可とう管固定具
【課題】 可とう管3を確実に外壁Wに固定して、内部に挿入される電気配線や通信配線等のケーブルの配線作業を容易にできるとともに、簡単且つ確実に防水することができる可とう管固定具1を提供する。
【解決手段】 可とう管固定具1は、貫通孔Hに収納されて可とう管3を内部に挿入可能な円筒形状であって、貫通孔Hの周縁における外壁Wの一方側の面W1に当接する鍔部4と、挿入された可とう管3の蛇腹形状31に係合して可とう管3の一方方向へのスライドを規制する爪部12を有する外嵌部材5と、外嵌部材5の一端側の内周面に形成された雌螺子6に螺合する雄螺子13が外周面に形成され、可とう管3を内部に挿入する筒状の筒ボルト部材7と、筒ボルト部材7の雄螺子13に螺合して、外壁Wの他方側の面W2に当接するナット部材8と、を備える。
【解決手段】 可とう管固定具1は、貫通孔Hに収納されて可とう管3を内部に挿入可能な円筒形状であって、貫通孔Hの周縁における外壁Wの一方側の面W1に当接する鍔部4と、挿入された可とう管3の蛇腹形状31に係合して可とう管3の一方方向へのスライドを規制する爪部12を有する外嵌部材5と、外嵌部材5の一端側の内周面に形成された雌螺子6に螺合する雄螺子13が外周面に形成され、可とう管3を内部に挿入する筒状の筒ボルト部材7と、筒ボルト部材7の雄螺子13に螺合して、外壁Wの他方側の面W2に当接するナット部材8と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物を構成する外壁などの被貫通部材に設けられた貫通孔に挿入される可とう管を、当該貫通孔に固定する可とう管固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に電気配線や通信配線等のケーブルを配線する場合には、防護管として合成樹脂等の可とう管を配線し、この可とう管の内部に電気配線や通信配線等のケーブルを挿入して配線を行っている。そして、配線が外壁等の建築物の構成部材を貫通する必要がある場合には、この構成部材に貫通孔を設け、貫通孔に可とう管を挿入することで配線を行っていた。貫通孔と可とう管との間隙には、例えばシリコン等のコーキング剤を注入して防水処理を行うとともに、可とう管を貫通孔に固定していた。
【0003】
また、近年では、見栄え良く、且つ容易に施工できるように、例えば図15に示すように、外壁Wに大径の貫通孔Hを設け、この貫通孔Hよりも大径であって、外壁W側の面にゴムパッキン100が設けられた鍔部101と、この鍔部101に保持されて貫通孔Hを通される複数の可とう管102と、一端側が鍔部101に保持されて貫通孔Hに挿入される他端側がネジ棒状とされたボルト103と、ボルト103のネジ棒に貫通される貫通孔Hの径よりも長い角材104と、角材104を壁面へ押し付け可能なナット105とを備えた壁貫通配管具106が提案されている(例えば特許文献1)。これによると、鍔部101の外壁W側面にはゴムパッキン100が設けられているので、防水性を確保しつつ可とう管102を支持することができる。
【特許文献1】特開2002−372173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような壁貫通配管具106を用いたとしても、壁貫通配管具106は貫通孔Hに固定されるものの、可とう管102そのものは壁貫通配管具106に固定されているわけではないので、ケーブルの配線作業や配線されたケーブルの更新作業をする際に、可とう管102が動いて、配線作業が困難となる虞があった。また、鍔部101の外壁W側面にはゴムパッキン100が設けられているものの、外壁W側面に凹凸がある場合には、ゴムパッキン100ではその凹凸に追従しきれず、十分に防水することができない。さらに、可とう管102と鍔部101との間には、十分な防水加工がなされていないので、防水性能が不十分であった。
【0005】
そこで、本発明は、可とう管を確実に外壁等の被貫通部材に固定して、内部に挿入される電気配線や通信配線等のケーブルの配線作業を容易にできるとともに、簡単且つ確実に防水することができる可とう管固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の可とう管固定具は、建築物を構成する被貫通部材に設けられた貫通孔に挿入される蛇腹形状の可とう管を、当該貫通孔に固定する可とう管固定具であって、前記貫通孔に収納されるとともに、前記可とう管を内部に挿入可能な円筒部と、該円筒部の一端から広がって形成され、前記貫通孔の一端の開口周縁における前記被貫通部材の一方側の面に当接する鍔部と、挿入された前記可とう管の蛇腹形状の谷部に係合して前記可とう管の一方方向へのスライドを規制する爪部と、を有する外嵌部材と、該円筒部の他端側の内周面に形成された雌螺子に螺合する雄螺子が外周面に形成され、前記可とう管を内部に挿入する筒状の筒ボルト部材と、該筒ボルト部材の前記雄螺子に螺合して、前記被貫通部材の他方側の面に当接するナット部材と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の可とう管固定具は、前記爪部は、一端が前記円筒部の内周面に固定され、他端が前記筒ボルト部材に向かって尖って形成される前記筒ボルト部材の先端と当接可能な弾性体の腕部と、該腕部に支持されて前記谷部に係合する係止爪と、を有し、前記筒ボルト部材の先端が前記腕部の他端を押圧すると、前記腕部が弾性変形することにより、前記係止爪が前記可とう管の蛇腹形状から離反することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の可とう管固定具は、前記外嵌部材の前記円筒部の外周は、前記貫通孔の内周と略同径であって、前記筒ボルト部材の内周は、前記可とう管の外周と略同径であることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の可とう管固定具は、前記筒ボルト部材の外周側における前記外嵌部材と前記ナット部材の間には、前記筒ボルト部材と前記貫通孔との間隙を埋めるコーキング剤が注入されるとともに、前記筒ボルト部材の内周面は、少なくとも前記可とう管の蛇腹形状の1つの山部と密着する防水部材が設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の可とう管固定具によると、被貫通部材に設けられた貫通孔の周縁における被貫通部材の一方側の面に当接する外嵌部材の鍔部と、被貫通部材の他方側の面に当接するナット部材と、が筒ボルト部材を介して連結され、被貫通部材を両面から挟持するので、可とう管固定具は貫通孔に確実に固定される。そして、貫通孔に固定された可とう管固定具に蛇腹形状の可とう管が挿入され、この蛇腹形状の山部に可とう管固定具の爪部が係止されるので、可とう管は可とう管固定具を介して、貫通孔に固定される。このように、可とう管は容易に被貫通部材の貫通孔に固定されるので、通信配線や電気配線のケーブルを可とう管内に挿入する際に、可とう管が確実に固定され、配線作業を容易なものとすることができる。
【0011】
また、上述のように可とう管と可とう管固定具との固定は、爪部を可とう管の蛇腹形状の山部に係合することで行われるので、例えばモルタルやシリコンなどのコーキング剤を埋め込んで固定する場合のように、固定されるまでに時間を必要とすることがなく、効率よく作業することができる。
【0012】
請求項2に記載の可とう管固定具によると、筒ボルト部材の先端が腕部の尖った端部を押圧すると、腕部が弾性変形して、可とう管の蛇腹形状に係合していた係止爪が蛇腹形状から離反するので、可とう管固定具に可とう管を固定させたときに、施工の都合などで可とう管の位置を調整したい場合に、上述のようにすることで、可とう管と可とう管固定具との固定を解除することができ、容易に可とう管の位置を調整することができる。
【0013】
請求項3に記載の可とう管固定具によると、外嵌部材の外周は貫通孔と略同径であって、筒ボルト部材の内周は可とう管の外周と略同径であるので、可とう管固定具の外側は貫通孔とほぼ隙間なく当接し、可とう管固定具の内側は可とう管とほぼ隙間なく当接することになり、可とう管を貫通孔に安定的に固定することができる。
【0014】
請求項4に記載の可とう管固定具によると、筒ボルト部材の外周側における外嵌部材とナット部材の間に、筒ボルト部材と貫通孔との間隙を埋めるコーキング剤が注入されており、筒ボルト部材の内周面は、少なくとも可とう管の蛇腹形状の1つの山部と密着する防水部材が設けられているので、被貫通部材の貫通孔を伝って雨水等が建築物内部に入り込むことを抑制することができる。特にこのような可とう管固定具を用いることで、コーキング剤を使用する箇所を少なくすることができるので、作業性に優れるとともに、高い防水性を有し、材料コストも少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明における可とう管固定具1について、各図を参照しつつ説明する。可とう管固定具1は、例えば住宅の外壁Wなどの建築物の構成部材に電気配線や通信配線などのケーブル2を貫通させる場合に用い、ケーブル2を防護する役割を果たす蛇腹形状31の可とう管3を外壁Wなどの被貫通部材に設けられた貫通孔Hに固定するものである。なお、ここで蛇腹形状31とは可とう管3の外側に向かって出っ張る山部31aと、内側に向かって凹む谷部31bとが交互に複数設けられた形状であって、可とう管3は、このように形成することで、自在に撓ませる事ができる。
【0016】
図1及び図2に示されるように、可とう管固定具1は、被貫通部材としての外壁Wに設けられた貫通孔Hに収納されるとともに、可とう管3を内部に挿入可能な円筒部15と、貫通孔Hの開口周縁における外壁Wの一方側の面W1に当接する鍔部4と、が形成された外嵌部材5と、外嵌部材5の他端の内周面に形成された雌螺子6に外周が螺合しつつ可とう管3を内部に挿入する筒ボルト部材7と、筒ボルト部材7に螺着して貫通孔H周縁における外壁Wの他方側の面W2に当接するナット部材8とを備える。すなわち、可とう管固定具1は、外嵌部材5の鍔部4とナット部材8とで貫通孔H周縁における外壁Wを挟持して固定される。
【0017】
外壁Wの一方側の面W1と鍔部4との間は例えば防水加工した両面テープ等のシーリング材9によりシーリングされており、筒ボルト部材7と貫通孔Hとの間には例えばシリコン製やポリウレタン製のコーキング剤10が注入され防水処理されている。また、筒ボルト部材7の内周面には、図4に示すように、防水部材として例えばゴム材11がライニング加工されており、少なくとも可とう管3の蛇腹形状31の1つの山部31aと密着して、防水性を保持している。このように可とう管固定具1を設置することにより、外壁Wの貫通孔Hとこの貫通孔Hに挿入される可とう管3との間を隙間なく防水加工しているので、雨水などの外部の水が建物内部に侵入することを防ぐことができる。
【0018】
外嵌部材5は、図2、図3に示すように、一端側が広がって鍔部4を形成しており他端側内周面には雌螺子6が形成された円筒部15を有し、その外径は貫通孔Hの内径とほぼ同径であり、貫通孔Hにほぼ隙間なく挿入される。このように外嵌部材5は貫通孔Hに殆ど狂いなく収まるので、この外嵌部材5の内周面の雌螺子6に螺着する筒ボルト部材7も、その中心軸が貫通孔Hの中心軸とほぼ重なり合うようにセンタリングされる。したがって、前述のように、筒ボルト部材7と貫通孔Hとの間にコーキング剤10を注入する場合に、コーキング剤10を均等に注入することができるので、作業性を向上させることができるとともに、均一の防水性能を発揮することができる。そして、円筒部15の一端側の内周面には、可とう管3の蛇腹形状31に係止される爪部12が設けられている。この爪部12は、円筒部15の内周面に沿って複数設置されており、外嵌部材5の一端側から他端方向に向かって先端が尖って形成された弾性を有する腕部12aと、この腕部12aの中間位置で内側に尖って形成され、可とう管3の蛇腹形状31の1つの谷部31bに嵌込まれる形状の係止爪12bと、を有する。
【0019】
この係止爪12bは、図5及び図6に示すように、可とう管3の蛇腹形状31の谷部31bに対して、一方側が密接し他方側が傾斜する楔状に形成されており、外嵌部材5の内部に挿入された可とう管3の一方方向へのスライド可能にするとともに他方方向へのスライドを規制するラチェット状に形成されている。すなわち、爪部12は、外嵌部材5に挿入された可とう管3に一方の方向への力を加えた場合に、所定未満の力が加わっても係止爪12bが引っ掛かってスライドしないが、所定以上の力が加わった場合に腕部12aが弾性変形して係止爪12bが可とう管3から外れて、可とう管3が一方の方向にスライドする。一方、可とう管3に他方の方向への力を加えた場合には、係止爪12bは可とう管3から外れることはなく、したがって、可とう管3はスライドしない。
【0020】
筒ボルト部材7は、図2、図4に示すように、その外周面に外嵌部材5の内周面に形成された雌螺子6に螺合する雄螺子13が形成されており、内周面は内部に挿入される可とう管3に当接する大きさに形成されている。この筒ボルト部材7の内周面には、少なくとも可とう管3の蛇腹形状31の山部31aの1ピッチ以上の幅で所定位置にゴム材11をライニング加工しており、内部に挿入される可とう管3の蛇腹形状31の1つの山部31aと密着する形状である。そして、ナット部材8は、筒ボルト部材7に螺着する貫通孔Hよりも大径のナット形状であり、筒ボルト部材7に螺着して締めつけることで、外壁Wの他方側の面W2に当接する。
【0021】
次に、以上のように構成される可とう管固定具1を用いて、可とう管3を外壁Wの貫通孔Hに固定する過程について図5から図11を参照しつつ説明する。まず可とう管3に外嵌部材5を取付ける作業を行う。具体的には、外嵌部材5の一端側から可とう管3を挿入する。図5に示すように、可とう管3を所定以上の力で外嵌部材5に押し込むと、外嵌部材5の係止爪12bは可とう管3に押圧されて、この係止爪12bを支持している腕部12aが外周方向に弾性変形する。これにより、係止爪12bも外周方向に押し込まれることとなるので、可とう管3を外嵌部材5の内部に挿入することができる。そして、可とう管3はその蛇腹形状31の1つの山部31aづつ挿入されて、図6に示すように、任意の位置まで挿入される。なお、爪部12は所定未満の外力によっては弾性変形せず、可とう管3から外れることはないので、外嵌部材5と可とう管3とが固定される。
【0022】
以上のようにして外嵌部材5に挿入された可とう管3は、次に、外壁Wに設けられた貫通孔Hに挿入される。図7にしめすように、外嵌部材5の外周面と、貫通孔Hの内周面とは、ほぼ等しい径に形成されており、貫通孔Hに可とう管3とともに殆ど隙間なく外嵌部材5が挿入される。このとき、外嵌部材5の鍔部4の外壁Wとの当接面には、防水性を有する例えば両面テープ状のシーリング材9が貼付されており、鍔部4と外壁Wの一方の面W1とを当接させることで両部材間をシーリングしている。
【0023】
次に、図8に示すように、外壁Wの他方の面側から筒ボルト部材7を可とう管3に外挿させつつ、貫通孔Hに挿入する。そして、筒ボルト部材7の先端を、外壁Wの一方側の面W1から貫通孔Hに挿入されている外嵌部材5の内周面に形成されている雌螺子6に螺着させる。そして、外壁Wの他方の面側から筒ボルト部材7と貫通孔Hとの間に隙間なくコーキング剤10を注入する。そして次に、図9に示すように筒ボルト部材7にナット部材8を螺着させ、このナット部材8を締めつけることで、図10に示すように、外壁Wの両面を鍔部4及びナット部材8で挟持し、可とう管3及び可とう管固定具1を外壁Wの貫通孔Hに固定する。
【0024】
このようにして、図11に示すように、可とう管3及び可とう管固定具1を固定した後に、可とう管3の内部に電気配線や通信配線のケーブル2を挿入する。可とう管3は、可とう管固定具1を介して外壁Wの貫通孔Hに固定されているので、ケーブル2を挿入する際に可とう管3が前後にスライドして、ケーブル2が挿入しづらいといったことを避けることができ、ケーブル2の配線作業をより容易なものとすることができる。
【0025】
また、上述のように、可とう管固定具1は、可とう管3の蛇腹形状31を爪部12で係止し、鍔部4及びナット部材8で外壁Wを挟持することで、可とう管3を外壁Wの貫通孔Hに固定するものであり、機械的な作用により可とう管3を貫通孔Hに固定することができる。したがって、例えば可とう管3と貫通孔Hの間をコーキング剤やモルタルで固めて固定する場合のように、固まるまでに時間が掛かることがないので、作業性が向上する。また、コーキング剤やモルタルで固めて固定した場合には、配線作業等において、可とう管3が引っ張られた場合に、コーキング剤やモルタルが剥がれる虞があるが、上述のように機械的に可とう管固定具1と可とう管3とを固定しているので、可とう管3が引っ張られたとしても、コーキング剤等が剥がれる虞もなく、防水性を保つことができる。
【0026】
また、可とう管3を一旦固定した後に、可とう管3の位置を調整する場合には、図12に示すように、まずナット部材8を筒ボルト部材7から取り外し、筒ボルト部材7の先端が外嵌部材5の爪部12の腕部12aを押圧するように、筒ボルト部材7を締結方向に締め付ける。そして、腕部12aは先端が尖って形成された弾性体であるので、筒ボルト部材7に押圧されて腕部12aが弾性変形し、図13に示すように、係止爪12bが可とう管3の蛇腹形状31から外される。係止爪12bが可とう管3の蛇腹形状31から外されると、可とう管3は可とう管固定具1の内部で自在にスライドすることができるので、可とう管3の位置を適切に調整し、筒ボルト部材7を外嵌部材5に対して緩める方向に回転させると、係止爪12bが可とう管3の蛇腹形状31に係止され、可とう管3が可とう管固定具1を介して、外壁Wの貫通孔Hに固定される。このように、可とう管固定具1により一旦可とう管3が固定された後であっても、再度可とう管3の位置を調整することができ、施工性及びリフォーム時などの更新性に優れる。
【0027】
なお、可とう管3は、貫通孔Hに挿入したときに、外壁Wの両側に若干突出できる長さの管でよく、住宅等の建物に配線する場合には、例えば図14に示すように、内周面に可とう管3の蛇腹形状31の山部31aと整合する溝14aが設けられ、蝶番14bにより開閉自在に形成される円筒状の部材を、その端部に設けられたボルト孔14c同士をボルト14dにより固定することにより、可とう管3の端部同士を連結固定することができる所定の継ぎ手14を用いて可とう管3を延長させることができる。なお、継ぎ手14の形状はこれに限定されるものではなく、種々の継ぎ手14を用いることができる。
【0028】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る可とう管固定具1は、建築物の外壁Wや下地材等を貫通してケーブル2を配線する際に、貫通孔Hに可とう管3を固定する可とう管固定具1として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】可とう管固定具の全体構成を説明する斜視図。
【図2】可とう管固定具の内部構成を説明する斜視断面図。
【図3】外嵌部材の構成を説明する斜視図及び斜視断面図。
【図4】筒ボルト部材及びナット部材の構成を説明する斜視図及び斜視断面図。
【図5】外嵌部材に可とう管を挿入する状態を示す図。
【図6】可とう管に外嵌部材を固定した状態を示す図。
【図7】外嵌部材を外嵌した可とう管を外壁の貫通孔に挿入する状態を説明する図。
【図8】外嵌部材及び可とう管が挿入された貫通孔に更に筒ボルト部材を挿入する状態を説明する図。
【図9】筒ボルト部材にナット部材を固定する状態を説明する図。
【図10】貫通孔に可とう管固定具を介して可とう管を固定した状態を説明する図。
【図11】可とう管の内部に通信配線や電気配線のケーブルを挿入する図。
【図12】可とう管の位置を調整するために、筒ボルト部材を外嵌部材の爪部に当接させる状態を説明する図。
【図13】可とう管の位置を調整するために、筒ボルト部材の先端で爪部を押圧して、爪部を可とう管の蛇腹形状から離反させた状態を説明する図。
【図14】所定の継ぎ手を用いて可とう管同士を連結する状態を説明する図。
【図15】従来の壁貫通配管具を説明する断面図。
【符号の説明】
【0031】
1 可とう管固定具
3 可とう管
4 鍔部
5 外嵌部材
6 雌螺子
7 筒ボルト部材
8 ナット部材
10 コーキング剤
11 ゴム材(防水部材)
12 爪部
12a 腕部
12b 係止爪
13 雄螺子
15 円筒部
31 蛇腹形状
31a 山部
31b 谷部
H 貫通孔
W 外壁(被貫通部材)
W1 一方側の面
W2 他方側の面
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物を構成する外壁などの被貫通部材に設けられた貫通孔に挿入される可とう管を、当該貫通孔に固定する可とう管固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に電気配線や通信配線等のケーブルを配線する場合には、防護管として合成樹脂等の可とう管を配線し、この可とう管の内部に電気配線や通信配線等のケーブルを挿入して配線を行っている。そして、配線が外壁等の建築物の構成部材を貫通する必要がある場合には、この構成部材に貫通孔を設け、貫通孔に可とう管を挿入することで配線を行っていた。貫通孔と可とう管との間隙には、例えばシリコン等のコーキング剤を注入して防水処理を行うとともに、可とう管を貫通孔に固定していた。
【0003】
また、近年では、見栄え良く、且つ容易に施工できるように、例えば図15に示すように、外壁Wに大径の貫通孔Hを設け、この貫通孔Hよりも大径であって、外壁W側の面にゴムパッキン100が設けられた鍔部101と、この鍔部101に保持されて貫通孔Hを通される複数の可とう管102と、一端側が鍔部101に保持されて貫通孔Hに挿入される他端側がネジ棒状とされたボルト103と、ボルト103のネジ棒に貫通される貫通孔Hの径よりも長い角材104と、角材104を壁面へ押し付け可能なナット105とを備えた壁貫通配管具106が提案されている(例えば特許文献1)。これによると、鍔部101の外壁W側面にはゴムパッキン100が設けられているので、防水性を確保しつつ可とう管102を支持することができる。
【特許文献1】特開2002−372173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような壁貫通配管具106を用いたとしても、壁貫通配管具106は貫通孔Hに固定されるものの、可とう管102そのものは壁貫通配管具106に固定されているわけではないので、ケーブルの配線作業や配線されたケーブルの更新作業をする際に、可とう管102が動いて、配線作業が困難となる虞があった。また、鍔部101の外壁W側面にはゴムパッキン100が設けられているものの、外壁W側面に凹凸がある場合には、ゴムパッキン100ではその凹凸に追従しきれず、十分に防水することができない。さらに、可とう管102と鍔部101との間には、十分な防水加工がなされていないので、防水性能が不十分であった。
【0005】
そこで、本発明は、可とう管を確実に外壁等の被貫通部材に固定して、内部に挿入される電気配線や通信配線等のケーブルの配線作業を容易にできるとともに、簡単且つ確実に防水することができる可とう管固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の可とう管固定具は、建築物を構成する被貫通部材に設けられた貫通孔に挿入される蛇腹形状の可とう管を、当該貫通孔に固定する可とう管固定具であって、前記貫通孔に収納されるとともに、前記可とう管を内部に挿入可能な円筒部と、該円筒部の一端から広がって形成され、前記貫通孔の一端の開口周縁における前記被貫通部材の一方側の面に当接する鍔部と、挿入された前記可とう管の蛇腹形状の谷部に係合して前記可とう管の一方方向へのスライドを規制する爪部と、を有する外嵌部材と、該円筒部の他端側の内周面に形成された雌螺子に螺合する雄螺子が外周面に形成され、前記可とう管を内部に挿入する筒状の筒ボルト部材と、該筒ボルト部材の前記雄螺子に螺合して、前記被貫通部材の他方側の面に当接するナット部材と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の可とう管固定具は、前記爪部は、一端が前記円筒部の内周面に固定され、他端が前記筒ボルト部材に向かって尖って形成される前記筒ボルト部材の先端と当接可能な弾性体の腕部と、該腕部に支持されて前記谷部に係合する係止爪と、を有し、前記筒ボルト部材の先端が前記腕部の他端を押圧すると、前記腕部が弾性変形することにより、前記係止爪が前記可とう管の蛇腹形状から離反することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の可とう管固定具は、前記外嵌部材の前記円筒部の外周は、前記貫通孔の内周と略同径であって、前記筒ボルト部材の内周は、前記可とう管の外周と略同径であることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の可とう管固定具は、前記筒ボルト部材の外周側における前記外嵌部材と前記ナット部材の間には、前記筒ボルト部材と前記貫通孔との間隙を埋めるコーキング剤が注入されるとともに、前記筒ボルト部材の内周面は、少なくとも前記可とう管の蛇腹形状の1つの山部と密着する防水部材が設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の可とう管固定具によると、被貫通部材に設けられた貫通孔の周縁における被貫通部材の一方側の面に当接する外嵌部材の鍔部と、被貫通部材の他方側の面に当接するナット部材と、が筒ボルト部材を介して連結され、被貫通部材を両面から挟持するので、可とう管固定具は貫通孔に確実に固定される。そして、貫通孔に固定された可とう管固定具に蛇腹形状の可とう管が挿入され、この蛇腹形状の山部に可とう管固定具の爪部が係止されるので、可とう管は可とう管固定具を介して、貫通孔に固定される。このように、可とう管は容易に被貫通部材の貫通孔に固定されるので、通信配線や電気配線のケーブルを可とう管内に挿入する際に、可とう管が確実に固定され、配線作業を容易なものとすることができる。
【0011】
また、上述のように可とう管と可とう管固定具との固定は、爪部を可とう管の蛇腹形状の山部に係合することで行われるので、例えばモルタルやシリコンなどのコーキング剤を埋め込んで固定する場合のように、固定されるまでに時間を必要とすることがなく、効率よく作業することができる。
【0012】
請求項2に記載の可とう管固定具によると、筒ボルト部材の先端が腕部の尖った端部を押圧すると、腕部が弾性変形して、可とう管の蛇腹形状に係合していた係止爪が蛇腹形状から離反するので、可とう管固定具に可とう管を固定させたときに、施工の都合などで可とう管の位置を調整したい場合に、上述のようにすることで、可とう管と可とう管固定具との固定を解除することができ、容易に可とう管の位置を調整することができる。
【0013】
請求項3に記載の可とう管固定具によると、外嵌部材の外周は貫通孔と略同径であって、筒ボルト部材の内周は可とう管の外周と略同径であるので、可とう管固定具の外側は貫通孔とほぼ隙間なく当接し、可とう管固定具の内側は可とう管とほぼ隙間なく当接することになり、可とう管を貫通孔に安定的に固定することができる。
【0014】
請求項4に記載の可とう管固定具によると、筒ボルト部材の外周側における外嵌部材とナット部材の間に、筒ボルト部材と貫通孔との間隙を埋めるコーキング剤が注入されており、筒ボルト部材の内周面は、少なくとも可とう管の蛇腹形状の1つの山部と密着する防水部材が設けられているので、被貫通部材の貫通孔を伝って雨水等が建築物内部に入り込むことを抑制することができる。特にこのような可とう管固定具を用いることで、コーキング剤を使用する箇所を少なくすることができるので、作業性に優れるとともに、高い防水性を有し、材料コストも少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明における可とう管固定具1について、各図を参照しつつ説明する。可とう管固定具1は、例えば住宅の外壁Wなどの建築物の構成部材に電気配線や通信配線などのケーブル2を貫通させる場合に用い、ケーブル2を防護する役割を果たす蛇腹形状31の可とう管3を外壁Wなどの被貫通部材に設けられた貫通孔Hに固定するものである。なお、ここで蛇腹形状31とは可とう管3の外側に向かって出っ張る山部31aと、内側に向かって凹む谷部31bとが交互に複数設けられた形状であって、可とう管3は、このように形成することで、自在に撓ませる事ができる。
【0016】
図1及び図2に示されるように、可とう管固定具1は、被貫通部材としての外壁Wに設けられた貫通孔Hに収納されるとともに、可とう管3を内部に挿入可能な円筒部15と、貫通孔Hの開口周縁における外壁Wの一方側の面W1に当接する鍔部4と、が形成された外嵌部材5と、外嵌部材5の他端の内周面に形成された雌螺子6に外周が螺合しつつ可とう管3を内部に挿入する筒ボルト部材7と、筒ボルト部材7に螺着して貫通孔H周縁における外壁Wの他方側の面W2に当接するナット部材8とを備える。すなわち、可とう管固定具1は、外嵌部材5の鍔部4とナット部材8とで貫通孔H周縁における外壁Wを挟持して固定される。
【0017】
外壁Wの一方側の面W1と鍔部4との間は例えば防水加工した両面テープ等のシーリング材9によりシーリングされており、筒ボルト部材7と貫通孔Hとの間には例えばシリコン製やポリウレタン製のコーキング剤10が注入され防水処理されている。また、筒ボルト部材7の内周面には、図4に示すように、防水部材として例えばゴム材11がライニング加工されており、少なくとも可とう管3の蛇腹形状31の1つの山部31aと密着して、防水性を保持している。このように可とう管固定具1を設置することにより、外壁Wの貫通孔Hとこの貫通孔Hに挿入される可とう管3との間を隙間なく防水加工しているので、雨水などの外部の水が建物内部に侵入することを防ぐことができる。
【0018】
外嵌部材5は、図2、図3に示すように、一端側が広がって鍔部4を形成しており他端側内周面には雌螺子6が形成された円筒部15を有し、その外径は貫通孔Hの内径とほぼ同径であり、貫通孔Hにほぼ隙間なく挿入される。このように外嵌部材5は貫通孔Hに殆ど狂いなく収まるので、この外嵌部材5の内周面の雌螺子6に螺着する筒ボルト部材7も、その中心軸が貫通孔Hの中心軸とほぼ重なり合うようにセンタリングされる。したがって、前述のように、筒ボルト部材7と貫通孔Hとの間にコーキング剤10を注入する場合に、コーキング剤10を均等に注入することができるので、作業性を向上させることができるとともに、均一の防水性能を発揮することができる。そして、円筒部15の一端側の内周面には、可とう管3の蛇腹形状31に係止される爪部12が設けられている。この爪部12は、円筒部15の内周面に沿って複数設置されており、外嵌部材5の一端側から他端方向に向かって先端が尖って形成された弾性を有する腕部12aと、この腕部12aの中間位置で内側に尖って形成され、可とう管3の蛇腹形状31の1つの谷部31bに嵌込まれる形状の係止爪12bと、を有する。
【0019】
この係止爪12bは、図5及び図6に示すように、可とう管3の蛇腹形状31の谷部31bに対して、一方側が密接し他方側が傾斜する楔状に形成されており、外嵌部材5の内部に挿入された可とう管3の一方方向へのスライド可能にするとともに他方方向へのスライドを規制するラチェット状に形成されている。すなわち、爪部12は、外嵌部材5に挿入された可とう管3に一方の方向への力を加えた場合に、所定未満の力が加わっても係止爪12bが引っ掛かってスライドしないが、所定以上の力が加わった場合に腕部12aが弾性変形して係止爪12bが可とう管3から外れて、可とう管3が一方の方向にスライドする。一方、可とう管3に他方の方向への力を加えた場合には、係止爪12bは可とう管3から外れることはなく、したがって、可とう管3はスライドしない。
【0020】
筒ボルト部材7は、図2、図4に示すように、その外周面に外嵌部材5の内周面に形成された雌螺子6に螺合する雄螺子13が形成されており、内周面は内部に挿入される可とう管3に当接する大きさに形成されている。この筒ボルト部材7の内周面には、少なくとも可とう管3の蛇腹形状31の山部31aの1ピッチ以上の幅で所定位置にゴム材11をライニング加工しており、内部に挿入される可とう管3の蛇腹形状31の1つの山部31aと密着する形状である。そして、ナット部材8は、筒ボルト部材7に螺着する貫通孔Hよりも大径のナット形状であり、筒ボルト部材7に螺着して締めつけることで、外壁Wの他方側の面W2に当接する。
【0021】
次に、以上のように構成される可とう管固定具1を用いて、可とう管3を外壁Wの貫通孔Hに固定する過程について図5から図11を参照しつつ説明する。まず可とう管3に外嵌部材5を取付ける作業を行う。具体的には、外嵌部材5の一端側から可とう管3を挿入する。図5に示すように、可とう管3を所定以上の力で外嵌部材5に押し込むと、外嵌部材5の係止爪12bは可とう管3に押圧されて、この係止爪12bを支持している腕部12aが外周方向に弾性変形する。これにより、係止爪12bも外周方向に押し込まれることとなるので、可とう管3を外嵌部材5の内部に挿入することができる。そして、可とう管3はその蛇腹形状31の1つの山部31aづつ挿入されて、図6に示すように、任意の位置まで挿入される。なお、爪部12は所定未満の外力によっては弾性変形せず、可とう管3から外れることはないので、外嵌部材5と可とう管3とが固定される。
【0022】
以上のようにして外嵌部材5に挿入された可とう管3は、次に、外壁Wに設けられた貫通孔Hに挿入される。図7にしめすように、外嵌部材5の外周面と、貫通孔Hの内周面とは、ほぼ等しい径に形成されており、貫通孔Hに可とう管3とともに殆ど隙間なく外嵌部材5が挿入される。このとき、外嵌部材5の鍔部4の外壁Wとの当接面には、防水性を有する例えば両面テープ状のシーリング材9が貼付されており、鍔部4と外壁Wの一方の面W1とを当接させることで両部材間をシーリングしている。
【0023】
次に、図8に示すように、外壁Wの他方の面側から筒ボルト部材7を可とう管3に外挿させつつ、貫通孔Hに挿入する。そして、筒ボルト部材7の先端を、外壁Wの一方側の面W1から貫通孔Hに挿入されている外嵌部材5の内周面に形成されている雌螺子6に螺着させる。そして、外壁Wの他方の面側から筒ボルト部材7と貫通孔Hとの間に隙間なくコーキング剤10を注入する。そして次に、図9に示すように筒ボルト部材7にナット部材8を螺着させ、このナット部材8を締めつけることで、図10に示すように、外壁Wの両面を鍔部4及びナット部材8で挟持し、可とう管3及び可とう管固定具1を外壁Wの貫通孔Hに固定する。
【0024】
このようにして、図11に示すように、可とう管3及び可とう管固定具1を固定した後に、可とう管3の内部に電気配線や通信配線のケーブル2を挿入する。可とう管3は、可とう管固定具1を介して外壁Wの貫通孔Hに固定されているので、ケーブル2を挿入する際に可とう管3が前後にスライドして、ケーブル2が挿入しづらいといったことを避けることができ、ケーブル2の配線作業をより容易なものとすることができる。
【0025】
また、上述のように、可とう管固定具1は、可とう管3の蛇腹形状31を爪部12で係止し、鍔部4及びナット部材8で外壁Wを挟持することで、可とう管3を外壁Wの貫通孔Hに固定するものであり、機械的な作用により可とう管3を貫通孔Hに固定することができる。したがって、例えば可とう管3と貫通孔Hの間をコーキング剤やモルタルで固めて固定する場合のように、固まるまでに時間が掛かることがないので、作業性が向上する。また、コーキング剤やモルタルで固めて固定した場合には、配線作業等において、可とう管3が引っ張られた場合に、コーキング剤やモルタルが剥がれる虞があるが、上述のように機械的に可とう管固定具1と可とう管3とを固定しているので、可とう管3が引っ張られたとしても、コーキング剤等が剥がれる虞もなく、防水性を保つことができる。
【0026】
また、可とう管3を一旦固定した後に、可とう管3の位置を調整する場合には、図12に示すように、まずナット部材8を筒ボルト部材7から取り外し、筒ボルト部材7の先端が外嵌部材5の爪部12の腕部12aを押圧するように、筒ボルト部材7を締結方向に締め付ける。そして、腕部12aは先端が尖って形成された弾性体であるので、筒ボルト部材7に押圧されて腕部12aが弾性変形し、図13に示すように、係止爪12bが可とう管3の蛇腹形状31から外される。係止爪12bが可とう管3の蛇腹形状31から外されると、可とう管3は可とう管固定具1の内部で自在にスライドすることができるので、可とう管3の位置を適切に調整し、筒ボルト部材7を外嵌部材5に対して緩める方向に回転させると、係止爪12bが可とう管3の蛇腹形状31に係止され、可とう管3が可とう管固定具1を介して、外壁Wの貫通孔Hに固定される。このように、可とう管固定具1により一旦可とう管3が固定された後であっても、再度可とう管3の位置を調整することができ、施工性及びリフォーム時などの更新性に優れる。
【0027】
なお、可とう管3は、貫通孔Hに挿入したときに、外壁Wの両側に若干突出できる長さの管でよく、住宅等の建物に配線する場合には、例えば図14に示すように、内周面に可とう管3の蛇腹形状31の山部31aと整合する溝14aが設けられ、蝶番14bにより開閉自在に形成される円筒状の部材を、その端部に設けられたボルト孔14c同士をボルト14dにより固定することにより、可とう管3の端部同士を連結固定することができる所定の継ぎ手14を用いて可とう管3を延長させることができる。なお、継ぎ手14の形状はこれに限定されるものではなく、種々の継ぎ手14を用いることができる。
【0028】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る可とう管固定具1は、建築物の外壁Wや下地材等を貫通してケーブル2を配線する際に、貫通孔Hに可とう管3を固定する可とう管固定具1として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】可とう管固定具の全体構成を説明する斜視図。
【図2】可とう管固定具の内部構成を説明する斜視断面図。
【図3】外嵌部材の構成を説明する斜視図及び斜視断面図。
【図4】筒ボルト部材及びナット部材の構成を説明する斜視図及び斜視断面図。
【図5】外嵌部材に可とう管を挿入する状態を示す図。
【図6】可とう管に外嵌部材を固定した状態を示す図。
【図7】外嵌部材を外嵌した可とう管を外壁の貫通孔に挿入する状態を説明する図。
【図8】外嵌部材及び可とう管が挿入された貫通孔に更に筒ボルト部材を挿入する状態を説明する図。
【図9】筒ボルト部材にナット部材を固定する状態を説明する図。
【図10】貫通孔に可とう管固定具を介して可とう管を固定した状態を説明する図。
【図11】可とう管の内部に通信配線や電気配線のケーブルを挿入する図。
【図12】可とう管の位置を調整するために、筒ボルト部材を外嵌部材の爪部に当接させる状態を説明する図。
【図13】可とう管の位置を調整するために、筒ボルト部材の先端で爪部を押圧して、爪部を可とう管の蛇腹形状から離反させた状態を説明する図。
【図14】所定の継ぎ手を用いて可とう管同士を連結する状態を説明する図。
【図15】従来の壁貫通配管具を説明する断面図。
【符号の説明】
【0031】
1 可とう管固定具
3 可とう管
4 鍔部
5 外嵌部材
6 雌螺子
7 筒ボルト部材
8 ナット部材
10 コーキング剤
11 ゴム材(防水部材)
12 爪部
12a 腕部
12b 係止爪
13 雄螺子
15 円筒部
31 蛇腹形状
31a 山部
31b 谷部
H 貫通孔
W 外壁(被貫通部材)
W1 一方側の面
W2 他方側の面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を構成する被貫通部材に設けられた貫通孔に挿入される蛇腹形状の可とう管を、当該貫通孔に固定する可とう管固定具であって、
前記貫通孔に収納されるとともに、前記可とう管を内部に挿入可能な円筒部と、該円筒部の一端から広がって形成され、前記貫通孔の一端の開口周縁における前記被貫通部材の一方側の面に当接する鍔部と、挿入された前記可とう管の蛇腹形状の谷部に係合して前記可とう管の一方方向へのスライドを規制する爪部と、を有する外嵌部材と、
該円筒部の他端側の内周面に形成された雌螺子に螺合する雄螺子が外周面全幅に渡って形成され、前記可とう管を内部に挿入する筒状の筒ボルト部材と、
該筒ボルト部材の前記雄螺子に螺合して、前記被貫通部材の他方側の面に当接するナット部材と、を備えることを特徴とする可とう管固定具。
【請求項2】
前記爪部は、一端が前記円筒部の内周面に固定され、他端が前記筒ボルト部材に向かって尖って形成され、前記筒ボルト部材の先端と当接可能な弾性体の腕部と、該腕部に支持されて前記谷部に係合する係止爪と、を有し、
前記筒ボルト部材の先端が前記腕部の他端を押圧すると、前記腕部が弾性変形することにより、前記係止爪が前記可とう管の蛇腹形状から離反することを特徴とする請求項1に記載の可とう管固定具。
【請求項3】
前記外嵌部材の前記円筒部の外周は、前記貫通孔の内周と略同径であって、前記筒ボルト部材の内周は、前記可とう管の外周と略同径であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可とう管固定具。
【請求項4】
前記筒ボルト部材の外周側における前記外嵌部材と前記ナット部材の間には、前記筒ボルト部材と前記貫通孔との間隙を埋めるコーキング剤が注入されるとともに、
前記筒ボルト部材の内周面は、少なくとも前記可とう管の蛇腹形状の1つの山部と密着する防水部材が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の可とう管固定具。
【請求項1】
建築物を構成する被貫通部材に設けられた貫通孔に挿入される蛇腹形状の可とう管を、当該貫通孔に固定する可とう管固定具であって、
前記貫通孔に収納されるとともに、前記可とう管を内部に挿入可能な円筒部と、該円筒部の一端から広がって形成され、前記貫通孔の一端の開口周縁における前記被貫通部材の一方側の面に当接する鍔部と、挿入された前記可とう管の蛇腹形状の谷部に係合して前記可とう管の一方方向へのスライドを規制する爪部と、を有する外嵌部材と、
該円筒部の他端側の内周面に形成された雌螺子に螺合する雄螺子が外周面全幅に渡って形成され、前記可とう管を内部に挿入する筒状の筒ボルト部材と、
該筒ボルト部材の前記雄螺子に螺合して、前記被貫通部材の他方側の面に当接するナット部材と、を備えることを特徴とする可とう管固定具。
【請求項2】
前記爪部は、一端が前記円筒部の内周面に固定され、他端が前記筒ボルト部材に向かって尖って形成され、前記筒ボルト部材の先端と当接可能な弾性体の腕部と、該腕部に支持されて前記谷部に係合する係止爪と、を有し、
前記筒ボルト部材の先端が前記腕部の他端を押圧すると、前記腕部が弾性変形することにより、前記係止爪が前記可とう管の蛇腹形状から離反することを特徴とする請求項1に記載の可とう管固定具。
【請求項3】
前記外嵌部材の前記円筒部の外周は、前記貫通孔の内周と略同径であって、前記筒ボルト部材の内周は、前記可とう管の外周と略同径であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可とう管固定具。
【請求項4】
前記筒ボルト部材の外周側における前記外嵌部材と前記ナット部材の間には、前記筒ボルト部材と前記貫通孔との間隙を埋めるコーキング剤が注入されるとともに、
前記筒ボルト部材の内周面は、少なくとも前記可とう管の蛇腹形状の1つの山部と密着する防水部材が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の可とう管固定具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−11618(P2010−11618A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167203(P2008−167203)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
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