説明

受信回路,これを搭載する無線基地局およびオートネゴシエーション方法

【課題】より迅速にビットレートの整合性を確認できる受信回路,これを搭載する無線基地局およびオートネゴシエーション方法を提供する。
【解決手段】所定のビットレートをもつクロック信号を生成し、このクロック信号に基づいて受信したシリアルデータの値を判断して「010」または「101」のいずれかを表わす信号を検出したときに、シリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとが整合していると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信回路,これを搭載する無線基地局およびオートネゴシエーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信網は複数の無線基地局(BTS:Base Transceiver Station)を含み、無線基地局は、本体としての無線制御部(REC:Radio Equipment Control)と、移動体通信端末との間で電波の授受を行なう無線部(RE:Radio Equipment)とを有する。通常、無線基地局はビルの屋上などに設置するのが一般的である。
【0003】
しかしながら、近年、無線基地局において、無線制御部と無線部とを物理的に離して設置し、両者の間をCPRI(Common Public Radio Interface)という規格に準拠したインターフェースで接続する技術が広く用いられている(たとえば、特許文献1参照)。この技術によれば、たとえば、無線制御部を1カ所に配備するとともに、無線制御部から複数の無線部を分岐させて配置し、通信可能なエリアを広げることができるようになる。この場合、無線部のみをビルの屋上に設置するだけで足りるようになるので、通信可能なエリアを広げることができるとともに省スペース化や省資源化にも役立っている。
【0004】
CPRIに準拠したインタフェースでやり取りされるシリアルデータの構造について説明する。
CPRIに準拠したインタフェースで用いられるシリアルデータは、チップレートが3.84MHzのベーシックフレームを最小の構成要素としている。このベーシックフレームが256個集まって一つのハイパーフレームを構成し、さらにこのハイパーフレームが150個集まって一つのUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)フレームを構成している。
ベーシックフレーム、ハイパーフレーム、UMTSフレームは、それぞれ、約260ns,66.67μs,10msの長さを有する。
ベーシックフレームは、16ワードからなり、先頭の1ワードにK28.5信号,K27.7信号,K28.2信号などフレームの境界を表わす制御データを格納し、残りにデジタルベースバンドデータを格納している。
ハイパーフレームには、一つのUMTSフレームにおけるそのハイパーフレームの序列を表わすハイパーフレーム・ナンバー(HFN)が含まれている。
【0005】
他方、CPRIでは、複数のビットレートが規定されており、たとえば、CPRI V4.1では、優先順位が高い方から順に、6144.0[Mbps],4915.2[Mbps],3072.0[Mbps],2457.6[Mbps],1228.8[Mbps],614.4[Mbps]という6種類のビットレートが規定されている。
このため、無線制御部や無線部に搭載される受信回路では、複数のビットレートを取りうるCPRI信号の符号を正確に判断するために、オートネゴシエーションを行なってビットレートの整合性を確認する必要がある。
【0006】
ここで、CPRIに準拠したインタフェースにおいて用いられているオートネゴシエーションでは、一つのハイパーフレームに必ず一つ含まれるK28.5信号にもとづいてハイパーフレーム・ナンバーの同期(HFNSYNC)の確立を確認し、受信したシリアルデータのビットレートと受信回路で使用するクロック信号のビットレートとの間の整合性を確認する方法を採るのが一般的である。この際、受信回路では、ビットレートの高いものから順にクロック信号として用いて受信したシリアルデータの読み込みを行ない、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとの間で整合性がとれていることを確認し、もしこれが確認できなければ、より低いビットレートをクロック信号として用いてシリアルデータの読み込みを行なって再びビットレートの整合性を確認するという手順を踏む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−189675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した受信回路では、オートネゴシエーションを行なう際に、ハイパーフレーム・ナンバーの同期(HFNSYNC)が確立しているか否かを確認する必要があるため、複数のハイパーフレームを受信する必要がある。このため、少なくとも複数のハイパーフレームを受信するまでは、オートネゴシエーションを完了できないという課題がある。
また、受信回路で用いるクロック信号のビットレートが、実際に受信したシリアルデータのビットレートと異なる場合には、オートネゴシエーションをするのにより長い時間を要してしまうという課題もある。これは、シリアルデータのビットレートと受信回路で用いるクロック信号のビットレートとの間で整合性がとれていないと判断するために、slave portでは約4秒間待つことが規定されていることに基づいている。たとえば、CPRI V4.1では、上述したように6つのビットレートが規定されているところ、最も高いビットレートである6144.0[Mbps]のビットレートをサポートする受信回路が、最も低いビットレートである6144.0[Mbps]のシリアルデータに対してオートネゴシエーションを行なう場合、ビットレートの高いものから順に5つのビットレートについて整合性がとれていないことを確認する必要があり、結果として約20秒という非常に長い時間を要してしまうのである。
【0009】
そこで、本発明は、より迅速にビットレートの整合性を確認できる受信回路,これを搭載する無線基地局およびオートネゴシエーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る受信回路は、無線基地局を構成する無線制御部および無線部のうち一方から送信されたシリアルデータを受信する受信手段と、所定のビットレートをもつクロック信号を生成するクロック信号生成手段と、前記クロック信号に基づいて前記シリアルデータの値を判断して「010」または「101」のいずれかを表わすデータを検出したときに、前記クロック信号のビットレートと前記シリアルデータのビットレートとが整合していると判定するビットレート判定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るオートネゴシエーション方法は、無線基地局を構成する無線制御部および無線部のいずれかに搭載される受信回路において用いられるオートネゴシエーション方法であって、前記無線制御部および前記無線部のうち一方から送信されたシリアルデータを受信し、所定のビットレートをもつクロック信号を生成し、このクロック信号に基づいて前記シリアルデータの値を判断して「010」または「101」のいずれかを表わすデータを検出したときに、前記クロック信号のビットレートと前記シリアルデータのビットレートとが整合していると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定のビットレートをもつクロック信号を生成し、このクロック信号に基づいて前記無線制御部および前記無線部のうち一方から受信したシリアルデータの値を判断して「010」または「101」のいずれかを表わす信号を検出したときに、シリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとが整合していると判定する。これは、クロック信号のビットレートが受信したシリアルデータのビットレートに比べて2倍以上速いときには、シリアルデータ中の「0」や「1」を表わすビットを「00」や「11」などと複数回続けて読み込んでしまうため、「010」および「101」のいずれも検出できないことを応用したものである。
この結果、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとの間の整合性を確認する際に、わざわざ複数のハイパーフレームを受信するのを待つ必要がなくなるので、より迅速にビットレートの整合性を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る受信回路の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る受信回路においてビットレート判定部がクロック信号にもとづいてシリアルデータを判定する様子を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る受信回路の一構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る受信回路に含まれるビットレート判定部の一構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る受信回路に含まれるビットレート判定部の各構成要素の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る受信回路に含まれるIPコアによって実行されるビットレート判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態3に係る受信回路の一構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る受信回路に含まれるIPコアによって実行されるビットレート判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係る受信回路について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る受信回路の一構成例を示すブロック図である。
本実施の形態に係る受信回路は、図1に示すように、受信部10と、クロック信号生成部12と、ビットレート判定部14とから構成される。
受信部10は、受信したシリアルデータを電気的に復元してビットレート判定部14に入力する。
クロック信号生成部12は、CPRIの規格に準じたビットレートのクロック信号を生成し、ビットレート判定部24に入力する。なお、本実施の形態に係る受信回路は、説明の便宜上、1228.8[Mbps],614.4[Mbps]という二つのビットレートをサポートするものとして説明することにする。
ビットレート判定部14は、クロック信号生成部12にて生成されたクロック信号を受信し、このクロック信号に基づいて、受信部10によって電気的に復元されたシリアルデータの値を判定し、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとが整合しているか否かを判定する。具体的には、クロック信号に基づいてシリアルデータの値を判定したときに、「010」または「101」を表わす信号を検出したときにビットレートの整合が取れていると判定する。
【0016】
次に、本実施の形態に係る受信回路の動作を図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る受信回路においてビットレート判定部14がシリアルデータのビットレートを判定する様子を説明するための図である。
いま、614.4[Mbps]のビットレートで「010」を表わすシリアルデータがビットレート判定部14に入力されている場合を考える。
ビットレート判定部14が受信したシリアルデータのビットレートに比べて2倍速い1228.8[Mbps]のビットレートをもつクロック信号が入力されたときには、「010」の値を正確に読み込むことはできない。その理由は、ビットレート判定部14は、図2(a)に示すように、「0」や「1」の値を「00」や「11」のように連続して読み込むので、「001100」のように誤った値として読み込んでしまうためである。
これに対し、ビットレート判定部14に受信したシリアルデータのビットレートと等しい614.4[Mbps]のビットレートをもつクロック信号が入力されているときには、図2(b)に示すように、ビットレート判定部14は「010」の値を正確に読み込むことができるのである。
そこで、本実施の形態に係る受信回路では、CPRIに規定されたビットレートのうち速いものから順に、対応するクロック信号を生成し、このクロック信号を用いて受信したシリアルデータの読み込みを試み、「010」を表わす信号を検出したときに、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとが整合していると判定するものとした。
なお、受信したシリアルデータ中のハイパーフレームには、K28.5信号が格納されており、このK28.5信号のfghの部分は「010」か「101」のいずれかである。このため、少なくとも一つのハイパーフレームを受信したときに、「010」または「101」を表わすデータを検出できるか否かによって、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとが整合しているか否かを判定できる。したがって、わざわざ複数のハイパーフレームを受信するのを待たなくても、受信したシリアルデータのビットレートと生成したクロック信号のビットレートとの間の整合性を確認することができる。
【0017】
以上、本実施の形態に係る受信回路によれば、CPRIに規定されたビットレートのクロック信号を生成し、このクロック信号にもとづいて受信したシリアルデータの値を判断して「010」または「101」を表わす信号を検出したときに、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとが整合していると判定する。このため、ビットレートの整合性を確認する際に、わざわざ複数のハイパーフレームを受信するのを待つ必要がなくなり、より迅速にビットレートの整合性を確認することができる。
特に、回線瞬断によってサービスの提供が中断し、再度ビットレートの整合を確認する必要が生じた場合に、サービスの提供が中断する時間を短くすることができる。
また、レイヤ1でネゴシエーションを行なうため、より上位のレイヤでの制御を必要とせず、ソフトウェアまたはハードウェアの規模を比較的小さくすることができる。
【0018】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る受信回路について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態に係る受信回路も、生成したクロック信号にもとづいて受信したシリアルデータを判定して「010」を表わす信号を検出したときに、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとの間の整合性が取れていると判定するものである。しかしながら、6144.0[Mbps],4915.2[Mbps],3072.0[Mbps],2457.6[Mbps],1228.8[Mbps],614.4[Mbps]という6種類のビットレートをサポートする点で、実施の形態1に係る受信回路とは異なる。
【0019】
まず、本実施の形態に係る受信回路の構成を図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る受信回路の一構成例を示すブロック図である。
本実施の形態に係る受信回路は、図3に示すように、受信部20、クロック信号生成部22、ビットレート判定部24、受信した信号に含まれるクロックとデータとを分離するクロック・データ・リカバリ26、受信したシリアルデータをパラレルデータに変換するデシリアライザ28、ワードアライメントを行なうワードアライメント30、10b/8bコード変換を行なう10b/8b変換部32、クロックの載せ替えを行なうFIFO34、パラレルデータに対して所定の処理を行なうIPコア36から構成される。
【0020】
受信部20は、受信したシリアルデータを電気的に復元し、後段にあるビットレート判定部24、クロック・データ・リカバリ26、デシリアライザ28に出力する。
クロック信号生成部22は、この受信回路がサポートする六つのビットレート、すなわち6144.0[Mbps],4915.2[Mbps],3072.0[Mbps],2457.6[Mbps],1228.8[Mbps],614.4[Mbps]という六つのクロック信号のうちいずれかを生成してビットレート判定部24に入力する。
ビットレート判定部24は、クロック信号生成部22から入力されたクロック信号と受信部20から入力されたシリアルデータのビットレートが等しいときに、値「1」を表わすHパルスをクロック・データ・リカバリ26に出力する。
クロック・データ・リカバリ26は、イニシャライズ時に、ビットレート判定回路24a,24bから値「1」を表わすHパルスが入力されるのを待ち、ビットレート判定回路24に入力されているクロック信号に対応したビットレートのクロック信号を生成して、後段のデシリアライザ28,ワードアライメント30,10b/8b変換部32,FIFO34に出力する。
デシリアライザ28は、後段のIPコア36にて処理できるよう、シリアルデータをデシリアライズする。
ワードアライメント30は、デシリアライザ28によってデシリアライズされたパラレルデータから、K28.5信号を探し出すことによりUMTSフレームの境界を検出する。
10b/8b変換部32は、ワードアライメント30により検出された境界を基準として10ビットのデータを8ビットのデータに変換してFIFO34に送信する。
FIFO34は、受信データの同期クロックを受信したシリアルデータのクロックから、IPコア36側のクロックへの載せ替えを行なう。
IPコア36は、FIFO34から入力されたパラレルデータにもとづいて所定の処理を行なう。また、必要に応じて、クロック信号生成部22に生成するクロック信号のビットレートの変更を指示したり、クロック・データ・リカバリ26に対してイニシャライズを指示する。
【0021】
次いで、ビットレート判定部24の構成および動作について説明する。
図4は、本実施の形態に係る受信回路に含まれるビットレート判定部24の一構成例を示すブロック図である。
図5は、本実施の形態に係る受信回路に含まれるビットレート判定部24の各構成要素の動作を示すタイムチャートである。
ビットレート判定部24は、図4に示すように、3ビット・シフトレジスタ50と、その後段に配置されて3ビット・シフトレジスタ50から信号Q1〜Q3の入力を待つNOR回路52,56、AND回路54と、これらの後段に配置されてNOR回路52,56、AND回路54からの信号の入力を待ち、これらの信号に応じて信号Qxを外部に出力するAND回路58とから構成されている。
なお、NOR回路52,56には外部から値「0」を表わす信号が入力されているので、3ビット・シフトレジスタ50から信号Q1,Q3として値「0」が入力されたときに信号Q1’,Q3’として値「1」を出力する。また、AND回路54には外部から値「1」を表わす信号が入力されているので、3ビット・シフトレジスタ50から信号Q2として値「1」が入力されたときに信号Q2’として値「1」を出力する。
【0022】
次に、ビットレート判定部24に対し、614.4[Mbps]のビットレートをもつクロック信号と、同じく614.4[Mbps]のビットレートをもつと共に「010」を表わすシリアルデータとが入力されたときの動作を説明する。ここで、ビットレート判定部24bに入力されたクロック信号のビットレートと、シリアルデータのビットレートとが等しいときに限り、「010」を表わすシリアルデータを読み取ることができるのは上述したとおりである。
図5に示すように、サイクル(A)では、3ビット・シフトレジスタ50にて、値「0」が1ビット目にラッチされ、NOR回路52に対する信号Q1が値「0」となる。この際、NOR回路52は信号Q1’として値「1」を出力し、AND回路58は信号Qxとして値「0」を出力する。
次のサイクル(B)では、3ビット・シフトレジスタ50にて、値「0」が1ビット目にラッチされてNOR回路52に対する信号Q1が値「1」となるとともに、値「0」が1ビット目から2ビット目にシフトされてAND回路54に対する信号Q2が値「0」となる。この際、NOR回路52は信号Q1’として値「1」を出力し、AND回路54は信号Q2’として値「0」を出力し、AND回路58は信号Qxとして値「0」を出力する。
続くサイクル(C)では、3ビット・シフトレジスタ50にて、値「1」が1ビット目にラッチされてNOR回路52に対する信号Q1が値「0」となるとともに、値「1」が1ビット目から2ビット目にシフトされてAND回路54に対する信号Q2が値「1」となり、値「0」が2ビット目から3ビット目にシフトされてNOR回路56に対する信号Q3が値「0」となる。この際、NOR回路52,AND回路54,NOR回路56から、それぞれ信号Q1’,Q2’,Q3’として値「1」をAND回路58に入力するので、AND回路58は信号Qxとして値「1」を出力する。
このように、ビットレート判定部24は、クロック信号と、クロック信号のビットレートと等しいビットレートをもつと共に「010」を表わすシリアルデータとが入力されたときに、信号Qxとして値「1」を表わすHパルスを出力する。
クロック・データ・リカバリ26は、ビットレート判定部24からHパルスが入力されたときに対応するビットレートをもつクロック信号を生成し、デシリアライザ28,ワードアライメント30,10b/8b変換部32,FIFO34に入力する。デシリアライザ28,ワードアライメント30,10b/8b変換部32,FIFO34は、クロック・データ・リカバリ26から入力されたクロック信号にもとづき、シリアルデータに対して所定の処理を行なう。
【0023】
次に、本実施の形態に係る受信回路の動作について図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係る受信回路に含まれるIPコア36によって実行されるビットレート判定処理の一例を示すフローチャートである。このビットレート判定処理は受信回路がシリアルデータの受信を開始したときに実行される。
【0024】
このビットレート判定処理が実行されると、まず、最も優先順位の高いビットレート、すなわち、6144.0[Mbps]を設定し(ステップS100)、この設定したビットレートをもつクロック信号を用いて「010」を表わす信号を検出できるか否かを調べる(ステップS110)。
所定時間(たとえば、数十msや数百msなど。)にわたって「010」を表わす信号を検出できないときには(ステップS110:NO)、より優先順位の低いビットレートを設定し、「010」を表わす信号を検出するまでこの処理を繰り返す(ステップS100,S110)。
これに対し、「010」を表わす信号を検出したときには(ステップS110:YES)、さらにフレームの存在の有無を確認する(ステップS120)。ここで、所定時間(たとえば、数十msや数百msなど。)にわたってフレームの存在が確認できないときには、ステップS100に戻ってより優先順位の低いビットレートを設定する。このようにして、「010」を表わす信号を検出するとともに、フレームの存在が確認できたときには、こうした一連の処理を終了する(ステップS100〜S120)。
なお、ステップS120にて、フレームの存在を確認するのは、たとえ「010」を表わす信号を検出したときでも、受信したシリアルデータのビットレートと、クロック信号生成部22が生成したクロック信号のビットレートとの間に2倍以上の差がないときには、受信したシリアルデータのビットレートを誤判定する恐れがあるためである。
【0025】
以上、本実施の形態に係る受信回路によれば、CPRIに規定されたビットレートのクロック信号を生成し、このクロック信号にもとづいて受信したシリアルデータの値を判断して「010」を表わす信号を検出するだけではなく、フレームの存在を確認できたときに、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとが整合していると判定する。
したがって、2のべき乗倍として分類できない複数のビットレートをサポートする場合においても、受信したシリアルデータ中のフレームの存在の有無を確認することによってビットレートの整合性を確認する際の信頼性を高めることができる。
【0026】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る受信回路について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態に係る受信回路も、生成したクロック信号にもとづいて受信したシリアルデータを判定して「010」を表わす信号を検出したときに、受信したシリアルデータのビットレートとクロック信号のビットレートとの間の整合性が取れていると判定するものである。しかしながら、ビットレート判定部を複数有し、複数のビットレートの整合性について同時に確認できる点で、ビットレート判定部を一つしか有さず、一度に一つのビットレートしか整合性を確認できない実施の形態1,2に係る受信回路とは異なる。なお、本実施の形態に係る受信回路の構成要素のうち実施の形態2と共通するものについては、同一の符号を付すと共に詳しい説明は省略する。
【0027】
まず、本実施の形態に係る受信回路の構成を図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施の形態に係る受信回路の一構成例を示すブロック図である。
本実施の形態に係る受信回路は、図7に示すように、ビットレート判定部24a〜24dという四つのビットレート判定部を有する。これらビットレート判定部24a〜24dは、いずれも同じ構造をもつ回路であり、クロック信号生成部22から入力されたクロック信号と受信部20から入力されたシリアルデータのビットレートが等しいときに、値「1」を表わすHパルスをクロック・データ・リカバリ26に出力するものである。クロック信号生成部22が、これらビットレート判定部24a〜24dに対して異なるビットレートをもつクロック信号を入力することにより、複数のビットレートをもつクロック信号について同時に整合性を確かめることができる。
【0028】
次に、本実施の形態に係る受信回路の動作を図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る受信回路に含まれるIPコア36によって実行されるビットレート判定処理の一例を示すフローチャートである。このビットレート判定処理は受信回路がシリアルデータの受信を開始したときに実行される。
【0029】
このビットレート判定処理が実行されると、まず、一のビットレート群、すなわち表1に示すAグループに属するビットレート群を設定する(ステップS200)。ここで、ビットレート群とは、表1に示すように、CPRIに規定された複数のビットレートを、6144.0[Mbps],3072.0[Mbps]からなるAグループと、4915.2[Mbps],2457.6[Mbps],1228.8[Mbps],614.4[Mbps]からなるBグループという二つのグループに分類したものである。これら二つのグループは、CPRIに規定された複数のビットレートを、同一のグループに属する複数のビットレートが互いに2倍以上の差をもたせるよう分類したものである。ここでは、まず、表1に示すAグループに属するビットレート群を設定するものとして説明する。
【0030】
【表1】

【0031】
まず、ビットレート群としてAグループを設定したならば(ステップS200)、Aグループに属する6144.0[Mbps]のビットレートをもつクロック信号をビットレート判定部24aに入力するとともに、同じくAグループに属する3072.0[Mbps]のビットレートをもつクロック信号をビットレート判定部24bに入力し、ビットレート判定部24a,24bのうちいずれかで「010」を表わす信号を検出できるか否かを調べる(ステップS210)。
【0032】
ビットレート判定部24a,24bのいずれかで「010」を表わす信号を検出したときには(ステップS210:YES)、それに対応したビットレートをもつクロック信号を用いてシリアルデータ中のフレームの有無を確認する(ステップS220)。ここで、ビットレート判定部24a,24bの両者とも「010」を表わす信号を検出したときには、優先順位が高い方のビットレート、すなわち6144.0[Mbps]のクロック信号を用いてシリアルデータ中のフレームの有無を確認する処理を行なう。
【0033】
ビットレート判定部24a,24bのいずれもが、所定時間(たとえば、数十msや数百msなど。)にわたって「010」を表わす信号を検出できないときや(ステップS210:NO)、ビットレート判定部24a,24bのいずれかが「010」を表わす信号を検出したときでも所定時間(たとえば、数十msや数百msなど。)にわたってシリアルデータ中にフレームの存在が確認できないときには(ステップS220:NO)、ステップS200の処理に戻ってビットレート群としてBグループを設定する。その後、Bグループに属する4915.2[Mbps],2457.6[Mbps],1228.8[Mbps],614.4[Mbps]のビットレートをもつクロック信号をビットレート判定部24a〜24dに入力し、上述のステップS210,S220の処理を再度実行する。
【0034】
このようにして、ビットレート判定部24a〜24dのいずれかで「010」を表わす信号を検出し(ステップS210:YES)、かつ、それに対応したビットレートをもつクロック信号を用いてシリアルデータ中のフレームの存在を確認したときには(ステップS220:YES)、このビットレートがシリアルデータのビットレートに整合していると判断し、こうした一連の処理を終了する。
【0035】
以上、本実施の形態に係る受信回路によれば、CPRIに規定されたビットレートに対応する複数のクロック信号を生成し、これら複数のクロック信号のビットレートが受信したシリアルデータのビットレートに整合しているか否かを複数のビットレート判定部を用いて同時に確認することができるので、一つひとつのビットレートの整合性を逐次的に確認する場合に比べて迅速に受信したシリアルデータのビットレートを判定することができる。
また、サポートするビットレートを同一のグループに属する複数のビットレートが互いに2倍以上の差をもたせるよう複数のグループに分類し、各グループ毎に複数のビットレートが受信したシリアルデータのビットレートに整合するか否かを判定するので、ビットレートを判定する際の信頼性を高めることができる。
さらに、受信したシリアルデータのフレームの存在の有無を監視し、フレームの存在が確認できない状態が所定時間にわたって継続したときには、生成したクロック信号のビットレートが受信したシリアルデータのビットレートとは整合していないと判定し、異なるグループに分類されるビットレートをもつクロック信号を用いてシリアルデータのビットレートを判定するので、ビットレートを判定する際の信頼性をさらに高めることができる。
【0036】
[変形例]
なお、上述した実施の形態3では、ビットレート判定部24a〜24dという四つのビットレート判定部により、クロック信号生成部22が生成したクロック信号のビットレートが受信したシリアルデータのビットレートと整合しているか否かを判定するものとしたが、二つや三つなどのビットレート判定部を用いてもよい。この場合も、受信したシリアルデータのフレームの同期はずれを監視し、フレームの同期はずれの状態が所定時間にわたって継続したときには、生成したクロック信号のビットレートが受信したシリアルデータのビットレートとは整合していないと判定すればよい。
【0037】
また、上述した実施の形態2,3では、ビットレート判定部24,24a〜24dは、「010」を表わす信号を検出したときに、値「1」を表わすHパルスを出力するものとして説明したが、「101」を表わす信号を検出したときに値「1」を表わすHパルスを出力するものとしてもかまわない。加えて、「010」を表わす信号を判定するビットレート判定部と並列に、「101」を表わす信号を判定するビットレート判定部をさらに設け、これらの出力を合成するものとしてもよい。こうすれば、「010」および「101」を表わす信号の両者を検出することができる。
【0038】
さらに、上述した実施の形態1〜3では、CPRIに準拠したインターフェースで用いられる受信回路について説明をしたが、たとえばOSBAI(Open Base Station Standard Initiative)に準拠したインターフェースなど、他のインターフェースで用いられる受信回路の形態としてもかまわない。
【0039】
また、上述した実施の形態1〜3では、受信回路の形態として説明したが、このような受信回路を無線制御部および無線部のいずれかに搭載する無線基地局の形態としてもかまわない。また、オートネゴシエーション方法の形態としてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は受信回路や無線基地局の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10,20…受信部、12,22…クロック信号生成部、14,24,24a〜24d…ビットレート判定部、26…クロック・データ・リカバリ、28…デシリアライザ、30…ワードアライメント、32…10b/8b変換部、34…FIFO、36…IPコア、50…3ビット・シフトレジスタ、52…NOR回路、54…AND回路、56…NOR回路、58…AND回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局を構成する無線制御部および無線部のうち一方から送信されたシリアルデータを受信する受信手段と、
所定のビットレートをもつクロック信号を生成するクロック信号生成手段と、
前記クロック信号に基づいて前記シリアルデータの値を判断して「010」または「101」のいずれかを表わすデータを検出したときに、前記クロック信号のビットレートと前記シリアルデータのビットレートとが整合していると判定するビットレート判定手段と
を備えることを特徴とする受信回路。
【請求項2】
請求項1に記載の受信回路において、
前記クロック信号生成手段は、前記クロック信号のビットレートと前記シリアルデータのビットレートとが整合していると判定されないときには、前記クロック信号のビットレートを変更する
ことを特徴とする受信回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受信回路において、
前記シリアルデータ中にフレームが存在するか否かを監視する監視手段をさらに備え、
前記クロック信号生成手段は、所定時間にわたって前記フレームの存在が確認されないときには、前記クロック信号のビットレートを変更する
ことを特徴とする受信回路。
【請求項4】
請求項1に記載の受信回路において、
前記ビットレート判定手段を複数備え、
前記クロック信号生成手段は、所定の複数のビットレートをもつ複数のクロック信号を生成するとともに、これら複数のクロック信号の各々を前記複数のビットレート判定手段の各々に入力する
ことを特徴とする受信回路。
【請求項5】
請求項4に記載の受信回路において、
前記クロック信号生成手段は、前記シリアルデータがもつビットレートと前記複数のクロック信号がもつ複数のビットレートのうちいずれとも整合していると判定されないときには、前記複数のクロック信号の前記所定の複数のビットレートを変更する
ことを特徴とする受信回路。
【請求項6】
請求項4または5に記載の受信回路において、
前記シリアルデータ中にフレームが存在するか否かを監視する監視手段をさらに備え、
前記クロック信号生成手段は、所定時間にわたって前記フレームの存在が確認されないときには、前記複数のクロック信号の前記所定の複数のビットレートを変更する
ことを特徴とする受信回路。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の受信回路において、
前記クロック信号生成手段は、前記所定の複数のビットレートを、各々が2のべき乗倍となる複数のグループに分類し、これらのグループのうち一のグループに属する複数のビットレートのクロック信号を生成するとともに、これら複数のクロック信号の各々を前記複数のビットレート判定手段の各々に入力する
ことを特徴とする受信回路。
【請求項8】
前記所定のビットレートは、CPRI (Common Public Radio Interface)に基づいて定められることを特徴とする請求項1〜7に記載の受信回路。
【請求項9】
無線基地局を構成する無線制御部および無線部のいずれかに請求項1〜8のいずれかに記載の受信回路を搭載していることを特徴とする無線基地局。
【請求項10】
無線基地局を構成する無線制御部および無線部のいずれかに搭載される受信回路において用いられるオートネゴシエーション方法であって、
前記無線制御部および前記無線部のうち一方から送信されたシリアルデータを受信し、
所定のビットレートをもつクロック信号を生成し、
このクロック信号に基づいて前記シリアルデータの値を判断して「010」または「101」のいずれかを表わすデータを検出したときに、前記クロック信号のビットレートと前記シリアルデータのビットレートとが整合していると判定する
ことを特徴とするオートネゴシエーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−135506(P2011−135506A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295403(P2009−295403)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】