説明

収納型接続装置

【課題】収納型接続装置において汎用のコネクタやソケット・プラグの使用のもとに、収納型接続装置の操作性を改善すること。
【解決手段】ホルダ部材40が使用位置にあるときに、ホルダ部材40に保持された接続具90に接続対象物を差し込む力がホルダ部材40を使用位置に向かうトルクとしてホルダ部材40に作用するように、接続対象物を差し込む方向の力の作用線Fに対してホルダ部材40の回転軸線Xをオフセットした位置に配置にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納型接続装置に関し、更に詳細には、コネクタやソケット・プラグ等の接続具を用いて電気配線やガス配管等の接続を行う接続装置であって、接続具が収納可能で、壁面や床面に埋め込み配置される収納型接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収納型接続装置として、相手側コネクタとの接続部が外部に露呈しない収納位置と、前記接続部が外部に露呈して相手側コネクタとの接続が行われ得る使用位置との間にコネクタが固定部材に回動可能に取り付けられ、ばねのばね力によって前記コネクタが前記収納位置に向けて付勢され、非使用時には防塵等のために前記コネクタが前記収納位置に位置し、使用時には相手側コネクタに特別に設けられた押圧棒によって前記コネクタが押されることによりばね力に抗して前記使用位置に回動するように構成されたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、リッド開閉型の接続装置として、接続対象物との接続口部分に開閉可能なリッドが設けられ、非使用時には防塵や外観美のためにリッドによって接続口部分を塞ぎ、使用時にはリッドが開けられるように構成されたコネクタやソケット・プラグ(コンセント)が知られている(特許文献2)。また、合成樹脂製のリッドが薄肉ヒンジによって開閉可能になっているリッド開閉型の接続装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−192516号公報
【特許文献2】特開平11−294669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の収納型接続装置は、相手側コネクタに押圧棒を設ける必要があり、汎用コネクタの使用を妨げる。また、コネクタが使用位置にあるとき、コネクタの接続部に相手側コネクタを差し込む力によってコネクタが収納位置に戻らないよう、押圧棒によってコネクタを押さえ込まなくてはならない。
【0006】
従来のリッド開閉型の接続装置は、リッドの開閉操作が煩雑なものになったり、リッドを開位置に保持できなかったりし、操作性が悪い。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、収納型接続装置において汎用のコネクタやソケット・プラグの使用のもとに、収納型接続装置の操作性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による収納型接続装置は、開口(12)を形成された壁体(14)を有するベース部材(10)と、接続具(90)を保持し前記接続具(60)を前記壁体(14)の背面側に収納する収納位置と、前記接続具(90)に接続対象物(96)を差し込むべき使用位置との間を前記使用位置にある前記接続具(90)に接続対象物(96)を差し込む方向に対して直交する回転軸線(X)周りに回転可能に前記ベース部材(10)に支持されたホルダ部材(40)とを有し、前記ホルダ部材(40)は、前記使用位置にあるときには、前記接続具(90)を前記開口(12)から露呈し、前記収納位置にあるときには、前記開口(12)を閉じるように構成され、前記ホルダ部材(40)は、前記収納位置から前記使用位置に向かう回転運動の限度を定めるべく、前記ベース部材(10)の一部(18A)と衝当する衝当部(60)を有し、前記ホルダ部材(40)が前記使用位置にあるとき、前記接続具(90)に接続対象物(96)を差し込む力が前記ホルダ部材(40)を前記使用位置に向かうトルクとして前記ホルダ部材(40)に作用するように、前記接続対象物(96)を差し込む方向の力の作用線(F)に対して前記回転軸線(X)がオフセットしている。
【0009】
この構成によれば、ホルダ部材(40)の回転軸線(X)がホルダ部材(40)に設置された接続具(90)に接続対象物(96)を差し込む方向の力の作用線(F)に対してオフセットしていることにより、ホルダ部材(40)に接続対象物(96)を差し込む際に、その差し込み力は、ホルダ部材(40)の衝当部(60)をベース部材(10)の一部(18A)に突き当てる方向に作用するので、ホルダ部材(40)が使用位置にある状態が安定して保たれる。これにより、接続具(90)に接続対象物(96)を差し込む操作が、片手で、操作性よく、円滑且つ確実に行われ得るようになる。
【0010】
本発明による収納型接続装置は、好ましくは、更に、前記ホルダ部材(40)と前記ベース部材(10)には前記ホルダ部材(40)を前記使用位置に係脱可能に係止する使用位置係止部が設けられている。
【0011】
この構成によれば、使用位置においてホルダ部材(40)が振動等によってぐらつくことがなく、接続具(90)に対する接続対象物(96)の接続状態がぐらつきによって不安定になることが回避される。
【0012】
本発明による収納型接続装置は、好ましくは、前記ホルダ部材(40)と前記ベース部材(10)には前記ホルダ部材(40)を前記収納位置に係脱可能に係止する収納位置係止部が設けられている。
【0013】
この構成によれば、収納位置においてホルダ部材(40)が走行等によってぐらつくことがなく、見栄えがよいものになる。
【0014】
本発明による収納型接続装置は、好ましくは、前記ベース部材(10)は当該ベース部材(10)の開口(12)より小さい開口(102)を有するパネル(100)の裏面側に配置されるものであり、更に、前記ホルダ部材(40)は、前記使用位置において、当該ホルダ部材(40)と前記パネル(100)の開口(102)の縁部との間にできる間隙を閉じる遮蔽壁部(66)を有する。
【0015】
この構成によれば、遮蔽壁部(66)によって、使用位置において、ホルダ部材(40)とパネル(100)の開口(102)の縁部との間にできる間隙が閉じられ、使用状態における見栄えがよいものになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による収納型接続装置は、ホルダ部材が使用位置にあるとき、ホルダ部材の接続具に接続対象物を差し込む方向の力の作用線に対してホルダ部材の回転軸線がオフセットしていることにより、接続具に接続対象物を差し込む力がホルダ部材を使用位置に向かうトルクとしてホルダ部材に作用するので、ホルダ部材に接続対象物を差し込む操作の際に、その差し込み力は、ホルダ部材の衝当部をベース部材の一部に突き当てる方向に作用し、ホルダ部材が使用位置にある状態が安定して保たれる。これにより、汎用の接続具の使用のもとに、収納型接続装置の操作性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による収納型接続装置を自動車のインストルメントパネルに設置した実施例を示す斜視図であり、(A)は収納状態を、(B)は収納状態と使用状態の中間状態を、(C)は使用状態を各々示している。
【図2】本実施例による収納型接続装置の断面図(図1(A)の線II-II断面相当)であり、(A)は収納状態を、(B)は使用状態を各々示している。
【図3】本実施例による収納型接続装置の収納状態を示す斜視図。
【図4】本実施例による収納型接続装置に用いられるベース部材を前側から見た斜視図。
【図5】本実施例による収納型接続装置に用いられるベース部材を後側から見た斜視図。
【図6】本実施例による収納型接続装置に用いられるベース部材の背面図。
【図7】図6の線VII−VIIに沿った断面図。
【図8】本実施例による収納型接続装置に用いられるホルダ部材を前側から見た斜視図。
【図9】本実施例による収納型接続装置に用いられるホルダ部材を後側から見た斜視図。
【図10】本実施例による収納型接続装置に用いられるホルダ部材の側面図。
【図11】本実施例による収納型接続装置に用いられるホルダ部材の背面図。
【図12】図11の線XII−XIIに沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による収納型接続装置の一つの実施例を、図1〜図12を参照して説明する。本実施例は、自動車のインストルメントパネル100に設置される車載用のUSBコネクタに適用したものである。本実施例では、収納型接続装置は竪面部に設置されることにより、説明の便宜上、装置の操作面側を前側とし、前後、左右、上下の各方向を、各図に示されているように定義する。
【0019】
本実施例による収納型接続装置は、図2、3に示されているように、樹脂成形品によるベース部材10と、ホルダ部材40とを有する。
【0020】
ベース部材10は、図2〜図7に示されているように、縦長四角形の開口12を形成された枠状の壁体14と、開口12の左右側縁と上縁とに沿って延在して壁体14の背面(後面)より後方に突出した左右の側壁部16と上壁部18とを一体に有する。上壁部18は左右方向の中央部が上方に突出した段部18Bを有している。段部18Bには、図2に示されているように、ベース部材10をインストルメントパネル100の背面側にねじ止めするための取付片20が段部18Bより上方に延出した形態で一体成形されている。
【0021】
ベース部材10は、図2に示されているように、取付片20のねじ止めによって壁体14の前面がインストルメントパネル100の背面に接合するようにインストルメントパネル100に固定される。インストルメントパネル100には壁体14の開口12と重なり合う縦長四角形の開口102が形成されている。開口102の左右寸法は開口12の左右寸法に同じであるが、上下寸法は開口12の上下寸法より小さい。
【0022】
左右の側壁部16には、開口12を左右方向に横切る一つの水平軸線Xa(図6参照)上に丸孔による軸受孔22が貫通形成されている。
【0023】
上壁部18の段部18Bの下方には、壁体14の裏面より後方に水平に延出する第1の弾性爪片24が一体成形されている。第1の弾性爪片24は前端のみを壁体14の裏面に固定された片持ち片であって上下方向に弾性変形可能である。第1の弾性爪片24の遊端(後端)には、図2、図5、図7に示されているように、下方に突出した係止突起部26が一体成形されている。係止突起部26は前面が起立した係止壁面26Aになっている。
【0024】
左右の側壁部16の下側部分には、図4〜図7に示されているように、側壁部16に互いに上下に離れて設けられた二つのスリット28によって第2の弾性爪片30が画成されている。第2の弾性爪片30は壁体14の裏面より後方に水平に延在する片持ち片であって左右方向に弾性変形可能である。第2の弾性爪片30の遊端(後端)には、内方に突出した係止突起部32が一体成形されている。係止突起部32は前面が起立した係止壁面32Aになっている。
【0025】
ホルダ部材40は、図2、図3、図8〜図12に示されているように、両端開口の四角筒状をしたホルダ主部42を有する。ホルダ主部42は筒内側がコネクタ配置部44になっていている。コネクタ配置部44には、図2に示されているように、接続具であるUSB雌側コネクタ90が固定配置されている。
【0026】
USB雌側コネクタ90は、USB規格による汎用品であり、一端部が接続対象物であるUSB雄側コネクタ96(図2参照)を差し込まれる差込口(接続端部)92となっており、差込口92がホルダ主部42の一方の開口端44Aより外方に露呈する配置になっている。USB雄側コネクタ96もUSB規格による汎用品である。USB雌側コネクタ90の横幅(左右寸法)はコネクタ配置部44の横幅(左右寸法)に略等しく、USB雌側コネクタ90の縦寸法(図2(B)に示されている使用状態での上下寸法)はコネクタ配置部44の縦寸法より小さい。この縦寸法の設定のもとに、USB雌側コネクタ90はコネクタ配置部44において後述するリッド壁部46の背面側に偏った配置になっている。なお、ホルダ主部42の他方の開口端44BはUSB雌側コネクタ90に接続されたフレキシブルケーブル94を通すための開口になっている。
【0027】
図2(A)に示されている収納状態で前側に起立して存在するホルダ主部42の前壁部は、ベース部材10の開口12より少し小さく、インストルメントパネル100の開口102と同じ大きさの四角形状のリッド壁部46をなしている。リッド壁部46の下部には前方に突出したプッシュ用つまみ部48が形成されている。
【0028】
ホルダ主部42の左右の側壁部50の外壁面には一つの水平軸線Xb(図11参照)上に円柱状の軸部52が外方へ向けて突出形成されている。左右の軸部52はベース部材10の左右の軸受孔22に各々回転可能に嵌合する(図3参照)。この嵌合により、水平軸線XaとXbとが重畳し、ホルダ部材40は、重畳した水平軸線Xa、Xbを一つの回転軸線X(図2、図3参照)として当該回転軸線X周りにベース部材10によって回転可能に支持される。回転軸線Xは、ホルダ部材40が後述する使用位置にある状態で、USB雌側コネクタ90にUSB雄側コネクタ96を差し込む方向(前後方向)に対して直交する方向に延在する回転軸線である。
【0029】
ホルダ部材40は、図2(A)に示されているように、リッド壁部46が壁体14と平行に延在する起立姿勢となってリッド壁部46によってベース部材10の開口12を実質的に閉じ、コネクタ配置部44のUSB雌側コネクタ90をベース部材10の壁体14の背面側に位置させる収納位置と、図2(B)に示されているように、上述の収納位置より回転軸線X周りに図2で見て時計廻り方向に90度回転してリッド壁部46が開口12を閉じる位置より離れて水平姿勢となり、コネクタ配置部44に設置されたUSB雌側コネクタ90の差込口92が開口12より外方(前方)に露呈し、接続相手側のUSB雄側コネクタ96を差し込むべき使用位置との間に回動可能になっている。
【0030】
なお、収納位置では、リッド壁部46は、図1(A)、図2(A)に示されているように、インストルメントパネル100の開口102に嵌り込み、プッシュ用つまみ部48を除く前面がインストルメントパネル100の前面と面一となって開口102を完全に閉じる設定になっている。リッド壁部46は、開口102を完全に閉じる大きさであれば、前述したように、ベース部材10の開口12より少し小さくてよく、収納位置においてベース部材10の開口12を完全に閉じるものでなくてよい。このことは、ベース部材10の開口12の大きさとインストルメントパネル100の開口102の大きさにより決まる。
【0031】
ホルダ主部42の後壁部54には平板状のストッパ片56が突出形成されている。ストッパ片56は、リッド壁部46とは90度異なる方向に延在していて、先端部中央に凹部58を形成されている。凹部58の左右両側部分は衝当部60になっている。衝当部60は、前述の使用位置において前面60A(使用位置での前面)をもって上壁部18の先端面(後面)18Aに衝当することにより、ホルダ部材40が収納位置から使用位置に向かう回転運動の限度を定め、使用位置を超えてホルダ部材40が図2で見て時計廻り方向に回動することを禁止する。
【0032】
凹部58の底部は、使用位置において第1の弾性爪片24の係止突起部26と係脱可能に係合する第1の係止部62になっている。第1の係止部62は、ホルダ部材40が図2で見て時計廻り方向の回動によって収納位置より使用位置に位置することにより、第1の弾性爪片24を弾性変形させつつ係止突起部26を乗り越える。これにより、第1の係止部62の後面62A(使用位置での後面)が係止突起部26の係止壁面26Aに当接することにより、ホルダ部材40が使用位置より収納位置へ自由に戻ることを禁止する。この状態をホルダ部材40が使用位置に係止された状態と云う。
【0033】
使用位置においてホルダ部材40に、図2で見て反時計廻り方向の回動力、つまり、ホルダ部材40を収納位置に戻す方向の力が、所定値以上作用すると、第1の係止部62が第1の弾性爪片24を弾性変形させつつ係止突起部26を逆方向に乗り越え、第1の係止部62の後面62Aが係止壁面27との当接より離れる。これにより、使用位置におけるホルダ部材40の係止が解除され、ホルダ部材40は図2で見て反時計廻り方向に自由に回動できるようになる。
【0034】
このようにして、係止突起部26を有する第1の弾性爪片24と第1の係止部62とによって、ホルダ部材40の回転操作だけで、ホルダ部材40を使用位置に係脱可能に係止する使用位置係止部が構成されている。
【0035】
ホルダ部材40の左右の側壁部50の外壁面には第2の係止部64が突出形成されている。第2の係止部64は後面(収納位置での後面)が起立した係止壁面64Aになっている。第2の係止部64は、ホルダ部材40が図2で見て反時計廻り方向の回動によって使用位置より収納位置に位置することにより、第2の弾性爪片30を弾性変形させつつ係止突起部32を乗り越え、係止壁面64Aが係止突起部32の係止壁面32Aに当接することにより、ホルダ部材40が収納位置より使用位置へ自由に戻ることを禁止する。この状態をホルダ部材40が収納位置に係止された状態と云う。
【0036】
収納位置においてホルダ部材40に、図2で見て時計廻り方向の回動力、つまり、ホルダ部材40を使用位置に回動させる方向の力が、所定値以上作用すると、第2の係止部64が第2の弾性爪片30を弾性変形させつつ係止突起部32を逆方向に乗り越え、係止壁面64Aが係止壁面32Aとの当接より離れる。これにより、収納位置におけるホルダ部材40の係止が解除され、ホルダ部材40の回転操作だけで、ホルダ部材40は図2で見て時計廻り方向の自由に回動できるようになる。
【0037】
このようにして、係止突起部32を有する第2の弾性爪片30と第2の係止部64とによって、ホルダ部材40を収納位置に係脱可能に係止する収納位置係止部が構成されている。
【0038】
ホルダ部材40の後壁部54には平板状の遮蔽壁部66が突出形成されている。遮蔽壁部66は、ストッパ片56と平行な突起片であり、使用位置において、ホルダ部材40の上部とインストルメントパネル100の開口102の上縁部との間にできる間隙を閉じる。
【0039】
なお、遮蔽壁部66とストッパ片56との間には、補強のために、当該両者を互いに接続するリブ68が一体成形されている。
【0040】
ホルダ部材40が、図1(A)に示されている収納位置にある状態において、USB雌側コネクタ90を使用する際には、リッド壁部46の下部にあるプッシュ用つまみ部48を指先で押す。これにより、第2の弾性爪片30の係止突起部32と第2の係止部64との係合が外れ、ホルダ部材40が軸部52を回転中心として回転軸線X周りに、図2で見て時計廻り方向に回転する。この回転によって、図1(B)に示されているように、ホルダ部材40の上側がインストルメントパネル100の開口102より前方に突出する。
【0041】
次に、ホルダ部材40が開口102より前方に突出した部分を、指先で押し下げるようにして、ホルダ部材40の衝当部60の前面60Aがベース部材10の上壁部18の先端面18Aに突き当たるまで、ホルダ部材40を回転軸線X周りに同方向に回転させる。図2(B)に示されているように、衝当部60の前面60Aが上壁部18の先端面18Aに衝当し、ホルダ部材40が使用位置に位置すると、第1の弾性爪片24の係止突起部26と第1の係止部62とが係合し、ホルダ部材40が使用位置に係止される。
【0042】
この使用位置では、図1(C)に示されているコネクタ配置部44に設置されているUSB雌側コネクタ90の差込口92が壁体14の開口12及びインストルメントパネル100の開口102より前方に露呈し、差込口92に接続相手のUSB雄側コネクタ96を差し込める状態になる。
【0043】
図2(B)に示されているように、ホルダ部材40の回転軸線Xの配置位置とコネクタ配置部44におけるUSB雌側コネクタ90の取付位置との相対位置関係により、ホルダ部材40が使用位置にある時には、ホルダ部材40の回転軸線XがUSB雌側コネクタ90の差込口92にUSB雄側コネクタ96を差し込む方向の力の作用線Fより上側に変位量eだけ偏倚した位置にある。
【0044】
このように、USB雄側コネクタ96を差し込む方向の力の作用線Fに対してホルダ部材40の回転軸線Xがオフセットしていることにより、コネクタ配置部44に取り付けられたUSB雌側コネクタ90の差込口92にUSB雄側コネクタ96を差し込む力が、ホルダ部材40を使用位置に向かうトルク(図2で見て時計廻り方向の力)としてホルダ部材40に作用する。
【0045】
これにより、ホルダ部材40が使用位置にある状態において、USB雌側コネクタ90の差込口92にUSB雄側コネクタ96を差し込む操作の際に、その差し込み力は、ホルダ部材40の衝当部60の前面60Aをベース部材10の上壁部18の先端面18Aに突き当てる方向に作用するので、ホルダ部材40が使用位置にある状態が安定して保たれる。
【0046】
したがって、USB雄側コネクタ96の差し込み力によってホルダ部材40が収納位置側に動いてコネクタ接続が行われ難くなる不具合が生じることがなく、USB雌側コネクタ90の差込口92に接続対象物を差し込む操作が、片手で、操作性よく、円滑且つ確実に行われ得るようになる。これにより、汎用のUSBコネクタの使用のもとに、収納型接続装置の操作性が改善される。
【0047】
ホルダ部材40が使用位置にある状態では、図1(C)に示されているように、遮蔽壁部66が、ホルダ部材40の上部とインストルメントパネル100の開口102の上縁部との間にできる間隙を閉じるから、使用位置において見栄えがよいものになる。
【0048】
また、ホルダ部材40が、使用位置において、第1の弾性爪片24の係止突起部26と第1の係止部62との係合によって係止されることにより、走行振動等によってホルダ部材40がぐらつくことがなく、USB雌側コネクタ90とUSB雄側コネクタ96との接続状態がぐらつきによって不安定になることが回避される。
【0049】
ホルダ部材40を使用位置より収納位置に戻す際には、USB雌側コネクタ90の差込口92よりUSB雄側コネクタ96を引き抜き、ホルダ部材40がインストルメントパネル100の開口102より前方に突出している部分を引き上げるように回転させる。これにより、第1の弾性爪片24の係止突起部26と第1の係止部62との係合が外れ、ホルダ部材40が軸部52を回転中心として回転軸線X周りに、図2で見て反時計廻り方向に回転し、もとの収納位置に戻に戻る。ホルダ部材40が収納位置に位置すると、第2の弾性爪片30の係止突起部32と第2の係止部64とが係合し、ホルダ部材40が収納位置に係止される。
【0050】
この係止状態では、収納位置においてホルダ部材40が走行振動等によってぐらつくことがなく、しかもプッシュ用つまみ部48を除くリッド壁部46の前面がインストルメントパネル100の前面と面一となって開口102を閉じる状態が保たれ、見栄えがよいものになる。
【0051】
以上、本発明を、その好適形態の実施例について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施例により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、接続具は、USBコネクタに限られることはなく、HDMI等の信号線ケーブルのコネクタ、電力ケーブルのコネクタやソケット・プラグ、都市ガス等の燃焼ガスのソケット・プラグであってもよい。何れのにおいても、規格品や汎用の接続具を使用することができる。使用位置係止部、収納位置係止部は、弾性爪式に限られることはなく、凹凸係合式等、ホルダ部材の回転だけで係脱する構造のものであればよい。また、本発明による収納型接続装置の設置場所は、自動車のインストメントパネルに限られることはなく、建物の壁面や床面に埋め込み配置されてもよい。また、上記実施例に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 ベース部材
12 開口
14 壁体
22 軸受孔
24 第1の弾性爪片
30 第2の弾性爪片
40 ホルダ部材
42 ホルダ主部
44 コネクタ配置部
46 リッド壁部
50 側壁部
52 軸部
56 ストッパ片
60 衝当部
62 第1の係止部
64 第2の係止部
66 遮蔽壁部
90 USB雌側コネクタ
92 差込口
96 USB雄側コネクタ
100 インストルメントパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を形成された壁体を有するベース部材と、
接続具を保持し、前記接続具を前記壁体の背面側に収納する収納位置と、前記接続具に接続対象物を差し込むべき使用位置との間を、前記使用位置にある前記接続具に接続対象物を差し込む方向に対して直交する回転軸線周りに回転可能に前記ベース部材に支持されたホルダ部材とを有し、
前記ホルダ部材は、前記使用位置にあるときには、前記接続具を前記開口から露呈し、前記収納位置にあるときには、前記開口を閉じるように構成され、
前記ホルダ部材は、前記収納位置から前記使用位置に向かう回転運動の限度を定めるべく、前記ベース部材の一部と衝当する衝当部を有し、
前記ホルダ部材が前記使用位置にあるとき、前記接続具に接続対象物を差し込む力が前記ホルダ部材を前記使用位置に向かうトルクとして前記ホルダ部材に作用するように、前記接続対象物を差し込む方向の力の作用線に対して前記回転軸線がオフセットしている収納型接続装置。
【請求項2】
前記ホルダ部材と前記ベース部材には前記ホルダ部材を前記使用位置に係脱可能に係止する使用位置係止部が設けられている請求項1に記載の収納型接続装置。
【請求項3】
前記ホルダ部材と前記ベース部材には前記ホルダ部材を前記収納位置に係脱可能に係止する収納位置係止部が設けられている請求項1または2に記載の収納型接続装置。
【請求項4】
前記ベース部材は当該ベース部材の開口より小さい開口を有するパネルの裏面側に配置されるものであり、
前記ホルダ部材は、前記使用位置において、当該ホルダ部材と前記パネルの開口の縁部との間にできる間隙を閉じる遮蔽壁部を有する請求項1から3の何れか一項に記載の収納型接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−105697(P2013−105697A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250487(P2011−250487)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】