説明

取付部材を被溶接部材へ固定する固定装置

【課題】スタッドボルトとナット部材とを包含し、狭い箇所であっても、取付部材を被溶接部材に容易に短時間で取付けることができる、高い作業効率の固定装置を提供する。
【解決手段】固定装置1は、ボルト部と被溶接部材26に溶接される溶接端部3とを有するスタッドボルト5と、スタッドボルトに螺合するナット部材7とから成り、ナット部材7は、溶接前にスタッドボルトに予め螺合した状態で連結され、且つ、スタッドボルトへ溶接電流が流れるように導電材料で形成されて、予めナット部材7がスタッドボルト5に連結された状態で被溶接部材に溶接することが可能であり、固定装置1が溶接された被溶接部材26上に取付部材19が配置され、ナット部材7が締め付け方向に回転されると取付部材が被溶接部材に固定される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被溶接部材に溶接されるスタッドボルトとこのスタッドボルトに螺合するナット部材とを包含し、スタッドボルトに螺合したナット部材を締め付け方向に回転することによって取付部材を被溶接部材に固定する固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被溶接部材に溶接されるスタッドボルトとスタッドボルトに螺合するナット部材とを包含し、スタッドボルトに螺合したナット部材を締め付け方向に回転することによって取付部材を被溶接部材に固定する固定装置は、例えば、特許文献1(特開昭63−013911号公報)に記載されている。
【0003】
車両のバンパーを車体に取付けるのに、一般的にリーンホース(補強部材)を用いられることが知られている。リーンホースを車体に取付けるには、作業がし易く短時間で行えるのが望ましいが、狭い箇所での位置決めを確実にするため治具を用いて仮組み付けを行ってから本組み付けを行うことが多く、作業性の点で改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−013911号公報
【特許文献2】特開平10−129371号公報
【特許文献3】特開2006−044308号公報
【特許文献4】特表2006−502359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、既述のように、スタッドボルトを被溶接部材に溶接によって固定し、スタッドボルトに螺合したナット部材で取付部材を被溶接部材に固定できる固定装置が記載されている。この固定装置は、ナット部材がプラスチック材料で形成されているため、被溶接部材へスタッドボルトを溶接するためには、ナット部材をスタッドボルトから分離した状態にしておかねばならない。また、スタッドボルトを被溶接部材に溶接した後にナット部材をスタッドボルトに螺合するので、バンパーを車体に取付けるのに用いられるリーンホースの取付けには、狭いスペースでの作業を強いら、時間と手間がかかる。
【0006】
特許文献2には、バンパーのリーンホースの取付構造が記載されている。その構造は、リーンホースが弾性変形した場合に、リーンホースが初期位置に復帰可能にするためのものであり、リーンホースの取付作業の向上を図るための構造を示すものではない。特許文献3には、別の、バンパービームアセンブリ(バンパーリーンホース)取付構造が記載されている。この構造は、ボルトで車体に仮止めし、このボルトをバンパービームアセンブリの大径穴で受入れてスライドさせ、更にいくつかの工程を経てボルトにナットが本止めされるものである。この構造は、バンパービームを取付けた状態で塗装が可能であり、塗装後のシール材の塗布を簡単にできるようにするためのもので、リーンホースの取付作業の向上を図るための構造を示すものではない。特許文献4は、雄ねじが形成されたボルト部と被溶接部材に溶接される溶接端部とを有するスタッドボルトを記載している。また、特許文献4のスタッドボルトは、その溶接端部が溶接側の面において中央に円形凹部があってリング形状の外縁部でのみ溶接される形状に形成され、いわゆる、ラウンドスタッドを示している。特許文献4には、バンパーのリーンホースを車体に取付けることについて記載されず、リーンホースの取付作業の向上を図るための構造は記載されていない。
【0007】
従って、本発明の目的は、被溶接部材に溶接されるスタッドボルトとこのスタッドボルトに螺合するナット部材とを包含し、狭い箇所であっても、取付部材を被溶接部材に容易に短時間で取付けることができる、高い作業効率の固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る固定装置は、雄ねじが形成されたボルト部と被溶接部材に溶接される溶接端部とを有するスタッドボルトと、該スタッドボルトの前記ボルト部に螺合する雌ねじを有するナット部材とから成り、前記被溶接部材に溶接された前記スタッドボルトが取付部材の取付穴へ挿入されて前記ナット部材が螺着されると前記取付部材が前記被溶接部材へ固定される、固定装置であって、前記ナット部材は、前記被溶接部材への溶接前に前記スタッドボルトの前記ボルト部に予め螺合した状態で連結され、且つ、前記スタッドボルトへ溶接電流が流れるように導電材料で形成されて前記予め前記スタッドボルトに連結された状態で被溶接部材に溶接することが可能であり、予め前記ナット部材が連結された前記スタッドボルトの前記溶接端部が溶接された前記被溶接部材上に前記取付部材が配置されて、前記ナット部材がその締め付け方向に回転されることによって、前記取付部材が前記被溶接部材に固定される、ことを特徴とする。
【0009】
上記特徴によって、ナット部材がスタッドボルトに予め組み付けた状態で被溶接部材に溶接することができ、その溶接後においては、狭い箇所であっても、ナット部材を螺合する必要がなくなり、ナット部材を締め付け方向に回転するだけの作業でよいので、リーンホース等の取付部材を車体等の被溶接部材に容易に短時間で取付けることができ、高い作業効率が得られる。
【0010】
上記の固定装置において、前記ナット部材の外径は、該ナット部材の端部と前記溶接端部との間の前記スタッドボルトの軸部より大径に形成されており、前記取付部材には、前記ナット部材の外径より大きな直径の第1穴と前記スタッドボルトの前記軸部より大きいが前記ナット部材の外径より小さい直径の第2穴とが連続するキーホール形状の取付穴が形成されており、前記取付部材は、前記取付穴の第1穴に前記ナット部材及び前記スタッドボルトを受入れられて前記被溶接部材上に配置された後、前記取付穴の第2穴に前記スタッドボルトの軸部を受入れるようにスライド配置されて、該取付部材が前記被溶接部材と前記ナット部材との間に配置される。取付穴の小径の第2穴が取付部材の位置を正確に定めるので、取付部材の位置決めが一層容易に且つ正確になり、リーンホース等の取付部材が車体等の被溶接部材に正確に且つ短時間で組み付けられる。
【0011】
上記装置において、前記ナット部材には、前記スタッドボルトの前記溶接端部に向けて延びる押さえ片が、前記スタッドボルトの外周回りに間隔をおいて複数設けられており、前記押さえ片は、前記ナット部材の前記締め付け方向への回転につれて先端が半径方向外方に拡がりながら前記取付部材を押さえる。これによって、複数の押さえ片が、リーンホース等の取付部材の取付穴への挿入の際のガイドとなり、位置決めが正確で且つ容易になる。また、複数の押さえ片は、ナット部材が取付部材を押圧する力を強固にし、そして、押さえ片の均等な拡がりによって取付部材を均等に押圧し一層強固に押圧する。前記スタッドボルトには、前記溶接端部と前記ボルト部との間に無ねじの棒状部が形成されて、前記棒状部には、前記ナット部材の前記締め付け方向への回転につれて前記ナット部材の前記押さえ片を半径方向外方に拡がらせるテーパ付きの大径部が形成されており、該大径部と前記溶接端部との間に、前記取付部材が配置されるネック部が形成されている。これによって、押さえ片が取付部材を外周回りに均等に押圧するように作用し、取付部材を一様な強さで支持する。ナット部材は、前記押さえ片の先端が前記スタッドボルトの前記棒状部の前記大径部に接するが半径方向外方に拡がる前の状態で、前記スタッドボルトに予め螺合した状態で連結される。
【0012】
上記固定装置の1例において、六角形等の多角形外周面を形成する筒状本体と、該筒状本体の一端にあって前記スタッドボルトの前記ボルト部の端部を塞ぐ頭部と、前記筒状本体の他端にあって前記取付部材を前記被溶接部材に安定して押しつける大径の座部とを有する。また、取付部材の1例は、車両のバンパーのリーンホース(補強部材)である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施形態に係る固定装置のうちのナット部材単独の正面図である。
【図2】本発明の1実施形態に係る固定装置であって、一部を断面で示す図1のナット部材をスタッドボルトに組み付ける途中の、部分断面正面図である。
【図3】本発明の1実施形態に係る固定装置の、予めナット部材をスタッドボルトに連結した状態の正面図である。
【図4】取付部材の取付穴と本発明の1実施形態に係る固定装置の関係を示しており、(A)は取付部材の取付穴の平面図、(B)は取付穴を固定装置に位置決めして受入れる状態を示す平面図、(C)は取付部材を取付穴の第2穴に固定装置を受入れるようにスライドさせた状態を示す平面図である。
【図5】被溶接部材に溶接した本発明の1実施形態に係る固定装置を用いて取付部材を被溶接部材に固定するため、固定装置のナット部材を締め付け方向に回転する操作を示す固定装置の、1部断面した正面図である。
【図6】本発明の1実施形態に係る固定装置が、図5の位置から更にナット部材を締め付け方向に回転されて取付部材が被溶接部材に固定される様子を示しており、(A)はナット部材が固定の途中にある固定装置の、1部断面した正面図、(B)はナット部材が固定完了状態にある固定装置の、1部断面した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の1実施形態に係る固定装置1について図面を参照して説明する。固定装置1は、図1〜図3に示されるように、雄ねじが形成されたボルト部2と被溶接部材に溶接される溶接端部3とを有するスタッドボルト5と、スタッドボルト5のボルト部2に螺合する雌ねじ6を有するナット部材7とから成る。図1には、ナット部材7が単独で示されており、このナット部材7は、図2及び図3に示されるように、被溶接部材への溶接前にスタッドボルト5のボルト部2に予め螺合した状態で連結される。ナット部材7は、また、スタッドボルト5へ溶接電流が流れるように導電材料で形成されており、ナット部材7が予めスタッドボルト5に連結された状態で、固定装置1がそのまま被溶接部材に溶接できる。図2は、ナット部材7がスタッドボルト5に螺合によって連結される途中の状態を示しており、図3は、ナット部材7がスタッドボルト5に予め連結された製品状態を示している。固定装置1は、図3に示す連結状態で、使用者へ納品される、使用前の製品として、1物品として取扱われる。
【0015】
ナット部材7の構成の詳細を図1を参照して説明する。ナット部材7は、上記したように、スタッドボルト5へ溶接電流が流れるように、例えば、金属等の導電材料、導電性樹脂材料等で形成される。ナット部材7は、六角形等の多角形外周面を形成する筒状本体9と、筒状本体9の一端(上端)にあってスタッドボルト5のボルト部2の端部(図2及び図3の上端部)を塞ぐ頭部10と、筒状本体9の他端(下端)にあって取付部材を被溶接部材に安定して押しつける大径の座部11とを有する。なお、座部11は、必須のものではなく、図5及び図6に示すように、なくともよい。ナット部材7の筒状本体9の内側には雌ねじ6が形成され、スタッドボルト5のボルト部2に螺合する。筒状本体9及び座部11の外径は、スタッドボルト5のボルト部2の軸部より大径に形成されている。
【0016】
ナット部材7には、スタッドボルト5の溶接端部3に向けて延びる押さえ片13が、スタッドボルト5の外周回りに間隔をおいて複数設けられている。図示の実施形態においては、6個の軸方向スリットを座部11から一体に円筒形状に延びる薄肉筒状部に形成することによって、6個の押さえ片13がスタッドボルト5の外周回りに均等な間隔で形成されている。各押さえ片13は、外力が加えられない状態では、図2及び図3に図示のように、座部11から下方にストレート(真っ直ぐ)に延びており、そして、ナット部材7が締め付け方向に回転されてスタッドボルト5のテーパした大径部に当接するとその大径部のテーパに沿って先端が徐々に半径方向外方に拡がるように撓む可撓性を有する。固定装置1において、複数の押さえ片13が、スタッドボルト5の外周に均等に配置されているので押さえ片13が、リーンホース等の取付部材の取付穴へ固定装置1を挿入し終えた後スタッドボルト5回りのガイドとなり、取付部材を固定装置1(ひいては被溶接部材)に対する位置決めが正確で且つ容易になる。また、押さえ片13は、取付部材を被溶接部材へ固定するためナット部材7をスタッドボルト5に対して締め付け方向へ回転させると、その回転につれてそれぞれの先端が半径方向外方に拡がりながら取付部材を押さえる。これによって、ナット部材7が取付部材を押圧する力が、座部11の押圧力に加わるので、一層強固になる。そして、ナット部材7がねじ込まれるとき、複数の押さえ片13がスタッドボルト5の外周を均等に係合しながら移動するので、ナット部材7の座部11が取付部材に均等に接面して取付け強度を高く維持する。
【0017】
スタッドボルト5は、既述のように、雄ねじが形成されたボルト部2と被溶接部材に溶接される溶接端部3とを有し、車体等の被溶接部材に溶接端部3が溶接によって固着される。このため、スタッドボルト5は、溶接電流が流れる導電性材料で形成され、溶接端部3の溶接面は、図2の破線で示すように、中央部分に円形凹部14が形成されてリング形状の外縁部でのみ溶接される形状に形成されている(ラウンドスタッドともいわれる)。かかる形状は、溶接端部3及び被溶接部材の溶接による溶融部分が円形凹部14に逃げることができ、確実で滑らかな溶接が行われる利点がある。
【0018】
スタッドボルト5には、溶接端部3とボルト部2との間に無ねじの棒状部15が形成されており、棒状部15には、ナット部材7が締め付け方向へ回転するにつれてナット部材7の押さえ片13を半径方向外方に拡がらせる、溶接端部3に向けて直径が増大するようにテーパした円錐台形状の大径部17が形成されている。また、大径部17と溶接端部3との間には、取付部材の取付穴の小径の第2穴を受入れる大きさの小径部がネック部18として形成されている。テーパ付きの大径部17によって、複数の押さえ片13が取付部材を外周回りに均等に押圧するように作用し、取付部材を一様な強さで支持する。ネック部18は取付部材を確実に保持するように作用する。
【0019】
図3に示すように、ナット部材7はスタッドボルト5に予め螺合して連結される。詳細には、押さえ片13の先端がスタッドボルト5の棒状部15の大径部17に接するが半径方向外方に拡がる直前の状態で、ナット部材7がスタッドボルト5に予め螺合した状態で連結される。図3に示す連結状態で、使用前の製品として1物品として取扱われ、使用者へ納品される。
【0020】
図4は、取付部材19の取付穴21と固定装置1の関係を示している。図4(A)に図示のように、取付部材19の取付穴21は、ナット部材7の外径より大きな直径の第1穴22とスタッドボルト5の軸部となる棒状部15のネック部18より大きいがナット部材7の外径より小さい直径の小径の第2穴23とが連続するキーホール形状の取付穴として形成されている。図4(B)及び(C)に図示のように、取付部材19は、取付穴21の第1穴22にナット部材7及びスタッドボルト5が受入れられて被溶接部材上に配置された(図4(B))後、小径の第2穴23にスタッドボルト7の軸部のネック部18を受入れるようにスライド配置され(図4(C)の矢印25)、取付部材19が被溶接部材とナット部材7との間に配置される。取付穴21の小径の第2穴が、取付部材19の位置を正確に定めるので、取付部材19の位置決めが一層容易に且つ正確になり、リーンホース等の取付部材が車体等の被溶接部材に正確に且つ短時間で組み付けられる。
【0021】
上記構成の固定装置1を、車体等の被溶接部材26の所定位置に固定し、この被溶接部材26に、車両のバンパーのリーンホース等の取付部材を取付ける操作を、図5及び図6を参照して説明する。なお、図5及び図6の固定装置1のナット部材7には、図1〜図3に示す座部11が設けられていない。かかる座部11は、必須ではなく、固定装置1の基本的な機能に変わりはない。
【0022】
先ず、固定装置1は、導電性材料で成るナット部材7がスタッドボルト5に予め螺合して連結された状態で製品とされ、固定装置1のスタッドボルト5の溶接端部3が、被溶接部材26の所定位置に、ナット部材7の筒状本体9を保持した溶接ツール等によって溶接される。次に、取付部材19の取付穴21の大径の第1穴22が固定装置1のナット部材7が通り抜けるように配置され(図4(B)参照)、その後、小径の第2穴23にスタッドボルト7のネック部18を受入れるようにスライド配置され(図4(C))、図5に図示のように、取付部材19が被溶接部材26上の所定位置に配置される。取付穴21の小径の第2穴が、取付部材19の位置を正確に定めるので、取付部材19の位置決めが一層容易に且つ正確になり、リーンホース等の取付部材が車体等の被溶接部材に正確に且つ短時間で組み付けられる。また、複数の押さえ片13が、スタッドボルト5の外周に均等に配置されているので押さえ片13が、取付部材19の取付穴21へ固定装置1を挿入し終えた後スタッドボルト5回りのガイドとなり、取付部材19を固定装置1(ひいては被溶接部材26)に対する位置決めが正確になる。
【0023】
次に、図5の矢印27に示すように、ナット部材7が締め付け方向にレンチ等によって回転される。ナット部材7が締め付け方向に回転すると、図6(A)に図示のように、ナット部材7がスタッドボルト5のボルト部2の雄ねじによって下動してナット部材7の下端(図1〜図3の例では座部11)が、取付部材19を被溶接部材26に押圧して、取付部材19を被溶接部材26に固定する。ナット部材7が締め付け方向に回転すると、複数の押さえ片13がタッドボルト5のテーパした大径部17に当接してテーパに沿って先端が徐々に半径方向外方に拡がるように撓み(図6(A)の矢印29)、複数の押さえ片13が取付部材を外周回りに均等に押圧するように作用し、取付部材を一様な強さで支持する。ナット部材7の締め付けを終了すると、取付部材19が固定装置1を介して被溶接部材26に固定される(図6(B)参照)。ナット部材7の下端(又は座部11)が、取付部材19を被溶接部材26に押圧する。更に、押さえ片13が取付部材を押圧する力が、ナット部材の下端(又は座部11)の押圧力に加わるので、取付けが一層強固になる。ナット部材7がねじ込まれるとき、複数の押さえ片13がスタッドボルト5の外周を均等に係合しながら移動するので、ナット部材7の座部11が取付部材に均等に接面して取付け強度を高く維持する。
【符号の説明】
【0024】
1 固定装置
2 ボルト部
3 溶接端部
5 スタッドボルト
6 雌ねじ
7 ナット部材
9 ナット部材の筒状本体
10 ナット部材の頭部
11 ナット部材の座部
13 押さえ片
15 スタッドボルトの棒状部(軸部)
17 大径部
18 ネック部
19 取付部材
21 取付穴
22 第1穴
23 第2穴
26 被溶接部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじが形成されたボルト部と被溶接部材に溶接される溶接端部とを有するスタッドボルトと、該スタッドボルトの前記ボルト部に螺合する雌ねじを有するナット部材とから成り、前記被溶接部材に溶接された前記スタッドボルトが取付部材の取付穴へ挿入されて前記ナット部材が螺着されると前記取付部材が前記被溶接部材へ固定される、固定装置において、
前記ナット部材は、前記被溶接部材への溶接前に前記スタッドボルトの前記ボルト部に予め螺合した状態で連結され、且つ、前記スタッドボルトへ溶接電流が流れるように導電材料で形成されて前記予め前記スタッドボルトに連結された状態で被溶接部材に溶接することが可能であり、予め前記ナット部材が連結された前記スタッドボルトの前記溶接端部が溶接された前記被溶接部材上に前記取付部材が配置されて、前記ナット部材がその締め付け方向に回転されることによって、前記取付部材が前記被溶接部材に固定される、
ことを特徴とする固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固定装置において、前記ナット部材の外径は、該ナット部材の端部と前記溶接端部との間の前記スタッドボルトの軸部より大径に形成されており、前記取付部材には、前記ナット部材の外径より大きな直径の第1穴と前記スタッドボルトの前記軸部より大きいが前記ナット部材の外径より小さい直径の第2穴とが連続するキーホール形状の取付穴が形成されており、前記取付部材は、前記取付穴の第1穴に前記ナット部材及び前記スタッドボルトを受入れられて前記被溶接部材上に配置された後、前記取付穴の第2穴に前記スタッドボルトの軸部を受入れるようにスライド配置されて、該取付部材が前記被溶接部材と前記ナット部材との間に配置される、ことを特徴とする固定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固定装置において、前記ナット部材には、前記スタッドボルトの前記溶接端部に向けて延びる押さえ片が、前記スタッドボルトの外周回りに間隔をおいて複数設けられており、前記押さえ片は、前記ナット部材の前記締め付け方向への回転につれて先端が半径方向外方に拡がりながら前記取付部材を押さえる、ことを特徴とする固定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の固定装置において、前記スタッドボルトには、前記溶接端部と前記ボルト部との間に無ねじの棒状部が形成されており、前記棒状部には、前記ナット部材の前記締め付け方向への回転につれて前記ナット部材の前記押さえ片を半径方向外方に拡がらせるテーパ付きの大径部が形成されており、該大径部と前記溶接端部との間に、前記取付部材が配置されるネック部が形成されている、ことを特徴とする固定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の固定装置において、前記ナット部材は、前記押さえ片の先端が前記スタッドボルトの前記棒状部の前記大径部に接するが半径方向外方に拡がる前の状態で、前記スタッドボルトに予め螺合した状態で連結されている、ことを特徴とする固定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定装置において、六角形等の多角形外周面を形成する筒状本体と、該筒状本体の一端にあって前記スタッドボルトの前記ボルト部の端部を塞ぐ頭部と、前記筒状本体の他端にあって前記取付部材を前記被溶接部材に安定して押しつける大径の座部とを有する、ことを特徴とする固定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の固定装置において、前記取付部材は、車両のバンパーのリーンホース(補強部材)である、ことを特徴とする固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−38578(P2011−38578A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185789(P2009−185789)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(390025243)ポップリベット・ファスナー株式会社 (159)
【Fターム(参考)】