説明

受光回路および受光回路を用いたシステム

【課題】光量変化を検出する受光回路であり、次段の入力回路が小型で安価で、しかも、消費電流が少ない受光回路を提供する。
【解決手段】入射光量に応じた電流を流す光電変換素子と、該光電変換素子からの電流がドレインに供給されるNチャネル型MOSトランジスタと、該Nチャネル型MOSトランジスタのドレイン電圧が所望の電圧となるように、ロウパスフィルタを介して該NMOSトランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、を有する受光回路であり、前記制御回路は、前記ロウパスフィルタを介して制御されるNMOSトランジスタのゲート電圧の制御遅延量が所望の遅延量未満の場合は、GND端子電圧となり、前記ロウパスフィルタを介して制御されるNMOSトランジスタのゲート電圧の制御遅延量が所望の遅延量以上の場合は、前記NMOSトランジスタのドレイン電圧となる制御状態出力信号を出力する構成であり、該制御状態出力信号を出力信号とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光量の変化を検出する受光回路に係わり、特に周囲の明るさに関係なく、安定して光量の変化を検出できる受光回路に関する。
【背景技術】
【0002】
受光回路は、赤外線リモコン通信や可視光通信の光信号受光用や、フォトインタラプタや三角法を用いた光反射タイプの距離センサ等に用いられる。この受光回路の機能は、光のオンオフによる光量変化や、入射や反射される光量の変化を検出する機能が必要なのはもちろんであるが、周囲の明るさによらず光量変化が検出できる機能が必要である。
【0003】
図11に従来の受光回路を示す。構成は、光電変換機能により光信号や光量の変化を電流の変化に変換するフォトダイオード101と、フォトダイオード101の光電変換による電流変化を電圧の変化に変換する抵抗素子150と、ロウパスフィルタ501と、ドレイン電圧がロウパスフィルタ501を介してゲートに供給されるNチャネル型MOSトラジスタ(以降NMOSトランジスタと略称する。)102と、抵抗素子150の両端に発生した電圧変化を出力する出力端子104とで構成される。
【0004】
フォトダイオード101は、N型端子がVDD端子に接続され、P型端子が出力端子104と抵抗素子150の片側電極とNMOSトランジスタ102のドレインとロウパスフィルタ501の入力端子505とに接続される。抵抗素子150のもう片方の電極はGND端子に接続される。ロウパスフィルタ501は、出力端子506がNMOSトランジスタ102のゲートに接続される。NMOSトランジスタ102のソースは、GND端子に接続される。なお、図示はしないが、VDD端子には電源からプラスの電圧が供給され、GND端子には電源から基準電圧が供給される。
上述したように構成された受光回路は、以下のように動作して入射する光量の変化を検出する。
【0005】
周囲が暗い場合では、フォトダイオード101に定常的な電流が流れないので、出力端子の電圧は、ほぼGND端子電圧となり、NMOSトランジスタ102はオフしている。従って、フォトダイオード101に入射される光量が変化することで変化するフォトダイオード101の電流変化が抵抗素子150に流れる際に発生する電圧が、出力端子104から出力される。一方、周囲が明るい場合は、フォトダイオード101に定常的な電流が流れるため、抵抗素子150の電位差がこの電流により上昇し、フォトダイオード101に、抵抗素子150の電位差がNMOSトランジスタ102のしきい値電圧を超える以上の電流が定常的に流れる場合は、出力端子104はNMOSトランジスタ102のしきい値電圧付近にNMOSトランジスタ102によって制御される。つまり、周囲がいくら明るくても、出力端子104の電圧は、VDD端子電圧まで上昇することはなく、NMOSトランジスタ102のしきい値電圧付近までしか上昇しない。従って、出力端子104から出力される電圧波形が、VDD端子電圧で頭打ちとなることが無いので、周囲が非常に明るくても光量変化により出力電圧が変化する。つまり、周囲の明るさによらず光量変化が検出できる。
【0006】
なお、周囲が明るく、出力端子104の電圧がNMOSトランジスタ102のしきい値電圧付近に制御されている場合、NMOSトランジスタ102にも電流が流れているが、NMOSトランジスタ102のゲート電圧は、ロウパスフィルタ501を介して変化するため、変化速度が遅い。しかも、ロウパスフィルタ501は、非常に遅い周波数の信号しか通さない設定である。従って、NMOSトランジスタ102に流れる電流は、瞬間的な電流変化には定電流となるため、このNMOSトランジスタ102により受光感度の低下はほとんど無い。
【0007】
さらに、人が横切るとか、人の手が近づくとか、カーテンが風で揺れる等で発生する遅い変化速度の光量変化を検出しないために、これら、光量変化で発生する電流変化による電圧変化の周波数成分はパスできる様にロウパスフィルタ501のパス周波数を設定している。
また、図示していないが、従来の受光回路の出力には、従来の受光回路の出力端子から出力されるCMOSレベル未満の信号を、CMOSレベルに変換する入力回路が必要である。
【0008】
以上説明した従来の受光回路は、ソースがGND端子に接続され、ドレイン電圧がロウパスフィルタを介してゲート電圧に供給されるNMOSトランジスタに、フォトダイオードの電流を流すことで、周囲が明るく、フォトダイオード101の電流が多くても、出力電圧がNMOSトランジスタ102のしきい値電圧付近より高くならない構成であった。従って、周囲の明るさによらず、光量変化により出力電圧が変化する構成であった。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−83452号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上述べてきたように、従来の受光回路は、周囲の明るさによらず光量変化に対して出力電圧が変動する構成である。しかしながら、従来の受光回路は、上記したように、周囲が暗い場合の出力は、GND端子電圧付近を中心に光量変化に応じて電圧が変化し、一方、周囲が明るい場合の出力は、内蔵するNMOSトランジスタのしきい値電圧付近を中心に光量変化に応じて電圧が変化する構成である。このため、従来の受光回路の出力をCMOSインバータ等の簡単な構造のCMOSレベル入力回路に入力した場合、周囲が暗い場合は、入力信号レベルが低く、光量変化に対する電圧変化も非常に小さいため、入力信号を検出できない。また、周囲が明るい場合は、入力信号レベルがCMOSレベル以上の信号では無いため、CMOSレベル入力回路に貫通が流れてしまう。従って、次段の入力回路はアンプ回路等を用い、入力電圧の直流電圧範囲の広い入力回路とする必要があるが、この場合、次段の入力回路の構成が、複雑で高価となるだけでなく、アンプ等を用いるため、このアンプ回路で定常的に電流が消費されてしまう。つまり、従来の受光回路は、次段の入力部が複雑で高価となるだけでなく、次段の入力部の消費電流も増大してしまうといった課題があった。また、フォトダイオードの電流が全てGND端子へ流れてしまうため、周囲が明るい場合に受光回路の消費電流が増大してしまう課題もあった。そしてさらには、離れた場所から出力される光信号等の弱い光量変化を従来の受光回路で検出するためには、受光感度を高くする必要がある。しかし、従来の受光回路で受光感度を高めるには、上記抵抗素子の抵抗値を高くする必要がある。つまり、従来の受光回路は、受光感度を高めるために上記抵抗素子を高抵抗とする必要があり、そのため、上記抵抗素子の占有面積が大きすぎてICチップ内部に作ることが出来なくなる。従って、高価で場所を必要とする外付け抵抗素子を追加する必要がある課題もあった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされ、従来の受光回路よりも、次段の入力回路が小型で安価で、しかも、消費電流がほとんど無い構成を採用できる受光回路を提供する。そしてさらには、従来の受光回路よりも、高価で場所を必要とする外付け抵抗素子を用いなくても、受光感度が高くコストも安い受光回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の受光回路は、上記従来の受光回路の課題を解決するために、入射光量に応じた電流を流す光電変換素子と、光電変換素子の電流がドレインに供給されるNMOSトランジスタと、NMOSトランジスタのドレイン電圧が入力端子に供給され、制御信号によってNMOSトランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、を備えた受光回路であって、制御回路は、遅延回路を備えており、NMOSトランジスタのドレイン電圧が変化したときに、遅延回路における遅延量に応じた制御状態出力信号を出力し、受光回路は、制御状態出力信号を入射光量の変化の検出信号として出力する構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の受光回路は、従来の受光回路よりも小型化と受光感度の向上が図れ、更に周辺回路も小型で低消費電流となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
【図2】第2の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
【図3】受光回路に用いられる制御回路の一例を示す回路図である。
【図4】受光回路に用いられる制御回路の他の例を示す回路図である。
【図5】第3の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
【図6】第4の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
【図7】受光回路に用いられるロウパスフィルタの一例を示す回路図である。
【図8】受光回路に用いられる検出回路の一例を示す回路図である。
【図9】受光回路の出力段に設けるレベルシフト回路の一例を示す回路図である。
【図10】受光回路に用いられる定電流回路の一例を示す回路図である。
【図11】従来の受光回路の回路構成を示す概略回路図である。
【図12】本発明の受光回路を用いたシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
【0016】
第1の実施形態の受光回路は、フォトダイオード101と、NMOSトランジスタ102と、制御回路103と、出力端子104と、レベルシフト回路108と、CMOSレベル信号出力端子111と、を備える。
【0017】
フォトダイオード101は、N型端子がVDD端子に接続され、P型端子がNMOSトランジスタ102のドレインと制御回路103の入力端子105とに接続される。制御回路103は、制御状態信号出力端子106が出力端子104と、レベルシフト回路108の入力端子109と、に接続され、制御端子107がNMOSトランジスタ102のゲートに接続される。NMOSトランジスタ102は、ソースがGND端子に接続される。レベルシフト回路108は、出力端子110がCMOSレベル信号出力端子111に接続される。なお、図示はしないが、VDD端子には電源からプラスの電圧が供給され、GND端子には電源から基準電圧が供給される。
【0018】
フォトダイオード101は、光電変換特性により、入射される光量に応じた電流を供給する。NMOSトランジスタ102は、フォトダイオード101からの電流をドレインからソースに流す。制御回路103は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧を入力端子105でモニターし、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧が所望の電圧となるように、内部のロウパスフィルタと制御端子107を介してNMOSトランジスタ102のゲートを制御する。さらに、制御回路103は、内部のロウパスフィルタによる制御動作遅延状態を知らせる信号を制御状態信号出力端子106から出力する。そして、レベルシフト回路108は、入力端子109から入力される信号をCMOSレベル信号に変換し、この変換したCMOSレベル信号を、出力端子110から出力する。
【0019】
なお、制御回路103の制御状態信号出力端子106から出力される信号は、制御回路103の制御遅延が所定の遅延量未満であれば、GND端子電圧の信号が出力される。そして、この制御遅延が所定の遅延量以上であれば、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧レベルのハイ信号が出力される。また、レベルシフト回路108の出力端子110からCMOSレベル信号出力端子111へ出力されるCMOSレベル信号は、出力端子104から出力される信号がGND端子電圧の場合は、VDD端子電圧のハイ信号が出力される。そして、出力端子104から出力される信号がNMOSトランジスタ102のドレイン電圧レベルのハイ信号の場合は、GND端子電圧のロウ信号が出力される。
上述したように構成された受光回路は、以下のように動作して入射する光量の変化を検出する。
【0020】
周囲が暗い場合は、フォトダイオード101に定常的な電流が流れないので、NMOSトランジスタ102のドレインは、ほぼGND端子電圧となる。そのため、制御回路103の入力端子105は、ほぼGND端子電圧となる。従って、NMOSトランジスタ102のゲートがほぼGND端子となり、NMOSトランジスタ102はオフすると共に、出力端子104も、ほぼGND端子電圧となる。よって、CMOSレベル信号出力端子111には、VDD端子電圧のハイ信号が出力される。
【0021】
そして、上記周囲が暗い状態から、光信号が入射されたり、周囲が急に明るくなったりして、フォトダイオード101からの電流が急に流れ出せば、NMOSトランジスタ102に流れる電流が、フォトダイオード101からの電流まで増加するまでの間、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧は上昇する。そして、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧が上昇している期間は、制御回路103の制御が遅延している期間なので、この期間では、制御回路103の制御状態信号出力端子106の電圧は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧となっている。従って、上記期間では、出力端子104は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧のハイ信号となり、CMOSレベル信号出力端子111にGND端子電圧のロウ信号が出力される。
【0022】
一方、周囲が明るい場合は、フォトダイオード101に定常的な電流が流れるので、NMOSトランジスタ102のドレインは、制御回路103により、所望の電圧付近に制御される。さらに、この場合、制御回路103の制御も遅延していないので、制御回路103の制御状態出力端子106は、ほぼGND端子電圧となる。よって、出力端子104はGND端子電圧レベルのロウ信号となり、CMOSレベル信号出力端子111には、VDD端子電圧のハイ信号が出力される。
【0023】
そして、上記周囲が明るい状態から、光信号が入射されたり、周囲がさらに明るくなったりして、フォトダイオード101からの電流が急に増加すれば、NMOSトランジスタ102に流れる電流が、フォトダイオード101の電流まで増加するまでの間、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧は上昇する。そして、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧が上昇している期間は、制御回路103の制御が遅延している期間なので、この期間では、制御回路103の制御状態信号出力端子106の電圧も、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧となる。従って、上記期間では、出力端子104は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧のハイ信号となり、CMOSレベル信号出力端子111にGND端子電圧のロウ信号が出力される。
【0024】
なお、光信号が入射されたり、周囲が急に明るくなったりしてから、しばらく時間が経過すると、急に増加したフォトダイオード101の電流増加分を、NMOSトランジスタ102が流せるようになる。このため、上記した様な、光信号が入射されたり、周囲が急に明るくなったりする前の状態に戻ることは言うまでも無い。
【0025】
なお、光信号が入射されたり、周囲がさらに明るくなったりして、増加するNMOSトランジスタ102のドレイン電圧が、VDD端子電圧レベルまで上昇する場合には、出力端子104の信号がCMOSレベル信号となるので、レベルシフト回路が必要なくなることは言うまでも無い。
【0026】
以上述べたように、第1の実施形態の受光回路は、瞬間的に変化する電流に対して抵抗値が非常に高いNMOSトラジスタに、瞬間的に変化するフォトダイオードの電流を流すので、受光感度が高くなる。また、このNMOSトランジスタは、IC内部に作成できるので、外付け部品が省略でき、その分、小型化できコストダウンが図れる。さらに、出力端子の電圧がGND端子電圧となるため、次段の入力回路の構成を簡単で消費電流が定常的には流れないレベルシフト回路等で構成できる。従って、次段の入力回路を小型化できると共に定常的な消費電流も無くすることができる。
【0027】
<第2の実施形態>
図2は、第2の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
図2に示す様に、図1で示した第1の実施形態の受光回路とほとんど同じ構成である。なお、異なる点は、本発明の第1の実施形態では、フォトダイオード101のN型端子がVDD端子に接続される構成であるのに対し、本発明の第2の実施形態では、フォトダイオード101のN型端子がGND端子に接続されている点のみである。
また、接続も、上記したフォトダイオード101の接続以外は、本発明の第1の実施形態と同じ接続である。
【0028】
さらに、動作も、図1で示した本発明の第1の実施形態とほとんど同じ動作であり、異なる点は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧が、本発明の第1の実施形態では、VDD端子電圧付近まで上昇する場合があったのに対して、本発明の第2に実施形態では、フォトダイオード101の発電電圧までしか上昇しない点である。このため、本発明の第2の実施形態では、制御回路103の制御状態信号出力端子106から出力される制御状態信号の電圧もフォトダイオード101の発電電圧以下となる。従って、この発電電圧より高いCMOSレベル信号を出力する必要がある場合は、レベルシフト回路108が必要となる構成である。
【0029】
以上述べたように、前記第1の実施形態の受光回路では、フォトダイオードの電流が、VDD端子からGND端子へ流れてしまうため、フォトダイオードの電流がこの受光回路の消費電流となる。そのため、周囲が明るい場合では、このフォトダイオードの電流が多くなり、その結果、消費電流も多くなってしまう。しかし、上記第2の実施形態の受光回路では、フォトダイオードの発電電流を用いるので、フォトダイオードの電流はVDD端子からGND端子へは流れない。また、レベルシフト回路も入射光量に変化が無い場合は、入力端子にGND端子電圧が入力されるため、消費電流を全く消費しない。従って、第2の実施形態の受光回路では、前記第1の実施形態の受光回路の特徴に加え、消費電流をほとんど消費しない特徴がある。
【0030】
以下に、制御回路103の詳細な構成と動作を、具体的な回路例を示して説明する。
図3は、受光回路に用いられる制御回路103の一例を示す回路図である。制御回路103は、抵抗素子301と、Pチャネル型MOSトランジスタ(以降PMOSトランジスタと略称する。)302、303と、定電流回路304、305と、容量304と、を備える。なお、定電流回路304と定電流回路305の流す電流は同じ値である。また、PMOSトランジスタ303よりPMOS302の方が、K値が小さい構成である。
【0031】
抵抗素子301は、片方の電極が入力端子105に接続され、もう片方の電極が制御端子107に接続される。PMOSトランジスタ302は、ドレインが定電流回路304の電流流入端子と、制御状態信号出力端子106と、に接続され、ゲートがPMOSトランジスタ303のゲートと、ドレインと、定電流回路305の電流流入端子と、に接続され、ソースが入力端子105に接続される。PMOSトランジスタ303は、ソースが制御端子107に接続される。定電流回路304、305の電流流出端子はGND端子に接続される。容量304は、片側電極が制御端子107に接続され、もう片方の電極がGND端子に接続される。
上述したように構成された制御回路は、以下のように動作して入力される電流変化を検出する。
【0032】
先ず、入力端子105から、定電流回路304と305の合計電流値が流入している場合を説明する。抵抗素子301には定電流回路305の電流によるΔVが発生している。
このため、PMOSトランジスタ303のソースとゲート間の電位差よりも、PMOSトランジスタ302のソースとゲート間電位差の方がΔV分高くなる。しかし、PMOSト
ランジスタ302は、PMOSトランジスタ303よりK値を小さくしているので、このΔV分ソースとゲート間電圧が上昇しても、PMOSトランジスタ303より流せるドレ
イン電流が少ない。従って、PMOSトランジスタ302が流せるドレイン電流よりも、定電流回路304の定電流値の方が多いので、制御状態信号出力端子106はGND端子電圧のロウ信号となる。
【0033】
次に、入力端子105からの電流が、急に増えた場合について説明する。入力端子105の電圧は、急に増加した電流で一気に増加するが、制御端子107の電圧は容量304があるため、急には増加しない。このため、PMOSトランジスタ303のソースとゲート間の電位差よりも、PMOSトランジスタ302のソースとゲート間電位差の方がさらに高くなる。従って、PMOSトランジスタ302が流せるドレイン電流の方が、PMOSトランジスタ303のドレイン電流よりも多くなる。よって、PMOSトランジスタ302が流せるドレイン電流が、定電流回路304の定電流値よりも多くなり、制御状態出力端子106は、入力端子105の電圧まで上昇する。
【0034】
そして、しばらくたつと、制御端子107の電圧が上昇し、NMOSトランジスタ102のドレイン電流が、入力端子105からの電流増加分増えるまで上昇したら、再び、入力端子105から、定電流回路304と305の合計電流値が流入している場合に戻る。
【0035】
以上述べたように、図3で示す制御回路は、入力端子電圧が所望の電圧に制御されている状態では、制御状態出力端子からGND端子電圧のロウ信号が出力される。また、入力端子から流入する電流が急に増加することで、入力端子電圧の制御が遅延した場合には、制御状態出力端子から入力端子電圧のハイ信号が出力される。
【0036】
なお、図3で示す第1ないし第2の実施形態で用いた制御回路では、定電流回路304と305の定電流値を同じとし、PMOSトランジスタ302と303のK値を異なる値とすることで、検出電流値を調整した。しかし、PMOSトランジスタ302と303のK値を同じとし、定電流回路304と305の定電流値を異なる値とすることで検出電流値を調整する方法もあることは言うまでも無い。
【0037】
図4は、受光回路に用いられる制御回路の他の例を示す回路図である。図4に示す様に、定電流回路402、409と、NMOSトランジスタ403、405、407、408と、PMOSトランジスタ401、404,406と、容量304と、を備える。なお、PMOSトランジスタ406よりもPMOSトランジスタ401の方が、K値が小さく、さらに、PMOSトランジスタ401よりもPMOSトランジスタ404の方が、K値が小さい構成である。また、定電流回路402の定電流値は、NMOSトランジスタ403が流すドレイン電流値の2倍とした構成である。さらに、NMOSトランジスタ403、405,407には、同じ電流がミラーされる構成である。
【0038】
定電流回路409は、電流流入端子が入力端子105に接続され、電流流出端子がノードN1に接続される。PMOSトランジスタ401は、ドレインが定電流回路402の電流流入端子に接続され、ゲートがPMOSトランジスタ404のゲートとPMOSトランジスタ406のゲートとドレインに接続され、ソースが入力端子105に接続される。定電流回路402は、電流流出端子がNMOSトランジスタ403のドレインと制御端子107とに接続される。PMOSトランジスタ404は、ドレインがNMOSトランジスタ405のドレインと制御状態出力端子106とに接続され、ソースが入力端子105に接続される。PMOSトランジスタ406は、ソースがノードN1に接続される。ノードN1は、NMOSトランジスタ408のドレインと、NMOSトランジスタ408、407、405、403のゲートに接続される。NMOSトランジスタ408、407、405、403は、ソースがGND端子に接続される。容量304は、片方の電極が制御端子107に接続され、もう片方の電極がGND端子に接続される。
【0039】
先ず、入力端子105から流入する電流に、変動がない場合の動作について説明する。制御端子107の電圧が所望の値に制御され、NMOSトランジスタ102のドレイン電流が制御されている。この場合、PMOSトランジスタ401とNMOSトランジスタ403のドレイン電流が同じとなっている。つまり、PMOSトランジスタ406とPMOSトランジスタ401が同じドレイン電流となるように、ノードN1より入力端子105の電圧が少し高い状態に制御されている。しかし、PMOSトランジスタ404のドレイン電流は、PMOSトランジスタ401よりK値が小さいので、NMOSトランジスタ405のドレイン電流より少ない。従って、制御状態信号出力端子106はGND端子電圧が出力される。
【0040】
次に、入力端子105から流入する電流が、急激に増加した場合の動作について説明する。入力端子105の電圧が一気に上昇するが、制御端子107の電圧は定電流回路402と容量304があるため、急には増加しない。このため、NMOSトランジスタ102のドレイン電流が、この増加した入力端子105の電流分増加するまで、入力端子105の電圧は上昇したままとなる。従って、PMOSトランジスタ401、404がフルオンする状態がしばらく続き、この間はPMOSトランジスタ404のドレイン電流の方が、NMOSトランジスタ405のドレイン電流よりも多く流せるので、制御状態出力端子106は入力端子105の電圧が出力される。
【0041】
そしてしばらくたつと、制御端子107の電圧が上昇し、NMOSトランジスタ102のドレイン電流が、入力端子105からの電流増加分増えるまで上昇したら、再び前記した入力端子105からの流入電流に変動が無い場合の状態に戻る。
【0042】
以上述べたように、図4で示した制御回路103は、図3で示した制御回路103とは異なる構成で、全く同じ機能を実現できる。しかも、図3で示した抵抗素子301に対して、図4で示す定電流回路409は、等価的な抵抗値が非常に高いので、入力端子105の電流変化に対する感度が向上する。また、図3で示す抵抗素子301よりも図4で示す定電流回路409の方が、同じ抵抗値の場合の占有面積が小さくなる。従って、図3で示す制御回路よりも、図4で示す制御回路の方が、同じ性能で設計した場合、コストダウンが可能となる。
【0043】
<第3の実施形態>
図5は、第3の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
図5に示す様に、フォトダイオード101と、NMOSトランジスタ102と、制御回路103と、ロウパスフィルタ501と、抵抗素子502と、容量素子503と、検出回路504と、出力端子104と、レベルシフト回路108と、CMOSレベル信号出力端子111と、を備える。
【0044】
フォトダイオード101は、N型端子がVDD端子に接続され、P型端子がNMOSトランジスタ102のドレインと、ロウパスフィルタ501の入力端子505と、抵抗素子502の片側端子と、検出回路504の第1の入力端子507と、に接続される。ロウパスフィルタ501は、出力端子506がNMOSトランジスタ102のゲートに接続される。NMOSトランジスタ102は、ソースがGND端子に接続される。抵抗素子104は、フォトダイオード101のP型端子に接続される片側端子以外の片側端子が、容量素子503の片側端子と、検出回路504の第2の入力端子509に接続される。容量素子105は、抵抗素子104の片側端子と接続された片側端子以外の片側端子が、GND端子に接続される。検出回路504は、遅延状態信号出力端子508が出力端子104と、レベルシフト回路108の入力端子109と、に接続される。レベルシフト回路108は、出力端子110がCMOSレベル信号出力端子111に接続される。なお、図示はしないが、VDD端子には電源からプラスの電圧が供給され、GND端子には電源から基準電圧が供給される。
【0045】
フォトダイオード101は、光電変換特性により、入射される光量に応じた電流を供給する。NMOSトランジスタ102は、フォトダイオード101からの電流をドレインからソースに流す。ロウパスフィルタ501は、入力端子505から入力されるNMOSトランジスタ102のドレイン電圧のDC成分のみを出力端子502に出力する。抵抗素子502は、容量素子503とでロウパスフィルタを構成しており、このロウパスフィルタは、ロウパスフィルタ501より高い周波数のAC成分を通すことができる。検出回路504は、第1の入力端子507と第2の入力端子509とで、抵抗素子502の両端子間に発生する電圧を検出し、この検出結果を遅延状態信号出力端子508から出力する。そして、レベルシフト回路108は、入力端子109から入力される信号をCMOSレベル信号に変換し、この変換したCMOSレベル信号を、出力端子110から出力する。
【0046】
なお、検出回路504の遅延状態信号出力端子508から出力される信号は、抵抗素子502の両端子の電圧が、所定レベル未満の場合は、GND端子電圧のロウ信号が出力され、所定レベル以上の場合は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧のハイ信号が出力される。
上述したように構成された受光回路は、以下のように動作して入射する光量の変化を検出する。
【0047】
先ず、周囲が暗い場合の動作について説明する。フォトダイオード101に定常的な電流が流れないので、NMOSトランジスタ102のドレインは、ほぼGND端子電圧となる。そのため、ロウパスフィルタ501の入力端子505は、ほぼGND端子電圧となる。従って、NMOSトランジスタ102のゲートがほぼGND端子となり、NMOSトランジスタ102はオフする。また、NMOSトランジスタ102のドレインが、ほぼGND端子電圧となっているので、検出回路504の遅延状態信号出力端子508は、検出条件に関係なく、GND端子電圧のロウ信号が出力される。従って、出力端子104には、GND端子電圧のロウ信号が出力されるので、CMOSレベル信号出力端子111には、VDD端子電圧のハイ信号が出力される。
【0048】
そして、上記周囲が暗い状態から、光信号が入射されたり、周囲が急に明るくなったりして、フォトダイオード101からの電流が急に流れ出せば、NMOSトランジスタ102に流れる電流が、フォトダイオード101からの電流まで増加するまでの間、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧は上昇する。そして、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧が上昇している期間は、抵抗素子502の両端子間に電圧が発生するので、検出回路504は、抵抗素子502両端子間に所定レベル以上の電圧が発生していると判断する。従って、検出回路504の遅延状態信号出力端子508には、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧のハイ信号が出力される。よって、上記期間では、出力端子104は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧のハイ信号となり、CMOSレベル信号出力端子111にGND端子電圧のロウ信号が出力される。
【0049】
次に、周囲が明るい場合の動作について説明する。フォトダイオード101に定常的な電流が流れるので、NMOSトランジスタ102のドレインは、NMOSトランジスタ102のしきい値より多少高いで電圧に制御される。さらに、この場合、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧は変化していないので、抵抗素子502の両端子間に電圧は生じない。従って、検出回路504は、抵抗素子502の両端子間の電圧が所定レベル未満であると判断し、遅延状態信号出力端子508に、GND端子電圧のロウ信号を出力する。よって、上記期間では、出力端子104は、GND端子電圧のロウ信号となり、CMOSレベル信号出力端子111にVDD端子電圧のハイ信号が出力される。
【0050】
そして、上記周囲が明るい状態から、光信号が入射されたり、周囲がさらに明るくなったりして、フォトダイオード101からの電流が急に増加すれば、NMOSトランジスタ102に流れる電流が、フォトダイオード101の電流まで増加するまでの間、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧は上昇する。そして、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧が上昇している期間は、抵抗素子502の両端子間に電圧が発生するので、検出回路504は、抵抗素子502両端子間に所定レベル以上の電圧が発生していると判断する。従って、検出回路504の遅延状態信号出力端子508には、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧のハイ信号が出力される。よって、上記期間では、出力端子104は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧のハイ信号となり、CMOSレベル信号出力端子111にGND端子電圧のロウ信号が出力される。
【0051】
なお、光信号が入射されたり、周囲が急に明るくなったりしてから、しばらく時間が経過すると、抵抗素子502を介して容量素子503が充電されるため、抵抗素子502の両端子間に発生した電圧が低下して行き、やがて電圧が無くなる。そして、さらに時間が経過すると、急に増加したフォトダイオード101の電流増加分を、NMOSトランジスタ102が流せるようになるので、上記した様な、光信号が入射されたり、周囲が急に明るくなったりする前の状態に戻ることは言うまでも無い。
【0052】
また、光信号が入射されたり、周囲がさらに明るくなったりして、増加するNMOSトランジスタ102のドレイン電圧が、VDD端子電圧レベルまで上昇する場合には、出力端子104の信号がCMOSレベル信号となるので、レベルシフト回路が必要なくなることは言うまでも無い。
【0053】
以上述べたように、前記した第1と第2の実施形態の受光回路では、光量の増加で急激に増えたフォトダイオードの光電流を、NMOSトランジスタが流せるようになるまでの時間で、NMOSトランジスタのドレインとゲートの電圧差が所定電圧以上上昇すれば、所望の光量変化があったことを検出する構成である。しかし、光量の増加で急激に増えたフォトダイオードの光電流を、NMOSトランジスタが流せるようになるまでの時間は、NMOSトランジスタが流す電流により変化してしまう。例えば、周囲が明るい場合で、フォトダイオードに流れる電流が多く、NMOSトランジスタが流す電流が多い場合は、この時間は非常に短くなる。これは、NMOSトランジスタが流す電流が増加するにつれて、NMOSトランジスタの電流を所望量増加するのに必要なゲート電圧の上昇量が小さくなるためである。つまり、この上昇量が少ないため、NMOSトランジスタの電流が早く増加するためである。従って、周囲が明るい場合は、光量の増加で急激に増えたフォトダイオードの光電流を、NMOSトランジスタが流せるようになるまでの時間が非常に短くなる。このため、NMOSトランジスタのドレインとゲートの電圧差の上昇量も小さくなる。よって、周囲が明るい場合は、NMOSドレインとゲートの電圧差が所定電圧以上上昇するためには、より大きな光量変化が必要となる。つまり、本発明の第1と第2の実施形態では、周囲の明るさにより、検出される光量変化量が変わってしまう問題があった。このため、人が横切るとか、人の手が近づくとか、カーテンが風で揺れる等で発生する遅く少ない光量変化を、周囲が暗い場合でも検出しない設定とした場合、周囲が明るい場合に、非常に大きな光量変化しか検出できなくなる課題があった。
【0054】
上記課題を解決するためには、上記NMOSトランジスタのドレイン電流に応じて、検出する上記NMOSトランジスタのドレインとゲートの電圧差を補正する方法がある。しかし、この方法は回路構成が複雑になってしまう。
【0055】
そこで、第3の実施形態の受光回路では、NMOSトランジスタ102のドレインとゲートの電圧差を検出するのではなく、別に設けた抵抗素子502と容量素子503とで構成されるロウパスフィルタの、抵抗素子502の両端子間の電圧差を検出する構成とした。また、ロウパスフィルタ501のパスできる周波数よりも、抵抗素子502と容量素子503とで構成されるロウパスフィルタのパスできる周波数の方が高くなる構成とした。そして、人が横切るとか、人の手が近づくとか、カーテンが風で揺れる等で発生した光量変化による遅い周波数の電圧変化は、抵抗素子502と容量素子503とで構成されるロウパスフィルタでパスできる構成とした。
【0056】
上記構成とすることで、本発明の第3の実施形態では、前記本発明の第1の実施形態の特徴に加え、周囲の明るさによらず、一定の光量変化を検出することができる特徴を有することができる。つまり、本発明の第3の実施形態では、前記本発明の第1の実施形態の特徴に加え、人が横切るとか、人の手が近づくとか、カーテンが風で揺れる等で発生した光量変化を検出することがなく、周囲の明るさが変化しても一定の光量変化を検出することができる特徴を有することができる。
【0057】
<第4の実施形態>
図6は、第4の実施形態の受光回路を示す概略回路図である。
第4の実施形態の受光回路は、図5で示した第3の実施形態の受光回路とほとんど同じ構成である。なお、異なる点は、本発明の第3の実施形態では、フォトダイオード101のN型端子がVDD端子に接続される構成であるのに対し、本発明の第4の実施形態では、フォトダイオード101のN型端子がGND端子に接続されている点のみである。
また、接続も、上記したフォトダイオード101の接続以外は、図5で示した本発明の第3の実施形態と同じ接続である。
【0058】
さらに、動作も、本発明の第3の実施形態とほとんど同じ動作であり、異なる点は、NMOSトランジスタ102のドレイン電圧が、頭5で示す本発明の第3の実施形態では、VDD端子電圧付近まで上昇する場合があったのに対して、本発明の第4の実施形態では、フォトダイオード101の発電電圧までしか上昇しない点である。このため、本発明の第4の実施形態では、出力端子104から出力されるハイ信号は、フォトダイオード101の発電電圧以上にはならない。従って、この発電電圧より高いCMOSレベル信号を出力する必要がある場合は、レベルシフト回路108が必要となる構成である。
【0059】
以上述べたように、第3の実施形態の受光回路では、フォトダイオードの電流が、VDD端子からGND端子へ流れてしまうため、フォトダイオードの電流がこの受光回路の消費電流となる。そのため、周囲が明るい場合では、このフォトダイオードの電流が多くなり、その結果消費電流も多くなってしまう。しかし、第4の実施形態の受光回路では、フォトダイオードの発電電流を用いるので、フォトダイオードの電流はVDD端子からGND端子へは流れない。また、レベルシフト回路も入射光量に変化が無い場合は、入力端子にGND端子電圧が入力されるため、消費電流を全く消費しない。従って、第4の実施形態の受光回路は、前記第3の実施形態の受光回路の特徴に加え、消費電流をほとんど消費しない特徴がある。
【0060】
以下に、ロウパスフィルタ501の詳細な構成を、具体的な回路例を示して説明する。
図7は、受光回路に用いられるロウパスフィルタ501の一例を示す回路図である。図7に示すように、ロウパスフィルタ501は、抵抗素子701と、容量素子702と、を備える。
【0061】
抵抗素子701は、片側の電極が入力端子505に接続され、もう片方の電極が出力端子506と、容量素子702の片側電極に接続される。容量素子702のもう片方電極は、GND端子に接続される。なお、動作の説明は、一般的な抵抗素子と容量素子を用いたロウパスフィルタの構成であるので省略する。
【0062】
以下に、検出回路504の詳細な構成と動作を、具体的な回路例を示して説明する。
図8は、受光回路に用いられる検出回路の一例を示す回路図である。図8に示す様に、検出回路504は、PMOSトランジスタ801、802と、定電流回路803、804と、を備える。なお、定電流回路803と定電流回路804の流す電流は同じ値である。また、PMOSトランジスタ802よりPMOSトランジスタ801の方が、K値が小さい構成である。
【0063】
PMOSトランジスタ801は、ドレインが、定電流回路803の電流流入端子と、遅延状態信号出力端子508と、に接続され、ゲートが、PMOSトランジスタ802のゲートと、ドレインと、定電流回路804の電流流入端子と、に接続され、ソースが第1の入力端子507に接続される。PMOSトランジスタ802は、ソースが、第2の入力端子509に接続される。定電流回路803、804の電流流出端子は、GND端子に接続される。
【0064】
先ず、第2の出力端子509の電圧に対して、第1の入力端子507の電圧が所定電圧以上高くない場合の動作について説明する。PMOSトランジスタ801が流せるドレイン電流よりも、定電流回路803が流せる電流の方が大きくなる。従って、遅延状態信号出力端子508には、GND端子電圧のロウ信号が出力される。
【0065】
次に、第2の出力端子509の電圧に対して、第1の入力端子507の電圧が所定電圧以上高くなった場合の動作について説明する。PMOSトランジスタ801が流せるドレイン電流の方が、定電流回路803が流せる電流よりも大きい。従って、遅延状態信号出力端子508には、第1の入力端子507に入力される電圧レベルのハイ信号が出力される。
【0066】
なお、上記所定電圧は、定電流回路803の電流を流すために必要なPMOSトランジスタ801のゲートとソース間電圧から、定電流回路804の電流が流れるPMOSトランジスタ802のゲートとソース間電圧を引いた値である。定電流回路803と定電流回路804が流せる電流値が同じであり、PMOSトランジスタ802よりもPMOSトランジスタ801の方が小さいK値であるので、上記PMOSトランジスタ802のゲートとソース間電圧よりも、上記PMOSトランジスタ801のゲートとソース間電圧の方が高い電圧となる。従って、上記所定電は正の値であり、PMOSトランジスタ802のK値に対して、PMOSトランジスタ801のK値を小さくすればするほど、上記所定電圧は増加する。
【0067】
また、第3ないし第4の実施形態の検出回路は、定電流回路803と804の電流値を同じとし、PMOSトランジスタ801と802のK値を異なる値とすることで、上記所定電圧値を調整した。しかし、PMOSトランジスタ801と802のK値を同じとし、定電流回路803と804の定電流値を異なる値とすることで上記所定電圧値を調整できることは言うまでも無い。
【0068】
以下に、レベルシフト回路108の詳細な構成と動作を、具体的な回路例を示して説明する。
図8は、受光回路に用いられるレベルシフト回路の一例を示す回路図である。
図8に示すように、レベルシフト回路108は、NMOSトランジスタ902と定電流回路901と、を備える。
【0069】
NMOSトランジスタ902は、ドレインが、反転信号出力端子110と、定電流回路901の電流流出端子に接続され、ゲートは、入力端子109に接続され、ソースは、GND端子に接続される。定電流回路501は、電流流入端子がVDD端子に接続される。なお、図示はしないが、VDD端子には電源からプラスの電圧が供給され、GND端子には電源から基準電圧が供給される。
【0070】
先ず、入力端子109の電圧が低く、NMOSトランジスタ902のドレイン電流が、定電流回路901が流せる電流より少ない場合は、反転信号出力端子110にVDD端子電圧が出力される。
【0071】
次に、入力端子109の電圧が高く、NMOSトランジスタ502のドレイン電流が、定電流回路901が流せる電流より多い場合は、反転信号出力端子110にGND端子電圧が出力される。
【0072】
また、レベルシフト回路108の消費電流は、入力端子109がGND端子電圧の場合、ほぼゼロである。従って、第1から4の実施形態の受光回路は、入射光量の変化が無い定常状態では、レベルシフト回路108の消費電流がほぼゼロとなる。
【0073】
図10は、受光回路に用いられる定電流回路の一例を示す回路図である。図10に示す定電流回路は、ディプレッション型NMOSトランジスタ132で構成され、ドレインが電流流入端子131となり、ゲートとソースが電流流出端子133となる構成である。この構成により、ディプレッション型NMOSトランジスタ132は、ソースとゲート間電圧が一定となるので、飽和動作する条件であれば、ドレイン電流が定電流となる。従って、電流流入端子131から電流流出端子133へ定電流を流す構成となる。
【0074】
なお、第1から第2の実施形態の受光回路では、フォトダイオード101を用いた場合で説明したが、LEDや太陽電池のような光電変換特性を有する光電変換素子を用いても同じ機能や特徴が得られることは言うまでもない。また、各NMOSトランジスタの役割を各PMOSトランジスタに変更し、各PMOSトランジスタの役割を各NMOSトランジスタに変更した場合でも、上記した機能や特徴が得られることも言うまでもない。さらに、上記各定電流回路を、ある定電流回路の定電流をミラー回路にてミラーした場合でも同じ機能や特徴が得られることは言うまでもない。
【0075】
<第5の実施形態>
図12は、本発明の受光回路を用いたシステムを示すブロック図である。本発明の受光回路を用いたシステムは、メインシステムが動作を停止している状態(以降、スタンバイ状態と略称する)で、赤外リモコン等から光信号が入力されると、メインシステムに電源が供給され、動作を開始する。従って、スタンバイ状態の消費電力が極めて少ないシステムが実現できる。
本発明の受光回路を用いたシステムは、本発明の受光回路1201と、タイマー回路1202と、光信号読み出し回路1203と、メインシステム1204とを備えている。
【0076】
次に、本発明の受光回路を用いたシステムの動作について説明する。
受光回路1201は、赤外リモコン等から入力された光信号を検出して、タイマー回路1202に信号を出力する。タイマー回路は、受光回路1201からの信号を検出して動作を開始し、所定時間タイマーをカウントする。そして、カウントをしている間、光信号読み出し回路1203に信号を出力する。光信号読み出し回路1203は、タイマー回路1202からの信号を受け動作を開始すると共に光信号の読み取り動作を行い、読み取った光信号に応じたシステム制御信号1221をメインシステム1204に出力する。メインシステム1204は、システム制御信号1221に応じた動作を行う。タイマー回路1202および光信号読み出し回路1203は、所定時間のタイマーのカウントが終了後動作を停止し、受光回路1201のみが動作する状態となる。
【0077】
なお、光読み出し回路1203は、受光回路1201が光信号を検出した場合に出力される信号で起動しても良い。
また、タイマー回路1202ないし光信号読み出し回路1203は、メインシステム1204が動作している間は、カウント及び動作を持続させても良い。
【0078】
上記構成により、システムがスタンバイ状態のときに、赤外リモコン等から光信号が入力されると、光信号読み出し回路1203が所定時間動作する。そして、光信号読み出し回路1203がメインシステム1204の電源をオンする命令の光信号を読み出した場合、メインシステム1204が動作を開始する動作が実現できる。また、所定時間動作している光信号読み出し回路1203が、メインシステム1204の電源をオンする命令信号以外の光信号を読み出した場合には、メインシステム1204の電源はオフしたままで、所定時間後に光信号読み出し回路1203とタイマー回路1202が動作を停止する動作も実現できる。
【0079】
以上によりシステムがスタンバイ状態で、赤外リモコンなどから光信号が入力されていない場合は、電力をほとんど消費しない受光回路1201のみが動作し、電力をほとんど消費しないシステムが実現できる。さらに、システムがスタンバイ状態で赤外リモコンなどから光信号が入力されても、入力された光信号がメインシステム1204の電源をオンする命令信号以外の場合は、タイマー回路1202と光信号読み出し回路1203が所定時間後に動作を停止するため、システムがスタンバイ状態での消費電力からの追加消費電力の少ないシステムが実現できる。
【符号の説明】
【0080】
101 フォトダイオード
102 Nチャネル型MOSトランジスタ
103 制御回路
104 出力端子
108 レベルシフト回路
111 CMOSレベル信号出力端子
501 ロウパスフィルタ
504 検出回路
1201 受光回路
1202 タイマー回路
1203 光信号読み出し回路
1204 メインシステム
1221 システム制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光量に応じた電流を流す光電変換素子と、
前記光電変換素子の電流がドレインに供給されるNMOSトランジスタと、
前記NMOSトランジスタのドレイン電圧が入力端子に供給され、制御信号によって前記NMOSトランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、を備えた受光回路であって、
前記制御回路は、遅延回路を備えており、前記NMOSトランジスタのドレイン電圧が変化したときに、前記遅延回路における遅延量に応じた制御状態出力信号を出力し、
前記受光回路は、前記制御状態出力信号を前記入射光量の変化の検出信号として出力することを特徴とする受光回路。
【請求項2】
前記遅延回路は、ロウパスフィルタである請求項1記載の受光回路。
【請求項3】
入射光量に応じた電流を流す光電変換素子と、
前記光電変換素子の電流がドレインに供給されるNMOSトランジスタと、
前記NMOSトランジスタのドレイン電圧が所望の電圧となるように、前記NMOSトランジスタのゲート電圧を制御する第1の遅延回路と、
前記NMOSトランジスタのドレイン電圧を所望時間遅延させて出力する第2の遅延回路と、を備えた受光回路であって、
前記NMOSトランジスタのドレイン電圧が変化したときに、前記第2の遅延回路における遅延量に応じた遅延状態出力信号を出力し、
前記受光回路は、前記遅延状態出力信号を前記入射光量の変化の検出信号として出力することを特徴とする受光回路。
【請求項4】
前記第1及び第2の遅延回路は、ロウパスフィルタである請求項3記載の受光回路。
【請求項5】
前記光電変換素子は、PNダイオードであり、P型端子が前記NMOSトランジスタのドレインに接続され、N型端子がVDD端子に接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の受光回路。
【請求項6】
前記光電変換素子は、PNダイオードであり、P型端子が前記NMOSトランジスタのドレインに接続され、N型端子がGND端子に接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の受光回路。
【請求項7】
入射光量に応じた電流を流す光電変換素子と、該光電変換素子に入射される光量が変化した際に変化する電流変化を検出し、入射光量の変化の検出信号として出力する請求項1から6のいずれかに記載の受光回路と、
前記検出信号を受けて、所定時間をカウントするタイマー回路と、
前記検出信号を読み取り、前記検出信号に応じたシステム制御信号を出力する光信号読み出し回路と、を有し、
前記タイマー回路と前記光信号読み出し回路は、前記検出信号が出力されてから動作を開始し、前記タイマー回路が所定時間カウントした後に動作を停止することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−120145(P2012−120145A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92353(P2011−92353)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】