説明

可撓性保護被膜

少なくとも二峰性の粒径分布を有する無機難燃剤からなる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に難燃性の煙抑制組成物に関する。より詳細には、本発明は、基材に適用可能な難燃性の煙抑制組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
可燃性基材を火から保護する多数のアプローチが開発されてきた。幅広い用途を見出している一つのアプローチは、基材への難燃性被膜の適用である。防火被膜は、大まかにセラミックスベースの被膜、熱収縮被膜、膨張性被膜、及び蒸気発生(昇華)被膜に分類され得るが、実際には、これらのアプローチは、化学的及び物理的な難燃機構が相当重複し得る。
【0003】
従来の難燃性被膜の多くは、熱又は炎に応答して不燃性ガスを放出する薬剤を使用している。例えば、ハロゲン化難燃剤は、例えば臭化水素酸又は塩酸等の気体状の酸を放出し、これらが酸素基を除去して燃焼を遅延させる。しかしながら、例えば臭素化有機ポリマー等のハロゲン化難燃剤の化学物質に対する環境上及び健康上の問題により、無機難燃剤が新たな注目を集めている。
【0004】
アルミナ三水和物(「ATH」)は、化学式Al・3HOで定義される無機難燃剤である。火による熱の存在下、ATHは、その分子量の35%を占める水和物の水を、吸熱反応により放出する。吸熱反応は、基材をその引火点未満に冷却する。放出された水は、燃焼に必要な酸素から基材を遮蔽する蒸気バリアも提供する。
【0005】
ATH及び他の無機難燃剤を含む従来の被膜には、ある不都合が存在する。例えば、許容できる難燃性の提供に必要な無機難燃剤の高い水準を要因として、被膜は一般に硬く、従って高い可撓性を有する基材への適用に適していない。下にある基材が変形されると、被膜には度々亀裂及び割れ目が生じ、それにより被膜の保護能力が低下し、基材は雨風に晒され、また物品の視覚的外観が損なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、高い可撓性を有する難燃性被膜が必要とされている。更に、基材の燃焼を遅延又は阻止するに十分な量の無機難燃剤を含有する、高い可撓性を有する難燃性被膜が必要とされている。また当該技術分野にて、基材の燃焼を遅延又は阻止するに十分な量の無機難燃剤を含有し、更に基材又は下塗装を水損傷等から保護する、高い可撓性を有する難燃性被膜も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的及び他に従って、本発明は、例えばパイプ、チューブ、ケーブル及び同様物等の可撓性基材への適用に理想的に適している、無機難燃剤を含有する難燃性の煙抑制被膜を提供することにより、従来の難燃性被膜の不都合を克服する。特許請求する組成物の変形を使用した被膜は、例えば屈曲により基材が変形された際に、裂けたり又は割れたりしない。数種の変形被膜は、卓越した接着特性を有し、例えば金属、プラスチック及び木材を含む基材に直接適用でき、又は一つ若しくはそれ以上の下塗装上に適用できる。数種の変形被膜は耐水性であり、それ故、基材又は下塗装を雨風から保護し、被膜からの無機難燃剤の浸出を防止する。
【0008】
本明細書に特許請求する組成物の数個の変形は、(a)約5%〜約30重量%のポリマーバインダーの水性分散体;(b)約30%〜約90重量%の、約15〜約100ミクロンの中央粒径を有する水分散性無機難燃剤;及び(c)約0.1%〜約10重量%の界面活性剤を含む。
【0009】
本明細書に特許請求する他の変形は、第一の中央粒径を有する無機難燃剤の第一の粉末と、第二の中央粒径を有する無機難燃剤の第二の粉末とを含み;ここで第二の中央粒径は第一の中央粒径よりも大きい、少なくとも二峰性の粒径分布を有する無機難燃剤に関する。
【0010】
本明細書に特許請求する更なる別の変形組成物は、少なくとも二峰性の粒径分布を有し、約0.1〜約20ミクロンの第一の中央粒径を有する第一の粉末と、約5〜約100ミクロンの第二の中央粒径を有する第二の粉末とを含み、但し第二の中央粒径は第一の中央粒径よりも大きいことを条件とし;第一の粉末と第二の粉末との重量比が、約100:1〜約1:20である無機難燃剤に関する。かような変形において、第一及び第二の無機難燃剤粉末は、必ずしも同一化合物でなくてもよいが、ある場合には同一であることを理解するべきである。これら組成物の数個の下位の変形は、少なくとも約30重量%の無機難燃剤を含有し得る。
【0011】
上記の組成物のいずれかの代表的な数個の変形は、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%の無機難燃剤を含むであろう。
【0012】
ポリマーバインダーは、無機難燃剤の濃度が非常に高くても、上記に言及した変形被膜に可撓性を付与する。
【0013】
特定の無機難燃剤の変形は、例えばアルミナ三水和物、酸化マグネシウム水和物、及びホウ酸亜鉛水和物等の、水和水を有する無機酸化物を含み得る。
【0014】
本明細書にて特許請求する尚別の変形は、(a)約0.1〜約5ミクロンの中央粒径を有する第一のアルミナ三水和物粉末と、約20〜約100ミクロンの中央粒径を有する第二のアルミナ三水和物粉末とを含む、少なくとも二峰性の粒径分布を有するアルミナ三水和物と;ここで第一の粉末と第二の粉末との重量比は約5:1〜約1:5であることと;(b)ラテックスバインダーの水性分散体と;を含み、ここでアルミナ三水和物は、組成物の少なくとも約30重量%を構成する、難燃性被膜組成物に関する。
【0015】
本発明のこれらの及び他の局面は、当業者には以下の詳細な説明を読んだ後に明らかとなるであろう。
【0016】
本明細書に記載する利点及び特徴は、代表的な実施例及び変形から得られる多数の利点及び特徴のうちの数個であり、本発明の理解を助けるためにのみ示される。それらは、特許請求の範囲に定義する本発明の限定、又は特許請求の範囲の等価物の限定であると考慮するものではないことを理解すべきである。例えば、これら利点の数個は、一つの実施態様に同時に存在し得ない点で、互いに矛盾する。同様に、数個の利点は、本発明の一局面に適用できるが、他の局面には適用できない。加えて、明白に記載されているもの以外の異なる順列及び組み合わせが存在し、これらは網羅的に引用されることなく、本明細書の記載に基づき形成され得ることを理解するべきである。従って、この特徴及び利点の概略は、等価物を決定する手掛かりと考慮するべきではない。本発明の更なる特徴及び利点は、以下の記載及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、無機難燃剤及びポリマーバインダーを含有する水ベースの組成物の形態を有する皮膜を提供し、該被膜は様々な実施態様において、難燃性、耐火性、及び消化性である。被膜は、耐水性であり、かつ高い可撓性を有する。従来の被膜と対比すると、本発明の被膜は、該被膜が適用される基材が、例えば屈曲又は伸張により変形された際の亀裂及び割れに耐性である。本発明の被膜はまた耐水性であり、それにより基材又は下塗装は、水損傷から保護され、また被膜中の無機難燃剤の効果が保存される。
【0018】
本明細書で使用する全用語は、明白に定義されない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味を有するものとする。用語「難燃剤」は、発火の際に、材料が燃焼の進行を遅延させる能力を指す。用語「耐火性」は、炎の熱の存在下、材料が燃焼に抵抗する能力を指す。用語「消化性」は、燃焼の際に、材料が自己消化する能力を指す。用語「二峰性」は、2つの最高値を有する粒径分布を指す。用語「三峰性」は、3つの最高値を有する粒径分布を指す。百分率及び比の全ては、本明細書で別に明記しない限り重量ベースで提供する。
【0019】
本発明の組成物は、ポリマーバインダーを含む。本発明の最も広い局面において、熱可塑性及び熱硬化性ポリマーを含む任意のポリマーバインダーの使用が想定される。一実施態様において、ポリマーバインダーは、ラテックスバインダーを含むがこれに限定されない水分散性ポリマーである。ポリマーバインダーは、例えば、約0.01ミクロン〜約10ミクロンの粒径を有するポリマー粒子の水性コロイド状分散体として提供されてもよい。この範囲内では、約0.05ミクロン〜約1ミクロンの平均粒径を有するポリマー粒子が特に適切である。
【0020】
前記したラテックスバインダーに関して、当業者は、用語「ラテックス」が、ポリマー粒子のコロイド状懸濁液を指す最も広い意味にて使用され、非限定的に天然ラテックス、ネオプレンラテックス、ニトリルラテックス、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、スチレンブタジエンラテックス、及び同様物を包含することを認識するであろう。これらラテックス組成物のための代表的なポリマーは、メタクリル酸メチル、スチレン、メタクリル酸アクリル酸2−ヒドロキシエチルポリマー(CAS#70677−00−8)、アクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ブチルポリマー(CAS#7732−38−6)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチルポリマー(CAS#25951−38−6)、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ポリマー(CAS#42398−14−1)、スチレン、アクリル酸ブチルポリマー(CAS#25767−47−9)、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ポリマーC(CAS#31071−53−1)、アクリルポリマー、及びカルボキシル化スチレンブタジエンポリマーを含むが、これらに限定されない。一種又はそれ以上のラテックスバインダーの組み合わせも、本発明の実施に有用であると想定される。
【0021】
特に、例えばDow Chemical CompanyによりUCAR(商標)Latexの名称の下で販売されているアクリルラテックスバインダーを挙げることができる。適切なアクリルラテックスバインダーは、UCAR(商標)Latex 120(約48重量%のアクリルポリマー、52重量%の水、及び0.14重量%のアンモニアを含み、総固体含有量50重量%、粘度約200cps、二峰性粒径分布、及びガラス遷移温度、中点、約−3℃を有するアクリルラテックスバインダー材料);UCAR(商標)Latex 9037(約52重量%のアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチルポリマー(CAS#25951−38−6)、48重量%の水、及び0.1重量%のアンモニアを含み、総固体含有率51.5重量%、粘度約450cps、平均粒径約0.3ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−30℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン製品);UCAR(商標)Latex 9042(約54重量%のアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチルポリマー(CAS#25951−38−6)、45重量%の水、及び0.12重量%のアンモニアを含み、総固体含有率55.5重量%、粘度約500cps、平均粒径約0.3ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−35℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン製品);UCAR(商標)Latex 9043(約54重量%のアクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ポリマー(CAS#42398−14−1)、47重量%の水、0.2重量%のアンモニア、及び0.01重量%のアクリル酸2−ヒドロキシエチル(CAS#103−11−7)を含み、総固体含有率53重量%、粘度約175cps、平均粒径約0.3ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−40℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン製品);UCAR(商標)Latex 9181(約56重量%のアクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ポリマー(CAS#42398−14−1)、44重量%の水、0.1重量%のアンモニア、及び0.01重量%のアクリル酸2−ヒドロキシエチル(CAS#103−11−7)を含み、総固体含有率56.5重量%、粘度約450cps、平均粒径約0.2ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−40℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン製品);UCAR(商標)Latex 9188(約58重量%のスチレン、アクリル酸ブチルポリマー(CAS#25767−47−9)及び42重量%の水を含み、総固体含有率57.3重量%、粘度約230cps、平均粒径約0.26ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−29℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン);UCAR(商標)Latex 9189(約53重量%のアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチルポリマー(CAS#25951−38−6)、47重量%の水、及び0.12重量%のアンモニアを含み、総固体含有率52.5重量%、粘度約325cps、平均粒径約0.24ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−35℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン製品);UCAR(商標)Latex 9191(約39重量%のアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチルポリマー(CAS#25951−38−6)、48重量%の水、13重量%の変性ロジン(CAS#8050−31−5)の水性分散体、及び0.08重量%のアンモニアを含み、総固体含有率52.5重量%、粘度約250cps、及びガラス遷移温度、中点、約−30℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン);UCAR(商標)Latex 9569(約58重量%のアクリルブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ポリマーC(CAS#31071−53−1)、42重量%の水、0.08重量%のアクリル酸2−ヒドロキシエチル(CAS#103−11−7)、0.06重量%のアンモニア、及び0.01重量%の1,4−ジオキサンを含み、総固体含有率57.5重量%、粘度約900cps、平均粒径約0.3ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−53℃を有するアクリルコポリマーエマルジョン製品)を含むが、これらに限定されない。
【0022】
スチレンアクリルラテックスは、UCAR(商標)Latex 100(約62重量%のアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、スチレン、メタクリル酸2−アクリル酸ヒドロキシエチルポリマー(CAS#70677−00−8)、38重量%の水、及び0.04重量%のアンモニアを含み、総固体含有率62重量%、粘度約750cps、平均粒径約0.3ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約12℃を有するスチレンアクリルラテックス)、並びにUCAR(商標)Latex 462(約45.5重量%のアクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ブチルポリマー(CAS#7732−38−6)及び約54重量%の水を含み、総固体含有率45.5重量%、粘度約400cps、平均粒径約0.35ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約17℃を有するスチレンアクリルラテックスバインダー)を含むが、これらに限定されない。
【0023】
スチレンブタジエンラテックスは、UCAR(商標)Latex DL313(48重量%のカルボキシル化スチレンブタジエンポリマー及び52重量%の水を含み、総固体含有率48重量%、粘度約300cps、平均粒径約0.1ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約−1℃を有するスチレンブタジエンラテックス)を含むが、これに限定されない。
【0024】
ビニルアクリルラテックスは、UCAR(商標)Latex 162(約55重量%の酢酸ビニル、アクリル酸ブチルポリマー(CAS#25067−01−0)、45重量%の水、0.1重量%の未満の酢酸ビニル、0.04重量%のアセトアルデヒド、0.01重量%のホルムアルデヒドを含み、総固体含有率55重量%、粘度約400cps、平均粒径約0.3ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約12℃を有するビニルアクリルコポリマーラテックスバインダー)、並びにUCAR(商標)Latex 357(約56重量%の酢酸ビニル、アクリル酸ブチルポリマー(CAS#25067−01−0)、44重量%の水、0.08重量%未満の酢酸ビニル、0.04重量%のアセトアルデヒド、0.01重量%のアンモニアを含み、総固体含有率56.5重量%、粘度約400cps、平均粒径約0.3ミクロン、及びガラス遷移温度、中点、約23℃を有するビニルアクリルコポリマーラテックスバインダー)を含むが、これらに限定されない。
【0025】
特に、UCAR(商標)Latex 9042を挙げることができる。UCAR(商標)Latex 9042の接着特性は:被膜重量1.6〜1.8g/100in、73°Fにて、2−milポリエステルバッキング上で試験して、180°ピール、30分間停留、pli 3.5、Quick Stick Adhesion、pli 1.5、及びステンレス鋼上でのせん断抵抗、(1/2インチ×1/2インチ×500g)9.0時間により特徴付けられる。
【0026】
本発明の組成物は、無機難燃剤を含む。本発明の最も広い局面では、任意の無機難燃剤を使用し得る。それらの無機難燃剤は、当該技術分野にて周知であり、例えばポリ硫酸アンモニウム等の所定のリン酸塩、(NHPO、金属酸化物、ホウ酸塩、及び同様物を含むが、これらに限定されない。本発明の実施の一つにおいて、無機難燃剤は、熱又は炎の存在下、吸熱反応を経過するものである(「吸熱無機難燃剤」)。水和水を有する結晶材料は、吸熱無機難燃剤の興味深い例の一つである。水和水を含む適切な無機材料は、例えば結晶酸化物、例えばアルミナ三水和物、酸化マグネシウム水和物、並びに2ZnO・3B・3 1/2HO、4ZnO・B・HO、4ZnO・6B・7HO、及び2ZnO・2B・3HOを含むが、これらに限定されないホウ酸亜鉛水和物等を含む。特に、アルミナ三水和物を挙げることができる。本明細書で使用する用語「酸化物」は、酸素に対する少なくとも一つの二重結合を形成する少なくとも一つの原子を含む無機物質を含無機物質を指し、酸素に対して二重結合した一つの原子を有する物質、例えばMgO、及び酸素に対して二重結合した二つ又はそれ以上の原子を有する物質、例えばホウ酸亜鉛を含むことが理解されよう。用語「水和物」は、結晶状態中に水、即ち、結晶水を含む任意の物質を指し、本明細書中で用語「水和水」と同意語で使用される。
【0027】
比較的大きい粒径(例、>20ミクロン)を有する水不溶性又は水溶性が乏しい微粒子無機難燃剤が、水性被膜系中に調製された場合、微粒子保管期間が長いと、無機難燃剤が、水性相から分離する傾向があることが観察されている。これが生じた場合、被膜系を基材に適用する前に、多くの場合、多大な困難を伴い堆積物を再懸濁する必要がある。この所望されない特性は、比較的小さい中央粒径(例、<20ミクロン)を有する微粒子無機難燃剤粒子を、単独で又はより大きい粒径の無機難燃剤と組み合わせて使用することにより克服される。より詳細には、約0.1〜約5ミクロンのオーダーの非常に小さい粒子は、長期間、少なくとも数日間、好ましくは数週間又はそれ以上、目に見える程堆積することなく水性溶液中に懸濁した状態を維持することが見出されている。従って、そのような小さい粒径の無機難燃剤を用いて調製された被膜系は、入念なかき回し、撹拌等を必要とせず使用することができる。
【0028】
従って、本発明の一実施態様は、約0.1〜約5ミクロンの中央粒径を有する無機難燃剤粉末を含む組成物を提供する。この範囲内では、約1〜約3ミクロンの中央粒径を有する無機難燃剤粉末が、特に有用と想定される。特に、約2ミクロンの中央粒径を有する無機難燃剤粉末を挙げることができる。0.1〜100ミクロンの様々な粒径を有する粉末を、円盤粉砕、エアジェット粉砕、摩砕、及び同様物により提供することは、当業者の技量内にある。これら小さい粒径の粉末を、より大きい粒径の粉末と比較して大量に(例、>30重量%)水性溶液に加え得る。被膜系の難燃性及び消化性の利点は、無機難燃剤が高濃度で存在する場合、特に総水性組成物の30重量%を越える濃度で存在する場合、最も完全に実現される。
【0029】
前述した実施態様は、本発明の多数の興味深い被膜系の調製に有用と想定されるが、被膜の難燃及び消化特性の更なる改良は、微粒子無機難燃剤の二峰性分布の使用により達成される。本発明のこの局面による一実施態様において、組成物は、第一の中央粒径を有する第一の無機難燃剤粉末と、第二の中央粒径を有する第二の無機難燃剤粉末とを含むよう提供される。第一の中央粒径は、無機難燃剤粉末が、水性溶液中で、水性相から容易に沈殿しないコロイド状懸濁液を形成し得るよう選択される。第一の中央粒径は、一般に約0.1ミクロン〜約20ミクロンであるが、必ずしもそうではなく、一般に約0.1〜約10ミクロン、又は約0.1〜約5ミクロン、適切には約1〜約3ミクロンであろう。約2ミクロンの中央粒径を有する無機難燃剤粉末は、第一の無機難燃剤粉末として使用された場合、特に興味深いことが見出されている。第二の無機難燃剤粉末は、第一の無機難燃剤粉末と比較して大きい粉末である。より大きい粉末は、熱及び火に対してより頑丈なバリアを提供することが観察されている。従って、より大きい粒子の存在は、より堅牢な被膜を提供し、また皮膜に対してより長い保護期間を付与する。しかしながら、第二の粉末の粒径は、材料が水性被膜系中に調製される際に、堆積物を容易に形成する程大きいものであってはならない。第二の粉末の選択は、本発明の最も広い局面においては、場合による手段であるため相当の余裕がある。当業者は、好ましい第二の粒径の選択の際に、前述した原理により誘導されるであろう。第二の中央粒径は、一般に約5ミクロン〜約100ミクロンであるが、必ずしもそうではない。一実施態様において、第二の中央粒径は、約10ミクロン〜約70ミクロンである。別の一実施態様において、第二の中央粒径は、約20ミクロン〜約60ミクロンである。特に有用な被膜は、約40〜約50ミクロン、例えば約45ミクロンの中央粒径を有する第二の無機難燃剤粉末を含む。
【0030】
驚くべきことに、より大きい第二の無機難燃剤粉末は、より小さい無機難燃剤粉末も存在する場合、水性溶液中で浮遊した状態を維持することが見出された。二種の粉末間の幅広い相対比率において、より大きい第二の粉末の堆積が遅延し又は実質的に防止されることが想定される。例えば、第一の無機難燃剤粉末と第二の無機難燃剤粉末との重量比は、必ずしもそうではないが、一般に約100:1〜約1:20であろう。組成物の難燃及び消化特性は、第一の無機難燃剤粉末と第二の無機難燃剤粉末との重量比が、約5:1〜約1:20の場合に向上するであろう。別の実施態様は、約10:1〜約1:10、約5:1〜約1:5、及び約1:1〜約1:5の重量比を含むであろう。1:3の重量比が特に有用であると見出されている。
【0031】
本発明の興味深い一実施態様は、約1〜約3ミクロン、特に約2ミクロンの中央粒径を有する第一の無機難燃剤粉末、及び約40〜約50ミクロン、特に約45ミクロンの中央粒径を有する第二の無機難燃剤を含む。
【0032】
本発明の興味深い別の一実施態様は、微粒子無機難燃剤の三峰性分布を使用する。本実施態様による組成物は、第一の中央粒径を有する第一の無機難燃剤粉末、第二の中央粒径を有する第二の無機難燃剤粉末、及び第三の中央粒径を有する第三の無機難燃剤粉末を含むと思われる。第一及び第三の無機難燃剤粉末は、二峰性組成物に関して上述したように選択される。第二の無機難燃剤粉末は、第一の中央粒径と第三の中央粒径との中間の中央粒径を有するよう提供される。第二の無機難燃剤粉末は、一般に、約5ミクロン〜約20ミクロンの中央粒径を有すると思われるが、必ずしもそうではない。この範囲内では、約5〜約15ミクロンの中央粒径を有する第二の無機難燃剤粉末が有用と想定される。一実施態様において、約9ミクロンの中央粒径を有する第二の無機難燃剤粉末が有用と想定される。
【0033】
本発明の一実施態様において、無機難燃剤粉末は、アルミナ三水和物である。商業的に入手可能な2ミクロンアルミナ三水和物粉末MICRAL(登録商標)932(J. M. Huber Corp.)が、上述した二峰性及び三峰性の実施態様において第一の粉末として有用であると見出されている。MICRAL(登録商標)932は、Al(64.9%)、SiO(0.005%)、Fe(0.007%)、総NaO(0.3%)、可溶性NaO(0.12%)、34.6%発火により損失(550℃)、及び0.8%自由水分(105℃)の化学分析値を有する、高表面積超微細アルミナ三水和物である。MICRAL(登録商標)932は、中央粒径2ミクロン、325メッシュ篩を100%通過、及びQuantachrome monosorb表面分析装置で測定した表面積13m/gmにより特徴付けられる。第二のアルミナ三水和物粉末(二峰性の実施態様において)及び第三のアルミナ三水和物粉末(三峰性実施態様において)は、適切には約45ミクロンの中央粒径を有する。約45ミクロンの中央粒径を有するアルミナ三水和物粉末は、Onyx Elite(登録商標)100(J.M. Huber Corp.)の名称の下で商業的に入手可能である。Onyx Elite(登録商標)100は、Al(65%)、SiO(0.008%)、Fe(0.004%)、総NaO(0.2%)、可溶性NaO(0.015%)、34.6%発火により損失(550℃)、及び0.1%自由水分(105℃)の化学分析値を有するアルミナ三水和物である。このアルミナ三水和物粉末は、中央粒径45ミクロン、Quantachrome monosorb表面分析装置で測定した表面積0.75m/gm、及び以下の篩分析により特徴付けられる:100メッシュ上で0〜10%、200メッシュ上で65%、325メッシュ上で90%、325メッシュ上で10%、及び10ミクロン未満5%。三峰性の実施では、9ミクロンの中央粒径を有する適切なアルミナ水和物粉末が、Hymod(登録商標)SB432 CM(J.M. Huber Corp.)の名称の下で商業的に入手可能である。Hymod(登録商標)SB432 CMは、Al(64.9%)、SiO(0.008%)、Fe(0.007%)、総NaO(0.2%)、可溶性NaO(0.03%)、34.6%発火により損失(550℃)、及び0.23%自由水分(105℃)の化学分析値を有する。この材料は、中央粒径9.1ミクロン、Quantachrome monosorb表面分析装置で測定した表面積2.15m/gm、並びに25メッシュ上で0.28%、及び325メッシュを介して99.7%の篩分析により特徴付けられる。本発明による三峰性の実施態様の実施の一つにおいて、組成物は、約2ミクロンの中央粒径を有する第一のアルミナ水和物粉末、約9ミクロンの中央粒径を有する第二のアルミナ水和物粉末、及び約45ミクロンの中央粒径を有する第三のアルミナ水和物粉末を含む。
【0034】
上述した二峰性及び三峰性の実施態様に加えて、本発明の実施において、異なる中央粒径を有する任意数の粉末を使用し得ると想定される。従って、本発明は、異なる中央粒径を有する一、二、三種又はそれ以上の無機難燃剤粉末(例、アルミナ水和物粉末)を含む実施態様を包含する。一実施態様において、第一及び第二の(又は第一、第二の及び第三の)粉末は、同一の無機難燃剤からなる粉末である。しかしながら、本発明は、それに限定されず、第一及び第二の(又は第一、第二の及び第三の)粉末が、異なる無機難燃剤から独立して選択される粉末である実施態様を想定している。
【0035】
約1〜約100ミクロンの中央粒径を有する他のアルミナ三水和物粉末は、例えば、J.M
Huber CorporationからHymod(登録商標)、Onyx Elite(登録商標)100、及びMICRAL(登録商標)の名称の下で商業的に入手可能である。これら商業的に入手可能なアルミナ三水和物粉末において、例えば約1、1.25、1.5、2、2.6、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14.5、15.5、16、18、18.5、20、25、35、40、45、50、60、及び約70の中央粒径を有する無機難燃剤粉末が、本発明の実施に有用であろうと想定される。
【0036】
本発明の組成物は、任意の量の無機難燃剤を含有し得る。しかしながら、最も所望される難燃及び消化特性を提供するためには、本発明の組成物中に無機難燃剤を少なくとも30重量%又はそれ以上の濃度で含有することが有利であると見出されている。驚くべきことに、比較的大きい粒径を有する無機難燃剤粉末は、より小さい粒径の粉末の不在下では、水性相から急速に沈殿して所望されない堆積物を形成する濃度において、二峰性及び三峰性組成物中で水性溶液中に浮遊した状態で維持されることが見出されている。
【0037】
本発明の組成物中に界面活性剤を使用することが有利であることが見出されているが、厳密に必要というわけではない。界面活性剤の使用により、更に多量の無機難燃剤を組成物中に組み込むことができると思われる。この手段は、本発明の組成物中に、大きい粒径の無機難燃剤粉末のみ使用することが所望される場合、特に有利であろう。界面活性剤を使用すると、より小さい粒径の粒子の不在下でも、さもなくば水性溶液から容易に分離して望ましくない堆積物を形成する、約10〜約100ミクロンの中央粒径を有する無機難燃剤粉末を、30重量%又はそれ以上組み込むことが可能である。本発明の実施において、任意の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む陰イオン性界面活性剤、又は例えば約7〜約12個の炭素原子からなるアルキル基を有するアルキルアリールポリエトキシアルコール若しくはアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール等の非イオン性界面活性剤、及び同様物であり得る。本発明の実施においては、一種又はそれ以上の界面活性剤の組み合わせも有用であると想定される。TRITON(登録商標)−X100(Rohm & Haas)の名称の下で商業的に入手可能な非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤は、特に有用であることが見出されている。界面活性剤は、一般に、総水量(即ち、水性ラテックス分散体及び添加水)に基づき約0.1〜約5重量%存在すると思われる。界面活性剤が存在する場合、二峰性又は三峰性の無機難燃剤粉末を使用する厳密な必要性はない。
【0038】
本発明の組成物は、一般に、少なくとも約30重量%の無機難燃剤を含むであろう。他の興味深い実施態様において、組成物は、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%の無機難燃剤を含むであろう。最大の防火のために、組成物中に無機難燃剤を少なくとも約80重量%又は少なくとも約90重量%含むことが望ましいと思われる。
【0039】
特に興味深い本発明の実施態様において、組成物は、耐水性かつ難燃性の煙抑制被膜として提供されて、可燃性基材に適用される。被膜は、本発明の組成物が実質的に均質に分散した水性分散体として提供される。従って、無機難燃剤を再分散させるために、液体を入念にかき回し又は撹拌する必要はない。液体被膜は、缶等にパッケージングされ、例えばはけ塗り又は噴霧により、基材に適用され得る。
【0040】
数個の実施態様において、被膜は、「建材の表面燃焼特性(Surface Burning
Characteristics of Building Materials)」規格ASTM E84−04(UL E84)を、炎拡散指数0、及び煙指数0にて合格する。被膜はまた、1/8インチマンドレル周囲にて180°屈曲された際に、亀裂又は割れ目が全く存在しない可撓性に関して、Fed. Std. 14 IB, Method 6221を合格する。
【0041】
被膜は、プラスチック、ゴム、金属、複合材料、木材、合成繊維、及び例えばダンボール等のセルロースを含むが、これらに限定されない任意数の基材に適用することができる。本発明の利点は、基材が変形可能な場合、即ち可撓性、柔軟性、延性等を有する場合、最も完全に実現し得る。従って、典型的な基材は:パイプ;チューブ;ケーブル;コード;ロープ;ワイヤ;ホース;溶接ブランケット;例えば;シフトブーツ、「折り畳み式屋根」防火壁、内装用パネル等を含む自動車部品;可撓性パネル;マット;成型プラスチック物品及び同様物を含むが、これらに限定されない。勿論,被膜は、剛性の基材に適用された場合でも同等に有用であろう。
【0042】
被膜は、例えば膨張性被膜を含む一つ又はそれ以上の下塗装上に適用し得る。従って、本発明の一実施態様は、本発明による被膜を、一つ又はそれ以上の下塗装上に適用した消火系を提供し、ここで一つ又はそれ以上の下塗装の少なくとも一つの被膜は、膨張性組成物を含む。適切な膨張性組成物及び被膜は、当該技術分野で周知であり、例えばDimanshteynに付与された米国特許第5,035,951号に開示されているものを含む。
【0043】
他の用途において、被膜は、例えば様々なHVAC部品を含む、凝縮による水、野外使用、高湿環境等に晒される基材に対する適用に、特に適していると想定される。
【0044】
本発明の別の一実施態様において、本明細書に記載した調製物中に、例えばTiOを含む一種又はそれ以上の顔料を組み込んで、塗料、より詳細にはラテックス塗料の形態を有する組成物を提供する。例えば顔料分散剤、保存剤、増粘剤、消泡剤、及び凍結融解安定剤等の当業者周知の更なる添加剤を含んでもよい。塗料は、有利には耐水性及び耐火性である。
【0045】
実施例1
本実施例では、本発明による二峰性被膜を提供する。高い可撓性を有する耐水性、難燃剤、消化性被膜は、表1に従って調製される。
【0046】
【表1】

【0047】
実施例2
セメントボードを15mil厚の実施例1による被膜で被覆し、「建材の表面燃焼特性」規格ASTM E84−04(UL E84)に従った表面燃焼試験を行った。その全体が参照により本明細書に組み入れられるASTM Fire Standards, Sixth Edition, ASTM International, October 1,
2004及びAnnual Book of ASTM Standards, Volume 04.07,
November 2004を参照されたい。
【0048】
ASTM E84−04は、表面炎拡散及び煙展開の測定値を、鉱物繊維セメントボードの試験にて得られた値と比較して、レッドオーク床規格(red oak flooring standard)の等級を選択する。サンプルを、炎の前面が前進する間、炎に10分間露出して、煙密度の測定値を記録する。最高温度569.3°Fに達する炎に対する10分間の露出の間、被覆表面の発火は観察されなかった。試験結果を、表2にまとめる。
【0049】
【表2】

【0050】
前記した試験に基づき、被膜は、UL E84毎の「Aクラス」建材と考慮される。
【0051】
実施例3
実施例1の被膜の耐火能を、非アスベスト溶接ブランケット基材を使用して調べた。被膜の不在下で、溶接ブランケットは、溶接トーチからの融解金属と接触すると、発火して大量の煙を展開した。同一の溶接ブランケットに、実施例1による被膜を適用した。融解金属が溶接ブランケット上に滴下した。目に見える発火又は煙は、全く観察されなかった。
【0052】
実施例4
この実施例では、本発明による三峰性被膜組成物を提供する。高い可撓性を有する耐水性、難燃性、消化性被膜は、表3に従って調製される。
【0053】
【表3】

【0054】
本明細書に含まれる範囲の引用は、単に利便性の問題であり、本発明者等はその範囲内の全中間値を所有することが理解されるであろう。即ち、開示されている範囲の全中間値、又は下位の範囲は、本来開示されているものと理解すべきである。
【0055】
従って、本明細書(表を含む)は、数個の例示的な実施例の変形の単なる典型であることを理解すべきである。読者の利便性のため、上記の記載は、本発明の原理を教授する、全ての可能な順列及び組み合わせの代表例に焦点を当てている。本明細書は、可能な全変更物、順列又は組み合わせを包括的に列挙するよう試みていない。それら全変形、順列又は組み合わせが存在しないこと、又は入手し得ることは、それら変形、順列又は組み合わせを否定するものと考慮すべきではない。当業者は、それら変形、順列又は組み合わせの多数が、同一の原理を組み込み、また過剰な尽力なしで達成でき、ある場合には、それらが本明細書に実際に記載されていても、また他の場合には、詳細に記載されなくとも等価であることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一の中央粒径を有する、無機難燃剤の第一の粉末、及び
(b)第二の中央粒径を有する、無機難燃剤の第二の粉末;
を含む、少なくとも二峰性の粒径分布を有する無機難燃剤を含み:
前記第二の中央粒径は、前記第一の中央粒径よりも大きい組成物。
【請求項2】
前記第一の中央粒径が約0.1〜約20ミクロンであり、
前記第二の中央粒径が約5〜約100ミクロンであり;
前記第二の中央粒径は、前記第一の中央粒径よりも大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第一の粉末が約1〜約3ミクロンの中央粒径を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第一の粉末が約2ミクロンの中央粒径を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記第二の粉末が約10〜約70ミクロンの中央粒径を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記第二の粉末が約20〜約60ミクロンの中央粒径を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記第二の粉末が約40〜約50ミクロンの中央粒径を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記無機難燃剤が水和水を含む酸化物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記無機難燃剤がアルミナ三水和物である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記無機難燃剤がホウ酸亜鉛水和物である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記無機難燃剤が酸化マグネシウム水和物である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
更にポリマーバインダーの水性分散体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーバインダーが熱可塑性ポリマーである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリマーバインダーが熱硬化性ポリマーである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリマーバインダーがラテックスである、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記ラテックスが、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、スチレンブタジエンラテックス、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記無機難燃剤が少なくとも約60重量%の前記水性分散体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記無機難燃剤が少なくとも約70重量%の前記水性分散体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
前記無機難燃剤が少なくとも約80重量%の前記水性分散体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
前記無機難燃剤が少なくとも約90重量%の前記水性分散体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を含む被膜。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を含む難燃性の煙抑制被膜。
【請求項23】
ASTM E84−04で測定した炎拡散指数0を有する、請求項36に記載の被膜。
【請求項24】
ASTM E84−04で測定した煙指数0を有する、請求項36に記載の被膜。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物を含む消化性被膜。
【請求項26】
請求項1に記載の組成物を含む耐水性被膜。
【請求項27】
請求項1に記載の組成物を含む接着剤。
【請求項28】
請求項1に記載の組成物を含む可撓性バリア。
【請求項29】
本質的に:
(a)約5%〜約30重量%のポリマーバインダーの水性分散体;
(b)約30%〜約90重量%の、約15〜約100ミクロンの中央粒径を有する水分散性無機難燃剤;及び
(c)約0.1%〜約10重量%の界面活性剤、
からなるが、
但し、(a)、(b)及び(c)の組み合わせの相対的な重量百分率が100%を越えないことを条件とする、難燃性組成物。
【請求項30】
前記難燃剤が少なくとも約60重量%の前記組成物を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記難燃剤が少なくとも約70重量%の前記組成物を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記難燃剤が少なくとも約80重量%の前記組成物を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
前記難燃剤が少なくとも約90重量%の前記組成物を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項34】
前記難燃剤が水和水を含む酸化物である、請求項29に記載の組成物。
【請求項35】
前記難燃剤がアルミナ三水和物である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記難燃剤がホウ酸亜鉛水和物である、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記難燃剤が酸化マグネシウム水和物である、請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
更にポリマーバインダーの水性分散体を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項39】
前記ポリマーバインダーが熱可塑性ポリマーである、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記ポリマーバインダーが熱硬化性ポリマーである、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
前記ポリマーバインダーがラテックスである、請求項38に記載の組成物。
【請求項42】
前記ラテックスが、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、スチレンブタジエンラテックス、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
請求項29に記載の組成物を含む皮膜。
【請求項44】
請求項29に記載の組成物を含む難燃性の煙抑制被膜。
【請求項45】
ASTM E84−04で測定した炎拡散指数0を有する、請求項43に記載の皮膜。
【請求項46】
ASTM E84−04で測定した煙指数0を有する、請求項43に記載の皮膜。
【請求項47】
請求項29に記載の組成物を含む消化性被膜。
【請求項48】
請求項29に記載の組成物を含む耐水性被膜。
【請求項49】
請求項29に記載の組成物を含む接着剤。
【請求項50】
請求項29に記載の組成物を含む可撓性バリア。
【請求項51】
請求項29に記載の組成物を含む塗料。
【請求項52】
(1)少なくとも二峰性の粒径分布を有し:
(a)約0.1〜約5ミクロンの中央粒径を有する第一のアルミナ三水和物粉末、及び
(a)約20〜約100ミクロンの中央粒径を有する第二のアルミナ三水和物粉末;
を含み、
前記第一の粉末と前記第二の粉末との重量比が約5:1〜約1:5であるアルミナ三水和物;並びに
(b)ラテックスバインダーの水性分散体;を含み:
前記アルミナ三水和物が少なくとも約30重量%の前記組成物を構成する、燃剤性被膜組成物。

【公表番号】特表2009−507084(P2009−507084A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528016(P2008−528016)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/032350
【国際公開番号】WO2007/024699
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508025482)アメリカン サーマル ホールディング カンパニー (1)
【Fターム(参考)】