)である。
【0056】
特にシリカについては、アルミニウムAlとホウ素Bは使用しないのが好ましく、その理由はそれらはシリカの格子中に組み込まれて容易に凝集しないからである。
【0057】
より詳しく言えば、エッチング速度が過度に大きいアルカリ又はアルカリ土類金属よりも、遷移金属と、そして一部のメタロイドの方が好ましい。例えば、ガラスの場合、LiとNaはスパッタリングされ、そして凝集しない(十分速く)ので適していない、と言うことができる。
【0058】
酸化物は更に、可視領域で、また目的とする用途に応じて近赤外又は遠赤外に至る領域においても、及び近紫外に至る領域においても、透明(十分に)であることができる。
【0059】
混成酸化物を使用してもよく、移動性の種は凝集しない(標準の温度及び圧力条件下で)が構造体を形成するための反応性イオンエッチングの作用下でなおも十分移動性である。
【0060】
Si酸化物に加えられる酸化物は好ましくは、次の酸化物、すなわち、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、とりわけ混合アルミニウム/ケイ素酸化物、混合ジルコニウム/ケイ素酸化物、混合チタン/ケイ素酸化物、のうちの少なくとも1つから選択され、好ましくはガラスである。
【0061】
本発明による混成材料がいくつかある。
その混成材料は、まず、イオン交換ガラス、特にソーダ石灰ガラス、であることができ、好ましくは次の種、すなわち銀、銅、のうちの少なくとも一方でイオン交換されたものでよく、これらの種は交換中にイオン化される。
【0062】
交換の深さは一般に約1ミクロンであるが、数十ミクロンの深さになってもよい。従って、交換された金属は材料のうちのエロージョンされた部分(<1μm)にほとんど均一に分布する。
【0063】
イオン交換は、ガラス中の一部のイオン、特に例えばアルカリ金属イオンなどが、異なる特性を有するほかのイオンと交換できることである。
【0064】
イオン交換は、ガラス中の特定のイオンが、バリウム、セシウム、タリウム、そして好ましくは銀又は銅から選ばれる、組み合わせでのあるいはそうでない、イオンと交換されるものでよい。
【0065】
銀はマトリクス中において非常に移動性であり、凝集する傾向が強い。
【0066】
混成材料中における交換されたイオンの含有量は、構造化操作の前と後でマイクロプローブを使って測定することができる。
【0067】
イオン交換は既知の技術により行われる。処理しようとするガラス基材の表面を、交換イオンの溶融塩、例えば硝酸銀(AgNO3)の、200℃と550℃の間の温度の浴に、所望の交換深さに対応する十分な時間入れる。
【0068】
浴と接触するガラスは付随して、ガラスの導電率とその厚さに主に依存し、好ましくは10Vと100Vの間の様々な、電場にさらされるのが有利である。この場合、線形プロファイルの屈折率勾配を得るよう、電極を備えたガラスの面に垂直な方向に交換されたイオンを拡散させるために、ガラスをその後、有利には交換の温度とガラスのガラス転移温度との間の温度で、別の熱処理にかけることができる。
【0069】
選定されるガラスは、特別に透明な(extra−clear)ガラスでよい。特別に透明なガラスの組成については、国際公開第04/025334号パンフレットを参照することができる。特に、Fe III又はFe23を0.05%未満含有しているソーダ−石灰−シリカガラスを選定することができる。例えば、Saint−Gobain社からのDiamantガラス、Saint−Gobain社からのAlbarinoガラス(表面構造付きの又は平滑な)、Pilkington社からのOptiwhiteガラス、又はSchott社からのB270ガラスを選定することができる。
【0070】
このように、イオン交換は大きな面積の工業的に再現可能な処理を容易にすることができる。それは、被膜の被着あるいはエッチングなどの中間の及び/又は追加の工程を必要とすることなく直接且つ簡単にガラスを加工するのを可能にする。
【0071】
例えば、銀が用いられる。銀イオンAg+がガラス中に拡散し、ナトリウムイオンNa+と置き換わる深さは、基材が浴中に置かれる時間の関数である。
【0072】
AgNO3浴とは異なるものとして、金属銀の被膜を被着させてもよい。この被膜は、マグネトロンスパッタリング、CVD、インクジェット印刷、又はスクリーン印刷で被着される。更に、電極を形成する被膜を反対面に被着させる。このときは、電場を銀被膜と金属被膜との間に印加する。交換後、電極被膜は研磨又は化学エッチングにより除去される。
【0073】
その結果、金属被膜又は浴と電極との間に印加される電場がイオン交換を引き起こす。イオン交換は、250℃と350℃の間の温度で行われる。交換の深さは、電場の強さ、基材をこの電場に暴露する時間、及び交換を行う温度の関数である。電場の強さは10Vと100Vの間にある。
【0074】
例えば、そのようなイオン交換は、好ましくは特別に透明な、ガラスの2mm厚の板について、300℃の温度及び10V/mmの電場の下で、10時間行うことができる。
【0075】
Saint−Gobain社からのPlaniluxガラスなどの通常のソーダ石灰ガラスを使用して、ガラスとのイオン交換後に銀のナノ粒子を得てもよい。銀粒子の入り込む深さと大きさは、実験条件を変えることにより変更することができ、すなわち、交換の時間と温度を増加させるとより大きな粒子がより深くへ進み、その結果より際立った黄色が得られる。交換の際に電場を加えると、粒子を大きくすることなしに入り込む深さを増加するのが可能になる。こうして、エッチング後の黄ばんだ外観、又は入り込む深さを、黄ばみがそれほど目立たず従ってエロージョン後に光学的に許容可能であるならばエロージョンの深さよりもわずかに数ミクロンだけ大きくすることができるように、入り込みの深さをエッチングの深さに対応して調整することができる。
【0076】
代表的な銅交換ガラスとして、Don et al.による発表である“ultrafast dynamics of copper nanoparticles embedded in sodalime silicate glass fabricated by ion exchange”, Thin Solid Films 517 (2009) pp6046−6049を挙げることができる。
【0077】
交換し構造化したガラスは、一体式のユニット、積層式のユニット、又は2つの構成材のユニットであることができる。構造化操作を行った後に、交換し構造化したガラスをいろいろなガラス加工操作、すなわち強化、成形、積層などに付してもよい。
【0078】
混成材料はバルク材でもよく、あるいは基材全体に、その基材が厚いものであれ薄いものであれ、平坦であれ湾曲したものであれ、不透明であれ透明であれ、無機物であれ有機物であれ、付加された被膜でもよい。構造化可能な混成材料で作られた被膜を、とりわけガラス基材に、接着剤などで結合させてもよく、好ましくは被着させてもよい。この被膜は基材、特にガラス基材、の上に存在する(薄い)被膜の多層のうちの一部でもよい。
【0079】
構造化可能な混成材料で作られたこの被膜は、好ましくは、透明であることができ、ガラスの屈折率(一般に約1.5)よりも例えば大きい屈折率を有することができる。
【0080】
構造化可能な混成材料で作られた被膜は、任意の既知の被着技術によって、基材上に直接又は1以上の下層の(例えば薄い)機能性被膜の上に被着させてもよい。
【0081】
特に、それは、(薄い)機能性被膜の上に、例えば、透明な導電性酸化物(TCO)、例としてITO(酸化スズインジウム)、ZnO、又はスズ、インジウムもしくは亜鉛を基礎材料とする混合酸化物もしくは簡単な酸化物、あるいは光触媒被膜(例えばアナタース型のTiO2)などの、機能性酸化物被膜の上に、被着させてもよい。
【0082】
この混成材料被膜は、いろいろな熱処理(徐冷又は強化など)の際にガラスから被膜中へアルカリ金属イオンが移動するのを防ぐために、アルカリ金属バリヤ膜(一般にSi34又はSiO2で製作される)の上に有利に被着させることができる。
【0083】
基材は、必ずしも無機基材であるとは限らず、ガラス基材では手に入れることができない柔軟性及び成形特性を得ることを目的として、プラスチック又は混成材料で製作してもよい。この場合、300℃より高い温度での、ほとんどの場合は200℃より高い温度での熱処理が可能ではないので、使用する系は活性エネルギーが低くなければならない。
【0084】
混成材料製の前記被膜を被着させる工程を設けることが可能であり、この工程は構造化生産ラインで行われる。
【0085】
混成材料は、バルク状のゾル−ゲル又はゾル−ゲル被膜であることができ、特に透明な(無機又は有機の)ガラス基材上の被膜であることができる。ゾル−ゲルには、高温の熱処理(例えば(曲げ)強化操作)及び紫外線への暴露にも耐えるという利点がある。
【0086】
これは特に、ゾル−ゲル法により得られ、任意選択的に沈降(ナノ)粒子の形をした前記金属又はメタロイド、特にAg、Cu又はAu、を取り入れている、Si酸化物でよい。
【0087】
ナノ粒子は、バルク材又は被膜中に均一に分布するのが好ましい。好ましくは、粒子(形成され又は挿入された、個別の又は一団になった、沈降した)の最大寸法は、25nmより小さく、より好ましくは15nmより小さくて、粒子のアスペクト比は3未満であって、粒子は球形であるのが好ましい。
【0088】
ゾル−ゲル中のナノ粒子の含有量は、マイクロプローブ、XPS又はEDXで測定することができる。
【0089】
シリカは、透明な酸化物であるという明らかな利点を有し、酸化チタンとジルコニアは屈折率が高いという明らかな利点を有する。一例として、600nmにおいて、シリカ被膜の屈折率は一般に約1.45であり、酸化チタン被膜の屈折率は約2、ジルコニア被膜の屈折率は約2.2である。
【0090】
被膜はとりわけシリカを基にすることができ、特にその理由はそれがガラス基材によく付着しそれとの相性がよいからである。
【0091】
シリカ被膜を形成する材料のゾル前駆物質は、シラン又はケイ酸塩前駆物質でよい。
【0092】
(特に)無機の被膜については、テトラエトキシシラン(TEOS)又はケイ酸カリウム、ナトリウムもしくはリチウムを基にした被膜を選ぶことができ、そして例えばフローコーティングにより被着させることができる。
【0093】
例えばシリカ被膜は、CO2雰囲気への暴露によって硬質被膜に変えられるケイ酸ナトリウムの水溶液を基にすることができる。
【0094】
ゾル−ゲル法を利用したバルクの混成材料の製造は、例えば次の工程を含む。
・前記Si酸化物の構成材料の前駆物質の加水分解、特に、溶媒中での、とりわけ水性及び/又はアルコール性溶媒中での、ハロゲン化物又はアルコキシドなどの加水分解性化合物の加水分解、その後のゾルの熟成。
・前記金属の粒子をその場で成長させることを目的とする、溶媒中の、とりわけ水性及び/又はアルコール性溶媒中の前記金属の粒子のコロイド懸濁液の、及び/又は前記金属の塩の、前記ゾル中への混入。この添加は、できる限り前記加水分解の開始時、又は前記ゾルが反応速度を制限するのに十分熟成後に行う。
・粘度を上昇させそして固体ゲルを得るようにする、前記前駆物質の縮合と前記溶媒の任意選択的な除去。
【0095】
ゾル−ゲル法を利用した混成材料の被膜の製造は、例えば次の工程を含む。
・前記Si酸化物の構成材料の前駆物質の加水分解、特に、溶媒中での、とりわけ水性及び/又はアルコール性溶媒中での、ハロゲン化物又はアルコキシドなどの加水分解性化合物の加水分解、その後のゾルの熟成。
・前記金属の粒子をその場で成長させることを目的とする、溶媒中の、とりわけ水性及び/又はアルコール性溶媒中の前記金属の粒子のコロイド懸濁液の、及び/又は前記金属の塩の、前記ゾル中への混入。この添加は、できる限り前記加水分解の開始時、又は前記ゾルが反応速度を制限するのに十分熟成後に行う。
・例えばスピンコーティング又はフローコーティングによる、被膜の被着と、溶媒の蒸散。
・前記前駆物質を縮合させできるだけ前記溶媒を除去するようにする、熱処理の実施。
【0096】
コロイド懸濁液の選択は、挿入される粒子の大きさを必要に応じて調整するのを可能にする。懸濁液をゾル中に分散させるときは、それとゾルとの適合性を監視して粒子の凝集を防ぐ。前記金属の塩を添加するのははるかに容易であり、文献にしばしば報告されている。
【0097】
溶媒としては、金属塩が適切に溶解できるように、水又は低沸点(一般に100℃未満)の低モル質量のアルコールが好ましい。
【0098】
酸化物/金属混成物中に存在するナノ粒子の数は、合成条件を管理することにより容易に制御することができ、ナノ粒子の数はゾル中に導入される金属の量とともに増加する。
【0099】
ゾル−ゲル法を利用する混成金属/金属酸化物材料の生成は、広く文献に記載されている。例えば、被膜又はバルク材料の形をした広範囲の金属/酸化物の組み合わせが合成されてきた。金属粒子は、対応する金属の塩を添加し、その後還元処理(ほとんどの場合熱処理、さもなければ還元剤、すなわちH2、ヒドラジンなどを使用する処理)を適用して、マトリクス中においてその場で作り出すのが好ましい。
【0100】
“Recent trends on nanocomposites based on Cu, Ag, and Au cluters: A closer look”と題された発表(L. Armelao et al., Coordination Chemistry Reviews, 2006, 250, p1294)に、最大10wt%までの銀と銅の塩をゾル−ゲル法で得られたシリカ被膜中に導入し、そして熱処理(500℃より高い温度での)後に大きさが数nmの金属Agの粒子又はCu/CuOx粒子が管理されたやり方で得られたことが報告されている。著者は、熱処理が得られた粒子の大きさと酸化状態とにとって重要であることを実証しており、シリカマトリクス中に他の金属又は酸化物の粒子が得られたことも報告している。ほとんどの場合、多孔質のマトリクスがナノ粒子のためのホストとして用いられる。しかし、これらの研究に基づき、人為的な多孔性のない材料を得ることが可能である。例えば、“Insight into the properties of Fe oxide present in high concentrations on mesoporous silica” (Gervasini et al., Journal of Catalysis 2009, 262, p224)という発表では、最大で17wt%のFe23触媒粒子を含有するメソ多孔質シリカ(すなわち3〜10nmの特性細孔径を有する)が得られた。
【0101】
“Optical properties of sol−gel fabricated Ni/SiO2 glass nanocomposite”と題された発表(Yeshchenko O.A. et al., Journal of Physics and Chemistry of Solids, 2009, 69, p1651)では、シリカマトリクス中に含ませた硝酸ニッケルを熱処理することにより光学用途向けのニッケルナノ粒子が得られたことが報告された。最後に、“Synthesis and characterization of tin oxide nanoparticles dispersed in monolithic mesoporous silica”と題された発表(Y.S. Feng et al., Solid State Science, 2003, 5, p729)では、600℃での熱処理後に4〜6nmのSnO2粒子がメソ多孔質シリカ中に20%で得られた。
【0102】
その上、このゾル−ゲル法は追加の機能性を被膜に与えるのを可能にする。当該方法で構造化された表面は,その後機能化して新たな湿潤特性を得ることができる。特に、国際公開第00/64829号パンフレットには、式CF3−(CF2m−(CH2nSi(X)3-pp(式中、m=0〜15、n=1〜5、p=0、1又は2、そしてXは加水分解性基、Rはアルキル基である)を有する少なくとも1種のフルオロアルコキシシランと、好ましくはアルコールと約10%の水とからなる、水性溶媒の系と、酸及び/又はブレンステッド塩基から選ばれる少なくとも1種の触媒とを含む疎水性且つ疎油性のコーティングを作ることが記載されている。この合成物は、シリカに基づくプライマー層を任意選択的に被着後に、ガラス製品又は機能性金属酸化物被膜、特に表面構造化した製品、の広い面積(1m2より大きい)に被着させることができる。この方法と表面構造模様との組み合わせは、超疎水特性(ロータス効果タイプの)をもたらす。
【0103】
有機被膜を被着させるための好ましい方法は、とりわけ“Thermowetting structuring of the organic−inorganic hybrid materials”と題された論文(W−S. Kim, K−S Kim, Y−C Kim, B−S Bae, 2005, thin solid films, 476 (1), pp181−184)に記載されたように、ディップコーティング又はスプレイであり、この後にドクタリング又はブラシがけにより、あるいは加熱により、液滴を広げることが続く。選択される方法はスピンコーティングでもよい。
【0104】
当然ながら、少なくとも400℃での徐冷が好ましく、特に、酸化物を十分に濃縮し,活性エネルギーを低下させ,そして前記金属の凝集体を形成するためには、500℃より高い温度で、少なくとも30分間、更には1時間の徐冷が好ましく、十分な反応速度が得られるようにし且つガラス基材を損傷しないようにするには、800℃未満、とりわけ最高で750℃までの温度での徐冷が好ましい。
【0105】
この徐冷は、有利には、ガラスを強化する工程と組み合わせることができ、この操作はガラスを高温(一般に550℃と750℃の間)に加熱しその後それを急速に冷却するというものである。
【0106】
その他の構造化可能な混成材料の被膜が存在する。
【0107】
前記混成材料は、基材への、とりわけ透明なガラス基材への、物理気相成長、一般には蒸着又はスパッタリング(特にマグネトロンスパッタリング)によって被着させた、とりわけ、種(先に示したリストからの)、特に銅、銀又は金と、シリカ酸化物とを、酸素雰囲気中で当該酸化物の元素で製作したターゲットを使用して、あるいはケイ酸塩で製作したターゲットを使用して、共同被着させることによって被着させた被膜でよい。
【0108】
100nmの厚さの又はミクロンサイズの被膜をより素速く製造するためには、スパッタリングの方が蒸着よりも一般に好ましく、これはその被着速度がはるかに大きいからである。例えば、蒸着の場合の被着速度が一般に約1A/minで、最大の速度が1A/sであるとすれば、マグネトロンスパッタリングの被着速度は一般に1A/sと数十nm/sの間にある。
【0109】
例えば、混合SiO2/銅被膜を被着するためには、酸素を導入しながらケイ素ターゲットと銅ターゲットを使用する共同被着を利用するか、あるいは銅ターゲットとシリカターゲットを直接利用することが可能である。
【0110】
基材はガラス基材でよい。本発明に関して、「ガラス基材」という表現は無機ガラス(ソーダ−石灰−シリカ、ホウケイ酸塩、ガラス−セラミックなど)の基材を意味するか、あるいは有機ガラス(例えば熱可塑性ポリマー、例としてポリウレタン又はポリカーボネートなど)の基材を意味すると理解される。
【0111】
本発明に関して、基材は、標準の温度及び圧力条件下で、無機の構成要素については少なくとも60GPa、有機の構成要素については少なくとも4GPaのモジュラスを有する場合に、「硬質」と称される。
【0112】
ガラス基材は好ましくは透明であって、特に少なくとも70〜75%の全体としての光透過率を有する。
【0113】
ガラス基材の組成に関しては、用途にとって有効なスペクトル部分、一般には380〜1200nmの範囲のスペクトルにおいて、0.01mm-1未満の線吸収のあるガラスを使用するのが好ましい。
【0114】
更に好ましくは、特別に透明なガラス、すなわち380〜1200nmの範囲の波長スペクトルにおいて0.008mm-1未満の線吸収を有するガラスが用いられる。例えば、Saint−Gobain Glass社により商品名Diamantで市販されているガラスを選択することができる。
【0115】
基材は、一体式の基材、積層式の基材、又は2つの構成材の基材であることができる。構造化操作を行った後に、基材をいろいろなガラス加工操作、すなわち強化、成形、積層などに付してもよい。
【0116】
ガラス基材は薄くてもよく、例えば、無機ガラスについては厚さが約0.1mm、有機ガラスについては厚さが1mmでよく、あるいはもっと厚くてもよく、例えば、数mm以下、更には1cm以下の厚さでもよい。
【0117】
導電性の半導体及び/又は疎水性被膜、特に酸化物に基づく被膜を被着させる工程を、最初の構造化操作の後に行うことができる。
【0118】
この被着は連続して行うのが好ましい。
【0119】
被膜は例えば、銀又はアルミニウムで作られた金属被膜である。
【0120】
有利には、構造化した表面に、例えば誘電性であるかそれほど導電性でない、表面構造体に又はそれらの間に、導電性被膜(特に金属酸化物に基づく被膜)を選択的に被着させるための工程を設けてもよい。
【0121】
例えば金属の、特に銀又はニッケルの、被膜は、電着により被着させることができる。後者の場合に、電着のための電極を形成するために、構造化した被膜は有利には、導電性(半導体)被膜でもよく、あるいは金属粒子をドープしたゾル−ゲルタイプの誘電性被膜、さらには導電性の最上層シード層を有する多層であってもよい。
【0122】
上記の電解質混合物の化学ポテンシャルは、大きな曲率のゾーンでの被着を促進するために適合させられる。
【0123】
被膜を構造化後に、表面構造の配列のガラス基材及び/又は下にある層への、特にエッチングでの、転写を想定してもよい。
【0124】
構造化した被膜は犠牲被膜であってもよく、そしてそれは部分的に又は完全に除去することができる。
【0125】
一つの実施形態において、構造化した表面は、おのおのが別個の表面構造(それらの形状、それらの特性寸法の1つ、特にそれらの間隔が異なる)及び/又は配向が別々の表面構造を有する、複数の構造化領域に分けてもよい。
【0126】
材料を製造する際、移動性種の含有量及び/又は移動性種の数は、一つの領域と別のものとで違っても差し支えない。
【0127】
バルクの又は薄い皮膜の酸化物の特定の領域を、移動性種が取り込まれないように、あるいは取り込みの条件を局所的に変更するために、マスクしてもよい。
【0128】
当然ながら、構造化した被膜も下にある層のためあるいは隣り合った基材のためのマスクとして働くことができる。
【0129】
本発明はまた、構造化した表面を有する、すなわち高さがサブミクロンサイズであり少なくとも1つの(サブ)ミクロンサイズの特性横方向寸法を持つ凹凸又は表面構造の配列を有する、製品にも関するものであり、この固体混成材料は以下のものを含む。
・単純なSi酸化物又は混合Si酸化物。当該材料中の当該Si酸化物のモル百分率は少なくとも40%であり、特に40%と99%の間である。
・前記酸化物の1種以上の元素とは性質を異にし、特に金属である、少なくとも1つの種。
・当該材料中における当該1以上の種のモル百分率は1モル%から最大50モル%までの範囲であるとともに、前記Si酸化物の百分率よりは小さいものにとどまり、当該種は50nmより小さい最大特性寸法を有し、上述の方法を使って得ることができる。
【0130】
構造化した製品は、エレクトロニクス、建築、又は自動車用途向けのものでよく、あるいはマイクロ流体用途向けのものでもよい。
【0131】
様々な製品を挙げることができ、とりわけ、
・改変した化学的性質(「超」疎水性、親水性)を有するグレージングユニット、
・特に照明装置又はフラットLCDディスプレイにバックライトを当てるための装置のため、とりわけ発光デバイスのための光抽出手段のため、例えば表示スクリーン、照明又は信号送信用途向けの、光学製品のための、光学的特性を有するグレージングユニット、
・建築用のグレージングユニット、とりわけ日射及び/又は熱を制御するグレージングユニット、
を挙げることができる。
【0132】
構造化に関連する機能と特性は、特性寸法H、W及びDに依存する。
【0133】
ナノ構造化した製品の光学的機能性の範囲は広い。製品は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有することができる。
・表面構造はレリーフであり、特に、長さLと呼ばれ、サブミクロンサイズである平均の最大横方向寸法を有し、且つ特に、斜めの腐食角について0.3Lより大きく、直角の腐食角について0.8Lより大きい幅Wを有し、材料が当該レリーフのピークにおいて且つ表面厚さと呼ばれる10nmより薄い厚さを通して移動性種を特に多く含んでいるレリーフである。
・それは銀又は銅とイオン交換された、イオン交換ガラスであり、あるいはそれは上記の種を、特に銀又は銅及び/又は金を、基材上に、とりわけ透明基材上に含む、バルクのゾル−ゲル又はゾル−ゲル被膜である。
・表面構造は高さHと幅W及び隣り合う表面構造間の間隔Dにより規定される。
・間隔Dは、マイクロ流体用途又は湿潤特性向けには5μmより小さくなるよう、赤外線用途向けには2μmより小さくなるよう、そして赤外領域にも及ぶ光学用途(光電池又は光触媒などのための反射防止、光抽出及び集光)向けには500nmより小さく、好ましくは300nmより小さく、より好ましくは200nmより小さくなるように選ばれる。
・高さHは好ましくは、光学(可視及び赤外)用途向けには20nmより大きく、より好ましくは50nmより大きく、更に一層好ましくは100nmより大きくなるよう、そして湿潤特性(超疎水性又は超親水性)向けには70nmより大きく、好ましくは150nmより大きくなるように選ばれる。
・幅Wは、D/10より大きく、より好ましくはD/5より大きく、更に一層好ましくはD/2より大きくなるように選ばれる。
・表面構造は高さHと幅W及び隣り合う表面構造間の間隔Dにより規定される。
・間隔Dは、マイクロ流体用途向け又は湿潤特性用には5μmより小さくなるよう、赤外用途向けには2μmより小さくなるように選ばれる。
・高さHは好ましくは、湿潤特性(超疎水性又は超親水性)のためには70nmより大きく、より好ましくは150nmより大きくなるように選ばれる。
・幅Wは、D/10より大きく、より好ましくはD/5より大きく、更に一層好ましくはD/2より大きくなるように選ばれる。
【0134】
エッチングされた領域は、真空被着される薄い被膜の成長のための基材を構成してもよく、表面構造は高さHと幅W及び隣り合う表面構造間の間隔Dにより規定される。
・間隔Dは、200nmより小さくなるよう、好ましくは200nmと100nmの間になるよう、より好ましくは50nmより小さくなるように選ばれる。
・高さHは好ましくは、20nmより大きく、より好ましくは50nmより大きくなるように選ばれる。
・幅Wは、D/10より大きく、好ましくはD/5より大きく、より好ましくはD/2より大きくなるように選ばれる。
【0135】
レリーフは特に、不連続の円錐状であることができる。
【0136】
レリーフの表面構造について言うと、レリーフのピークは、表面厚さと呼ばれる、一般には2〜10nmの、厚さを通して前記金属が多くされている。
【0137】
くぼんだ表面構造の場合は、くぼみの底で、一般に2〜10nmの厚さを通して前記金属が多くされている。
【0138】
金属が富化された領域の存在することは、既知の顕微鏡による検査手法、すなわちTEM、STEMにより、及び/又は既知の顕微鏡による検査手法もしくは分光的手法、すなわちSTEM、EELS、EDXを利用する化学マッピングにより、確認することができる。
【0139】
前記材料の2つの主要な領域を、同様の又は別個の表面構造で、同時に又は相次いで、構造化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】SF6プラズマ下で5分間エロージョン後の銀イオン交換したPlaniluxガラス表面のAFM顕微鏡写真である。
【図2】45°の角度で撮影した、図1と同じ試料のSEM顕微鏡写真
【図3】RIE処理後の銀をドープしたシリカゾル−ゲル被膜の、45°での倍率を異にする2つのSEM顕微鏡写真である。
【図4】45°で撮影した表面のSEM画像である。
【実施例】
【0141】
〔第1のイオン交換した構造化ガラスの例〕
第1の厚さ2mmの銀イオン交換した窓ガラスを、Saint−Gobain社からのPlanilux(商標)ソーダ石灰フロートガラスとのイオン交換後に得た。
【0142】
イオン交換は、ガラス中のナトリウムイオンを硝酸銀の浴からの銀と交換するものであった。
【0143】
第1の工程で、ガラスを300℃の純粋な硝酸銀中に2時間浸漬した。
得られたガラスは、表面から数ミクロンの深さまでの銀濃度プロファイルを有していた。
【0144】
ガラスはわずかに黄色であることが観察された。この色は銀ナノ粒子の特徴である。ガラス中に入り込んだ銀の一部は還元され、交換反応中に凝集して数ナノメートルの大きさのナノ粒子になっていた。
【0145】
その結果、銀は約4ミクロンの深さまで入り込んでいた。シリカの割合は一定のままであり、表面にほとんど線形の銀濃度プロファイルが認められた。銀と交換されたのは実際にナトリウムであって、カルシウム、カリウム又はガラス中の他の何らかのカチオンではなかった。従って恐らくは、数ミクロンの深さまで粒子の形でもって銀が存在していた。
表面は約15モル%のAgを含有していた。
【0146】
0.1mbarの圧力の真空反応器において、90sccmのSF6ガス流量にて、反応性イオンエッチング行った。この反応性イオンエッチングは、200Wの高周波出力を使用して試料の表面近くに形成したプラズマにより行った。表面を5分間エッチングした。
【0147】
図1は、SF6プラズマ下で5分間エロージョン後の銀イオン交換したPlaniluxガラス表面のAFM顕微鏡写真を示している。
【0148】
銀ガラスの表面のAFM顕微鏡写真から、バンプからなる表面構造がエロージョン後に形成されたことが示される。緻密(ほとんど一緒になっていて、WがDに近い)で、幅が60nm、高さが40nmのバンプが、わずか5分のエッチング後に現れた。
【0149】
非常に選択性のSF6プラズマは、シリカを優先的に浸食する。残りの銀は凝集し、表面を保護する。このガラスは銀のみならず、Al23、CaO、MgO及びNa2Oも含むことに注目すべきである。これらの化合物もシリカほど容易ではないが浸食されて、それにより不均一な表面をもたらす。
【0150】
図2は、45°の角度で撮影した、図1と同じ試料のSEM顕微鏡写真を示している。表面は密集したバンプで形成されており、特に光学的外観に不利な影響を与えない、何ミクロンか離ればなれになった高さ約200nmの大きな隆起の存在していることが分かる。ガラスがケイ素と銅だけからなるのでないことが、この表面の不均一性の原因である可能性が高い。
【0151】
このような顕微鏡写真を、試料の表面の多数の場所で撮影した。その結果、AFMで観察した表面構造がSF6ビームにさらされた領域全体にわたって実際に存在していることを確認することが可能であった。従って、構造体はエッジ効果と無縁である。
【0152】
要約すれば、銀とイオン交換したPlanilux(商標)ガラスをエロージョン処理した。エロージョンする間に、領域の全体にわたってバンプが形成された。得られたバンプの直径Wは60nm、平均の高さHは40nmであった。エロージョン後に、試料の黄ばみはもはやほとんど目に見えなかった。
【0153】
エロージョンは無方向性であった。表面に垂直な電場を印加してRIEを指向性にすることによって、より大きくてより均一な構造体を得ることができる。マスキング効果が増加して、より大きな構造体を得ることができ、あるいは所定の構造体をより素速く得ることができる。
【0154】
〔構造化したシリカ/銀ゾル−ゲル被膜の例〕
第2の混成材料をゾル−ゲル法を使って調製し、エロージョン処理した。
【0155】
ゾル−ゲル法は、例えばシリカなどの無機ポリマーを、有機の前駆物質から室温で合成するのを可能にする。第1の工程では、この前駆物質を、加水分解するよう水と混合した。得られた溶液(ゾルと呼ばれる)を、ガラス又はケイ素基材などの様々な基材上に被着させることができる。被着中に、加水分解した前駆物質が縮合して無機ポリマーマトリクスを形成するまで溶液の溶媒が蒸発する。得られた酸化物ゲルは、ポリマーが完全に縮合するまで、成形して特に薄い被膜にすることができる。
【0156】
被着条件(回転速度)が、厚さの制御を可能にする。従って、被膜の厚さを広い範囲(約10nmから数ミクロンまで)にわたりいろいろにすることができる。加水分解中には、その他の化合物、例えば染料、ドーパントや、被膜に多孔性をもたらす界面活性剤や、合成が室温で行われるため合成によって変更されることのない有機化合物など、を加えることができる。
【0157】
厚さが数百ナノメートルで銀を10モル%含有しているシリカ被膜を、ゾル−ゲル法で合成した。
【0158】
シリカ/銀のゾルを調製するために、pHが2のHNO3(18g)の溶液中にTEOSが10wt%(2g、9.6ミリモル)のゾルを調製し、攪拌しながら3時間放置した。これらのpH条件により、縮合をゆっくりにしながら高い加水分解速度が可能になった。反応中に生成したエタノールを減圧下で蒸発させた後、AgNO3溶液をゾルに加えて(1mL、1モル/L)、nAg=[Ag]/([Ag]+[Si])がnAg>10%になるようにした。
【0159】
この銀含有ゾル−ゲル被膜の厚さを楕円偏光法で測定すると、250±20nmであった。
【0160】
被着及び被着後の処理: 銀含有ゾルを基材上にスピンコーティングにより被着させた(1000rpm、100rpm/s、2時間)。
【0161】
得られた試料を、被膜から残留溶媒を除去しシリカマトリクスの縮合を開始させるよう、200℃で一晩焼成した。縮合を終了させ銀の凝集体を形成させるよう、銀含有試料に高温Tanneal(700℃)での熱処理を施した。それらの熱処理で、銀の酸化状態を決定した。金属銀を得るために、このアニールの温度は500℃と750℃の間である必要があった。
【0162】
上記の物質を含有するシリカ被膜を、エッチングの作用下で構造化した。数十ナノメートルの大きさのバンプが形成されて、材料の表面全体にわたって分布していた。
【0163】
700℃でアニールした被膜は金属銀の凝集体を含有していることが分かった。従って、これらの穴は、恐らくはこれらのナノ粒子によってもたらされた保護の結果である。とは言うものの、銀含有ゾル−ゲル被膜中に普通に観測される粒子は、観測された穴のものより小さい特性寸法を有する。従って、銀が拡散し分離しているに違いない。
【0164】
図3は、RIE処理後の銀をドープしたシリカゾル−ゲル被膜の、45°での倍率を異にする2つのSEM顕微鏡写真を示している。
【0165】
バンプは、銀イオン交換ガラスのエロージョン後に得られたものと同様の大きさである。それにひきかえ、表面ははるかに均一であり、これはシリカと銀のみが存在しているため(すなわち混成酸化物の純度のため)である。従って、ゾル−ゲル法を利用した試料の製造は、RIEにより透明な領域を構造化する特に有望な方法であるように見える。
【0166】
〔構造化したシリカ/銅ゾル−ゲル被膜の例〕
銀の例と同じように、10モル%の銅を含有しているシリカのゾル−ゲル被膜を製造した。
【0167】
シリカ/銅のゾルを調製するために、エタノール(17g)中にTEOSが15wt%(3g、9.6ミリモル)のゾルを調製した。その後、酢酸銅(320mg、1.6×10-3モル)及び、TEOSとこの酢酸塩を加水分解するのに必要な化学量論量(1g、57.7×10-3モル)の水を加えた。pHを3に調製してから、溶液を還流下に70℃で2時間放置した。ゾルにおけるモル比はnCu=[Cu]/([Cu]+[Si])=10%であった。
【0168】
構造を、室温で5分のエロージョン後に調べた。
図4は、45°で撮影した表面のSEM画像を示している。非常にくっきりしたレリーフができていることが認められた。密集していて(但し形態と大きさは不揃いの)高さHと幅Wが数百ナノメートルのレリーフが形成された。表面はガラスの場合よりも更に均一であったが、これは表面がシリカと銅のみからなっていたからである。構造体が不揃いなのは、無方向性のエロージョンを使用したことによる可能性が高い。
【0169】
シリカ中に取り込まれた銅は、高さが100nmより高いバンプを有する完ぺきに構造化した表面を、エロージョン後に迅速に得るのを可能にする。エロージョンを指向性にすると、形状がより揃ってより高アスペクト比の、より均一なバンプを得るのが可能であろう。
【0170】
3つの混成金属/シリカ材料を作った。2つの方法、すなわちゾル−ゲル法とイオン交換を使って、これらの系を合成した。どちらの場合も、バンプのできたことが観察された。
【0171】
【表1】

【0172】
ゾル−ゲル法は、ガラスとのイオン交換とは対照的に、寄生隆起ができるのを阻止することを可能にする。不揃いは、エロージョンを指向性にすることにより改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を構造化するための方法、すなわち高さHがサブミクロンサイズであり、そしてミクロンサイズ又はサブミクロンサイズであって幅と呼ばれる少なくとも1つの横方向の特性寸法Wを有する凹凸又は表面構造(2)の少なくとも1つの配列を、材料(1)、特にガラスの、所定の領域に、反応性イオンエッチングによって形成するための方法であって、以下の工程、すなわち、
・前記材料を少なくとも100nmに等しい厚さで供給する工程であり、当該材料は次のもの、すなわち、
・単一のケイ素酸化物又は混合ケイ素酸化物であって、混合酸化物の場合における当該酸化物の大部分(当該酸化物の少なくとも80〜90%でさえも)はケイ素酸化物であり、前記材料中の当該酸化物のモル百分率が少なくとも40%、とりわけ40%と99%の間であるもの、及び
・前記酸化物のケイ素と異なる性質の少なくとも1つの種であって、とりわけ金属であるもの、
を含む固体混成材料である工程、
・前記混成材料を前記エッチングの前に任意選択的に加熱する工程、
・前記混成材料の表面を、前記表面構造の配列が形成されるまで、1cm2より大きいエッチング領域への継続時間が30分未満のエッチングで、マスキングする必要なしに構造化し、この構造化の操作には前記混成材料の加熱が任意選択的に付随する工程、
を含み、
前記材料中における前記1以上の種のモル百分率は1モル%から最大50モル%までの範囲であるとともに、前記ケイ素酸化物の百分率よりは小さいものにとどまり、前記種の少なくとも大部分は50nmより小さい最大の特性寸法を有し、とりわけ前記混成材料は前記エッチングより前において準安定性であること、を特徴とする表面構造化方法。
【請求項2】
前記材料を、前記エッチングの前及び/又は前記エッチングの間、70℃以上の温度、とりわけ120〜300℃の範囲の温度に加熱することを特徴とする、請求項1記載の表面構造化方法。
【請求項3】
前記種が、特にシリカ中の銅については、イオン化され、及び/又は特にガラス中の銀については、凝集体であること、及び/又は前記種が好ましくは、次の種、とりわけ金属種、すなわち、銀、銅、コバルト、白金、ニッケル、スズ、金、のうちの少なくとも1つから選ばれ、且つ好ましくは当該種の有効電荷がゼロであるか0.5未満であることを特徴とする、請求項1又は2記載の表面構造化方法。
【請求項4】
前記混成材料がガラス、とりわけソーダ石灰ガラスであり、好ましくは銀及び銅の少なくとも一方とイオン交換されていることを特徴とする、請求項1記載の表面構造化方法。
【請求項5】
前記混成材料が、バルク材料であれ基材上の被膜であれ、前記金属を粒子の形で、特にAg、Cu又はAuの粒子の形で、任意選択的には粒子の凝集体の形でもって取り込んでいるゾル−ゲルであることを特徴とする、請求項1記載の表面構造化方法。
【請求項6】
前記混成材料が、基材上への物理気相成長により、前記種、とりわけ金属種、例えば銅、銀又は金など、及びSi酸化物の、特に酸素雰囲気中で金属ターゲットを使用する、共同被着により被着された被膜であることを特徴とする、請求項1又は2記載の表面構造化方法。
【請求項7】
構造化した表面を有する製品、すなわち高さがサブミクロンサイズであり少なくとも1つのサブミクロンサイズの特性横方向寸法を持つ凹凸又は表面構造の配列を有する製品であって、この固体混成材料は、
・1種以上の元素のSi酸化物であって、当該材料中の当該酸化物のモル百分率が少なくとも40%であり、とりわけ40%と99%の間であるもの、及び
・前記酸化物のSiとは性質を異にし、特に金属である、少なくとも1つの種、
を含み、
当該材料中における前記1以上の種のモル百分率は1モル%から最大50モル%までの範囲であるとともに、前記Si酸化物の百分率よりは小さいものにとどまり、当該種は50nmより小さい最大特性寸法を有し、請求項1〜6の一つに記載の方法を使って得ることができる、構造化した表面を有する製品。
【請求項8】
イオン交換したガラス、とりわけ銀又は銅とイオン交換したガラスであること、あるいは、前記種、とりわけ銀又は銅及び/又は金を含む、バルクのゾル−ゲル又は基材上の、特に透明基材上の、ゾル−ゲル被膜であることを特徴とする、請求項7記載の構造化した製品。
【請求項9】
前記表面構造が高さHと幅W及び隣り合う表面構造間の間隔Dにより規定されて、
・間隔Dは、赤外領域にも及ぶ光学用途(光電池又は光触媒などのための反射防止、光抽出及び集光)向けに、500nmより小さく、好ましくは300nmより小さく、より好ましくは200nmより小さくなるように選ばれ、
・高さHは好ましくは、光学(可視及び赤外)用途向けに20nmより大きく、より好ましくは50nmより大きく、更に一層好ましくは100nmより大きくなるように選ばれ、
・幅Wは、D/10より大きく、より好ましくはD/5より大きく、更に一層好ましくはD/2より大きくなるように選ばれる、
ことを特徴とする、請求項7又は8記載の構造化した製品。
【請求項10】
前記表面構造が高さHと幅W及び隣り合う表面構造間の間隔Dにより規定されて、
・間隔Dは、湿潤特性用に5μmより小さくなるように選ばれ、
・高さHは好ましくは、湿潤特性(超疎水性又は超親水性)用に70nmより大きく、より好ましくは150nmより大きくなるように選ばれ、
・幅Wは、D/10より大きく、より好ましくはD/5より大きく、更に一層好ましくはD/2より大きくなるように選ばれる、
ことを特徴とする、請求項7〜9の一つに記載の構造化した製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512179(P2013−512179A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541558(P2012−541558)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052508
【国際公開番号】WO2011/067512
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】