古紙再生装置のベルト蛇行防止装置、抄紙装置および古紙再生装置
【課題】小規模店舗等の室内にも設置可能な什器サイズの古紙再生装置において、古紙パルプを抄紙する抄紙工程を故障少なく高い信頼性をもって行う構造簡素なベルト蛇行防止装置を提供する。
【解決手段】転接ローラ１４０が、古紙パルプＵＰＰを処理搬送する抄紙ネットコンベア部９５の網状ベルト１０５に対してテンションを与える状態で転接するとともに、ローラ揺動部１４１が、転接ローラ１４０を網状ベルト１０５の走行方向に対して交差方向へ揺動させる構成とされ、網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内にある時は、転接ローラ１４０が網状ベルト１０５の走行方向に垂直となる中立位置に維持されるとともに、網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲外に外れた時は、転接ローラ１４０が網状ベルト１０５の走行位置を適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように構成されている。
【解決手段】転接ローラ１４０が、古紙パルプＵＰＰを処理搬送する抄紙ネットコンベア部９５の網状ベルト１０５に対してテンションを与える状態で転接するとともに、ローラ揺動部１４１が、転接ローラ１４０を網状ベルト１０５の走行方向に対して交差方向へ揺動させる構成とされ、網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内にある時は、転接ローラ１４０が網状ベルト１０５の走行方向に垂直となる中立位置に維持されるとともに、網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲外に外れた時は、転接ローラ１４０が網状ベルト１０５の走行位置を適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は古紙再生装置のベルト蛇行防止装置、抄紙装置および古紙再生装置に関し、さらに詳細には、古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙を廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する什器サイズの小型古紙再生装置におけるベルト蛇行防止技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
官公庁や一般企業等の各種事業所の日常業務はもちろんのこと、一般家庭の日常生活においても、使用済みや不要となった各種書類いわゆる古紙が発生している。これらの古紙は、ゴミとして廃棄されたり、焼却されたりして、廃棄処分されることになる。
【０００３】
一方、限りある地球資源の有効利用という機運の世界的な高まりのなかで、近時、廃棄処分されてきた古紙を、廃棄処分することなく再生利用するための技術が種々開発されている。
【０００４】
これらの古紙再生技術は、ほとんどが製紙業界において採用実施されており、その古紙再生設備には、通常の製紙設備同様、再生紙の高速大量生産と高品質化を目的として、広大な敷地、莫大な投資、および紙抄きに使われる大量の水や薬品などが必要とされる。
【０００５】
また、古紙再生にあっては多くの人手による古紙回収作業が必要であり、しかも、この古紙回収には、多人数による異物混入、古紙再生紙への知識不足による分別不良、忌避品の除去不足などの問題があり、せっかく古紙を回収しても、これらの古紙を１００％再生紙として再生するには、専門業者による再度の選別や洗浄等の作業を余儀なくされている。さらに、極秘文書などの古紙は、機密上の問題から古紙回収には簡単に出されることはなく、焼却処分されてしまうため、リサイクル化が進んでいない。
【０００６】
これらの古紙回収の問題を解決するには、古紙発生元において自前で再生利用することができるような技術の開発が有効であり、この観点から、本出願人は例えば特許文献１に記載されるような古紙再生装置を既に開発し提案している。
【０００７】
この古紙再生装置は、古紙再生工場等の大規模な古紙再生技術を、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な装置技術として実現したもので、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、これらパルプ製造部および抄紙部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、上記抄紙部は、上記パルプ製造部から送られてくる古紙パルプを抄いて湿紙とする抄紙工程部と、この抄紙工程部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥工程部とを備え、これら両工程部は、上記古紙パルプ古紙パルプを処理搬送する走行ベルトを有するベルトコンベアの形態とされている。
【０００８】
そして、古紙は、上記パルプ製造部で離解・叩解されて古紙パルプとなり、その後、この古紙パルプは、上記抄紙部におけるベルトコンベアの走行ベルトにより搬送されながら、濾過脱水、圧搾脱水および加熱乾燥の各工程を経て再生紙となる。この場合、上記パルプ化の段階で、古紙は繊維レベルまで分解されて、そこに記載された文字や線図は完全に分解消滅してしまい、復元不可能となり、これら文字や線図から構成される機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００８−１７４８７７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、特に、上記古紙再生装置における抄紙部のベルトコンベア構成をさらに改良することにより、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な什器サイズの古紙再生装置という非常に狭い古紙処理空間において、古紙パルプを抄紙する抄紙工程を、より故障の少ない高い信頼性をもって、円滑にかつ高効率で行うことができる構造簡素なベルト蛇行防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
この目的を達成するため、本発明の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置は、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部の走行ベルトの蛇行を防止する装置であって、上記パルプ製造部から送られてくる古紙パルプを処理搬送するベルトコンベア部の走行ベルトに対して、テンションを与える状態で転接する転接ローラと、この転接ローラを、上記走行ベルトの走行方向に対して交差方向へ揺動させるローラ揺動手段と、このローラ揺動手段を上記走行ベルトの走行状態に応じて制御する制御手段とを備えてなり、この制御手段は、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように、上記ローラ揺動手段を制御する構成とされていることを特徴とする。
【００１２】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
（１）上記走行ベルトに対する上記転接ローラの転接部位は、上記走行ベルトの処理搬送部位の処理機能に干渉しない部位に設定される。
【００１３】
（２）上記転接ローラは、その回転支軸の両端部が支持ブラケットに支持されるとともに、この支持ブラケットが、その長手方向中心位置に設けられた支軸を介して、固定側支持部に揺動可能に枢支される。
【００１４】
（３）上記支持ブラケットは、上記転接ローラを水平状態に支持するとともに、水平方向へ揺動するように、上記固定側支持部に枢支される。
【００１５】
（４）上記ローラ揺動手段は、上記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端部に設けられたカム手段と、このカム手段をカム駆動させる駆動源とを備え、上記駆動源による上記カム手段のカム動作により、上記支持ブラケットが揺動する構成とされる。
【００１６】
（５）上記カム手段は、上記駆動源により回転動作する円板状偏心カムの形態とされた駆動カムと、上記支持ブラケットの一端部に形成されて、上記駆動カムと摺接係合する係合溝の形態とされた従動カムとからなり、上記駆動カムの回転動作により、この駆動カムと摺接係合する上記従動カムを介して上記支持ブラケットが揺動する構成とされる。
【００１７】
（６）上記ローラ揺動手段は、上記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端に枢支連結されたピストンロッドを備える揺動シリンダの形態とされ、この揺動シリンダのピストンロッドの突出退入動作により、上記支持ブラケットが揺動する構成とされる。
【００１８】
（７）上記走行ベルトが適正走行範囲を走行しているか否かを検知するベルト検知手段を備え、上記制御手段は、上記ベルト検知手段の検知結果に従って、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正位置となるように、上記ローラ揺動手段を制御する構成とされる。
【００１９】
（８）上記ローラ揺動手段による上記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ向けて徐々に移動していき、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラが上記中立位置に移動復帰して停止するように構成される。
【００２０】
（９）上記ローラ揺動手段による上記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ一気に移動して停止し、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラが上記中立位置に移動復帰して停止するように構成される。
【００２１】
（１０）上記ベルトコンベア部の走行ベルトは、水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部の網状ベルトである。
【００２２】
（１１）上記ベルトコンベア部の走行ベルトは、前工程の抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部の平滑面ベルトである。
【００２３】
また、本発明の抄紙装置は、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部を構成するものであって、上記パルプ製造部から送られてくる水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部と、この抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部と、これら抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部の連係部において上記湿紙を圧搾脱水する脱水ロール部とを備えてなり、上記抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部は、上記パルプ製造部で製造された古紙パルプを処理搬送する走行ベルトをそれぞれ備えるとともに、これら走行ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止手段を備え、このベルト蛇行防止手段は、上記ベルト蛇行防止装置により構成されていることを特徴とする。
【００２４】
さらに、本発明の古紙再生装置は、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、これらパルプ製造部および抄紙部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、上記抄紙部は、上記抄紙装置から構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【００２５】
本発明の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置によれば、転接ローラが、古紙パルプを処理搬送するベルトコンベア部の走行ベルトに対してテンションを与える状態で転接するとともに、ローラ揺動手段が、上記転接ローラを、上記走行ベルトの走行方向に対して交差方向へ揺動させる構成とされ、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置に維持されるとともに、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように構成されているから、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な什器サイズの古紙再生装置という非常にコンパクトな装置構成に適した構造が小型で簡素なベルト蛇行防止装置が実現し、これにより、抄紙部のベルトコンベア部の走行ベルトを適正走行範囲内で常時安定して走行させることができ、その結果、非常に狭い処理空間における抄紙工程を、故障の少ない高い信頼性をもって、円滑にかつ高効率で行うことができる。
【００２６】
これにより、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる什器サイズの古紙再生装置を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施形態１である古紙再生装置の全体概略構成を示す正面断面図である。
【図２】同じく同古紙再生装置の全体概略構成を示す側面断面図である。
【図３】同古紙再生装置の叩解部の古紙パルプ循環経路構成を示す回路図である。
【図４】同古紙再生装置のパルプ濃度調整部の構成を示すブロック図である。
【図５】同古紙再生装置の抄紙部の構成を示す正面図である。
【図６】同抄紙部における抄紙ネットコンベア部のベルト蛇行防止装置の構成を示し、図６（ａ）は一部切開して示す平面図、図６（ｂ）は同じく一部切開して示す正面図である。
【図７】同じく同抄紙部における乾燥ベルトコンベア部のベルト蛇行防止装置の構成を示し、図７（ａ）は一部切開して示す平面図、図７（ｂ）は同じく一部切開して示す正面図である。
【図８】同ベルト蛇行防止装置の制御構成を示すブロック図である。
【図９】同ベルト蛇行防止装置の蛇行修正動作を説明するための模式図である。
【図１０】同ベルト蛇行防止装置の蛇行修正動作時おけるローラ揺動部とセンサ部の構成を示し、図１０（ａ）は同ローラ揺動部とセンサ部相互の位置関係を示す一部断面平面図、図１０（ｂ）は同センサ部の検知動作を示す一部断面平面図である。
【図１１】同古紙再生装置の外観構成を示す斜視図である。
【図１２】本発明の実施形態２である古紙再生装置の抄紙部におけるベルト蛇行防止装置の構成を一部切開して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２８】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【００２９】
実施形態１
本発明に係る古紙再生装置が図１〜図１１に示されており、この古紙再生装置１は、具体的には古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙ＵＰを廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する装置であって、古紙ＵＰとしては、官公庁・一般企業の機密文書や一般家庭の私的文書等で、使用済みや不要となった書類が該当する。
【００３０】
古紙再生装置１は、図１１に示すような什器サイズ、つまり、事務所内に配置使用される書棚、ロッカー、事務机、複写機、パーソナルコンピュータなどの什器類と同等な小型形状寸法を備えるもので、図１に示すように、パルプ製造部２、パルプ濃度調整部３、抄紙部（抄紙装置）４および装置制御部（制御部）５を主要部として構成されるとともに、上記抄紙部４は、本発明に係る特徴構成であるベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段）１０、１１を備えてなる。
【００３１】
これら装置構成部２〜５は装置ケース６内に装置収容されてなるコンパクト設計とされる。この装置ケース６は、上述したように什器サイズのもので、具体的な形状寸法は目的や用途に応じて適宜設計される。図示の実施形態の装置ケース６は、事務所等に配置使用される複写機程度の形状寸法を有するほぼ直方体形状の箱体とされ、装置ケース６の天板部には、古紙ＵＰを投入するための投入口７が開閉可能に設けられるとともに、側部には、再生紙ＲＰ、ＲＰ、…を排出する排出口８が設けられている。また、この排出口８の下縁部位には、排出口８から排出される再生紙ＲＰ、ＲＰ、…を受け取るための再生紙受取トレー９が取外し可能に設けられている。
【００３２】
パルプ製造部２は、古紙ＵＰを離解し叩解して古紙パルプを製造する工程部位で、古紙ＵＰを攪拌破砕して離解する離解部２０と、この離解部２０で離解された古紙ＵＰを叩解する叩解部２１とからなる。
【００３３】
離解部２０は、古紙ＵＰを攪拌破砕して離解する工程部位で、離解槽２５、攪拌装置２６および給水装置２７を主要部として構成されている。
【００３４】
離解槽２５は、図２に示すように、その天井壁に、古紙ＵＰを投入供給する上記投入口７が設けられるとともに、その底部壁に、離解された古紙パルプＵＰＰを下流側へ排出する排出口２８が設けられている。離解槽２５の内容積は、一度に攪拌処理すべき古紙ＵＰの枚数に応じて設定される。図示の実施形態においては、約９８リットルの水を加えて、Ａ４判のＰＰＣ（plain paper copier）古紙ＵＰを５００枚程度（約２０００ｇ）一度に攪拌処理（バッチ処理）できる容積を有する離解槽２５とされている。この場合の離解される古紙パルプＵＰＰの濃度は２％程度となる。なお、この濃度調整は、給水装置２７からの給水により行われ、この給水装置２７は、後述するパルプ濃度調整部３の一部をなす。
【００３５】
上記投入口７は、装置ケース６のケースカバー６ａの外部に対して開閉可能な構造を有する。また、上記排出口２８は、開閉弁２９により開閉可能とされて、後述する古紙パルプ循環経路４９に連通可能とされている。なお、上記排出口２８の部位には、古紙ＵＰ、ＵＰ、…を綴じていたクリップ、ステープラー針等の綴じ具のなど、次工程の叩解工程にとって障害となる各種禁忌品を除去するための禁忌品フィルタ３０が設けられている。
【００３６】
上記開閉弁２９は、具体的には駆動モータ３５によりクランク機構３６がクランク動作することで開閉動作される。上記駆動モータ３５としては、具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ３５が装置制御部５に電気的に接続されている。
【００３７】
攪拌装置２６は上記離解槽２５の内部に設けられており、攪拌インペラ４０および駆動モータ４１を備えてなる。
【００３８】
上記攪拌インペラ４０は、その回転軸４０ａが離解槽２５の底面中央位置に起立状に回転支持されて、水平回転可能に設けられるとともに、上記回転軸４０ａの下端が、伝動プーリ４２ａ、伝動ベルト４２ｂおよび伝動プーリ４２ｃからなる伝動手段４２を介して、駆動モータ４１の回転軸４１ａに駆動連結されている。
【００３９】
給水装置２７は上記離解槽２５に水を供給するもので、後述するように、パルプ濃度調整部３の叩解濃度調整部３Ａを構成する。
【００４０】
図示の実施形態の給水装置２７は、図１に示すように、白水回収槽４５、叩解濃度調整用の給水ポンプ４６および抄紙濃度調整用の給水ポンプ４７を備えてなる。白水回収槽４５は、後述するように、抄紙部４において濾過脱水される白水Ｗ（抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水）を回収するもので、この白水回収槽４５に回収された白水Ｗが、上記給水ポンプ４６により上記離解槽２５に、また上記給水ポンプ４７により後述する濃度調整槽８５にそれぞれ供給される。
【００４１】
また、これに関連して、離解槽２５の底部には、重量センサ４８が設けられて、離解槽２５内で一度にバッチ処理される古紙ＵＰ、ＵＰ、…と水の量を計測制御する構成とされ、上記重量センサ４８は装置制御部５に電気的に接続されている。
【００４２】
図示の実施形態の重量センサ４８はロードセルからなり、離解槽２５の重量と、この離解槽２５内に投入供給された古紙ＵＰ、ＵＰ、…および水の重量との合計重量を感知計測する構成とされている。
【００４３】
離解部２０における具体的な制御構成は、まず、作業者により投入口７が開放されて、離解槽２５に古紙ＵＰ、ＵＰ、…が投入されると、その重量が上記重量センサ４８により感知計測されて、所定重量（枚数）になった時点で作業者に音および／または表示により告知される。この表示に応じて作業者が投入口７を閉止すると、上記給水装置２７が駆動して、給水ポンプ４６により、白水回収槽４５の水Ｗが上記投入された古紙ＵＰ、ＵＰ、…の重量（枚数）に対応した量だけ離解槽２５に供給される。
【００４４】
また、作業者が、上記投入口７から離解槽２５に任意の量（上記所定重量（枚数）より少ない量）の古紙ＵＰ、ＵＰ、…を投入した後に投入口７を閉止した場合も、その重量が上記重量センサ４８により感知計測されるとともに、上記給水装置２７が駆動して、給水ポンプ４６により、上記計測結果に応じた量の水Ｗが白水回収槽４５から離解槽２５に供給される。
【００４５】
図示の実施形態においては、上述したように、最大５００枚程度（約２０００ｇ）のＡ４判のＰＰＣ古紙ＵＰが離解槽２５内に投入されると、その時点で作業者に音および／または表示により告知され、上記投入口７の閉止動作により、約９８リットルの水が給水装置２７により加えられて、あるいは任意の量（上記所定重量（枚数）より少ない量）の古紙ＵＰ、ＵＰ、…を投入した場合にも、この古紙投入量に対応した量の水が給水装置２７により加えられて、離解される古紙パルプＵＰＰの濃度が２％程度となるように制御調整される。
【００４６】
しかして、攪拌装置２６において、装置ケース６の投入開口つまり投入口７から離解槽２５内に投入された古紙ＵＰ、ＵＰ、…は、駆動モータ４１による攪拌インペラ４０の正転・逆転動作により、給水装置２７から供給された水の中で所定時間（図示の実施形態においては１０分〜２０分間）だけ攪拌混合されて、これにより、古紙ＵＰ、ＵＰ、…は離解・叩解されて古紙パルプＵＰＰとなる。
【００４７】
なお、上記離解槽２５の排出口２８は、離解部２０の運転時には上記開閉弁２９により閉止されて、離解槽２５からの古紙ＵＰや古紙パルプＵＰＰの古紙パルプ循環経路４９への流入が阻止される一方、後述する叩解部２１の運転時には、開閉弁２９により投入口７が開口されて、離解槽２５からの古紙パルプＵＰＰの古紙パルプ循環経路４９への流入および循環回流が許容される。
【００４８】
叩解部２１は、上記離解部２０で離解された古紙ＵＰを叩解する工程部位で、具体的には、上記離解部２０で離解された古紙ＵＰを加圧叩解するとともに、古紙ＵＰ上の文字、図形等を形成するインキ類（各種印刷技術により古紙ＵＰ上に文字、図形等を形成した印刷インキ、あるいは、鉛筆、ボールペンまたは万年筆等の筆記具により古紙ＵＰ上に文字、図形等を形成したインキ等が含まれる）を磨砕微細化（マイクロファイバ化）するものである。
【００４９】
この叩解部２１は、摩砕機５０を主要部として備えてなる。この摩砕機５０は、図３に示すように、相対的に回転駆動される一対の叩解円盤５１、５２を主要部として備えてなり、これら一対の叩解円盤５１、５２は、叩解作用面５１ａ、５２ａを微小な叩解隙間Ｇをもって同心状に対向配置されている。
【００５０】
また、上記摩砕機５０の叩解作用面５１ａ、５２ａの叩解隙間Ｇは、後述するように、叩解工程の初期用の摩砕機５０から終期用の摩砕機５０に向けて徐々に狭くなるように設定されている。
【００５１】
本実施形態の叩解部２１においては、図３に示すように、一台の摩砕機５０が配されてなる古紙パルプ循環経路４９が形成され、これにより、古紙パルプＵＰが摩砕機５０を介して所定時間循環されながら叩解処理される循環式とされている。
【００５２】
この古紙パルプ循環経路４９による叩解工程の実施により、什器サイズの装置ケース６内という小さく狭い工程スペースにもかかわらず、基本的に長さに制限のない無限長の古紙パルプ叩解工程経路が形成されることになり、大規模装置における叩解工程に匹敵する叩解工程空間を確保することが可能となり、目的に応じて最適な叩解効果が得られる。
【００５３】
また、一台の摩砕機５０が叩解工程の全工程を通じて叩解処理を行うことに関連して、この一台の摩砕機５０が叩解工程の初期用の摩砕機から終期用の摩砕機までの複数台の摩砕機としての機能を兼備する。具体的には、この摩砕機５０の叩解作用面５１ａ、５２ａの叩解隙間Ｇが、叩解工程の初期から終期に向けて徐々に狭くなるように制御調整される構成とされている。
【００５４】
図示の実施形態の摩砕機５０は、図２に示すように、装置ケース６を構成する装置機体５４に、上記離解部２０の離解槽２５に隣接して設けられており、また図３に示すように、離解部２０の離解槽２５に連通可能な叩解槽５５と、この叩解槽５５内に相対的に回転可能に設けられた上記一対の叩解円盤５１、５２と、これら一対の叩解円盤５１、５２を相対的に回転動作させる回転駆動源５６と、一対の叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇを調整する隙間調整手段５７を備える。
【００５５】
叩解槽５５は、上記一対の叩解円盤５１、５２を収納可能な密閉型円筒形状とされ、上流側からの古紙パルプＵＰＰを供給する供給口５５ａおよび叩解された古紙パルプＵＰＰを下流側へ排出する排出口５５ｂを有する。
【００５６】
具体的には、上記供給口５５ａは叩解槽５５の底部中央部に上下方向へ向けて開設されるとともに、上記排出口５５ｂは叩解槽５５の円筒側部に水平方向へ向けて開設されている。これら供給口５５ａおよび排出口５５ｂは、図３に示すように、それぞれ循環用配管４９ａ、４９ｂを介して、上記離解部２０の離解槽２５に連通可能に接続されるとともに、上記排出口５５ｂは、さらに排出用配管５９を介して古紙パルプ回収槽６０に連通可能とされている。
【００５７】
６１は方向切替弁を示しており、この方向切替弁６１の切替動作により、排出口５５ｂから排出される古紙パルプＵＰＰは、選択的に、上記離解槽２５へ還流され、または古紙パルプ回収槽６０へ回収される。方向切替弁６１は、具体的には電磁弁からなり、上記装置制御部５に電気的に接続されている。
【００５８】
一対の叩解円盤５１、５２は、その一方が回転方向へ固定的に設けられた固定側叩解円盤とされるとともに、他方が回転可能な回転側叩解円盤とされる。図示の実施形態においては、上側の叩解円盤５１が回転側とされるとともに、下側の叩解円盤５２が固定側とされてなり、この下側の固定側叩解円盤５２に対して、上側の回転側叩解円盤５１が微小な叩解隙間Ｇをもって同心状にかつ回転可能に対向配置されている。この回転側叩解円盤５１は、装置機体５４の固定側に回転可能にかつ軸線方向へ移動可能に軸支された回転主軸６４を介して、駆動モータ５６に駆動連結されている。
【００５９】
上記回転主軸６４は、具体的には図示しないが、上記隙間調整手段５７の昇降部材に回転可能に軸支されており、その先端部に、上記回転側叩解円盤５１が同心状にかつ一体的に取り付けられるとともに、その基端部が、上記駆動モータ５６の回転軸に回転方向へ一体的にかつ軸線方向へ相対的に移動可能に駆動連結されている。
【００６０】
回転駆動源である上記駆動モータ５６は、上記一対の叩解円盤５１、５２を相対的に回転動作させるもので、具体的には電動モータが使用され、この駆動源である駆動モータ５６が装置制御部５に電気的に接続されている。
【００６１】
上記微小な叩解隙間Ｇを形成する両叩解円盤５１、５２の対向面５１ａ、５２ａ同士は協働して叩解作用面を形成する。これら対向する叩解作用面５１ａ、５２ａは、多数の砥粒が結合材により結合されてなる砥石面の形態とされている。また、上記両叩解作用面５１ａ、５２ａは、図３に示すように、その径寸法が互いの対向方向へ連続的に大きくなるテーパ面形状とされて、最外周縁部が互いに平行する環状平坦面とされ、これら環状平坦面が上記叩解隙間Ｇを形成している。
【００６２】
換言すれば、上記一対の叩解円盤５１、５２において、固定側叩解円盤５２の叩解作用面５２ａの中心部位に、上記叩解槽の供給口５５ａに同軸状に連通する入口７０が形成されるとともに、上記一対の叩解円盤５１、５２の叩解作用面５１ａ、５２ａの外周縁部に形成される二つの環状平坦面が、上記叩解槽５５の排出口５５ｂに連通しかつ上記叩解隙間Ｇを有する出口７１を形成している。
【００６３】
また、回転側叩解円盤５１の外周には複数のブレード７２、７２、…が周方向へ所定間隔をもって設けられており、これらブレード７２、７２、…は、回転側叩解円盤５１の回転により、上記出口７１から排出される古紙パルプＵＰＰを、遠心力で上記叩解槽５５の排出口５５ｂへ向けて押出すポンプ作用をなす。
【００６４】
しかして、駆動源である駆動モータ５６により、回転側叩解円盤５１が固定側叩解円盤５２に対して回転駆動された状態において、上記離解部２０の離解槽２５から叩解槽５５の供給口５５ａ、入口７０を介して叩解空間Ｂに供給される古紙パルプＵＰＰは、上記入口７０から叩解空間Ｂに流入して、この叩解空間Ｂを通過しながら、相対的に回転する叩解作用面５１ａ、５２ａによる加圧叩解作用を受けるとともに、古紙ＵＰ上の文字、図形等を形成するインキ類が磨砕微細化され、この後、上記出口７１から叩解槽５５の排出口５５ｂを介して排出される。
【００６５】
この出口７１から排出される際、古紙パルプＵＰＰは、上記叩解隙間Ｇを有する出口７１の部位でさらに加圧叩解作用を受けて、この叩解隙間Ｇにより規定される所定のミクロンサイズまで微細化（マイクロファイバ化）されることとなる。
【００６６】
この点に関して、本実施形態においては、前述したように、古紙パルプ循環経路４９に一台の摩砕機５０が配されてなる循環式叩解工程（図３参照）が採用されることに関連して、つまり、上記一台の摩砕機５０が叩解工程の初期用の摩砕機から終期用の摩砕機までの複数台の摩砕機としての機能を兼備することに関連して、この摩砕機５０の叩解隙間Ｇが、隙間調整手段５７により、叩解工程の初期から終期に向けて徐々に狭くなるように制御調整される構成とされている。
【００６７】
隙間調整手段５７は、具体的には図示しないが、上記一対の叩解円盤５１、５２を回転軸線方向へ相対的に移動させて、これら叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇを制御調整する構成とされ、回転側叩解円盤５１を回転軸線方向つまり回転主軸６４の軸線方向へ移動させる移動手段（図示省略）と、この移動手段を駆動させる駆動源６６とを主要部として構成されている。この駆動源としては具体的には電動モータが用いられ、この駆動モータ６６が上記装置制御部５に電気的に接続されている。
【００６８】
そして、この電動モータ６６の回転により、上記移動手段を介して上記回転主軸６４が昇降動作し、これにより、回転主軸６４と一体の回転側叩解円盤５１が固定側叩解円盤５２に対して上下方向つまり回転軸線方向へ移動して、両叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇが制御調整される。
【００６９】
この目的のため、上記回転側叩解円盤５１の昇降位置を検出する位置検出センサ（図示省略）が設けられ、この位置検出センサの検出結果により上記駆動モータ６６が駆動制御される。上記位置検出センサは装置制御部５に電気的に接続されている。
【００７０】
隙間調整手段５７による叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇの制御調整は、図３に示される古紙パルプ循環経路４９における循環式叩解工程において、循環手段である循環ポンプ６９と相互に連動して行われる。
【００７１】
すなわち、図３において、離解部２０により離解処理された古紙パルプＵＰＰは、上記循環ポンプ６９により古紙パルプ循環経路４９で循環されながら、上記摩砕機５０による叩解工程が実行され、この際、摩砕機５０の叩解作用面５１ａ、５２ａの叩解隙間Ｇは、隙間調整手段５７により、叩解工程の初期から終期に向けて徐々に狭くなるように構成されている。
【００７２】
また、上記古紙パルプ循環経路４９に、上記離解部２０の離解槽２５が含まれていることに関連して、上記叩解工程において、上記離解部２０の攪拌装置２６が駆動制御されて、離解部２０が叩解部２１と同時に駆動する構成とされている。すなわち、循環式叩解工程においては、離解槽２５から古紙パルプ循環経路４９に古紙パルプＵＰＰが流出する一方、摩砕機５０による叩解を経た古紙パルプＵＰＰが離解槽２５に流入することになり、離解槽２５内では叩解度の異なる古紙パルプＵＰＰが混在するため、攪拌装置２６による攪拌作用によって、離解槽２５内の古紙パルプＵＰＰの叩解度が均一化されて、叩解処理の促進化が図られる。
【００７３】
上記古紙パルプ回収槽６０は、叩解部２１により所定のサイズまで叩解微細化された古紙パルプＵＰＰを回収する部位で、ここに回収された古紙パルプＵＰＰは、次工程の抄紙工程を行う抄紙部４に送られる前に、パルプ濃度調整部３によって、再生すべき再生紙ＲＰの仕上紙質に対応した抄紙濃度に混合調整されたパルプ懸濁液ＰＳとされる。
【００７４】
上記パルプ濃度調整部３は、装置に投入される古紙ＵＰと水Ｗとの混合割合を重量測定により調整して、上記抄紙部４に供給される古紙パルプＵＰＰの濃度を調整する重量式のもので、具体的には、図４に示すように、叩解濃度調整部３Ａ、抄紙濃度調整部３Ｂおよびパルプ濃度制御部３Ｃとを備えてなる。
【００７５】
叩解濃度調整部３Ａは、パルプ製造部２における古紙パルプＵＰＰの叩解濃度を叩解部２１による叩解効率に対応して調整するもので、前述したように、給水装置２７の叩解濃度調整用の給水ポンプ４６と叩解濃度制御部７５を主要部として構成されている。
【００７６】
この叩解濃度調整部３Ａの給水ポンプ４６による白水Ｗの供給量は、例えば、上記攪拌装置２６により離解・叩解された古紙パルプＵＰＰの叩解濃度が、次工程である叩解工程を実行する叩解部２１の摩砕機５０の叩解能力に許容される最大濃度になるように設定されるのが望ましく、図示の実施形態においては、上記のごとく２％程度の叩解濃度になるように設定される。
【００７７】
そして、叩解濃度制御部７５は、前述したように、重量センサ４８からの計測結果に応じて、離解槽２５に必要量の水Ｗを供給するように上記給水ポンプ４６を駆動制御する。この叩解濃度制御部７５は、後述するように、装置制御部５の一部を構成している。
【００７８】
抄紙濃度調整部３Ｂは、抄紙部４における古紙パルプＵＰＰの抄紙濃度を再生すべき再生紙ＲＰの仕上紙質に対応した適正濃度に調整するもので、具体的には、上記パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰの濃度を区分形式で調整する構成とされ、区分抽出部８０、懸濁液調製部８１および抄紙濃度制御部８２を主要部として備える。
【００７９】
区分抽出部８０は、前工程のパルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰの全量から所定の少分量だけ区分抽出するもので、古紙パルプ回収槽６０の古紙パルプＵＰＰを抽出して濃度調整槽８５に送る区分抽出用の古紙パルプ供給ポンプ８６を備えてなる。
【００８０】
懸濁液調製部８１は、上記区分抽出部８０により区分抽出された所定の少分量の古紙パルプＵＰＰに対して濃度調整用の水Ｗを所定量だけ加水することにより、所定濃度のパルプ懸濁液ＰＳを調製するもので、前述の給水装置２７の給水ポンプ４７を主要部として備える。
【００８１】
また、具体的には図示しないが、濃度調整槽８５の底部には、前述した離解槽２５の場合と同様に、ロードセルからなる重量センサ８７が設けられており、濃度調整槽８５内に供給される古紙パルプＵＰＰと濃度調整用の水Ｗの量を計測制御する構成とされ、上記重量センサ８７は装置制御部５に電気的に接続されている。
【００８２】
抄紙濃度制御部８２は、上記区分抽出部８０および懸濁液調製部８１を連動して制御するもので、装置制御部５の一部を構成しており、以下の抄紙濃度調整工程を実行するように、上記区分抽出部８０および懸濁液調製部８１のポンプ８６、４７を連動して制御する。
【００８３】
すなわち、まず、上記叩解部２１から古紙パルプ回収槽６０に回収される古紙パルプＵＰＰの全量（図示の実施形態においては、約２０００ｇの古紙ＵＰ＋１００ｌの水Ｗ）から、古紙パルプ供給ポンプ８６により、所定分量（図示の実施形態においては１ｌ）の古紙パルプＵＰＰが区分されて、濃度調整槽８５へ移送収容される。すると、その重量が上記重量センサ８７により感知計測されて、その結果が装置制御部５へ送られる。
【００８４】
続いて、この区分された古紙パルプＵＰＰの所定分量に対応して、給水ポンプ４７により、白水回収槽４５から濃度調整槽８５に、希釈用の水Ｗが所定量（図示の実施形態においては９ｌ（実際は上記重量センサ８７の重量計測による））だけ給水される。
【００８５】
これにより、上記濃度調整槽８５内において、叩解濃度（図示の実施形態においては２％）の古紙パルプＵＰＰが水Ｗと混合希釈されて、所定濃度（図示の実施形態においては約０．２％濃度（目標濃度））のパルプ懸濁液ＰＳが混合調製される。
【００８６】
なお、この調製されるべきパルプ懸濁液ＰＳの目標濃度は、予め行なった実験データに基づいて、後述する抄紙部４における抄紙能力を考慮して設定され、図示の実施形態の場合は上記のごとく約０．２％濃度に設定されている。
【００８７】
しかして、このように濃度調整槽８５で目標濃度の抄紙濃度（０．２％）に調製されたパルプ懸濁液ＰＳは、第１懸濁液供給ポンプ８８により濃度調整槽８５からパルプ供給槽８９へ移送供給されて、次工程の抄紙部４のために待機貯留される。以後、この抄紙濃度調整工程は、古紙パルプ回収槽６０の古紙パルプＵＰＰの全量について同様に繰り返し実行される。上記パルプ供給槽８９には、パルプ懸濁液ＰＳを抄紙部４の抄紙ネットコンベア部９５へ送るための第２懸濁液供給ポンプ９０が設けられている。
【００８８】
また、パルプ供給槽８９内には攪拌装置９１が設けられており、この攪拌装置８７の攪拌作用により、待機貯留されるパルプ懸濁液ＰＳ全体の抄紙濃度が一定値に均一化されて保持される。
【００８９】
上記のように、抄紙濃度調整部３による濃度調整が全量一括式ではなく、区分形式つまり小出し形式で行われることにより、使用水量が大幅に減少されるばかりか、濃度調整槽８５の形状寸法の大幅な縮小化も可能となり、さらには古紙再生装置１全体のコンパクト化が図られ得る。
【００９０】
パルプ濃度制御部３Ｃは、上記叩解濃度調整部３Ａおよび抄紙濃度調整部３Ｂを連動して駆動制御するもので、具体的には、叩解濃度調整部３Ａの叩解濃度制御部７５からのパルプ濃度制御情報（古紙ＵＰの投入量、離解槽２５への給水量、古紙パルプＵＰＰの叩解濃度等）を受け取って、この制御情報に応じて、パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰの濃度を目標値（抄紙濃度）にするための抄紙濃度制御情報（古紙パルプＵＰＰの目標抄紙濃度、古紙パルプ回収槽６０からの古紙パルプＵＰＰの区分抽出量、濃度調整槽８５への給水量等）を抄紙濃度調整部３Ｂの抄紙濃度制御部８２に送り、これにより、上述した抄紙濃度調整工程を実行させる構成とされている。
【００９１】
抄紙部４は、上記パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰを抄紙して再生紙ＲＰを製造する工程部位で、図１および図５に示すように、抄紙ネットコンベア部９５、脱水ロール部９６および乾燥ベルトコンベア部９７を主要部として構成されるとともに、上記抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７には、前述したベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段）１０および１１がそれぞれ設けられている。
ている。
【００９２】
すなわち、上記抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７は、後述するように、上記パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰを処理搬送する走行ベルトとして、網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５をそれぞれ備えるとともに、これら走行ベルト１０５、１４５は、上記ベルト蛇行防止部１０および１１により蛇行が防止される構成とされている。
【００９３】
抄紙ネットコンベア部９５は、上記パルプ製造部２のパルプ供給槽８９から送られてくる水Ｗと古紙パルプＵＰＰが共存するスラリー状のパルプ懸濁液ＰＳを抄いて湿紙とする部位で、抄紙コンベア１００とパルプ供給部１０１を主要部として構成されている。
【００９４】
抄紙コンベア１００は、パルプ懸濁液を抄きながら搬送するもので、上記パルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水する無数の網目よりなる抄き網構造の網状ベルト１０５がその走行方向へ向けて直線状に走行する配置構成とされている。
【００９５】
具体的には、抄紙コンベア１００は、パルプ懸濁液ＰＳを抄きながら搬送走行する無端ベルトの形態とされた上記網状ベルト１０５と、この網状ベルト１０５を走行駆動する駆動モータ１０６とを備えてなる。
【００９６】
上記網状ベルト１０５を構成する抄き網構造の板材は、パルプ懸濁液ＰＳが上記抄き網構造の無数の網目により適正に濾過脱水できる材質とされ、好適には、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリアミド（ＰＡ）（一般に「ナイロン」（登録商標）と呼ばれる。）あるいはステンレス鋼（ＳＵＳ）などの耐腐食性に優れる材料で形成されており、図示の実施形態においては、耐熱性に優れるＰＥＴ製網状ベルト１０５とされている。
【００９７】
網状ベルト１０５は、図１および図５に示すように、駆動ローラ１０７、脱水ロール部９６、駆動ローラ１０８およびベルト蛇行防止部１０を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ１０７を介して、上記駆動モータ１０６に駆動連結されている。
【００９８】
そして、上記網状ベルト１０５における抄紙工程長さは、上記什器サイズの装置ケース６内における網状ベルト１０５の上側走行方向長さ（図示の場合は図１におけるパルプ供給部１０１から脱水ロール部９６までの左右方向長さ）の範囲内に設定されている。
【００９９】
また、上記網状ベルト１０５の走行速度は、抄紙工程における諸条件を考慮して設定されるもので、好適には０．１ｍ／分〜１ｍ／分に設定され、図示の実施形態においては０．２ｍ／分に設定されている。ちなみに、従来の古紙再生工場等の大規模工場でのこの種の抄紙ベルトの走行速度は、少なくとも１００ｍ／分以上に設定され、早いものでは１０００ｍ／分をはるかに上回る速度に設定される。
【０１００】
網状ベルト１０５は、図１および図５に示すように、その走行方向へ向けて上向き傾斜状にかつ直線状に走行する配置構成とされて、限られた設置空間における抄紙工程長さの可及的延長が図られるとともに、網状ベルト１０５の抄き網構造との関係での濾過脱水率の向上が図られている。
【０１０１】
上記網状ベルト１０５を走行駆動する駆動モータ１０６は、具体的には電動モータで、装置制御部５に電気的に接続されている。また、この駆動モータ１０６は、後述する脱水ロール部９６および乾燥ベルトコンベア部９７の走行駆動源としても共用される。
【０１０２】
パルプ供給部１０１は、上記網状ベルト１０５上に上記パルプ製造部２からのパルプ懸濁液ＰＳを供給する部位で、具体的構造については図示しないが、このパルプ供給部１０１により、パルプ懸濁液ＰＳが上記網状ベルト１０５上面に均一に広がり供給される構成とされている。上記パルプ供給部１０１は、上記抄紙コンベア１００の抄紙工程開始端位置に設けられている。
【０１０３】
そして、第２懸濁液供給ポンプ９０により、上記パルプ供給槽８９からパルプ供給部１０１に供給されるパルプ懸濁液ＰＳは、このパルプ供給部１０１で所定量だけ貯留されて、その滞留作用により、網状ベルト１０５上面に均一に拡散される。この網状ベルト１０５上面に均一に拡散されたパルプ懸濁液ＰＳは、網状ベルト１０５の矢符方向への走行作用により、網状ベルト１０５と共に搬送されながら、網状ベルト１０５の網目による自重濾過作用を受けて脱水されて、湿紙ＲＰ0（図示の実施形態においては、含水率９０〜８５％）となる。
【０１０４】
この網状ベルト１０５により濾過脱水された白水Ｗ（抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水）は、前述したように、上記給水装置２７の白水回収槽４５に回収される。
【０１０５】
脱水ロール部９６は、上述の抄紙ネットコンベア部９５と後述の乾燥ベルトコンベア部９７の連係部において、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を圧搾脱水する部位を構成している。
【０１０６】
具体的には、下流側の上記乾燥ベルトコンベア部９７の後述する平滑面ベルト１４５と上流側の上記抄紙ネットコンベア部９５の網状ベルト１０５とが、図１および図５に示すように、上下に積層状に配設されるとともに、これら平滑面ベルト１４５と網状ベルト１０５の上下隣接部分が上記連係部とされて、この連係部において、上記脱水ロール部９６が、これら網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５を上下両側から挟圧状に転動圧搾して脱水する構造とされている。
【０１０７】
脱水ロール部９６は、少なくとも、予備脱水ロール部９６Ａおよび本脱水ロール部９６Ｂを主要部として備えてなる。
【０１０８】
図示の脱水ロール部９６は、図１に具体的に示すように、予備脱水ロール部９６Ａ、本脱水ロール部９６Ｂ、および補助手段としての角度規定ロール部９６Ｃを主要部として構成されている。
【０１０９】
予備脱水ロール部９６Ａは、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を予備的に圧搾脱水するもので、具体的には、上記網状ベルト１０５に下側から転接する予備脱水ロール１２０と、この予備脱水ロール１２０に対して上記平滑面ベルト１４５を上側から転動加圧する予備プレスロール１２１とからなる予備圧搾ロール対１２２を備えてなる。
【０１１０】
そして、これら予備脱水ロール１２０および予備プレスロール１２１からなる予備圧搾ロール対１２２により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５は上下両側から所定の予備圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が予備的に脱水除去される。
【０１１１】
この場合の予備圧力、つまり網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を予備的に圧搾脱水する上記予備脱水ロール部９６Ａの予備圧搾力は、多量の水分を含む湿紙ＲＰ0が潰れてしまわない程度の大きさに設定され、図示の実施形態においては、予備脱水後の上記網状ベルト１０５上の湿紙の含水率が８０〜７５％の範囲になるように、上記予備圧搾力が設定されている。
【０１１２】
本脱水ロール部９６Ｂは、上記予備脱水ロール部９６Ａで予備脱水された網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を本圧搾脱水して所定の含水率の乾紙（再生紙）ＲＰとするもので、具体的には、上記網状ベルト１０５に下側から転接する本脱水ロール１２５と、この本脱水ロール１２５に対して上記平滑面ベルト１４５を上側から転動加圧する本プレスロール１２６とからなる本圧搾ロール対１２７の組を少なくとも１組を備えてなる。
【０１１３】
そして、これら本脱水ロール１２５および本プレスロール１２６からなる本圧搾ロール対１２７により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５が上下両側から所定の本圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が最終的に脱水除去されて、所定の含水率の乾紙つまり再生紙ＲＰとされる。
【０１１４】
この場合の本圧力つまり網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を本圧搾脱水する上記本脱水ロール部９６Ｂの本圧搾力は、予備脱水された湿紙ＲＰ0について確実に所定の脱水効果が得られる程度の大きさに設定され、図示の実施形態においては、本脱水後の網状ベルト１０５上の乾紙（再生紙）ＲＰの含水率が７０〜６５％の範囲になるように設定される。
【０１１５】
これら脱水ロール部９６におけるロール１２０、１２１、１２５、１２６は、具体的には図示しないが、歯車機構からなる駆動連結手段により単一の駆動モータ１０６に駆動連結されて、すべてのロール１２０、１２１、１２５、１２６が互いに連動して回転駆動される。
【０１１６】
この場合、これらロール１２０、１２１、１２５、１２６は、その外周面間において挟圧状に転動圧搾される網状ベルト１０５、平滑面ベルト１４５の接触面（網状ベルト１０５の下面および平滑面ベルト１４５の上面）に対して、上下のロール１２０、１２５の外周面と１２１、１２６の外周面が、互いに僅かの回転速度差をもってそれぞれ転動接触するように回転制御される。
【０１１７】
具体的には、上側の予備および本プレスロール１２１、１２６の回転速度が下側の予備および本脱水ロール１２０、１２５の回転速度よりも僅かに大きく設定されており、これにより、平滑面ベルト１４５の走行速度が、上記網状ベルト１０５の走行速度よりも僅かに大きく設定されることになる。このような構成とされることにより、後述するように、脱水ロール部９６により圧搾脱水された湿紙ＲＰ0が、下側の網状ベルト１０５の上面から上側の平滑面ベルト１４５の下面に転写移転される際に、湿紙ＲＰ0にテンションがかかって、湿紙ＲＰ0に皺が発生するのを有効に防止する。
【０１１８】
角度規定ロール部（角度規定手段）９６Ｃは、上記予備脱水ロール部９６Ａおよび本脱水ロール部９６Ｂによる圧搾脱水作用を補助して有効にするためのもので、上記予備脱水ロール部９６Ａの上流側に設けられて、予備脱水ロール部９６Ａへ挿通される上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５間の傾斜角度を規定する。
【０１１９】
角度規定ロール部９６Ｃは、具体的には、上記予備脱水ロール部９６Ａへ挿通される上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５間の傾斜角度を規定するもので、具体的には、上記網状ベルト１０５に下側から転接して、上記予備脱水ロール部９６Ａに対する網状ベルト１０５の挿入角度を規定する網状ベルト案内ロール１３０と、上記平滑面ベルト１４５に上側から転接して、上記予備脱水ロール部９６Ａに対する平滑面ベルト１４５の挿入角度を規定する平滑面ベルト案内ロール１３１とを備えてなる。この平滑面ベルト案内ロール１３１は、後述するように、乾燥ベルトコンベア部９７の平滑面ベルト１４５の蛇行を防止するベルト蛇行防止部１１の転接ローラ１４０ａとしても機能する。
【０１２０】
そして、上記網状ベルト案内ロール１３０によって予備脱水ロール部９６Ａに対する網状ベルト１０５の挿入角度が規定されるとともに、上記平滑面ベルト案内ロール１３１によって予備脱水ロール部９６Ａに対する平滑面ベルト１４５の挿入角度が規定されることにより、上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度が間接的に所定の範囲内に設定されることになる。
【０１２１】
網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度は、予備脱水ロール部９６Ａによる予備脱水作用により、湿紙ＲＰ0に含まれる水分が予備脱水ロール部９６Ａの上流側に多量に搾り出されるところ、この搾り出された多量の水分が湿紙ＲＰ0に再吸収されて、湿紙ＲＰ0が再びスラリー化してしまうのを有効に防止するように設定される。
【０１２２】
すなわち、予備脱水ロール部９６Ａの予備脱水ロール１２０と予備プレスロール１２１により、上面に湿紙ＲＰ0を載置した網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５が上下両側から挟圧状に転動圧搾されると、湿紙ＲＰ0に含まれている水分は、両ロール１２０、１２１の上流側へ搾り出される。
【０１２３】
この場合、上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度αが大きいとすると、両ロール１２０、１２１の上流側近傍位置においては、上側の平滑面ベルト１４５が下側の網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に対して離隔した状態にあり、このため、搾り出された上記湿紙ＲＰ0に含まれている多量の水分の一部が湿紙ＲＰ0に再び吸収されて、湿紙ＲＰ0が再びスラリー化してしまうおそれがある。
【０１２４】
これに対して、上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度αが小さいとすると、両ロール１２０、１２１の上流側近傍位置において、上側の平滑面ベルト１４５が下側の網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に押さえ付けられた状態となり、このため、上記湿紙ＲＰ0から搾り出された水分のすべてが、上記網状ベルト１０５を介して下側へ落下して、湿紙ＲＰ0に再吸収されることがなく、湿紙ＲＰ0の再スラリー化を確実に防止することができる。
【０１２５】
上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度αは、各種試験の結果、好ましくは１〜２０°に設定され、より好ましくは３〜７°に設定され、図示の実施形態においては、５°に設定されている。
【０１２６】
しかして、駆動モータ１０６の駆動により、脱水ロール部９６における予備脱水ロール部９６Ａおよび本脱水ロール部９６Ｂの各ロール１２０、１２１、１２５、１２６が回転して、まず、予備脱水ロール部９６Ａにおける予備圧搾ロール対１２２により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５が上下両側から所定の予備圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が予備的に脱水除去される（図示の実施形態においては、湿紙ＲＰ0の含水率は９０〜８５％から８０〜７５％に減少する）。
【０１２７】
続いて、本脱水ロール部９６Ｂにおける本圧搾ロール対１２７により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５が上下両側から所定の本圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が最終的に脱水除去されて、所定の含水率の乾紙つまり再生紙ＲＰとされる（図示の実施形態においては、含水率８０〜７５％の湿紙ＲＰ0が含水率７０〜６５％の乾紙ＲＰとなる）。この一連の工程により湿紙ＲＰ0から圧搾脱水された白水Ｗは、給水装置２７の白水回収槽４５に回収される。
【０１２８】
上記脱水ロール部９６により圧搾脱水された湿紙ＲＰ0は、脱水ロール部９６の下流側部位において、下側の網状ベルト１０５の上面から上側の平滑面ベルト１４５の下面に転写移転されて、平滑面ベルト１４５と共に搬送されて、乾燥ベルトコンベア部９７による乾燥工程が実施される。
【０１２９】
なお、上記移転作用は平滑面ベルト１４５の平滑面構造により起こるものと考えられる。つまり、下側の網状ベルト１０５の表面が、微細な連続気孔が多数開口されてなる微細凹凸面であるのに対して、上側の平滑面ベルト１４５の表面が孔のない平滑面であり、この結果、僅かに水分を含んでいる湿紙ＲＰ0が上記平滑面ベルト１４５の表面との間の表面張力で吸着されるものと考えられる。
【０１３０】
ベルト蛇行防止部１０は、上記網状ベルト１０５の蛇行を防止するもので、転接ローラ１４０、ローラ揺動部（ローラ揺動手段）１４１、ベルト蛇行検知部（ベルト検知手段）１４２、ローラ位置検知部（ローラ検知手段）１４３および蛇行制御部（制御手段）１４４を主要部として構成されている。
【０１３１】
転接ローラ１４０は、上記網状ベルト１０５に対してテンションを与える状態で転接する構成とされ、具体的には、一本の転接ローラ１４０が、上記網状ベルト１０５の処理搬送部位の処理機能に干渉しない部位に転接するように構成されている。
【０１３２】
図示の実施形態においては、図１および図５に示すように、網状ベルト１０５において、駆動ローラ１０７と駆動ローラ１０８間の下側部位、つまり、パルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水処理して湿紙ＲＰ0とする抄紙工程を完了した後の帰還工程を構成する部位に一本の転接ローラ１４０が転接する構成とされている。
【０１３３】
上記転接ローラ１４０は中空円筒状の金属製、図６に示すように、その回転支軸１５０の両端部１５０ａ、１５０ｂが、軸受１５１、１５１を介して、支持ブラケット１５２に回転可能に支持されるとともに、この支持ブラケット１５２が、その長手方向中心位置に固設された支軸１５３を介して、固定側支持部１５４に水平方向へ揺動可能に枢支されている。
【０１３４】
具体的には、装置ケース６を構成する装置機体５４の支持枠５４ａ、５４ｂが、上記網状ベルト１０５の走行方向へ平行に延びて設けられ、これら両支持枠５４ａ、５４ｂに、上記固定側支持部１５４を構成する支持枠が橋絡状に取付け固定され、この固定側支持部１５４の軸受部１５４ａに、上記支持ブラケット１５２の支軸１５３が回転可能に吊持状に支持されている。これにより、支持ブラケット１５２に回転可能に支持された上記転接ローラ１４０が、上記支軸１５３を揺動中心として水平方向へ揺動可能とされている。
【０１３５】
転接ローラ１４０としては、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属製ローラが使用され、図示の実施形態の転接ローラ１４０は、ステンレス鋼製の中空円筒ローラの形態とされている。
【０１３６】
上記転接ローラ１４０が上記網状ベルト１０５に対してテンションを与える状態で転接していることにより、転接ローラ１４０の網状ベルト１０５の走行方向に対する姿勢を制御調整することで、転接ローラ１４０と網状ベルト１０５との間に生ずる摩擦力により、後述する網状ベルト１０５の蛇行防止ないしは修正作用がなされる。
【０１３７】
すなわち、図９を参照して、転接ローラ１４０が常態、つまり図９（ａ）に示すように、転接ローラ１４０の回転軸線つまり回転支軸１５０の軸心Ｘ150が網状ベルト１０５の走行方向Ａに対して垂直となる中立位置を保持する場合、転接ローラ１４０は網状ベルト１０５を転動案内する走行案内ローラとして機能する。
【０１３８】
また、転接ローラ１４０の回転軸線Ｘ150が、図９（ｂ）に示すように、網状ベルト１０５の走行方向Ａに対して垂直の中立位置（図９（ａ）の位置）から左側へ傾いた左傾斜位置にある場合、転接ローラ１４０は、網状ベルト１０５との間に生ずる摩擦力により、網状ベルト１０５を左側方向へ移動させるよう作用して、左側方向への蛇行修正作用をなす。
【０１３９】
同様に、転接ローラ１４０の回転軸線Ｘ150が、図９（ｃ）に示すように、網状ベルト１０５の走行方向Ａに対して垂直の中立位置（図９（ａ）の位置）から右側へ傾いた右傾斜位置にある場合、転接ローラ１４０は、網状ベルト１０５との間に生ずる摩擦力により、網状ベルト１０５を右側方向へ移動させるよう作用して、右側方向への蛇行修正作用をなす。
【０１４０】
ローラ揺動部１４１は、上記転接ローラ１４０を上記網状ベルト１０５の走行方向に対して交差方向へ揺動させるもので、揺動カム機構（カム手段）１６０と、この揺動カム機構１６０をカム駆動させる駆動モータ（駆動源）１６１とから構成されている。
【０１４１】
揺動カム機構１６０は、図６に示すように、上記転接ローラ１４０を自由回転可能に支持する支持ブラケット１５２の一端部に設けられており、具体的には、駆動モータ１６１により回転カム動作する回転カムの形態とされている。
【０１４２】
図示の実施形態の揺動カム機構１６０は、上記駆動モータ１６１により回転動作する駆動カム１６０ａと、上記支持ブラケット１５２の一端部に形成されて、上記駆動カム１６０ａと摺接係合する係合溝の形態とされた従動カム１６０ｂとからなる。
【０１４３】
具体的には図１０ａに示すように、駆動カム１６０ａは、駆動モータ１６１の回転軸１６１ａに、円板状カムが偏心状に取付け固定されてなる円板状偏心カムの形態とされるとともに、従動カム１６０ｂは、この駆動カム１６０ａと摺接係合するＵ字形状の係合溝の形態とされている。また、上記駆動モータ１６１としては、具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ１６１が装置制御部５に電気的に接続されている。
【０１４４】
そして、駆動モータ１６１の駆動による駆動カム１６０ａの回転動作により、この駆動カム１６０ａと摺接係合する従動カム１６０ｂを介して、上記支持ブラケット１５２さらには転接ローラ１４０が水平方向へ揺動し、これにより、転接ローラ１４０が図９（ａ）〜（ｃ）に示すような姿勢をとることで後述する網状ベルト１０５の蛇行修正作用をなす。
【０１４５】
これに関連して、網状ベルト１０５の走行状態を検知する上記ベルト蛇行検知部１４２と、転接ローラ１４０の姿勢を検知する上記ローラ位置検知部１４３が設けられている。
【０１４６】
ベルト蛇行検知部１４２は、網状ベルト１０５が適正走行範囲を走行しているか否かを検知するもので、具体的には、図１および図５に示すように、網状ベルト１０５が駆動ローラ１０７を通過した下流側位置において、一対の検知センサ１４２ａ、１４２ｂが上記網状ベルト１０５の幅方向両側の下方位置にそれぞれ上向きで配置されてなる（図６の二点鎖線参照）。
【０１４７】
これら一対の検知センサ１４２ａ、１４２ｂにより挟まれる網状ベルト１０５の幅方向範囲は、網状ベルト１０５の適正走行範囲を規定しており、この適正走行範囲は、網状ベルト１０５がパルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水処理して湿紙ＲＰ0とする抄紙工程を円滑にかつ確実に安定して実行できる程度の蛇行許容範囲に設定され、具体的には実際に抄紙工程を試験的に行って適正走行範囲が設定される。
【０１４８】
検知センサ１４２ａ、１４２ｂとしては、非接触型の位置検出センサが好適に使用され、図示の実施形態においては、反射型フォトセンサが使用されている。これら検知センサ１４２ａ、１４２ｂは装置制御部５に電気的に接続されている。
【０１４９】
そして、図６を参照して、網状ベルト１０５がこれら一対の検知センサ１４２ａ、１４２ｂ間を走行している時、つまり網状ベルト１０５が適正走行範囲内を走行している時は、いずれの検知センサ１４２ａ、１４２ｂも網状ベルト１０５の存在を検知しない。また、網状ベルト１０５が左側へ過度にずれて蛇行すると、左側の検知センサ１４２ａが網状ベルト１０５の存在を検知し、一方、網状ベルト１０５が右側へ過度にずれて蛇行すると、右側の検知センサ１４２ｂが網状ベルト１０５の存在を検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。
【０１５０】
ローラ位置検知部１４３は、転接ローラ１４０の姿勢、つまり転接ローラ１４０の軸心Ｘ150が網状ベルト１０５の走行方向Ａに対してどの方向に向いているかを検知するもので、具体的には、図６および図１０に示すように、上記駆動カム１６０ａとの関連で設けられている。
【０１５１】
すなわち、ローラ位置検知部１４３は、上記支持枠１５４における駆動カム１６０ａと同軸、つまり駆動モータ１６１の回転軸１６１ａに、駆動カム１６０ａの回転方向位置と関連付けて固定された回転子１４３ａと、この回転子１４３ａの回転方向位置から、駆動カム１６０ａの回転方向位置つまりは転接ローラ１４０の姿勢を検知する３つの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃ、１４３ｄとから構成されている。
【０１５２】
上記回転子１４３ａは、円板状偏心カムの形態とされた駆動カム１６０ａの回転方向位置と関連付けられた半円形状平板の形態とされ、この半円形状平板１４３ａの直線縁部両端には、図１０（ｂ）に示すような切欠部がそれぞれ形成されている。
【０１５３】
３つの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃ、１４３ｄは、上記回転子１４３ａに対して、図１０（ｂ）に示すように、回転子１４３ａの外周縁部に沿って９０°の角度をもって配置されている。
【０１５４】
これら３つの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃおよび１４３ｄとしては、非接触型の位置検出センサが好適に使用され、図示の実施形態においては、透過型フォトインタラプタが使用されている。これら検知センサ１４３ｂ、１４３ｃおよび１４３ｄは装置制御部５に電気的に接続されている。
【０１５５】
そして、図９および図１０を参照して、回転子１４３ａが検知センサ１４３ｂ、１４３ｃおよび１４３ｄに対して、図１０（ｂ）の実線で示す回転方向位置にある時、転接ローラ１４０は図９（ａ）に示す中立位置（図１０（ａ）の実線位置）にあり、この時、中央位置の検知センサ１４３ｃのみが回転子１４３ａを検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。一方、両側の検知センサ１４３ｂ、１４３ｄは回転子１４３ａを検知しない（検知センサ１４３ｂ、１４３ｄは、回転子１４３ａの上記切欠き部により投光が透過）。
【０１５６】
また、回転子１４３ａが図１０（ｂ）の一点鎖線で示す回転方向位置にある時、転接ローラ１４０は図９（ｂ）に示す左傾斜位置（図１０（ａ）の一点鎖線位置）にあり、この時、検知センサ１４３ｂのみが回転子１４３ａを検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。一方、残りの検知センサ１４３ｃ、１４３ｄは回転子１４３ａを検知しない（検知センサ１４３ｃは、回転子１４３ａの上記切欠き部により投光が透過）。
【０１５７】
さらに、回転子１４３ａが図１０（ｂ）の二点鎖線で示す回転方向位置にある時、転接ローラ１４０は図９（ｃ）に示す右傾斜位置（図１０（ａ）の二点鎖線位置）にあり、この時、検知センサ１４３ｄのみが回転子１４３ａを検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。一方、残りの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃは回転子１４３ａを検知しない（検知センサ１４３ｃは、回転子１４３ａの上記切欠き部により投光が透過）。
【０１５８】
蛇行制御部１４４は、上記ベルト蛇行検知部１４２およびローラ位置検知部１４３の検知結果に従って、上記ローラ揺動部１４１を制御するもので、装置制御部５の一部を構成しており、以下のベルト蛇行修正工程を実行するように、上記ローラ揺動部１４１の駆動モータ１６１を自動制御する。
【０１５９】
すなわち、蛇行制御部１４４は、図８に示すような制御構成とされており、上記ベルト蛇行検知部１４２の検知センサ１４２ａ、１４２ｂからの検知信号（制御信号）を受け取って、上記網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラ１４０が上記網状ベルト１０５の走行方向Ａに垂直となる中立位置を保持するとともに（図９（ａ）参照）、上記網状ベルト１０５の走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上述したように、上記転接ローラ１４０が上記網状ベルト１０５の走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように（図９（ｂ）または（ｃ）参照）、上記ローラ揺動部１４１の駆動モータ１６１を制御する。
【０１６０】
一方、上記転接ローラ１４０の姿勢は、ローラ位置検知部１４３により常時検知されており、蛇行制御部１４４は、上記ベルト蛇行検知部１４２の検知センサ１４２ａ、１４２ｂからの検知信号により網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されたことを検知すると、上記ローラ位置検知部１４３の検知センサ１４３ａ、１４３ｂ、１４３ｃからの検知信号に従って、転接ローラ１４０を現在の網状ベルト１０５の蛇行修正姿勢から上記中立位置（図９（ａ）に示す位置）へ移動復帰させるべく、上記ローラ揺動部１４１の駆動モータ１６１を制御する。
【０１６１】
なお、網状ベルト１０５の走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時のローラ揺動部１４１による具体的な蛇行修正動作としては、（Ａ）上記転接ローラ１４０が上記中立位置（図９（ａ）に示す位置）から最大蛇行修正方向位置（図９（ｂ）または（ｃ）に示す位置）へ向けてゆっくりと徐々に移動していき、上記網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラ１４０が上記中立位置に移動復帰して停止する構成と、（Ｂ）上記転接ローラ１４０が上記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ一気に移動して停止し、上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラが上記中立位置に移動復帰して停止する構成が好適に採用される。図示の実施形態においては、上記（Ａ）の蛇行修正動作が採用されている
【０１６２】
しかして、抄紙ネットコンベア部９５の網状ベルト１０５は、ベルト蛇行防止部１０により、ベルト蛇行検知部１４２の検知センサ１４２ａ、１４２ｂで規定される適正走行範囲内を走行しながら、パルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水処理して湿紙ＲＰ0とする抄紙工程を実行する。
【０１６３】
乾燥ベルトコンベア部９７は、上記抄紙ネットコンベア部９５で抄紙形成された後、脱水ロール部９６で圧搾脱水された乾紙ＲＰをさらに加熱乾燥させて再生紙ＲＰとする部位で、乾燥コンベア１７０と加熱乾燥部１７１を主要部として構成されている。
【０１６４】
乾燥コンベア１７０は、脱水ロール部９６で圧搾脱水された湿紙ＲＰ0を平滑にしながら搬送するもので、上記平滑面ベルト１４５と、この平滑面ベルト１４５を走行駆動する上記駆動モータ１０６とを備えてなる。
【０１６５】
平滑面ベルト１４５は、湿紙ＲＰ0を加熱乾燥させながら搬送するもので、具体的には、所定幅を有する平滑面構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトである。平滑面構造の板材は、湿紙ＲＰ０の片側表面を適正な平滑面に仕上げることができ、かつ後述する加熱乾燥部１７１による加熱作用に耐え得る材質とされ、好適には、フッ素樹脂、ステンレス鋼等の可撓性耐熱材料で形成されており、図示の実施形態においては、フッ素樹脂製ベルトが採用されている。
【０１６６】
この平滑面ベルト１４５は、図１に示すように、駆動ローラ１７６、従動ローラ１７８、ベルト蛇行防止部１１および脱水ロール部９６を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ１７６を介して、上記駆動モータ１０６に駆動連結されている。
【０１６７】
平滑面ベルト１４５を走行駆動する駆動モータ１０６は、前述したように、上記抄紙コンベア１００および脱水ロール部９６の走行駆動源としても共用される。
【０１６８】
加熱乾燥部１７１は、上記平滑面ベルト１４５上の湿紙ＲＰ0を加熱乾燥する部位で、上記平滑面ベルト１４５の走行経路途中箇所に配されたヒータプレート１８０を加熱部として備える。
【０１６９】
このヒータプレート１８０は、具体的には、上記平滑面ベルト１４５上の湿紙ＲＰ0が平滑面ベルト１４５を介して間接的に加熱乾燥される配置構成とされている。
【０１７０】
また、平滑面ベルト１４５の走行途中に、上記２つの平滑面仕上げロール１７９、１７９が配設されて、平滑面ベルト１４５上の湿紙ＲＰ0を順次転動加圧して、平滑面ベルト１４５の表面に接触する湿紙ＲＰ0の片側表面と反対側表面を適正な平滑面に仕上げる配置構成とされている。
【０１７１】
上記平滑面ベルト１４５における上記加熱乾燥部１７１の下流側には、剥離部材１８１が設けられており、平滑面ベルト１４５上で乾燥処理されて搬送される乾紙つまり再生紙ＲＰ（含水率１０〜７％）を、平滑面ベルト１４５の保持面から順次剥離する。
【０１７２】
これに関連して、この剥離部材１５１の下流側の平滑面ベルト１４５の走行経路終端位置には、定寸カッタ部１８２が設けられており、平滑面ベルト１４５から剥離された再生紙ＲＰは、ここで所定形状（図示の実施形態においては、Ａ４版の形状寸法）に切断されて、装置ケース６の排出口８から排出される。
【０１７３】
ベルト蛇行防止部１１は、上記平滑面ベルト１４５の蛇行を防止するもので、上記網状ベルト１０５用のベルト蛇行防止部１０と同様に、図７に示すように、転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃ、ローラ揺動部１４１、ベルト蛇行検知部１４２、ローラ位置検知部１４３および蛇行制御部１４４を主要部として構成されている。
【０１７４】
ベルト蛇行防止部１１を構成する上記各構成部の構成は、網状ベルト１０５用のベルト蛇行防止部１０と同様であり、３本の転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃを備える点のみが相違する。
【０１７５】
すなわち、ベルト蛇行防止部１１の蛇行防止対象となる平滑面ベルト１４５は、上述したように、フッ素樹脂製ベルトが採用されているところ、このフッ素樹脂製の平滑面ベルト１４５は、上記網状ベルト１０５に比較して、弾性および柔軟性において劣ることから、１本の転接ローラ１４０では円滑なかつ確実な蛇行防止作用が発揮され得ず、ベルト蛇行防止部１１においては、３本の転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃを備えている。
【０１７６】
これら３本の転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃの平滑面ベルト１４５に対する転接構成は、図１および図５に示すように、平滑面ベルト１４５が、転接ローラ１４０ａの上側面、転接ローラ１４０ｂの下側面および転接ローラ１４０ｃの上側面と延びて転接案内されるように構成されている。
【０１７７】
また、前述したように、ベルト蛇行防止部１１の転接ローラ１４０ａは、前記角度規定ロール部９６Ｃの平滑面ベルト案内ロール１３１としても機能する構成とされて、装置構成の小型簡素化が図られている。
【０１７８】
ベルト蛇行防止部１１のその他の構成および作用は、網状ベルト１０５用のベルト蛇行防止部１０と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【０１７９】
装置制御部５は、上述したパルプ製造部２、パルプ濃度調整部３および抄紙部４の各駆動部の動作を相互に連動して自動制御するもので、具体的には、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭおよびＩ／Ｏポートなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。
【０１８０】
この装置制御部５には、パルプ製造部２のパルプ製造工程、濃度調整部３の濃度調整工程および抄紙部４の抄紙工程を相互に連動して実行させるためのプログラム等が組み込まれるとともに、上記各構成部２（２０、２１）、３（３Ａ、３Ｂ）、４（９５、９６、９７、１０、１１）の駆動に必要な種々の情報、例えば、離解部２０における攪拌装置２６の駆動時間、回転速度、給水装置２７の給水タイミング、給水量、叩解部２１における循環ポンプ６９の駆動時間、循環量および摩砕機５０の駆動時間、回転速度、および隙間調整手段５７の調整タイミング、叩解隙間Ｇ調整量、ならびに、抄紙部４におけるコンベア１００、１７０の走行速度、加熱乾燥部１７１の駆動時間、定寸カッタ部１５２の動作タイミング、およびベルト蛇行防止部１０、１１の動作タイミングなどが、予めデータとしてまたはキーボード等により適宜選択的に入力設定されている。
【０１８１】
また、上記装置制御部５には、前述したように、重量センサ４８、８７、検知センサ１４２ａ、１４２ｂ、１４３ｂ、１４３ｃ、１４３ｄ、ならびに各駆動部３５、５６、６１、６６、１０６が電気的に接続されており、装置制御部５は、これらの各種実測値および制御データに従って、上記各駆動部３５、５６、６１、６６、１０６、１６１を制御する。
【０１８２】
しかして、以上のように構成された古紙再生装置１は、電源投入により起動して、装置制御部５により各構成部２（２０、２１）、３（３Ａ、３Ｂ）、４（９５、１０、９６）が相互に関連して自動制御され、これにより、装置ケース６の投入口７に投入された古紙ＵＰ、ＵＰ、…は、パルプ製造部２の離解部２０および叩解部２１により離解・叩解処理されて、古紙パルプＵＰＰが製造され、さらにパルプ濃度調整部３で抄紙濃度のパルプ懸濁液ＰＳが調製された後、このパルプ懸濁液ＰＳが抄紙部４の抄紙ネットコンベア部９５、脱水ロール部９６および乾燥ベルトコンベア部９７により抄紙されて、再生紙ＲＰとして再生され、装置ケース６の排出口８ｂから再生紙受取トレー９に排出される。
【０１８３】
この場合に、上記抄紙部４におけるベルト蛇行防止部１０、１１は、転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃが、古紙パルプＵＰＰを処理搬送する抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７の走行ベルトである網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５走行ベルトに対してテンションを与える状態で転接するとともに、ローラ揺動部１４１が、上記転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃを、上記走行ベルト１０５、１４５の走行方向に対して交差方向へ揺動させる構成とされ、上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃが上記走行ベルト１０５、１４５の走行方向に垂直となる中立位置に維持されるとともに、上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置が適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃが上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように構成されているから、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な什器サイズの古紙再生装置という非常にコンパクトな装置構成に適した構造が小型で簡素なベルト蛇行防止装置が実現し、これにより、抄紙部のベルトコンベア部の走行ベルトを適正走行範囲内で常時安定して走行させることができ、その結果、非常に狭い処理空間における抄紙工程を、故障の少ない高い信頼性をもって、円滑にかつ高効率で行うことができる。
【０１８４】
これにより、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる什器サイズの古紙再生装置を実現し提供することができる。
【０１８５】
実施形態２
本実施形態は図１２に示されており、実施形態１におけるベルト蛇行防止部１０、１１の具体的構成が改変されたものである。
【０１８６】
すなわち、例えば本実施形態のベルト蛇行防止部１０においては、ローラ揺動部１４１が揺動シリンダの形態とされている。
【０１８７】
具体的には、このローラ揺動部１４１を構成する揺動シリンダは、そのシリンダ本体１４１ａが、固定側支持部である支持枠１５４に、支軸１９０を介して揺動可能に支持されるとともに、そのピストンロッド１４１ｂが、転接ローラ１４０を自由回転可能に支持する支持ブラケット１５２の一端に、支軸１９１を介して枢支連結されている。
【０１８８】
そして、この揺動シリンダ１４１のピストンロッド１４１ｂの突出退入動作により、上記支持ブラケット１５２および転接ローラ１４０が水平方向へ揺動するように構成されている。
【０１８９】
なお、揺動シリンダ１４１としては、エアシリンダ装置が好適に使用され、また、このシリンダ装置の作動特性に対応して、網状ベルト１０５の走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時のローラ揺動部１４１による具体的な蛇行修正動作としては、実施形態１の場合と異なり、前記（Ａ）および（Ｂ）の蛇行修正動作のうち、（Ｂ）の蛇行修正動作、つまり、転接ローラ１４０が中立位置（図９（ａ）に示す位置）から最大蛇行修正方向位置（図９（ｂ）または（ｃ）に示す位置）へ一気に移動して停止し、網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラ１４０が上記中立位置に移動復帰して停止する構成が好適に採用される。
【０１９０】
もう一方のベルト蛇行防止部１１も上記ベルト蛇行防止部１１と同様であり、さらに、その他の構成および作用は実施形態１と同様である。
【０１９１】
なお、上述した実施形態１および２はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく、その範囲内で種々の設計変更が可能である。
【０１９２】
例えば、本発明に係るベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段）１０および１１の具体的構成は、図示の実施形態１および２に限定されず、同様な機能を有する他の構成を採用することが可能であり、特に、蛇行防止対象となる抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７の具体的構成に対応して適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【０１９３】
ＵＰ 古紙
ＵＰＰ 古紙パルプ
ＰＳ パルプ懸濁液
ＲＰ 再生紙
１ 古紙再生装置
２ パルプ製造部
４ 抄紙部（抄紙装置）
５ 装置制御部（制御部）
１０ ベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段、ベルト蛇行防止装置）
１１ ベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段、ベルト蛇行防止装置）
９５ 抄紙ネットコンベア部
９６ 脱水ロール部
９７ 乾燥ベルトコンベア部
１００ 抄紙コンベア
１０５ 網状ベルト（走行ベルト）
１４０ 転接ローラ
１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃ 転接ローラ
１４１ ローラ揺動部（ローラ揺動手段）
１４２ ベルト蛇行検知部（ベルト検知手段）
１４３ ローラ位置検知部（ローラ検知手段）
１４４ 蛇行制御部（制御手段）
１４５ 平滑面ベルト（走行ベルト）
１５０ 回転支軸
１５２ 支持ブラケット
１５３ 支軸
１５４ 支持枠（固定側支持部）
１６０ 揺動カム機構（カム手段）
１６０ａ 駆動カム
１６０ｂ 従動カム
１６１ 駆動モータ（駆動源）
【技術分野】
【０００１】
本発明は古紙再生装置のベルト蛇行防止装置、抄紙装置および古紙再生装置に関し、さらに詳細には、古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙を廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する什器サイズの小型古紙再生装置におけるベルト蛇行防止技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
官公庁や一般企業等の各種事業所の日常業務はもちろんのこと、一般家庭の日常生活においても、使用済みや不要となった各種書類いわゆる古紙が発生している。これらの古紙は、ゴミとして廃棄されたり、焼却されたりして、廃棄処分されることになる。
【０００３】
一方、限りある地球資源の有効利用という機運の世界的な高まりのなかで、近時、廃棄処分されてきた古紙を、廃棄処分することなく再生利用するための技術が種々開発されている。
【０００４】
これらの古紙再生技術は、ほとんどが製紙業界において採用実施されており、その古紙再生設備には、通常の製紙設備同様、再生紙の高速大量生産と高品質化を目的として、広大な敷地、莫大な投資、および紙抄きに使われる大量の水や薬品などが必要とされる。
【０００５】
また、古紙再生にあっては多くの人手による古紙回収作業が必要であり、しかも、この古紙回収には、多人数による異物混入、古紙再生紙への知識不足による分別不良、忌避品の除去不足などの問題があり、せっかく古紙を回収しても、これらの古紙を１００％再生紙として再生するには、専門業者による再度の選別や洗浄等の作業を余儀なくされている。さらに、極秘文書などの古紙は、機密上の問題から古紙回収には簡単に出されることはなく、焼却処分されてしまうため、リサイクル化が進んでいない。
【０００６】
これらの古紙回収の問題を解決するには、古紙発生元において自前で再生利用することができるような技術の開発が有効であり、この観点から、本出願人は例えば特許文献１に記載されるような古紙再生装置を既に開発し提案している。
【０００７】
この古紙再生装置は、古紙再生工場等の大規模な古紙再生技術を、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な装置技術として実現したもので、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、これらパルプ製造部および抄紙部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、上記抄紙部は、上記パルプ製造部から送られてくる古紙パルプを抄いて湿紙とする抄紙工程部と、この抄紙工程部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥工程部とを備え、これら両工程部は、上記古紙パルプ古紙パルプを処理搬送する走行ベルトを有するベルトコンベアの形態とされている。
【０００８】
そして、古紙は、上記パルプ製造部で離解・叩解されて古紙パルプとなり、その後、この古紙パルプは、上記抄紙部におけるベルトコンベアの走行ベルトにより搬送されながら、濾過脱水、圧搾脱水および加熱乾燥の各工程を経て再生紙となる。この場合、上記パルプ化の段階で、古紙は繊維レベルまで分解されて、そこに記載された文字や線図は完全に分解消滅してしまい、復元不可能となり、これら文字や線図から構成される機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００８−１７４８７７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、特に、上記古紙再生装置における抄紙部のベルトコンベア構成をさらに改良することにより、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な什器サイズの古紙再生装置という非常に狭い古紙処理空間において、古紙パルプを抄紙する抄紙工程を、より故障の少ない高い信頼性をもって、円滑にかつ高効率で行うことができる構造簡素なベルト蛇行防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
この目的を達成するため、本発明の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置は、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部の走行ベルトの蛇行を防止する装置であって、上記パルプ製造部から送られてくる古紙パルプを処理搬送するベルトコンベア部の走行ベルトに対して、テンションを与える状態で転接する転接ローラと、この転接ローラを、上記走行ベルトの走行方向に対して交差方向へ揺動させるローラ揺動手段と、このローラ揺動手段を上記走行ベルトの走行状態に応じて制御する制御手段とを備えてなり、この制御手段は、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように、上記ローラ揺動手段を制御する構成とされていることを特徴とする。
【００１２】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
（１）上記走行ベルトに対する上記転接ローラの転接部位は、上記走行ベルトの処理搬送部位の処理機能に干渉しない部位に設定される。
【００１３】
（２）上記転接ローラは、その回転支軸の両端部が支持ブラケットに支持されるとともに、この支持ブラケットが、その長手方向中心位置に設けられた支軸を介して、固定側支持部に揺動可能に枢支される。
【００１４】
（３）上記支持ブラケットは、上記転接ローラを水平状態に支持するとともに、水平方向へ揺動するように、上記固定側支持部に枢支される。
【００１５】
（４）上記ローラ揺動手段は、上記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端部に設けられたカム手段と、このカム手段をカム駆動させる駆動源とを備え、上記駆動源による上記カム手段のカム動作により、上記支持ブラケットが揺動する構成とされる。
【００１６】
（５）上記カム手段は、上記駆動源により回転動作する円板状偏心カムの形態とされた駆動カムと、上記支持ブラケットの一端部に形成されて、上記駆動カムと摺接係合する係合溝の形態とされた従動カムとからなり、上記駆動カムの回転動作により、この駆動カムと摺接係合する上記従動カムを介して上記支持ブラケットが揺動する構成とされる。
【００１７】
（６）上記ローラ揺動手段は、上記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端に枢支連結されたピストンロッドを備える揺動シリンダの形態とされ、この揺動シリンダのピストンロッドの突出退入動作により、上記支持ブラケットが揺動する構成とされる。
【００１８】
（７）上記走行ベルトが適正走行範囲を走行しているか否かを検知するベルト検知手段を備え、上記制御手段は、上記ベルト検知手段の検知結果に従って、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正位置となるように、上記ローラ揺動手段を制御する構成とされる。
【００１９】
（８）上記ローラ揺動手段による上記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ向けて徐々に移動していき、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラが上記中立位置に移動復帰して停止するように構成される。
【００２０】
（９）上記ローラ揺動手段による上記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、上記走行ベルトの走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ一気に移動して停止し、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラが上記中立位置に移動復帰して停止するように構成される。
【００２１】
（１０）上記ベルトコンベア部の走行ベルトは、水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部の網状ベルトである。
【００２２】
（１１）上記ベルトコンベア部の走行ベルトは、前工程の抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部の平滑面ベルトである。
【００２３】
また、本発明の抄紙装置は、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部を構成するものであって、上記パルプ製造部から送られてくる水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部と、この抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部と、これら抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部の連係部において上記湿紙を圧搾脱水する脱水ロール部とを備えてなり、上記抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部は、上記パルプ製造部で製造された古紙パルプを処理搬送する走行ベルトをそれぞれ備えるとともに、これら走行ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止手段を備え、このベルト蛇行防止手段は、上記ベルト蛇行防止装置により構成されていることを特徴とする。
【００２４】
さらに、本発明の古紙再生装置は、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、これらパルプ製造部および抄紙部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、上記抄紙部は、上記抄紙装置から構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【００２５】
本発明の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置によれば、転接ローラが、古紙パルプを処理搬送するベルトコンベア部の走行ベルトに対してテンションを与える状態で転接するとともに、ローラ揺動手段が、上記転接ローラを、上記走行ベルトの走行方向に対して交差方向へ揺動させる構成とされ、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置に維持されるとともに、上記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラが上記走行ベルトの走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように構成されているから、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な什器サイズの古紙再生装置という非常にコンパクトな装置構成に適した構造が小型で簡素なベルト蛇行防止装置が実現し、これにより、抄紙部のベルトコンベア部の走行ベルトを適正走行範囲内で常時安定して走行させることができ、その結果、非常に狭い処理空間における抄紙工程を、故障の少ない高い信頼性をもって、円滑にかつ高効率で行うことができる。
【００２６】
これにより、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる什器サイズの古紙再生装置を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施形態１である古紙再生装置の全体概略構成を示す正面断面図である。
【図２】同じく同古紙再生装置の全体概略構成を示す側面断面図である。
【図３】同古紙再生装置の叩解部の古紙パルプ循環経路構成を示す回路図である。
【図４】同古紙再生装置のパルプ濃度調整部の構成を示すブロック図である。
【図５】同古紙再生装置の抄紙部の構成を示す正面図である。
【図６】同抄紙部における抄紙ネットコンベア部のベルト蛇行防止装置の構成を示し、図６（ａ）は一部切開して示す平面図、図６（ｂ）は同じく一部切開して示す正面図である。
【図７】同じく同抄紙部における乾燥ベルトコンベア部のベルト蛇行防止装置の構成を示し、図７（ａ）は一部切開して示す平面図、図７（ｂ）は同じく一部切開して示す正面図である。
【図８】同ベルト蛇行防止装置の制御構成を示すブロック図である。
【図９】同ベルト蛇行防止装置の蛇行修正動作を説明するための模式図である。
【図１０】同ベルト蛇行防止装置の蛇行修正動作時おけるローラ揺動部とセンサ部の構成を示し、図１０（ａ）は同ローラ揺動部とセンサ部相互の位置関係を示す一部断面平面図、図１０（ｂ）は同センサ部の検知動作を示す一部断面平面図である。
【図１１】同古紙再生装置の外観構成を示す斜視図である。
【図１２】本発明の実施形態２である古紙再生装置の抄紙部におけるベルト蛇行防止装置の構成を一部切開して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２８】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【００２９】
実施形態１
本発明に係る古紙再生装置が図１〜図１１に示されており、この古紙再生装置１は、具体的には古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙ＵＰを廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する装置であって、古紙ＵＰとしては、官公庁・一般企業の機密文書や一般家庭の私的文書等で、使用済みや不要となった書類が該当する。
【００３０】
古紙再生装置１は、図１１に示すような什器サイズ、つまり、事務所内に配置使用される書棚、ロッカー、事務机、複写機、パーソナルコンピュータなどの什器類と同等な小型形状寸法を備えるもので、図１に示すように、パルプ製造部２、パルプ濃度調整部３、抄紙部（抄紙装置）４および装置制御部（制御部）５を主要部として構成されるとともに、上記抄紙部４は、本発明に係る特徴構成であるベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段）１０、１１を備えてなる。
【００３１】
これら装置構成部２〜５は装置ケース６内に装置収容されてなるコンパクト設計とされる。この装置ケース６は、上述したように什器サイズのもので、具体的な形状寸法は目的や用途に応じて適宜設計される。図示の実施形態の装置ケース６は、事務所等に配置使用される複写機程度の形状寸法を有するほぼ直方体形状の箱体とされ、装置ケース６の天板部には、古紙ＵＰを投入するための投入口７が開閉可能に設けられるとともに、側部には、再生紙ＲＰ、ＲＰ、…を排出する排出口８が設けられている。また、この排出口８の下縁部位には、排出口８から排出される再生紙ＲＰ、ＲＰ、…を受け取るための再生紙受取トレー９が取外し可能に設けられている。
【００３２】
パルプ製造部２は、古紙ＵＰを離解し叩解して古紙パルプを製造する工程部位で、古紙ＵＰを攪拌破砕して離解する離解部２０と、この離解部２０で離解された古紙ＵＰを叩解する叩解部２１とからなる。
【００３３】
離解部２０は、古紙ＵＰを攪拌破砕して離解する工程部位で、離解槽２５、攪拌装置２６および給水装置２７を主要部として構成されている。
【００３４】
離解槽２５は、図２に示すように、その天井壁に、古紙ＵＰを投入供給する上記投入口７が設けられるとともに、その底部壁に、離解された古紙パルプＵＰＰを下流側へ排出する排出口２８が設けられている。離解槽２５の内容積は、一度に攪拌処理すべき古紙ＵＰの枚数に応じて設定される。図示の実施形態においては、約９８リットルの水を加えて、Ａ４判のＰＰＣ（plain paper copier）古紙ＵＰを５００枚程度（約２０００ｇ）一度に攪拌処理（バッチ処理）できる容積を有する離解槽２５とされている。この場合の離解される古紙パルプＵＰＰの濃度は２％程度となる。なお、この濃度調整は、給水装置２７からの給水により行われ、この給水装置２７は、後述するパルプ濃度調整部３の一部をなす。
【００３５】
上記投入口７は、装置ケース６のケースカバー６ａの外部に対して開閉可能な構造を有する。また、上記排出口２８は、開閉弁２９により開閉可能とされて、後述する古紙パルプ循環経路４９に連通可能とされている。なお、上記排出口２８の部位には、古紙ＵＰ、ＵＰ、…を綴じていたクリップ、ステープラー針等の綴じ具のなど、次工程の叩解工程にとって障害となる各種禁忌品を除去するための禁忌品フィルタ３０が設けられている。
【００３６】
上記開閉弁２９は、具体的には駆動モータ３５によりクランク機構３６がクランク動作することで開閉動作される。上記駆動モータ３５としては、具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ３５が装置制御部５に電気的に接続されている。
【００３７】
攪拌装置２６は上記離解槽２５の内部に設けられており、攪拌インペラ４０および駆動モータ４１を備えてなる。
【００３８】
上記攪拌インペラ４０は、その回転軸４０ａが離解槽２５の底面中央位置に起立状に回転支持されて、水平回転可能に設けられるとともに、上記回転軸４０ａの下端が、伝動プーリ４２ａ、伝動ベルト４２ｂおよび伝動プーリ４２ｃからなる伝動手段４２を介して、駆動モータ４１の回転軸４１ａに駆動連結されている。
【００３９】
給水装置２７は上記離解槽２５に水を供給するもので、後述するように、パルプ濃度調整部３の叩解濃度調整部３Ａを構成する。
【００４０】
図示の実施形態の給水装置２７は、図１に示すように、白水回収槽４５、叩解濃度調整用の給水ポンプ４６および抄紙濃度調整用の給水ポンプ４７を備えてなる。白水回収槽４５は、後述するように、抄紙部４において濾過脱水される白水Ｗ（抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水）を回収するもので、この白水回収槽４５に回収された白水Ｗが、上記給水ポンプ４６により上記離解槽２５に、また上記給水ポンプ４７により後述する濃度調整槽８５にそれぞれ供給される。
【００４１】
また、これに関連して、離解槽２５の底部には、重量センサ４８が設けられて、離解槽２５内で一度にバッチ処理される古紙ＵＰ、ＵＰ、…と水の量を計測制御する構成とされ、上記重量センサ４８は装置制御部５に電気的に接続されている。
【００４２】
図示の実施形態の重量センサ４８はロードセルからなり、離解槽２５の重量と、この離解槽２５内に投入供給された古紙ＵＰ、ＵＰ、…および水の重量との合計重量を感知計測する構成とされている。
【００４３】
離解部２０における具体的な制御構成は、まず、作業者により投入口７が開放されて、離解槽２５に古紙ＵＰ、ＵＰ、…が投入されると、その重量が上記重量センサ４８により感知計測されて、所定重量（枚数）になった時点で作業者に音および／または表示により告知される。この表示に応じて作業者が投入口７を閉止すると、上記給水装置２７が駆動して、給水ポンプ４６により、白水回収槽４５の水Ｗが上記投入された古紙ＵＰ、ＵＰ、…の重量（枚数）に対応した量だけ離解槽２５に供給される。
【００４４】
また、作業者が、上記投入口７から離解槽２５に任意の量（上記所定重量（枚数）より少ない量）の古紙ＵＰ、ＵＰ、…を投入した後に投入口７を閉止した場合も、その重量が上記重量センサ４８により感知計測されるとともに、上記給水装置２７が駆動して、給水ポンプ４６により、上記計測結果に応じた量の水Ｗが白水回収槽４５から離解槽２５に供給される。
【００４５】
図示の実施形態においては、上述したように、最大５００枚程度（約２０００ｇ）のＡ４判のＰＰＣ古紙ＵＰが離解槽２５内に投入されると、その時点で作業者に音および／または表示により告知され、上記投入口７の閉止動作により、約９８リットルの水が給水装置２７により加えられて、あるいは任意の量（上記所定重量（枚数）より少ない量）の古紙ＵＰ、ＵＰ、…を投入した場合にも、この古紙投入量に対応した量の水が給水装置２７により加えられて、離解される古紙パルプＵＰＰの濃度が２％程度となるように制御調整される。
【００４６】
しかして、攪拌装置２６において、装置ケース６の投入開口つまり投入口７から離解槽２５内に投入された古紙ＵＰ、ＵＰ、…は、駆動モータ４１による攪拌インペラ４０の正転・逆転動作により、給水装置２７から供給された水の中で所定時間（図示の実施形態においては１０分〜２０分間）だけ攪拌混合されて、これにより、古紙ＵＰ、ＵＰ、…は離解・叩解されて古紙パルプＵＰＰとなる。
【００４７】
なお、上記離解槽２５の排出口２８は、離解部２０の運転時には上記開閉弁２９により閉止されて、離解槽２５からの古紙ＵＰや古紙パルプＵＰＰの古紙パルプ循環経路４９への流入が阻止される一方、後述する叩解部２１の運転時には、開閉弁２９により投入口７が開口されて、離解槽２５からの古紙パルプＵＰＰの古紙パルプ循環経路４９への流入および循環回流が許容される。
【００４８】
叩解部２１は、上記離解部２０で離解された古紙ＵＰを叩解する工程部位で、具体的には、上記離解部２０で離解された古紙ＵＰを加圧叩解するとともに、古紙ＵＰ上の文字、図形等を形成するインキ類（各種印刷技術により古紙ＵＰ上に文字、図形等を形成した印刷インキ、あるいは、鉛筆、ボールペンまたは万年筆等の筆記具により古紙ＵＰ上に文字、図形等を形成したインキ等が含まれる）を磨砕微細化（マイクロファイバ化）するものである。
【００４９】
この叩解部２１は、摩砕機５０を主要部として備えてなる。この摩砕機５０は、図３に示すように、相対的に回転駆動される一対の叩解円盤５１、５２を主要部として備えてなり、これら一対の叩解円盤５１、５２は、叩解作用面５１ａ、５２ａを微小な叩解隙間Ｇをもって同心状に対向配置されている。
【００５０】
また、上記摩砕機５０の叩解作用面５１ａ、５２ａの叩解隙間Ｇは、後述するように、叩解工程の初期用の摩砕機５０から終期用の摩砕機５０に向けて徐々に狭くなるように設定されている。
【００５１】
本実施形態の叩解部２１においては、図３に示すように、一台の摩砕機５０が配されてなる古紙パルプ循環経路４９が形成され、これにより、古紙パルプＵＰが摩砕機５０を介して所定時間循環されながら叩解処理される循環式とされている。
【００５２】
この古紙パルプ循環経路４９による叩解工程の実施により、什器サイズの装置ケース６内という小さく狭い工程スペースにもかかわらず、基本的に長さに制限のない無限長の古紙パルプ叩解工程経路が形成されることになり、大規模装置における叩解工程に匹敵する叩解工程空間を確保することが可能となり、目的に応じて最適な叩解効果が得られる。
【００５３】
また、一台の摩砕機５０が叩解工程の全工程を通じて叩解処理を行うことに関連して、この一台の摩砕機５０が叩解工程の初期用の摩砕機から終期用の摩砕機までの複数台の摩砕機としての機能を兼備する。具体的には、この摩砕機５０の叩解作用面５１ａ、５２ａの叩解隙間Ｇが、叩解工程の初期から終期に向けて徐々に狭くなるように制御調整される構成とされている。
【００５４】
図示の実施形態の摩砕機５０は、図２に示すように、装置ケース６を構成する装置機体５４に、上記離解部２０の離解槽２５に隣接して設けられており、また図３に示すように、離解部２０の離解槽２５に連通可能な叩解槽５５と、この叩解槽５５内に相対的に回転可能に設けられた上記一対の叩解円盤５１、５２と、これら一対の叩解円盤５１、５２を相対的に回転動作させる回転駆動源５６と、一対の叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇを調整する隙間調整手段５７を備える。
【００５５】
叩解槽５５は、上記一対の叩解円盤５１、５２を収納可能な密閉型円筒形状とされ、上流側からの古紙パルプＵＰＰを供給する供給口５５ａおよび叩解された古紙パルプＵＰＰを下流側へ排出する排出口５５ｂを有する。
【００５６】
具体的には、上記供給口５５ａは叩解槽５５の底部中央部に上下方向へ向けて開設されるとともに、上記排出口５５ｂは叩解槽５５の円筒側部に水平方向へ向けて開設されている。これら供給口５５ａおよび排出口５５ｂは、図３に示すように、それぞれ循環用配管４９ａ、４９ｂを介して、上記離解部２０の離解槽２５に連通可能に接続されるとともに、上記排出口５５ｂは、さらに排出用配管５９を介して古紙パルプ回収槽６０に連通可能とされている。
【００５７】
６１は方向切替弁を示しており、この方向切替弁６１の切替動作により、排出口５５ｂから排出される古紙パルプＵＰＰは、選択的に、上記離解槽２５へ還流され、または古紙パルプ回収槽６０へ回収される。方向切替弁６１は、具体的には電磁弁からなり、上記装置制御部５に電気的に接続されている。
【００５８】
一対の叩解円盤５１、５２は、その一方が回転方向へ固定的に設けられた固定側叩解円盤とされるとともに、他方が回転可能な回転側叩解円盤とされる。図示の実施形態においては、上側の叩解円盤５１が回転側とされるとともに、下側の叩解円盤５２が固定側とされてなり、この下側の固定側叩解円盤５２に対して、上側の回転側叩解円盤５１が微小な叩解隙間Ｇをもって同心状にかつ回転可能に対向配置されている。この回転側叩解円盤５１は、装置機体５４の固定側に回転可能にかつ軸線方向へ移動可能に軸支された回転主軸６４を介して、駆動モータ５６に駆動連結されている。
【００５９】
上記回転主軸６４は、具体的には図示しないが、上記隙間調整手段５７の昇降部材に回転可能に軸支されており、その先端部に、上記回転側叩解円盤５１が同心状にかつ一体的に取り付けられるとともに、その基端部が、上記駆動モータ５６の回転軸に回転方向へ一体的にかつ軸線方向へ相対的に移動可能に駆動連結されている。
【００６０】
回転駆動源である上記駆動モータ５６は、上記一対の叩解円盤５１、５２を相対的に回転動作させるもので、具体的には電動モータが使用され、この駆動源である駆動モータ５６が装置制御部５に電気的に接続されている。
【００６１】
上記微小な叩解隙間Ｇを形成する両叩解円盤５１、５２の対向面５１ａ、５２ａ同士は協働して叩解作用面を形成する。これら対向する叩解作用面５１ａ、５２ａは、多数の砥粒が結合材により結合されてなる砥石面の形態とされている。また、上記両叩解作用面５１ａ、５２ａは、図３に示すように、その径寸法が互いの対向方向へ連続的に大きくなるテーパ面形状とされて、最外周縁部が互いに平行する環状平坦面とされ、これら環状平坦面が上記叩解隙間Ｇを形成している。
【００６２】
換言すれば、上記一対の叩解円盤５１、５２において、固定側叩解円盤５２の叩解作用面５２ａの中心部位に、上記叩解槽の供給口５５ａに同軸状に連通する入口７０が形成されるとともに、上記一対の叩解円盤５１、５２の叩解作用面５１ａ、５２ａの外周縁部に形成される二つの環状平坦面が、上記叩解槽５５の排出口５５ｂに連通しかつ上記叩解隙間Ｇを有する出口７１を形成している。
【００６３】
また、回転側叩解円盤５１の外周には複数のブレード７２、７２、…が周方向へ所定間隔をもって設けられており、これらブレード７２、７２、…は、回転側叩解円盤５１の回転により、上記出口７１から排出される古紙パルプＵＰＰを、遠心力で上記叩解槽５５の排出口５５ｂへ向けて押出すポンプ作用をなす。
【００６４】
しかして、駆動源である駆動モータ５６により、回転側叩解円盤５１が固定側叩解円盤５２に対して回転駆動された状態において、上記離解部２０の離解槽２５から叩解槽５５の供給口５５ａ、入口７０を介して叩解空間Ｂに供給される古紙パルプＵＰＰは、上記入口７０から叩解空間Ｂに流入して、この叩解空間Ｂを通過しながら、相対的に回転する叩解作用面５１ａ、５２ａによる加圧叩解作用を受けるとともに、古紙ＵＰ上の文字、図形等を形成するインキ類が磨砕微細化され、この後、上記出口７１から叩解槽５５の排出口５５ｂを介して排出される。
【００６５】
この出口７１から排出される際、古紙パルプＵＰＰは、上記叩解隙間Ｇを有する出口７１の部位でさらに加圧叩解作用を受けて、この叩解隙間Ｇにより規定される所定のミクロンサイズまで微細化（マイクロファイバ化）されることとなる。
【００６６】
この点に関して、本実施形態においては、前述したように、古紙パルプ循環経路４９に一台の摩砕機５０が配されてなる循環式叩解工程（図３参照）が採用されることに関連して、つまり、上記一台の摩砕機５０が叩解工程の初期用の摩砕機から終期用の摩砕機までの複数台の摩砕機としての機能を兼備することに関連して、この摩砕機５０の叩解隙間Ｇが、隙間調整手段５７により、叩解工程の初期から終期に向けて徐々に狭くなるように制御調整される構成とされている。
【００６７】
隙間調整手段５７は、具体的には図示しないが、上記一対の叩解円盤５１、５２を回転軸線方向へ相対的に移動させて、これら叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇを制御調整する構成とされ、回転側叩解円盤５１を回転軸線方向つまり回転主軸６４の軸線方向へ移動させる移動手段（図示省略）と、この移動手段を駆動させる駆動源６６とを主要部として構成されている。この駆動源としては具体的には電動モータが用いられ、この駆動モータ６６が上記装置制御部５に電気的に接続されている。
【００６８】
そして、この電動モータ６６の回転により、上記移動手段を介して上記回転主軸６４が昇降動作し、これにより、回転主軸６４と一体の回転側叩解円盤５１が固定側叩解円盤５２に対して上下方向つまり回転軸線方向へ移動して、両叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇが制御調整される。
【００６９】
この目的のため、上記回転側叩解円盤５１の昇降位置を検出する位置検出センサ（図示省略）が設けられ、この位置検出センサの検出結果により上記駆動モータ６６が駆動制御される。上記位置検出センサは装置制御部５に電気的に接続されている。
【００７０】
隙間調整手段５７による叩解円盤５１、５２の叩解隙間Ｇの制御調整は、図３に示される古紙パルプ循環経路４９における循環式叩解工程において、循環手段である循環ポンプ６９と相互に連動して行われる。
【００７１】
すなわち、図３において、離解部２０により離解処理された古紙パルプＵＰＰは、上記循環ポンプ６９により古紙パルプ循環経路４９で循環されながら、上記摩砕機５０による叩解工程が実行され、この際、摩砕機５０の叩解作用面５１ａ、５２ａの叩解隙間Ｇは、隙間調整手段５７により、叩解工程の初期から終期に向けて徐々に狭くなるように構成されている。
【００７２】
また、上記古紙パルプ循環経路４９に、上記離解部２０の離解槽２５が含まれていることに関連して、上記叩解工程において、上記離解部２０の攪拌装置２６が駆動制御されて、離解部２０が叩解部２１と同時に駆動する構成とされている。すなわち、循環式叩解工程においては、離解槽２５から古紙パルプ循環経路４９に古紙パルプＵＰＰが流出する一方、摩砕機５０による叩解を経た古紙パルプＵＰＰが離解槽２５に流入することになり、離解槽２５内では叩解度の異なる古紙パルプＵＰＰが混在するため、攪拌装置２６による攪拌作用によって、離解槽２５内の古紙パルプＵＰＰの叩解度が均一化されて、叩解処理の促進化が図られる。
【００７３】
上記古紙パルプ回収槽６０は、叩解部２１により所定のサイズまで叩解微細化された古紙パルプＵＰＰを回収する部位で、ここに回収された古紙パルプＵＰＰは、次工程の抄紙工程を行う抄紙部４に送られる前に、パルプ濃度調整部３によって、再生すべき再生紙ＲＰの仕上紙質に対応した抄紙濃度に混合調整されたパルプ懸濁液ＰＳとされる。
【００７４】
上記パルプ濃度調整部３は、装置に投入される古紙ＵＰと水Ｗとの混合割合を重量測定により調整して、上記抄紙部４に供給される古紙パルプＵＰＰの濃度を調整する重量式のもので、具体的には、図４に示すように、叩解濃度調整部３Ａ、抄紙濃度調整部３Ｂおよびパルプ濃度制御部３Ｃとを備えてなる。
【００７５】
叩解濃度調整部３Ａは、パルプ製造部２における古紙パルプＵＰＰの叩解濃度を叩解部２１による叩解効率に対応して調整するもので、前述したように、給水装置２７の叩解濃度調整用の給水ポンプ４６と叩解濃度制御部７５を主要部として構成されている。
【００７６】
この叩解濃度調整部３Ａの給水ポンプ４６による白水Ｗの供給量は、例えば、上記攪拌装置２６により離解・叩解された古紙パルプＵＰＰの叩解濃度が、次工程である叩解工程を実行する叩解部２１の摩砕機５０の叩解能力に許容される最大濃度になるように設定されるのが望ましく、図示の実施形態においては、上記のごとく２％程度の叩解濃度になるように設定される。
【００７７】
そして、叩解濃度制御部７５は、前述したように、重量センサ４８からの計測結果に応じて、離解槽２５に必要量の水Ｗを供給するように上記給水ポンプ４６を駆動制御する。この叩解濃度制御部７５は、後述するように、装置制御部５の一部を構成している。
【００７８】
抄紙濃度調整部３Ｂは、抄紙部４における古紙パルプＵＰＰの抄紙濃度を再生すべき再生紙ＲＰの仕上紙質に対応した適正濃度に調整するもので、具体的には、上記パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰの濃度を区分形式で調整する構成とされ、区分抽出部８０、懸濁液調製部８１および抄紙濃度制御部８２を主要部として備える。
【００７９】
区分抽出部８０は、前工程のパルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰの全量から所定の少分量だけ区分抽出するもので、古紙パルプ回収槽６０の古紙パルプＵＰＰを抽出して濃度調整槽８５に送る区分抽出用の古紙パルプ供給ポンプ８６を備えてなる。
【００８０】
懸濁液調製部８１は、上記区分抽出部８０により区分抽出された所定の少分量の古紙パルプＵＰＰに対して濃度調整用の水Ｗを所定量だけ加水することにより、所定濃度のパルプ懸濁液ＰＳを調製するもので、前述の給水装置２７の給水ポンプ４７を主要部として備える。
【００８１】
また、具体的には図示しないが、濃度調整槽８５の底部には、前述した離解槽２５の場合と同様に、ロードセルからなる重量センサ８７が設けられており、濃度調整槽８５内に供給される古紙パルプＵＰＰと濃度調整用の水Ｗの量を計測制御する構成とされ、上記重量センサ８７は装置制御部５に電気的に接続されている。
【００８２】
抄紙濃度制御部８２は、上記区分抽出部８０および懸濁液調製部８１を連動して制御するもので、装置制御部５の一部を構成しており、以下の抄紙濃度調整工程を実行するように、上記区分抽出部８０および懸濁液調製部８１のポンプ８６、４７を連動して制御する。
【００８３】
すなわち、まず、上記叩解部２１から古紙パルプ回収槽６０に回収される古紙パルプＵＰＰの全量（図示の実施形態においては、約２０００ｇの古紙ＵＰ＋１００ｌの水Ｗ）から、古紙パルプ供給ポンプ８６により、所定分量（図示の実施形態においては１ｌ）の古紙パルプＵＰＰが区分されて、濃度調整槽８５へ移送収容される。すると、その重量が上記重量センサ８７により感知計測されて、その結果が装置制御部５へ送られる。
【００８４】
続いて、この区分された古紙パルプＵＰＰの所定分量に対応して、給水ポンプ４７により、白水回収槽４５から濃度調整槽８５に、希釈用の水Ｗが所定量（図示の実施形態においては９ｌ（実際は上記重量センサ８７の重量計測による））だけ給水される。
【００８５】
これにより、上記濃度調整槽８５内において、叩解濃度（図示の実施形態においては２％）の古紙パルプＵＰＰが水Ｗと混合希釈されて、所定濃度（図示の実施形態においては約０．２％濃度（目標濃度））のパルプ懸濁液ＰＳが混合調製される。
【００８６】
なお、この調製されるべきパルプ懸濁液ＰＳの目標濃度は、予め行なった実験データに基づいて、後述する抄紙部４における抄紙能力を考慮して設定され、図示の実施形態の場合は上記のごとく約０．２％濃度に設定されている。
【００８７】
しかして、このように濃度調整槽８５で目標濃度の抄紙濃度（０．２％）に調製されたパルプ懸濁液ＰＳは、第１懸濁液供給ポンプ８８により濃度調整槽８５からパルプ供給槽８９へ移送供給されて、次工程の抄紙部４のために待機貯留される。以後、この抄紙濃度調整工程は、古紙パルプ回収槽６０の古紙パルプＵＰＰの全量について同様に繰り返し実行される。上記パルプ供給槽８９には、パルプ懸濁液ＰＳを抄紙部４の抄紙ネットコンベア部９５へ送るための第２懸濁液供給ポンプ９０が設けられている。
【００８８】
また、パルプ供給槽８９内には攪拌装置９１が設けられており、この攪拌装置８７の攪拌作用により、待機貯留されるパルプ懸濁液ＰＳ全体の抄紙濃度が一定値に均一化されて保持される。
【００８９】
上記のように、抄紙濃度調整部３による濃度調整が全量一括式ではなく、区分形式つまり小出し形式で行われることにより、使用水量が大幅に減少されるばかりか、濃度調整槽８５の形状寸法の大幅な縮小化も可能となり、さらには古紙再生装置１全体のコンパクト化が図られ得る。
【００９０】
パルプ濃度制御部３Ｃは、上記叩解濃度調整部３Ａおよび抄紙濃度調整部３Ｂを連動して駆動制御するもので、具体的には、叩解濃度調整部３Ａの叩解濃度制御部７５からのパルプ濃度制御情報（古紙ＵＰの投入量、離解槽２５への給水量、古紙パルプＵＰＰの叩解濃度等）を受け取って、この制御情報に応じて、パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰの濃度を目標値（抄紙濃度）にするための抄紙濃度制御情報（古紙パルプＵＰＰの目標抄紙濃度、古紙パルプ回収槽６０からの古紙パルプＵＰＰの区分抽出量、濃度調整槽８５への給水量等）を抄紙濃度調整部３Ｂの抄紙濃度制御部８２に送り、これにより、上述した抄紙濃度調整工程を実行させる構成とされている。
【００９１】
抄紙部４は、上記パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰを抄紙して再生紙ＲＰを製造する工程部位で、図１および図５に示すように、抄紙ネットコンベア部９５、脱水ロール部９６および乾燥ベルトコンベア部９７を主要部として構成されるとともに、上記抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７には、前述したベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段）１０および１１がそれぞれ設けられている。
ている。
【００９２】
すなわち、上記抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７は、後述するように、上記パルプ製造部２で製造された古紙パルプＵＰＰを処理搬送する走行ベルトとして、網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５をそれぞれ備えるとともに、これら走行ベルト１０５、１４５は、上記ベルト蛇行防止部１０および１１により蛇行が防止される構成とされている。
【００９３】
抄紙ネットコンベア部９５は、上記パルプ製造部２のパルプ供給槽８９から送られてくる水Ｗと古紙パルプＵＰＰが共存するスラリー状のパルプ懸濁液ＰＳを抄いて湿紙とする部位で、抄紙コンベア１００とパルプ供給部１０１を主要部として構成されている。
【００９４】
抄紙コンベア１００は、パルプ懸濁液を抄きながら搬送するもので、上記パルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水する無数の網目よりなる抄き網構造の網状ベルト１０５がその走行方向へ向けて直線状に走行する配置構成とされている。
【００９５】
具体的には、抄紙コンベア１００は、パルプ懸濁液ＰＳを抄きながら搬送走行する無端ベルトの形態とされた上記網状ベルト１０５と、この網状ベルト１０５を走行駆動する駆動モータ１０６とを備えてなる。
【００９６】
上記網状ベルト１０５を構成する抄き網構造の板材は、パルプ懸濁液ＰＳが上記抄き網構造の無数の網目により適正に濾過脱水できる材質とされ、好適には、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリアミド（ＰＡ）（一般に「ナイロン」（登録商標）と呼ばれる。）あるいはステンレス鋼（ＳＵＳ）などの耐腐食性に優れる材料で形成されており、図示の実施形態においては、耐熱性に優れるＰＥＴ製網状ベルト１０５とされている。
【００９７】
網状ベルト１０５は、図１および図５に示すように、駆動ローラ１０７、脱水ロール部９６、駆動ローラ１０８およびベルト蛇行防止部１０を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ１０７を介して、上記駆動モータ１０６に駆動連結されている。
【００９８】
そして、上記網状ベルト１０５における抄紙工程長さは、上記什器サイズの装置ケース６内における網状ベルト１０５の上側走行方向長さ（図示の場合は図１におけるパルプ供給部１０１から脱水ロール部９６までの左右方向長さ）の範囲内に設定されている。
【００９９】
また、上記網状ベルト１０５の走行速度は、抄紙工程における諸条件を考慮して設定されるもので、好適には０．１ｍ／分〜１ｍ／分に設定され、図示の実施形態においては０．２ｍ／分に設定されている。ちなみに、従来の古紙再生工場等の大規模工場でのこの種の抄紙ベルトの走行速度は、少なくとも１００ｍ／分以上に設定され、早いものでは１０００ｍ／分をはるかに上回る速度に設定される。
【０１００】
網状ベルト１０５は、図１および図５に示すように、その走行方向へ向けて上向き傾斜状にかつ直線状に走行する配置構成とされて、限られた設置空間における抄紙工程長さの可及的延長が図られるとともに、網状ベルト１０５の抄き網構造との関係での濾過脱水率の向上が図られている。
【０１０１】
上記網状ベルト１０５を走行駆動する駆動モータ１０６は、具体的には電動モータで、装置制御部５に電気的に接続されている。また、この駆動モータ１０６は、後述する脱水ロール部９６および乾燥ベルトコンベア部９７の走行駆動源としても共用される。
【０１０２】
パルプ供給部１０１は、上記網状ベルト１０５上に上記パルプ製造部２からのパルプ懸濁液ＰＳを供給する部位で、具体的構造については図示しないが、このパルプ供給部１０１により、パルプ懸濁液ＰＳが上記網状ベルト１０５上面に均一に広がり供給される構成とされている。上記パルプ供給部１０１は、上記抄紙コンベア１００の抄紙工程開始端位置に設けられている。
【０１０３】
そして、第２懸濁液供給ポンプ９０により、上記パルプ供給槽８９からパルプ供給部１０１に供給されるパルプ懸濁液ＰＳは、このパルプ供給部１０１で所定量だけ貯留されて、その滞留作用により、網状ベルト１０５上面に均一に拡散される。この網状ベルト１０５上面に均一に拡散されたパルプ懸濁液ＰＳは、網状ベルト１０５の矢符方向への走行作用により、網状ベルト１０５と共に搬送されながら、網状ベルト１０５の網目による自重濾過作用を受けて脱水されて、湿紙ＲＰ0（図示の実施形態においては、含水率９０〜８５％）となる。
【０１０４】
この網状ベルト１０５により濾過脱水された白水Ｗ（抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水）は、前述したように、上記給水装置２７の白水回収槽４５に回収される。
【０１０５】
脱水ロール部９６は、上述の抄紙ネットコンベア部９５と後述の乾燥ベルトコンベア部９７の連係部において、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を圧搾脱水する部位を構成している。
【０１０６】
具体的には、下流側の上記乾燥ベルトコンベア部９７の後述する平滑面ベルト１４５と上流側の上記抄紙ネットコンベア部９５の網状ベルト１０５とが、図１および図５に示すように、上下に積層状に配設されるとともに、これら平滑面ベルト１４５と網状ベルト１０５の上下隣接部分が上記連係部とされて、この連係部において、上記脱水ロール部９６が、これら網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５を上下両側から挟圧状に転動圧搾して脱水する構造とされている。
【０１０７】
脱水ロール部９６は、少なくとも、予備脱水ロール部９６Ａおよび本脱水ロール部９６Ｂを主要部として備えてなる。
【０１０８】
図示の脱水ロール部９６は、図１に具体的に示すように、予備脱水ロール部９６Ａ、本脱水ロール部９６Ｂ、および補助手段としての角度規定ロール部９６Ｃを主要部として構成されている。
【０１０９】
予備脱水ロール部９６Ａは、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を予備的に圧搾脱水するもので、具体的には、上記網状ベルト１０５に下側から転接する予備脱水ロール１２０と、この予備脱水ロール１２０に対して上記平滑面ベルト１４５を上側から転動加圧する予備プレスロール１２１とからなる予備圧搾ロール対１２２を備えてなる。
【０１１０】
そして、これら予備脱水ロール１２０および予備プレスロール１２１からなる予備圧搾ロール対１２２により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５は上下両側から所定の予備圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が予備的に脱水除去される。
【０１１１】
この場合の予備圧力、つまり網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を予備的に圧搾脱水する上記予備脱水ロール部９６Ａの予備圧搾力は、多量の水分を含む湿紙ＲＰ0が潰れてしまわない程度の大きさに設定され、図示の実施形態においては、予備脱水後の上記網状ベルト１０５上の湿紙の含水率が８０〜７５％の範囲になるように、上記予備圧搾力が設定されている。
【０１１２】
本脱水ロール部９６Ｂは、上記予備脱水ロール部９６Ａで予備脱水された網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を本圧搾脱水して所定の含水率の乾紙（再生紙）ＲＰとするもので、具体的には、上記網状ベルト１０５に下側から転接する本脱水ロール１２５と、この本脱水ロール１２５に対して上記平滑面ベルト１４５を上側から転動加圧する本プレスロール１２６とからなる本圧搾ロール対１２７の組を少なくとも１組を備えてなる。
【０１１３】
そして、これら本脱水ロール１２５および本プレスロール１２６からなる本圧搾ロール対１２７により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５が上下両側から所定の本圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が最終的に脱水除去されて、所定の含水率の乾紙つまり再生紙ＲＰとされる。
【０１１４】
この場合の本圧力つまり網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0を本圧搾脱水する上記本脱水ロール部９６Ｂの本圧搾力は、予備脱水された湿紙ＲＰ0について確実に所定の脱水効果が得られる程度の大きさに設定され、図示の実施形態においては、本脱水後の網状ベルト１０５上の乾紙（再生紙）ＲＰの含水率が７０〜６５％の範囲になるように設定される。
【０１１５】
これら脱水ロール部９６におけるロール１２０、１２１、１２５、１２６は、具体的には図示しないが、歯車機構からなる駆動連結手段により単一の駆動モータ１０６に駆動連結されて、すべてのロール１２０、１２１、１２５、１２６が互いに連動して回転駆動される。
【０１１６】
この場合、これらロール１２０、１２１、１２５、１２６は、その外周面間において挟圧状に転動圧搾される網状ベルト１０５、平滑面ベルト１４５の接触面（網状ベルト１０５の下面および平滑面ベルト１４５の上面）に対して、上下のロール１２０、１２５の外周面と１２１、１２６の外周面が、互いに僅かの回転速度差をもってそれぞれ転動接触するように回転制御される。
【０１１７】
具体的には、上側の予備および本プレスロール１２１、１２６の回転速度が下側の予備および本脱水ロール１２０、１２５の回転速度よりも僅かに大きく設定されており、これにより、平滑面ベルト１４５の走行速度が、上記網状ベルト１０５の走行速度よりも僅かに大きく設定されることになる。このような構成とされることにより、後述するように、脱水ロール部９６により圧搾脱水された湿紙ＲＰ0が、下側の網状ベルト１０５の上面から上側の平滑面ベルト１４５の下面に転写移転される際に、湿紙ＲＰ0にテンションがかかって、湿紙ＲＰ0に皺が発生するのを有効に防止する。
【０１１８】
角度規定ロール部（角度規定手段）９６Ｃは、上記予備脱水ロール部９６Ａおよび本脱水ロール部９６Ｂによる圧搾脱水作用を補助して有効にするためのもので、上記予備脱水ロール部９６Ａの上流側に設けられて、予備脱水ロール部９６Ａへ挿通される上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５間の傾斜角度を規定する。
【０１１９】
角度規定ロール部９６Ｃは、具体的には、上記予備脱水ロール部９６Ａへ挿通される上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５間の傾斜角度を規定するもので、具体的には、上記網状ベルト１０５に下側から転接して、上記予備脱水ロール部９６Ａに対する網状ベルト１０５の挿入角度を規定する網状ベルト案内ロール１３０と、上記平滑面ベルト１４５に上側から転接して、上記予備脱水ロール部９６Ａに対する平滑面ベルト１４５の挿入角度を規定する平滑面ベルト案内ロール１３１とを備えてなる。この平滑面ベルト案内ロール１３１は、後述するように、乾燥ベルトコンベア部９７の平滑面ベルト１４５の蛇行を防止するベルト蛇行防止部１１の転接ローラ１４０ａとしても機能する。
【０１２０】
そして、上記網状ベルト案内ロール１３０によって予備脱水ロール部９６Ａに対する網状ベルト１０５の挿入角度が規定されるとともに、上記平滑面ベルト案内ロール１３１によって予備脱水ロール部９６Ａに対する平滑面ベルト１４５の挿入角度が規定されることにより、上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度が間接的に所定の範囲内に設定されることになる。
【０１２１】
網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度は、予備脱水ロール部９６Ａによる予備脱水作用により、湿紙ＲＰ0に含まれる水分が予備脱水ロール部９６Ａの上流側に多量に搾り出されるところ、この搾り出された多量の水分が湿紙ＲＰ0に再吸収されて、湿紙ＲＰ0が再びスラリー化してしまうのを有効に防止するように設定される。
【０１２２】
すなわち、予備脱水ロール部９６Ａの予備脱水ロール１２０と予備プレスロール１２１により、上面に湿紙ＲＰ0を載置した網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５が上下両側から挟圧状に転動圧搾されると、湿紙ＲＰ0に含まれている水分は、両ロール１２０、１２１の上流側へ搾り出される。
【０１２３】
この場合、上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度αが大きいとすると、両ロール１２０、１２１の上流側近傍位置においては、上側の平滑面ベルト１４５が下側の網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に対して離隔した状態にあり、このため、搾り出された上記湿紙ＲＰ0に含まれている多量の水分の一部が湿紙ＲＰ0に再び吸収されて、湿紙ＲＰ0が再びスラリー化してしまうおそれがある。
【０１２４】
これに対して、上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度αが小さいとすると、両ロール１２０、１２１の上流側近傍位置において、上側の平滑面ベルト１４５が下側の網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に押さえ付けられた状態となり、このため、上記湿紙ＲＰ0から搾り出された水分のすべてが、上記網状ベルト１０５を介して下側へ落下して、湿紙ＲＰ0に再吸収されることがなく、湿紙ＲＰ0の再スラリー化を確実に防止することができる。
【０１２５】
上記網状ベルト１０５と平滑面ベルト１４５とのなす傾斜角度αは、各種試験の結果、好ましくは１〜２０°に設定され、より好ましくは３〜７°に設定され、図示の実施形態においては、５°に設定されている。
【０１２６】
しかして、駆動モータ１０６の駆動により、脱水ロール部９６における予備脱水ロール部９６Ａおよび本脱水ロール部９６Ｂの各ロール１２０、１２１、１２５、１２６が回転して、まず、予備脱水ロール部９６Ａにおける予備圧搾ロール対１２２により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５が上下両側から所定の予備圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が予備的に脱水除去される（図示の実施形態においては、湿紙ＲＰ0の含水率は９０〜８５％から８０〜７５％に減少する）。
【０１２７】
続いて、本脱水ロール部９６Ｂにおける本圧搾ロール対１２７により、上記網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５が上下両側から所定の本圧力をもって挟圧状に転動圧搾されて、上記網状ベルト１０５上の湿紙ＲＰ0に含まれている水分が最終的に脱水除去されて、所定の含水率の乾紙つまり再生紙ＲＰとされる（図示の実施形態においては、含水率８０〜７５％の湿紙ＲＰ0が含水率７０〜６５％の乾紙ＲＰとなる）。この一連の工程により湿紙ＲＰ0から圧搾脱水された白水Ｗは、給水装置２７の白水回収槽４５に回収される。
【０１２８】
上記脱水ロール部９６により圧搾脱水された湿紙ＲＰ0は、脱水ロール部９６の下流側部位において、下側の網状ベルト１０５の上面から上側の平滑面ベルト１４５の下面に転写移転されて、平滑面ベルト１４５と共に搬送されて、乾燥ベルトコンベア部９７による乾燥工程が実施される。
【０１２９】
なお、上記移転作用は平滑面ベルト１４５の平滑面構造により起こるものと考えられる。つまり、下側の網状ベルト１０５の表面が、微細な連続気孔が多数開口されてなる微細凹凸面であるのに対して、上側の平滑面ベルト１４５の表面が孔のない平滑面であり、この結果、僅かに水分を含んでいる湿紙ＲＰ0が上記平滑面ベルト１４５の表面との間の表面張力で吸着されるものと考えられる。
【０１３０】
ベルト蛇行防止部１０は、上記網状ベルト１０５の蛇行を防止するもので、転接ローラ１４０、ローラ揺動部（ローラ揺動手段）１４１、ベルト蛇行検知部（ベルト検知手段）１４２、ローラ位置検知部（ローラ検知手段）１４３および蛇行制御部（制御手段）１４４を主要部として構成されている。
【０１３１】
転接ローラ１４０は、上記網状ベルト１０５に対してテンションを与える状態で転接する構成とされ、具体的には、一本の転接ローラ１４０が、上記網状ベルト１０５の処理搬送部位の処理機能に干渉しない部位に転接するように構成されている。
【０１３２】
図示の実施形態においては、図１および図５に示すように、網状ベルト１０５において、駆動ローラ１０７と駆動ローラ１０８間の下側部位、つまり、パルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水処理して湿紙ＲＰ0とする抄紙工程を完了した後の帰還工程を構成する部位に一本の転接ローラ１４０が転接する構成とされている。
【０１３３】
上記転接ローラ１４０は中空円筒状の金属製、図６に示すように、その回転支軸１５０の両端部１５０ａ、１５０ｂが、軸受１５１、１５１を介して、支持ブラケット１５２に回転可能に支持されるとともに、この支持ブラケット１５２が、その長手方向中心位置に固設された支軸１５３を介して、固定側支持部１５４に水平方向へ揺動可能に枢支されている。
【０１３４】
具体的には、装置ケース６を構成する装置機体５４の支持枠５４ａ、５４ｂが、上記網状ベルト１０５の走行方向へ平行に延びて設けられ、これら両支持枠５４ａ、５４ｂに、上記固定側支持部１５４を構成する支持枠が橋絡状に取付け固定され、この固定側支持部１５４の軸受部１５４ａに、上記支持ブラケット１５２の支軸１５３が回転可能に吊持状に支持されている。これにより、支持ブラケット１５２に回転可能に支持された上記転接ローラ１４０が、上記支軸１５３を揺動中心として水平方向へ揺動可能とされている。
【０１３５】
転接ローラ１４０としては、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属製ローラが使用され、図示の実施形態の転接ローラ１４０は、ステンレス鋼製の中空円筒ローラの形態とされている。
【０１３６】
上記転接ローラ１４０が上記網状ベルト１０５に対してテンションを与える状態で転接していることにより、転接ローラ１４０の網状ベルト１０５の走行方向に対する姿勢を制御調整することで、転接ローラ１４０と網状ベルト１０５との間に生ずる摩擦力により、後述する網状ベルト１０５の蛇行防止ないしは修正作用がなされる。
【０１３７】
すなわち、図９を参照して、転接ローラ１４０が常態、つまり図９（ａ）に示すように、転接ローラ１４０の回転軸線つまり回転支軸１５０の軸心Ｘ150が網状ベルト１０５の走行方向Ａに対して垂直となる中立位置を保持する場合、転接ローラ１４０は網状ベルト１０５を転動案内する走行案内ローラとして機能する。
【０１３８】
また、転接ローラ１４０の回転軸線Ｘ150が、図９（ｂ）に示すように、網状ベルト１０５の走行方向Ａに対して垂直の中立位置（図９（ａ）の位置）から左側へ傾いた左傾斜位置にある場合、転接ローラ１４０は、網状ベルト１０５との間に生ずる摩擦力により、網状ベルト１０５を左側方向へ移動させるよう作用して、左側方向への蛇行修正作用をなす。
【０１３９】
同様に、転接ローラ１４０の回転軸線Ｘ150が、図９（ｃ）に示すように、網状ベルト１０５の走行方向Ａに対して垂直の中立位置（図９（ａ）の位置）から右側へ傾いた右傾斜位置にある場合、転接ローラ１４０は、網状ベルト１０５との間に生ずる摩擦力により、網状ベルト１０５を右側方向へ移動させるよう作用して、右側方向への蛇行修正作用をなす。
【０１４０】
ローラ揺動部１４１は、上記転接ローラ１４０を上記網状ベルト１０５の走行方向に対して交差方向へ揺動させるもので、揺動カム機構（カム手段）１６０と、この揺動カム機構１６０をカム駆動させる駆動モータ（駆動源）１６１とから構成されている。
【０１４１】
揺動カム機構１６０は、図６に示すように、上記転接ローラ１４０を自由回転可能に支持する支持ブラケット１５２の一端部に設けられており、具体的には、駆動モータ１６１により回転カム動作する回転カムの形態とされている。
【０１４２】
図示の実施形態の揺動カム機構１６０は、上記駆動モータ１６１により回転動作する駆動カム１６０ａと、上記支持ブラケット１５２の一端部に形成されて、上記駆動カム１６０ａと摺接係合する係合溝の形態とされた従動カム１６０ｂとからなる。
【０１４３】
具体的には図１０ａに示すように、駆動カム１６０ａは、駆動モータ１６１の回転軸１６１ａに、円板状カムが偏心状に取付け固定されてなる円板状偏心カムの形態とされるとともに、従動カム１６０ｂは、この駆動カム１６０ａと摺接係合するＵ字形状の係合溝の形態とされている。また、上記駆動モータ１６１としては、具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ１６１が装置制御部５に電気的に接続されている。
【０１４４】
そして、駆動モータ１６１の駆動による駆動カム１６０ａの回転動作により、この駆動カム１６０ａと摺接係合する従動カム１６０ｂを介して、上記支持ブラケット１５２さらには転接ローラ１４０が水平方向へ揺動し、これにより、転接ローラ１４０が図９（ａ）〜（ｃ）に示すような姿勢をとることで後述する網状ベルト１０５の蛇行修正作用をなす。
【０１４５】
これに関連して、網状ベルト１０５の走行状態を検知する上記ベルト蛇行検知部１４２と、転接ローラ１４０の姿勢を検知する上記ローラ位置検知部１４３が設けられている。
【０１４６】
ベルト蛇行検知部１４２は、網状ベルト１０５が適正走行範囲を走行しているか否かを検知するもので、具体的には、図１および図５に示すように、網状ベルト１０５が駆動ローラ１０７を通過した下流側位置において、一対の検知センサ１４２ａ、１４２ｂが上記網状ベルト１０５の幅方向両側の下方位置にそれぞれ上向きで配置されてなる（図６の二点鎖線参照）。
【０１４７】
これら一対の検知センサ１４２ａ、１４２ｂにより挟まれる網状ベルト１０５の幅方向範囲は、網状ベルト１０５の適正走行範囲を規定しており、この適正走行範囲は、網状ベルト１０５がパルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水処理して湿紙ＲＰ0とする抄紙工程を円滑にかつ確実に安定して実行できる程度の蛇行許容範囲に設定され、具体的には実際に抄紙工程を試験的に行って適正走行範囲が設定される。
【０１４８】
検知センサ１４２ａ、１４２ｂとしては、非接触型の位置検出センサが好適に使用され、図示の実施形態においては、反射型フォトセンサが使用されている。これら検知センサ１４２ａ、１４２ｂは装置制御部５に電気的に接続されている。
【０１４９】
そして、図６を参照して、網状ベルト１０５がこれら一対の検知センサ１４２ａ、１４２ｂ間を走行している時、つまり網状ベルト１０５が適正走行範囲内を走行している時は、いずれの検知センサ１４２ａ、１４２ｂも網状ベルト１０５の存在を検知しない。また、網状ベルト１０５が左側へ過度にずれて蛇行すると、左側の検知センサ１４２ａが網状ベルト１０５の存在を検知し、一方、網状ベルト１０５が右側へ過度にずれて蛇行すると、右側の検知センサ１４２ｂが網状ベルト１０５の存在を検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。
【０１５０】
ローラ位置検知部１４３は、転接ローラ１４０の姿勢、つまり転接ローラ１４０の軸心Ｘ150が網状ベルト１０５の走行方向Ａに対してどの方向に向いているかを検知するもので、具体的には、図６および図１０に示すように、上記駆動カム１６０ａとの関連で設けられている。
【０１５１】
すなわち、ローラ位置検知部１４３は、上記支持枠１５４における駆動カム１６０ａと同軸、つまり駆動モータ１６１の回転軸１６１ａに、駆動カム１６０ａの回転方向位置と関連付けて固定された回転子１４３ａと、この回転子１４３ａの回転方向位置から、駆動カム１６０ａの回転方向位置つまりは転接ローラ１４０の姿勢を検知する３つの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃ、１４３ｄとから構成されている。
【０１５２】
上記回転子１４３ａは、円板状偏心カムの形態とされた駆動カム１６０ａの回転方向位置と関連付けられた半円形状平板の形態とされ、この半円形状平板１４３ａの直線縁部両端には、図１０（ｂ）に示すような切欠部がそれぞれ形成されている。
【０１５３】
３つの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃ、１４３ｄは、上記回転子１４３ａに対して、図１０（ｂ）に示すように、回転子１４３ａの外周縁部に沿って９０°の角度をもって配置されている。
【０１５４】
これら３つの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃおよび１４３ｄとしては、非接触型の位置検出センサが好適に使用され、図示の実施形態においては、透過型フォトインタラプタが使用されている。これら検知センサ１４３ｂ、１４３ｃおよび１４３ｄは装置制御部５に電気的に接続されている。
【０１５５】
そして、図９および図１０を参照して、回転子１４３ａが検知センサ１４３ｂ、１４３ｃおよび１４３ｄに対して、図１０（ｂ）の実線で示す回転方向位置にある時、転接ローラ１４０は図９（ａ）に示す中立位置（図１０（ａ）の実線位置）にあり、この時、中央位置の検知センサ１４３ｃのみが回転子１４３ａを検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。一方、両側の検知センサ１４３ｂ、１４３ｄは回転子１４３ａを検知しない（検知センサ１４３ｂ、１４３ｄは、回転子１４３ａの上記切欠き部により投光が透過）。
【０１５６】
また、回転子１４３ａが図１０（ｂ）の一点鎖線で示す回転方向位置にある時、転接ローラ１４０は図９（ｂ）に示す左傾斜位置（図１０（ａ）の一点鎖線位置）にあり、この時、検知センサ１４３ｂのみが回転子１４３ａを検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。一方、残りの検知センサ１４３ｃ、１４３ｄは回転子１４３ａを検知しない（検知センサ１４３ｃは、回転子１４３ａの上記切欠き部により投光が透過）。
【０１５７】
さらに、回転子１４３ａが図１０（ｂ）の二点鎖線で示す回転方向位置にある時、転接ローラ１４０は図９（ｃ）に示す右傾斜位置（図１０（ａ）の二点鎖線位置）にあり、この時、検知センサ１４３ｄのみが回転子１４３ａを検知し、その検知信号を制御信号として装置制御部５へ送る。一方、残りの検知センサ１４３ｂ、１４３ｃは回転子１４３ａを検知しない（検知センサ１４３ｃは、回転子１４３ａの上記切欠き部により投光が透過）。
【０１５８】
蛇行制御部１４４は、上記ベルト蛇行検知部１４２およびローラ位置検知部１４３の検知結果に従って、上記ローラ揺動部１４１を制御するもので、装置制御部５の一部を構成しており、以下のベルト蛇行修正工程を実行するように、上記ローラ揺動部１４１の駆動モータ１６１を自動制御する。
【０１５９】
すなわち、蛇行制御部１４４は、図８に示すような制御構成とされており、上記ベルト蛇行検知部１４２の検知センサ１４２ａ、１４２ｂからの検知信号（制御信号）を受け取って、上記網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラ１４０が上記網状ベルト１０５の走行方向Ａに垂直となる中立位置を保持するとともに（図９（ａ）参照）、上記網状ベルト１０５の走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時は、上述したように、上記転接ローラ１４０が上記網状ベルト１０５の走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように（図９（ｂ）または（ｃ）参照）、上記ローラ揺動部１４１の駆動モータ１６１を制御する。
【０１６０】
一方、上記転接ローラ１４０の姿勢は、ローラ位置検知部１４３により常時検知されており、蛇行制御部１４４は、上記ベルト蛇行検知部１４２の検知センサ１４２ａ、１４２ｂからの検知信号により網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されたことを検知すると、上記ローラ位置検知部１４３の検知センサ１４３ａ、１４３ｂ、１４３ｃからの検知信号に従って、転接ローラ１４０を現在の網状ベルト１０５の蛇行修正姿勢から上記中立位置（図９（ａ）に示す位置）へ移動復帰させるべく、上記ローラ揺動部１４１の駆動モータ１６１を制御する。
【０１６１】
なお、網状ベルト１０５の走行位置が上記適正走行範囲外に外れた時のローラ揺動部１４１による具体的な蛇行修正動作としては、（Ａ）上記転接ローラ１４０が上記中立位置（図９（ａ）に示す位置）から最大蛇行修正方向位置（図９（ｂ）または（ｃ）に示す位置）へ向けてゆっくりと徐々に移動していき、上記網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラ１４０が上記中立位置に移動復帰して停止する構成と、（Ｂ）上記転接ローラ１４０が上記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ一気に移動して停止し、上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラが上記中立位置に移動復帰して停止する構成が好適に採用される。図示の実施形態においては、上記（Ａ）の蛇行修正動作が採用されている
【０１６２】
しかして、抄紙ネットコンベア部９５の網状ベルト１０５は、ベルト蛇行防止部１０により、ベルト蛇行検知部１４２の検知センサ１４２ａ、１４２ｂで規定される適正走行範囲内を走行しながら、パルプ懸濁液ＰＳを濾過脱水処理して湿紙ＲＰ0とする抄紙工程を実行する。
【０１６３】
乾燥ベルトコンベア部９７は、上記抄紙ネットコンベア部９５で抄紙形成された後、脱水ロール部９６で圧搾脱水された乾紙ＲＰをさらに加熱乾燥させて再生紙ＲＰとする部位で、乾燥コンベア１７０と加熱乾燥部１７１を主要部として構成されている。
【０１６４】
乾燥コンベア１７０は、脱水ロール部９６で圧搾脱水された湿紙ＲＰ0を平滑にしながら搬送するもので、上記平滑面ベルト１４５と、この平滑面ベルト１４５を走行駆動する上記駆動モータ１０６とを備えてなる。
【０１６５】
平滑面ベルト１４５は、湿紙ＲＰ0を加熱乾燥させながら搬送するもので、具体的には、所定幅を有する平滑面構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトである。平滑面構造の板材は、湿紙ＲＰ０の片側表面を適正な平滑面に仕上げることができ、かつ後述する加熱乾燥部１７１による加熱作用に耐え得る材質とされ、好適には、フッ素樹脂、ステンレス鋼等の可撓性耐熱材料で形成されており、図示の実施形態においては、フッ素樹脂製ベルトが採用されている。
【０１６６】
この平滑面ベルト１４５は、図１に示すように、駆動ローラ１７６、従動ローラ１７８、ベルト蛇行防止部１１および脱水ロール部９６を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ１７６を介して、上記駆動モータ１０６に駆動連結されている。
【０１６７】
平滑面ベルト１４５を走行駆動する駆動モータ１０６は、前述したように、上記抄紙コンベア１００および脱水ロール部９６の走行駆動源としても共用される。
【０１６８】
加熱乾燥部１７１は、上記平滑面ベルト１４５上の湿紙ＲＰ0を加熱乾燥する部位で、上記平滑面ベルト１４５の走行経路途中箇所に配されたヒータプレート１８０を加熱部として備える。
【０１６９】
このヒータプレート１８０は、具体的には、上記平滑面ベルト１４５上の湿紙ＲＰ0が平滑面ベルト１４５を介して間接的に加熱乾燥される配置構成とされている。
【０１７０】
また、平滑面ベルト１４５の走行途中に、上記２つの平滑面仕上げロール１７９、１７９が配設されて、平滑面ベルト１４５上の湿紙ＲＰ0を順次転動加圧して、平滑面ベルト１４５の表面に接触する湿紙ＲＰ0の片側表面と反対側表面を適正な平滑面に仕上げる配置構成とされている。
【０１７１】
上記平滑面ベルト１４５における上記加熱乾燥部１７１の下流側には、剥離部材１８１が設けられており、平滑面ベルト１４５上で乾燥処理されて搬送される乾紙つまり再生紙ＲＰ（含水率１０〜７％）を、平滑面ベルト１４５の保持面から順次剥離する。
【０１７２】
これに関連して、この剥離部材１５１の下流側の平滑面ベルト１４５の走行経路終端位置には、定寸カッタ部１８２が設けられており、平滑面ベルト１４５から剥離された再生紙ＲＰは、ここで所定形状（図示の実施形態においては、Ａ４版の形状寸法）に切断されて、装置ケース６の排出口８から排出される。
【０１７３】
ベルト蛇行防止部１１は、上記平滑面ベルト１４５の蛇行を防止するもので、上記網状ベルト１０５用のベルト蛇行防止部１０と同様に、図７に示すように、転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃ、ローラ揺動部１４１、ベルト蛇行検知部１４２、ローラ位置検知部１４３および蛇行制御部１４４を主要部として構成されている。
【０１７４】
ベルト蛇行防止部１１を構成する上記各構成部の構成は、網状ベルト１０５用のベルト蛇行防止部１０と同様であり、３本の転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃを備える点のみが相違する。
【０１７５】
すなわち、ベルト蛇行防止部１１の蛇行防止対象となる平滑面ベルト１４５は、上述したように、フッ素樹脂製ベルトが採用されているところ、このフッ素樹脂製の平滑面ベルト１４５は、上記網状ベルト１０５に比較して、弾性および柔軟性において劣ることから、１本の転接ローラ１４０では円滑なかつ確実な蛇行防止作用が発揮され得ず、ベルト蛇行防止部１１においては、３本の転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃを備えている。
【０１７６】
これら３本の転接ローラ１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃの平滑面ベルト１４５に対する転接構成は、図１および図５に示すように、平滑面ベルト１４５が、転接ローラ１４０ａの上側面、転接ローラ１４０ｂの下側面および転接ローラ１４０ｃの上側面と延びて転接案内されるように構成されている。
【０１７７】
また、前述したように、ベルト蛇行防止部１１の転接ローラ１４０ａは、前記角度規定ロール部９６Ｃの平滑面ベルト案内ロール１３１としても機能する構成とされて、装置構成の小型簡素化が図られている。
【０１７８】
ベルト蛇行防止部１１のその他の構成および作用は、網状ベルト１０５用のベルト蛇行防止部１０と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【０１７９】
装置制御部５は、上述したパルプ製造部２、パルプ濃度調整部３および抄紙部４の各駆動部の動作を相互に連動して自動制御するもので、具体的には、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭおよびＩ／Ｏポートなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。
【０１８０】
この装置制御部５には、パルプ製造部２のパルプ製造工程、濃度調整部３の濃度調整工程および抄紙部４の抄紙工程を相互に連動して実行させるためのプログラム等が組み込まれるとともに、上記各構成部２（２０、２１）、３（３Ａ、３Ｂ）、４（９５、９６、９７、１０、１１）の駆動に必要な種々の情報、例えば、離解部２０における攪拌装置２６の駆動時間、回転速度、給水装置２７の給水タイミング、給水量、叩解部２１における循環ポンプ６９の駆動時間、循環量および摩砕機５０の駆動時間、回転速度、および隙間調整手段５７の調整タイミング、叩解隙間Ｇ調整量、ならびに、抄紙部４におけるコンベア１００、１７０の走行速度、加熱乾燥部１７１の駆動時間、定寸カッタ部１５２の動作タイミング、およびベルト蛇行防止部１０、１１の動作タイミングなどが、予めデータとしてまたはキーボード等により適宜選択的に入力設定されている。
【０１８１】
また、上記装置制御部５には、前述したように、重量センサ４８、８７、検知センサ１４２ａ、１４２ｂ、１４３ｂ、１４３ｃ、１４３ｄ、ならびに各駆動部３５、５６、６１、６６、１０６が電気的に接続されており、装置制御部５は、これらの各種実測値および制御データに従って、上記各駆動部３５、５６、６１、６６、１０６、１６１を制御する。
【０１８２】
しかして、以上のように構成された古紙再生装置１は、電源投入により起動して、装置制御部５により各構成部２（２０、２１）、３（３Ａ、３Ｂ）、４（９５、１０、９６）が相互に関連して自動制御され、これにより、装置ケース６の投入口７に投入された古紙ＵＰ、ＵＰ、…は、パルプ製造部２の離解部２０および叩解部２１により離解・叩解処理されて、古紙パルプＵＰＰが製造され、さらにパルプ濃度調整部３で抄紙濃度のパルプ懸濁液ＰＳが調製された後、このパルプ懸濁液ＰＳが抄紙部４の抄紙ネットコンベア部９５、脱水ロール部９６および乾燥ベルトコンベア部９７により抄紙されて、再生紙ＲＰとして再生され、装置ケース６の排出口８ｂから再生紙受取トレー９に排出される。
【０１８３】
この場合に、上記抄紙部４におけるベルト蛇行防止部１０、１１は、転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃが、古紙パルプＵＰＰを処理搬送する抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７の走行ベルトである網状ベルト１０５および平滑面ベルト１４５走行ベルトに対してテンションを与える状態で転接するとともに、ローラ揺動部１４１が、上記転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃを、上記走行ベルト１０５、１４５の走行方向に対して交差方向へ揺動させる構成とされ、上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置が適正走行範囲内にある時は、上記転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃが上記走行ベルト１０５、１４５の走行方向に垂直となる中立位置に維持されるとともに、上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置が適正走行範囲外に外れた時は、上記転接ローラ１４０、１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃが上記走行ベルト１０５、１４５の走行位置を上記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように構成されているから、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能な什器サイズの古紙再生装置という非常にコンパクトな装置構成に適した構造が小型で簡素なベルト蛇行防止装置が実現し、これにより、抄紙部のベルトコンベア部の走行ベルトを適正走行範囲内で常時安定して走行させることができ、その結果、非常に狭い処理空間における抄紙工程を、故障の少ない高い信頼性をもって、円滑にかつ高効率で行うことができる。
【０１８４】
これにより、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる什器サイズの古紙再生装置を実現し提供することができる。
【０１８５】
実施形態２
本実施形態は図１２に示されており、実施形態１におけるベルト蛇行防止部１０、１１の具体的構成が改変されたものである。
【０１８６】
すなわち、例えば本実施形態のベルト蛇行防止部１０においては、ローラ揺動部１４１が揺動シリンダの形態とされている。
【０１８７】
具体的には、このローラ揺動部１４１を構成する揺動シリンダは、そのシリンダ本体１４１ａが、固定側支持部である支持枠１５４に、支軸１９０を介して揺動可能に支持されるとともに、そのピストンロッド１４１ｂが、転接ローラ１４０を自由回転可能に支持する支持ブラケット１５２の一端に、支軸１９１を介して枢支連結されている。
【０１８８】
そして、この揺動シリンダ１４１のピストンロッド１４１ｂの突出退入動作により、上記支持ブラケット１５２および転接ローラ１４０が水平方向へ揺動するように構成されている。
【０１８９】
なお、揺動シリンダ１４１としては、エアシリンダ装置が好適に使用され、また、このシリンダ装置の作動特性に対応して、網状ベルト１０５の走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時のローラ揺動部１４１による具体的な蛇行修正動作としては、実施形態１の場合と異なり、前記（Ａ）および（Ｂ）の蛇行修正動作のうち、（Ｂ）の蛇行修正動作、つまり、転接ローラ１４０が中立位置（図９（ａ）に示す位置）から最大蛇行修正方向位置（図９（ｂ）または（ｃ）に示す位置）へ一気に移動して停止し、網状ベルト１０５の走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、上記転接ローラ１４０が上記中立位置に移動復帰して停止する構成が好適に採用される。
【０１９０】
もう一方のベルト蛇行防止部１１も上記ベルト蛇行防止部１１と同様であり、さらに、その他の構成および作用は実施形態１と同様である。
【０１９１】
なお、上述した実施形態１および２はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく、その範囲内で種々の設計変更が可能である。
【０１９２】
例えば、本発明に係るベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段）１０および１１の具体的構成は、図示の実施形態１および２に限定されず、同様な機能を有する他の構成を採用することが可能であり、特に、蛇行防止対象となる抄紙ネットコンベア部９５および乾燥ベルトコンベア部９７の具体的構成に対応して適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【０１９３】
ＵＰ 古紙
ＵＰＰ 古紙パルプ
ＰＳ パルプ懸濁液
ＲＰ 再生紙
１ 古紙再生装置
２ パルプ製造部
４ 抄紙部（抄紙装置）
５ 装置制御部（制御部）
１０ ベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段、ベルト蛇行防止装置）
１１ ベルト蛇行防止部（ベルト蛇行防止手段、ベルト蛇行防止装置）
９５ 抄紙ネットコンベア部
９６ 脱水ロール部
９７ 乾燥ベルトコンベア部
１００ 抄紙コンベア
１０５ 網状ベルト（走行ベルト）
１４０ 転接ローラ
１４０ａ、１４０ｂ、１４０ｃ 転接ローラ
１４１ ローラ揺動部（ローラ揺動手段）
１４２ ベルト蛇行検知部（ベルト検知手段）
１４３ ローラ位置検知部（ローラ検知手段）
１４４ 蛇行制御部（制御手段）
１４５ 平滑面ベルト（走行ベルト）
１５０ 回転支軸
１５２ 支持ブラケット
１５３ 支軸
１５４ 支持枠（固定側支持部）
１６０ 揺動カム機構（カム手段）
１６０ａ 駆動カム
１６０ｂ 従動カム
１６１ 駆動モータ（駆動源）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部の走行ベルトの蛇行を防止する装置であって、
前記パルプ製造部から送られてくる古紙パルプを処理搬送するベルトコンベア部の走行ベルトに対して、テンションを与える状態で転接する転接ローラと、
この転接ローラを、前記走行ベルトの走行方向に対して交差方向へ揺動させるローラ揺動手段と、
このローラ揺動手段を前記走行ベルトの走行状態に応じて制御する制御手段とを備えてなり、
この制御手段は、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行位置を前記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように、前記ローラ揺動手段を制御する構成とされている
ことを特徴とする古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項２】
前記走行ベルトに対する前記転接ローラの転接部位は、前記走行ベルトの処理搬送部位の処理機能に干渉しない部位に設定されている
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項３】
前記転接ローラは、その回転支軸の両端部が支持ブラケットに支持されるとともに、この支持ブラケットが、その長手方向中心位置に設けられた支軸を介して、固定側支持部に揺動可能に枢支されている
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項４】
前記支持ブラケットは、前記転接ローラを水平状態に支持するとともに、水平方向へ揺動するように、前記固定側支持部に枢支されている
ことを特徴とする請求項３に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項５】
前記ローラ揺動手段は、前記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端部に設けられたカム手段と、このカム手段をカム駆動させる駆動源とを備え、
前記駆動源による前記カム手段のカム動作により、前記支持ブラケットが揺動する構成とされている
ことを特徴とする請求項３に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項６】
前記カム手段は、前記駆動源により回転動作する円板状偏心カムの形態とされた駆動カムと、前記支持ブラケットの一端部に形成されて、前記駆動カムと摺接係合する係合溝の形態とされた従動カムとからなり、
前記駆動カムの回転動作により、この駆動カムと摺接係合する前記従動カムを介して前記支持ブラケットが揺動する構成とされている
ことを特徴とする請求項５に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項７】
前記ローラ揺動手段は、前記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端に枢支連結されたピストンロッドを備える揺動シリンダの形態とされ、
この揺動シリンダのピストンロッドの突出退入動作により、前記支持ブラケットが揺動する構成とされている
ことを特徴とする請求項３に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項８】
前記走行ベルトが適正走行範囲を走行しているか否かを検知するベルト検知手段を備え、
前記制御手段は、前記ベルト検知手段の検知結果に従って、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行位置を前記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正位置となるように、前記ローラ揺動手段を制御する構成とされている
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項９】
前記ローラ揺動手段による前記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ向けて徐々に移動していき、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、前記転接ローラが前記中立位置に移動復帰して停止するように構成されている
ことを特徴とする請求項８に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１０】
前記ローラ揺動手段による前記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ一気に移動して停止し、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、前記転接ローラが前記中立位置に移動復帰して停止するように構成されている
ことを特徴とする請求項８に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１１】
前記ベルトコンベア部の走行ベルトは、水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部の網状ベルトである
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１２】
前記ベルトコンベア部の走行ベルトは、前工程の抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部の平滑面ベルトである
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１３】
古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部を構成するものであって、
前記パルプ製造部から送られてくる水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部と、
この抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部と、
これら抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部の連係部において前記湿紙を圧搾脱水する脱水ロール部とを備えてなり、
前記抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部は、前記パルプ製造部で製造された古紙パルプを処理搬送する走行ベルトをそれぞれ備えるとともに、これら走行ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止手段を備え、
このベルト蛇行防止手段は、請求項１から１２のいずれか一つに記載のベルト蛇行防止装置により構成されている
ことを特徴とする古紙再生装置の抄紙装置。
【請求項１４】
什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、これらパルプ製造部および抄紙部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、
前記抄紙部は、請求項１３に記載の抄紙装置から構成されている
ことを特徴とする古紙再生装置。
【請求項１】
古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部の走行ベルトの蛇行を防止する装置であって、
前記パルプ製造部から送られてくる古紙パルプを処理搬送するベルトコンベア部の走行ベルトに対して、テンションを与える状態で転接する転接ローラと、
この転接ローラを、前記走行ベルトの走行方向に対して交差方向へ揺動させるローラ揺動手段と、
このローラ揺動手段を前記走行ベルトの走行状態に応じて制御する制御手段とを備えてなり、
この制御手段は、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行位置を前記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正方向へ向くように、前記ローラ揺動手段を制御する構成とされている
ことを特徴とする古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項２】
前記走行ベルトに対する前記転接ローラの転接部位は、前記走行ベルトの処理搬送部位の処理機能に干渉しない部位に設定されている
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項３】
前記転接ローラは、その回転支軸の両端部が支持ブラケットに支持されるとともに、この支持ブラケットが、その長手方向中心位置に設けられた支軸を介して、固定側支持部に揺動可能に枢支されている
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項４】
前記支持ブラケットは、前記転接ローラを水平状態に支持するとともに、水平方向へ揺動するように、前記固定側支持部に枢支されている
ことを特徴とする請求項３に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項５】
前記ローラ揺動手段は、前記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端部に設けられたカム手段と、このカム手段をカム駆動させる駆動源とを備え、
前記駆動源による前記カム手段のカム動作により、前記支持ブラケットが揺動する構成とされている
ことを特徴とする請求項３に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項６】
前記カム手段は、前記駆動源により回転動作する円板状偏心カムの形態とされた駆動カムと、前記支持ブラケットの一端部に形成されて、前記駆動カムと摺接係合する係合溝の形態とされた従動カムとからなり、
前記駆動カムの回転動作により、この駆動カムと摺接係合する前記従動カムを介して前記支持ブラケットが揺動する構成とされている
ことを特徴とする請求項５に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項７】
前記ローラ揺動手段は、前記転接ローラを自由回転可能に支持する支持ブラケットの一端に枢支連結されたピストンロッドを備える揺動シリンダの形態とされ、
この揺動シリンダのピストンロッドの突出退入動作により、前記支持ブラケットが揺動する構成とされている
ことを特徴とする請求項３に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項８】
前記走行ベルトが適正走行範囲を走行しているか否かを検知するベルト検知手段を備え、
前記制御手段は、前記ベルト検知手段の検知結果に従って、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内にある時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行方向に垂直となる中立位置を保持するとともに、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記走行ベルトの走行位置を前記適正走行範囲内へ移動させる蛇行修正位置となるように、前記ローラ揺動手段を制御する構成とされている
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項９】
前記ローラ揺動手段による前記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ向けて徐々に移動していき、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、前記転接ローラが前記中立位置に移動復帰して停止するように構成されている
ことを特徴とする請求項８に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１０】
前記ローラ揺動手段による前記ローラ揺動手段の蛇行修正動作は、前記走行ベルトの走行位置が前記適正走行範囲外に外れた時は、前記転接ローラが前記中立位置から最大蛇行修正方向位置へ一気に移動して停止し、前記走行ベルトの走行位置が適正走行範囲内に蛇行修正されると、前記転接ローラが前記中立位置に移動復帰して停止するように構成されている
ことを特徴とする請求項８に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１１】
前記ベルトコンベア部の走行ベルトは、水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部の網状ベルトである
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１２】
前記ベルトコンベア部の走行ベルトは、前工程の抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部の平滑面ベルトである
ことを特徴とする請求項１に記載の古紙再生装置のベルト蛇行防止装置。
【請求項１３】
古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置において、前工程のパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部を構成するものであって、
前記パルプ製造部から送られてくる水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙ネットコンベア部と、
この抄紙ネットコンベア部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥ベルトコンベア部と、
これら抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部の連係部において前記湿紙を圧搾脱水する脱水ロール部とを備えてなり、
前記抄紙ネットコンベア部および乾燥ベルトコンベア部は、前記パルプ製造部で製造された古紙パルプを処理搬送する走行ベルトをそれぞれ備えるとともに、これら走行ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止手段を備え、
このベルト蛇行防止手段は、請求項１から１２のいずれか一つに記載のベルト蛇行防止装置により構成されている
ことを特徴とする古紙再生装置の抄紙装置。
【請求項１４】
什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、これらパルプ製造部および抄紙部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、
前記抄紙部は、請求項１３に記載の抄紙装置から構成されている
ことを特徴とする古紙再生装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２０１０−２７５６７３（Ｐ２０１０−２７５６７３Ａ）
【公開日】平成２２年１２月９日（２０１０．１２．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１３１９３８（Ｐ２００９−１３１９３８）
【出願日】平成２１年６月１日（２００９．６．１）
【出願人】（０００１０６７８２）株式会社シード (52)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１２月９日（２０１０．１２．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月１日（２００９．６．１）
【出願人】（０００１０６７８２）株式会社シード (52)
【Ｆターム（参考）】
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