説明

可搬型ネットワーク接続装置及びその設定方法、並びに、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】ルータが存在する場合と存在しない場合とで、可搬型ネットワーク接続装置に適切な役割を果たさせる。
【解決手段】可搬型ネットワーク接続装置は、ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置であり、ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードと、ルータ機能部として動作する第2の動作モードとのうち、いずれかの動作モードに設定されて動作するパケット転送処理部と、他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信するための受信部と、通知パケットが受信されるとパケット転送処理部の動作モードを第1の動作モードに設定する動作モード制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにおけるパケットの中継技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やオフィスにおいて、パーソナルコンピュータやゲーム機等の無線LANクライアント(以下、単に「クライアント」又は「ステーション」とも呼ぶ)をネットワークに接続させるために、無線LANアクセスポイント(以下、単に「アクセスポイント」とも呼ぶ)が広く利用されている。アクセスポイントがルータと接続されることにより、クライアントは、アクセスポイント及びルータを介してインターネットに接続することができる。ルータは、例えば、ホームゲートウェイとしてISP(Internet Services Provider)事業者により提供される。或いは、ルータ機能とアクセスポイント機能の両方を有する無線LANルータが用いられる場合もある。
【0003】
アクセスポイントとして、可搬型(携帯型)の装置が提案されている。このような装置として、アクセスポイントとしての機能に加え、3G/HSPA(High Speed Packet Access)回線等の移動体通信網を介した無線通信を行う機能部を有する装置(可搬型ネットワーク接続装置)が用いられる。ユーザは、可搬型ネットワーク接続装置を用いることにより、例えば、屋外においてパーソナルコンピュータをインターネットに接続することができる。具体的には、ユーザが、パーソナルコンピュータをクライアントとして、また、可搬型ネットワーク接続装置をアクセスポイントとして、それぞれ機能させることにより、パーソナルコンピュータから可搬型ネットワーク接続装置にデータを送信させることができる。加えて、ユーザが、可搬型ネットワーク接続装置をルータとして機能させることで、可搬型ネットワーク接続装置において、パーソナルコンピュータから受信したデータを、移動体通信網を介してインターネットへと送信させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−142907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが、上述の可搬型ネットワーク接続装置を外出先から持ち帰り、家庭内のネットワークに接続すると、既にホームゲートウェイが存在する場合には、家庭内のネットワークにルータ(ルータ機能を有する装置)が2台存在することとなる。この場合、家庭内のネットワークのクライアントに対していずれのルータをゲートウェイとして利用するかを手動で設定しなければならなかった。また、この際に何らかの設定ミスがあると、データのやりとりが正常に行えないおそれがあった。
【0006】
一方、上述したように、ユーザが可搬型ネットワーク接続装置を屋外に持ち出した際には、可搬型ネットワーク装置をルータとして機能させることにより、パーソナルコンピュータをインターネット接続させることができる。特に、屋外において、ユーザが可搬型ネットワーク接続装置を用いて複数のパーソナルコンピュータをインターネット接続させる場合に、可搬型ネットワーク接続装置をルータとして機能させたいという要請があった。この理由は、複数のパーソナルコンピュータのそれぞれについてISP事業者とインターネット接続サービス契約を結んでおかなくとも、可搬型ネットワーク接続装置についてのみISP事業者と契約を結んでおけば、複数のパーソナルコンピュータを、可搬型ネットワーク接続装置を介してインターネット接続させることができるからである。このように、ホームゲートウェイが存在しない環境では、可搬型ネットワーク接続装置をルータとして機能させたいという要請があった。
【0007】
しかしながら、従来においては、ホームゲートウェイが存在する場合と存在しない場合とで可搬型ネットワーク接続装置が果たすべき役割について十分に検討されていないのが実情であった。このような問題は、家庭内のネットワークに限らず、企業内のネットワークにおいても、可搬型ネットワーク接続装置とは別に、他のルータ(ルータとして機能する装置)が存在する場合に発生し得る。
【0008】
本発明は、ルータが存在する場合と存在しない場合とで、可搬型ネットワーク接続装置に適切な役割を果たさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置であって、
ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードと、ルータ機能部として動作する第2の動作モードとのうち、いずれかの動作モードに設定されて動作するパケット転送処理部と、
他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信するための受信部と、
前記通知パケットが受信されると、前記パケット転送処理部の動作モードを前記第1の動作モードに設定する動作モード制御部と、
を備える、可搬型ネットワーク接続装置。
【0011】
適用例1の可搬型ネットワーク接続装置によると、他のルータの存在を通知する通知パケットを受信するとパケット転送処理部の動作モードを第1の動作モードに設定するので、パケット転送処理部をブリッジ機能部として動作させることができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置と他のルータとが同一のネットワークに所属するケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置を適切な役割を果たさせることができる。すなわち、このようなケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置をブリッジ(ブリッジ装置)として機能させることにより、ネットワーク内にルータ機能を有する装置が複数存在することを抑制でき、ネットワークを介したデータのやりとりを正常に行わせることができる。また、通知パケットの受信により動作モードが切り替わるので、ユーザが特別な操作を行うことなく簡便に動作モードを切り替えることができる。また、通知パケットの受信により動作モードが切り替わるので、他のルータが存在する場合に確実に動作モードを切り替えることができる。それゆえ、動作モードの切り替え誤動作を抑制できる。なお、パケットとは、レイヤ3のパケットに限らず、例えば、レイヤ2フレームなどの任意のレイヤにおける処理単位となるデータのまとまりを含む広い意味を有する。
【0012】
[適用例2]ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置であって、
ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードと、ルータ機能部として動作する第2の動作モードとのうち、いずれかの動作モードに設定されて動作するパケット転送処理部と、
他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信するための受信部と、
前記通知パケットが受信されないと、前記パケット転送処理部の動作モードを前記第2の動作モードに設定する動作モード制御部と、
を備える、可搬型ネットワーク接続装置。
【0013】
適用例2の可搬型ネットワーク接続装置によると、他のルータの存在を通知する通知パケットを受信しないとパケット転送処理部の動作モードを第2の動作モードに設定するので、パケット転送処理部をルータ機能部として動作させることができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置が所属するネットワークに他のルータが存在しないケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置を適切な役割を果たさせることができる。すなわち、このようなケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置が所属するネットワーク内のクライアントは、自らの所属するネットワークとは異なるネットワークにデータを送信する際に、可搬型ネットワーク接続装置をゲートウェイ装置として特定することができるので、異なるネットワークにデータを正常に送信することができる。また、通知パケットを受信しないことにより動作モードが切り替わるので、ユーザが特別な操作を行うことなく簡便に動作モードを切り替えることができる。また、通知パケットを受信しないことにより動作モードが切り替わるので、他のルータが存在しない場合に確実に動作モードを切り替えることができる。それゆえ、動作モードの切り替え誤動作を抑制できる。なお、パケットとは、レイヤ3のパケットに限らず、例えば、レイヤ2フレームなどの任意のレイヤにおける処理単位となるデータのまとまりを含む広い意味を有する。
【0014】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、さらに、
他のルータに対して、前記通知パケットの出力を要求するパケットである出力要求パケットを送信する送信部を備える、可搬型ネットワーク接続装置。
【0015】
このような構成により、他のルータが自律的に通知パケットを出力するまで待つことなく、他のルータに対して積極的に通知パケットの出力を要求できるので、通知パケットの受信の有無によるルータの存在の有無を短期間で判定することをできる。
【0016】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)を用いた仮想ルータとして動作可能であり、
前記通知パケットは、VRRP広告メッセージを示すパケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【0017】
このような構成により、他のルータがVRRPの仮想ルータとして動作するケースにおいて、そのルータの存在の有無を正確に検出することができる。加えて、通知パケットとしてVRRP広告メッセージを示すパケットを含むので、可搬型ネットワーク接続装置の受信部として、VRRPを実現するための機能部であって、VRRP広告メッセージを示すパケットを受信する機能部を用いることができる。したがって、VRRP広告メッセージを示すパケットを受信する機能部とは別に通知パケットの受信用の機能部を設けることを要しないため、可搬型ネットワーク接続装置の製造コストを抑制できる。
【0018】
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記通知パケットは、UPnP(Universal Plug and Play)におけるIGD(Internet Gateway Device)広告メッセージを示すパケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【0019】
このような構成により、他のルータがUPnP(Universal Plug and Play)のIGD(Internet Gateway Device)として動作するケースにおいて、そのルータの存在の有無を正確に検出することができる。加えて、通知パケットとしてIGD広告メッセージを示すパケットを含むので、可搬型ネットワーク接続装置の受信部として、UPnPを実現するための機能部であって、IGD広告メッセージを示すパケットを受信する機能部を用いることができる。したがって、IGD広告メッセージを示すパケットを受信する機能部とは別に通知パケットの受信用の機能部を設けることを要しないため、可搬型ネットワーク接続装置の製造コストを抑制できる。
【0020】
[適用例6]適用例3に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記出力要求パケットは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを検索するためのパケットであり、
前記通知パケットは、DHCPにおけるDHCPサーバ応答パケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【0021】
このような構成により、他のルータがDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとして動作するケースにおいて、そのルータの存在の有無を正確に検出することができる。加えて、通知パケットとしてDHCPサーバ応答メッセージを示すパケットを含むので、可搬型ネットワーク接続装置の受信部として、DHCPを実現するための機能部であって、DHCPサーバ応答パケットを受信する機能部を用いることができる。したがって、DHCPサーバ応答パケットを受信する機能部とは別に通知パケットの受信用の機能部を設けることを要しないため、可搬型ネットワーク接続装置の製造コストを抑制できる。なお、出力要求パケットとしては、例えば、DHCPDISCOVERメッセージを含むパケットや、DHCPREQUESTメッセージを含むパケットなどが利用できる。また、通知パケットとしては、例えば、DHCPOFFERメッセージを含むパケットや、DHCPACKメッセージを含むパケットなどが利用できる。
【0022】
[適用例7]適用例3に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記出力要求パケットは、PPPoE(PPP over Ethernet(登録商標))サーバを検索するためのパケットであり、
前記通知パケットは、PPPoEにおけるPPPoEサーバ応答パケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【0023】
このような構成により、他のルータがPPPoE(PPP over Ethernet)サーバとして動作するケースにおいて、そのルータの存在の有無を正確に検出することができる。加えて、通知パケットとしてPPPoEサーバ応答パケットを含むので、可搬型ネットワーク接続装置の受信部として、PPPoEを実現するための機能部であって、PPPoEサーバ応答パケットを受信する機能部を用いることができる。したがって、PPPoEサーバ応答パケットを受信する機能部とは別に通知パケットの受信用の機能部を設けることを要しないため、可搬型ネットワーク接続装置の製造コストを抑制できる。なお、出力要求パケットとしては、例えば、PADIパケットなどを利用できる。また、通知パケットとしては、例えば、PADOパケットなどが利用できる。
【0024】
[適用例8]適用例3に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記動作モード制御部は、
(i)前記通知パケットとしてのVRRP広告メッセージの受信の有無を判定する第1種の判定と、
(ii)前記通知パケットとしてのUPnPにおけるIGD広告メッセージの受信の有無を判定する第2種の判定と、
(iii)前記通知パケットとしてのDHCPサーバ応答パケットの受信の有無を判定する第3種の判定と、
(iv)前記通知パケットとしてのPPPoEサーバ応答パケットの受信の有無を判定する第4種の判定と、
の4種類の判定のうちの少なくとも2つを含む複数種類の判定を行うとともに、
前記複数種類の判定のうちの少なくとも1種類の判定において前記通知パケットの受信が確認された場合に、前記パケット転送処理部の動作モードを前記第1の動作モードに設定する、可搬型ネットワーク接続装置。
【0025】
この構成によれば、複数種類の判定のうちの少なくとも1つにおいて通知パケットの受任が確認された場合に可搬型ネットワーク装置が第1の動作モードに設定されるので、他のルータが様々な種類のルータ動作のうちのいずれかを行ったときに、そのルータの存在を検出することが可能である。この結果、可搬型ネットワーク装置の動作モードをより確実に設定可能である。
【0026】
[適用例9]ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定する方法であって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードとルータ機能部として動作する第2の動作モードとを有し、
(a)前記可搬型ネットワーク接続装置において、他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信する工程と、
(b)前記可搬型ネットワーク接続装置において、前記通知パケットが受信されると、前記動作モードを前記第1の動作モードに設定する工程と、を備える、方法。
【0027】
適用例9の方法によると、他のルータの存在を通知する通知パケットを受信するとパケット転送処理部の動作モードを第1の動作モードに設定するので、パケット転送処理部をブリッジ機能部として動作させることができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置と他のルータとが同一のネットワークに所属するケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置を適切な役割を果たさせることができる。すなわち、このようなケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置をブリッジ(ブリッジ装置)として機能させることにより、ネットワーク内にルータ機能を有する装置が複数存在することを抑制でき、ネットワークを介したデータのやりとりを正常に行わせることができる。また、通知パケットの受信により動作モードが切り替わるので、ユーザが特別な操作を行うことなく簡便に動作モードを切り替えることができる。また、通知パケットの受信により動作モードが切り替わるので、他のルータが存在する場合に確実に動作モードを切り替えることができる。それゆえ、動作モードの切り替え誤動作を抑制できる。なお、パケットとは、レイヤ3のパケットに限らず、例えば、レイヤ2フレームなどの任意のレイヤにおける処理単位となるデータのまとまりを含む広い意味を有する。
【0028】
[適用例10]ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定する方法であって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードとルータ機能部として動作する第2の動作モードとを有し、
他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットが受信されないと、前記動作モードを前記第2の動作モードに設定する工程を備える、方法。
【0029】
適用例10の方法によると、他のルータの存在を通知する通知パケットを受信しないとパケット転送処理部の動作モードを第2の動作モードに設定するので、パケット転送処理部をルータ機能部として動作させることができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置が所属するネットワークに他のルータが存在しないケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置を適切な役割を果たさせることができる。すなわち、このようなケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置が所属するネットワーク内のクライアントは、自らの所属するネットワークとは異なるネットワークにデータを送信する際に、可搬型ネットワーク接続装置をゲートウェイ装置として特定することができるので、異なるネットワークにデータを正常に送信することができる。また、通知パケットを受信しないことにより動作モードが切り替わるので、ユーザが特別な操作を行うことなく簡便に動作モードを切り替えることができる。また、通知パケットを受信しないことにより動作モードが切り替わるので、他のルータが存在しない場合に確実に動作モードを切り替えることができる。それゆえ、動作モードの切り替え誤動作を抑制できる。なお、パケットとは、レイヤ3のパケットに限らず、例えば、レイヤ2フレームなどの任意のレイヤにおける処理単位となるデータのまとまりを含む広い意味を有する。
【0030】
[適用例11]ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定するプログラムであって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する前記第1の動作モードとルータ機能部として動作する第2の動作モードとを有し、
前記可搬型ネットワーク接続装置において、他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信する機能と、
前記可搬型ネットワーク接続装置において、前記通知パケットが受信されると、前記動作モードを第1の動作モードに設定する機能と、を前記可搬型ネットワーク接続装置が有するコンピュータに実現させるためのプログラム。
【0031】
適用例11のプログラムによると、他のルータの存在を通知する通知パケットを受信するとパケット転送処理部の動作モードを第1の動作モードに設定するので、パケット転送処理部をブリッジ機能部として動作させることができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置と他のルータとが同一のネットワークに所属するケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置を適切な役割を果たさせることができる。すなわち、このようなケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置をブリッジ(ブリッジ装置)として機能させることにより、ネットワーク内にルータ機能を有する装置が複数存在することを抑制でき、ネットワークを介したデータのやりとりを正常に行わせることができる。また、通知パケットの受信により動作モードが切り替わるので、ユーザが特別な操作を行うことなく簡便に動作モードを切り替えることができる。また、通知パケットの受信により動作モードが切り替わるので、他のルータが存在する場合に確実に動作モードを切り替えることができる。それゆえ、動作モードの切り替え誤動作を抑制できる。なお、パケットとは、レイヤ3のパケットに限らず、例えば、レイヤ2フレームなどの任意のレイヤにおける処理単位となるデータのまとまりを含む広い意味を有する。
【0032】
[適用例12]ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定するプログラムであって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードとルータ機能部として動作する前記第2の動作モードとを有し、
前記可搬型ネットワーク接続装置において、他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットが受信されないと、前記動作モードを第2の動作モードに設定する機能を、前記可搬型ネットワーク接続装置が有するコンピュータに実現させるためのプログラム。
【0033】
適用例12のプログラムによると、他のルータの存在を通知する通知パケットを受信しないとパケット転送処理部の動作モードを第2の動作モードに設定するので、パケット転送処理部をルータ機能部として動作させることができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置が所属するネットワークに他のルータが存在しないケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置を適切な役割を果たさせることができる。すなわち、このようなケースにおいて、可搬型ネットワーク接続装置が所属するネットワーク内のクライアントは、自らの所属するネットワークとは異なるネットワークにデータを送信する際に、可搬型ネットワーク接続装置をゲートウェイ装置として特定することができるので、異なるネットワークにデータを正常に送信することができる。また、通知パケットを受信しないことにより動作モードが切り替わるので、ユーザが特別な操作を行うことなく簡便に動作モードを切り替えることができる。また、通知パケットを受信しないことにより動作モードが切り替わるので、他のルータが存在しない場合に確実に動作モードを切り替えることができる。それゆえ、動作モードの切り替え誤動作を抑制できる。なお、パケットとは、レイヤ3のパケットに限らず、例えば、レイヤ2フレームなどの任意のレイヤにおける処理単位となるデータのまとまりを含む広い意味を有する。
【0034】
[適用例13]適用例11または適用例12に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0035】
このような構成により、かかる記録媒体を用いてコンピュータにプログラムを読み取らせ、各機能を実現させることができる。
【0036】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、可搬型ネットワーク接続装置を含むシステム、可搬型ネットワーク接続装置またはシステムの制御方法、これらの方法、装置またはシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例としての可搬型ネットワーク接続装置を適用したネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】ネットワークシステムの第2の接続態様を示す説明図である。
【図3】ネットワークシステムの第3の接続態様を示す説明図である。
【図4】可搬型ネットワーク接続装置の詳細構成を示す説明図である。
【図5】ルータの詳細構成を示す説明図である。
【図6】第1実施例における可搬型ネットワーク接続装置の動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第2実施例の可搬型ネットワーク接続装置の詳細構成を示す説明図である。
【図8】第2実施例のルータの詳細構成を示す説明図である。
【図9】第2実施例における動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】第3実施例のルータの詳細構成を示す説明図である。
【図11】第3実施例における動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第4実施例のルータの詳細構成を示す説明図である。
【図13】第4実施例における動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
A.第1実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての可搬型ネットワーク接続装置を適用したネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。ネットワークシステム10は、ルータ500と、可搬型ネットワーク接続装置20と、第1クライアントCL1と、第2クライアントCL2と、第3クライアントCL3とを備えている。ネットワークシステム10は、システムに所属するクライアント(図1の例では3台のクライアントCL1,CL2,CL3)から送信されるパケット(レイヤ3パケット及びレイヤ2フレーム)を中継すると共に、クライアント宛のパケットを、クライアントに届けるためのシステムである。なお、クライアントの数は3台に限らず、1台以上の任意の数を採用することができる。
【0039】
ルータ500は、レイヤ3(OSI参照モデルの第3層)においてパケットを中継する据え置き型の装置であり、インターネットと接続されている。ルータ500は、ネットワークケーブルCaを介して可搬型ネットワーク接続装置20と接続されている。また、ルータ500は、ネットワークケーブルCbを介して第1クライアントCL1と接続されている。ルータ500は、例えば、ホームゲートウェイとしてISP(Internet Services Provider)事業者により提供される。なお、ルータ500の詳細構成は後述する。
【0040】
可搬型ネットワーク接続装置20は、本体100とクレードル200とを備えている。クレードル200は、ポート220を備えている。ポート220は、クレードル200と有線LANとを接続するためのポートであり、図1ではネットワークケーブルCaが接続されている。
【0041】
本体100は、レイヤ3またはレイヤ2においてパケット(フレーム)を中継する小型軽量の可搬型装置である。本体100は、クレードル200に対して着脱自在に接続し得る。なお、図1では、本体100は、クレードル200と接続されている。本体100は、パケットの転送処理の動作モードとして、2つの動作モードを有している。具体的には、本体100は、レイヤ2においてパケットを中継する動作モード(すなわち、ブリッジ装置として動作する動作モード)である第1動作モードと、レイヤ3においてパケットを中継する動作モード(すなわち、ルータ装置として動作する動作モード)である第2動作モードを有している。図1の例では、本体100は第1動作モードで動作している。なお、可搬型ネットワーク接続装置20の詳細構成は、後述する。
【0042】
本実施例において、3台のクライアントCL1,CL2,CL3は、いずれもパーソナルコンピュータである。第1クライアントCL1は、図示しない有線LANインタフェースを有しており、この有線LANインタフェース及びネットワークケーブルCbを介してルータ500に接続されている。第2クライアントCL2は、図示しない無線LANインタフェースを有しており、この無線LANインタフェースを介してルータ500と接続されている。第3クライアントCL3も、図示しない無線LANインタフェースを有しており、この無線LANインタフェースを介してネットワーク接続装置20と接続されている。図1では、ルータ500は無線LANの第1アクセスポイントとして動作し、第2クライアントCL2はこの第1アクセスポイントのクライアントとして動作している。また、ネットワーク接続装置20は、無線LANの第2アクセスポイントとして機能し、第3クライアントCL3はこの第2アクセスポイントのクライアントとして動作している。なお、ルータ500とネットワーク接続装置20が、同一の無線LANの中でそれぞれが無線アクセスポイントとして機能する場合には、両者に異なるBSSID(Basic Service Set Identifier)が設定されている。
【0043】
ネットワークシステム10では、各構成要素間の接続態様として、複数の接続態様を許容している。図1では、ネットワークシステム10の第1の接続態様を示している。第1の接続態様では、各構成要素は、いずれも同じロケーションA(例えば、家庭やオフィス)に配置されている。第1の接続態様では、ルータ500よりも下位側(インターネットから離れている側)には、1つのネットワークNW1が構成されている。なお、このネットワークNW1には、プライベートIP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられている。ルータ500におけるインターネットとの接続インタフェースには、グローバルIPアドレスが割り当てられている。ルータ500は、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスとの相互変換を行う機能(NAT(Network Address Translation)機能やNAPT(Network Address Port Translation)機能)を備えている。
【0044】
また、ルータ500及び可搬型ネットワーク接続装置20は、いずれもRFC(Request For Comment)3768、または3768および5798において規定されているルータ装置の冗長化プロトコルであるVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)に対応しており、VRRPを実行するための各種データが予め設定されている。第1の接続態様では、ルータ500と可搬型ネットワーク接続装置20とにより仮想ルータ装置800が形成されている。すなわち、ルータ500と可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)には、いずれも仮想的に同一のMAC(Media Access Control)アドレス及び仮想的に同一のIPアドレスが割り当てられ、これら2つの装置で1つの仮想的なルータ装置が形成されている。このように仮想ルータ装置800が形成されているのは、ネットワークシステム10におけるルータ機能の冗長性を確保するためである。すなわち、ルータ500が故障した場合に、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)を速やかにルータとして動作させることにより、ネットワークシステム10内にルータ機能を有する装置が存在しない期間を短縮することを目的としている。図1に示す移動体通信網の基地局は、可搬型ネットワーク接続装置20がル―タとして機能する場合に、可搬型ネットワーク接続装置20がインターネットに接続するための中継を行う設備である。但し、図1の接続形態では、可搬型ネットワーク接続装置20はバックアップルータとなっているため、基地局との無線通信は行っていない。
【0045】
ルータ500と可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)とは、いずれもVRRPに従ってVRRP広告メッセージ用のパケットを所定のマルチキャストアドレスに送信する。第1の接続態様では、ルータ500及び可搬型ネットワーク接続装置20は、いずれも相手から出力されるVRRP広告メッセージ用のパケットを受信している。VRRP広告メッセージには、送信元の装置に設定されているVRID(Virtual Router ID)や、優先度や、広告インターバル(VRRP広告メッセージの出力インターバル)や、仮想ルータ装置として用いる仮想的なIPアドレス及び仮想的なMACアドレス等が含まれる。したがって、VRRP広告メッセージは、これらの設定データを広告するためのメッセージであると共に、仮想ルータ装置として動作可能な装置の存在を広告するためのメッセージである。
【0046】
図2は、ネットワークシステムの第2の接続態様を示す説明図である。第2の接続態様では、各構成要素は同一のロケーションに配置されていない。具体的には、図2上段のロケーションAには、ルータ500と、第1クライアントCL1と、第2クライアントCL2と、ネットワークケーブルCbとが配置されている。図2下段のロケーションBには、本体100と、クレードル200と、第3クライアントCL3と、第4クライアントCL4と、ネットワークケーブルCaとが配置されている。なお、第1実施例において、ロケーションAとロケーションBとは、互いに大きく離れている(例えば、ロケーションAの無線LANアクセスポイントとロケーションBの無線LANクライアント間の通信ができない程度に離れている)。
【0047】
第4クライアントCL4は、他のクライアントCL1〜CL3と同様にパーソナルコンピュータであり、図示しない有線LANインタフェースを有している。第4クライアントCL4は、図示しない有線LANインタフェースと、ネットワークケーブルCaと、クレードル200とを介して本体100と接続されている。
【0048】
本体100は、図示しない移動体通信インタフェースを備えており、この移動体通信インタフェースを介して移動体通信網の基地局と無線通信を行う。
【0049】
第2の接続態様において、ロケーションAでは、本体100,クレードル200,第3クライアントCL3が撤去されたことを除き、図1に示す第1の接続態様と同じ状態が実現されている。具体的には、第1クライアントCL1は、ネットワークケーブルCbを介してルータ500と接続されており、第2クライアントCL2は無線を介してルータ500と接続されており、クライアントCL1,CL2のそれぞれは、ルータ500を通じてインターネットを介した通信を行うことができる。
【0050】
第2の接続態様において、ロケーションBでは、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)は、ルータ装置として動作している。具体的には、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)は、第3クライアントCL3又は第4クライアントCL4が出力するIPパケットを、移動体通信網に中継すると共に、移動体通信網から受信する第3クライアントCL3又は第4クライアントCL4宛のIPパケットを、第3クライアントCL3又は第4クライアントCL4に中継する。
【0051】
第2の接続態様は、例えば、ロケーションAにおいて図1に示す第1の接続態様が実現されている状態から、ユーザが、ルータ500からネットワークケーブルCaを撤去して、本体100,クレードル200,第3クライアントCL3をロケーションBに持ち出し、ネットワークケーブルCaに新たなクライアントである第4クライアントCL4を接続した場合に実現され得る。ロケーションAからの本体100等の持ち出しは、例えば、ユーザが、ロケーションBにおいて、新たなネットワークを構成すると共に、有線LANのインタフェースしか有さないクライアント(第4クライアントCL4)を新たなネットワークに参加させようとするような場合などに起こり得る。図2に示すように、ロケーションBでは、新たなネットワークNW2が構成されている。
【0052】
第2の接続態様では、ロケーションAにおいて、1台のルータ500により仮想ルータ装置800aが生成されている。また、ロケーションBにおいて、1台の可搬型ネットワーク接続装置20により仮想ルータ装置800bが形成されている。このように、各ロケーションA,Bにおいてそれぞれ仮想ルータ装置が形成されているのは、第2の接続態様では、ルータ500及び可搬型ネットワーク接続装置20は、互いに相手からのVRRP広告メッセージ用のパケットを受信できないからである。
【0053】
図3は、ネットワークシステムの第3の接続態様を示す説明図である。第3の接続態様では、第2の接続態様と同様に、各構成要素は同一のロケーションに配置されていない。具体的には、図3上段のロケーションAには、ルータ500と、クレードル200と、第1クライアントCL1と、第2クライアントCL2と、ネットワークケーブルCaと、ネットワークケーブルCbとが配置されている。図3下段のロケーションCには、本体100と、第3クライアントCL3と、第5クライアントCL5とが配置されている。なお、ロケーションAとロケーションCとは、互いに大きく離れている(例えば、ロケーションAの無線LANアクセスポイントとロケーションCの無線LANクライアント間の通信ができない程度に離れている)。
【0054】
第5クライアントCL5は、他のクライアントCL1〜CL4と同様にパーソナルコンピュータであり、図示しない無線LANインタフェースを有している。第5クライアントCL5は、図示しない無線LANインタフェースを介して本体100と接続されている。
【0055】
第3の接続態様において、ロケーションAでは、本体100及び第3クライアントCL3が撤去されたことを除き、第1の接続態様と同じ状態が実現されている。具体的には、第1クライアントCL1は、ネットワークケーブルCbを介してルータ500と接続されており、第2クライアントCL2は無線を介してルータ500と接続されており、クライアントCL1,CL2のそれぞれは、ルータ500を通じてインターネットを介した通信を行うことができる。
【0056】
第3の接続態様において、ロケーションCでは、本体100は、ルータ装置として動作している。具体的には、第3クライアントCL3又は第5クライアントCL5から出力されるIPパケットを、移動体通信網に中継すると共に、移動体通信網から受信する第3クライアントCL3又は第5クライアントCL5宛のIPパケットを、第3クライアントCL3又は第5クライアントCL5に中継する。
【0057】
第3の接続態様は、例えば、ロケーションAにおいて図1に示す第1の接続態様が実現されている状態から、ユーザが、本体100をクレードル200から切り離し、本体100と第3クライアントCL3とをロケーションCに持ち出し、新たなクライアントである第5クライアントCL5を、無線LANアクセスポイントとして動作する本体100と無線通信により接続させた場合に実現し得る。ロケーションAからの本体100及び第3クライアントCL3の持ち出しは、例えば、ユーザが、第3クライアントCL3を、インターネットを介した通信を維持したままロケーションCに持ち出すような場合に起こり得る。図3に示すように、ロケーションCでは、新たなネットワークNW3が構成されている。
【0058】
第3の接続態様では、第2の接続態様と同様に、ロケーションAにおいて、1台のルータ500により仮想ルータ装置800aが生成されている。また、ロケーションCにおいて、1台の本体100により仮想ルータ装置800bが形成されている。
【0059】
図4は、可搬型ネットワーク接続装置の詳細構成を示す説明図である。クレードル200は、上述したポート220に加えて、本体接続インタフェース(I/F)280と、LAN制御回路210とを備えている。ポート220及びLAN制御回路210は互いに内部バスで接続されている。同様に、LAN制御回路210及び本体接続インタフェース280は互いに内部バスで接続されている。ポート220としては、例えば、IEEE802.3/3u/3abに準拠したポートを採用することができる。LAN制御回路210は、所定のネットワークプロトコル(例えばイーサネット(登録商標))に従いポート220を介したデータ伝送を制御する。
【0060】
クレードル200の本体接続インタフェース280は、USB(Universal Serial Bus)コントローラとしての機能を有しており、クレードル200が本体100と接続されているとき、USB規格に則って本体100との間での情報のやり取りや電力供給を行う。
【0061】
本体100は、USBインタフェース173と、無線LAN制御回路174と、無線WAN制御回路175と、移動体通信制御回路176と、クレードル200との接続のためのクレードル接続インタフェース(I/F)180と、CPU(Central Processing Unit)120と、ROM(Read Only Memory)171と、RAM(Random Access Memory)172とを含んでいる。USBインタフェース173は、USB(Universal Serial Bus)デバイス(例えば、記憶装置など)を接続するためのインタフェースである。
【0062】
無線LAN制御回路(「無線LANインタフェース」とも呼ばれる)174は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えばIEEE802.11b/g/nに準拠した無線LANのアクセスポイントとして、無線LANのクライアント(例えばパーソナルコンピュータやゲーム機)と無線通信を行う。無線WAN制御回路(「無線WANインタフェース」とも呼ばれる)175は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えばIEEE802.11a/b/g/nに準拠した無線LANのクライアントとして、無線LANのアクセスポイント(例えば公衆無線LAN)と無線通信を行う。移動体通信制御回路(「移動体通信インタフェース」とも呼ばれる)176は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えば3G/HSPAに準拠した移動体通信の端末として、移動体通信網の基地局と無線通信を行う。このように、第1実施例の本体100は、それぞれが互いに異なる無線通信ネットワークにおける無線通信を行う複数の無線通信インタフェースを含んでいる。
【0063】
本体100のクレードル接続インタフェース180は、USBデバイスコントローラとしての機能を有しており、本体100がクレードル200と接続されているとき、USB規格に則ってクレードル200との間での情報のやり取りを行う。また、クレードル接続インタフェース180は、本体100がクレードル200と接続されているとき、本体接続インタフェース280を介してクレードルから供給される電力を、本体100側の図示しないバッテリに供給する。
【0064】
CPU120は、ROM171に格納されているコンピュータプログラムをRAM172に展開して実行することにより、可搬型ネットワーク接続装置20の各部を制御すると共に、転送処理部121と、転送制御部122と、ルータ検出部123と、VRRP制御部124として動作する。
【0065】
転送処理部121は、ルータ機能部121rと、ブリッジ機能部121bとを有しており、各無線通信インタフェース(無線LAN制御回路174、無線WAN制御回路175、移動体通信制御回路176)及びクレードル200が有するポート220を介して入力されるパケット(レイヤ3パケット及びレイヤ2フレーム)を、宛先アドレスに従って転送する。転送処理部121はパケット転送の動作モードとして、ブリッジ機能部121bのみが処理を行う第1の動作モードと、ブリッジ機能部121b及びルータ機能部121rが処理を行う第2の動作モードとを有している。第1の動作モードでは、ブリッジ機能部121bがレイヤ2フレームの転送を行うが、ルータ機能部121rは動作を停止しているため、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)は、全体としてブリッジ装置として動作する。これに対し、第2の動作モードでは、ブリッジ機能部121b及びルータ機能部121rのいずれもが処理を行うため、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)は、全体としてルータ装置として動作する。
【0066】
転送制御部122は、転送処理部121を制御する。かかる制御の1つとして、転送制御部122は、後述する動作モード切り替え処理を実行することにより、転送処理部121の動作モードを設定する(切り替える)。
【0067】
ルータ検出部123は、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)が所属するネットワークと同じネットワーク内に、他のルータが存在するか否かを検出する。
【0068】
VRRP制御部124は、VRRPを実現する機能部である。具体的には、VRRP制御部124は、例えば、VRRP広告メッセージを生成したり、受信したVRRP広告メッセージに含まれるVRIDに基づき、同じ仮想ルータ装置を形成する他の装置の存在の有無を判定する。また、VRRP機能部124は、受信したVRRP広告メッセージに含まれる優先度に基づき、マスタルータ及びバックアップルータのうち、いずれのルータとして機能するかを決定する。
【0069】
ROM171は、いわゆるフラッシュROMである。ROM171には、上記各機能部を実現するための図示しないプログラムに加えて、VRRP設定データ格納部171aを備えている。VRRP設定データ格納部171aは、VRRPを実行する際に用いる各種データを格納する。具体的には、例えば、優先度や、VRIDや、広告インターバル(VRRP広告メッセージを出力するインターバル)や、仮想ルータ装置としての仮想的なIPアドレス及び仮想的なMACアドレスなどを格納する。図4に示すように、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)のVRRP設定データ格納部171aには、予め、ユーザによって、優先度「1」,VRID「1」,広告インターバル「10」が、それぞれ格納されている。
【0070】
図5は、ルータの詳細構成を示す説明図である。ルータ500は、CPU320と、RAM330と、ROM340と、無線LAN制御回路350と、有線LAN制御部360と、有線WAN制御部370とを備えている。
【0071】
CPU320は、ROM340に格納されているコンピュータプログラムをRAM330に展開して実行することにより、転送処理部321と、転送制御部322と、VRRP制御部324の各機能部として動作する。
【0072】
転送処理部321は、有線LAN制御部360や無線LAN制御回路350を介して入力されるIPパケットを、宛先アドレスに従って転送する。転送制御部322は、転送処理部321を制御する。VRRP制御部323は、図4に示すVRRP制御部124と同様に、VRRPを実現する機能部である。
【0073】
ROM340は、いわゆるフラッシュROMであり、書き込み可能なメモリである。ROM340には、上記各機能部を実現するための図示しないプログラムに加えて、VRRP設定データ格納部341と、ルーティングテーブル格納部342とを備えている。VRRP設定データ格納部341は、図4に示すVRRP設定データ格納部171aと同様に、VRRPを実行する際に用いる各種データを格納する。図5に示すように、ルータ500のVRRP設定データ格納部341には、予め、ユーザによって、優先度「255」,VRID「1」,広告インターバル「10」が、それぞれ格納されている。ルーティングテーブル格納部342は、図示しないルーティングテーブルを格納する。
【0074】
なお、ルータ500のVRRP設定データ格納部341に格納しておく優先度は、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に格納されている優先度「1」よりも大きな値であれば、任意の優先度を採用することができる。また、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)のVRRP設定データ格納部171aに格納しておく優先度は、ルータ500に格納されている優先度「255」よりも小さい値であれば、任意の優先度を採用することができる。一般に、ルータ500は、インターネットプロバイダとの間を、光ファイバーケーブルなどを用いた比較的大きな帯域の通信経路を有している。また、一般に、据え置き型のルータ500は、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に比べてCPUやメモリ等のハードウェア資源を豊富に有している。したがって、インターネットを介した通信を行う際に、デフォルトゲートウェイとして、可搬型ネットワーク接続装置20ではなくルータ500を用いることで、より高速な通信を実現できる。それゆえ、第1の接続態様のように、ルータ500と可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)とが、いずれも同一のネットワークに存在する場合、ルータ500を、優先してルータ機能を有する装置として使用したいとする要請がある。ここで、VRRPでは、仮想ルータ装置を構成する各装置のうち、優先度が最も高い装置がマスタルータとなり実際のルーチング処理を行う。これに対し、優先度が2番目以下の装置はバックアップルータとして動作し、ルーチング処理は実行しない。それゆえ、ルータ500に設定する優先度を、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に設定する優先度よりも高くすることにより、第1の接続態様の場合に、ルータ500をデフォルトゲートウェイとして機能させて、より高速な通信を実現させることができる。
【0075】
無線LAN制御回路350は、図4に示す本体100の無線LAN制御回路174と同様の構成を有する。但し、無線LAN制御回路350には、無線LAN制御回路174とは異なるBSSIDが設定されている。有線LAN制御部360は、図示しないポートを複数備え、かかるポートに接続されたケーブル(例えば、ネットワークケーブルCaやネットワークケーブルCb)を介して、第1クライアントCL1,及び第2クライアントCL2に接続されている。また、有線LAN制御部360は、所定のネットワークプロトコル(例えばイーサネット(登録商標))に従って図示しないポートを介したデータ伝送を制御する。有線WAN制御部370は、少なくとも1つのポートを備え、このポートに接続されたケーブルを介してインターネットに接続されている。
【0076】
図4の転送処理部121は、請求項におけるパケット転送処理部に相当する。また、VRRP制御部124は請求項における受信部に、ルータ500から出力されるVRRP広告メッセージ用のパケットは請求項における通知パケットに、転送制御部122は請求項における動作モード制御部に、それぞれ相当する。
【0077】
ネットワークシステム10では、可搬型ネットワーク接続装置20において、後述の動作モード切り替え処理を実行することにより、本体100が所属するネットワークと同じネットワーク内に他のルータが所属するか否かに応じて、可搬型ネットワーク接続装置20を適切な動作モードに切り替えることができる。
【0078】
A2.動作モード切り替え処理:
図6は、第1実施例における可搬型ネットワーク接続装置の動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。第1実施例のネットワークシステム10では、可搬型ネットワーク接続装置20が起動されると、動作モード切り替え処理が開始される。但し、起動直後に他の処理を行った後に、動作モード切り替え処理を実行するようにしてもよい。なお、可搬型ネットワーク接続装置20(転送処理部121)の動作モードは、起動時には初期設定値である「第1動作モード」に設定される。初期設定値は、例えば「第1動作モード(ブリッジ)」であるが、「第2動作モード(ルータ)」としても良い。
【0079】
図4に示すルータ検出部123は、本体100に対して仮想ルータが設定されているか否かを判定する(ステップS10)。この判定は、本体100のROM171にVRRP設定データが格納されているか否かにより実現できる。
【0080】
仮想ルータが設定されていないと判定された場合(ステップS10:NO)、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第1動作モードに設定する(切り替える)(ステップS30)。
【0081】
これに対し、ステップS10において、仮想ルータが設定されていると判定された場合(ステップS10:YES)、ルータ検出部123は、所定期間内(広告インターバル内)に、優先度のより高いルータを検出したか否かを判定する(ステップS15)。所定期間内(広告インターバル内)にVRRP広告メッセージ(パケット)を受信した場合には、受信したVRRP広告メッセージに含まれる優先度を読み出し、その優先度を可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に設定されている優先度と比較する。VRRP広告メッセージ内の優先度が本体100の優先度よりも高い場合には、ルータ検出部123は、「所定期間内に、優先度のより高いルータを検出した」と判定することができる。また、受信したVRRP広告メッセージに含まれる優先度が可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に設定されている優先度よりも低い場合、および所定期間内にVRRP広告メッセージを受信しない場合には、ルータ検出部123は、「所定期間内に、優先度のより高いルータを検出しなかった」と判定することができる。
【0082】
ステップS15において、所定期間内に優先度のより高いルータを検出したと判定された場合(ステップS15:YES)、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第1動作モード(ブリッジ)に設定する(切り替える)(ステップS30)。優先度のより高いルータの検出は、すなわち、ネットワーク内に他のルータ装置が存在することを意味する。したがって、この場合、本実施例では、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)がブリッジとして動作することにより、同一ネットワーク内にルータ装置が2台存在することを抑制している。なお、このように可搬型ネットワーク接続装置20がブリッジ装置として動作する場合であっても、VRRPにおけるバックアップルータとして動作している。それゆえ、本体100のVRRP制御部124は、VRRPに従って、VRRP広告メッセージ用のパケットの生成及び出力や、VRRP広告メッセージ用のパケットの受信処理を継続して実行する。
【0083】
これに対して、ステップS15において、所定期間内に優先度のより高いルータを検出しなかったと判定された場合(ステップS15:NO)、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第2動作モード(ルータ)に設定する(切り替える)(ステップS35)。
【0084】
本実施例では、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に設定されている優先度は最低値「1」であり、ルータ500に設定されている優先度は最高値「255」である。従って、第1の接続態様のように、同一ネットワーク(セグメント)にルータ500と可搬型ネットワーク接続装置20とが存在する場合には、ルータ500から受信するVRRP広告メッセージに含まれる優先度は、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に設定されている優先度よりも必ず高い。したがって、第1の接続態様においては、可搬型ネットワーク接続装置20は第1動作モードに設定される。これに対して、図2に示す第2の接続態様や図3に示す第3の接続態様では、本体100と同じネットワーク内にルータ機能を有する装置が存在しないので、本体100がVRRP広告メッセージを受信しない。したがって、第2,3の接続態様においては、本体100は第2動作モードに設定される。このように、本実施例では、本体100と同じネットワーク内にルータ機能を有する装置が存在しない状況において、本体100をルータ装置として動作させることにより、各クライアントと他のネットワークに所属する装置との間の通信を実現させるようにしている。なお、このように可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)がルータ装置として動作する場合には、本体100は、マスタルータとして動作している。
【0085】
以上説明した第1実施例のネットワークシステム10によると、動作切り替え処理を実行することにより、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)が所属するネットワークと同じネットワーク内に他のルータが存在する場合には、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)がブリッジ装置として動作する。一方、ルータ500が存在しない場合には、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)がルータ装置として動作する。従って、いずれの場合にも、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)が適切な役割を果たすことができる。
【0086】
加えて、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)が所属するネットワークと同じネットワーク内に他のルータが存在する場合(すなわち、第1の接続態様の場合)には、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)がブリッジ装置として動作するので、同一ネットワーク内に複数のルータ装置(デフォルトゲートウェイ)が存在することを抑制できる。それゆえ、第1の接続態様におけるクライアントCL1,CL2,CL3は、インターネット接続するためのゲートウェイとして1台のルータ500を特定でき、インターネットを介したデータのやりとりを正常に行うことができる。
【0087】
また、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)が所属するネットワークと同じネットワーク内に他のルータが存在しない場合(すなわち、第2,3の接続態様の場合)には、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)をルータ装置として動作させるので、同一ネットワーク内にルータ装置(デフォルトゲートウェイ)が1台も存在しないことを抑制できる。それゆえ、第2の接続態様におけるクライアントCL3,CL4や、第3の接続態様におけるクライアントCL3,CL5は、インターネット接続するためのゲートウェイとして本体100を特定でき、インターネットを介したデータのやりとりを正常に行うことができる。なお、図1〜図3に示す3つの接続態様において、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)で利用される仮想ルータ用のMACアドレスとIPアドレスは同一に保たれる。従って、接続形態が変わっても、可搬型ネットワーク接続装置20のクライアントCL3は継続的にその仮想ルータを利用可能である。
【0088】
また、第3の接続態様から、ユーザが本体100を家庭内に持ち帰り、クレードル200に接続して第1の接続態様となった場合に、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)が自動的に第2動作モード(ルータ)から第1動作モード(ブリッジ)に切り替わる。従って、特別な操作を行うことなく簡便な方法で可搬型ネットワーク接続装置20の動作モードを設定する(切り替える)ことができる。
【0089】
また、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)は、より優先度の高いVRRP広告メッセージを受信すると、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)が所属するネットワークと同じネットワークに、他のルータが所属していることを検出するので、他のルータの存在を正確に検出することができる。したがって、転送処理部121による動作モードの切り替え誤動作を抑制できる。
【0090】
また、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に対して最も低い優先度の「1」を設定しているので、第2の接続態様や第3の接続態様においても、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)とは異なる他のルータがネットワークNW2,NW3に新たに加わった場合に、本体100をブリッジ装置として動作させる可能性を高めることができる。
【0091】
B.第2実施例:
図7は、第2実施例の可搬型ネットワーク接続装置の詳細構成を示す説明図である。図8は、第2実施例のルータの詳細構成を示す説明図である。図9は、第2実施例における動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。第2実施例のネットワークシステムは、可搬型ネットワーク接続装置(本体)が所属するネットワークと同じのネットワーク内における他のルータの存在の有無を、VRRP広告メッセージ用のパケットの受信の有無に加えて、DHCPサーバ応答パケットの受信の有無によっても判定する点と、可搬型ネットワーク接続装置及びルータの構成とにおいて、第1実施例と異なる。
【0092】
図7に示すように、第2実施例の可搬型ネットワーク接続装置20aは、本体100aが有するCPU120が、各機能部121〜124に加えて、応答要求出力部125としても機能する点と、ROM171が、最大反復回数データ格納部171bを備えている点において、図4に示す第1実施例の可搬型ネットワーク接続装置20と異なり、他の構成は、可搬型ネットワーク接続装置20と同じである。最大反復回数データ格納部171bは、後述する最大反復回数のデータを格納する。第2実施例では、最大反復回数データ格納部171bには、予め最大反復回数データとして「20」が格納されている。なお、第2実施例において、ルータ検出部123は請求項における受信部に相当する。
【0093】
図8に示すように、第2実施例のルータ500aは、CPU320が、VRRP制御部323に代えて、DHCPサーバ機能部324として機能する点と、ROM340が、VRRP設定データ格納部341に代えて、DHCP設定データ格納部343を備えている点とにおいて、図5に示す第1実施例のルータ500と異なり、他の構成は、ルータ500と同じである。第2実施例のルータ500aは、第1実施例のルータ500とは異なり、VRRPに対応しておらず、また、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能を有している。
【0094】
DHCPサーバ機能部324は、クライアントに対してDHCPサービスを提供する機能部である。具体的には、例えば、DHCPサーバ機能部324は、新たなIPアドレスの割り当てを要求するクライアントに対して割り当てるIPアドレスを決定して通知し、また、IPアドレスのリース期間の延長を要求するクライアントに対して、延長の可否を判断して通知する。
【0095】
DHCP設定データ格納部343は、DHCPサーバとして機能するために必要な各種設定データ)を格納する。このような設定データとしては、例えば、割り当て可能なアドレス範囲についてのデータや、IPアドレスの割り当て先のMACアドレスやリース期間などのデータが採用し得る。
【0096】
図9に示すように、第2実施例の動作モード切り替え処理は、ステップS50,S55,S60を追加して実行する点において、図6に示す第1実施例の動作モード切り替え処理と異なり、他の手順は第1実施例と同じである。但し、第2実施形態においては、動作モード切り替え処理の前に、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)が、ルータ500aのDHCPサーバ機能部324からIPアドレスの割り当てを受けていることが好ましい。
【0097】
前述のステップS10において、仮想ルータが設定されていないと判定された場合(ステップS10:NO)、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)の応答要求出力部125は、DHCPサーバ検索パケットを送信する(ステップS50)。このDHCPサーバ検索パケットの送信は、例えば、DHCPDISCOVERメッセージを含むパケットをブロードキャストすることにより実現できる。このステップS50におけるDHCPサーバ検索パケットは、実際にIPアドレスを割り当ててもらうことを目的として送信するものではない。
【0098】
可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)のルータ検出部123は、ステップS50で送信したDHCPサーバ検索パケットに対する応答パケットであるDHCPサーバ応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS55)。ルータ500aのDHCPサーバ機能部324は、DHCPDISCOVERメッセージを受信すると、割り当て候補のIPアドレスを含むDHCPOFFERメッセージを、送信元に対してユニキャストする。したがって、このDHCPOFFERメッセージを含むパケットを受信したか否かを判定することにより、DHCPサーバ応答パケットの受信の有無を判定することができる。なお、DHCPOFFERメッセージは、割り当て候補のIPアドレスを割り当て要求元のクライアントに通知するためのメッセージであると共に、DHCPサーバとして動作可能な装置の存在をクライアントに通知するためのメッセージである。
【0099】
前述のステップS55において、DHCPサーバ応答パケットを受信したと判定された場合(ステップS55:YES)、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第1動作モードに設定する(切り替える)(ステップS30)。一般に、DHCPサーバはルータによって実現されているので、本体100aがDHCPサーバ応答パケットを受信したことは、本体100aの所属するネットワークと同じネットワーク内に他のルータが存在することを意味する。したがって、第2実施例では、DHCPサーバ応答パケットを受信した場合には、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)は、ブリッジ装置として動作するモードに切り替わる。
【0100】
前述のステップS55において、DHCPサーバ応答パケットを受信しないと判定された場合(ステップS55:NO)、ルータ検出部123は、最大反復回数データ格納部171bから最大反復回数データを読み出し、ステップS50,S55の処理回数が、所定の最大反復回数に達したか否かを判定する(ステップS60)。所定の最大反復回数は、図7に示す最大反復回数データ格納部171bに格納されているデータの示す回数を意味する。
【0101】
ステップS60において、所定の最大反復回数に達していないと判定された場合(ステップS60:NO)、前述のステップS50に戻る。したがって、再びDHCPサーバ検索パケットが送信され、DHCPサーバ応答パケットの受信の有無が判定される。このように、最大反復回数に達するまでDHCPサーバ検索パケットの送信及びDHCPサーバ応答パケットの受信の有無の判定を行うのは、以下の理由による。例えば、ネットワークの障害等により、DHCPサーバ検索パケット又はDHCPサーバ応答パケットが失われた場合であっても、DHCPサーバ検索パケットを繰り返し送信することにより、ネットワークの障害の回復に伴いDHCPサーバ応答パケットを受信することができるからである。
【0102】
ステップS60において、所定の最大反復回数に達したと判定された場合(ステップS60:YES)、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第2動作モード(ルータ)に設定する(切り替える)(ステップS35)。前述のように、最大反復回数として「20」が設定されている場合には、DHCPサーバ検索パケットを20回送信した後に、転送処理部121の動作モードは第2動作モードに切り替わることとなる。最大反復回数だけ繰り返しDHCPサーバ検索パケットを送信したにも関わらず、DHCPサーバ応答パケットを受信しないのは、DHCPサーバであるルータ500aが、ネットワーク内に存在しない可能性が高い。そこで、本実施例では、この場合、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)を、ルータ装置として動作させるようにしている。
【0103】
なお、前述のステップS10において、仮想ルータが設定されていると判定された場合の処理(ステップS15,S30,S35)は、第1実施例と同じである。このように、第2実施例の動作切り替え処理においても、ステップS10,S15の処理手順を残しているのは、ルータ500aが、故障等により、第1実施例のルータ500に交換されたような場合であっても、本体100a(転送処理部121)の動作モードを適切なモードに切り替えることができるからである。また、第2実施例のルータ500aがファームウェアの更新等によりVRRPに対応することになった場合には、より正確にルータ500aの存在の有無を判定することができるからである。
【0104】
以上説明した第2実施例のネットワークシステムは、第1実施例のネットワークシステム10と同様な効果を有する。加えて、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)からDHCPサーバ検索パケットを送信して、その応答パケットであるDHCPサーバ応答パケットの受信の有無により、可搬型ネットワーク接続装置20aが所属するネットワーク内における他のルータの存在の有無を判定している。したがって、他のルータが自律的に自らの存在を示すメッセージ(パケット)を出力するまで待つのではなく、他のルータに対して積極的に自らの存在を示すメッセージ(パケット)を出力させるように促すことができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)が所属するネットワークと同じネットワークにおける他のルータの存在の有無を短期間で判定することができる。
【0105】
C.第3実施例:
図10は、第3実施形態のルータの詳細構成を示す説明図である。第3実施形態のルータ500bは、CPU320が、DHCPサーバ機能部324に代えて、IDG機能部326として機能する点と、ROM340が、DHCP設定データ格納部343に代えて、IGD設定データ格納部344を備えている点とにおいて、図8に示す第2実施形態のルータ500aと異なり、他の構成は、ルータ500aと同じである。第3実施形態の可搬型ネットワーク接続装置の構成は、図7に示した第2実施形態の構成と同じである。
【0106】
図11は、第3実施例における動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。第3実施例のネットワークシステムは、ルータがUPnP(Universal Plug and Play)に対応しておりIGD(Internet Gateway Device)として動作する点と、可搬型ネットワーク接続装置(本体)が所属するネットワークと同一のネットワーク内における他のルータの存在の有無を、VRRP広告メッセージ用のパケットの受信の有無及びDHCPサーバ応答パケットの受信の有無に加えて、UPnPにおけるIGD広告の受信の有無により判定する点とにおいて、第2実施例と異なる。IGD広告とは、UPnPにおいて、IGDとして動作する装置が、UPnPクライアント(例えば、パーソナルコンピュータなど)に対して存在を通知するためのメッセージであり、SSDP(Simple Service Discovery Protocol)に従って、送受信される。なお、第3実施例のルータの詳細構成は、図8に示す第2実施例のルータ500aと同様である。
【0107】
図11に示すように、ステップS10において、仮想ルータが設定されていないと判定された場合(ステップS10:NO)、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)のルータ検出部123は、IGD広告(IGD広告メッセージを含むパケット)を受信したか否かを判定する(ステップS45)。本実施例では、ルータは、IGD広告を所定のインターバルで送信している。そして、ステップS45において、IGD広告を受信したと判定された場合(ステップS45:YES)、前述のステップS30が実行され、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第1動作モード(ブリッジ)に設定する(切り替える)。本実施例では、ルータはIGD広告を送信しているので、IGD広告を受信したことは、本体100aの所属するネットワークと同じネットワークに他のルータが存在することを意味する。したがって、第3実施例では、IGD広告を受信した場合には、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)を、ブリッジ装置として動作させるようにしている。
【0108】
これに対して、前述のステップS45において、IGD広告を受信しないと判定された場合(ステップS45:NO)、図9で説明した前述のステップS50〜S60が実行される。したがって、最大反復回数に達するまでの間に、IGD広告とDHCPサーバ応答パケットとをいずれも受信しない場合には、前述のステップS35が実行され、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第2動作モード(ルータ)に設定する(切り替える)。
【0109】
なお、図11の手順において、仮想ルータが設定されていると判定された場合の処理(ステップS15,S30,S35)は、第2実施例と同じである。また、仮想ルータが設定されておれず、かつ、IGD広告が受信されないと判定された場合の処理(ステップS50〜S60,S30,S35)も、第2実施例と同じである。このように、第3実施例の動作切り替え処理において、これらの処理手順を残しているのは、ルータ500bが、故障等により、第1実施例のルータ500や第2実施例のルータ500aに交換されたような場合であっても、本体100a(転送処理部121)の動作モードを適切なモードに切り替えることができるからである。また、第3実施例のルータ500bがファームウェアの更新等によりVRRPやDHCPに対応することになった場合には、より正確にルータ500bの存在の有無を判定することができるからである。
【0110】
以上説明した第3実施例のネットワークシステムは、第1,2実施例のネットワークシステム10,10aと同様な効果を有する。加えて、IGD広告を受信したことにより、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)が所属するネットワークと同じネットワークに、他のルータが存在していることを検出するので、他のルータがUPnPに対応しておりIGDとして動作するケースにおいて、そのルータの存在の有無を正確に検出することができる。なお、第3実施例におけるルータ検出部123は、請求項における受信部に相当する。
【0111】
D.第4実施例:
図12は、第4実施形態のルータの詳細構成を示す説明図である。第4実施形態のルータ500cは、CPU320が、DHCPサーバ機能部324に代えて、PPPoE機能部328として機能する点と、ROM340が、DHCP設定データ格納部343に代えて、PPPoE設定データ格納部345を備えている点とにおいて、図8に示す第2実施形態のルータ500aと異なり、他の構成は、ルータ500aと同じである。第4実施形態の可搬型ネットワーク接続装置の構成は、図7に示した第2実施形態の構成と同じである。
【0112】
図13は、第4実施例における動作モード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。第4実施例のネットワークシステムは、ルータがPPPoE(PPP over Ethernet)サーバとして動作する点と、可搬型ネットワーク接続装置(本体)が所属するネットワークと同一のネットワーク内における他のルータの存在の有無を、VRRP広告メッセージ用のパケットの受信の有無,DHCPサーバ応答パケットの受信の有無,及びUPnPにおけるIGD広告の受信の有無に加えて、PPPoEサーバ応答パケットの受信の有無により判定する点とにおいて、第3実施例と異なる。
【0113】
なお、第4実施例において、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)はPPPoEクライアントとして動作することができる。また、第4実施例において、ルータ500cは、「パススルーしない」設定となっている。「パススルーしない」とは、ルータ500cにおいて、レイヤ2フレームのまま転送することをしない設定を意味する。一般に、「パススルーする」に設定されている場合、後述するクライアントから出力されたPPPoEサーバを検索するパケットは、ルータで終端せず(受信されず)、例えば、インターネットプロバイダ側に用意されたPPPoEサーバによって終端される。しかしながら、第4実施例のルータ500cは、「パススルーしない」設定になっているので、PPPoEサーバを検索するパケットはルータ500cにより終端される。
【0114】
第3実施例で説明したステップS55において、DHCPサーバ応答パケットを受信しないと判定された場合(ステップS55:NO)、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)の応答要求出力部125は、PPPoEサーバ検索パケットを送信する(ステップS56)。このPPPoEサーバ検索パケットの送信は、例えば、PPPoEに規定されているPADIパケット(PPPoE Active Discovery Initiation:PPPoE能動ディスカバリ開始パケット)をブロードキャストすることにより実現できる。
【0115】
可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)のルータ検出部123は、ステップS56で送信したPPPoEサーバ検索パケットの応答パケットに相当するPPPoEサーバ応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS58)。第4実施例のルータは、PPPoEサーバとして動作するので、前述のPADIを受信すると、PADOパケット(PPPoE Active Discovery Offer)パケットを送信する。したがって、このPADOパケットを受信したか否かを判定することにより、PPPoEサーバ応答パケットの受信の有無を判定することができる。PADOパケットは、自らがPPPoEサーバとして動作可能な装置の存在をクライアントに通知するためのメッセージである。
【0116】
前述のステップS58において、DHCPサーバ応答パケットを受信したと判定された場合(ステップS58:YES)、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第1動作モードに設定する(切り替える)(ステップS30)。PADOパケットを受信したことは、本体100aの所属するネットワークと同じネットワークに他のルータが存在することを意味する。したがって、第4実施例では、PPPoEサーバ応答パケットを受信した場合には、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)を、ブリッジ装置として動作させるようにしている。
【0117】
前述のステップS58において、PPPoEサーバ応答パケットを受信しないと判定された場合(ステップS58:NO)、前述のステップS60が実行される。したがって、最大反復回数に達するまでの間に、IGD広告と、DHCPサーバ応答パケットと、PPPoEサーバ応答パケットとをいずれも受信しない場合には、前述のステップS35が実行され、転送制御部122は、転送処理部121の動作モードを第2動作モード(ルータ)に設定する(切り替える)。
【0118】
なお、前述のステップS10において仮想ルータが設定されていると判定された場合の処理(ステップS15,S30,S35)と、IGD広告に関する処理(ステップS45)と、DHCPサーバの検索に関する処理(ステップS50,S55)と、最大反復回数に達したか否かを判定する処理(ステップS60)については、第4実施例においても残存している。これは、第4実施例のルータが、故障等により、第1実施例のルータ500や、第2実施例のルータ500aや、第3実施例のルータ500bに交換されたような場合であっても、本体100a(転送処理部121)の動作モードを適切なモードに切り替えることができるからである。また、第4実施例のルータ500cがファームウェアの更新等によりVRRP,DHCP,又はIGDに対応することになった場合には、より正確にルータ500cの存在の有無を判定することができるからである。
【0119】
以上説明した第4実施例のネットワークシステムは、第1〜3実施例のネットワークシステムと同様な効果を有する。加えて、PPPoEサーバ応答パケットを受信したことにより、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)が所属するネットワークと同じネットワークに、他のルータが存在していることを検出するので、他のルータがPPPoEに対応しておりPPPoEサーバとして動作するケースにおいて、そのルータの存在の有無を正確に検出することができる。
【0120】
加えて、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)からPPPoEサーバ検索パケットを送信して、その応答パケットであるPPPoEサーバ応答パケットの受信の有無により、可搬型ネットワーク接続装置20aが所属するネットワーク内における他のルータの存在の有無を判定している。したがって、他のルータが自らの存在を示すメッセージ(パケット)を出力するまで待つのではなく、他のルータに対して積極的に自らの存在を示すメッセージ(パケット)を出力させるように促すことができる。したがって、可搬型ネットワーク接続装置20a(本体100a)が所属するネットワークと同じネットワークにおける他のルータの存在の有無を短期間で判定することができる。なお、第4実施例におけるルータ検出部123は、請求項における受信部に相当する。
【0121】
E.変形例:
この発明は、上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0122】
E1.変形例1:
第1実施例では、ルータ500と可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)とにより仮想ルータ装置を形成するために用いられるプロトコルは、VRRPであったが、VRRPに代えて、CiscoSystems社製のルータに搭載されるHSRP(Hot Stanby Routing Protocol)や、CARP(Common Address Redundancy Protocol)など、仮想ルータ構成用の他のプロトコルを採用することもできる。
【0123】
E2.変形例2:
第1実施例の動作モード切り替え処理では、所定期間内に優先度のより高い他のルータを検出したか否かを判定し(ステップS15)、その判定結果に応じて動作モードを切り替えていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1実施例では、VRRPの優先度として、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)に対して、設定し得る優先度の範囲1〜255の中で最も低い優先度の「1」を設定し、ルータ500に対して最も高い優先度「255」を設定している。このような場合、第1の接続態様において、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)がVRRP広告メッセージ用のパケットを受信することは、すなわち、より優先度の高いルータが存在することを意味している。したがって、ステップS15の処理において、優先度の比較を行うことなく、「VRRP広告メッセージ用のパケットを受信したか否かを判定し、その判定結果に応じて動作モードを切り替える」処理を実行させることもできる。
【0124】
E3.変形例3:
第4実施例では、動作モード切り替え処理において、可搬型ネットワーク接続装置(本体)が所属するネットワークと同じのネットワーク内における他のルータの存在の有無を、VRRP広告メッセージ用のパケットの受信の有無,DHCPサーバ応答パケットの受信の有無,UPnPにおけるIGD広告の受信の有無,及びPPPoEサーバ応答パケットの受信の有無により判定していたが、これらのうち、一部を省略することもできる。例えば、VRRP広告メッセージ用のパケットの受信の有無による判定を省略することもできる。但し、可搬型ネットワーク接続装置は、(i)VRRP広告メッセージの受信の有無を判定する第1種の判定と、(ii)UPnPにおけるIGD広告メッセージの受信の有無を判定する第2種の判定と、(iii)DHCPサーバ応答パケットの受信の有無を判定する第3種の判定と、(iv)PPPoEサーバ応答パケットの受信の有無を判定する第4種の判定との4種類の判定のうちの少なくとも2つを含む複数種類の判定を行い、これらの複数種類の判定のうちの少なくとも1種類の判定において受信が確認された場合に、可搬型ネットワーク接続装置の動作モードを第1の動作モードに設定するようにすることが好ましい。
【0125】
E4.変形例4:
第2〜4実施例では、動作モード切り替え処理において、最大反復回数に達したか否かを判定していたが(ステップS60)、この処理を省略することもできる。また、最大反復回数ではなくて、所定の期間が満了したか否かを判定する処理に置き換えることもできる。具体的には、例えば、第2実施例において、最初にステップS50を実行してからの経過時間を測定し、所定期間が満了するまで、ステップS50,S55を繰り返し実行させることもできる。
【0126】
E5.変形例5:
第1の接続態様のように、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)がブリッジ装置として動作する場合、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)は、図示しない複数の無線LAN親機(アクセスポイント)同士を接続するWDS(Wireless Distribution System)として動作するようにしてもよい。この場合には、可搬型ネットワーク接続装置20(本体100)を用いて無線LAN親機間におけるデータ転送を実現させることもできる。
【0127】
E6.変形例6:
各実施例では、ネットワークシステム10は、主として、ルータ500と、可搬型ネットワーク接続装置20と、各クライアントCL1〜CL5とから構成されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、可搬型ネットワーク接続装置20のみで構成することもできる。すなわち、本発明は、ネットワークシステム10としての適用のみならず、可搬型ネットワーク接続装置20として適用することもできる。
【0128】
E7.変形例7:
第2実施例では、DHCPサーバ検索パケットとして、DHCPDISCOVERメッセージを含むパケットを用いていたが、このパケットに代えて、DHCPREQUESTメッセージを含むパケットを用いることもできる。この場合、DHCPサーバ応答パケットとして、DHCPOFFERメッセージを含むパケットに代えて、DHCPACKメッセージを含むパケットを用いることができる。
【0129】
E8.変形例8:
各実施例では、各種条件(より優先度の高いルータの検出の有無,IGD広告の受信の有無など)に応じて、第1動作モードから第2動作モードへ、また、第2動作モードから第1動作モードへ、いずれの方向にも動作モードは切り替えられ得たが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、動作モード切り替え処理では、第2動作モードから第1動作モードへの一方方向の切り替えのみを実行し、逆方向の切り替え(第1動作モードから第2動作モードへの切り替え)は自動では実行しない構成を採用することもできる。この場合であっても、例えば、本体100を、ネットワークNW1の外に持ち出す際には、ユーザが特別な操作を行って手動でモードを切り替えることにより、本体100をルータとして機能させる(転送処理部121を第2動作モードで動作させる)ことができる。また、例えば、動作モード切り替え処理では、第1動作モードから第2動作モードへの一方方向の切り替えのみを実行し、逆方向の切り替え(第2動作モードから第1動作モードへの切り替え)は自動では実行しない構成を採用することもできる。この場合であっても、例えば、本体100をルータ500のある家庭内ネットワークに接続する際には、ユーザが特別な操作を行って手動でモードを切り替えることにより、本体100をブリッジとして機能させる(転送処理部121を第1動作モードで動作させる)ことができる。
【0130】
E9.変形例9:
各実施例における可搬型ネットワーク接続装置20の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施例では、本体100のクレードル接続インタフェース180とクレードル200の本体接続インタフェース280とが、USB規格に則って情報のやり取りを行うとしているが、本体100とクレードル200との間の情報のやり取りはUSBとは異なる他の規格に則って行われるとしてもよい。また、可搬型ネットワーク接続装置20の本体100とクレードル200とは、それぞれ別体として構成されていたが、これに代えて、可搬型ネットワーク接続装置20の全体を一体として構成することもできる。
【0131】
また、上記実施例において、無線LAN制御回路174や無線WAN制御回路175は、IEEE802.11a/b/g/nに準拠した無線LANに限らず、将来的に利用可能となる無線LAN一般により無線通信を行う無線通信インタフェースであるとしてもよい。また、移動体通信制御回路176は、3G/HSPAに準拠した移動体通信に限らず、例えばLTEや次世代モバイルWiMAX(IEEE802.16m)、次世代PHS(XGP:eXtended Global Platform)といった将来的に利用可能となる移動体通信一般により無線通信を行う無線通信インタフェースであるとしてもよい。
【0132】
また、上記実施例では、本体100が無線LAN制御回路174と無線WAN制御回路175と移動体通信制御回路176との3種類の無線通信インタフェースを含むとしているが、本体100が3種類の無線通信インタフェースの内の1種類あるいは2種類のみを含むとしてもよいし、本体100が4種類以上の無線通信インタフェースを含むとしてもよい。あるいは、本体100が同じ種類の無線通信インタフェースを複数含むとしてもよい。また、本発明は、無線LANや移動体通信に限らず、所定の無線通信ネットワークにおける無線通信一般に適用することができる。また、ネットワークシステム10を構成する各構成要素の数は、各実施例で示す数に限定されない。例えば、可搬型ネットワーク接続装置は、1台に限らず、任意の台数とすることもできる。
【0133】
また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【符号の説明】
【0134】
10…ネットワークシステム
20,20a…可搬型ネットワーク接続装置
100,100a…本体
120…CPU
121…転送処理部
121b…ブリッジ機能部
121r…ルータ機能部
122…転送制御部
123…ルータ検出部
124…VRRP制御部
125…応答要求出力部
171…ROM
171a…VRRP設定データ格納部
171b…最大反復回数データ格納部
172…RAM
173…USBインタフェース
174…無線LAN制御回路
175…無線WAN制御回路
176…移動体通信制御回路
180…クレードル接続インタフェース
200…クレードル
210…LAN制御回路
220…ポート
280…本体接続インタフェース
500,500a…ルータ
320…CPU
321…転送処理部
322…転送制御部
323…VRRP制御部
330…RAM
340…ROM
341…VRRP設定データ格納部
342…ルーティングテーブル格納部
350…無線LAN制御回路
800,800a,800b…仮想ルータ装置
A〜C…ロケーション
360…有線LAN制御部
Ca…ネットワークケーブル
Cb…ネットワークケーブル
CL1…第1クライアント
CL2…第2クライアント
CL3…第3クライアント
CL4…第4クライアント
NW1,NW2,NW3…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置であって、
ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードと、ルータ機能部として動作する第2の動作モードとのうち、いずれかの動作モードに設定されて動作するパケット転送処理部と、
他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信するための受信部と、
前記通知パケットが受信されると、前記パケット転送処理部の動作モードを前記第1の動作モードに設定する動作モード制御部と、
を備える、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項2】
ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置であって、
ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードと、ルータ機能部として動作する第2の動作モードとのうち、いずれかの動作モードに設定されて動作するパケット転送処理部と、
他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信するための受信部と、
前記通知パケットが受信されないと、前記パケット転送処理部の動作モードを前記第2の動作モードに設定する動作モード制御部と、
を備える、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、さらに、
他のルータに対して、前記通知パケットの出力を要求するパケットである出力要求パケットを送信する送信部を備える、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)を用いた仮想ルータとして動作可能であり、
前記通知パケットは、VRRP広告メッセージを示すパケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記通知パケットは、UPnP(Universal Plug and Play)におけるIGD(Internet Gateway Device)広告メッセージを示すパケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項6】
請求項3に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記出力要求パケットは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを検索するためのパケットであり、
前記通知パケットは、DHCPにおけるDHCPサーバ応答パケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項7】
請求項3に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記出力要求パケットは、PPPoE(PPP over Ethernet(登録商標))サーバを検索するためのパケットであり、
前記通知パケットは、PPPoEにおけるPPPoEサーバ応答パケットを含む、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項8】
請求項3に記載の可搬型ネットワーク接続装置において、
前記動作モード制御部は、
(i)前記通知パケットとしてのVRRP広告メッセージの受信の有無を判定する第1種の判定と、
(ii)前記通知パケットとしてのUPnPにおけるIGD広告メッセージの受信の有無を判定する第2種の判定と、
(iii)前記通知パケットとしてのDHCPサーバ応答パケットの受信の有無を判定する第3種の判定と、
(iv)前記通知パケットとしてのPPPoEサーバ応答パケットの受信の有無を判定する第4種の判定と、
の4種類の判定のうちの少なくとも2つを含む複数種類の判定を行うとともに、
前記複数種類の判定のうちの少なくとも1種類の判定において前記通知パケットの受信が確認された場合に、前記パケット転送処理部の動作モードを前記第1の動作モードに設定する、可搬型ネットワーク接続装置。
【請求項9】
ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定する方法であって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードとルータ機能部として動作する第2の動作モードとを有し、
(a)前記可搬型ネットワーク接続装置において、他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信する工程と、
(b)前記可搬型ネットワーク接続装置において、前記通知パケットが受信されると、前記動作モードを前記第1の動作モードに設定する工程と、を備える、方法。
【請求項10】
ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定する方法であって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードとルータ機能部として動作する第2の動作モードとを有し、
他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットが受信されないと、前記動作モードを前記第2の動作モードに設定する工程を備える、方法。
【請求項11】
ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定するプログラムであって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する前記第1の動作モードとルータ機能部として動作する第2の動作モードとを有し、
前記可搬型ネットワーク接続装置において、他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットを受信する機能と、
前記可搬型ネットワーク接続装置において、前記通知パケットが受信されると、前記動作モードを第1の動作モードに設定する機能と、を前記可搬型ネットワーク接続装置が有するコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項12】
ルータに対して有線接続又は無線接続が可能な可搬型ネットワーク接続装置において、パケットを転送する際の動作モードを設定するプログラムであって、
前記可搬型ネットワーク接続装置は、前記動作モードとして、ブリッジ機能部として動作する第1の動作モードとルータ機能部として動作する前記第2の動作モードとを有し、
前記可搬型ネットワーク接続装置において、他のルータの存在を通知するパケットである通知パケットが受信されないと、前記動作モードを第2の動作モードに設定する機能を、前記可搬型ネットワーク接続装置が有するコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−13071(P2013−13071A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119270(P2012−119270)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】