説明

口腔用組成物用基剤及び口腔用組成物

本発明は、口腔用組成物の製造に適した、特に、水を含まないか又は水を殆ど含まない口腔用組成物の製造に適した口腔用組成物用基剤を提供する。さらに本発明は、通常水の存在下では不安定な有効成分を安定に配合した口腔用組成物、特に、水を含まないか又は水を殆ど含まない口腔用組成物を提供する。本発明は、ヒドロキシプロピルセルロース、並びに濃グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする非水系口腔用組成物用基剤であり、さらに上記口腔用組成物用基剤を含有する口腔用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は口腔用組成物用基剤に関し、より詳しくは、水を含まないか又は殆ど水を含まない口腔用組成物を製造するのに適した口腔用組成物用基剤に関する。本発明はさらに、そのような口腔用組成物用基剤を含有する口腔用組成物に関する。
【背景技術】
歯磨剤等の口腔用組成物には、一般的にカルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン或いはキサンタンガムといった粘着剤が配合されており、これらの成分が水に溶けることで粘性を発現し、研磨剤等の粉体成分と液体成分を結合させ、保型性を与えたり、適度の粘性を与えている。
従って水を含まない歯磨剤等の口腔用組成物においては、粘度が発現しないため、保型性を保たせることが難しく、口腔用組成物は経時的に粉体成分と液体成分の分離が起きてしまう。
一方歯磨剤等の口腔用組成物には、機能・効能の付与を目的として、製剤に種々の有効成分を配合することがある。そのような有効成分として再石灰化促進成分、フッ化物、殺菌剤、抗炎症剤、止血剤、各種酵素等が挙げられる。
再石灰化促進成分として、ハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム化合物が挙げられるが、その中でもα−第三リン酸カルシウム(α−TCPと略称する。)は口腔内において極めて再石灰化促進効果が高く、虫歯の予防・修復などに有効であることが知られている。しかしα−TCPは、水存在下ではアパタイト化合物へ転換する性質があり、その反応はフッ化物又はその他水溶性のリン酸カルシウムの存在で加速され、自己硬化反応を起こすため、通常の水を含有した歯磨剤等の口腔用組成物には安定配合ができなかった。
またフッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化錫等が挙げられるが、フッ化物の効能はフッ素イオンが歯のハイドロキシアパタイトをフッ素化して歯質を強化することにある。通常の水を含有する歯磨剤等の口腔用組成物にフッ化物を配合すると、口腔用組成物中でフッ素イオンは水に溶けだし、研磨剤等の他の成分へ吸着し、フッ素イオン本来の効果が発揮されないことがある。例えばフッ化ナトリウム或いはフッ化錫等とリン酸カルシウム或いは炭酸カルシウムといった研磨剤が配合された、水を含有する口腔用組成物では、フッ素イオンが研磨剤に吸着しフッ素イオンを不活性化してしまうことが知られている。
酵素としては、溶菌作用やタンパク分解作用を有するリゾチーム、ムタナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、デキストラナーゼ等が挙げられる。これらの酵素の多くは、水を含有する組成に配合すると加水分解を起こし、酵素活性が低下するといった問題がある。そこで水を含有する組成に酵素を配合する場合は、加水分解の起こりにくい酵素を選択するか、各酵素個別に安定配合の方法を探索する必要がある。
また、天然系の殺菌剤としてヒノキチオールや、止血剤としてε−アミノカプロン酸を歯磨剤等の口腔用組成物に配合することもあるが、これらの有効成分も水を含有する組成に配合すると、加水分解により定量値が低下する傾向がある。その他、アスコルビン酸及びその塩類が、歯肉炎及び歯周病などによる出血に有効であることが知られているが、水存在下では容易に分解反応が進み、含量低下及び着色が生じる。
これらの有効成分の安定性に関する問題点は、全て歯磨剤等の口腔用組成物に水が含まれていることに起因している。従って、α−TCP、フッ化物、各種酵素、ヒノキチオール、ε−アミノカプロン酸及びアスコルビン酸などの安定配合が可能となる、水を殆ど含有しない歯磨剤等の口腔用組成物において、保型性が有り、経時的に粉体成分と液体成分の分離が起こらない組成の口腔用組成物が望まれている。
今まで水を殆ど含有しない又は非水性の口腔用組成物に適した口腔用組成物用基剤として、例えば、特開2002−114656号公報に寒天やゼラチンを含む基剤が提案され、特開2002−114657号公報にポリエチレン末やポリエチレンワックスを含む基剤が提案され、また、特開2002−255772号公報にポリビニルピロリドンを含む基剤が提案されている。
【発明の開示】
本発明の目的は、口腔用組成物の製造に適した、特に、水を含まないか又は水を殆ど含まない口腔用組成物の製造に適した口腔用組成物用基剤を提供することである。本発明の目的はまた、保型性に優れ成分の分離などが起こらない経時的に安定な、特に水を含まないか又は水を殆ど含まない口腔用組成物の製造に適した口腔用組成物用基剤を提供することである。本発明の目的はさらに、通常水の存在下では不安定な有効成分を安定に配合することのできる口腔用組成物用基剤を提供することである。本発明のさらなる目的は、通常水の存在下では不安定な有効成分を安定に配合した口腔用組成物、特に、水を含まないか又は水を殆ど含まない口腔用組成物を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の組成の口腔用組成物用基剤を使用することによって、安定性が高い口腔用組成物を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
従って本発明は、ヒドロキシプロピルセルロース、並びに濃グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする非水系口腔用組成物用基剤に関する。本発明の好ましい実施態様として、さらに無水ケイ酸及び結晶セルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する上記の非水系口腔用組成物用基剤がある。
本発明はさらに、上記口腔用組成物用基剤を含有する口腔用組成物に関する。本発明の実施態様として、上記口腔用組成物は、好ましくは非水系口腔用組成物である。
本明細書でいう、非水系口腔用組成物とは、口腔用組成物全体に対する水の含有量が0〜3質量%、好ましくは0〜1質量%、より好ましくは水を全く含有しない口腔用組成物を意味する。さらに、このような非水系口腔用組成物の製造に適した基剤を本明細書中で非水系口腔用組成物基剤と称する。
本発明はまた、上記の口腔用組成物用基剤、及び水存在下で不安定な有効成分を含有する口腔用組成物に向けられている。該水存在下で不安定な有効成分の例として、α−第三リン酸カルシウム(α−TCP)、フッ化物、酵素類、ヒノキチオール、ε−アミノカプロン酸、アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩類などが挙げられる。
従って本発明の口腔用組成物は具体的に、上記の口腔用組成物用基剤、及び上記の水存在下で不安定な有効成分の少なくとも1種を含有するものである。
本発明はより具体的に、上記の口腔用組成物用基剤、並びに水存在下で不安定な有効成分としてα−第三リン酸カルシウム(α−TCP)、フッ化物、酵素類、ヒノキチオール及びε−アミノカプロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む口腔用組成物である。
本発明はまた具体的に、上記口腔用組成物用基剤、並びにα−第三リン酸カルシウム(α−TCP)、フッ化物、酵素類、ヒノキチオール及びε−アミノカプロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、口腔用組成物である。
本発明はまた具体的に、上記口腔用組成物用基剤、並びにα−第三リン酸カルシウム(α−TCP)、フッ化物、酵素類、ヒノキチオール、ε−アミノカプロン酸、アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、口腔用組成物である。
本発明の実施態様として、上記口腔用組成物用基剤及びα−第三リン酸カルシウム(α−TCP)を含有する口腔用組成物がある。本発明の実施態様として、また、上記口腔用組成物用基剤及び少なくとも1種のフッ化物を含有する口腔用組成物がある。また、本発明の実施態様として、上記口腔用組成物用基剤及び少なくとも1種の酵素類を含有する口腔用組成物がある。また、本発明の実施態様として、上記口腔用組成物用基剤及びヒノキチオールを含有する口腔用組成物がある。また、本発明の実施態様として、上記口腔用組成物用基剤及びε−アミノカプロン酸を含有する口腔用組成物がある。また、本発明の実施態様として、上記口腔用組成物用基剤、並びにアスコルビン酸及びその塩類から選ばれる少なくとも1種を含有する口腔用組成物がある
本発明の口腔用組成物の好ましい実施態様として、上記口腔用組成物用基剤にα−TCPとフッ化物とを組み合わせて配合した口腔用組成物がある。
【発明を実施するための最良の形態】
本明細書中でいう口腔用組成物とは、練歯磨剤、液状歯磨剤及び潤製歯磨剤などの歯磨剤類、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、口中清涼剤、洗口剤、チューインガム又はうがい薬などを包含する。本発明の口腔用組成物は望ましくは、非水系口腔用組成物に向けられている。
本発明の口腔用組成物用基剤に用いるヒドロキシプロピルセルロースとは、セルロースに酸化プロピレンを反応させて得られる非イオン系繊維素誘導体である。分子重合度の違いにより、様々な粘度を発現させるグレードが存在する。低粘度グレードのものは1〜4mPa/S程度であり、高粘度グレードのものは1000〜5000mPa/S程度のものまである。この粘度は、各ヒドロキシプロピルセルロース2%水溶液を回転粘度計を用いて測定した値(mPa/S)である。
本発明では、低粘度グレードのものから高粘度グレードのものまで使用することができ、すなわち1〜5000mPa/Sの粘度を有するものから選択することができる。また粘度の異なる2種以上使用することもできる。本発明では、粘度が150〜4000mPa/Sの範囲のものを使用するのが好ましい。
このようなヒドロキシプロピルセルロースは、医薬品や化粧品を始め、ビニール、電機部品のセラミックス、蛍光灯管内の焼結剤として広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
口腔用組成物における1種あるいは粘度の異なる2種以上のヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。本発明が目的とする効果と口腔用組成物の使用性の観点から、上記範囲にあるヒドロキシプロピルセルロースの量が適当である。
本発明の口腔用組成物用基剤はさらに、濃グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する。中でも特に好ましく用いられるのはプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールである。
濃グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールは、医薬品や化粧品をはじめ、食品、雑貨品、石油化学工業、塗料工業など広く一般的に使用されるものである。本発明においては市販品を用いることができる。
口腔用組成物における濃グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールの少なくとも1種の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して10〜85質量%が適当であり、好ましくは20〜60質量%である。口腔用組成物に好ましい使用性を発揮させる観点から、これらの含有量が上記範囲にあることが適当である。
本発明の口腔用組成物用基剤にはさらに、無水ケイ酸及び/又は結晶セルロースを含有させることができる。
無水ケイ酸は、二酸化ケイ素のことであり、性状は白色の粉末である。人工的にはケイ酸ナトリウムを酸で処理して二酸化ケイ素を析出させ、ゲル化熟成を行った後、乾燥、粉砕して得られる。また、乾燥減量が13%以下、強熱減量が18%以下のものが適当である。ここでいう乾燥減量とは、無水ケイ酸1gを105℃で2時間熱した際の蒸発成分の質量%のことであり、強熱減量とは、無水ケイ酸1gを850℃で30分間熱した際の蒸発成分の質量%のことである。
このような無水ケイ酸は食品や化粧品をはじめ、医薬品、農芸用品、餌類、インキ工業、ゴム工業、プラスチック工業など広く一般に使用されるものである。
口腔用組成物における無水ケイ酸の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.5〜30質量%が適当であり、好ましくは3〜15質量%である。本発明が目的とする効果及び口腔用組成物の使用性の観点から、上記範囲にある量が適当である。
結晶セルロースは、繊維性植物からパルプとして得られたα−セルロースを酸加水分解又はアルカリ加水分解して得られる、実質的に一定の重合度を有するセルロース結晶子集合体のことである。
このような結晶セルロースは食品や化粧品をはじめ、医薬品、農芸用品、餌類など広く一般に使用されるものである。
本発明の口腔用組成物における結晶セルロースの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.5〜30質量%が適当であり、好ましくは3〜10質量%である。本発明が目的とする効果及び口腔用組成物の使用性の観点から、上記範囲にある量が適当である。
本発明では、上述の口腔用組成物用基剤に、従来、口腔用組成物に使用される添加剤、有効成分など種々の成分を組み合わせて口腔用組成物とすることができる。
本発明の口腔用組成物用基剤は特に、通常水の存在下で不安定な有効成分と組み合わせるのに有利である。そのような成分として、α−TCP、フッ化物、酵素類、ヒノキチオール、ε−アミノカプロン酸、アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩類などが挙げられる。
本発明の口腔用組成物に用いるα−TCPとは、α−第三リン酸カルシウム(3Ca(PO・Ca(OH))のことであり、医薬品や化粧品をはじめ、食品、雑貨品、石油化学工業など広く一般的に使用されるものである。本発明においては市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるα−TCPの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜50質量%が適当であり、好ましくは1〜30質量%である。α−TCPの再石化効果を発揮させるためにはα−TCPの含有量が0.1質量%以上であることが適当であり、一方50質量%を越えると口腔用組成物の使用性を損なう場合がある。
α−TCPを配合した場合に、更にフッ化物を併用すると、再石灰化作用にフッ素イオンの供給が加味されるため、極めて優れた効果を発揮する。そこでα−TCPと後述するフッ化物との組み合わせが好ましく用いられる。
本発明に用いるフッ化物としては具体的に、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化錫等が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を使用することができる。これらのフッ化物は医薬品や化粧品など広く一般的に使用されるものである。本発明においては市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるフッ化物含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.01〜3質量%が適当であり、好ましくは歯磨剤等の口腔用組成物中にフッ素として100〜1000ppmの含有量である。
フッ化物としては、フッ化ナトリウム及びモノフルオロリン酸ナトリウムが好適である。
本発明の口腔用組成物に用いる酵素類として具体的に、リゾチーム、ムタナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、デキストラナーゼ等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。これらの酵素は、医薬品や化粧品、食品など広く一般的に使用されるものである。本発明においては市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物における酵素含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.01〜5質量%が適当であり、好ましくは0.1〜2質量%である。
酵素としては、リゾチーム及びアミラーゼが好適である。
本発明の口腔用組成物に用いるヒノキチオールとは、天然樹木である青森ヒバに含まれる特有成分で、結晶性酸性化合物である。ヒノキチオールを含有する他の樹種としては、台湾ヒノキ、北米のウエスタンレッドシダー等が挙げられる。ヒノキチオールは強い抗菌活性と広い抗菌スペクトルを有しており、数少ない天然系殺菌剤のひとつである。
このようなヒノキチオールは食品や化粧品をはじめ、医薬品、農芸用品、建築材料、餌類など広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるヒノキチオールの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.005〜0.5質量%が適当であり、好ましくは0.01〜0.2質量%である。
本発明の口腔用組成物に用いるε−アミノカプロン酸とは、抗プラスミン効果、止血効果、抗炎症効果を有する成分であり、化粧品や医薬品をはじめ、食品、農芸用品など広く一般的に使用されるものである。本発明においては市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるε−アミノカプロン酸の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.001〜1質量%が適当であり、好ましくは0.006〜0.2質量%である。
本発明の口腔用組成物に用いるアスコルビン酸とはいわゆるビタミンCであり、具体的にL−アスコルビン酸(C=176)及びその塩を意味する。使用するアスコルビン酸塩の具体例としてはアスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウムなどがある。本発明の口腔用組成物には、アスコルビン酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を含ませることができる。アスコルビン酸塩の中でもアスコルビン酸ナトリウムが好ましく用いられる。
これらのアスコルビン酸及びその塩は抗炎症作用、コラーゲン繊維合成促進作用を有する成分であり、化粧品や医薬品をはじめ、食品、農芸用品など広く一般的に使用されるものである。本発明においては市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物におけるアスコルビン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種の含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.001〜20質量%が適当であり、好ましくは0.01〜10質量%である。
上述のとおり、本発明の口腔用組成物用基剤に組み合わせるのに適した有効成分として、(1)α−TCP;(2)フッ化物;(3)酵素類;(4)ヒノキチオール;(5)ε−アミノカプロン酸;及び(6)アスコルビン酸及びその塩がある。これらの(1)〜(6)群の各群から化合物を1種又は2種以上選んで含ませることができ、また、1群に限らず、2群以上から化合物を選択し併用することができる。中でもα−TCPとフッ化物の併用が好ましい。
本発明の口腔用組成物にはその種類に応じて、上記成分に加えて、必要により以下の成分を通常の使用量の範囲内で配合することができる。
<研磨剤>
シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。上記研磨剤の配合量は、組成物全体に対して3〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%である。
<湿潤剤>
ソルビット、マルチトール等の多価アルコール等の1種または2種以上を使用することができる。
<発泡剤>
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、、N−アシルグルタメート等のN−アシルアミノ酸塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
<甘味剤>
サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
<防腐剤>
メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
<香料成分>
1−メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス−2−ヘキセナールなどの中から1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等を配合してもよい。
また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、組成物全体に対して0.02〜2質量%とすることが好ましい。
<有効成分>
ゼオライト、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、酢酸トコフェロール、トラネキサム酸、ジヒドロコレステロール、ポリビニルピロリドン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
<その他>
青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤等を用いることができる。
本発明の口腔用組成物にはその種類に応じて、水を3質量%以下の範囲で配合した場合、上記成分に加えて、必要により以下の粘結剤を配合することもできる。
<粘結剤>
カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
なお、上記成分を組み合わせた口腔用組成物は、常法に準じて製造できるものであり、特に限定されるものではない。
また、得られた練歯磨等の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填されて使用することができる。
【実施例】
以下、実験例及び比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。表1〜4に示す組成(単位:質量%)にて常法により各種練歯磨剤を調製し、以下の試験に供した。試験結果を表1〜4に併せて示す。
1.歯磨剤保存安定性試験
表1に示す練歯磨剤を調製後、下記条件にて過酷保存を行った。過酷保存終了後、下記評価基準に従って各歯磨剤の状態について官能評価を行った。
[過酷保存条件]
1.60℃の恒温槽中に、1ヶ月間保存
2.50℃の恒温槽中に、2ヶ月間保存
[評価基準]
○:状態は調製直後と変わらない
×:固形成分と液体成分の分離が確認された

2.フッ素イオン測定試験
表2に示す練歯磨剤を調製後、下記条件にて過酷保存を行った。過酷保存終了後、各歯磨剤の一定量を量り取り、水で分散し直ちに遠心分離し液層と固層とに分離した。これらの液層部分について、フッ素イオンメーターを用いて、フッ素イオン濃度を測定した。ここで検出されたフッ素イオンについては、歯磨剤中で他の成分に吸着していない、活性のあるフッ素イオンと考えられる。なお、活性のあるフッ素イオンの残存率は下記数式(1)より求めた。
[過酷保存条件]
1.60℃の恒温槽中に、1週間保存
2.60℃の恒温槽中に、2週間保存

なお、歯磨剤過酷保存品において、フッ素イオン残存率、即ち活性のあるフッ素イオンが80%以上であった場合、フッ化物は安定であると判断した。
また、表2に示す練歯磨剤について上記1.と同様に保存安定性試験も行った。

3.ε−アミノカプロン酸定量試験
表3に示す練歯磨剤を調製後、下記条件にて過酷保存を行った。過酷保存終了後、各歯磨剤中のε−アミノカプロン酸について、次の条件下で液体クロマトグラフ法にて定量試験を行った。
[過酷保存条件]
1.60℃の恒温槽中に、1ヶ月間保存
2.50℃の恒温槽中に、2ヶ月間保存
[試験条件]
検出器:蛍光検出器(励起波長:390nm、蛍光波長:480nm)
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に5〜10μmの高速液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃
移動相:リン酸溶液/アセトニトリル混液
流量:毎分1.0ml
ε−アミノカプロン酸の残存率は下記数式(2)より求めた。

なお、歯磨剤過酷保存品において、ε−アミノカプロン酸残存率が90%以上であった場合、ε−アミノカプロン酸は安定であると判断した。
また、表3に示す練歯磨剤について上記1.と同様に保存安定性試験も行った。

4.アスコルビン酸ナトリウム定量試験
表4に示す歯磨剤を調製後、下記条件にて過酷保存を行った。過酷保存終了後、各歯磨剤中のアスコルビン酸ナトリウムについて、次の条件下で液体クロマトグラフ法にて定量試験を行った。
[過酷保存条件]
1.60℃の恒温槽中に1ヶ月間保存
2.50℃の恒温槽中に2ヶ月間保存
[試験条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:245nm)
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に5μmの高速液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃
移動相:メタリン酸溶液
流量:毎分1.0ml
尚、アスコルビン酸ナトリウムの残存率は下記数式(3)より求めた。

歯磨剤過酷保存品において、アスコルビン酸ナトリウム残存率が90%以上であった場合、アスコルビン酸ナトリウムは安定であると判断した。
また、表4に示す練歯磨剤について上記1.と同様に保存安定性試験も行った。

以上の実験結果より、まず表1に示された結果から、本発明の口腔用組成物用基剤を用いることで練歯磨剤の状態について分離がなく、保存安定性に優れていることがわかる。さらに表2〜4に示された結果から、本発明の口腔用組成物である練歯磨剤において、状態安定性が良好で、また、フッ化物、ε−アミノカプロン酸及びアスコルビン酸及びその塩の保存安定性が優れていることがわかる。
また常法により調製した下記実施例9〜22の練歯磨剤についても上記の実験を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
【実施例9】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 3.0 質量%
ポリエチレングリコール 49.65
結晶セルロース 10.0
水酸化アルミニウム 35.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
パラベン 0.1
香料 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
塩化セチルピリジニウム 0.05
計 100.0 質量%
【実施例10】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度1000〜4000mPa/S) 1.0 質量%
ジグリセリン 23.0
プロピレングリコール 23.17
無水ケイ酸 5.0
結晶セルロース 10.0
フッ化ナトリウム 0.2
炭酸カルシウム 35.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.3
ステビアエキス 0.1
安息香酸ナトリウム 0.1
香料 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.03
計 100.0 質量%
【実施例11】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度2〜3mPa/S) 10.0 質量%
濃グリセリン 19.0
ポリエチレングリコール 10.0
1,3−ブチレングリコール 10.8
無水ケイ酸 10.0
ε−アミノカプロン酸 0.1
フッ化錫 0.1
歯磨用リン酸水素カルシウム 25.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.5
キシリトール 10.0
カラギーナン 0.3
パラベン 0.1
香料 1.0
精製水 3.0
β−グリチルレチン酸 0.05
塩酸クロルヘキシジン 0.05
計 100.0 質量%
【実施例12】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度6〜10mPa/S) 10.0 質量%
濃グリセリン 34.45
ポリエチレングリコール 10.0
無水ケイ酸 10.0
α−TCP 30.0
フッ化ナトリウム 0.2
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
サッカリンナトリウム 0.1
パラベン 0.1
香料 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
グリチルリチン酸 0.05
計 100.0 質量%
【実施例13】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 3.0 質量%
濃グリセリン 54.95
無水ケイ酸 20.0
含水ケイ酸 10.0
結晶セルロース 8.0
塩化リゾチーム 0.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.3
ステビアエキス 0.1
パラベン 0.1
香料 1.0
ゼオライト 1.0
塩化セチルピリジニウム 0.05
計 100.0 質量%
【実施例14】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度6〜10mPa/S) 5.0 質量%
濃グリセリン 23.7
ポリエチレングリコール 20.0
無水ケイ酸 10.0
ヒノキチオール 0.05
ε−アミノカプロン酸 0.1
歯磨用リン酸水素カルシウム 15.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0
トレハロース 5.0
ソルビット 5.0
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液 0.05
香料 1.0
塩化ナトリウム 10.0
酢酸トコフェロール 0.1
計 100.0 質量%
【実施例15】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 3.0 質量%
ポリエチレングリコール 20.0
1,3−ブチレングリコール 30.25
無水ケイ酸 10.0
含水ケイ酸 20.0
結晶セルロース 10.0
α−TCP 3.0
フッ化ナトリウム 0.2
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.3
ステビアエキス 0.1
パラベン 0.1
香料 1.0
ゼオライト 1.0
塩化セチルピリジニウム 0.05
計 100.0 質量%
【実施例16】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 3.0 質量%
ポリエチレングリコール 20.0
1,3−ブチレングリコール 63.25
無水ケイ酸 10.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
サッカリンナトリウム 0.5
パラベン 0.1
香料 1.0
アスコルビン酸ナトリウム 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
塩化セチルピリジニウム 0.05
計 100.0 質量%
【実施例17】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度1000〜4000mPa/S) 1.0 質量%
ポリエチレングリコール 20.0
1,3−ブチレングリコール 46.57
無水ケイ酸 5.0
歯磨用リン酸水素カルシウム 20.0
グリセリン脂肪酸エステル 3.0
ステビアエキス 0.1
安息香酸ナトリウム 1.0
香料 1.0
アスコルビン酸ナトリウム 2.0
フッ化ナトリウム 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.03
計 100.0 質量%
【実施例18】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 1.5 質量%
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度1000〜4000mPa/S) 0.5 質量%
ポリエチレングリコール 10.0
1,3−ブチレングリコール 37.2
無水ケイ酸 10.0
歯磨用リン酸水素カルシウム 25.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
キシリトール 10.0
パラベン 0.1
香料 1.0
精製水 1.0
アスコルビン酸 0.1
β−グリチルレチン酸 0.05
塩酸クロルヘキシジン 0.05
計 100.0 質量%
【実施例19】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度6〜10mPa/S) 10.0 質量%
ポリエチレングリコール 15.0
1,3−ブチレングリコール 52.55
無水ケイ酸 10.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
サッカリンナトリウム 1.0
パラベン 0.1
香料 1.0
アスコルビン酸 0.5
ゼオライト 5.0
酢酸トコフェロール 0.1
グリチルリチン酸 0.05
計 100.0 質量%
【実施例20】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 3.0 質量%
濃グリセリン 30.0
プロピレングリコール 26.65
無水ケイ酸 10.0
歯磨用リン酸水素カルシウム 20.0
グリセリン脂肪酸エステル 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2.0
ステビアエキス 0.1
パラベン 0.1
香料 1.0
アスコルビン酸ナトリウム 5.0
酢酸トコフェロール 0.1
ゼオライト 1.0
塩化セチルピリジニウム 0.05
計 100.0 質量%
【実施例21】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 2.0 質量%
1,3−ブチレングリコール 49.6
ポリエチレングリコール 10.0
無水ケイ酸 10.0
炭酸カルシウム 20.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
サッカリンナトリウム 1.0
キシリトール 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
パラベン 0.1
香料 1.0
アスコルビン酸ナトリウム 1.0
塩化セチルピリジニウム 0.05
β−グリチルレチン酸 0.05
フッ化ナトリウム 0.2
計 100.0 質量%
【実施例22】
練歯磨剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロース
(粘度150〜400mPa/S) 3.0 質量%
1,3−ブチレングリコール 45.1
ポリエチレングリコール 10.0
無水ケイ酸 6.0
ゼオライト 5.0
歯磨用リン酸水素カルシウム 17.0
無水エタノール 5.5
酸化チタン 3.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.8
サッカリンナトリウム 1.0
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5
リン酸マグネシウム 0.3
1−メントール 0.3
ハッカ油 0.2
パラベン 0.1
色素 0.1
アスコルビン酸ナトリウム 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
計 100.0 質量%
【産業上の利用の可能性】
本発明の口腔用組成物用基剤によれば、保型性があって且つ安定性の高い非水系口腔用組成物を得ることができる。また、本発明の口腔用組成物用基剤と、通常水の存在下で不安定な有効成分であるα−TCP、フッ化物、各種酵素、ヒノキチオール、ε−アミノカプロン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩などとを組み合わせることによって、保型性があって且つ有効成分が安定に維持され、固形成分と液体成分の分離が起こらない経時的に安定な、非水系口腔用組成物を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシプロピルセルロース、並びに濃グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする非水系口腔用組成物用基剤。
【請求項2】
さらに無水ケイ酸及び結晶セルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の非水系口腔用組成物用基剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の口腔用組成物用基剤を含有する口腔用組成物。
【請求項4】
請求項1又は2記載の口腔用組成物用基剤、及び水存在下で不安定な成分を含有する口腔用組成物。
【請求項5】
該水存在下で不安定な成分がα−第三リン酸カルシウム(α−TCP)、フッ化物、酵素類、ヒノキチオール及びε−アミノカプロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の口腔用組成物。
【請求項6】
請求項1又は2記載の口腔用組成物用基剤、並びにα−第三リン酸カルシウム(α−TCP)、フッ化物、酵素類、ヒノキチオール及びε−アミノカプロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、口腔用組成物。
【請求項7】
α−第三リン酸カルシウム(α−TCP)を含有する請求項5又は6記載の口腔用組成物。
【請求項8】
少なくとも1種のフッ化物を含有する請求項5又は6記載の口腔用組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の酵素類を含有する請求項5又は6記載の口腔用組成物。
【請求項10】
ヒノキチオールを含有する請求項5又は6記載の口腔用組成物。
【請求項11】
ε−アミノカプロン酸を含有する請求項5又は6記載の口腔用組成物。
【請求項12】
非水系口腔用組成物である請求項3〜11のいずれか1項記載の口腔用組成物。

【国際公開番号】WO2004/041229
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【発行日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549635(P2004−549635)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014195
【国際出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願人】(391066490)日本ゼトック株式会社 (31)
【Fターム(参考)】