説明

取付構造

【課題】簡易な動作で2個の部材を互いに取り外すことができる取付構造を提供する。
【解決手段】この発明の取付構造は、第1内側面10A及び第1内側面10Aに所定間隔をあけて対向配置された舌片12を有する第1部材10と、第1内側面10Aと係合する第1端面20A及び舌片12と係合する第2端面20Bを有する第2部材20と、の取付構造である。舌片12は、第2端面20Bに接近する方向に弾性を有するとともに第2凹部14,15を有する。第2部材20は、舌片12の接近時に第2凹部14,15と係合する第2突起部22,23を第2端面20Bに有する。取付構造は、取り外し用凹部13をさらに備える。取り外し用凹部13には、舌片12を第2端面20Bから離間する方向に撓ませる工具30が挿入自在である。第2突起部22,23及び第2凹部14,15は、挿入方向において取り外し用凹部13と重合しない位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の内側面及びその内側面に所定間隔をあけて対向配置された舌片を有する第1部材と、内側面と対向する第1端面及び舌片と対向する第2端面を有する第2部材と、の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の部材の係止部と他方の部材の係合部とを係合させることで、一方の部材を他方の部材に取り付ける取付構造が、一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図1は、従来の取付構造の概略の構成を示す正面断面図である。図2(A)及び図2(B)は、従来の取付構造の一部の構成を示す拡大図である。図3は、舌片及び突起部の構成を示す側面断面図である。
【0004】
従来の取付構造によって、第1部材1と第2部材2とが取り付けられる。第2部材2は、第1部材1の互いに対向する2個の内側面1A,1Bの間に取り付けられる。第1部材1は、内側面1B側に舌片3を有する。舌片3には、凹部3A及び取り外し用凹部3Bが設けられる。舌片3は、図1において右方向に弾性を有する。第2部材2は、舌片3に対向する側の端部2Bに、突起部4を有する。
【0005】
第2部材2を第1部材1に取り付ける場合、まず、第2部材2の一方の端部2Aを第1部材1の一方の内側面1Aに係合させ、次に、第2部材2の他方の端部2Bを矢印P方向に押し込むことで、端部2Bの突起部4を舌片3の凹部3Aに係合させる。
【0006】
第2部材2を第1部材1から取り外す場合は、図2(A)に示すように、取り外し用凹部3Bから矢印P方向にマイナスドライバ等の工具5の先端部を挿入し、図2(B)に示すように、この状態で工具5をこじることで、舌片3と第2部材2の端部2Bとを離間させ、突起部4と凹部3Aとの係合を解除する。これによって、第2部材2が第1部材1から取り外される。
【特許文献1】特開平6−141437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図3に示すように、従来の取付構造では、工具5の挿入方向Pにおいて、取り外し用凹部3Bと第2部材2の突起部4とが重合している。このため、取り外し用凹部3Bから工具5を挿入したとき、工具5が突起部4に衝突してしまい、工具5を深く挿入することができない。したがって、舌片3と第2部材2の端部2Bとを離間させて凹部3Aと突起部4との係合を解除するためには、工具5を挿入するという動作に加えて、工具5をこじるという動作も必要になる。
【0008】
工具5をこじるためには、第1部材1の内側面1Bの縁部と第2部材2の端部2Bとの隙間の寸法L1を大きくしておく必要が生じる。また、工具5をこじた場合、第2部材2に傷が付く。
【0009】
この発明の目的は、簡易な動作で2個の部材を互いに取り外すことができる取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の取付構造は、所定の内側面及びこの内側面に所定間隔をあけて対向配置された舌片を有する第1部材と、内側面に対向する第1端面及び舌片に対向する第2端面を有する第2部材と、の取付構造である。舌片は、第2端面に接近する方向に弾性を有するとともに所定の係合部を有する。第2部材は、舌片の接近時に係合部と係合する係止部を第2端面に有する。取付構造は、取り外し用凹部を備える。取り外し用凹部には、舌片を第2端面から離間する方向に撓ませる工具が所定の挿入方向に挿入自在である。係止部及び係合部は、挿入方向において取り外し用凹部と重合しない位置に配置される。
【0011】
この構成では、取り外し用凹部から挿入された工具が、係止部及び係合部と衝突しないので、工具が係止部及び係合部より深い位置まで挿入される。このため、工具をこじることなく、舌片と第2部材の第2端面とが所定寸法以上に離間し、係止部と係合部との係合が解除される。
【0012】
この発明の取付構造では、係止部及び係合部のそれぞれは、挿入方向に直交する方向で取り外し用凹部を挟む2箇所に配置されていてもよい。
【0013】
この構成では、取り外し用凹部から工具を挿入した場合に、工具の両隣に係止部及び係合部が配置されているので、工具を挿入するのみで、より簡易に係止部と係合部との係合が解除される。
【0014】
この発明の取付構造では、例えば、係止部及び係合部のうち、一方を突起部とし、他方を凹部としてもよい。
【0015】
この構成では、突起部と凹部とを係合させることによって第1部材と第2部材とが取り付けられる。そして、工具を挿入して舌片と第2部材の第2端面とを離間させ、凹部から突起部を抜くことで、第1部材と第2部材とが取り外される。
【発明の効果】
【0016】
この発明の取付構造によれば、工具をこじることなく挿入するのみで、係止部と係合部との係合を解除して、第2部材を第1部材から取り外すことができる。このため、第1部材と第2部材とを互いに簡易な動作で取り外すことができる。また、第2部材の第2端面と第1部材の舌片側の内側面との隙間の寸法を小さくしても、第1部材と第2部材とを互いに取り外すことができるので、外観の見栄えがよくなる。さらに、工具をこじる必要がないので、第2部材の第2端面の損傷を防ぐことができる。
【0017】
また、取り外し用凹部から挿入した工具の両隣に係止部及び係合部を配置することで、より簡易に係止部と係合部との係合を解除し、第1部材と第2部材とを取り外すことができる。
【0018】
さらに、係止部及び係合部のうち、一方を突起部とし他方を凹部とすることで、第1部材と第2部材とを確実に取り付けることができるとともに、工具を挿入するのみで簡易に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。図4は、この発明の実施形態に係る取付構造の概略の構成を示す側面断面図である。図5は、取付構造の一部の構成を示す拡大図であり、図6は、舌片及び突起部の構成を示す底面断面図である。
【0020】
第1部材10と第2部材20とは、この発明の取付構造によって互いに取り付けられている。第2部材20は、第1部材10の第1内側面10Aと、第1内側面10Aに所定間隔をあけて対向配置された第2内側面10Bとの間に収納される。第1内側面がこの発明の内側面に相当する。
【0021】
第1部材10は、第1内側面10Aに第1凹部11を有し、第2内側面10B側に舌片12を有する。舌片12の先端部には、取り外し用凹部13が設けられている。取り外し用凹部13から、マイナスドライバ等の工具30の先端部が矢印P方向に挿入される。また、図6に示すように、舌片12には、先端部が幅広にされ、その下方の幅が狭くされたことで第2凹部14,15が形成されている。この実施形態では、第2凹部14,15は、この発明の係合部に相当する。
【0022】
第2部材20は、一方の端面である第1端面20Aに第1突起部21を有し、反対側の端面である第2端面20Bに例えば2個の第2突起部22,23を有する。この実施形態では、第2突起部22,23は、この発明の係止部に相当する。第1突起部21は、第1凹部11と係合し、第2突起部22,23のそれぞれは、第2凹部14,15と係合する。
【0023】
矢印P方向における第2突起部22の下流側の側面22Aは、矢印P方向の下流側ほど第2端面20Bからの突出量が小さくなる方向に傾斜している。同様に、矢印P方向における第2突起部23の下流側の側面23Aは、矢印P方向の下流側ほど第2端面20Bからの突出量が小さくなる方向に傾斜している。
【0024】
第2突起部22,23は、工具30の挿入方向である矢印P方向において、取り外し用凹部13と重合しない位置に配置されている。この実施形態では、第2突起部22,23は、第2端面20B上であって矢印P方向に直交する方向で、取り外し用凹部13を挟む2箇所に配置されている。
【0025】
舌片12は、第2部材20の第2端面20Bに接近する方向の弾性を有する。取り外し用凹部13から、工具30の先端部が矢印P方向に挿入されることで、舌片12は、第2部材20の第2端面20Bから離間する方向に撓む。
【0026】
第2部材20を第1部材10に取り付ける場合、まず、第2部材20の第1端面20Aの第1突起部21を第1部材10の第1内側面10Aの第1凹部11に係合させる。次に、第2部材20の第2端面20Bを矢印P方向に押し込むことで、第2端面20Bの第2突起部22,23を舌片12の第2凹部14,15に係合させる。これによって、第2部材20が第1部材10に取り付けられる。
【0027】
第2部材20を第1部材10から取り外す場合は、図5(B)に示すように、取り外し用凹部13から工具30の先端部を矢印P方向に挿入することで、舌片12と第2部材20の第2端面20Bとを離間させ、第2突起部22,23と第2凹部14,15との係合を解除する。
【0028】
工具30は、取り外し用凹部13から矢印P方向に挿入されたとき、第2突起部22,23と衝突することなく第2突起部22,23より下方まで挿入自在にされる。このため、工具30をこじることなく、舌片12が第2部材20の第2端面20Bから離間する方向に撓み、舌片12と第2端面20Bとが所定寸法以上に離間し、第2突起部22,23と第2凹部14,15との係合が解除される。これによって、第2部材20が第1部材10から取り外される。
【0029】
第2部材20を第1部材10から取り外すとき、図5(B)に示すように、第2凹部14,15との係合が解除された第2突起部22,23は、舌片12の先端部12Aに乗り上げる。そして、第2突起部22,23の側面22A,23Aが舌片12の先端部12Aに案内されるようにして、第2部材20の第2端面20B側が、矢印P方向の上流側へ浮き上がる。このため、第2部材20を第1部材10から取り外しやすくなる。
【0030】
上述のように、第1部材10と第2部材20とは互いに簡易な動作で取り外される。また、第1部材10と第2部材20とを互いに取り外すために工具30をこじる必要がないので、第2部材20の第2端面20Bと第1部材10の第2内側面10Bの上縁部との隙間の寸法L2を小さくできる。寸法L2は、少なくとも工具30の先端部の直径(又は厚さ)より大きければよい。このため、外観の見栄えがよくなる。さらに、工具30をこじる必要がないので、第2部材20の第2端面20Bの損傷を防ぐことができる。
【0031】
また、取り外し用凹部13から挿入した工具30の両隣に第2突起部22,23及び第2凹部14,15を配置することで、より簡易に第2突起部22,23と第2凹部14,15との係合を解除し、第1部材10と第2部材20とを取り外すことができる。
【0032】
なお、矢印P方向において第2部材20の下流側の面のうち第2端面20B側に、矢印P方向の上流側へ向かう弾性力を有する弾性部材を設けてもよい。これによれば、第2部材20を第1部材10から取り外すとき、第2部材20の第2端面20B側が、矢印P方向の上流側へ、より浮き上がりやすくなる。このため、第2部材20を第1部材10から、より取り外しやすくなる。
【0033】
図7は、第2実施形態に係る取付構造の舌片42及び突起部52,53の構成を示す底面断面図である。この実施形態では、舌片42の第2凹部44,45の構成を除いて、第1実施形態と同様に構成されている。
【0034】
この実施形態では、第2凹部44,45は、舌片42に孔状に形成されている。第2凹部44,45のそれぞれは、第2部材20の第2端面20Bに設けられた第2突起部52,53のそれぞれと係合する。
【0035】
この実施形態においても、第2突起部52,53及び第2凹部44,45は、工具30の挿入方向である矢印P方向において、取り外し用凹部13と重合しない位置に配置されている。このため、工具30の挿入時に、第2突起部52,53と工具30とが衝突せず、工具30を挿入するのみで、第2突起部52,53と第2凹部44,45との係合が解除される。
【0036】
図8(A)は、第3実施形態に係る取付構造の一部の構成を示す拡大図であり、図8(B)は、舌片の構成を示す斜視図である。
【0037】
この実施形態では、第2部材20の第2端面20Bに第2凹部74,75(但し、第2凹部74は図示されていない。)が設けられ、舌片82に第2突起部62,63が設けられていることを除いて、第1実施形態と同様に構成されている。
【0038】
この実施形態においても、第2突起部62,63及び第2凹部74,75は、工具30の挿入方向である矢印P方向において、取り外し用凹部13と重合しない位置に配置されている。このため、工具30の挿入時に、第2突起部62,63と工具30とが衝突せず、工具30を挿入するのみで、第2突起部62,63と第2凹部74,75との係合が解除される。
【0039】
なお、第2部材20の背面(矢印P方向において第2部材20の下流側の面)、又は、第2部材20の背面に対向する第1部材10の面に、第2部材20の背面とこれに対向する第1部材10の面とを離間させる方向に付勢する付勢手段(例えば、バネなどの弾性部材)を、さらに備えてもよい。これによって、第2部材20を第1部材10から取り外すとき、矢印P方向の上流側へ第2部材20が飛び出しやすくなり、より取り外しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来の取付構造の概略の構成を示す側面断面図である。
【図2】従来の取付構造の一部の構成を示す拡大図である。
【図3】舌片及び突起部の構成を示す底面断面図である。
【図4】この発明の実施形態に係る取付構造の概略の構成を示す側面断面図である。
【図5】取付構造の一部の構成を示す拡大図である。
【図6】舌片及び突起部の構成を示す底面断面図である。
【図7】第2実施形態に係る取付構造の舌片及び突起部の構成を示す底面断面図である。
【図8】(A)は、第3実施形態に係る取付構造の一部の構成を示す拡大図であり、(B)は、舌片の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
10 第1部材
10A 第1内側面
10B 第2内側面
11 第1凹部
12,42,82 舌片
13 取り外し用凹部
14,15,44,45,74,75 第2凹部(係合部)
20 第2部材
20A 第1端面
20B 第2端面
21 第1突起部
22,23,52,53,62,63 第2突起部
30 工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の内側面及び前記内側面に所定間隔をあけて対向配置された舌片を有する第1部材と、前記所定間隔内に収納されて前記内側面に対向する第1端面及び前記舌片に対向する第2端面を有する第2部材と、の取付構造であって、
前記舌片は、前記第2端面に接近する方向に弾性を有するとともに所定の係合部を有し、
前記第2部材は、前記舌片の接近時に前記係合部と係合する係止部を前記第2端面に有し、
前記舌片を前記第2端面から離間する方向に撓ませる工具を所定の挿入方向に挿入自在な取り外し用凹部を備え、
前記係止部及び前記係合部は、前記挿入方向において前記取り外し用凹部と重合しない位置に配置されたことを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記係止部及び前記係合部のそれぞれは、前記挿入方向に直交する方向で前記取り外し用凹部を挟む2箇所に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記係止部及び前記係合部のうち、一方は突起部であり、他方は凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−303658(P2007−303658A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135625(P2006−135625)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】