説明

反応装置

複数のフロースルー式の管に熱伝導可能に連結されたヒータを備える一体化されたデバイスを提供する。複数のフロースルー式の管のそれぞれの周りをワイヤメッシュヒータで包み、メッシュと管との間に熱界面を作成する。ワイヤメッシュの各端部は、電気コンタクトに接続する。電気コンタクトは、好ましくは、電源との電気的接続を容易にするために、一体化されたデバイスの外部に配設される。メッシュを介して電流が流れると、熱が発生する。熱は、熱界面を介して、メッシュからフロースルー式の各管に伝導される。フロースルー式の管は、試料調製モジュールに流体的に接続してもよい。試料調製モジュール、フロースルー式の管及びヒータは、様々な用途のために、自動化された試料調製及び熱化学反応を提供する単一のデバイスに一体化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱化学反応を行うための方法及び反応装置に関する。詳しくは、本発明は、複数の管フロースルー熱化学反応(tube flow-through thermally-driven chemical reaction)のための、使い捨ての一体化されたヒータ/管アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業(化学工業、薬剤の開発等)、化学的及び生物学的研究、及び診断等の多くの現場で、熱化学反応(thermally-driven chemical reaction)を行う必要がある。熱化学反応は、通常、反応槽内において、反応槽に直接接触する独立した発熱体を用いて行われる。反応槽は、ガラス、金属、セラミック又はプラスチックであってもよい。反応槽は、1回のみの使用、すなわち使い捨てであってもよい。反応槽内で試料を加熱するには、ヒータを使用する必要がある。ここで、ヒータは、大量生産し、1回の使用毎に使い捨てするには、高価であるため、通常、使い捨ての反応槽に一体化されていない。
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)は、実験室において、RNA及びDNA等の核酸を増幅させる技術である。PCRは、DNAの特異的断片の複製を行う一般的な手法である。PCRによって、単一DNA分子を数十億個の分子に急速に増幅することができる。この技術の1つの応用として、DNAの小さな試料、例えば、犯罪現場で採取された毛髪から、法医学的な検証を行うために十分なDNAの複製を生成できる。
【0004】
PCRは、通常、試料に対して、一連の加熱工程及び冷却工程を繰り返す熱サイクルを用いて実行される。従来のPCR機器は、試料を保持するPCR管と、PCR管に連結されたヒータとを備える。核酸を増幅する他の手法として、熱サイクルではなく、等温(定温)を用いる手法もある。
【0005】
PCR管及びヒータの従来の設計では、シリコン、セラミック又はこの他の、熱特性に優れているが比較的高価な材料が用いられていた。これらのPCR管及びヒータは、使用の後に使い捨てされることはなく、したがって、機器の一部として一体化する必要があった。これらの制約の下、PCR機器設計のオプションとして、機器の一部としてヒータ内にPCR管を残し、試料が流される都度、試料送達機構にヒータを熱接触させる手法、各PCR管について、接触ベースのヒータ設計法を用い、新たなPCR管が挿入される都度、適所に嵌め込む手法、又は熱サイクルのために又は熱気/冷気を用いる手法等が用いられている。
【0006】
これらの設計オプションには、それぞれ短所がある。ヒータ内に管を残し、熱サイクルを繰り返す手法では、最終的に熱疲労のために材料が劣化するという問題がある。更に、試料送達機構とPCRプラスチック管との間で流体接続を実現するには、複雑な密封界面設計が必要であり、各試験の間に汚染が生じる可能性がある。幾つかの場合、オペレータが試料をPCR管に手動で供給する必要がある。これは、煩雑であり、自動化されたアプリケーションに適していない。
【0007】
接触ベースのヒータの設計は、例えば、管及び管に収容された試料の加熱のために、均一な正接面を実現する必要がある等、非常に困難である。また例えば、新たなPCR管が挿入される都度、管とヒータとの間で、再現性がある許容できる界面を確立するために、管のアラインメント及び位置合わせを行わなくてはならないという問題もある。更に、接触ベースのヒータは、繰り返し使用に耐えるために十分頑丈である必要がある。この頑丈さを実現するためには、物理的な質量及び熱容量の両方を大きくする必要がある。物理的な質量が大きくなると、ヒータの全重量及びサイズが大きくなり、望ましくない。熱容量が大きくなると、ヒータの効率及び応答時間が劣化する。
【0008】
熱サイクルのために熱気/冷気法を用いる手法は、エネルギ効率が悪い。更に、熱気/冷気法は、直接接触法より応答時間が遅く、システムは、より嵩張り、騒音も大きい。
【0009】
PCR管を加熱するために用いられるヒータは、基本的には、管が挿入される孔が中央に設けられたスリーブである。管は、ヒータ内の適切な位置に永久的に固定してもよく、又は新たな試料を加熱する都度、ヒータから管を取り外し、新たな管に差し替えてもよい。管をヒータ内に永久に固定する場合、管とヒータとの間で適切な接触を実現する問題は解決されるが、この場合、接続及び切り離しを繰り返すために、管を試料送達機構に適切に係合させるための問題が生じる。更に、異なる試料について同じ管を再使用する場合、相互汚染の問題が生じる。
【0010】
各新たな試料毎に管を取り替える場合、管を取り替える都度、管をスリーブに挿入する必要がある。この場合、新たに管を導入する都度、管とヒータとの間で、再現可能な接触を実現することが課題となる。
【0011】
そこで、試料を送達するための管に対する流体接続を効果的且つ効率的に実現し、及び管とヒータの間で適切に構成された熱界面を提供するヒータ/管アセンブリが望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施の形態は、フロースルー式の使い捨て反応容器(flow-through disposable reaction vessel)を用いて熱化学反応を実行する方法及び装置を提供する。
【0013】
本発明の一側面においては、本発明に係る反応装置は、熱化学反応を行う反応装置において、導電性のメッシュと、電気的接触手段とを備える。導電性のメッシュは、1つ以上の管のそれぞれを実質的に覆い、メッシュ自体と、1つ以上の管のそれぞれとの間に熱界面を形成する。電気的接触手段は、メッシュに連結され、電気的接触手段への電圧の印加によって、メッシュが熱を発生し、熱が熱界面を介して各管内の試料に伝導される。反応装置は、1つ以上の管に連結され、1つ以上の管に到達する前に各試料を調製する試料調製モジュールを有するマイクロ流体カセットを更に備えていてもよい。マイクロ流体カセットは、1つ以上の管に各試料を供給する供給手段と、1つ以上の管から各試料を取り出す取出手段とを備えていてもよい。試料調製モジュールは、試料を溶解(lysis)する溶解手段を備えていてもよい。試料調製モジュールは、試料を精製する精製手段を備えていてもよい。マイクロ流体カセット、1つ以上の管及びメッシュは、一体化されたデバイスであってもよい。一体化されたデバイスは、使い捨てのデバイスであってもよい。一体化されたデバイスは、再使用可能であってもよい。一体化されたデバイスは、電気的接触手段を介して電源から取り外し可能であってもよい。電気的接触手段は、2つの電気コンタクトを有していてもよい。
【0014】
マイクロ流体カセットは、一体化されたデバイスを介する各試料のフローを調整するマイクロ流体回路を備えていてもよい。一体化されたデバイスは、自動化されていてもよい。マイクロ流体回路は、管内の試料による熱化学反応を維持してもよい。1つ以上の管のそれぞれは、試料が供給される第1の端部と、試料が取り出される第2の端部とを有し、マイクロ流体回路は、各管を介する試料のフローを調整してもよい。1つ以上の管は、実質的に相互に平行に配設され、1つ以上の管を通過する1つ以上の試料のそれぞれは、パラレルに処理してもよい。各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料を供給してもよい。各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料を供給してもよい。少なくとも1つの試料は、対照試料であってもよい。各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料及び対照試料のうちのいずれかを供給してもよい。
【0015】
反応装置は、1つ以上の管に空気を送るように配置され、各管内の各試料を冷却する送風機を更に備え、メッシュは、送風機が供給する空気を通過させてもよい。メッシュは、金属ワイヤメッシュを含んでいてもよい。金属ワイヤメッシュは、ステンレススチールを含んでていもよい。1つ以上の管のそれぞれは、メッシュが管を完全に覆わないように、長手方向に沿って外側に突出する突出部を備えていてもよい。メッシュ及び1つ以上の管のそれぞれは、1つ以上の管のそれぞれのうちの各試料に光学解析を実行できるように、光学的に透明であってもよい。反応装置は、1つ以上の管の1つから試料を受け取るように連結され、受け取った試料に対して光学解析を実行する光学検出器を更に備えていてもよい。1つ以上の管のそれぞれは、閉じられた第1の端部と開かれた第2の端部とを有していてもよい。1つ以上の管のそれぞれは、両端部が開かれているフロースルー管であってもよい。
【0016】
本発明の他の側面として、本発明は、試料調製及び熱化学反応を自動的に実行する一体化された反応装置を提供する。一体化された反応装置は、1つ以上の試料のそれぞれを自動的に調製する試料調製モジュールを有するマイクロ流体カセットと、試料調製モジュールに連結され、それぞれが、1つ以上の試料の1つを受け取る1つ以上の管と、1つ以上の管のそれぞれを実質的に覆い、メッシュ自体と、1つ以上の管のそれぞれとの間に熱界面を形成する導電性のメッシュと、メッシュに連結された電気的接触手段とを備え、電気的接触手段への自動的な電圧の印加によって、メッシュが熱を発生し、熱が熱界面を介して各管内の試料に伝導される。試料調製モジュールは、供給された試料を溶解する溶解手段を備えていてもよい。試料調製モジュールは、供給された試料を精製する精製手段を備えていてもよい。マイクロ流体カセットは、一体化されたデバイスを介する各試料のフローを自動的に調整するマイクロ流体回路を備えていてもよい。マイクロ流体回路は、管内の試料による熱化学反応を自動的に維持してもよい。1つ以上の管のそれぞれは、試料が供給される第1の端部と、試料が取り出される第2の端部とを有し、マイクロ流体回路は、各管を介する試料のフローを自動的に調整してもよい。1つ以上の管は、実質的に相互に平行に配設され、1つ以上の管を通過する1つ以上の試料のそれぞれは、自動的にパラレルに処理してもよい。
【0017】
各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料を供給してもよい。各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料を供給してもよい。少なくとも1つの試料は、対照試料であってもよい。各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料及び対照試料のうちのいずれかを供給してもよい。メッシュは、金属ワイヤメッシュを含んでいてもよい。金属ワイヤメッシュは、ステンレススチールを含んでいてもよい。1つ以上の管のそれぞれは、メッシュが管を完全に覆わないように、長手方向に沿って外側に突出する突出部を備えていてもよい。メッシュ及び1つ以上の管のそれぞれは、1つ以上の管のそれぞれのうちの各試料に光学解析を実行できるように、光学的に透明であってもよい。一体化された反応装置は、フロースルー管である複数の管の1つ以上から試料を受け取るように連結され、受け取った試料に対して光学解析を実行する光学検出器を更に備えていてもよい。1つ以上の管のそれぞれは、閉じられた第1の端部と開かれた第2の端部とを有していてもよい。1つ以上の管のそれぞれは、両端部が開かれているフロースルー管であってもよい。マイクロ流体カセットは、1つ以上の管に各試料を供給する供給手段と、1つ以上の管から各試料を取り出す取出手段とを備えていてもよい。
【0018】
本発明の更に他の側面として、本発明に係る熱制御装置は、それぞれが試料を受け入れる1つ以上の管と、1つ以上の管のそれぞれを実質的に覆い、メッシュ自体と、1つ以上の管のそれぞれとの間に熱界面を形成する導電性のメッシュと、電圧の印加によって、メッシュが熱を発生し、熱が熱界面を介して各管内の試料に伝導される電気的接触手段と、1つ以上の管に空気を送るように配置され、各管内の各試料を冷却する送風機とを備え、メッシュは、送風機が供給する空気を通過させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態は、複数のフロースルー式の管(flow-through tube)に熱伝導可能に連結されたヒータを備える一体化されたデバイスを提供する。フロースルー式の管は、試料調製モジュールに流体的に接続されている。試料調製モジュール、フロースルー式の管及びヒータは、PCRのための熱サイクル等、自動化された試料調製及び熱化学反応を提供する単一の一体的なデバイスに一体化される。ヒータは、好ましくは、抵抗率が既知の導電性ワイヤメッシュである。より好ましくは、ヒータは、例えば、ステンレススチール等を材料とする金属ワイヤメッシュである。これに代えて、ヒータは、導電性を有すると共に、熱を発生させる電気抵抗を有し、及び効率性及び応答のために、表面積対質量比が大きい材料から形成してもよい。フロースルー式の管は、好ましくは、試料が供給される第1の端部と、試料が取り出される第2の端部とを有する。各管を介する試料のフローを調整するマイクロ流体回路を使用してもよい。例えば、それぞれの管の第1の端部及び第2の端部に流体バルブを配設してもよい。第2の端部の流体バルブを閉じたまま、第1の端部の流体バルブを開くことによって試料が管に送達される。これにより、試料は、後の熱化学反応のために管内に保持される。熱化学反応が完了すると、両方の流体バルブを開くことによって、管の第2の端部を介して、管から試料が取り出される。これに代えて、管の第1の端部を介して試料を取り出してもよい。
【0020】
ワイヤメッシュヒータは、好ましくは、フロースルー式の管のそれぞれに巻きつけられ、接触し、メッシュと、管との間に、より効率的な熱界面を形成することが望ましい。各管は、メッシュ内に完全には収納されないことが好ましい。各管の長手方向に沿って、メッシュによって覆われていない間隙を設け、短絡を防止することが望ましい。この間隙の幅は、好ましくは、できるだけ小さい方がよいが、間隙に亘るアークの発生を防止するために十分な大きさを有する必要がある。ワイヤメッシュの各端部は、好ましくは、電気コンタクトに接続される。電気コンタクトは、好ましくは、電源との電気的接続を容易にするために、一体化されたデバイスの外部に配設される。電気コンタクトを介してメッシュに電圧が印加されると、メッシュを介して電流が流れる。メッシュを介して電流が流れると、熱が発生する。熱は、熱界面を介して、メッシュからフロースルー式の各管に伝導される。熱界面は、好ましくは、ワイヤメッシュがフロースルー式の管に接触することによって形成される。
【0021】
メッシュと管との間の熱界面及びマイクロ流体回路とフロースルー式の管との流体接続は、所望の仕様に基づいて設計され、したがって、一体化されたデバイスの固定された特性となる。このような構成によって、ヒータ内の管に試料供給ラインを適切に接続し、又はヒータ内で置換される管を適切に連結する操作上の必要性が排除され、従来のヒータ/管アセンブリの問題点が解決される。更に、一体化されたデバイスは、低コストで製造できる等の理由で、使い捨てにすることができる。使い捨てのデバイスとして用いることにより、汚染の可能性がなくなることは言うまでもなく、使用毎に管を洗浄する必要がなく、したがって、煩雑で高コストな工程を排除できる。また、一体化されたデバイスを使い捨てにすることによって、管材料又はヒータ材料の材料疲労の問題も解決される。これに代えて、一体化されたデバイスを再使用してもよく、この場合、管は、各使用の間に洗浄される。これに代えて、管のみを置換してもよい。
【0022】
本発明に基づく一体化されたデバイスは、マイクロ流体カセットの一部として、フロースルー式の管に安価な金属メッシュをヒータとして一体化する。この一体化によって、フロースルーモードにおける複数の連続的且つパラレルな分析評価において、ヒータと管との接触の一貫性が保証される。更に、一体化されたデバイスは、低コストであるため、容易に使い捨てでき、既存のシステムに比べて、検査後とのコストが安くなる。
【0023】
1つの例示的な用途では、一体化されたデバイスを使用し、DNA/RNA抽出、濃縮、精製ステップを用いて、生の試料、例えば、レイプキット試料(rape kit sample)を調製し、熱化学反応を用いて、特定の病原体を増幅する。試料調製は、試料調製モジュールを用いて行われる。病原体の増幅は、ヒータ/管アセンブリ内で、PCR等の熱化学反応を用いて行われる。熱化学反応によって、好ましくは、最初に供給された試料の人工的に生成された核酸断片であるアンプリコンが生成される。アンプリコンは、ヒータ/管アセンブリ内の管内に保持できる。メッシュは、実質的に光学的に透明であるため、管内のアンプリコンに関して、光学検出を実時間で実行できる。これに代えて、アンプリコンは、ヒータ/管アセンブリ内の管から取出チャンバに移動させてもよい。リモートのエンドポイントにおけるその後の光学検出のために、取出チャンバからアンプリコンを取り出してもよい。
【0024】
変形例として、一体化されたデバイスは、ヒータ/管アセンブリに連結された冷却ファン又は他の冷却機構を備えていてもよい。この変形例では、メッシュに電流を流すことによって、管内の試料を加熱でき、メッシュを介して管に空気を送ることによって、試料を冷却することができる。従来のヒータは、通常、金属ブロック等の固体の塊から形成されている。このような従来の構成では、固体の金属ブロックに囲まれた管内に試料があるので、試料を冷却するために空気を用いることができない。本発明では、管は、メッシュによって覆われているため、空気は、メッシュの網目を通り抜けることができる。このため、空気が管に到達し、管内の試料を冷却することができる。
【0025】
他の変形例では、光学検出デバイスが、管及びワイヤメッシュアセンブリに光学的に連結される。この変形例では、管は、透明であり、各管内の試料は、ワイヤメッシュの切れ目又は間隙を介して、若しくはワイヤメッシュ自体を介して光学的に検査される。熱化学反応の間、蛍光読取を継続的に行った場合、増幅は、実時間で検出される。
【0026】
更に他の変形例では、マイクロ流体回路を介して、管に光学的終点検出装置(optical end point detection device)を連結する。管内で熱化学反応が行われた後、試料は、管から取り出され、蛍光検査のために光学的終点検出装置に移動される。
【0027】
図1は、本発明に基づく一体化されたデバイスの例示的なブロック図である。一体化されたマイクロ流体カセット10(以下、一体化カセット10ともいう。)は、好ましくは、供給チャンバ20と、試料調製モジュール30と、一体化されたヒータ/管アセンブリ40と、取出チャンバ50とを備え、これらは、好ましくは、マイクロ流体回路70を介して連結されている。試料調製モジュール30は、好ましくは、溶解モジュール32(lysis module)及び精製モジュール34を備える。本発明の好ましい実施の形態では、試料調製モジュール30は、供給された試料内の1つ以上の異なる細胞タイプを溶解させ、溶解された細胞タイプからタンパク質を精製するために使用される。試料調製モジュール30は、好ましくは、2004年9月17日に出願された係属中の米国特許出願番号10/943,613号、発明の名称「異なる細胞タイプを選択的に溶解させる超音波処理(SONICATION TO SELECTIVELY LYSE DIFFERENT CELL TYPES)」に開示されているタイプのものであり、この文献は、引用によって本願に援用されるものとする。
【0028】
図2は、図1に示すヒータ/管アセンブリ40を示している。ヒータ/管アセンブリ40は、好ましくは、複数のフロースルー式の管(flow-through tubes)72を備える。好ましい実施の形態では、ヒータ/管アセンブリ40は、10本のフロースルー式の管72を備えている。なお、フロースルー式の管72の数は、これより多くても少なくてもよい。メッシュ44は、複数のフロースルー式の管72を実質的に包み込んでいる。メッシュ44は、一片の金属メッシュシートであることが好ましい。メッシュ44は、導電性を有し、及び電気抵抗を有する。好ましい実施の形態では、メッシュ44は、ステンレススチールを材料とする。これに代えて、電気抵抗を有する如何なる導電性材料を用いてもよい。複数の管72は、好ましくは、プラスチックを材料とする。各管72は、好ましくは、互いに実質的に平行に配列される。メッシュ44の各端部は、電気導線62に接続されている。各電気導線62は、電気コンタクト60を形成する。電気コンタクト60は、好ましくは、(図1に示すように、)一体化カセット10の外部に配置され、外部電源(図示せず)と電気的に接続される。
【0029】
メッシュ44は、好ましくは、従来の高容積の成形プロセス(high-volume molding process)を用いて、複数のフロースルー式の管72に結合される。この好適な成形プロセスでは、管72は、好ましくはプラスチック製であり、メッシュ44は、所定の位置に成形してもよく、プラスチック管72上に形成してもよい。
【0030】
一体化カセット10を使用する都度、電気コンタクト60は、外部電源に接続される。このようなプロセスは、簡単で、清潔で、再現性が高い。ヒータとして機能するメッシュ44は、先の製造工程の結果、管72に接触したままである。ヒータによって管を加熱する際、界面は毎回同じである必要がある。ある管から次の管について界面が一貫していない場合、不均一性が生じ、検査の結果が不正確なる。熱界面を製造段階で組み込むことによって、管72とメッシュ44(ヒータ)との間で、特定の一貫性がある接触又は熱界面が実現する。これにより、新たな試料を収容した新たな管をヒータに導入する都度、適切な熱界面を実現しなくてはならないという従来の課題が解決される。
【0031】
試料は、マイクロ流体回路70を介して各管72に送達される。マイクロ流体回路70は、一体化カセット10の製造時に、各管72に流体接続される。したがって、本発明に基づく一体化カセット10により、管を取り替える都度、試料送達機構を管に流体接続しなくてはならないという従来の課題が解決される。一体化カセット10を使い捨てにすることによって、マイクロ流体回路70は、製造時に、各管72に「接続」される。したがって、管は取り替えられず、取り替えられた管に試料送達機構を接続する必要性もない。
【0032】
従来の熱化学反応装置では、加熱のための管に新たな試料を送達する前に、先の試料が収容された管を置換又は洗浄する必要があった。洗浄は煩雑であり、汚染の可能性もある。管を置換する手法では、試料を管に送達するための試料送達機構を先の管から取り外し、新たな管に再接続する必要がある。更に、管を置換する場合、管をヒータからも取り外す必要がある。この場合、新たな管をヒータに接続する際に、新たな熱界面を適切に構成する必要がある。均一な熱界面が必要であるので、各管を置換する都度、新たな熱界面を構成する作業は、時間がかかり、複雑で、誤差も生じやすい。本発明に基づく一体化カセット10は、安価のユニットを実現し、使い捨てにすることによって、これらの問題を解決する。一体化カセット10は、使い捨てにできるため、管72に試料を送達するための流体接続及び管72とヒータ(メッシュ44)との間の熱界面は、永久的であり、従来のシステムにおける再構成の問題は生じない。
【0033】
図3は、メッシュ44の側面図である。メッシュ44は、好ましくは、各管72(図2)の実質的な部分を覆っている。メッシュ44は、好ましくは、各管72の輪郭に適合するように形成される。すなわち、メッシュ輪郭48は、各管72の周囲を囲むように形成される。図3に示すように、メッシュ輪郭48の断面は、ループ状の形状を有する。なお、メッシュ輪郭48の実際の形状は、対応する管72の形状に応じて異なる。電気コンタクト60に電圧が印加されると、メッシュ44を介して電流が流れる。メッシュ44の抵抗のため、メッシュ44は、電流が流れると、熱を発生する。メッシュ輪郭48は、各管72の周囲に熱界面を形成し、メッシュ44が熱を発生するので、この熱によって、メッシュ輪郭48において、熱界面を介して、管72が加熱される。メッシュ44がメッシュ輪郭48において熱を発生することを確実にするには、電流は、メッシュ輪郭48を介して流れる必要がある。したがって、短絡を防止するために、メッシュ輪郭48内の間隙46を維持しなければならない。間隙46がなければ、電流は、メッシュ輪郭48を介して流れず、したがって、管72の周囲で熱が均一に発生されない。間隙46に亘る電気アークが生じないよう、間隙46は、十分な大きさを有することが望ましい。
【0034】
固体の塊の代わりにメッシュを用いる利点としては、メッシュは、固体の塊に比べて、熱容量が小さいという点がある。熱容量が小さいほど、メッシュ、したがって、管の加熱効率(及び後述する冷却効率)が高くなる。
【0035】
メッシュを用いる他の利点としては、管72内の試料の熱応答が良好になるという点がある。例えば、熱応答が良好だと、試料が速やかに冷却される。
【0036】
メッシュを用いる他の利点としては、メッシュが不透明でないという点がある。光は、メッシュ44の網目を通り抜け、管72に到達することができる。ここで、管72を光学的に透明な材料から形成していれば、管72内の試料に対する光学検出を行うことができる。変形例として、メッシュ輪郭48の一部を取り除き、光学検出を実行するための、アクセス用の開口部を形成してもよい。
【0037】
変形例として、光学的終点検出装置を接続し、ここに、マイクロ流体回路70を介して、管72の1つ、一部又は全部から、試料を供給してもよい。試料が光学的終点検出装置に渡されると、試料は、蛍光検査等の光学的手法で分析される。
【0038】
図4は、各管72の好ましい構成を示している。図4に示すように、管72は、長手方向に沿って突出する突出部74を備える。突出部74は、管72の外表面から外側に突出し、管72の全長に沿って延びている。図5に示すように、突出部74は、メッシュ輪郭48に間隙46を形成する際の仕切りとして機能する。突出部74は、一体化されたヒータ(メッシュ)/管アセンブリ40の製造時に役立ち、これにより、メッシュ44を管72の周囲に形成する際、メッシュ輪郭48のループが閉じることを防止し、この結果、短絡が生じる可能性を排除する。
【0039】
変形例においては、メッシュ44は、間隙46のような間隙がなく、管を完全に包囲するメッシュと置換してもよい。この変形例では、メッシュの各端部に接続された電気導線、例えば、図2の電気導線62は、メッシュの上部及び底部に接続された電気導線に置換される。この場合、電流は、メッシュの上部からメッシュの底部に、又はこの逆の方向に流れ、短絡は生じない。
【0040】
他の変形例では、一体化カセット10は、管72及びメッシュ44を冷却するための冷却器を有する。冷却器は、メッシュ44を介して管72に空気を吹きつけるファンであってもよい。冷却器は、一体化カセット10内に一体化してもよく、又は冷却を外部的に接続し、管72及びメッシュ44、又はこれらの一部を冷却器に曝してもよい。冷却器を追加することによって、管72内の試料に対して実行される冷却サイクルを加速することができる。なお、冷却器を設けない場合でも、熱は、各管72内の試料から自然に消散するので、冷却サイクルは、より遅い速度で行われる。
【0041】
一体化されたマイクロ流体カセット10の動作について、図1〜図5を参照して説明する。一体化されたマイクロ流体カセット10は、好ましくは、PCR熱サイクルのために用いられる。これに代えて、一体化されたマイクロ流体カセット10は、如何なる種類の熱化学反応に使用してもよく、より一般には、熱反応を実現する装置として使用してもよい。
【0042】
好ましくは、供給チャンバ20に試料を入れる前に、電気コンタクト60を介して、一体化されたマイクロ流体カセット10を外部電源に接続する。そして、試料を供給チャンバ20に入れる。試料は、マイクロ流体回路70を介して、試料調製モジュール30に送られる。試料調製モジュール30内で、試料は、一体化されたヒータ/管アセンブリ40への送達のために調製される。好ましい実施の形態では、供給される試料は、少なくとも1つの細胞タイプを含み、試料調製モジュール30は、この少なくとも1つの細胞タイプを溶解させる溶解モジュール32と、溶解された細胞タイプ内に含まれているタンパク質を精製する精製モジュール34とを備える。そして、精製されたタンパク質は、回収され、マイクロ流体回路70を介して、一体化されたヒータ/管アセンブリ40に送達される。なお、試料調製モジュール30は、他のタイプの試料を調製し、精製されたタンパク質以外の物質を提供してもよい。
【0043】
試料調製モジュール30からの調製された試料は、用途に応じて、複数の試料に分割され、一体化されたヒータ/管アセンブリ40内の専用の単一管72に個別に送達してもよい。試料調製モジュール30内で複数の異なる細胞タイプを調製した場合、各異なる細胞タイプ試料を一体化されたヒータ/管アセンブリ40内の専用の単一管72に個別に送達してもよい。更に、各細胞タイプ試料は、一体化されたヒータ/管アセンブリ40に送達される前に分割してもよい。このようにして、同じ細胞タイプの複数の試料及び複数の異なる細胞タイプの試料を、一体化されたヒータ/管アセンブリ40に同時に送達し、処理することができる。
【0044】
一体化されたヒータ/管アセンブリ40内の管72に試料が供給されると、電気コンタクト60を介してメッシュ44に電圧が印加される。メッシュ44に亘って電圧を印加すると、熱が発生し、管72が加熱される。電圧は、所定の期間印加され、この期間経過後は、電圧は印加されない。電圧が印加されなくなると、メッシュ44は、熱を発生しなくなり、管72が冷却される。この冷却過程を加速するために冷却器を用いてもよい。これらの加熱ステップ及び冷却ステップとをまとめて、熱サイクルと呼ぶ。管72から試料を取り出す前に、1回以上の熱サイクルを試料に適用できる。試料は、一体化されたヒータ/管アセンブリ40からマイクロ流体回路70を介して、取出チャンバ50に移動される。
【0045】
フロースルー式の管72を使用することには、多くの利点がある。1つの利点として、同時に、複数の異なるタイプの試料を処理でき、この結果、処理能力を高めることができる。他の利点として、確認及び冗長性のために、同じタイプの複数の試料を、同時に及び実質的に同様に処理できる。また、複数の管により、試料を処理する際、正対照及び負対照の両方の対照を用いることができる。対照試料によって、一体化カセット10が適切に動作しているかを判定することができる。また、対照試料によって、試料の処理の結果を検証することができる。例えば、他の試料を通常の手法で処理しながら、例えば、水等の既知の試料を管の1つに入れることによって、既知の結果に対して、既知の試料の結果を測定できる。既知の試料が期待された結果に処理された場合、他の試料も同じ熱化学反応プロトコールに曝されたと結論づけることができる。ヒータ内で単一の管を処理する従来のシステムでは、ヒータによって処理される2つの異なる試料が同じ熱化学反応プロトコールに曝されたか否かを知ることができなかった。同じ管構成を用いることによって、対照を用いて、ハードウェアの正しい動作を確認し、各試料が同じ条件の組に曝されたことを確認することができる。
【0046】
管72のフロースルー機能の利点は、一体化カセット10を自動化できる点である。マイクロ流体回路70は、管72を介する試料のフローを調整する。マイクロ流体回路は、バルブ、ポンプ及び反応力を用いて、試料を各管72の第1の端部に供給し、熱化学反応のために、管72内に試料を維持した後、管72の第2の端部から試料を取り出す。これらの動作の全ては、自動的に行われる。これに代えて、管72の同じ端部を介して、試料を供給し、及び取り出してもよい。いずれの場合も、試料が取り出される端部の反対側の管72の端部は、試料移動の間、通気のために開かれる。
【0047】
更に、一体化カセット10によって実行される全てのプロセスは、自動化することが好ましい。入力試料は、試料調製モジュールによって自動的に調製され、調製された試料は、ヒータ/管アセンブリ内で熱化学反応によって自動的に増幅される。
【0048】
これまで、主にPCRプロセスの応用例に関連して、本発明に基づくヒータ/管アセンブリを説明した。なお、本発明に基づくヒータ/管アセンブリは、様々な熱化学反応に用いることができ、これらの具体例としては、以下に限定されるものではないが、有機反応、無機反応、合成反応、分析的反応、生物学的、分子反応、微生物学的反応、生化学的反応、及び他の化学反応及び物理反応等が含まれる。幾つかの実施の形態は、有機化合物の合成、無機触媒反応、微生物及び細胞の成長、酵素反応及び薬品の製造を含む。
【0049】
本発明の構成及び動作原理を明瞭に説明するために、様々な詳細を含む特定の実施の形態を用いて本発明を説明した。このような特定の実施の形態の説明及びその詳細は、特許請求の範囲を制限するものではない。本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、例示的に選択された実施例を変更できることは、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に基づく一体化された装置の例示的なブロック図である。
【図2】図1に示すヒータ/管アセンブリを示す図である。
【図3】図2に示すヒータ/管アセンブリで用いられるメッシュの側面図である。
【図4】図2に示す各管の好ましい構成を示す斜視図である。
【図5】メッシュに包まれた好適な管の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱化学反応を行う反応装置において、
1.1つ以上の管のそれぞれを実質的に覆い、メッシュ自体と、該1つ以上の管のそれぞれとの間に熱界面を形成する導電性のメッシュと、
2.上記メッシュに連結された電気的接触手段とを備え、
上記電気的接触手段への電圧の印加によって、上記メッシュが熱を発生し、該熱が熱界面を介して上記各管内の試料に伝導されることを特徴とする反応装置。
【請求項2】
上記1つ以上の管に連結され、該1つ以上の管に到達する前に各試料を調製する試料調製モジュールを有するマイクロ流体カセットを更に備える請求項1記載の反応装置。
【請求項3】
上記マイクロ流体カセットは、上記1つ以上の管に各試料を供給する供給手段と、上記1つ以上の管から各試料を取り出す取出手段とを備えることを特徴とする請求項2記載の反応装置。
【請求項4】
上記試料調製モジュールは、上記試料を溶解する溶解手段を備えることを特徴とする請求項2記載の反応装置。
【請求項5】
上記試料調製モジュールは、上記試料を精製する精製手段を備えることを特徴とする請求項2記載の反応装置。
【請求項6】
上記マイクロ流体カセット、1つ以上の管及びメッシュは、一体化されたデバイスである特徴とする請求項2記載の反応装置。
【請求項7】
上記一体化されたデバイスは、使い捨てのデバイスであることを特徴とする請求項6記載の反応装置。
【請求項8】
上記一体化されたデバイスは、再使用可能であることを特徴とする請求項6記載の反応装置。
【請求項9】
上記一体化されたデバイスは、上記電気的接触手段を介して電源から取り外し可能であることを特徴とする請求項6記載の反応装置。
【請求項10】
上記電気的接触手段は、2つの電気コンタクトを有することを特徴とする請求項9記載の反応装置。
【請求項11】
上記マイクロ流体カセットは、上記一体化されたデバイスを介する各試料のフローを調整するマイクロ流体回路を備えることを特徴とする請求項6記載の反応装置。
【請求項12】
上記一体化されたデバイスは、自動化されていることを特徴とする請求項11記載の反応装置。
【請求項13】
上記マイクロ流体回路は、管内の試料による熱化学反応を維持することを特徴とする請求項11記載の反応装置。
【請求項14】
上記1つ以上の管のそれぞれは、試料が供給される第1の端部と、試料が取り出される第2の端部とを有し、上記マイクロ流体回路は、各管を介する試料のフローを調整することを特徴とする請求項11記載の反応装置。
【請求項15】
上記1つ以上の管は、実質的に相互に平行に配設され、該1つ以上の管を通過する1つ以上の試料のそれぞれは、パラレルに処理されることを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項16】
上記各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料が供給されることを特徴とする請求項15記載の反応装置。
【請求項17】
上記各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料が供給されることを特徴とする請求項15記載の反応装置。
【請求項18】
少なくとも1つの試料は、対照試料であることを特徴とする請求項15記載の反応装置。
【請求項19】
上記各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料及び対照試料のうちのいずれかが供給されることを特徴とする請求項15記載の反応装置。
【請求項20】
上記1つ以上の管に空気を送るように配置され、各管内の各試料を冷却する送風機を更に備え、上記メッシュは、該送風機が供給する空気を通過させることを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項21】
上記メッシュは、金属ワイヤメッシュを含むことを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項22】
上記金属ワイヤメッシュは、ステンレススチールを含むことを特徴とする請求項21記載の反応装置。
【請求項23】
上記1つ以上の管のそれぞれは、上記メッシュが該管を完全に覆わないように、長手方向に沿って外側に突出する突出部を備えることを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項24】
上記メッシュ及び1つ以上の管のそれぞれは、該1つ以上の管のそれぞれのうちの各試料に光学解析を実行できるように、光学的に透明であることを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項25】
上記1つ以上の管の1つから試料を受け取るように連結され、該受け取った試料に対して光学解析を実行する光学検出器を更に備える請求項1記載の反応装置。
【請求項26】
上記1つ以上の管のそれぞれは、閉じられた第1の端部と開かれた第2の端部とを有することを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項27】
上記1つ以上の管のそれぞれは、両端部が開かれているフロースルー管であることを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項28】
試料調製及び熱化学反応を自動的に実行する一体化された反応装置において、
1.1つ以上の試料のそれぞれを自動的に調製する試料調製モジュールを有するマイクロ流体カセットと、
2.上記試料調製モジュールに連結され、それぞれが、上記1つ以上の試料の1つを受け取る1つ以上の管と、
3.上記1つ以上の管のそれぞれを実質的に覆い、メッシュ自体と、該1つ以上の管のそれぞれとの間に熱界面を形成する導電性のメッシュと、
4.上記メッシュに連結された電気的接触手段とを備え、
上記電気的接触手段への自動的な電圧の印加によって、メッシュが熱を発生し、該熱が熱界面を介して上記各管内の試料に伝導されることを特徴とする一体化された反応装置。
【請求項29】
上記試料調製モジュールは、上記供給された試料を溶解する溶解手段を備えることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項30】
上記試料調製モジュールは、上記供給された試料を精製する精製手段を備えることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項31】
上記マイクロ流体カセットは、当該一体化された反応装置を介する各試料のフローを自動的に調整するマイクロ流体回路を備えることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項32】
上記マイクロ流体回路は、管内の試料による熱化学反応を自動的に維持することを特徴とする請求項31記載の一体化された反応装置。
【請求項33】
上記1つ以上の管のそれぞれは、試料が供給される第1の端部と、試料が取り出される第2の端部とを有し、上記マイクロ流体回路は、各管を介する試料のフローを自動的に調整することを特徴とする請求項31記載の一体化された反応装置。
【請求項34】
上記1つ以上の管は、実質的に相互に平行に配設され、該1つ以上の管を通過する1つ以上の試料のそれぞれは、自動的にパラレルに処理されることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項35】
上記各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料が供給されることを特徴とする請求項34記載の一体化された反応装置。
【請求項36】
上記各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料が供給されることを特徴とする請求項34記載の一体化された反応装置。
【請求項37】
少なくとも1つの試料は、対照試料であることを特徴とする請求項34記載の一体化された反応装置。
【請求項38】
上記各管には、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料と同じ試料タイプの試料、他の1つ以上の管のそれぞれに供給される試料とは異なる試料タイプの試料及び対照試料のうちのいずれかが供給されることを特徴とする請求項34記載の一体化された反応装置。
【請求項39】
上記メッシュは、金属ワイヤメッシュを含むことを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項40】
上記金属ワイヤメッシュは、ステンレススチールを含むことを特徴とする請求項39記載の一体化された反応装置。
【請求項41】
上記1つ以上の管のそれぞれは、上記メッシュが該管を完全に覆わないように、長手方向に沿って外側に突出する突出部を備えることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項42】
上記メッシュ及び1つ以上の管のそれぞれは、該1つ以上の管のそれぞれのうちの各試料に光学解析を実行できるように、光学的に透明であることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項43】
フロースルー管である上記複数の管の1つ以上から試料を受け取るように連結され、該受け取った試料に対して光学解析を実行する光学検出器を更に備える請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項44】
上記1つ以上の管のそれぞれは、閉じられた第1の端部と開かれた第2の端部とを有することを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項45】
上記1つ以上の管のそれぞれは、両端部が開かれているフロースルー管であることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項46】
上記マイクロ流体カセットは、上記1つ以上の管に各試料を供給する供給手段と、上記1つ以上の管から各試料を取り出す取出手段とを備えることを特徴とする請求項28記載の一体化された反応装置。
【請求項47】
1.それぞれが試料を受け入れる1つ以上の管と、
2.1つ以上の管のそれぞれを実質的に覆い、メッシュ自体と、該1つ以上の管のそれぞれとの間に熱界面を形成する導電性のメッシュと、
3.電圧の印加によって、メッシュが熱を発生し、該熱が熱界面を介して上記各管内の試料に伝導される電気的接触手段と、
4.上記1つ以上の管に空気を送るように配置され、各管内の各試料を冷却する送風機とを備え、
上記メッシュは、該送風機が供給する空気を通過させる熱制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−504377(P2009−504377A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526049(P2008−526049)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029144
【国際公開番号】WO2007/021482
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(507077503)マイクロフルイディク システムズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】