説明

受電装置およびそれを備える車両

【課題】高電圧部の受電経路に検出装置を設けることなく受電電圧を検出可能な、共鳴法を用いた受電装置およびそれを備える車両を提供する。
【解決手段】共鳴コイル210は、車両外部の給電装置100に含まれる共鳴コイル140と電磁場を介して共鳴することにより共鳴コイル140から非接触で受電するように構成される。電磁誘導コイル220は、共鳴コイル140により受電された電力を電磁誘導により取出して整流回路230へ出力するように構成される。検出用コイル270は、共鳴コイル140により受電された電力を電磁誘導により取出し、かつ、共鳴コイル140との電磁的な結合度合いが電磁誘導コイル220よりも小さくなるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受電装置およびそれを備える車両に関し、特に、車両外部の給電装置に設けられた送電用コイルと車両に搭載された受電用コイルとが電磁場を介して共鳴することにより、給電装置から非接触で受電する受電装置およびそれを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に配慮した車両として、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両が大きく注目されている。これらの車両は、走行駆動力を発生する電動機と、その電動機に供給される電力を蓄える再充電可能な蓄電装置とを搭載する。なお、ハイブリッド自動車は、電動機とともに内燃機関をさらに動力源として搭載した自動車や、車両駆動用の直流電源として蓄電装置とともに燃料電池をさらに搭載した自動車等である。
【0003】
ハイブリッド自動車においても、電気自動車と同様に、車両外部の電源から車載の蓄電装置を充電可能な車両が知られている。たとえば、家屋に設けられた電源コンセントと車両に設けられた充電口とを充電ケーブルで接続することにより、一般家庭の電源から蓄電装置を充電可能ないわゆる「プラグイン・ハイブリッド自動車」が知られている。
【0004】
一方、送電方法として、電源コードや送電ケーブルを用いないワイヤレス送電が近年注目されている。このワイヤレス送電技術としては、有力なものとして、電磁誘導を用いた送電、マイクロ波を用いた送電、および共鳴法による送電の3つの技術が知られている。
【0005】
このうち、共鳴法は、一対の共鳴器(たとえば一対の自己共振コイル)を電磁場(近接場)において共鳴させ、電磁場を介して送電する非接触の送電技術であり、数kWの大電力を比較的長距離(たとえば数m)送電することも可能である。
【0006】
この共鳴法を用いた給電装置および受電装置として、たとえば、特開2009−106136号公報に開示された電動車両および車両用給電装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【特許文献2】特開平3−207227公報
【特許文献3】特表2009−501510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
共鳴法を用いた給電システムにおいては、給電装置と受電装置との間の距離に応じて受電特性が変化するので、給電装置からテスト送電を行ない、そのときの受電電圧を測定することによって、給電装置と車両に搭載された受電装置との間の距離を推定することが可能である。
【0009】
しかしながら、受電電圧を検出する検出装置を高電圧部の受電経路に設ける場合には、検出装置から検出信号を受ける制御装置に高電圧がかかることのないように、検出装置と制御装置との間にフォトカプラ等を設けるなどして制御装置を検出装置と絶縁する必要がある。また、検出装置にも高電圧がかかり得るので、検出装置の耐圧も確保する必要がある。このように、高電圧部の受電経路に検出装置を設けることには問題があるところ、上記の特開2009−106136号公報では、この点については特に検討されていない。
【0010】
それゆえに、この発明の目的は、高電圧部の受電経路に検出装置を設けることなく受電電圧を検出可能な受電装置およびそれを備える車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、受電装置は、車両に搭載され、受電用コイルと、電磁誘導コイルと、検出用コイルとを備える。受電用コイルは、車両外部の給電装置に含まれる送電用コイルと電磁場を介して共鳴することにより送電用コイルから非接触で受電するように構成される。電磁誘導コイルは、受電用コイルにより受電された電力を電磁誘導により取出して車両の電気システムへ出力するように構成される。検出用コイルは、受電用コイルにより受電された電力を電磁誘導により取出し、かつ、受電用コイルとの電磁的な結合度合いが電磁誘導コイルよりも小さくなるように構成される。
【0012】
好ましくは、検出用コイルは、受電用コイルによる受電時に当該検出用コイルの出力電圧が予め定められた電圧よりも低くなるように構成される。
【0013】
好ましくは、受電装置は、検出装置と、制御装置とをさらに備える。検出装置は、検出用コイルの出力電圧を検出するためのものである。制御装置は、絶縁回路を介することなく出力電圧の検出値を検出装置から受ける。
【0014】
好ましくは、検出用コイルのコイル径は、電磁誘導コイルのコイル径と異なる。そして、検出用コイルは、電磁誘導コイルと略同一平面内に配設される。
【0015】
さらに好ましくは、検出用コイルのコイル径は、電磁誘導コイルのコイル径よりも小さい。
【0016】
また、好ましくは、検出用コイルのコイル径は、電磁誘導コイルのコイル径と同等である。そして、検出用コイルは、受電用コイルとの距離が電磁誘導コイルと受電用コイルとの間の距離と異なるように配設される。
【0017】
好ましくは、受電用コイル、電磁誘導コイルおよび検出用コイルは、略同軸上に配設される。
【0018】
好ましくは、受電装置は、受電用コイルを巻き付けるためのボビンをさらに備える。そして、電磁誘導コイルおよび検出用コイルは、ボビンに取り付けられる。
【0019】
また、この発明によれば、車両は、上述したいずれかの受電装置と、受電装置に含まれる電磁誘導コイルから出力される電力を受ける電気システムとを備える。
【発明の効果】
【0020】
この発明においては、受電用コイルにより受電された電力を電磁誘導により取出し、かつ、受電用コイルとの電磁的な結合度合いが電磁誘導コイルよりも小さくなるように構成された検出用コイルを設けたので、高電圧部の受電経路から絶縁された検出装置を構成することができ、さらに検出用コイルに高電圧がかかることもない。
【0021】
したがって、この発明によれば、検出用コイルと低電圧部の制御装置等とのインターフェースを簡略化することができる。また、検出用コイルの電圧を検出する検出回路等の耐圧低減によるコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1による車両給電システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】共鳴法による送電の原理を説明するための図である。
【図3】電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
【図4】車両における検出用コイルの他の構成を示した図である。
【図5】実施の形態2における車両の検出用コイルの構成を示した図である。
【図6】変形例における検出用コイルの構成を示した図である。
【図7】実施の形態3における車両の各コイルの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による車両給電システムの全体構成を示す機能ブロック図である。図1を参照して、この車両給電システムは、給電装置100と、車両200とを備える。
【0025】
給電装置100は、高周波電源装置110と、同軸ケーブル120と、電磁誘導コイル130と、共鳴コイル140とを含む。また、給電装置100は、通信アンテナ150と、通信装置160と、ECU(Electronic Control Unit)170とをさらに含む。
【0026】
高周波電源装置110は、たとえば系統電源に接続された電源プラグ350から受ける系統電力を所定の高周波電力に変換し、その高周波電力を同軸ケーブル120へ出力する。なお、高周波電源装置110によって生成される高周波電力の周波数は、たとえば1M〜10数MHzの範囲の所定値に設定される。
【0027】
電磁誘導コイル130は、共鳴コイル140と所定の間隔をおいて共鳴コイル140と略同軸上に配設される。電磁誘導コイル130は、電磁誘導により共鳴コイル140と磁気的に結合可能であり、高周波電源装置110から同軸ケーブル120を介して供給される高周波電力を電磁誘導により共鳴コイル140へ給電するように構成される。
【0028】
共鳴コイル140は、LC共振コイルであり、電磁誘導コイル130から電磁誘導により電力の供給を受ける。そして、共鳴コイル140は、車両200に搭載された受電用の共鳴コイル210と電磁場を介して共鳴することにより車両200へ非接触で電力を送電するように構成される。なお、共鳴コイル140は、車両200の共鳴コイル210との距離や共鳴周波数等に基づいて、Q値(たとえば、Q>100)および結合度κ等が大きくなるようにコイル径や巻数が適宜設定される。
【0029】
通信アンテナ150は、通信装置160に接続される。通信装置160は、車両200の通信装置310と通信を行なうための通信インターフェースであり、車両200の通信装置310から送信された情報を受信してECU170へ出力する。なお、車両200の通信装置310から通信装置160へ送信される情報には、たとえば、送電要求指令や車両200の受電電力等の情報が含まれる。
【0030】
ECU170は、高周波電源装置110の動作を制御する。具体的には、通信装置160によって送電要求指令が受信されると、ECU170は、所定の高周波電力を生成するように高周波電源装置110を制御する。
【0031】
一方、車両200は、共鳴コイル210と、電磁誘導コイル220と、整流回路230と、充電器240と、蓄電装置250と、動力出力装置260とを含む。また、車両200は、検出用コイル270と、検出装置280と、ECU290と、絶縁回路300と、通信装置310と、通信アンテナ320とをさらに含む。
【0032】
共鳴コイル210は、LC共振コイルであり、給電装置100に含まれる送電用の共鳴コイル140と電磁場を介して共鳴することにより給電装置100から非接触で電力を受電するように構成される。なお、この共鳴コイル210も、給電装置100の共鳴コイル140との距離や共鳴周波数等に基づいて、Q値(たとえば、Q>100)および結合度κ等が大きくなるようにコイル径や巻数が適宜設定される。
【0033】
電磁誘導コイル220は、共鳴コイル210と所定の間隔をおいて共鳴コイル210と略同軸上に配設される。電磁誘導コイル220は、電磁誘導により共鳴コイル210と磁気的に結合可能であり、共鳴コイル210によって受電された電力を電磁誘導により取出して整流回路230へ出力するように構成される。
【0034】
整流回路230は、電磁誘導コイル220を用いて共鳴コイル210から取出された電力(交流)を整流して充電器240へ出力する。充電器240は、ECU290からの制御信号に基づいて、整流回路230によって整流された電力を蓄電装置250の電圧レベルに変換して蓄電装置250へ出力する。
【0035】
蓄電装置250は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池から成る。蓄電装置250は、充電器240から供給される電力を蓄えるほか、動力出力装置260によって発電される回生電力も蓄える。そして、蓄電装置250は、その蓄えた電力を動力出力装置260へ供給する。なお、蓄電装置250として大容量のキャパシタも採用可能であり、給電装置100から供給される電力や動力出力装置260からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を動力出力装置260へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0036】
動力出力装置260は、蓄電装置250に蓄えられる電力を用いて車両200の走行駆動力を発生するように構成される。特に図示しないが、動力出力装置260は、たとえば、蓄電装置250から出力される電力を受けるインバータ、インバータによって駆動されるモータ、モータから駆動力を受ける駆動輪等を含む。なお、動力出力装置260は、蓄電装置250を充電するための発電機を駆動可能なエンジンを含んでもよい。
【0037】
検出用コイル270は、電磁誘導により共鳴コイル210と磁気的に結合可能であり、共鳴コイル210によって受電された電力を電磁誘導により取出し、かつ、共鳴コイル210との電磁的な結合度合いが電磁誘導コイル220よりも小さくなるように構成される。より詳しくは、検出用コイル270は、共鳴コイル210による給電装置100からの受電時に、検出用コイル270の出力電圧が予め定められた電圧(たとえば、車両200の補機電圧の上限値)よりも低くなるように構成される。この実施の形態1では、検出用コイル270は、電磁誘導コイル220よりもコイル径が小さく構成され、共鳴コイル210および電磁誘導コイル220と略同軸上であって、かつ、電磁誘導コイル220と略同一平面内に配設される。
【0038】
この検出用コイル270は、共鳴コイル210による受電を検出するために、電磁誘導コイル220とは別に設けられたものである。すなわち、たとえば、車両200の共鳴コイル210と給電装置100の共鳴コイル140との位置合わせの実行時、給電装置100の共鳴コイル140から微弱電力を出力し、車両200の受電経路(たとえば、整流回路230の前後)において検出される電力の大きさに応じて共鳴コイル140,210間の距離を推定可能である。しかしながら、受電電圧を検出する検出回路を高電圧部の受電経路に設けると、検出回路から検出信号を受けるECU290に高電圧がかかることのないように、検出回路とECU290との間にフォトカプラ等を設けるなどしてECU290を検出回路と絶縁する必要がある。また、検出回路にも高電圧がかかり得るので、検出回路の耐圧も確保する必要がある。そこで、この実施の形態1では、共鳴コイル210との電磁的な結合度合いが電磁誘導コイル220よりも小さくなるように構成された検出用コイル270を電磁誘導コイル220とは別に設け、この検出用コイル270を用いて共鳴コイル210による受電を検出することとしたものである。
【0039】
検出装置280は、検出用コイル270に接続され、検出用コイル270の出力電圧を検出する。あるいは、検出装置280は、必要に応じて、検出用コイル270の出力電圧の波形を測定したり、出力電圧の包絡線を検波したりするものであってもよい。そして、検出装置280は、検出用コイル270の出力電圧の検出値をECU290へ出力する。
【0040】
ECU290は、給電装置100から車両200への送電を要求する送電要求指令を通信装置310へ出力する。そして、給電装置100から車両200への給電時、ECU290は、充電器240の動作を制御する。具体的には、ECU290は、整流回路230から出力される電力を蓄電装置250の電圧レベルに変換するように充電器240を制御する。また、ECU290は、たとえば、車両200の共鳴コイル210と給電装置100の共鳴コイル140との位置合わせの実行時、検出用コイル270の出力電圧の検出値を検出装置280から受け、その受けた検出値に基づき共鳴コイル140,210間の距離を推定することによって上記位置合わせを実行する。
【0041】
絶縁回路300は、ECU290と充電器240との間の信号線に設けられ、ECU290を高電圧部の充電器240と絶縁する。絶縁回路300は、たとえば、フォトカプラ等によって構成される。
【0042】
通信装置310は、給電装置100の通信装置160と通信を行なうための通信インターフェースであり、ECU290から受ける送電要求指令や受電電力の検出値等の情報を給電装置100の通信装置160へ送信する。通信アンテナ320は、通信装置310に接続される。
【0043】
図2は、共鳴法による送電の原理を説明するための図である。図2を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、2つのLC共振コイル(共鳴コイル)が電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
【0044】
具体的には、高周波電源装置110に電磁誘導コイル130を接続し、電磁誘導により電磁誘導コイル130と磁気的に結合される共鳴コイル140へ電磁誘導コイル130から高周波電力を給電する。共鳴コイル140は、LC共振コイルであり、車両200の共鳴コイル210と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、共鳴コイル140から共鳴コイル210へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。共鳴コイル210へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により共鳴コイル210と磁気的に結合される電磁誘導コイル220によって共鳴コイル210から取出され、負荷330(整流回路230以降の電気システム全般を示す。)へ供給される。
【0045】
図3は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図3を参照して、電磁界は3つの成分を含む。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。
【0046】
この中でも波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域があるが、共鳴法では、この近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、近接場を利用して、一対の共鳴器(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、一方の共鳴器(給電装置100の共鳴コイル140)から他方の共鳴器(車両200の共鳴コイル210)へエネルギー(電力)を伝送する。この近接場は遠方にエネルギー(電力)を伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によりエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0047】
再び図1を参照して、この車両給電システムにおいては、所定の周波数を有する高周波電力が高周波電源装置110によって生成される。そして、高周波電源装置110から電磁誘導コイル130へ同軸ケーブル120を介して高周波電力が供給され、電磁誘導コイル130から共鳴コイル140へ電磁誘導により電力が供給される。
【0048】
そうすると、給電装置100の共鳴コイル140と車両200の共鳴コイル210とが電磁場を介して共鳴し、共鳴コイル140から共鳴コイル210へ電力が伝送される。車両200において共鳴コイル210により受電された電力は、電磁誘導コイル220によって共鳴コイル210から取出され、整流回路230および充電器240を介して蓄電装置250へ供給される。
【0049】
ここで、受電側の車両200には、受電検出用の検出用コイル270が設けられる。この検出用コイル270は、たとえば、車両200の共鳴コイル210と給電装置100の共鳴コイル140との位置合わせの実行時に、車両200における受電の大きさを検出するために用いられる。検出用コイル270は、共鳴コイル210との電磁的な結合度合いが電磁誘導コイル220よりも小さく、そしてその出力電圧が予め定められた電圧(たとえば、車両200の補機電圧の上限値)になるように構成され、この実施の形態1では、検出用コイル270のコイル径が電磁誘導コイル220のコイル径よりも小さく構成される。このような構成により、検出用コイル270および検出装置280から成る検出回路を高電圧部の受電経路から切離して設けることができる。
【0050】
なお、上記においては、検出用コイル270は、電磁誘導コイル220と略同一平面内において共鳴コイル210および電磁誘導コイル220と略同軸上に配置されるものとしたが、図4に示すように、検出用コイル270は、電磁誘導コイル220と略同一平面内において、共鳴コイル210および電磁誘導コイル220の中心軸からずらして配置してもよい。
【0051】
以上のように、この実施の形態1においては、車両200において、共鳴コイル210により受電された電力を電磁誘導により取出し、かつ、共鳴コイル210との電磁的な結合度合いが電磁誘導コイル220よりも小さくなるように構成された検出用コイル270を設けたので、高電圧部の受電経路から絶縁された検出装置を構成することができ、さらに検出用コイル270に高電圧がかかることもない。したがって、この実施の形態1によれば、検出用コイル270と低電圧部のECU290等とのインターフェースを簡略化することができる。また、検出用コイル270の電圧を検出する検出装置280の耐圧低減によるコスト低減を図ることができる。
【0052】
また、この実施の形態1によれば、共鳴コイル210との電磁的な結合度合いが電磁誘導コイル220よりも小さくなる検出用コイル270の構成として、検出用コイル270のコイル径を電磁誘導コイル220のコイル径よりも小さくし、かつ、電磁誘導コイル220と略同一平面内に検出用コイル270を配設したので、検出用コイル270の配置スペースを抑えることができる。
【0053】
[実施の形態2]
この実施の形態2では、車両200において、検出用コイル270の構成が実施の形態1と異なる。
【0054】
図5は、実施の形態2における車両200の検出用コイル270の構成を示した図である。図5を参照して、検出用コイル270は、共鳴コイル210および電磁誘導コイル220と略同軸上であって、かつ、共鳴コイル210からみて電磁誘導コイル220よりも遠い位置に配設される。検出用コイル270のコイル径は、電磁誘導コイル220のコイル径と略同一に構成される。
【0055】
なお、検出用コイル270は、共鳴コイル210および電磁誘導コイル220と略同軸上に設けなくてもよく、検出用コイル270のコイル径は、電磁誘導コイル220のコイル径と異なってもよい。但し、検出用コイル270を共鳴コイル210および電磁誘導コイル220と略同軸上に設けることによって、検出用コイル270の配置スペースを確保しやすくなる。また、検出用コイル270のコイル径を電磁誘導コイル220のコイル径と略同一とすることによって、電磁誘導コイル220と同一工程で検出用コイル270を製造することができ、製造コストを低減できる。
【0056】
なお、この実施の形態2における車両200のその他の構成は、図1に示した実施の形態1における車両200の構成と同じである。また、実施の形態2における給電装置100の構成は、図1に示した実施の形態1における給電装置100と同じである。
【0057】
以上のように、この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、検出用コイル270とECU290等とのインターフェースを簡略化することができ、また、検出装置280の耐圧低減によるコスト低減を図ることができる。
【0058】
さらに、この実施の形態2によれば、検出用コイル270のコイル径を共鳴コイル210や電磁誘導コイル220のコイル径と略同一とすることによって、検出用コイル270の製造コストを低減することができる。
【0059】
[変形例]
上記の実施の形態2では、検出用コイル270は、共鳴コイル210からみて電磁誘導コイル220よりも遠い位置に配設されるものとしたが、図6に示すように、共鳴コイル210と電磁誘導コイル220との間に検出用コイル270を設けてもよい。
【0060】
また、この場合、検出用コイル270は、共鳴コイル210および電磁誘導コイル220と略同軸上に設けなくてもよいし、検出用コイル270のコイル径は、電磁誘導コイル220のコイル径と異なってもよい。
【0061】
[実施の形態3]
この実施の形態3では、車両200において、共鳴コイル210、電磁誘導コイル220および検出用コイル270が同一のボビンに取り付けられる。
【0062】
図7は、実施の形態3における車両200の各コイルの構成を示した図である。図7を参照して、車両200において、共鳴コイル210、電磁誘導コイル220および検出用コイル270は、同一のボビン340の外周に巻回される。なお、この図7では、検出用コイル270は、共鳴コイル210からみて電磁誘導コイル220よりも遠い位置に配設されているが、共鳴コイル210と電磁誘導コイル220との間に検出用コイル270を設けてもよい(図示せず)。
【0063】
なお、この実施の形態3における車両200のその他の構成は、図1に示した実施の形態1における車両200の構成と同じである。また、実施の形態3における給電装置100の構成は、図1に示した実施の形態1における給電装置100と同じである。
【0064】
以上のように、この実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、検出用コイル270とECU290等とのインターフェースを簡略化することができ、また、検出装置280の耐圧低減によるコスト低減を図ることができる。
【0065】
さらに、この実施の形態3によれば、共鳴コイル210、電磁誘導コイル220および検出用コイル270を同一のボビン340に取り付ける構成としたので、共鳴コイル210、電磁誘導コイル220および検出用コイル270から成る受電部の製造が容易であり、かつ、製造コストの低減も図り得る。
【0066】
なお、上記において、共鳴コイル140は、この発明における「送電用コイル」の一実施例に対応し、共鳴コイル210は、この発明における「受電用コイル」の一実施例に対応する。
【0067】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
100 給電装置、110 高周波電源装置、120 同軸ケーブル、130,220 電磁誘導コイル、140,210 共鳴コイル、150,320 通信アンテナ、160,310 通信装置、170,290 ECU、200 車両、230 整流回路、240 充電器、250 蓄電装置、260 動力出力装置、270 検出用コイル、280 検出装置、300 絶縁回路、330 負荷、340 ボビン、350 電源プラグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された受電装置であって、
車両外部の給電装置に含まれる送電用コイルと電磁場を介して共鳴することにより前記送電用コイルから非接触で受電するように構成された受電用コイルと、
前記受電用コイルにより受電された電力を電磁誘導により取出して前記車両の電気システムへ出力するように構成された電磁誘導コイルと、
前記受電用コイルにより受電された電力を電磁誘導により取出し、かつ、前記受電用コイルとの電磁的な結合度合いが前記電磁誘導コイルよりも小さくなるように構成された検出用コイルとを備える受電装置。
【請求項2】
前記検出用コイルは、前記受電用コイルによる受電時に当該検出用コイルの出力電圧が予め定められた電圧よりも低くなるように構成される、請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記検出用コイルの出力電圧を検出するための検出装置と、
絶縁回路を介することなく前記出力電圧の検出値を前記検出装置から受ける制御装置とをさらに備える、請求項1または請求項2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記検出用コイルのコイル径は、前記電磁誘導コイルのコイル径と異なり、
前記検出用コイルは、前記電磁誘導コイルと略同一平面内に配設される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の受電装置。
【請求項5】
前記検出用コイルのコイル径は、前記電磁誘導コイルのコイル径よりも小さい、請求項4に記載の受電装置。
【請求項6】
前記検出用コイルのコイル径は、前記電磁誘導コイルのコイル径と同等であり、
前記検出用コイルは、前記受電用コイルとの距離が前記電磁誘導コイルと前記受電用コイルとの間の距離と異なるように配設される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の受電装置。
【請求項7】
前記受電用コイル、前記電磁誘導コイルおよび前記検出用コイルは、略同軸上に配設される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の受電装置。
【請求項8】
前記受電用コイルを巻き付けるためのボビンをさらに備え、
前記電磁誘導コイルおよび前記検出用コイルは、前記ボビンに取り付けられる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の受電装置。
【請求項9】
請求項1に記載の受電装置と、
前記受電装置に含まれる電磁誘導コイルから出力される電力を受ける電気システムとを備える車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−166931(P2011−166931A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26383(P2010−26383)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】