説明

可搬式平刺ミシン

【課題】 超小型化が可能で、カギ付き畳の切り欠き部分の平刺し縫いするのに好適な、可搬式平刺ミシンを提供する。
【解決手段】 畳を挟む上部押え3および下部テーブル4を保持する上部フレーム5と下部フレーム6を、背板11により、上部押え3より下で下部テーブル4より上となる高さでの水平断面には背板11とその抜穴部に収まるシャフトのみが表れるよう連結し、カギ付畳の切り欠き部に対しても、切り欠きの角部近くまで針32が届くようにする。そして、上部フレーム5に設けたカム板23のピンと協働して針32を上下作動させる針保持作動機構(B)と、カム板23外周のカム面21と協働して下部テーブル4の下方で針先端のカギ部31に糸を引っ掛ける糸掛け機構(D)と、カム板23のピン22と協働し針32が上昇するときに装置本体を縫い方向に一針分移動させるミシン送り機構(E)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳縫製に使用する平刺ミシン、特に、超小型化が可能で、カギ付き畳、すなわち柱等の出っ張りを避けるためのくの字やコの字の切り欠きを有する畳の、切り欠き部分の縁部に縁布(ヘリ)を平刺縫いするのに好適な、可搬式平刺ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
畳の縁部に縁布を平刺縫いする作業を機械化した平刺ミシンは従来から知られている(例えば、特許文献1、2等参照。)。しかしながら、従来の平刺ミシンでは、柱等の出っ張りを避けてくの字状やコの字状に切り欠いたカギ付き畳の場合、切り欠き部分は、従来の平刺ミシンでは切り欠きの角部までは針が届かない。また、カギ付き畳は最終的には現場で切り欠き部を仕上げる場合があり、そうした場合、従来の平刺ミシンは容易に運べないため使用できない。そのため、従来、カギ付き畳の切り欠き部の平刺し縫いは手縫いで行なっている。
【特許文献1】実公昭60−60号公報
【特許文献2】特開平1−27760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、カギ付き畳の切り欠き部の平刺し縫いは、機械化されておらず、甚だ効率の悪い作業を強いられていた。また、手縫いには熟練を要し、品質の安定性に問題があった。
【0004】
本発明は、こうした問題を解決するもので、超小型化が可能で、カギ付き畳の切り欠き部分の平刺し縫いするのに好適な、可搬式平刺ミシンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明の可搬式平刺ミシンは、畳表を緊張させて固定し框縫いを完了した畳床に縁布及び縁下紙を平刺縫いする平刺ミシンであって、畳の上面を押える上部押えを有する上部フレームと、畳の下面を支える下部テーブルを有する下部フレームとを具備し、前記上部フレームには、平刺縫いするための針及び針保持作動機構、さらに前記針保持作動機構と連動するミシン送り機構と、それら全てを駆動するための駆動機構をそれぞれ具備し、前記下部フレームには、縫着用の糸を供給する糸供給機構と、前記縫着用の糸を平刺縫いするための前記針への誘導並びに前記針へ引っ掛けるための糸掛け機構をそれぞれ具備し、前記上部フレームと前記下部フレームとを接続する部材が、平刺ミシンの背面側で、少なくとも前記上部押えと下部テーブルの間ではミシンの進行方向に薄い板状の部材のみで構成されて、その中に前記駆動機構に前記糸掛け機構を駆動連結する部材が設置され、前記上部押えと前記下部テーブルとの間隔を任意に調整可能とされたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明の可搬式平刺ミシンは、請求項1に係る可搬式平刺ミシンにおいて、縫い方式が一重環縫いであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明の可搬式平刺ミシンは、請求項1又は2に係る可搬式平刺ミシンにおいて、ミシンを縫着方向へ送るための爪がかかるラック式の定規を装着可能であり、縫着動作の途中でミシンの縫着動作を一時停止して前記定規の設置位置を変更可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明の可搬式平刺ミシンは、請求項1に係る可搬式平刺ミシンにおいて、前記針保持作動機構が、前記カム板正面側方のピンに水平移動自在に係合する横長のガイド溝を有するガイド板を備え、前記ガイド溝は、前記針を上昇位置にて安定保持するよう中央部が上方に窪んでいることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明の可搬式平刺ミシンは、畳の縁部を挟む間隔を空けて上下に対向し垂直方向に見て重なる位置に針が通過する穴を有する互いに略平行な上部押えおよび下部テーブルと、前記上部押えを保持する上部フレームおよび前記下部テーブルを保持する下部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームとを背面側で前記上部押えと下部テーブルとの間隙を調整可能に連結する上下フレーム連結機構と、略円盤状で外周にカム面を有するとともに正面側方にピンを有し前記上部押えの上方で前記上部フレームに回転可能に支持されたカム板と、前記カム板を回転駆動する駆動機構と、前記カム板の正面前方で先端にカギ部を有する平刺縫い用の針を略垂直に保持するとともに前記カム板正面側方のピンと協働し前記カム板の回転に連動して前記針を上下に作動させる針保持作動機構と、前記下部テーブルの下方に縫製用の糸を供給する糸供給機構と、前記カム板外周のカム面と協働して前記下部テーブルの下方に下降した針先端のカギ部に前記糸供給機構により供給された糸を引っ掛ける糸掛け機構と、前記カム板正面側方のピンと協働し前記針が上昇した後で装置本体を縫い方向に一針分移動させるミシン送り機構を備えたことを特徴とする。
【0010】
そして、この請求項5に係る発明の可搬式平刺ミシンは、更に、前記上下フレーム連結機構が、平板状で略矩形断面の一短辺を正面に向けて前記下部フレームの背部中央に固定され略垂直上方へ延設された背板と、該背板の上部に前記上部フレームを高さ調節自在に連結する可変連結装置とで構成され、前記糸掛け機構が、前記下部テーブルの下方で前記針先端のカギ部に糸を押し込む水平旋回式の糸掛けと、前記カム板外周のカム面に当接する上下揺動式のカムフォロアーと、前記背板に設けられた縦長の抜穴部に収まって前記上部フレームの背部から前記下部フレームの背部まで延びるシャフトと、前記カムフォロアーと前記シャフトを連結し前記カムフォロアーの上下揺動運動を前記シャフトの回転運動に変換する上部リンク装置と、前記シャフトと前記糸掛けとを連結し前記シャフトの回転運動を前記糸掛けの水平旋回運動に変換する下部リンク装置とで構成され、前記上部押えより下で前記下部テーブルより上となる高さでの水平断面に前記背板と該背板の抜穴部に収まった前記シャフトのみが表れることを特徴とする。
【0011】
この可搬式平刺ミシンは、針が上昇した状態で、縁布を被せた畳側部の縫い始めの針位置に合わせて、上部押えと下部テーブルとで畳を挟むようにセットし、上部押えと下部テーブルとの間隙をほぼ畳の厚み分に調整する。
【0012】
このとき、針保持作動機構が、カム板正面のピンに水平移動自在に係合する横長のガイド溝を有するガイド板を備え、ガイド溝の中央部が、針を上昇位置にて安定保持するよう中央部が上方に窪んでいると、針が上昇位置に安定して保持され、不用意に下降して送り動作に支障を生じるのを防止できる。
【0013】
そして、カム板を回転させる。こうしてカム板を回転させると、針保持作動機構がカム板正面側方のピンと協働して針が下がり、上部押えの穴を通って縁下紙、縁布および畳を貫通し、針先が下部テーブルの穴を通ってその更に下方まで下降する。そして、針先が下降すると、それに合わせて、カム板外周のカム面と協働する糸掛け機構が作動し、針先端のカギ部に糸を引っ掛ける。
【0014】
この状態でミシン送り機構を作動初期状態にセットする。そして、さらにカム板を回転させると、針が上昇して糸を持ち上げ、その後、カム板正面側方のピンと協働するミシン送り機構が作動して、装置本体が縫い方向に一針分移動する。
【0015】
こうしてカム板が1周する毎に平刺縫いが一針進む。この動作を繰り返すことにより、畳側部の平刺縫いを必要なだけの長さ行なうことができる。
【0016】
そして、この可搬式平刺ミシンは、上部押えより下で下部テーブルより上となる高さでの水平断面に背板と該背板の抜穴部に収まったシャフトのみが表れる構成であるため、カギ付畳の切り欠き部の平刺縫いを行う場合でも、切り欠きの角部近くまで針が届き、機械化による安定した平刺縫いを行なうことができる。
【0017】
そして、この可搬式平刺ミシンは、構成が簡易で、超小型化が可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、カギ付き畳の切り欠き部分の平刺縫いを機械化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図8は本発明の実施の形態の一例を示している。図1は可搬式平刺ミシンの正面図、図2は可搬式平刺ミシンの側面図、図3は可搬式平刺ミシンの概略構成を示す斜視図、図4は糸掛け機構の動作説明図、図5は針が上がった状態を概略的に説明するミシン上部および下部の正面視説明図(a)およびミシン下部の平面視説明図(b)、図6は針が下がった状態を概略的にて説明するミシン上部および下部の正面視説明図(a)およびミシン下部の平面視説明図(b)、図7は針が糸を持ち上げた状態を概略的に説明するミシン上部および下部の正面視説明図(a)およびミシン下部の平面視説明図(b)、図8はこの実施の形態の可搬式平刺ミシンによる平刺縫いの作用説明図である。
【0020】
この実施の形態の可搬式平刺ミシン(M)は、図1〜図3に示すように、畳(T)の縁部を挟む間隔を空けて上下に対向し垂直方向に見て重なる位置に針が通過する穴1、2を有する互いに略平行な上部押え3と下部テーブル4を備えている。上部押え3の穴1は、断面円形である。また、下部テーブル4の穴2は、針を通過させるとともに後述のように糸を下部テーブル4の下から上に出すためのものでもあり、断面形状が縫い方向に細長い穴である。
【0021】
上部押え3は上部フレーム5の下端に固定保持され、下部テーブル4は下部フレーム6の上端に固定保持されている。そして、上部フレーム5と下部フレーム6とは、背面側で上下フレーム連結機構(A)により上部押え3と下部テーブル4との間隙を調整可能に連結されている。
【0022】
上下フレーム連結機構(A)は、薄い(例えば厚さ6mm)平板状で略矩形断面の一短辺を正面に向けて下部フレーム6の背部中央に固定され略垂直上方へ延設された背板11の上部に、ネジ式の可変連結装置12を介して上部フレーム5を連結し、厚み調整ハンドル13の操作で上部フレーム5の高さを自在に調節できるよう構成されている。
【0023】
上部フレーム5には、上部押え3の上方に、略円盤状で外周にカム面21を有するとともに正面側方にピン22を有するカム板23がカム軸24を介して回転可能に支持されている。そして、カム板23の背面に内歯車25が固定され、上部フレーム5の後方に駆動用のハンドル26が配設され、このハンドル26の回転がハンドル軸に固定されたピニオン(図示せず)から内歯車25に伝達されてカム板23が回転駆動されるよう駆動機構が構成されている。
【0024】
カム板23の正面前方には、先端にネジリカギ状のカギ部31を有する平刺縫い用の針32を略垂直に保持するとともにカム板23の正面側方のピン22と協働しカム板23の回転に連動して針32を上下に作動させる針保持作動機構(B)を備えている。
【0025】
針保持作動機構(B)は、カム板23の正面側方のピン22に水平移動自在に係合する横長で中央部が上方に窪んだガイド溝33を有するガイド板34の正面に、左右一対のリニアブッシュ35A、35Bを固定するとともに、正面中央に針32を保持するホルダー36を固定し、上部フレーム5に支持されたリニアシャフト37A、37Bに左右のリニアブッシュ35A、35Bを上下摺動自在に挿着したものである。
【0026】
下部テーブル4の下方には、縫製用の糸を供給する糸供給機構(C)が設けられている。糸供給機構(C)は、下部フレーム6の一側外方に取り付けられた糸リール41と、糸リール41から引き出した糸を挟む繰出側の糸調子42と、下部フレーム5の側板に設けられた糸道43と、繰出側の糸調子42を経由し糸道43から下部フレーム6内に導いた糸の先端部を下部テーブル4の穴2から上に出した後、下部フレーム6の反対側外方で挟み持つ先端側の糸保持44とで構成されている。
【0027】
また、この可搬式平刺ミシン(M)は、カム板23の外周のカム面21と協働して下部テーブル4の下方に下降した針先端のカギ部31に糸供給機構(C)により供給された糸を引っ掛ける糸掛け機構(D)を備えている。
【0028】
糸掛け機構(D)は、下部テーブル4の下方で針先端のカギ部31に糸を押し込む水平旋回式の糸掛け51と、カム板23の外周のカム面21に当接する上下揺動式のカムフォロアー52と、背板11に設けられた縦長の抜穴部53に収まって上部フレーム5の背部から下部フレーム6の背部まで延びるシャフト54と、カムフォロアー52とシャフト54を連結しカムフォロアー52の上下揺動運動をシャフトの回転運動に変換する上部リンク装置55と、シャフト54と糸掛け51とを連結しシャフト54の回転運動を糸掛け51の水平旋回運動に変換する下部リンク装置56とで構成されている。その動作を図4に矢印で示す
【0029】
また、この可搬式平刺ミシン(M)は、カム板23の正面側方のピン22と協働し針32が上昇した後で装置本体(上部フレーム5および下部フレーム6)を縫い方向に一針分移動させるミシン送り機構(E)を備えている。
【0030】
ミシン送り機構(E)は、上部押え3の正面上部に固定された定規ガイド61と、定規ガイド61で畳上面に押し付けようにセットするラック式の定規62に係合可能な爪レバー63と、カム板23の正面側方のピン22と協働するレバー64と、このレバー64と爪レバー63とを連結し、針32が下がった状態で一針分先のラック位置(初期作動位置)に係合させた爪レバー63を、針が上昇したときに縫い方向と反対の方向に作動させるよう回動させるリンク装置65と、爪レバー63が初期作動位置を越えないようリンク装置65の動きを規制するストッパー66とで構成されている。
【0031】
この可搬式平刺ミシン(M)は、上部押え3より下で下部テーブル4より上となる高さでの水平断面には、背板11と該背板11の抜穴部53に収まったシャフト54のみが表れる。
【0032】
この可搬式平刺ミシンは、針32が上昇した状態で、縁布(N)を被せた畳(T)の側部の縫い始めの針位置に合わせて、上部押え3と下部テーブル4とで畳を挟むようにセットし、上部押え3と下部テーブル4との間隙をほぼ畳(T)の厚み分に調整する。図5に針32が上昇した時の各部の状態を示す。このとき、ガイド溝33の上方に窪んだ中央部により針32が上昇位置にて安定して保持される。
【0033】
そして、カム板23を回転させる。こうしてカム板23を回転させると、図6に示すように、針32が下降する。そして、糸掛け51が針32の先端のカギ部31に糸(S)を引っ掛ける。この状態でミシン送り機構(E)の爪レバー63を一針分先の作動初期状態にセットする。
【0034】
そして、さらにカム板23を回転させると、図7に示すように、針32が上昇して糸(S)を持ち上げ、その後、カム板23の正面側方のピン22と協働するミシン送り機構(E)が作動して、装置本体が縫い方向に一針分移動する。
【0035】
こうしてカム板が1周する毎に平刺縫いが一針進む。この動作を繰り返すことにより、畳側部の平刺縫いを必要なだけの長さ行なうことができる。
【0036】
この可搬式平刺ミシン(M)は、カギ付畳の切り欠き部の平刺縫いを行う場合に、図8に示すように、畳(T)の切り欠きの角部(K)近くまで針32が届き、機械化による安定した平刺縫いを行なうことができる。背板11の厚みは例えば6mmであり、その場合、針32は切り欠きの角部(K)までの残り距離(h)が3mm程度となるまで縫い進むことができる。
【0037】
定規62は縫着動作の途中でミシンの縫着動作を一時停止して設置位置を変更可能であり、切り欠き部が大きくて縫着する長さが長い場合は、ハンドル26を停止してミシンを止め、定規を移動させることで所要の平刺縫いを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンの正面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンの概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンの糸掛け機構の動作説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンの針が上がった状態を概略的に説明するもので、(a)はミシン上部および下部の正面視説明図、(b)はミシン下部の平面視説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンの針が下がった状態を概略的にて説明するもので、(a)はミシン上部および下部の正面視説明図、(b)はミシン下部の平面視説明図。
【図7】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンの針が糸を持ち上げた状態を概略的に説明するもので、(a)はミシン上部および下部の正面視説明図、(b)はミシン下部の平面視説明図である。
【図8】本発明の実施の形態の一例の可搬式平刺ミシンによる平刺縫いの作用説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1、2 穴
3 上部押え
4 下部テーブル
5 上部フレーム
6 下部フレーム
11 背板
12 可変連結装置
13 厚み調整ハンドル
21 カム面
22 ピン
23 カム板
24 カム軸
25 内歯車
26 ハンドル
31 カギ部
32 針
33 ガイド溝
34 ガイド板
35A、35B リニアブッシュ
36 ホルダー
37A、37B リニアシャフト
41 糸リール
42 糸調子
44 糸保持
43 糸道
51 糸掛け
52 カムフォロアー
53 抜穴部
54 シャフト
55 上部リンク装置
56 下部リンク装置
61 定規ガイド
62 定規
63 爪レバー
64 レバー
65 リンク装置
66 ストッパー
A 上下フレーム連結機構
B 針保持作動機構
C 糸供給機構
D 糸掛け機構
E ミシン送り機構
T 畳
M 可搬式平刺ミシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳表を緊張させて固定し框縫いを完了した畳床に縁布及び縁下紙を平刺縫いする平刺ミシンであって、
畳の上面を押える上部押えを有する上部フレームと、畳の下面を支える下部テーブルを有する下部フレームとを具備し、
前記上部フレームには、平刺縫いするための針及び針保持作動機構、さらに前記針保持作動機構と連動するミシン送り機構と、それら全てを駆動するための駆動機構をそれぞれ具備し、
前記下部フレームには、縫着用の糸を供給する糸供給機構と、前記縫着用の糸を平刺縫いするための前記針への誘導並びに前記針へ引っ掛けるための糸掛け機構をそれぞれ具備し、
前記上部フレームと前記下部フレームとを接続する部材が、平刺ミシンの背面側で、少なくとも前記上部押えと下部テーブルの間ではミシンの進行方向に薄い板状の部材のみで構成されて、その中に前記駆動機構に前記糸掛け機構を駆動連結する部材が設置され、
前記上部押えと前記下部テーブルとの間隔を任意に調整可能とされたことを特徴とする可搬式平刺ミシン。
【請求項2】
縫い方式が一重環縫いであることを特徴とする請求項1記載の可搬式平刺ミシン。
【請求項3】
ミシンを縫着方向へ送るための爪がかかるラック式の定規を装着可能であり、縫着動作の途中でミシンの縫着動作を一時停止して前記定規の設置位置を変更可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の可搬式平刺ミシン。
【請求項4】
前記針保持作動機構が、前記カム板正面側方のピンに水平移動自在に係合する横長のガイド溝を有するガイド板を備え、前記ガイド溝は、前記針を上昇位置にて安定保持するよう中央部が上方に窪んでいることを特徴とする請求項1記載の可搬式平刺ミシン。
【請求項5】
畳の縁部を挟む間隔を空けて上下に対向し垂直方向に見て重なる位置に針が通過する穴を有する互いに略平行な上部押えおよび下部テーブルと、
前記上部押えを保持する上部フレームおよび前記下部テーブルを保持する下部フレームと、
前記上部フレームと前記下部フレームとを背面側で前記上部押えと下部テーブルとの間隙を調整可能に連結する上下フレーム連結機構と、
略円盤状で外周にカム面を有するとともに正面側方にピンを有し前記上部押えの上方で前記上部フレームに回転可能に支持されたカム板と、
前記カム板を回転駆動する駆動機構と、
前記カム板の正面前方で先端にカギ部を有する平刺縫い用の針を略垂直に保持するとともに前記カム板正面側方のピンと協働し前記カム板の回転に連動して前記針を上下に作動させる針保持作動機構と、
前記下部テーブルの下方に縫製用の糸を供給する糸供給機構と、
前記カム板外周のカム面と協働して前記下部テーブルの下方に下降した針先端のカギ部に前記糸供給機構により供給された糸を引っ掛ける糸掛け機構と、
前記カム板正面側方のピンと協働し前記針が上昇した後で装置本体を縫い方向に一針分移動させるミシン送り機構を備えた可搬式平刺ミシンであって、
前記上下フレーム連結機構が、平板状で略矩形断面の一短辺を正面に向けて前記下部フレームの背部中央に固定され略垂直上方へ延設された背板と、該背板の上部に前記上部フレームを高さ調節自在に連結する可変連結装置とで構成され、
前記糸掛け機構が、前記下部テーブルの下方で前記針先端のカギ部に糸を押し込む水平旋回式の糸掛けと、前記カム板外周のカム面に当接する上下揺動式のカムフォロアーと、前記背板に設けられた縦長の抜穴部に収まって前記上部フレームの背部から前記下部フレームの背部まで延びるシャフトと、前記カムフォロアーと前記シャフトを連結し前記カムフォロアーの上下揺動運動を前記シャフトの回転運動に変換する上部リンク装置と、前記シャフトと前記糸掛けとを連結し前記シャフトの回転運動を前記糸掛けの水平旋回運動に変換する下部リンク装置とで構成され、
前記上部押えより下で前記下部テーブルより上となる高さでの水平断面に前記背板と該背板の抜穴部に収まった前記シャフトのみが表れることを特徴とする可搬式平刺ミシン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate