説明

可変特性電動機

【課題】電動機の特性変化時にモータトルクが向上して、レイアウトに関する不利を解消し得るようにした電動機を提供する。
【解決手段】高回転から低回転への移行で誘起電圧の抑制が不要になったとき、補助磁石列11,12を(a)の位置に上昇させる。このとき、エアギャップに平行な方向に起磁された補助磁束β1は磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和する向きに切り替わり、補助磁束β2は界磁磁束αに対し順方向のものとなる向きに切り替わる。界磁磁束αに対し順方向の補助磁束β2は界磁磁束αを強めて電動機の出力を増大させる。よって低回転時は、磁気抵抗が小さく、効率の良い大きな出力で電動機を動作させることができ、電動機がレイアウト的に不利になることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機子鉄心およびこれに巻き付けた電機子巻線より成る電機子と、界磁鉄心に極性の異なる永久磁石を交互に設けて成る界磁子とで構成され、該永久磁石が起磁させた、電機子および界磁子間のエアギャップに直角な方向の界磁磁束により駆動される回転モータやリニヤモータなどの電動機に関し、特に動作特性を可変にした可変特性電動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種可変特性電動機としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
この可変特性電動機は、高速回転時に顕著となる誘起電圧を低減させるため、高速回転時に磁路を磁性材プレートにより短絡させて上記の界磁磁束を低減させ、これにより、高回転時の誘起電圧を抑制し得るようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−314053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の磁気的な短絡を行うための磁性材プレートは、上記した界磁磁束の低減作用を行うだけで、モータトルクの増大に何ら寄与しないため、レイアウト的に不利になるという問題があった。
【0005】
本発明は、電動機の特性を変化させるとき、併せてモータトルクを向上させ得るような可変特性電動機を提案し、
これにより上記従来のレイアウトに関する不利を解消し得るようになすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明による可変特性電動機は、請求項1に記載のごとく、
電機子鉄心およびこれに巻き付けた電機子巻線より成る電機子と、界磁鉄心に極性の異なる永久磁石を交互に設けて成る界磁子とで構成され、該永久磁石が起磁させた、電機子および界磁子間のエアギャップに直角な方向の界磁磁束により駆動される電動機において、
前記界磁子は前記永久磁石を主磁石としてを具えるほか、前記エアギャップに平行な方向の補助磁束を発生する補助磁石を設け、
該補助磁石の極性を切り替えて補助磁束の向きを切り替えることにより、磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和すると共に前記主磁石による界磁磁束を助勢したり、磁気抵抗を増大させて磁気飽和し易くすると共に前記主磁石による界磁磁束を減勢するよう構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
かかる本発明の可変特性電動機によれば、
高速駆動から低速駆動への移行で誘起電圧の抑制が不要となって、そのための特性変更用に補助磁石の極性切り替えを行うとき、
補助磁束の向きが、磁気抵抗を大きくして磁気飽和し易くすると共に主磁石による界磁磁束を減勢する高速駆動用(誘起電圧抑制用)の方向から、磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和すると共に主磁石による界磁磁束を助勢する低速駆動用の方向へと切り替わる。
【0008】
このため、高速駆動から低速駆動への移行で誘起電圧の抑制が不要となったときは、主磁石による界磁磁束が上記補助磁束による助勢分だけ増大されることとなり、
かかる界磁磁束の増大で電動機の出力を増大させ得て、電動機がレイアウト的に不利になることがなく、前記した従来の電動機が抱えていた問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例になる可変特性電動機を示す斜視図である。
【図2】同実施例になる可変特性電動機の低回転時における状態を示し、 (a)は、その電機子を除去して示す平面図、 (b)は、その縦断正面図である。
【図3】同実施例になる可変特性電動機の高回転時における状態を示し、 (a)は、その電機子を除去して示す平面図、 (b)は、その縦断正面図である。
【図4】図1〜3における可変特性電動機の変形例を示す、図2(b)および図3(b)と同様な縦断正面図である。
【図5】図1〜3の可変特性電動機における主磁石列および補助磁石列の配列状態に係わる変形例を示す縦断正面図である。
【図6】主磁石列および補助磁石列の配列状態と、それによって得られる界磁磁束の大きさとの関係を示す特性線図である。
【図7】本発明の第2実施例になる可変特性電動機を、電機子が除去された状態で示す平面図で、 (a)は、低回転時の状態を示す平面図、 (b)は、高回転時の状態示す平面図である。
【図8】本発明の第3実施例になる可変特性電動機を、電機子が除去された状態で示す平面図で、 (a)は、低回転時の状態を示す平面図、 (b)は、高回転時の状態示す平面図である。
【図9】本発明の第4実施例になる可変特性電動機を示し、 (a)は、その低回転時における状態を示す縦断正面図、 (b)は、その高回転時における状態を示す縦断正面図である。
【図10】図9に示した可変特性電動機の変形例を示し、 (a)は、その低回転時における状態を示す縦断正面図、 (b)は、その高回転時における状態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図示の実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1は、リニアモータまたは回転電機として構成可能な本発明の第1実施例になる可変特性電動機の斜視図で、図2,3はそれぞれ、図1の可変特性電動機の低回転時における状態および高回転時における状態を示す。
図1に示すように、本実施例の可変特性電動機を固定の電機子1および可動の界磁子2で構成する。
【0011】
電機子1は、図2(b)および図3(b)に示すコ字状の電機子鉄心3を図1のごとく電動機駆動方向に配列して固設し、各電機子鉄心3に電機子巻線4を巻き付けて構成する。
界磁子2は、二列1組の永久磁石列5,6を具え、これら永久磁石列5,6をそれぞれ図2(a)および図3(a)に示すごとく、N極の主磁石5a,6aとS極の主磁石5b,6bとの交互配列により構成する。
この交互配列に際しては、N極の主磁石5aとS極の主磁石6bとが相互に向かい合い、S極の主磁石5b とN極の主磁石6aとが相互に向かい合うよう配列する。
【0012】
主磁石5a,5bの交互配列方向、および主磁石6a,6bの交互配列方向はそれぞれ、コ字状電機子鉄心3の配列方向に同じとする。
図2(b)および図3(b)に示すごとく、主磁石5a,5bの交互配列になる永久磁石列5は、コ字状電機子鉄心3の一方の脚部列に所定のエアギャップを持たせて対向配置し、界磁鉄心7に取着する。
また同じく図2(b)および図3(b)に示すように、主磁石6a,6bの交互配列になる永久磁石列6は、コ字状電機子鉄心3の他方の脚部列に所定のエアギャップを持たせて対向配置し、界磁鉄心8に取着する。
【0013】
図2(a),(b)および図3(a),(b)に示すごとく、上記の配置としたことで永久磁石列5,6間に生じた隙間に補助磁石列11,12を設ける。
補助磁石列11は、図2(a)および図3(a)に示すごとく、N極の永久磁石11aとS極の永久磁石11bとの交互配列により構成する。
補助磁石列12も、同じく図2(a)および図3(a)に示すごとく、N極の永久磁石12aとS極の永久磁石12bとの交互配列により構成する。
【0014】
補助磁石11a,11b,12a,12bはそれぞれ、主磁石11a,11b,12a,12bと同方向に配列して、共通な鉄心ロッド13に取着する。
この鉄心ロッド13は、補助磁石列11,12を伴い永久磁石列5,6間の隙間内で、永久磁石列5,6に対し相対的にストローク可能とし、
図2(a)に示す低回転用の第1位置と、図3(a)に示す高回転用の第2位置との間で位置切り替えされるものとする。
【0015】
なお、図2(a)に示す低回転用の第1位置では、N極の補助磁石11a,12aがN極の主磁石5a,6aに対向すると共に、S極の補助磁石11b,12bがS極の主磁石5b,6bに対向するものとし、
図3(a)に示す高回転用の第2位置では、N極の補助磁石11a,12aがS極の主磁石5b,6bに対向すると共に、S極の補助磁石11b,12bがN極の主磁石5a,6aに対向するものとする。
【0016】
<第1実施例の作用>
上記した第1実施例になる可変特性電動機の作用を以下に説明する。
本実施例においては、電機子1の巻線3への通電により永久磁石列5,6は、電機子1および界磁子2間に図2(b)、図3(b)に示すごとく、両者間のエアギャップに直角な方向の界磁磁束αを起磁させ、この界磁磁束αにより界磁子2が駆動される。
【0017】
ところで高回転時は、誘起電圧が大きくなって電動機の効率が低下することから、この誘起電圧が低減された特性で電動機を動作させる必要があり、
他方で低回転時は誘起電圧が大きくならないことから、この誘起電圧を低減させる必要がなくて、磁気抵抗の小さな特性で電動機を動作させるのが良い。
【0018】
よって、低回転時は補助磁石列11,12を図2(a)に示す低回転用の第1位置にし、N極の補助磁石11a,12aがN極の主磁石5a,6aに対向すると共に、S極の補助磁石11b,12bがS極の主磁石5b,6bに対向するようになす。
これにより補助磁石列11,12は、電機子1および界磁子2との共働により図2(b)に示すごとく、電機子1および界磁子2間のエアギャップに平行な矢印方向の補助磁束β1を起磁し、上記主磁石列5,6による界磁磁束αと同じ向きの補助磁束β2を発生させる。
【0019】
これら補助磁束β1,β2のうち、一方の補助磁束β1は磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和し、他方の補助磁束β2は図2(b)に示すように、上記主磁石列5,6による界磁磁束αに対し順方向のものであることから、界磁磁束αを助勢して強めることにより電動機の出力を増大させることができる。
以上により低回転時は、磁気抵抗が小さく、効率の良い大きな出力で電動機を動作させることができ、電動機がレイアウト的に不利になることがなく、前記した従来の電動機が抱えていた問題を解消することができる。
【0020】
高回転時は補助磁石列11,12を図3(a)に示す高回転用の第2位置にし、N極の補助磁石11a,12aがS極の主磁石5b,6bに対向すると共に、S極の補助磁石11b,12bがN極の主磁石5a,6aに対向するようになす。
これにより補助磁石列11,12は、電機子1および界磁子2との共働により図3(b)に示すごとく、電機子1および界磁子2間のエアギャップに平行な矢印方向{図2(b)の場合とは逆向き}の補助磁束β3を起磁し、上記主磁石列5,6による界磁磁束αと逆向きの補助磁束β4を発生させる。
【0021】
これら補助磁束β3,β4のうち、一方の補助磁束β3は磁気抵抗を増大させて磁気飽和し易くし、他方の補助磁束β4は図3(b)に示すように、上記主磁石列5,6による界磁磁束αに対し逆方向のものであることから、界磁磁束αを減勢して弱めることにより電動機の出力を低下させることができる。
以上により高回転時は、磁気抵抗の大きな低出力特性で電動機を動作させることとなり、当該高回転時に大きくなる誘起電圧を抑制して、電動機の効率が低下するのを回避することができる。
【0022】
<界磁子の変形例>
ここで、上記した第1実施例における界磁子2の変形例について、図4,5を参照しつつ以下に詳述する。
図4の変形例では、補助磁石列を1個の補助磁石列14のみとし、これを鉄心ロッド15に設けたものである。
かかる変形例になる界磁子2によっても、上記した作用効果を同様に達成することができる。
【0023】
また、図1〜3のごとく界磁子2に2列の補助磁石列11,12を設けるか、図4のごとく界磁子2に1個の補助磁石列14を設けるかにかかわらず、主磁石列5,6の配置および補助磁石列11,12(14)の配置は、図5に示すようなものとするのがよい。
なお図5では、界磁子2が補助磁石列11,12を有する場合について示した。
【0024】
つまり、界磁子鉄心7,8に対する主磁石列5,6の配置は、主磁石列5,6を界磁子鉄心7,8から露出することのないよう界磁子鉄心7,8内に埋め込む型式の埋め込み配置とし、
鉄心ロッド13に対する補助磁石列11,12の配置は、補助磁石列11,12が鉄心ロッド13から露出するよう鉄心ロッド13に対し取着する表面配置とする。
【0025】
かように、主磁石列5,6を界磁子鉄心7,8に埋め込み配置し、補助磁石列11,12を鉄心ロッド13に表面配置した理由は以下の通りである。
図6において、A1は、主磁石列5,6を同図の直下に図示するごとく界磁子鉄心7,8に表面配置し、補助磁石列11,12を設けなかった(低回転時と高回転時とで特性を可変にしなかった)場合における界磁磁束の大きさΨを示す。
【0026】
またB1,B2はそれぞれ、主磁石列5,6を同図の直下に図示するごとく界磁子鉄心7,8に表面配置し、補助磁石列11,12も同図の直下に図示するごとく鉄心ロッド13に表面配置した場合において、低回転させる時の界磁磁束の大きさΨ、および高回転させる時の界磁磁束の大きさΨを示す。
【0027】
更にB3,B4はそれぞれ、主磁石列5,6を同図の直下に図示するごとく界磁子鉄心7,8に埋設配置し、補助磁石列11,12も同図の直下に図示するごとく鉄心ロッド13に埋設配置した場合において、低回転させる時の界磁磁束の大きさΨ、および高回転させる時の界磁磁束の大きさΨを示す。
【0028】
そしてB5,B6はそれぞれ、主磁石列5,6を同図の直下に図示するごとく界磁子鉄心7,8に埋設配置し、補助磁石列11,12を同図の直下に図示するごとく鉄心ロッド13に表面配置した場合において、低回転させる時の界磁磁束の大きさΨ、および高回転させる時の界磁磁束の大きさΨを示す。
【0029】
B1〜B6の比較から明らかなように、B5,B6の性能が得られる、主磁石列5,6の埋設配置と、補助磁石列11,12の表面配置との組み合わせによれば、A1性能からの界磁磁束増加代が最も大きく、また低回転時と高回転時との間における特性変化代も最大になって、前記した作用効果を最も顕著に奏し得る。
【0030】
この観点から第1実施例においては、図5につき前述した通り、界磁子鉄心7,8に対する主磁石列5,6の配置は、主磁石列5,6を界磁子鉄心7,8から露出することのないよう界磁子鉄心7,8内に埋め込む型式の埋め込み配置とし、
鉄心ロッド13に対する補助磁石列11,12の配置は、補助磁石列11,12が鉄心ロッド13から露出するよう鉄心ロッド13に対し取着する表面配置とするのがよい。
【0031】
<第2実施例>
図7は、本発明の第2実施例を示し、本実施例では補助磁石列11,12を、1個の主磁石5a,5b,6a,6bに対し長さが同じ3個の補助磁石が対峙する3極構造となす。
【0032】
そして、図7(a)に示す低回転用の第1位置では、2個のN極補助磁石11a(12a)が1個のN極主磁石5a(6a)に対向すると共に、2個のS極補助磁石11b(12b)が1個のS極主磁石5b(6b)に対向するものとし、
図7(b)に示す高回転用の第2位置では、2個のN極補助磁石11a(12a)が1個のS極主磁石5b(6b)に対向すると共に、2個のS極補助磁石11b(12b)が1個のN極主磁石5a(6a)に対向するものとする。
【0033】
かように補助磁石列11,12を3極構造にする場合、電機子巻線4への供給電流に、該3極構造に応じた励磁成分を重畳することにより、補助磁石列11,12を、図7(a)に示す低回転用の第1位置と、図7(b)に示す高回転用の第2位置との間で変位させることができ、
補助磁石列11,12の当該変位を生起させるための専用のアクチュエータが不要となり、コスト的に有利である。
【0034】
<第3実施例>
図8は、本発明の第3実施例を示し、本実施例では補助磁石列11,12を、図7の第2実施例と同様な3極構造とするが、
3個の補助磁石11a,11b,12a,12bのうち、1個の補助磁石を他の2個の補助磁石よりも短くしたものである。
【0035】
つまり第2実施例と同じく、図8(a)に示す低回転用の第1位置では、2個のN極補助磁石11a(12a)が1個のN極主磁石5a(6a)に対向すると共に、2個のS極補助磁石11b(12b)が1個のS極主磁石5b(6b)と対向するようにし、
図8(b)に示す高回転用の第2位置では、2個のN極補助磁石11a(12a)が1個のS極主磁石5b(6b)に対向すると共に、2個のS極補助磁石11b(12b)が1個のN極主磁石5a(6a)と対向するようにするが、
上記2個のN極補助磁石11a,11a間におけるS極補助磁石11b、上記2個のS極補助磁石11b,11b間におけるN極補助磁石11a、上記2個のN極補助磁石12a,12a間におけるS極補助磁石12b、上記2個のS極補助磁石12b,12b間におけるN極補助磁石12aをそれぞれ、第2実施例よりも短くし、その分だけ他の補助磁石を同等に長くする。
【0036】
かかる構成によれば、第2実施例と同様の作用効果を達成し得るほかに、主磁石列5,6による界磁磁束を弱める方向、或いは強める方向とは逆向きの補助磁束を低減することができるという作用効果を奏し得る。
【0037】
<第4実施例>
図9は、本発明の第4実施例になる可変特性電動機を示し、本実施例においては、基本的に図1〜3の第1実施例と同様に構成するが、
界磁子2の主磁石列5,6間に設ける補助磁石列を、第1実施例のように永久磁石列11,12で構成する代わりに、電磁石31で構成する。
【0038】
かかる構成によれば、図9(a)の低回転時と同図(b)の高回転時とで電磁石31に流れる電流の方向を逆転させることにより、前記したと同様な特性変更作用が得られる。
従って、電磁石31を変位させる必要がなく、これを主磁石列5,6に一体化させることができて、構成の簡易化を図ることができる。
【0039】
なおこの場合、図10に示すごとく電磁石31の中心を空洞32とするのが良い。
かかる空心電磁石31によれば、図10(a)の低回転時と同図(b)の高回転時とで電磁石31に流れる電流の方向を逆転させることにより得られる上記の特性変更作用を一層確実なものとなし得る。
【符号の説明】
【0040】
1 電機子
2 界磁子
3 電機子鉄心
4 電機子巻線
5,6 主磁石列
5a,6a N極永久磁石
5b,6b S極永久磁石
7,8 界磁鉄心
11,12 補助磁石列
11a,12a N極永久磁石
11b,12b S極永久磁石
13 鉄心ロッド
31 電磁石
32 空洞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子鉄心およびこれに巻き付けた電機子巻線より成る電機子と、界磁鉄心に極性の異なる永久磁石を交互に設けて成る界磁子とで構成され、該永久磁石が起磁させた、電機子および界磁子間のエアギャップに直角な方向の界磁磁束により駆動される電動機において、
前記界磁子は前記永久磁石を主磁石としてを具えるほか、前記エアギャップに平行な方向の補助磁束を発生する補助磁石を設け、
該補助磁石の極性を切り替えて補助磁束の向きを切り替えることにより、磁気抵抗を低下させて磁気飽和を緩和すると共に前記主磁石による界磁磁束を助勢したり、磁気抵抗を増大させて磁気飽和し易くすると共に前記主磁石による界磁磁束を減勢するよう構成したことを特徴とする可変特性電動機。
【請求項2】
請求項1に記載の可変特性電動機において、
前記界磁子上の主磁石を二列1組とし、前記補助磁石も極性の異なる永久磁石の交互配列になる二列1組の磁石列とし、これら補助磁石列を一体的に主磁石列間で変位させて前記極性の切り替えを行うことにより、前記界磁磁束の助勢状態または前記界磁磁束の減勢状態を得るよう構成したことを特徴とする可変特性電動機。
【請求項3】
請求項2に記載の可変特性電動機において、
前記補助磁石列を、1個の主磁石に対し3個の補助磁石が対峙する3極構造となし、
前記電機子巻線への供給電流に、該3極構造に応じた励磁成分を重畳することにより、前記補助磁石列の変位を生起させるよう構成したことを特徴とする可変特性電動機。
【請求項4】
請求項3に記載の可変特性電動機において、
前記3個の補助磁石のうち、1個の補助磁石を他の2個の補助磁石よりも短くしたことを特徴とする可変特性電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−183651(P2010−183651A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22132(P2009−22132)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】