説明

反応性シラン基を有する湿気硬化性ポリエーテルウレタン及びその使用

a)20〜90重量%の、2個以上の反応性シラン基及び1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルウレタンであって、ここで、ポリエーテルセグメントは、少なくとも3000の数平均分子量(Mn)及び0.04ミリ当量s/g未満の不飽和度を有し、かつ、1分子当たりの全ポリエーテルセグメントのMnの和は平均して6000〜20,000となり、かつ、反応性シラン基は、イソシアネート基と式:
で示される化合物との反応物として組み込まれている、ポリエーテルウレタン、及び、


b)10〜80重量%の、1個の反応性シラン基及び1000〜15,000のMnを有する1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルウレタンを含む、湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性シラン基を含有し、低不飽和度を有するポリエーテルポリオールから製造される湿気硬化性ウレタン、及びこれらのポリウレタンのシーリング材、接着剤及び塗料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シラン末端ポリウレタン(STP)とも称される反応性シラン基含有ポリエーテルウレタン及びそのシーリング材及び接着剤としての使用は、既知であって、例えば、米国特許第5,554,709号;第4,857,623号;第5,227,434号及び第6,197,912号;並びに国際公開第02/06367号に記載されている。シラン末端ポリウレタンは様々な方法で製造し得る。ある方法では、シラン末端ポリウレタンは、ジイソシアネートをポリエーテルポリオールと反応させてイソシアネート末端プレポリマーを生成し、次いでこれをアミノシランと反応させてシラン末端ポリウレタンを生成させることによって製造される。シーリング材もまた、不飽和モノオールをジイソシアネートと反応させて不飽和末端基含有中間体を生成し、次いでこれらの不飽和基をヒドロシリル化によってアルコキシシラン基に変化させることによって製造される。別の方法では、シーリング材は、ポリエーテルジオールとイソシアナトシランとの反応によって一段階で製造される。
【0003】
シーリング材として有用であるためには、シラン末端ポリウレタンは6000〜20,000の数平均分子量を有するべきである。この分子量を得る一方法としては、KOH法によって製造された分子量2000のポリエーテルジオールを用いてイソシアネート末端プレポリマーを製造する方法が挙げられる。ウレタン基が存在すると高粘度の生成物を生じる。適当な塗布粘度を達成するために、多量の可塑剤と少量の充填材を添加することにより高い粘度を減少させるが、その結果、高価なシーリング材生成物となってしまう。
【0004】
高分子量のシーリング材を得る別の方法としては、低不飽和度を有し、欧州特許出願公開第0,546,310号、欧州特許出願公開第0,372,561号及びドイツ特許出願公開第19,908,562号に記載された特定の触媒を用いて製造された高分子量ポリエーテルジオールを用いる方法が挙げられる。このようなポリエーテルジオールを用いると、得られるシーリング材は優れた引張強度を有するものの、伸びが低すぎ、また100%モジュラスが高すぎるため、シーリング材は多くの用途にとって脆すぎる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、高い引張強度と伸びを持つと共に存在する製品と比較して低い100%モジュラスを有するシーリング材、接着剤及び塗料としての使用に適した、反応性シラン基を有するポリエーテルウレタンを提供することである。
【0006】
この課題は、本発明による反応性シラン基含有ポリエーテルウレタンによって解決し得る。このようなポリエーテルウレタンは、2個以上の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンと1個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンの混合物を含んでなる。また、2個以上の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンは、低不飽和度の高分子量ポリエーテルポリオールから製造され、反応性シラン基は、第2級アミノ官能性シランを使用することによって組み込まれる。
【0007】
本発明によるシラン末端ポリエーテルウレタンは、高い引張強度と伸び及び低い100%モジュラスを有するシーリング材又は接着剤の製造に適している。これらのポリエーテルウレタンが低い粘度を有するという事実によって、より少量の高価な可塑剤とより多くの安価な充填材によってシーリング材組成物を調製でき、その結果、安価なシーリング材が得られる。
【0008】
多官能性と単官能性のシラン末端ポリウレタンの混合物に由来するシーリング材の製造は、既知であって、米国特許第5,554,709号及び第4,857,623号並びに国際公開第02/06367号に記載されている。しかし、これらの文献には、アスパラギン酸塩官能性シランを有する低不飽和度のポリエーテルポリオールを用いてシーリング材を製造することが開示されていない。
【0009】
アスパラギン酸塩官能性シランに由来するシラン末端ポリエーテルウレタンの製造は、米国特許第5,364,955号及び国際公開第98/18843号に開示されている。上記いずれの文献でも、ポリエーテルウレタンの製造に用いられるポリエーテルは、低不飽和度を有さない。また、多官能性と単官能性のシラン末端ポリウレタンの混合物は開示されていない。最後に、後者の文献では、ポリエーテルは15〜40重量%のエチレンオキシド単位を含有しなければならない。
【0010】
国際公開第00/26271号には、アスパラギン酸塩官能性シランを有する低不飽和度のポリエーテルポリオールに由来するシラン末端ポリエーテルウレタンの製造が開示されている。ジイソシアネートを高分子量ポリエーテルジオールと反応させてNCOプレポリマーを生成し、次いでこれをアスパラギン酸塩官能性シランでキャップしてシラン末端ポリエーテルウレタンを生成させることによって、生成物を得るものである。この出願には、ジシラン末端ポリエーテルウレタンと1個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンとの混合物は開示されていない。
【0011】
米国特許第6,265,517号には、アスパラギン酸塩官能性シランを有する低不飽和度ポリエーテルポリオールからシラン末端ポリエーテルウレタンを製造する同様の方法が記載されている。該特許では、31モル%未満のモノオール含量を有する出発ポリオールが必要とされ、モノオールがイソシアネートと反応することによってプレポリマーの架橋と硬化を減少させるため、比較的高いモノオール含量は極めて不都合であることが教示されている。該特許ではまた、アルキル基がそれぞれ4個を超える炭素原子を含有するマレイン酸ジアルキルからアスパラギン酸シランを製造することを必要としている。
【0012】
欧州特許第0,372,561号は、低不飽和度のポリエーテルポリオールから製造される反応性シラン基含有ポリエーテルウレタンを開示する。また、1個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンが開示されている。この出願は、反応性シラン基を組み込むために第2級アミノ官能性シランを用いる必要性を認識していない。
【0013】
同時に係属する出願である第10/160,463号、第10/174,039号、第10/173,919号、及び第10/160,479号は、2個以上の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンと1個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンの混合物を含んでなるアルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンを開示する。2個以上の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンは、低不飽和度の高分子量ポリエーテルポリオールから製造される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
a) a)及びb)の重量に基づき20〜90重量%の、2個以上の反応性シラン基及び1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルウレタンであって、ここで、
ポリエーテルセグメントは、少なくとも3000の数平均分子量及び0.04ミリ当量s/g未満の不飽和度を有し、但し、1分子当たりの全ポリエーテルセグメントの数平均分子量の和は平均して6000〜20,000となり、かつ、
反応性シラン基は、イソシアネート基と式:
【化1】

〔式中、
Xは、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な同じまたは異なる有機基を表し、但し、これらの基の少なくとも2つはアルコキシ又はアシルオキシ基であり、
Yは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝状アルキレン基を表し、及び
R1は、100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基を表し、但し、R1はサクシネート基ではなく、若しくは、R1は式II:
【化2】

で示される基を表す。〕
で示される化合物との反応物によって組み込まれている、ポリエーテルウレタン、
及び
b) a)及びb)の重量に基づき10〜80重量%の、1個の反応性シラン基及び1000〜15,000の数平均分子量を有する1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルウレタン、
を含んでなる、湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンに関する。
【0015】
本発明はまた、上記ポリエーテルウレタンを含有するシーリング材、接着剤及び被覆組成物にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明による湿気硬化性ポリエーテルウレタンにおいて、ポリエーテルウレタンa)は、20重量%、好ましくは30重量%、より好ましくは40重量%の最小量で存在する。ポリマーa)の最大量は、90重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%である。ポリエーテルウレタンb)は、10重量%、好ましくは20重量%、より好ましくは30重量%の最小量で存在する。ポリマーb)の最大量は、80重量%、好ましくは70重量%、より好ましくは60重量%である。前記の百分率は、ポリエーテルウレタンa)及びb)の総重量を基準とする。
【0017】
成分a)としての使用に適したポリマーには、3000〜20,000、好ましくは6000〜15,000、より好ましくは8000〜12,000の数平均分子量を有する、1個又はそれ以上、好ましくは1個のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルウレタンが含まれる。例えば、ポリエーテルセグメントが数平均分子量3000を有する場合、2個又はそれ以上の前記セグメントが存在しなければならず、その結果、1分子当たりの全ポリエーテルセグメントの数平均分子量は平均して6000〜20,000となる。ポリマーa)はまた、2個又はそれ以上、好ましくは2個の反応性シラン基も含有する。反応性シラン基は、イソシアネート基と式Iで示される化合物の反応によって組み込まれる。
【0018】
本発明によると、用語「反応性シラン基」は、置換基「X」によって定義される少なくとも2個のアルコキシ又はアシルオキシ基を含有するシラン基を意味する。2個又は3個のアルコキシおよび/またはアシルオキシ基を含有するシラン基は、1個の反応性シラン基と見なされる。また、ウレタンは、1個又はそれ以上のウレタンおよび/または尿素基を含有する化合物である。これらの化合物は、好ましくは1個又はそれ以上のウレタン基を含有し、場合により尿素基を含有してよい。より好ましくは、これらの化合物はウレタン及び尿素基の両方を含有する。
【0019】
ポリマーa)は、いくつかの方法で製造できる。例えば、それらは、少なくとも2個のイソシアネート反応性基、好ましくはヒドロキシル基を含有する高分子量ポリエーテルを、過剰のポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートと反応させて、NCOプレポリマーを生成させることによって製造できる。次いで、得られたNCOプレポリマーを式Iで示されるアミノシランと反応させてポリマーa)を生成させる。過剰のポリイソシアネートとアミノシランを反応させてモノイソシアネートを生成し、次いで得られた中間体を高分子量ポリエーテルと反応させてポリマーa)を生成させることによって、ポリマーa)を製造してもよい。
【0020】
適当なアミノシランは、式I:
【化3】

〔式中、
Xは、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な同じまたは異なる有機基を表し、但し、これらの基の少なくとも2つはアルコキシ又はアシルオキシ基、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基、より好ましくはアルコキシ基であり、
Yは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝状アルキレン基、好ましくは2〜4個の炭素原子を含有する直鎖基又は5〜6個の炭素原子を含有する分枝状基、より好ましくは3個の炭素原子を含有する直鎖基を表し、
R1は、100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基を表し、但し、R1はサクシネート基ではなく、好ましくは1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又は芳香族基、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又は芳香族基であり、若しくは、R1は式II:
【化4】

で示される基を表す。〕
で示されるものである。
【0021】
とりわけ好適なものは、Xがメトキシ、エトキシ基又はプロポキシ基、より好ましくはメトキシ又はエトキシ基を表し、Yが3個の炭素原子を含有する直鎖基である化合物である。
【0022】
第2級アミノ基を含有する、式Iの適当なアミノアルキルアルコキシシラン及びアミノアルキルアシルオキシシランの例には、N-フェニルアミノプロピル-トリメトキシシラン(A-9669としてOSI Corporationから市販)、ビス-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン(A-1170としてOSI Corporationから市販)、N-シクロヘキシルアミノプロピル-トリエトキシシラン、N-メチルアミノプロピル-トリメトキシシラン、N-ブチルアミノプロピル-トリメトキシシラン、N-ブチルアミノプロピル-トリアシルオキシシラン、3-(N-エチル)アミノ-2-メチルプロピル-トリメトキシシラン、4-(N-エチル)アミノ-3,3-ジメチルブチル-トリメトキシシラン、並びに、対応するアルキルジエトキシ、アルキルジメトキシ及びアルキル ジアシルオキシシラン、例えば3-(N-エチル)アミノ-2-メチルプロピル-メチルジメトキシシランなどが含まれる。
【0023】
ポリマーa)の製造に使用し得る適当なポリイソシアネートは、既知であって、式:R(NCO)2〔式中、Rは、分子量が112〜1,000、好ましくは140〜400の有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除去することによって得られる有機基を表す。〕で表される有機ジイソシアネートモノマーを含む。好適なジイソシアネートは、Rが、4〜18個の炭素原子を有する二価の脂肪族炭化水素基、5〜15個の炭素原子を有する二価の脂環式炭化水素基、7〜15個の炭素原子を有する二価の芳香脂肪族炭化水素基、又は6〜15個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基を表す、上記式によって示されるものである。
【0024】
適当な有機ジイソシアネートの例には、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-及び-1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-2-イソシアナトメチルシクロペンタン、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ビス-(4-イソシアナト-シクロヘキシル)-メタン、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、ビス-(4-イソシアナトシクロ-ヘキシル)-メタン、2,4'-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン、ビス-(4-イソシアナト-3-メチル-シクロヘキシル)-メタン、α,α,α',α'-テトラメチル-1,3-および/または-1,4-キシリレンジイソシアネート、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロ-トルイレンジイソシアネート、1,3-および/または1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、2,4-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及び1,5-ジイソシアナトナフタレン、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0025】
3個又はそれ以上のイソシアネート基を含有するポリイソシアネートモノマー、例えば4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネート、例えば4,4',4"-トリフェニルメタントリイソシアネート、及びアニリン/ホルムアルデヒド縮合物をホスゲン化することによって得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートも用い得る。上記のポリイソシアネートモノマーから製造され、イソシアヌレート、ウレットジオン、ビウレット、ウレタン、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、カルボジイミドおよび/またはオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート付加物も、上記のものほど好適ではないが適当である。
【0026】
好適なジイソシアネートには、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)-メタン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、α,α,α',α'-テトラメチル-1,3-および/または-1,4-キシリレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、並びに2,4-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。とりわけ、イソホロンジイソシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネート、並びに2,4-及び2,6-トルイレンジイソシアネートの混合物が好適である。
【0027】
ポリマーa)を製造するのに適当なポリオールは、ポリエーテルポリオールであって、好適にはジオールであり、これは、少なくとも3000の、ある場合には少なくとも6000の、他の場合には少なくとも8000の数平均分子量を有する。また、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、20,000まで、ある場合には15,000まで、他の場合には12,000までであってよい。ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、上記に列挙した任意の値の間で変化し、範囲をとり得る。
【0028】
ポリエーテルは、0.1ミリ当量/g(meq/g)以下の、ある場合には0.04meq/g未満の、他の場合には0.02meq/g未満の、ある状況下では0.01meq/g未満の、他の状況下では0.007meq/g以下の、特定の状況下では0.005meq/g以下の最大総不飽和度を有する。不飽和量は、ポリエーテルの製造に用いた方法、並びにポリエーテルの分子量に応じて変化し得る。このようなポリエーテルジオールは既知であり、適当なスターター分子のプロポキシル化によって製造し得るが、この例に限定されない。別の非限定的な例としては、 少量(ポリオール重量を基準に20重量%まで)のエチレンオキシドを用いることもできる。エチレンオキシドを用いる場合、ポリプロピレンオキシド基のための、又はこれをキャップするための開始剤として、エチレンオキシドを用いることができる。適当なスターター分子の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール及び2-エチルヘキサンジオール-1,3などのジオールが含まれる。ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールもまた適当である。
【0029】
ポリエーテルポリオールの適当な製造方法は既知であって、例えば、EP-A 283 148、US-A 3,278,457、US-A 3,427,256、US-A 3,829,505、US-A 4,472,560、US-A 3,278,458、US-A 3,427,334、US-A 3,941,849、US-A 4,721,818、US-A 3,278,459、US-A 3,427,335、及びUS-A 4,355,188に記載されている。複合金属シアン化物を触媒として用いてこれを製造するのが好適である。
【0030】
ポリエーテルポリオールに加えて、32〜500の分子量を有する低分子量の二価及び三価アルコールを少量(ポリオール重量を基準に20重量%まで)、用いることもできる。適当な例には、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン又はトリメチロールプロパンが含まれる。しかし、低分子量アルコールの使用はさほど好適なわけではない。
【0031】
本発明に従い、ポリエーテルポリオールに代えてアミノポリエーテルを使用することも可能である。対応するポリエーテルポリオールを既知の方法でアミノ化することによって、アミノポリエーテルを製造することができる。
【0032】
ポリマーa)をジイソシアネート、ジオール及びアミノシランから製造する際、イソシアネート基とヒドロキシル基の当量比を約2:1として、ジイソシアネートをジオールと反応させ、NCOプレポリマーを生成させる。ジイソシアネートとジオールの2/1付加物に加え、少量の高分子量オリゴマー、例えば3/2付加物なども生成する。これらのオリゴマーが生成する際、反応混合物は少量の未反応ジイソシアネートも含有するが、これを、例えば、蒸留によって除去することもでき、若しくは反応混合物中に残存させることもできる。
【0033】
次に、イソシアネート基とアミノ基の当量比を約1:1として、NCOプレポリマーをアミノシランと反応させる。得られるポリエーテルウレタンa)は、NCOプレポリマーとアミノシラン及び場合によりポリマーc)との反応生成物を含有するが、これは、ジイソシアネートモノマーとアミノシランの反応生成物である。ポリマーc)は、ポリエーテルウレタンa)の重量を基準に、2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の量で存在することが好ましい。ポリマーc)が存在する場合、ポリエーテルウレタンa)の重量を基準に、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%の量で存在することが好ましい。
【0034】
ポリマーa)と同様に、ポリマーb)も1個以上のポリエーテルセグメントを含有するが、1個の反応性シラン基しか含有しない。ポリマーb)は、いくつかの方法によって製造できる。例えば、1個のイソシアネート反応性基、好ましくはヒドロキシル基を含有する高分子量ポリエーテルを、過剰のポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートと反応させることにより製造できる。得られる生成物が1個のイソシアネート基を含有するように、イソシアネートとポリエーテルの量を選択する。
【0035】
例えば、反応物質の等モル混合物を用いてジイソシアネートをモノオールと反応させる場合、得られる生成物は、平均して1個のイソシアネート基を含有する。モノオールとジイソシアネートの1/1付加物であるモノイソシアネート中間体に加えて、反応混合物は、モノオールとジイソシアネート1分子の2分子反応によって生成する少量の非官能性ポリマーd)も含有する。反応混合物は少量の未反応ジイソシアネートも含有し得るが、これを、例えば、蒸留によって除去することもでき、若しくは反応混合物中に残存させることもできる。
【0036】
本発明によれば、更なる量のモノオールをジイソシアネートと反応させることも可能である。この方法で反応を行う場合、更なる量の非官能性ポリマーd)が生成する。このようなポリマーは反応混合物中に残存し、その後に本発明の湿気硬化性ポリエーテルウレタンを使用する間に可塑剤として機能する。
【0037】
モノイソシアネート中間体を含有する反応混合物を、イソシアネート反応性基、好ましくは-NH基、及び1個又はそれ以上の、好ましくは1個の反応性シラン基を含有する化合物と反応させて、ポリエーテルウレタンb)を生成させる。反応混合物はポリマーe)も含有するが、これは、反応混合物中に存在する任意のジイソシアネートモノマーとイソシアネート反応性シランの反応生成物である。ポリマーe)は、例えそれが2個の反応性シラン基を含有していても、ポリエーテルウレタンb)の一部と見なされる。
【0038】
非官能性ポリマーd)は、ポリエーテルウレタンb)の重量を基準に60重量%未満、より好ましくは30重量%未満、最も好ましくは10重量%未満の量で存在することが好ましい。ポリマーd)が存在する場合には、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%の量で存在することが好ましい。
【0039】
ポリマーe)は、ポリエーテルウレタンb)の重量を基準に2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の量で存在することが好ましい。ポリマーe)が存在する場合には、ポリエーテルウレタンa)の重量を基準に少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%の量で存在することが好ましい。
【0040】
ポリマーb)は、上記工程を逆転させ、過剰のポリイソシアネートをイソシアネート反応性シランと反応させ、次いで得られた中間体を高分子量ポリエーテルと反応させることによって製造してもよい。この順序でプロセス工程を実施する際にも、ポリマーb)、d)及びe)の混合物が生成する。
【0041】
ポリマーb)を製造するのに適当なポリイソシアネートは、ポリマーa)を製造するのに適当であるとして前述したものである。ジイソシアネートモノマーが好ましい。ポリマーa)の製造用として前述した二官能性NCOプレポリマーもまた適当である。NCOプレポリマーが高分子量ポリエーテルセグメントを含有する場合には、低分子モノオールを用いて前述のモノイソシアネート中間体を製造することもできる。
【0042】
ポリマーb)を製造するのに適当なモノオールは、1000〜15,000、好ましくは3000〜12,000、より好ましくは6000〜12,000の数平均分子量を有するポリエーテルモノオールである。ポリエーテルモノオールは、単官能性出発化合物を、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシド、より好ましくはプロピレンオキシドによってアルコキシル化することにより製造される。エチレンオキシドを用いる場合、ポリエーテルの重量を基準に40重量%までの量で用いられる。KOH法により又は混合金属シアン化物触媒によってポリエーテルを製造することが好ましい。後者の方法により、低不飽和度の生成物が得られる。
【0043】
好適には、ポリエーテルは、0.1ミリ当量/g(meq/g)未満の、ある場合には0.04meq/g未満の、他の場合には0.02meq/g未満の、ある状況では0.01meq/g未満の、他の状況では0.007meq/g以下の、特定の状況では0.005meq/g以下の最大総不飽和度を有する。不飽和量は、ポリエーテルを製造するために用いた方法、並びにポリエーテルの分子量によって変化する。これらのポリエーテルモノオールは、既知であって、ポリエーテルポリオールを製造するための前述の方法によって製造できるが、非限定的な例としては、適当なスターター分子のプロポキシル化による方法が挙げられる。非限定的な例において、少量(ポリオール重量に基づき20重量%まで)のエチレンオキシドを使用することができる。ポリエーテルa-i)と同様に、エチレンオキシドを用いる場合、ポリプロピレンオキシド基用の又はこれをキャップするための開始剤としてこれを使用できる。
【0044】
適当なスターター分子の例には、脂肪族、脂環式及び芳香脂肪族アルコール、フェノール及び置換フェノール、例えばメタノール、エタノール、異性体のプロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノール、シクロヘキサノール並びにより高分子量の化合物、例えばノニルフェノール、2-エチルヘキサノール及びC12〜C15の直鎖第1級アルコール混合物(Neodol 25、Shellから市販)が含まれる。例えばアリルアルコールなどの不飽和アルコール;及び例えばヒドロキシ酢酸エチル及びヒドロキシエチルアクリレートなどのヒドロキシ官能性エステルも、適当である。より高分子量のモノヒドロキシ化合物、とりわけノニルフェノール及びC12〜C15の直鎖第1級アルコール混合物が好ましい。
【0045】
本発明によれば、ポリエーテルモノオールに代えてモノアミノポリエーテルを使用することも可能である。このようなアミノポリエーテルは、対応するポリエーテルモノオールを既知の方法でアミノ化することによって製造し得る。
【0046】
ポリマーb)の製造において使用する適当なイソシアネート反応性シランには、ポリマーa)の製造用として前述したものが含まれる。式:
【化5】

〔式中、X及びYは、上記に定義したものである〕
で示されるものも適当である。
【0047】
式IIIで示される適当なアミノアルキルアルコキシシラン及びアミノアルキル アシルオキシシランの例には、3-アミノプロピル-トリアシルオキシシラン、3-アミノプロピル-メチルジメトキシシラン;6-アミノヘキシル-トリブトキシシラン;3-アミノプロピル-トリメトキシシラン;3-アミノプロピル-トリエトキシシラン;3-アミノプロピル-メチルジエトキシシラン;5-アミノペンチル-トリメトキシシラン;5-アミノペンチル-トリエトキシシラン;4-アミノ-3,3-ジメチル-ブチル-トリメトキシシラン;及び3-アミノプロピル-トリイソプロポキシシランが含まれる。3-アミノプロピル-トリメトキシシラン及び3-アミノプロピル-トリエトキシシランが特に好適である。
【0048】
ポリマーb)を製造するのに適当な他の反応性シラン基含有化合物は、アスパルテート基を含有し、式IV:
【化6】

〔式中、
X及びYは、上記に定義したものであり、
R2及びR5は、同じまたは異なる、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な有機基、好ましくは、1〜9個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル或いはブチル基を表し、
R3及びR4は、同じまたは異なる、水素又は100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基、好ましくは水素を表す。〕
で示される化合物である。
【0049】
式IVの化合物は、式IIIのアミノシランを、式V:
【化7】

で示されるマレイン酸或いはフマル酸のエステルと反応させることによって製造される。
【0050】
アミノシランの例は、式IIIで示されるアミノシランの例として前記に示したものである。アスパラギン酸シランを製造するのに適当な、場合により置換されてよいマレイン酸或いはフマル酸エステルの例には、ジメチル、ジエチル、ジブチル(例えば、ジ-n-ブチル)、ジアミル、ジ-2-エチルヘキシルエステル、並びにこれら、および/またはマレイン酸及びフマル酸の他のアルキル基の混合物に基づく混合エステル;及び2位および/または3位でメチル置換された対応するマレイン酸及びフマル酸エステルが含まれる。マレイン酸のジメチル、ジエチル及びジブチルエステルが好ましいが、ジエチルエステルが、とりわけ好ましい。
【0051】
第1級アミンとマレイン酸或いはフマル酸エステルを反応させて式IVのアスパラギン酸シランを生成させることは、既知であって、例えば、米国特許第5,364,955号に記載されており、ここに引用することによって、その内容は本明細書の一部分を構成するものとする。
【0052】
ポリエーテルを、式VI:
【化8】

〔式中、X及びYは、前記定義のとおりである。〕
で示されるイソシアネート及びアルコキシシラン基を含有する化合物と一段階で反応させることによって、ポリマーb)を製造することも可能である。
【0053】
適当なイソシアナトシランの例には、3-イソシアナトプロピル-メチルジメトキシシラン、3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン及び3-イソシアナトプロピル-トリエトキシシランが含まれる。3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン(Silquest Y-5187、OSI Corporationから市販)が、とりわけ好適である。
【0054】
式VIの化合物をポリエーテルモノオールと反応させてポリマーb)を製造する場合には、ポリマーc)及びd)は生成しない。
【0055】
アミノシランを使用する代わりに、アミノシランをエチレン又はプロピレンカーボネートなどの環式カーボネートと反応させることによって得られたヒドロキシ化合物を用いることにより、ポリエーテルウレタンb)を製造することも可能である。アミノシランを、対応するチオシラン又は式VIのイソシアナトシランのジオール或いはジアミンによる単官能性付加物で置き換えてもよい。
【0056】
本発明の別の実施態様によれば、高分子量ポリエーテルジオールを、これをモノイソシアネートと反応させることによりモノオールに変換することによって、高分子量ポリエーテルモノオールを別々に製造する必要を回避することが可能である。ポリエーテルモノオールを製造するための更なる別の手段では、ジオール1モルをモノ酸クロリドと反応させる。高分子量モノオールを製造するための別の方法では、モノオール1モル及びジオール1モルをジイソシアネート1モルと反応させる。モノオールとジオールの一方又は両方とも、高分子量ポリエーテルセグメントを含有してよい。その後、このような方法で得られたポリエーテルモノオールを、前記方法を用いてポリマーb)を製造するために使用することができる。
【0057】
ジイソシアネート2モルを最後の工程で使用する場合、得られる生成物は、アルコキシシラン基を含有するイソシアネート反応性化合物と反応してポリマーb)を生成することのできるモノイソシアネートである。このモノイソシアネートを生成させるための別の方法は、ポリマーa)を製造するためのものとして前述したようなNCOプレポリマーを、モノアルコールと反応させることである。
【0058】
ポリマーb)を製造するために適当であるとして前述したポリエーテルモノアミンを、ポリエーテルモノオールと同様にして反応させることができる。更に、それらをエポキシシランと反応させてポリマーb)を生成させることもできる。
【0059】
別の実施態様では、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートをアルコキシル化することにより、ポリエーテルモノオールを製造する。得られるポリエーテルモノオールを、モノイソシアネートと反応させて不飽和度中間体を生成させる。次いで、この中間体をアミノシラン又はチオシランと反応させて、マイケル付加によりシラン基を組み込む。
【0060】
本発明の最後の実施態様によれば、ポリエーテルモノオールとポリエーテルジオールの混合物をジイソシアネートと1段階で反応させることにより、ポリエーテルウレタンa)及びb)を製造することが可能である。好ましくは、ヒドロキシル基の各当量につき、ジイソシアネート1モルを存在させる。得られる生成物は、NCOプレポリマー、モノイソシアネート中間体、非官能性ポリマーd)及び未反応ジイソシアネートの混合物を含有する。次いで、反応混合物をポリエーテルウレタンa)の製造に要するアスパラギン酸シランと反応させて、ポリエーテルウレタンa)及びb)、非官能性ポリマーd)並びに反応生成物c)及びe)の混合物を生成させる。
【0061】
本発明の組成物は、水又は湿気の存在下で硬化させて、被覆物、接着剤又はシーリング材を製造できる。該組成物は、アルコキシシラン基の加水分解に由来する「シラン重縮合」によって硬化してSi-OH基を生成し、次いで、これがSi-OH又はSi-OR基のいずれかと反応して、シロキサン基(Si-O-Si)を生成する。
【0062】
適当な酸又は塩基触媒を、硬化反応を促進するために使用してよい。その例には、例えばパラトルエンスルホン酸などの酸;ジブチル錫ジラウレートなどの金属塩;トリエチルアミン又はトリエチレンジアミンなどの第3アミン;及びこれらの触媒の混合物が含まれる。前述した低分子量の塩基性アミノアルキルトリアルコキシシランも、本発明による化合物の硬化を加速させる。
【0063】
一般に、1成分組成物は、特定の用途に応じて、無溶媒であるか、1成分組成物の重量を基準に70%まで、好ましくは60%の有機溶媒を含有するかのどちらかである。適当な有機溶媒には、ポリウレタン化学又は塗料化学から既知の溶媒が含まれる。
【0064】
該組成物は、既知の添加剤、例えば均展材、湿潤剤、流れ調整剤、皮張り防止剤、消泡剤、充填材(白亜、石灰、粉末、沈降および/または焼成シリカ、ケイ酸アルミニウム及び高沸点ワックスなど)、粘度調節剤、可塑剤、顔料、染料、UV吸収剤及び熱分解と酸化分解に対する安定剤などを含有してもよい。
【0065】
1成分組成物は、例えば木、プラスチック、革、紙、繊維製品、セラミック、石膏、組積造、金属及びコンクリートなど、任意の所望の基材に使用してよい。該組成物は、標準的方法、例えば吹付、散布、フラッディング、キャスティング、浸漬、ロール塗り及び押出によって塗布することができる。
【0066】
1成分組成物は、周囲温度又は高温で硬化することができる。好ましくは、湿気硬化性組成物は、周囲温度で硬化される。
【0067】
本発明を更に説明するが、以下の実施例によって何ら限定されることを意図しない。実施例中、全ての部及び百分率は、特記しない限り重量による。
【実施例】
【0068】
以下の出発成分を実験例で使用した。

シラン官能性アスパラギン酸塩(SFA 1)の調製
米国特許第4,364,955号に従って、アスパラギン酸塩樹脂を調製した。撹拌機、熱電対、窒素入口及び冷却器付き添加漏斗を装備した5リットルフラスコへ、1483g(8.27当量)の3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(Silquest A-1110、OSI Corporationから市販)を添加した。添加漏斗を用いて、2時間かけて1423.2g(8.27当量)のマレイン酸ジエチルを入れた。添加の間、反応器の温度を25℃に維持した。更に5時間、反応器を25℃に保ち、生成物をガラス容器中へ流し込み、窒素ブランケット下でシールした。一週間後、不飽和数は0.6であり、反応が〜99%完結していることを示していた。
【0069】
Y-9669
N-フェニルアミノプロピル-トリメトキシシラン(A-9669として、OSI Corporationから市販)
【0070】
A-1110
3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(Silquest A-1110、OSI Corporationから市販)
【0071】
ヒドロキシポリエーテル1
ポリオキシプロピレンジオール(Acclaim 12200、(不飽和度=0.007meq/g)、Bayer Corporationから市販)、官能価2、当量は表1に記載。
【0072】
ヒドロキシポリエーテル2の製造
ノニルフェノール(183g、0.89当量)をステンレス製反応器へ充填した。ヘキサシアノコバルト酸亜鉛-tert-ブチルアルコール錯体(0.143g、米国特許第5,482,908号に記載のとおり製造)を添加し、混合物を真空下で撹拌しながら130℃で1時間加熱して、ノニルフェノールスターターから水分をよく除去した。プロピレンオキシド(5517g、125.4当量)を反応器中へ6時間かけて導入した。エポキシドの添加を終えた後、もはや圧力減少が起こらなくなるまで、混合物を130℃に加熱した。生成物を真空ストリッピングし、次いで、反応器から抜き出した。得られたポリエーテルは、OH価8.7、当量6411、不飽和度=0.007meq/g、及び官能価1を有していた。
【0073】
ヒドロキシポリエーテル3の製造
ノニルフェノール175g(0.80当量)とプロピレンオキシド5625g(127.8当量)を使用したこと以外はヒドロキシポリエーテル2と同様にして、ヒドロキシポリエーテル3を製造した。得られたポリエーテルは、OH価7.7、当量7295、不飽和度=0.01meq/g、及び官能価1を有していた。
【0074】
アミノシランからのシラン末端ポリウレタン(STP)1〜5の製造
5リットル丸底フラスコに、撹拌機、窒素入口、冷却器、ヒーター及び添加漏斗を装備した。フラスコ中へ、表1に挙げた重量のイソホロンジイソシアネート(IPDI)とヒドロキシポリエーテルと、ジブチル錫ジラウレート0.8gを充填した。理論量のイソシアネート含量に達するまで、反応物を60℃へ3時間加熱した。表1に挙げた適切なアミノシランの重量を添加した。IRスペクトルにより測定してNCOが残存しなくなるまで、フラスコを60℃で更に1時間加熱した。湿気捕捉剤として、ビニルトリメトキシシラン19.9gを添加した。
【0075】
【表1】

【0076】
シランシーリング材の調製
以下の標準的な処方と手順を用いて、上記STPをシーリング材に調製した。二官能性のSTPを単独で、及び単官能性のSTPと組み合わせて処方し、これらの組み合わせの効果を実証した。
【0077】
手順
以下は、ジオール及びジオール/モノオールブレンドの全てを調製するために使用した、標準的なシーリング材の処方及び手順である。各配合成分について示した値は、配合物総重量に対する重量%である。高速遠心ミキサーを用いて、以下に示すステップで配合成分を混合した。各混合時間は、2200rpmの速度で1分の長さであった。
【0078】
ステップ1:
下記成分を、クリーンで乾燥した混合容器へ充填した。
STP(ブレンド) 37.5
可塑剤 17.5
接着促進剤 0.8
触媒 0.1
乾燥剤 0.5
内容物を、2200rpmの速度で長さ1分、混合した。
【0079】
ステップ2:
充填材の一部を混合容器へ添加した。
充填材 23.6
内容物を、2200rpmの速度で1分、混合した。
【0080】
ステップ3:
残りの充填材を混合容器へ添加した。
充填材 20.0
内容物を、2200rpmの速度で長さ1分、混合した。
【0081】
ステップ4:
混合容器の側面をこすり取り、内容物を2200rpmの速度で更に1分間混合し、充填材の全てを混合物中へ混合した。
【0082】
ステップ5:
得られた生成物を、完全真空下(>28mmHg)、50℃で1時間脱気した。材料を即座に使用した。
【0083】
Exxon Jayflex DIDPを可塑剤として使用した。アミノシラン(Silquest A-1120、OSI Corporationから市販)を接着促進剤として使用した。ビニルトリメトキシシラン(Silquest A-171、OSI Corporationから市販)を乾燥剤として使用した。使用した充填材は、Specialty Minerals Ultra P Flex 沈降カルシウムカーボネート(平均粒度0.07ミクロン)であった。使用した触媒はジブチル錫ジラウレートであった。
【0084】
シーリング材配合物のSTP部分におけるジオールとモノオールの重量比を、下表に示したとおり変化させた。重量比は、配合物におけるSTPの総重量を基準とする。
【0085】
シランシーリング材の硬化及び試験
シーリング材配合物を0.25インチ厚のポリエチレンシート上へキャストし、20℃、50%相対湿度の標準条件で、試験前に少なくとも2週間硬化させた。引張強度、伸び%及び100%モジュラスは、ASTM D 412に準じて測定した。ダイ「C」引裂強度は、ASTM D-624に準じて測定した。結果を下表に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
表中に示した特性は、本発明によるシーリング材が有利であることを実証している。第2級アミノシランから製造された二官能性STPを含有する本発明によるシーリング材は、100%伸びでの極めて低いモジュラスを与える一方、最大引張強度及び伸びの値を維持し若しくは向上させる。
【0088】
表1に示したように、第1級アミノシランから製造した純粋な二官能性STP(STP 4)の粘度は高すぎる。しかし、モノシランSTPを使用して粘度を減少させる試みは、100%伸びでのモジュラスの増加をもたらす。反対に、単官能性STPを本発明によるジシランSTPとブレンドすると、第1級アミノシランから製造された比較のジシランSTPとブレンドされた同一のモノシランSTP(即ち、STP 5、実験例10)を使用した場合でさえ、モジュラスは減少する。
【0089】
本発明は、例示目的のために上記のように詳細に記載したが、その詳細は単にその目的のためだけであって、クレームによって限定され得ること以外は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当該分野における熟練者によって変更が成され得るものと解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) a)及びb)の重量に基づき20〜90重量%の、2個以上の反応性シラン基及び1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルウレタンであって、ここで、
ポリエーテルセグメントは、少なくとも3000の数平均分子量及び0.04ミリ当量s/g未満の不飽和度を有し、但し、1分子当たりの全ポリエーテルセグメントの数平均分子量の和は平均して6000〜20,000となり、かつ、
反応性シラン基は、イソシアネート基と式:
【化1】

〔式中、
Xは、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な同じまたは異なる有機基を表し、但し、これらの基の少なくとも2つはアルコキシ又はアシルオキシ基であり、
Yは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝状アルキレン基を表し、及び
R1は、100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基を表し、但し、R1はサクシネート基ではなく、若しくは、R1は式II:
【化2】

で示される基を表す。〕
で示される化合物との反応生成物として組み込まれている、ポリエーテルウレタン、
及び
b) a)及びb)の重量に基づき10〜80重量%の、1個の反応性シラン基及び1000〜15,000の数平均分子量を有する1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルウレタン、
を含んでなる、湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタン。
【請求項2】
Xは、同じまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、
Yは、2〜4個の炭素原子を含有する直鎖基又は5〜6個の炭素原子を含有する分枝基を表し、
R1は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又は芳香族基を表す、
請求項1に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項3】
成分b)の反応性シラン基は、イソシアネート基と式:
【化3】

〔式中、
R2及びR5は、同じまたは異なる、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な有機基を表し、
R3及びR4は、同じまたは異なる、水素又は100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基を表す。〕
で示される化合物との反応生成物として組み込まれている、請求項1に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項4】
成分b)の反応性シラン基は、イソシアネート基と式:
【化4】

〔式中、
R2及びR5は、同じまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3及びR4は、水素を表す。〕
で示される化合物との反応生成物として組み込まれている、請求項2に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項5】
成分b)の反応性シラン基は、イソシアネート基と式Iで示される化合物との反応生成物として組み込まれている、請求項1に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項6】
成分b)の反応性シラン基は、イソシアネート基と式Iで示される化合物との反応生成物として組み込まれている、請求項2に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項7】
ポリエーテルウレタンa)は30〜80重量の量で存在し、ポリエーテルウレタンb)は20〜70重量%の量で存在する(ここで、%はa)及びb)の重量に基づく)、請求項1に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項8】
ポリエーテルウレタンa)は30〜80重量の量で存在し、ポリエーテルウレタンb)は20〜70重量%の量で存在する(ここで、%はa)及びb)の重量に基づく)、請求項2に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項9】
ポリエーテルウレタンa)は30〜80重量の量で存在し、ポリエーテルウレタンb)は20〜70重量%の量で存在する(ここで、%はa)及びb)の重量に基づく)、請求項3に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項10】
ポリエーテルウレタンa)は30〜80重量の量で存在し、ポリエーテルウレタンb)は20〜70重量%の量で存在する(ここで、%はa)及びb)の重量に基づく)、請求項4に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項11】
ポリエーテルウレタンa)は30〜80重量の量で存在し、ポリエーテルウレタンb)は20〜70重量%の量で存在する(ここで、%はa)及びb)の重量に基づく)、請求項5に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項12】
ポリエーテルウレタンa)は30〜80重量の量で存在し、ポリエーテルウレタンb)は20〜70重量%の量で存在する(ここで、%はa)及びb)の重量に基づく)、請求項6に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項13】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項1に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項14】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項2に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項15】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項3に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項16】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項4に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項17】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項5に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項18】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項6に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項19】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項7に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項20】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項8に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項21】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項9に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項22】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項10に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項23】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項11に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項24】
ポリエーテルウレタンa)のポリエーテルセグメントは少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分b)のポリエーテルセグメントは3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項12に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項25】
請求項1に記載の湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンを含有する、シーリング材、接着剤又は被覆組成物。

【公表番号】特表2007−510766(P2007−510766A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536726(P2006−536726)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034610
【国際公開番号】WO2005/042606
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】