説明

収納部が備えられた建設装備の運転席

【課題】運転者の習慣又は好みに応じて使用する飲料容器又は灰皿を、運転席から運転者の手が容易に届くような位置に少なくとも2箇所設けられた収納部に収容することによって、作業中、運転席のシートから離れずに灰皿又は飲料容器を使い勝ってよく使用することが可能な収納部が備えられた建設装備の運転席を提供する。
【解決手段】建設装備の運転席12において、運転席周りの少なくとも二箇所に備えられ、且つ、飲料容器17と灰皿11のうちの何れか一つを選択的に収容し得る所定形状の収納部18と、前記収納部のうちの飲料容器17により選ばれなかった他の収納部に引出可能に収容される灰皿11とを含める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席周りに設けられる収納部に飲料容器又は灰皿を選択的に取り換え可能に収容し得る収納部が備えられた建設装備運転席に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、運転者の習慣又は好みに応じて選択的に用いる飲料容器又は灰皿を運転席より運転者の手が届くような位置に少なくとも2箇所形成された収納部に取り換え可能に収容することによって、作業中、運転席のシートから離れることなく、灰皿又は飲料容器を手軽く使用し得るようにした収納部が備えられた建設装備の運転席に関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、従来技術による運転席の前方にカップホルダー及び灰皿の装着状態を示す斜視図である。
【0004】
図示の如く、建設装備用運転室の設計時、運転席5の側面のコンソールボックス1前面に灰皿2が開閉可能に設けられ、運転室の側面パネル3に飲料容器(例えば、飲料缶、水カップ、飲料瓶など)を収納することが可能なカップホルダー4が設けられている。
【0005】
従来のように、カップホルダー4と灰皿2とが所定位置に固定式に取付けられることにより、運転者の好みや習慣に対応しにくく、使い勝手が悪かった。つまり、運転者が喫煙者である場合には、作業途中に運転席のシートから離れずに、灰皿2を容易に使用し得るようになすべく、カップホルダー4よりは頻繁に利用される灰皿2が運転者の手に容易に届くようなところに設けなければならなかった。
【0006】
反面に、運転者が非喫煙者である場合には、作業中、灰皿2が不必要となり、運転席5から離れることなくカップホルダー4に収納される飲料容器を容易に使用すべく、灰皿2よりは相対的に多く利用するカップホルダー4が身近いところに配設されなければならなかった。
【0007】
したがって、カップホルダー4と灰皿2とが分離されて互いに異なる位置に設けられるため、運転室レイアウト設計及び装備生産の際、当該部品点数の増加によりコスト上昇につながるという問題点を奏する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施例は、運転者の習慣又は好みに応じて使用する飲料容器又は灰皿を、運転席から運転者の手が容易に届くような位置に少なくとも2箇所設けられた収納部に収容することによって、作業中、運転席から離れずに灰皿又は飲料容器を使い勝ってよく使用することが可能となるようにした収納部が備えられた建設装備の運転席に関連する。
【0009】
また、本発明の一実施例は、長時間の作業の場合、運転席から離れず、居心地の良い姿勢で喫煙したり、飲んだりすることができるから、作業性を向上させることができ、且つ、運転者の様々な好みを満足させることによって、運転室を休憩室の概念で活用することができるようにした収納部が備えられた建設装備の運転席に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例は、建設装備の運転席において、運転席周りの少なくとも二箇所に備えられ、且つ、飲料容器と灰皿のうちの何れか一つを選択的に収容し得る所定形状の収納部と、前記収納部のうちの飲料容器により選ばれなかった他の収納部に引出可能に収容される灰皿とを含める。
【0011】
この際、前述した収納部に内設され、収納部が互換性を持つように選択的に収容される灰皿又は飲料容器を支持するホルダーをさらに含める。
【0012】
前記ホルダー内側面に突出形成され、ホルダーと灰皿との直径差、又はホルダーと飲料容器との直径差により、灰皿又は飲料容器が振動されることを防止するための軟性のリブをさらに含める。
【0013】
前記ホルダーは、ゴム材からなる。
【0014】
前記収納部のうちの何れか一つは、運転席のコンソールボックスに形成される。
【0015】
前記収納部のうちの何れか一つは、運転席の側面パネルに形成される。
【0016】
前記収納部のうちの何れか一つは、運転席のコンソールボックスに形成され、且つ、他の一つは、運転席の側面パネルに形成される。
【0017】
前述した収納部は、運転席の左・右側にそれぞれ形成されるか、又は収納部は運転席の左側と右側のうちの何れか一側に形成される。
【0018】
前記収納部は、運転席から運転者の手が届くような半径内に設けられる。
【発明の効果】
【0019】
以上で詳述したように、本発明の一実施例による収納部が備えられた建設装備の運転席は、下記のような効果を奏する。
運転者の様々な習慣又は好みに応じて選択的に使用する飲料容器又は灰皿が取り換え可能に収容されるための収納部を運転席から手の届くような位置に設けることによって、作業途中に運転者が運転席のシートから離れることなく、灰皿又は飲料容器を使用することができる。
【0020】
また、長時間作業を行う場合、運転席のシートから離れずに居心地の良い姿勢で喫煙したり、飲み物を飲んだりすることが可能となることから、作業性を向上させることができ、且つ、運転室レイアウトを自由に設計し得ることによって、コスト競争力を期待することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の望ましい実施例を添付図面に基づいて詳しく説明するが、これは本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が発明を容易に実施し得る程度に詳しく説明するためのものであって、これにより本発明の技術的な思想及び範疇に限られるものではない。
【0022】
図2ないし図6、図9に示されたように、本発明の一実施例による収納部が備えられた建設装備の運転席は、運転席12の周りの少なくとも二箇所に備えられ、飲料容器17(例えば、飲料缶、水カップ、飲料瓶などをいう)と、灰皿11のうちの何れか一つを選択的に収容することができる所定形状の収納部18と、収納部18のうちの飲料容器17により選択されなかった他の収納部に引出可能に収められる灰皿11とを含める。
【0023】
この際、前述した灰皿11は、蓋10が上部に開閉可能に組み合わされ、円筒形状からなっている。
【0024】
前述した収納部18のうちの何れか一つは運転席12のコンソールボックス13に形成されており、他の一つは、運転席12の側面パネル15の内側面に設けられる。
【0025】
前述した収納部18は、運転席12の左右側にそれぞれ形成される。もしくは、運転席12の左側と右側のうちの何れか一側に設けられる。
【0026】
前述した収納部18に内設され、収納部18が互換性を持つように選択的に収容される灰皿11又は飲料容器17を支持するゴム材のホルダー19をさらに含める。
【0027】
前述したホルダー19の内側面に突出形成され、ホルダー19と灰皿11との直径差、又はホルダー19と飲料容器17との直径差により、灰皿16又は飲料容器17が振動することを防止する軟性のリブ20をさらに含める。
【0028】
前述した収納部18は、運転席12から運転者の手が届くような半径内に設けられる。
【0029】
次いで、本発明の一実施例による収納部が備えられた建設装備の運転席の使用例を添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0030】
図5に示されたように、運転者が非喫煙者或いは喫煙者である場合に、前述したコンソールボックス13前方の形成の収納部18に飲料容器17(例えば、水カップなど)を収容して用いる。この際、収納部18は、運転席12から手が届くような半径内に設けられることによって、作業中、運転者が体を屈めずに腕を伸ばすだけで収納部18に収納されている水カップを容易に使用することができる。
【0031】
建設装備は、装備の特性上、直射光線にさらされる室外の作業現場で主に作業が行われるうえで長時間運転することが多いため、運転中に運転席12から離れずに水カップを用いて飲むことができることから、運転者の便宜が図れる。また、作業を中断せずに連続操作を行うことができるから、作業能率を向上させることができる。
【0032】
図2、図6及び図9に示されたように、運転者が喫煙者である場合には、コンソールボックス13の前方に形成の収納部18に円筒形状からなる灰皿11を収容して用いる。即ち、運転者は、作業中、飲料容器17よりは灰皿11を相対的に頻繁に利用するはずだから、運転席12から運転者の手が届くような半径内に形成された収納部18には灰皿11を収容して用いることができる。この際、運転席12の側面パネル15に形成の収納部18には飲料容器17を収容して用いることができる。
【0033】
図2、図3、図4及び図6に示されたように、前述した灰皿11又は飲料容器17が選択的に収容される収納部18は互換性を持つ。即ち、ホルダー19と円筒形の灰皿11、又はホルダー19と飲料容器17に直径差が生じる場合でも、収納部に内設されているゴム材のホルダー19により収納部18に灰皿11又は飲料容器17を選択的に収容することが可能となる。
【0034】
また、ホルダー19の内側面に突出形成されたフレキシブルなリブ20により灰皿11又は飲料容器17の外側面が覆われることで支えられる。これにより、ホルダー19と灰皿11との直径差、又はホルダー19と飲料容器17との直径差が生じる場合でも、収納部18内で灰皿11又は飲料容器17の振動が防止できる。
【0035】
図7に示されたように、運転者が喫煙者又は非喫煙者である場合、運転者12の側面パネル15の内側面に設けられた収納部18に飲料容器17(例えば、水カップを用いる)を収納して使用することができる。この際、収納部18は、運転席12から運転者の手が届くような半径内の側面パネルに設けられることによって、作業中、運転者が体を屈めずに腕を伸ばすだけで収納部18に収められている水カップを容易に使用することができる。
【0036】
図8に示されたように、運転者が非喫煙者又は喫煙者である場合に、コンソールボックス13の前方に形成の収納部18に飲料容器17(例えば、飲料缶を用いる)を収容し、側面パネル15に形成の収納部18には飲料容器17(例えば、水ボトルを用いる)を収容して用いることができる。
【0037】
即ち、運転席12から運転者の手が届くような半径内に収納部18が複数箇所設けられることによって、作業中、運転席12から運転者が体を屈めずに腕を伸ばすだけで収納部18に収めされている飲料缶又は水ボトルを手軽く使用することが可能となる。
【0038】
前述したように、運転席12から運転者の手が届くような半径内に複数箇所備えられた収納部18に飲料容器17又は灰皿11を選択的に収容して用いることができる。これにより、運転者の習慣又は好みに応じて、作業中、運転席から離れずに収納部18に保管されている灰皿11を使用するか、又は収納部18に保管されている飲料容器17を使用することができる。
【0039】
一方、本発明の一実施例による収納部は、建設装備の運転席周りに設けられたコンソールボックス又は側面パネルに備えられることを一例として詳述したが、車両の運転席から運転者の手が届くような半径内に収納部(添付図面には示されていない)を設け、運転者の好み又は習慣に従って飲料容器又は灰皿を収納部に選択的に収容して使用することができるのは、もちろんのことである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来技術による運転席前方にカップホルダー及び灰皿の装着を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による収納部が備えられた建設装備運転席の概略図である。
【図3】本発明の一実施例による建設装備運転席のコンソールボックスに形成の収納部に組み合わされたホルダーの要部抜粋図である。
【図4】図3に図示の収納部の断面図である。
【図5】本発明の一実施例による建設装備運転席のコンソールボックスに形成の収納部に水カップが保管される使用状態図である。
【図6】本発明の一実施例による建設装備運転席のコンソールボックスに形成の収納部に灰皿が保管される使用状態図である。
【図7】本発明の他の実施例による建設装備運転席の側面パネルに形成の 収納部に水カップが保管される使用状態図である。
【図8】本発明のさらに他の実施例による建設装備運転席のコンソールボックスに形成の収納部に飲料缶が保管され、且つ、側面パネルに形成の収納部に水ボトルが保管されている使用状態図である。
【図9】本発明の一実施例による収納部に保管される灰皿の概略図である。
【符号の説明】
【0041】
10 蓋
11 灰皿
12 運転席
13 コンソールボックス
14 運転室
15 側面パネル
17 飲料容器
18 収納部
19 ホルダー
20 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設装備の運転席において、
運転席周りの少なくとも二箇所に備えられ、且つ、飲料容器と灰皿のうちの何れか一つを選択的に収容し得る所定形状の収納部と、
前記収納部のうちの飲料容器により選ばれなかった他の収納部に引出可能に収容される灰皿とを含めることを特徴とする収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項2】
前記収納部に内設され、前記収納部が互換性を持つように選択的に収容される灰皿又は飲料容器を支持するホルダーをさらに含めることを特徴とする請求項1に記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項3】
前記ホルダー内側面に突出形成され、ホルダーと灰皿との直径差、又はホルダーと飲料容器との直径差により、灰皿又は飲料容器が振動されることを防ぐための軟性のリブをさらに含めることを特徴とする請求項2に記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項4】
前記ホルダーは、ゴム材からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項5】
前記収納部のうち何れか一つは、運転席のコンソールボックスに形成されることを特徴とする請求項1に記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項6】
前記収納部のうちの何れか一つは、運転席の側面パネルに形成されることを特徴とする請求項1に記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項7】
前記収納部のうちの何れか一つは、運転席のコンソールボックスに形成され、且つ、前記収納部のうちの他の一つは、運転席の側面パネルに形成されることを特徴とする請求項1に記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項8】
前記収納部は、運転席の左・右側にそれぞれ形成されるか、又は前記収納部は運転席の左側と右側のうちの何れか一側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。
【請求項9】
前記収納部は、運転席から運転者の手が届くような半径内に設けられることを特徴とする請求項1、2、5、6、7、8の何れかに記載の収納部が備えられた建設装備の運転席。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−18935(P2008−18935A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164522(P2007−164522)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー (156)
【Fターム(参考)】