説明

収納棚

【課題】簡易な構成で、棚板に載置した二次電池などの重量物であっても収納物を安定的に支持された状態で取り出すことが可能な収納棚を提供する。
【解決手段】収納物1が載置され、棚本体4からこの棚本体4の奥行き方向T3の水平方向外側にスライド移動可能に設けられた棚板5と、棚板5がスライド移動するとともに従動して棚板5を支持する支持構造8とを備える。また、棚本体4の棚板5の一側端部側に設けられたガイド部15と、スライド移動する棚板5に従動してスライド移動して引き出された棚板5を支持する棒状の支持部16と、支持部16を操作するための操作部17とを備えて支持構造8を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納物を収納する収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池によって電源を構成する場合、複数の二次電池によって組電池を構成する。風力発電や定置型の各種設備の電源として用いる場合などには、数十個の単位で組電池を構成する場合がある。このような場合、複数の二次電池は、収納棚に配列して収納され、互いにバスバーや電線によって接続されることで組電池を構成している。そして、必要なメンテナンスや交換を実施する場合には、作業者が収納棚前面から収納されている二次電池を出し入れするようにしている。
【0003】
ところで、上記二次電池のような収納物を収納するための収納棚としては、収納物をスライド可能に支持するスライド装置を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のような収納棚においては、収納棚内において、スライド装置としてスライド可能なバーが搭載されており、当該バー上に収納物が配置されている。このため、バーをスライドさせることで、バー上の収納物を収納棚の内部から外部へと引き出すことが可能であり、収納物を外部へ引き出された状態で出し入れすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−167550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような収納棚では、収納物をスライド装置によってスライドさせて外部へと引き出した状態において、スライド箇所のみで荷重を受けることになる。このため、二次電池などの重量物を収納物として収納した場合には、安定的に支持することが困難であった。また、安定的に支持しようとすれば、スライド箇所の剛性を強固にする必要があり、収納棚の重量が重くなってしまうためメンテナンス性が低下する等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、簡易な構成で、棚板に載置した二次電池などの重量物であっても収納物を安定的に支持された状態で取り出すことが可能な収納棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の収納棚は、収納物が載置され、棚本体の奥行き方向から該棚本体の外側である正面方向へ水平方向にスライド移動可能に設けられた棚板と、前記棚板がスライド移動するとともに従動してスライド移動して引き出された前記棚板を支持する支持構造とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明においては、二次電池などの重量物である収納物が棚板に載置されている場合であっても、棚板をスライド移動して引き出すことによって重量物を容易に収納棚(棚本体)の外側に取り出すことが可能になる。一般に、収納物が載置された棚板を単に引き出した場合には、引き出した棚板がその引出方向基端側のみで支持された片持ち状態になり不安定になる。しかしながら、本発明においては、棚板がスライド移動するとともに従動して棚板を支持する支持構造を備えているため、この支持構造によって収納棚から引き出した棚板を支持することができる。これにより、重量物が収納物として棚板に載置されている場合であっても、引き出した棚板を安定して支持することが可能になる。また、上記のとおり、棚板に従動する支持構造により安定的に支持することが可能であるが故に、一端で棚板をスライド可能に支持するスライドガイドの構造、収納物を直接支持する棚板の構造を簡易なものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の収納棚によれば、棚板に載置した二次電池などの重量物であっても収納物を安定的に支持された状態で取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1、第2実施形態に係る収納棚を示す平面図であり、コンテナ内に設けられて電池を収納した状態を示す図である。
【図2】図1のX1−X1線矢視図であり、本発明の第1、第2実施形態に係る収納棚を示す正面図である。
【図3】本発明の第1、第2実施形態に係る収納棚から棚板を引き出した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る収納棚の支持構造を示す図である。
【図5】図4のX1−X1線矢視図であり、本発明の第1実施形態に係る収納棚の支持構造を示す正面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る収納棚から棚板を引き出し、第2嵌合凹所に嵌合体が嵌合した状態を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る収納棚から棚板を引き出し、第2嵌合凹所に嵌合した嵌合体を操作部の操作によって第2嵌合凹所から抜き出した状態を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る収納棚から棚板を引き出し、第3嵌合凹所に嵌合体が嵌合した状態を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る収納棚の支持構造の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る収納棚の支持構造の変形例を示す図であり、取手とレバー部材が連動するように構成した支持構造を示す図である。
【図11】図10のX1−X1線矢視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る収納棚の支持構造を示す図である。
【図13】図12のX1−X1線矢視図であり、本発明の第2実施形態に係る収納棚の支持構造を示す正面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る収納棚から棚板を引き出した状態を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る収納棚の支持構造の連結部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図8を参照し、本発明の第1実施形態に係る収納棚について説明する。図1は、複数の電池で構成されるとともに移動可能な電池ユニット100を示している。図1に示すように、電池ユニット100は、箱状のコンテナ2と、コンテナ2の内部に配置された対をなす収納棚10、11と、収納棚10、11に収納された収納物である複数の電池1とを備える。電池1は、特に限定されないが、例えば二次電池や燃料電池である。ここで、以下の説明に使用する座標を定義する。X軸方向を収納棚の幅方向T2とし、Y軸方向を収納棚の奥行き方向T3とし、Z軸方向を収納棚の上下方向T1とする。
【0012】
本実施形態において、コンテナ2内の一対の収納棚10、11は、コンテナ2の長手方向に沿って、且つ互いの間に間隔をあけるようにして並設されている。また、これら一対の収納棚10、11の間隔は人が通行する可能な幅を有しており通路3を構成している。
【0013】
収納棚10、11は、図1及び図2に示すように、コンテナ2の床面に固定されたフレーム(棚本体)4と、上下方向T1に所定の間隔をあけて多段状に取り付けられた複数の棚板5と、棚板5をフレーム4に対してスライド可能に支持するスライドガイド6とを備える。各段には、棚板5が収納棚10、11(棚本体)の幅方向となる水平方向T2に沿って複数設けられている。また、各棚板5の両側端部側には、フレーム4に取り付けた側壁7が設けられている。
【0014】
また、スライドガイド6は、収納棚10、11の奥行き方向となる水平方向T3に延設されており、各棚板5に対応して対をなして設けられている。そして、各棚板5は、両側端部が対応するスライドガイド6に水平方向T3にスライド移動可能に支持されている。そして、各棚板5は、図3に示すように、スライドガイド6に案内されて収納棚10、11から通路3側にスライド移動可能(収納棚10、11から水平方向T3外側に引出可能)に設けられている。
【0015】
このように構成した本実施形態の収納棚10、11には、図1から図3に示すように、電池1が、各棚板5に水平方向T3に沿って2基ずつ配列するようにして載置されている。また、同一の棚板5に載置された電池1同士は、板状のバスバー(不図示)によって電気的に接続されている。また、異なる棚板5に載置された電池1同士は、例えば螺旋状に形成した伸縮自在なケーブル(不図示)によって電気的に接続されている。このようにして複数の電池1は、直列または並列に接続され、全体として組電池を構成している。
【0016】
そして、本実施形態の収納棚10、11においては、図3に示すように、棚板5をスライドガイド6に案内させて通路3側に引き出すことにより、棚板5に載置された電池1を収納棚10、11から外側に、すなわち通路3上となる位置まで取り出すことができる。なお、このとき、ケーブルが伸縮自在に形成されているため、異なる棚板5同士の電池1の相対位置が変化しても、ケーブルを取り外すことなく各棚板5に載置された電池1を収納棚10、11から外側に取り出すことが可能である。
【0017】
ここで、棚板5に載置された複数の電池1が重量物であるため、単に棚板1をスライドさせて通路3に引き出した片持ち状態では、棚板5が不安定になり、電池1の交換や定期的メンテナンスなどを好適に行うことができないおそれがある。
【0018】
これに対し、本実施形態の収納棚10、11においては、図4及び図5に示すように、スライドガイド6よってスライド移動する棚板5に従動して棚板5を支持する支持構造8が設けられている。また、各棚板5には、棚板5を通路3側にスライド移動させる際に作業者が把持する取手9が設けられている。
【0019】
本実施形態の支持構造8は、棚板5の一側端部側に設けられたガイド部15と、スライドガイド6よってスライド移動する棚板5を支持する棒状の支持部16と、支持部16を操作するための操作部17とを備えている。
【0020】
ガイド部15は、一方の側壁7の内面から外面側に凹むガイド溝で構成されている。このガイド溝15は、一方の側壁7の奥行き方向T3後端7a側(棚本体の後方側、略中央)から前端7b(棚本体の前方側)まで形成されるとともに、奥行き方向T3後端7a側から前端7bに向かうに従い漸次上方に傾斜して形成されている。また、ガイド溝15は複数の嵌合凹所18、19、20が設けられ、これら嵌合凹所18、19、20は、ガイド溝15の上方を向く傾斜面(ガイド面)15aの下方に凹ませた形で形成されている。そして、本実施形態のガイド溝(ガイド部)15は、下端に第1嵌合凹所18が設けられ、下端から上端までの間に第2嵌合凹所19と第3嵌合凹所20がそれぞれ、所定の間隔をあけて設けられている。
【0021】
支持部16は、上端側が棚板5の一側端部に回動可能に接続された支持棒16aと、支持棒16aの下端側に一体に設けられ、ガイド溝15に案内されて嵌合凹所18、19、20に嵌合可能な嵌合体16bとを備えている。
【0022】
支持棒16aの上端側と、棚板5の一側端部とは、第1ヒンジ21によって相対回転可能に接続されており、これにより、支持棒16aは、棚板5に対して一方の側壁7の内面に沿って回動可能となっている。また、第1ヒンジ21は、棚板5を収納棚(棚本体)10、11内に収納した状態(棚板5を引き出していない状態、第1嵌合凹所18に嵌合体16bが嵌合した状態)で、ガイド溝15の下端よりも前方側に位置するように、棚板5に設けられている。
【0023】
嵌合体16bは、支持棒16aの軸線直交方向外側(一方の側壁7の内面側)に突出して形成されている。また、この嵌合体16bは、円柱棒状に形成され、その突出方向先端側をガイド溝15に挿入して(係合させて)設けられている。
【0024】
操作部17は、棚板5の一側端部の奥行き方向T3前方側に第2ヒンジ22によって回動可能に接続されたレバー部材23と、棚板5の一側端部の奥行き方向T3前方側に第3ヒンジ24によって回動可能に接続された押圧部材25とを備えている。
【0025】
レバー部材23は、略棒状に形成され、第2ヒンジ22を挟んで両側に延出している。そして、このレバー部材23は、第2ヒンジ22を間に棚板5の前方側の部分が作業者の手によって回動操作されるレバー部23aとされ、第2ヒンジ22を間に棚板5の後方側の部分が押圧部23bとされている。
【0026】
押圧部材25は、略L字状に形成され、角部に設けられた第3ヒンジ24によって棚板5の一側端部に回動可能に接続されている。また、このとき、第3ヒンジ24は、奥行き方向T3の第1ヒンジ21と第2ヒンジ22の間に配設されている。そして、押圧部材25は、第3ヒンジ24を間に棚板5の前方側の部分がレバー押圧部25aとされ、第3ヒンジ24を間に棚板5の後方側の部分が支持棒押圧部25bとされ、レバー押圧部25aをレバー部材23の押圧部23bの下方に近接配置し、支持棒押圧部25bを支持棒16aの前方に近接配置して設けられている。
【0027】
上記構成からなる支持構造8を備えた本実施形態の収納棚10、11においては、収納時においては、図4に示すように、棚板5は、フレーム4内に配置され、嵌合体16bがガイド溝15の第1嵌合凹所18に嵌合した状態となっている。そして、図6に示すように、交換や定期的メンテナンスなどを行う場合には、電池1が載置された棚板5をフレーム4内から引き出す。すると、支持棒16aが、棚板5に従動して第1ヒンジ21によって回動し、嵌合体16bが第1嵌合凹所18から抜け出す。さらに棚板5をフレーム4から引き出すと、嵌合体16bがガイド溝15に沿って収納棚10、11の前方側に移動してゆく。
【0028】
また、ガイド溝15に案内されて移動する嵌合体16bが第2嵌合凹所19に達すると、支持棒16a及び嵌合体16bは、自重により第1ヒンジ21回りに回動し、嵌合体16bが第2嵌合凹所19に嵌合する。これにより、第2嵌合凹所19の位置に応じた進出量で引き出された棚板5は、上端側を棚板5に接続し、下端側の嵌合体16bを第2嵌合凹所19に嵌合させた支持棒16aによって支持され、棚板5に重量物の電池(収納物)1を載置した場合であっても、その荷重を支持棒16aが受け、嵌合体16b、ガイド溝15を通じて側壁7、フレーム4に伝達させて、安定した状態で支持されることになる。
【0029】
次に、さらに棚板5をフレーム4から引き出す場合には、図7に示すように、作業者が操作部17のレバー部材23のレバー部23aを手で上方に引き上げ、第2ヒンジ22によってレバー部材23を一方向に回動させる。このようにレバー部材23を操作すると、レバー部材23の押圧部23bが押圧部材25のレバー押圧部25aを下方に向けて押圧し、押圧部材25が第3ヒンジ24によって他方向に回動し、これとともに、押圧部材25の支持棒押圧部25bが支持棒16aを後方側に向けて押圧する。これにより、支持棒16aが第1ヒンジ21によって他方向に回動し、嵌合体16bが第2嵌合凹所19から抜け出す。このため、作業者が操作部17を操作するとともに取手9を引っ張ることにより、棚板5がさらに引き出され、嵌合体16bがガイド溝15に案内されてさらに前方に移動する。
【0030】
そして、図8に示すように、棚板5に載置された電池1が通路3上に配される位置まで棚板5を引き出すと、嵌合体16bが第3嵌合凹所20に嵌合する。このように嵌合体16bが第3嵌合凹所20に嵌合した状態において、棚板5は、上端側を棚板5に接続し、下端側の嵌合体16bを第3嵌合凹所20に嵌合させた支持棒16aによって支持され、やはり、棚板5に重量物の電池1を載置した場合であっても、その荷重を支持棒16aが受け、嵌合体16b、ガイド溝15を通じて側壁7、フレーム4に伝達させて、安定した状態で支持されることになる。これにより、電池1の交換や定期的メンテナンスなどが好適に行える。
【0031】
なお、棚板5をフレーム4内に収納する際には、作業者が操作部17のレバー部材23を手で引き上げて嵌合体16bを嵌合凹所19、20から抜き出すとともに、取手9を把持して棚板5を押し込む。これにより、棚板5を引き出す場合と逆に、嵌合体16bがガイド溝15に案内されて収納棚10、11の後方側に移動しつつ、棚板5が収納棚10、11の内側にスライド移動して収納される。
【0032】
したがって、本実施形態の収納棚10、11においては、二次電池などの重量物が収納物1として棚板5に載置されている場合であっても、棚板5を引き出すことによって収納物1を容易に収納棚10、11の外側に取り出すことが可能になる。
【0033】
また、棚板5がスライド移動するとともに従動して、この棚板5を支持する支持構造8を備えているため、重量物の収納物1が棚板5に載置されている場合であっても、引き出した棚板5を安定して支持することが可能になる。また、棚板5に従動する支持構造8により安定的に支持することが可能であるが故に、基端で棚板5をスライド移動可能に支持するスライドガイド6の構造、収納物1を直接支持する棚板5の構造を簡易なものとすることができる。
【0034】
さらに、棚板5をスライド移動させると、棚板5の一側端部に上端側を回動可能に接続した支持部16が回動し、これとともに支持部16の下端側の嵌合体16bがガイド溝15内を移動して嵌合凹所18、19、20に嵌合する。これにより、引き出した棚板5からの荷重を支持部16で受けて支持することが可能になり、重量物の収納物1が棚板5に載置されている場合であっても、引き出した棚板5を安定して支持(保持)することが可能になる。
【0035】
また、操作部17のレバー部材23を回動操作することで、支持部16を押圧して回動させることができる。このため、レバー部材23を回動操作することにより、嵌合体16bを嵌合凹所19、20から引き抜いて、容易に嵌合体16bと嵌合凹所19、20の嵌合状態を解除することができ、嵌合体16bをガイド溝15内で移動させて棚板5をスライド移動させることができる。
【0036】
よって、コンテナ2内に設置され、多数の電池1を棚板5に載置して使用した場合において、電池1に劣化や故障が発生したり、電池1の定期的なメンテナンスを行う際に、引き出した棚板5を安定した状態で保持し、容易に電池1に対してアクセスすることができ、電池1の交換作業やメンテナンス作業に迅速且つ柔軟に対応することが可能になる。
【0037】
以上、本発明に係る収納棚の第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0038】
例えば、本実施形態では、ガイド溝15に3つの嵌合凹所18、19、20が設けられているものとしたが、嵌合凹所の数、位置は特に限定を必要とするものではない。
【0039】
また、図9に示すように、嵌合凹所19、20の収納棚10、11の後方側を向く面とガイド面の交角θを鈍角にして嵌合凹所19、20を形成するようにしてもよい。この場合には、棚板5を収納棚10、11から引き出す際に、棚板5を外側に引っ張りながら操作部17を操作することで、嵌合体16bを嵌合凹所19、20から抜き出す際に要する力を軽減することができ、使い勝手を良くすることができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、作業者が操作部17のレバー部材23のレバー部23aを手で引き上げて操作するとともに支持棒16a(支持部16)が回動し、別途取手9を引っ張ったり、押し込んで、棚板5を出し入れするように支持構造8(収納棚10、11)が構成されているものとした。
【0041】
これに対し、取手9を握って操作するとともにレバー部材23が連動して支持棒16aを動かすように支持構造8(収納棚10、11)を構成してもよい。具体的に、例えば図10及び図11に示すように、一端をレバー部材23(レバー部23a)に接続し、回動軸26を介して他端を棚板5の他側端部側に回動可能に接続して、棚本体10、11の幅方向T2に沿って取手9を延設して支持構造8を構成してもよい。そして、この場合には、作業者が取手9を握って引き上げると、取手9が幅方向T2に延びる回動軸26周りに回動し、これに連動してレバー部材23が第2ヒンジ22によって回動し、支持棒16aを動かす(操作する)ことができる。また、作業者が取手9を握って引き上げつつ、引っ張ったり、押し込むことで、棚板5を出し入れすることができる。これにより、本実施形態よりも簡便に棚板5を出し入れすることができ、使い勝手を良くすることが可能になる。
【0042】
また、本実施形態では、収納棚10、11がコンテナ2内に設けられて二次電池などの電池1の収納に使用されるものとして説明を行ったが、本発明の収納棚は、電池1の収納に限定して使用する必要はなく、勿論、あらゆる収納物の収納(載置)、あらゆる場所に適用可能である。
【0043】
次に、図12から図15を参照し、本発明の第2実施形態に係る収納棚について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、支持構造の構成のみが異なる。このため、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成に対して同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
本実施形態の支持構造30は、図12及び図13に示すように、収納棚10、11の一方の側壁7(あるいはフレーム4)に上端側と下端側をそれぞれ固定して設けられた略円柱棒状のガイド部31と、ガイド部31が挿通し、このガイド部31に案内されてガイド部31に沿う上下に進退移動可能に且つガイド部31に固定可能な略筒状の連結部32と、上端側が棚板5の一側端部に第1ヒンジ33によって回動可能に接続され、下端側が連結部32に接続され、スライドガイド6よってスライド移動する棚板5を支持する棒状の支持部34とを備えている。
【0045】
本実施形態のガイド部31は、フレーム4に対して、下端側が奥行き方向T3後方側に、上端側が下端よりも奥行き方向T3前方側となるようにして固定されている。
【0046】
一方、連結部32は、略筒状の筒状部材を軸線に沿って2分割した形(半割りにした形)で形成されている。また、この連結部32は、2分割した一方の分割ブロック32aと他方の分割ブロック32bを弾性部材32cで連結して略筒状となるように構成されている。そして、連結部32は、一方の分割ブロック32aと他方の分割ブロック32bで形成される内孔にガイド部31を挿通し、一方の分割ブロック32aと他方の分割ブロック32bでガイド部31をクランプ保持するように取り付けられている。
【0047】
また、この連結部32は、一方の分割ブロック32aに支持部34の下端側が第2ヒンジ35によって回動可能に接続され、支持部34が第1ヒンジ33によって正逆回動すると、一方の分割ブロック32aが変位して、ガイド部31に対する固定状態を解除することが可能である。さらに、支持部34の回動を停止して棚板5の荷重を支持させると、連結部32は、支持部34から伝達される荷重により、他方の分割ブロック32bに対して一方の分割ブロック32aが近接しようとする。これにより、両分割ブロック32a、32bによってガイド部31がクランプ保持され、ガイド部31に対して固定状態にすることができる。
【0048】
さらに、本実施形態において、連結部32は、図15(a)に示すように、他方の分割ブロック32bとともにガイド部31を挿通する内孔を形成する一方の分割ブロック32aの内面32d(内孔)が、上端と下端の間の略中央部を境に断面くの字状に形成されている。また、一方の分割ブロック32aは、上端側の内面32dが連結部32の軸線に沿って(すなわち、外面32eに沿って)形成され、下端側の内面32dが中央部から軸線方向下端に向かうに従い漸次外面32eに近づくように形成されている。さらに、第2ヒンジ35が一方の分割ブロック32aの上端側に設けられて、支持部34の下端側が一方の分割ブロック32aの上端側に接続されている。
【0049】
そして、この連結部32は、ガイド部31に固定した状態で、図15(a)に示すように、一方の分割ブロック32aの上端側と他方の分割ブロック32bの内面32d同士でガイド部31をクランプ保持するように構成されている。一方、図15(b)に示すように、支持部34が第1ヒンジ部33によって正逆回動すると、一方の分割ブロック32aの上端側が外側に引っ張られ、上端側の内面32dがガイド部31の外面から離れるように一方の分割ブロック32が変位し、ガイド部31に対する固定状態が解除されるように構成されている。また、このとき、一方の分割ブロック32aの下端側の内面32dがガイド部31の外面に近づき、この一方の分割ブロック32aの下端側の内面32dと他方の分割ブロック32bの内面32dによってガイド部31を内包する断面略円形状の内孔が形成される。
【0050】
上記構成からなる本実施形態の収納棚10、11においては、図14(図12参照)に示すように、作業者が取手9を把持して引っ張り、交換や定期的メンテナンスなどを行う電池1が載置された棚板5を収納棚10、11から引き出すと、第1ヒンジ33で回動しながら支持部34の上端側が棚板5に従動して引っ張られる。このように支持部34が引っ張られると、連結部32の一方の分割ブロック32aが変位し、連結部32の内孔が拡径する。これにより、ガイド部31に対する連結部32の固定状態が解除され、連結部32がガイド部31に案内されて上方に移動してゆく。
【0051】
そして、作業者が棚板5を所望の位置まで引き出し、棚板5のスライド移動が停止すると、支持部34ひいては連結部32の一方の分割ブロック32aが引っ張られなくなり、一方の分割ブロック32aが弾性部材32cによる復元力と、支持部34から作用する荷重によって他方の分割ブロック32bに近接するように変位し、連結部32の内孔が縮径する。これにより、連結部32がガイド部31に固定され、重量物の電池1を載置した棚板5を引き出したとしても、所望の進出量で引き出された棚板5からの荷重を支持部34及びガイド部31で受け、棚板5が安定した状態で支持される。
【0052】
一方、棚板5を収納棚10、11に収納する際には、作業者が取手9を押し込んで棚板5を収納棚10、11の内側にスライド移動すると、第1ヒンジ33で回動しながら支持部34の上端側が棚板5に従動して押し込まれる。そして、このように支持部34の上端側が押し込まれると、支持部34の下端側が第2ヒンジ35で回動しながら下方に押圧され、連結部32の一方の分割ブロック32aが変位し、連結部32の内孔が拡径する。これにより、ガイド部31に対する連結部32の固定状態が解除され、連結部32がガイド部31に案内されて下方に移動する。
【0053】
また、作業者が棚板5を引き込んでスライド移動が停止すると、一方の分割ブロック32aが弾性部材32cによる復元力と、支持部34から作用する荷重によって他方の分割ブロック32bに近接するように変位し、連結部32の内孔が縮径する。これにより、連結部32がガイド部31に固定され、棚板5からの荷重を支持部34及びガイド部31で受け、棚板5が安定した状態で支持されて収納棚10、11に収納される。
【0054】
したがって、二次電池などの重量物が収納物1として棚板5に載置されている場合であっても、棚板5を引き出すことによって収納物1を容易に収納棚10、11の外側に取り出すことが可能になる。
【0055】
また、本実施形態の収納棚10、11においても、棚板5がスライド移動するとともに従動して、この棚板5を支持する支持構造30を備えているため、重量物の収納物1が棚板5に載置されている場合であっても、引き出した棚板5を安定して支持することが可能になる。また、棚板5に従動する支持構造30により安定的に支持することが可能であるが故に、基端で棚板5をスライド移動可能に支持するスライドガイド6の構造、収納物1を直接支持する棚板5の構造を簡易なものとすることができる。
【0056】
さらに、本実施形態の収納棚10、11においては、棚板5をスライド移動させると、棚板5の一側端部に上端側を回動可能に接続した支持部34が回動し、これとともに支持部34の下端側を接続した連結部32をガイド部31に沿って進退移動させることができる。そして、棚板5のスライド移動を停止すると、連結部32がガイド部31に固定され、引き出した棚板5からの荷重を支持部34から連結部32、連結部32からガイド部31で受けて支持することが可能になる。これにより、重量物の収納物1が棚板5に載置されている場合であっても、引き出した棚板5を安定して支持することが可能になる。
【0057】
また、このように構成することで、棚板5の引出量に制限を受けることなく、所望の位置に引き出した棚板5を支持構造30によって支持(保持)することが可能になる。また、第1実施形態に比べ第2実施形態の支持棒の動きが滑らかであり操作性がよい。
【0058】
よって、コンテナ2内に設置され、多数の電池1を棚板5に載置して使用した場合において、電池1に劣化や故障が発生したり、電池1の定期的なメンテナンスを行う際に、引き出した棚板5を安定した状態で保持し、容易に電池1に対してアクセスすることができ、電池1の交換作業やメンテナンス作業に迅速且つ柔軟に対応することが可能になる。
【0059】
以上、本発明に係る収納棚の第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 電池
2 コンテナ
3 通路
4 フレーム(棚本体)
5 棚板
6 スライドガイド
7 側壁
7a 後端(後方)
7b 前端(前方)
8 支持構造
9 取手
10 収納棚
11 収納棚
15 ガイド溝(ガイド部)
16 支持部
16a 支持棒
16b 嵌合体
17 操作部
18 第1嵌合凹所(嵌合凹所)
19 第1嵌合凹所(嵌合凹所)
20 第1嵌合凹所(嵌合凹所)
21 第1ヒンジ
22 第2ヒンジ
23 レバー部材
23a レバー部
23b 押圧部
24 第3ヒンジ
25 押圧部材
25a レバー押圧部
25b 支持棒押圧部
26 回動軸
30 支持構造
31 ガイド部
32 連結部
32a 一方の分割ブロック
32b 他方の分割ブロック
32c 弾性部材
32d 内面
32e 外面
33 第1ヒンジ
34 支持部
35 第2ヒンジ
100 電池ユニット
T1 上下方向
T2 幅方向(水平方向)
T3 奥行き方向(水平方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物が載置され、棚本体の奥行き方向から該棚本体の外側である正面方向へ水平方向にスライド移動可能に設けられた棚板と、前記棚板がスライド移動するとともに従動してスライド移動して引き出された前記棚板を支持する支持構造とを備えていることを特徴とする収納棚。
【請求項2】
請求項1記載の収納棚において、
前記支持構造は、前記棚本体の前記棚板の側端部側に設けられたガイド部と、スライド移動する前記棚板に従動して前記棚板を支持する支持部と、前記支持部を操作するための操作部とを備え、
前記ガイド部は、前記棚本体の奥行き方向後方側から前方側に向かうに従い漸次上方に傾斜して形成されるとともに、上方を向く傾斜面に下方に凹む嵌合凹所が設けられたガイド溝を有し、
前記支持部は、上端側が前記棚板の一側端部に接続されるとともに、下端側に前記ガイド溝に案内されて前記嵌合凹所に嵌合可能な嵌合体を有していることを特徴とする収納棚。
【請求項3】
請求項1記載の収納棚において、
前記支持構造は、前記棚本体の前記棚板の側端部側に設けられたガイド部と、スライド移動する前記棚板に従動して前記棚板を支持する支持部と、前記ガイド部に取り付けられ、前記ガイド部と前記支持部を連結する連結部とを備え、
前記ガイド部は、前記棚本体の奥行き方向前方側に上端を、後方側に下端を配して傾斜するようにして前記棚本体に固定され、
前記支持部は、前記棚板の一側端部に接続されるとともに、下端側が前記連結部に接続され、
前記連結部は、前記支持部の回動に従動することを特徴とする収納棚。
【請求項4】
請求項1記載の収納棚において、
前記支持構造は、前記棚本体の前記棚板の一側端部側に設けられたガイド部と、スライド移動する前記棚板に従動して前記棚板を支持する棒状の支持部と、前記支持部を操作するための操作部とを備え、
前記ガイド部は、前記棚本体の奥行き方向後方側から前方側に向かうに従い漸次上方に傾斜して形成されるとともに、上方を向く傾斜面に下方に凹む嵌合凹所が設けられたガイド溝を有し、
前記支持部は、上端側が前記棚板の一側端部に回動可能に接続されるとともに、下端側に前記ガイド溝に案内されて前記嵌合凹所に嵌合可能な嵌合体を有し、
前記操作部は、前記棚板の一側端部に回動可能に接続して設けられたレバー部材と、前記棚板の一側端部に回動可能に接続して設けられ、前記レバー部材を回動操作するとともに前記レバー部材に押圧されて回動し、前記支持部を押圧して回動させる押圧部材とを備えていることを特徴とする収納棚。
【請求項5】
請求項1記載の収納棚において、
前記支持構造は、前記棚本体の前記棚板の一側端部側に設けられたガイド部と、スライド移動する前記棚板に従動して前記棚板を支持する棒状の支持部と、前記ガイド部に取り付けられ、前記ガイド部と前記支持部を連結する連結部とを備え、
前記ガイド部は、前記棚本体の奥行き方向前方側に上端を、後方側に下端を配して傾斜するようにして前記棚本体に固定され、
前記支持部は、上端側が前記棚板の一側端部に回動可能に接続されるとともに、下端側が前記連結部に接続され、
前記連結部は、前記支持部の回動に応じて前記ガイド部に案内されて、前記ガイド部に沿って進退移動可能に設けられていることを特徴とする収納棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−140205(P2012−140205A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293245(P2010−293245)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】