説明

可撓性脊椎インプラント

椎間安定化のために椎間円板空間の中へ挿入するための可撓性脊椎インプラント(30)において、可撓性脊椎インプラントの円板空間内への脊椎外科的手技による挿入を容易にするためにインプラント本体を曲げることを可能にする可撓性インプラント部分(34)を備えている、可撓性脊椎インプラントが提供されている。可撓性脊椎インプラントは、先導(32)端と、追従端(36)と、先導端と追従端を接続する可撓性中間部分(34)と、を備えており、インプラントは、可撓性中間部分のところで又は可撓性中間部分周りに変形させることができ、それによって、インプラントの円板空間内への実質的に直進的な進入が可能になり、脊椎外科的手技により所望の挿入進入角度で選択された円板空間へ送達される。インプラントは、湾曲状又は弾丸形状の構成(38)を備えている先導端を有しており、可撓性中間部分は可撓性材料で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する椎体の間に植え込まれる脊椎椎間インプラントの様な医療装置及び使用の方法に、より厳密には、所望の円板空間へ挿入することにより脊椎円板空間の椎間安定化を図る可撓性脊椎インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎は、頚部領域、胸部領域、腰部領域、及び仙尾部領域、から成る4つの領域に分けられる。頚部領域は、C1−C7として識別されている上7個の椎体又は椎骨構成要素を含んでいる。胸部領域は、T1−T12として識別されている次の12個の椎骨構成要素を含んでいる。腰部領域は、5個の椎骨構成要素L1−L5を含んでいる。仙尾部領域は、仙骨と尾骨を形成している9個の癒合した椎骨構成要素を含んでいる。仙骨領域は、5個の癒合した椎骨構成要素S1−S5を含んでおり、S1がL5に隣接している。脊椎の椎骨構成要素は、頚部湾曲、胸部湾曲、及び腰部湾曲を含む、湾曲した構成に整列している。脊椎内では、椎骨構成要素間には椎間円板が配置されていて、屈曲、伸展、側屈、及び回旋を可能にしている。椎間円板は、椎体の安定化を図り、椎体間に力を分散させる。椎間円板は、線維輪と線維輪に取り囲まれ閉じ込めている髄核とで構成されている。
【0003】
椎間円板及び椎骨構成要素は、傷みや変性を起こし易い。椎間円板及び/又は脊椎構成要素への損傷は、外傷、変性病態又は疾患、腫瘍、感染、円板疾患、円板脱出、老化、脊柱側弯症、他の脊椎湾曲異常、椎骨骨折を含め、様々な身体的及び医学的な状態又は事象が原因で生じる。椎間円板への損傷は、疼痛、神経学的欠損、及び/又は運動の喪失を招きかねない。損傷のある椎間円板は、脊椎の正常な湾曲に悪影響を及ぼし、及び/又は損傷のある円板に隣接する脊椎が不適正に整列又は配置されてしまう原因になることもある。また、損傷のある円板は、椎骨の正常又は適正な開きが失われる原因にもなり得る。
【0004】
様々な既知の外科的な手技、治療法、及び技法が、損傷のある又は不健全な椎間円板に関連する医学的疾患に対処するべく開発されてきた。1つの治療法は、損傷のある円板の中央又は髄核の領域を部分的に除去し、隣接する椎骨構成要素同士を固定して、隣接する椎体間の相対運動を防止するという固定術手技である。脊椎インプラント又はスペーサーを挿入できるようにするため、円板と線維輪と髄核の一部が除去されるか又は切り取られる。スペーサーは、隣接する椎骨を成長させ一体に癒合させることのできる骨グラフト又は同種グラフト材料と併せて使用されることもある。既存の脊椎インプラントは、癒合進行中の円板空間の高さ維持を支援すると同時に、椎骨癒合が起こっている間の円板空間内でのインプラントの圧縮及び選択的運動性の要素を許容するか又は可能にする。インプラント又はスペーサーは、更に、隣接する椎体の所望の整列又は脊柱前弯の付与を支援する。
【0005】
当業者には知られている様に、椎体の所望の開き及び整列を得るために使用することのできる構造及び構成には、スペーサー、インプラント、ケージの様な様々な構造及び構成がある。これらの構造は、特定の医学的用途又は使用法に応じて様々な構成、特徴、輪郭、幾何学形状、及び寸法のものが出回っている。また、インプラントは、例えば、前方、後方、前外側、外側、側方直達(direct lateral)、及び側方横断(translateral)の各進入法を含め、様々な挿入進入法により挿入することができる。
【0006】
脊椎インプラントの外科手技でL4−L5又はL5−S1レベルの区域では、インプラントは、大抵、前方進入法又は後方進入法により円板空間に挿入される。脊椎インプラントのL4−L5又はL5−S1円板空間内への側方進入法による送達と挿入も行われ得るが、それほど一般的ではないし、前方的又は後方的手技の様な他の手技よりも施行が難しい。側方進入外科的手技によりインプラントをL4−L5又はL5−S1に挿入するのが難しいことの1つの理由は、L4−L5又はL5−S1円板空間レベルの位置に対する腸骨稜の解剖学的位置にある。
【0007】
L4−L5又はL5−S1の椎骨円板空間に対する腸骨稜の解剖学的位置及び湾曲性のせいで、腸骨稜は側方外科的進入手技ではL4−L5又はL5−S1の円板空間への直達的又は直進的アクセスにとっての物理的障害物となる。腸骨稜の位置が、脊椎インプラントのL4−L5又はL5−S1椎間円板空間内への送達、進入、及び挿入での直達的又は直進的な進入角度を阻んでいる。加えて、L4−L5又はL5−S1円板空間レベルにも、そしてまたより上位の腰椎レベルにも、神経構造及び脈管構造がインプラント送達進入経路又はインプラント挿入経路に交差するという複雑性が存在する。側方又は側方直達進入法によるL4−L5又はL5−S1のインプラント挿入で障害となっている腸骨稜や神経構造及び脈管構造をかわすために、インプラントは、典型的には、一定の角度の付いた側方進入角度で円板空間へ送達されている。
【0008】
側方進入手技における更なる問題は、インプラントが一定の側方進入角度で送達されるために、送達されるインプラントが角度の付いた向きでL4−L5又はL5−S1に到達することである。できる限り直進的又は直達的な側方進入法に近い進入法でインプラントを円板に入れられればより簡単且つ好都合であろう。これを行うためには、円板空間の中へ挿入されるインプラントは、インプラントが実質的に側方進入方位で円板空間に入ることができるように、L4−L5又はL5−S1円板空間の入口の角で向きを変えるか又は舵取りして進まなくてはならないであろう。既存のインプラントの欠点は、多くが堅いか又は可撓性のない物理的構成を有しており、そのせいでインプラントに角の周りで向きを変えさせるか又は舵取りして進ませることが妨げられることである。既存のインプラント構成の堅いという態様が、側方進入手技により、これらの剛性インプラントをL4−L5又はL5−S1で使用することを困難にもし、L4−L5又はL5−S1に挿入することを非現実的にもする。その様な問題のせいで、L4−L5又はL5−S1の側方進入的インプラント手技の件数及びその様な側方進入的インプラント手技を施行することのできる外科医の数が限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改良された椎間インプラント及び低侵襲性外科的技法を使用してインプラントを隣接する椎体の間に挿入するための方法において、脊椎外科的手技によりインプラントを所望の又は選択された円板空間へ送達しその中へ挿入する場合の欠点及び問題を克服するインプラント及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
椎間安定化のために椎間円板空間の中へ挿入するための可撓性脊椎インプラントにおいて、インプラント本体を曲げること又は柔軟性を可能にする可撓性インプラント部分を備え、それによって脊椎インプラントの円板空間内への脊椎外科的手技による挿入を容易にする、可撓性脊椎インプラントが提供されている。
【0011】
椎間円板空間の中へ挿入するための可撓性脊椎インプラントにおいて、インプラント本体を曲げることを可能にする、可撓性インプラント部分を備え、それによって脊椎インプラントの、脊椎外科的手技による挿入、なかでも特に、側方直達腰椎椎体間固定術(DLIF:Direct Lateral Lumbar Interbody Fusion)手技、後方腰椎椎体間固定術(PLIF:Posterior Lumbar Interbody Fusion)手技、又は経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF:Transforaminal Lumbar Interbody Fusion)手技を含む脊椎外科的手技による挿入を容易にする、可撓性脊椎インプラントが提供されている。
【0012】
更に、円板空間の中へ挿入するための脊椎インプラントにおいて、先導端と、追従端と、先導端と追従端を接続する可撓性中間部分と、を備えており、インプラントは可撓性中間部分のところで変形させることができ、それによってインプラントの選択された円板空間内への実質的に直進的な側方進入を可能にする、脊椎インプラントが提供されている。インプラントは、選択された円板空間へ或る挿入進入角度で送達される。インプラントは、弾丸形状の構成を備えた先導端を有することができる。更に、可撓性中間部分は、可撓性材料、少なくとも1つの軸回転式接続、又はばね機構で構成することができる。
【0013】
更に、選択された円板空間の中へ挿入するための脊椎インプラントにおいて、先導端と、追従端と、先導端と追従端を接続する可撓性中間部分と、先導端と追従端と可撓性中間部分とによって境界が定められている中央インプラント開口部と、を備える脊椎インプラントが提供されている。1つの態様では、インプラントは、或る挿入進入角度でインプラント挿入チャネルを介して送達される。インプラントは、インプラント挿入チャネルとの相互作用を介して可撓性中間部分周りに変形させることができ、それによって、インプラントの選択された円板空間内への側方進入法による実質的に直進的な側方進入を可能にする。更に、可撓性中間部分は、可撓性材料、少なくとも1つの軸回転式接続、又はばね機構で構成することができる。
【0014】
開示されている態様又は実施形態は、添付図面の中に描かれ、以下に提供されている説明の中で論じられている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】脊柱と仙骨と腸骨の一部の前面図を示している。
【図2】本開示の1つの実施形態により可撓性脊椎インプラントが円板空間L5−S1に部分的に挿入されたところを表す図1の前面部分図を示している。
【図3】本開示の1つの実施形態による可撓性脊椎インプラントの側面図を示している。
【図4】図2の可撓性インプラントの側面図を示している。
【図5A】本開示の別の実施形態による可撓性脊椎インプラントの斜視図を示している。
【図5B】本開示の1つの実施形態による、インプラント挿入チャネルの中の図5Aの可撓性脊椎インプラントの側面図を示している。
【図5C】本開示の別の実施形態による可撓性脊椎インプラントの斜視図を示している。
【図6A】本開示の別の実施形態による可撓性インプラント中間部分の側面図を示している。
【図6B】本開示の更に別の実施形態による可撓性インプラント中間部分の側面図を示している。
【図6C】本開示の更に別の実施形態による可撓性インプラント中間部分の側面図を示している。
【図6D】本開示の更に別の実施形態による可撓性インプラント中間部分の側面図を示している。
【図6E】本開示の更に別の実施形態による可撓性インプラント中間部分の側面図を示している。
【図7】本発明の別の実施形態による可撓性脊椎インプラントの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、隣接する椎体の間に植え込まれる脊椎椎間インプラントの様な医療装置及び使用の方法に、より厳密には、所望の円板空間へ挿入することにより脊椎円板空間の椎間安定化を図る可撓性脊椎インプラントに関する。本発明の原理の理解を促すために、これより1つ又はそれ以上の実施形態又は態様、実施例、説明図を参照してゆくが、説明に際して特定の言語を使用する。しかしながら、記載されている様々な実施形態又は態様は本質的に単に例示であり、これによって本発明の範囲を限定する意図はないものと理解されたい。記載されている実施形態又は態様における何らかの変更や更なる修正、及びここに記載されている本発明の原理の何らかの更なる応用は、本発明が関連する分野の当業者であれば普通に想起されるものと考えている。
【0017】
図1は、脊柱3、仙骨5、腸骨7、及び腸骨稜9による部分的な脊椎部分1の前面図を示している。同様に、椎体L4、L5、仙椎S1、L4−L5とL5−S1の椎間円板空間、及び対応する椎間円板10と12も示されている。椎体L4とL5は、終板14と15をそれぞれ含んでいる。図1は、更に、側方進入手技又は側方固定術外科的手技に関連付けてL5−S1円板空間とL4−L5円板空間に対応する側方直進的又は直達的基準線20と22も示している。インプラントを挿入するための1つの側方固定術外科的手技は、側方直達椎体間固定術(DLIF)手技として知られている。
【0018】
図1及び図2は、側方進入外科的手技を示しているが、図1−図7に示されている企図される脊椎インプラントは、同様に、患者の解剖学的構造によって又は医師によって適切或いは必要とされる他の脊椎外科的進入法及び手技により所望の円板空間へ送達されその中へ挿入されてもよい。例えば、1つの好適な態様では、本開示の可撓性脊椎インプラントは、側方直達腰椎椎体間固定術(DLIF)手技の様な側方進入手技により、障害となる腸骨稜や神経構造及び脈管構造をかわすようにして所望の円板空間へ送達しその中へ挿入することができる。また、別の好適な態様では、可撓性脊椎インプラントは、後方腰椎椎体間固定術(PLIF)手技又は経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF)手技により、馬尾の周りを曲がって安全に迂回するか又はかわすようにして所望の円板空間へ送達されその中へ挿入することもできるであろう。1つの好適な態様では、可撓性脊椎インプラントは、最小アクセス脊椎技術(MAST:Minimal Access Spinal Technology)外科的技法又は手技により又は当該技法又は手技を介して送達される。当業者には、可撓性脊椎インプラントは、同様に、後方、側方直達、側方横断、後側方、又は前側方、或いは何れかの適した斜め方向を含む、他の既知の外科的進入法によって送達して挿入できることが認識されるであろう。可撓性インプラントを挿入するのに使用してもよいとされる幾つかの既知の技法及び進入法には、同様に、なかでも特に前方腰椎椎体間固定術(ALIF:Anterior Lumbar Interbody Fusion)が挙げられる。また、当業者には、脊椎インプラントは、開放性外科的技法、最小開放性外科的技法、又は他の低侵襲性外科的(MIS)技法を含む他の既知の外科的技法及び手技を介して送達され挿入されてもよいことが認識されるであろう。
【0019】
図1を参照して、側方進入手技では、腸骨稜9の物理的位置及び構成が、脊椎インプラントをL4−L5又はL5−S1椎間円板空間へ送達してその中へ挿入するための当該空間への直達的又は直線20及び22的な外科的進入の障害となっているか又は妨げている。この欠点を克服しインプラントを側方進入法により側方からL4−L5又はL5−S1円板空間に挿入できるようにするために、インプラントは、側方直進基準線20及び22に対して側方進入角度X又はYで円板空間へ送達される。インプラント送達のための側方進入角度X又はYは、側方進入手技で遭遇される障害となっている腸骨稜9をかわすか又は迂回するように外科医が選択する。当業者には、L4−L5円板空間に対応する側方進入角度Yは、L5−S1円板空間に対応する側方進入角度Xと同じであることもあれば、腸骨稜9に対して双方の円板空間位置が異なっているせいで側方進入角度Xと異なることもあるということが認識されるであろう。
【0020】
図2は、本開示の1つの態様により、可撓性脊椎インプラント30が円板空間L5−S1に部分的に挿入されたところを描いている前面部分図を示している。図4にも図2の可撓性脊椎インプラント30が示されている。可撓性脊椎インプラント30は、先導端32と、追従端36と、先導端32と追従端36を接続する可撓性中間部分34を備えている。可撓性インプラント30は、更に、当該可撓性インプラント30の上下の面50、52、54、及び56のバックアウト防止突起42と、器具装着部分40を備えている。当業者には、上下の面50、52、54、及び56から延びるバックアウト防止突起42は、インプラント30が円板空間内への挿入後にバックアウトすること又は追い出されることを防止するように構成され、防止する向きに配置されることが認識されるであろう。図2及び図4に示されている態様では、バックアウト防止突起42は、三角形又は角錐構成を有していて、インプラント30の追従近位側インプラント端37に向かって傾斜しているか又は戻る向きに配置されている。
【0021】
先導端32は、円板空間L5−S1内へのインプラント挿入を容易又は簡単にするように適合された物理的形状又は物理的構成を有している。図2に示されている或る好適な態様では、先導端32は、可撓性インプラント30をL5−S1円板空間に挿入するのを容易にする湾曲状又は弾丸形状をしている面38を有している。先導端32の湾曲状又は弾丸形状をしている鼻部38は、円板空間が陥没している場合、L5−S1円板空間の間に、可撓性インプラント30のL5−S1円板空間内への挿入を容易にする自己伸延力を付与することができる。
【0022】
可撓性インプラント30の追従端36は、挿入器具(図示せず)を連結できるようにするインプラント把持又は装着部分40が近位側インプラント端37に設けられているのが好適である。装着部分40は、可撓性インプラント30のL5−S1円板空間内への側方外科的進入法による制御された送達を可能にする。或る好適な態様では、装着部分40は、器具(図示せず)を可撓性インプラント30に連結したときに、器具が近位側インプラント端37の外面より完全に内側に納まるか又は当該外面と面一になるように、追従端36の中へ陥凹している。1つの態様では、装着部分は、近位側インプラント端37の両側面の陥凹スロット40である。
【0023】
可撓性中間部分34が、可撓性脊椎インプラント30を形成するべく先導端32と追従端36を接続しているのが好適である。可撓性中間部分34は、単一の組み立てられた可撓性脊椎インプランント30が形成されるように、先導端32と追従端36の間に連結又は取付されている。可撓性中間部分34は、インプラントがL5−S1円板空間の中へ好適なより最近の外科的進入法により挿入されてゆくときに、インプラントが可撓性中間部分34のところで又は可撓性中間部分34周りに、曲がるか、屈曲するか、又は軸回転するのを許容するか又は可能にする態様である。
【0024】
可撓性中間部分34は、更に、可撓性インプラント30が所望の又は選択された円板空間の中へ実質的に直進的な進入方位で送達され挿入されることを許容するために、可撓性インプラント30が可撓性部分34のところで又は可撓性部分34周りに進むか又は回転することができるように、インプラント30が空間内で何れか1つ又はそれ以上の次元方向に十分な可撓性を持てるようにしている。この方式では、可撓性インプラント30は、例えば図7に関して示され論じられている1つ又はそれ以上の基準線、基準面、又は基準軸A1、A2、A3周りに又はA1、A2、A3のところで、進むか、曲がるか、又は回転することができるような物理的性質又は特性を有するように製造されている。この方式では、可撓性インプラント30は、可撓性中間部分34により、インプラント挿入後の椎間円板空間の中で「自分でバランスをとる」つまりは平衡嵌り又は最適嵌りに落ち着くか又は至ることができる。可撓性中間部分34は、インプラント30が、インプラント挿入後に、円板空間内での解剖学的に最適な嵌り具合を見い出すまで、可撓性部分34の運動及び/又は微小運動及び可撓性を介して嵌り又は平衡嵌りを模索して見つけられるようにしている。可撓性インプラント30のこの態様は、椎骨癒合が確立されてゆく間のインプラント30の生体力学的性質を強化する。当業者には認識されるであろうが、幾つかの実施形態で、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって必要となる場合には、可撓性部分34ひいては拡大解釈すれば可撓性インプラント30は、インプラント30が実質的に直進的な進入方位で所望の又は選択された円板空間へ送達されその中へ挿入されてゆく間、空間内で選択された又は所望の直線的次元方向又は回転方向にしか可撓性を持たないように製造することもできる。
【0025】
当業者には、可撓性部分34は、インプラント30が中間部分34周りに又は中間部分34のところで、曲がるか、変形するか、又は軸回転するのを許容する、如何なる生体適合性可撓性材料で構成されていてもよいことが認識されるであろう。例えば、可撓性部分は、変形可能なプラスチック、弾性ポリマー、エラストマー、ゴム、又は別の変形可能材料又は弾性材料とすることができる。更に、1つの態様では、可撓性インプラント32は、インプラントが円板空間に完全に植え込まれてしまえば、可撓性中間部分34が堅く又は実質的に堅くなることができるか又はなってゆくような性質又は特性を有するように製造されていてもよい。可撓性インプラント部分34は、インプラント挿入後の所望の時期に又は時間を経て堅くなるように製造することもできる。例えば、インプラントが円板空間に挿入されるとすぐにでもよいし、所望又は所定の期間を経てでもよいし、或いは癒合が確立されてゆくにつれてでもよいであろう。可撓性インプラント32は、ひとたび堅くなれば、それ以後はもはやインプラントの可撓性を保てなくなる。1つの態様では、インプラントの剛性特性は、形状記憶ニチノール又は患者の解剖学的構造の環境の中で剛性を獲得することのできる他の形状記憶材料の使用を介してもたらされてもよい。この態様又は特質は、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって所望されるか又は必要になる場合に利用されることになろう。
【0026】
側方進入手技では、可撓性インプラント30は、進入角度又は挿入進入角度ZでL5−S1円板空間入口28に行き着く。インプラント挿入に先立ち、椎間円板空間は、典型的には、挿入されようとしている可撓性脊椎インプラントを受容するために部分的又は全体的な椎間板切除術が前処理として施される。椎体L5及びS1への損傷を最小限にするため、またインプラントのL5−S1円板空間内への進入を容易にするためには、インプラントはL5−S1円板空間に直進的又は実質的に直進的な側方進入方位で入ってゆくことが望ましい。インプラント30は進入角度Zで円板空間入口28に行き着いているので、インプラントがL5−S1円板空間に実質的に直進的な側方進入方位で入ってゆくことができるようになるためには、インプラントは曲がるか、変形するか、又は撓まなくてはならない。新奇性のある可撓性中間部分34が、可撓性インプラント30が可撓性中間部分34のところで又は可撓性中間部分34周りに、必要に応じて曲がるか、変化するか、又は撓むことを可能にするか又は許容し、それによって、側方進入手技が使用された場合のインプラント30の選択された円板空間内への実質的に直進的な側方進入による進入を可能にするか又は許容する。
【0027】
この方式では、可撓性インプラント30は曲がって、挿入進入角度Zを有するその送達経路方位から離れる方向に向きを変え、円板空間L5−S1に実質的に直進的な側方進入方位で入ってゆくように適合されている。後部装着部分40に装着された器具(図示せず)を介して可撓性インプラント30を送達させてゆくと、インプラントの先導端32が円板空間入口28に至り、S1椎骨の障害となる対抗する力に遭遇する。対抗力は、インプラントの円板空間内への進入を阻止又は妨害しようとするであろう。この問題は、二段階方式で克服される。第1に、先導端32の湾曲状又は弾丸形状の構成38は、円板空間L5−S1内へのより円滑な進入を促し、湾曲しているか又は丸みのある輪郭を提供していることで、その輪郭が進入を容易にし、インプラントが円板空間の中へ進行し続けることで椎体L5及びS1の伸延を付与することになる。第2に、挿入進入角度Zのせいで遭遇する対抗力は、先導端32を通って可撓性中間部分34に移る。中間部分34の可撓性又は柔軟性が、可撓性インプラント30が、可撓性中間部分34周りに又は可撓性中間部分34のところで、必要に応じて曲がるか、変形するか、又は撓むことを許容するか又は可能にする。この方式では、可撓性インプラント30の先導端32と追従端36は、側方直進方位に向かって回動又は回転し、それによって、可撓性インプラントは、インプラントが外科医によって円板空間L5−S1の中へ引き続き挿入されるか又は押し込まれてゆくと、L5−S1円板空間に実質的に側方直進方式で入ってゆける。可撓性インプラント30は、可撓性中間部分34により、インプラント挿入後に椎間円板空間の中で可撓性部分34の運動及び/又は微小運動を介して「自分でバランスをとって」平衡嵌り又は最適嵌りに落ち着くか又は至るものであり、可撓性インプラントが円板空間の中で解剖学的に最適な嵌り具合に落ち着くまで自分でバランスをとってゆく。可撓性インプラント30が挿入されてしまえば、連結されている器具(図示せず)を装着部分40から切り離すことができる。1つの態様では、可撓性インプラント32は、ひとたびインプラントが円板空間に完全に植え込まれてしまえば、インプラント挿入後の所望の時期に堅く又は実質的に堅くなってゆく。例えば、インプラントが円板空間に挿入されるとすぐにでもよいし、所望又は所定の期間を経てでもよいし、或いは癒合が確立されてゆくにつれてでもよいであろう。1つの態様では、インプラントの剛性特性は、形状記憶ニチノール又は患者の解剖学的構造の環境の中で剛性を獲得することのできる他の形状記憶材料の使用を介してもたらされてもよい。この態様又は特質は、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって所望されるか又は必要になる場合に利用されることになろう。
【0028】
図2の描かれている側方進入法では、可撓性インプラント30は、直進的側方基準線20に対して測定した進入角度Zで進入するか又は送達されている。当業者には、進入角度は、可撓性インプラントが側方外科的手技により送達されることになる円板空間に応じて所望又は選択される挿入進入角度とすることができることが認識されるであろう。挿入進入角度は、例えばL4−L5円板空間又はL5−S1円板空間の様な、どの脊椎円板空間レベルにインプラントを送達させようとしているかによって異なるであろう。また、当業者には、挿入進入角度は、手術中の患者又は医師の必要性及び要件に対応するために変えられることもあることが認識されるであろう。1つの態様では、所望の挿入進入角度は、5度から45度の間(5°−45°)の範囲であり、好適な範囲は10度と30度の間(10°−30°)である。
【0029】
図3は、本開示の別の態様による可撓性脊椎インプラント60であって、L5−S1円板空間へのインプラント60の挿入に適合させた物理的構成を有するインプラント60の側面図を示している。可撓性脊椎インプラント60は、先導端62と、追従端66と、先導端62と追従端66を接続する可撓性中間部分64を備えている。先導端62及び追従端66は、それぞれに、インプラントがL5−S1円板空間に設置されたときにL5椎体の終板15の湾曲又は凸の性状に沿う湾曲状又は凸状の上壁80及び84を備えている。先導端62及び追従端66は、それぞれに、インプラントがL5−S1円板空間に設置されたときにS1仙椎の比較的平坦な性状に沿わせることを意図した実質的に平坦な下壁82及び86を備えている。当業者には、患者の解剖学的構造及び医師の要件によっては、他の面構成、例えば、円形、楕円形、角度付きなどを、代わりに使用してもよいことが認識されるであろう。
【0030】
可撓性インプラント60は、更に、上下の面80、82、84、及び86のバックアウト防止突起72と、器具装着部分70を備えている。上下の面80、82、84、及び86から延びるバックアウト防止突起72は、インプラント60が円板空間内への挿入後にバックアウトすること又は追い出されることを防止するように構成され、防止する向きに配置されることが認識されるであろう。図3に示されている態様では、バックアウト防止突起72は、三角形の構成を有していて、インプラント60の追従近位側インプラント端67に向かって戻る向きに配置されている。
【0031】
先導端62は、円板空間L5−S1内への挿入を容易にするように適合された物理的構成を有している。1つの態様では、先導端62は、可撓性インプラント60をL5−S1円板空間に挿入するのを容易にする湾曲状又は弾丸形状をしている面68を有している。湾曲状又は弾丸形状をしている鼻部68は、L5−S1円板空間の間に、可撓性インプラント60の挿入を容易にする伸延力を付与することであろう。追従端66は、挿入器具(図示せず)を連結できるようにするインプラント把持又は装着部分70が近位側インプラント端77に設けられている。装着部分70は、可撓性インプラント70のL5−S1円板空間内への側方進入法による制御された送達を可能にする。装着部分70は、器具を可撓性インプラント60に連結したときに、器具が近位側インプラント端67の外面より完全に内側に納まるように、追従端66の中へ陥凹しているのが好適である。1つの態様では、装着部分は、近位側インプラント端67の両側面の陥凹スロット70である。
【0032】
可撓性中間部分64が、可撓性脊椎インプラント60を形成するべく先導端62と追従端66を接続しているのが好適である。可撓性中間部分64は、単一の組み立てられた可撓性脊椎インプランント60が形成されるように、先導端62と追従端66の間に連結又は取付されている。可撓性中間部分64は、インプラントがL5−S1円板空間の中へ好適なより最近の外科的進入法により挿入されるときに、インプラントが可撓性中間部分64のところで又は可撓性中間部分64周りに、曲がるか、屈曲するか、又は軸回転するのを許容するか又は可能にする態様である。
【0033】
可撓性中間部分64は、更に、可撓性インプラント60が所望の又は選択された円板空間の中へ実質的に直進的な進入方位で送達され挿入されることを許容するために、可撓性インプラント60が可撓性部分64のところで又は可撓性部分64周りに進むか又は回転することができるように、インプラント60が空間内で何れか1つ又はそれ以上の次元方向に十分な可撓性を持てるようにしている。この方式では、可撓性インプラント60は、例えば図7に関して示され論じられている1つ又はそれ以上の基準線、基準面、又は基準軸A1、A2、A3周りに又はA1、A2、A3のところで、進むか、曲がるか、又は回転することができるような物理的性質又は特性を有するように製造されている。この方式では、可撓性インプラント60は、可撓性中間部分64により、インプラント挿入後の椎間円板空間の中で「自分でバランスをとる」つまりは平衡嵌り又は最適嵌りに落ち着くか又は至ることができる。可撓性中間部分64は、インプラント60が、インプラント挿入後に、円板空間内での解剖学的に最適な嵌り具合を見い出すまで、可撓性部分64の運動及び/又は微小運動及び可撓性を介して嵌り又は平衡嵌りを模索して見つけられるようにしている。可撓性インプラント60のこの態様は、椎骨癒合が確立されてゆく間のインプラント60の生体力学的性質を強化する。当業者には認識されるであろうが、幾つかの実施形態で、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって必要となる場合には、可撓性部分64ひいては拡大解釈すれば可撓性インプラント60は、インプラント60が、実質的に直進的な進入方位で所望の又は選択された円板空間へ送達されその中へ挿入されてゆく間、空間内で選択された又は所望の直線的次元方向又は回転方向にしか可撓性を持たないように製造することもできる。
【0034】
可撓性部分64は、インプラントが中間部分64周りに又は中間部分64のところで、曲がるか又は屈曲するのを許容する、生体適合性可撓性材料で構成することができる。例えば、変形可能なプラスチック、弾性ポリマー、エラストマー、ゴム、又は別の弾性材料であってもよい。1つの態様では、可撓性インプラント60は、インプラントが円板空間に完全に植え込まれてしまえば、可撓性中間部分64が堅く又は実質的に堅くなることができるか又はなってゆくような性質又は特性を有するように製造されていてもよい。可撓性インプラント部分64は、インプラント挿入後の所望の時期に又は時間を経て堅くなるように製造することもできる。例えば、インプラントが円板空間に挿入されるとすぐにでもよいし、所望又は所定の期間を経てでもよいし、或いは癒合が確立されてゆくにつれてでもよいであろう。1つの態様では、インプラントの剛性特性は、形状記憶ニチノール又は患者の解剖学的構造の環境の中で剛性を獲得することのできる他の形状記憶材料の使用を介してもたらされてもよい。可撓性インプラント60は、ひとたび堅くなれば、それ以後はもはやインプラントの可撓性を保てなくなる。この態様又は特質は、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって所望されるか又は必要になる場合に利用されることになろう。
【0035】
図5Aは、本開示の別の態様による可撓性脊椎インプラント100の斜視図を示している。図5Bは、インプラント挿入チャネル160の中の図5Aの可撓性脊椎インプラント100の側面図を示しており、インプラント挿入チャネル160は、選択された円板空間である例えば図1に示されているL4−L5又はL5−S1の側方進入手技によるインプラント挿入のために配置することができる。可撓性脊椎インプラント100は、先導端105、第1部材110、第2部材120、第3部材125、及び追従端135を備える複合構成要素軸回転式組立体である。
【0036】
先導端105は第1蝶番112で第1部材110に軸回転式に接続されていて、それによって、先導端105の第1部材110に対する回転運動が許容されている。第1部材110は第2蝶番115で第2部材120に軸回転式に接続されていて、それによって、第1部材110の第2部材120に対する回転運動が許容されている。第1部材110は第3蝶番117で第3部材125に軸回転式に接続されていて、それによって、第1部材110の第3部材125に対する回転運動が許容されている。追従端135は第4蝶番130で第2部材120に軸回転式に接続されていて、それによって、追従端135の第2部材120に対する回転運動が許容されている。追従端135は第5蝶番127で第3部材125に軸回転式に接続されていて、それによって、追従端110の第3部材125に対する回転運動が許容されている。
【0037】
図5A及び図5Bに示されている様に、先導端105は、可撓性インプラント100の円板空間内への挿入を容易又は簡単にするように適合された物理的構成を有している。図5A及び図5Bに示されている或る好適な態様では、先導端105は、可撓性インプラント100の円板空間内への挿入を容易にする楔型の形状103を有している。先導端105の楔形状をしている鼻部103は、円板空間が陥没している場合、可撓性インプラント100が円板空間の中へ進んでゆく或いは挿入されてゆく際に、隣接している陥没椎骨に伸延力を付与することができる。
【0038】
追従端135は、器具(図示せず)を可撓性インプラント100に連結できるようにするインプラント把持又は装着開口部145が近位側インプラント端137に設けられている。装着開口部145は、可撓性インプラント100をインプラント挿入チャネル160を通して選択された円板空間の中へ側方進入法により送達するために、可撓性脊椎インプラント100に器具を連結できるようにしている。可撓性インプラント100の挿入後、既にこれまでに論じられているグラフト材料がインプラント挿入に先立って何も詰められていなかった場合には、装着開口部145を更にグラフト材料を挿入するのに使用することもできる。
【0039】
可撓性脊椎インプラント100は、更に、軸回転式に接続されている第1部材110と第2部材120と第3部材125と追従端135によって画定され形成されている内部インプラント開口部150を更に備えている。内部インプラント開口部150には、可撓性インプラント100の選択された円板空間内への挿入前又は後に、グラフト材料を充填するか又は詰めることができる。グラフト材料は、骨の成長及び椎体の癒合を促進、増進、及び/又は加速させる能力を有する材料で構成されている。グラフト材料には、同種グラフト材料、骨グラフト、骨髄、脱灰骨基質パテ又はゲル、及び/又はそれらの何らかの組合せが含まれる。充填材であるグラフト材料は、内部インプラント開口部150を通る及びその周囲での骨の成長を促して、円板空間の椎間関節の癒合を促進させることができる。当業者には、充填材であるグラフト材料の使用は随意であり、医師又は医療手技の必要性又は要件次第で使用されることもあれば使用されないこともあるということが認識されるであろう。
【0040】
第1部材110、第2部材120、及び第3部材125は相互にそして先導端105及び追従端135に軸回転式に接続されて、図5A及び図5Bに示されている複合体の可撓性インプラント100を形成している。軸回転式接続部112、115、117、127、及び130は、可撓性インプラント100の側方進入法による送達及び挿入を許容するため、必要に応じて、可撓性脊椎インプラント100が曲がったり関節運動したりできるように、可撓性脊椎インプラント100が軸回転式接続部112、115、117、127、及び130周りに軸回転又は関節運動するのを許容するか又は可能にしている。例えば、インプラント100は、図1及び図2に示されている円板空間L4−L5又はL5−S1に挿入される。当業者には、可撓性インプラント100は、例えば図5Cに示されている様に異なった数のインプラント構成要素及び対応する軸回転式接続部を有することもできることが認識されるであろう。軸回転式接続部の数は、可撓性インプラント100を挿入させる進入角度Z、又は可撓性インプラント100が挿入チャネル160を通って進んでゆく際に横断することになる挿入チャネルの曲がり又は曲がり角165によって決まるであろう。1つの態様では、進入角度Zが大きくなれば、インプラントが挿入チャネルの曲がり165を横断するために十分に関節運動できるようにするのに必要なインプラント構成要素及び対応する軸回転式接続部の数は増える。1つの態様では、可撓性インプラント100は、インプラント100が円板空間に完全に植え込まれてしまえば、軸回転式接続部112、115、117、127、及び130が堅く又は実質的に堅くなることができるか又はなってゆくような性質又は特性を有するように製造されていてもよい。軸回転式接続部112、115、117、127、及び130は、インプラント挿入後の所望の時期に又は時間を経て堅くなるように製造することもできる。例えば、インプラントが円板空間に挿入されるとすぐにでもよいし、所望又は所定の期間を経てでもよいし、或いは癒合が確立されてゆくにつれてでもよいであろう。軸回転式接続部112、115、117、127、及び130は、ひとたび堅くなれば、それ以後はもはやインプラントの可撓性を保てなくなる。1つの態様では、インプラントの剛性特性は、形状記憶ニチノール又は患者の解剖学的構造の環境の中で剛性を獲得することのできる他の形状記憶材料の使用を介してもたらされてもよい。この態様又は特質は、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって所望されるか又は必要になる場合に利用されることになろう。
【0041】
図5Aの可撓性インプラント100は、側方進入手技では、隣接して配置されているインプラント挿入チャネル160を介して円板空間へ送達されるのが好適である。以下では、L4−L5又はL5−S1円板空間に送達する場合を想定している。しかしながら、当業者には、以下に説明されている挿入は他の脊椎円板レベルで実施されてもよいことが認識されるであろう。インプラント挿入チャネル160が、可撓性インプラント100を挿入しようとしている円板空間L4−L5又はL5−S1に隣接して位置付けられる。インプラント挿入チャネル160は、遠位側第1チャネル端163と、チャネル曲がり角部分164と、近位側第2チャネル端167を備えている。インプラント挿入チャネル160は、挿入チャネル160内部を進んでゆくことになる可撓性インプラント100の外側の物理的構成と相補の断面を有するチャネルであるのが好適である。或る好適な態様では、インプラント挿入チャネル160は、矩形断面を有している。しかしながら、可撓性インプラント100と相補となる他の構成、例えば円形や方形などが、適宜、用いられてもよい。
【0042】
図5Bに示されている様に、インプラント挿入チャネル160は、第1チャネル端163からチャネル曲がり角部分164へ移行し、そして第2チャネル端167へ移行している。チャネル曲がり角部分164は、第1チャネル端163と第2チャネル端167が進入角度Zを描く向きに配置されている。チャネル曲がり角部分164は、典型的には固定されている。しかしながら、当業者には、チャネル曲がり角部分164は、調節式とされてもよいことが認識されるであろう。例えば、第1チャネル端163と第2チャネル端167の間を蝶番式配設にすることによってでもよい。この方式では、インプラント挿入チャネル160は、側方直進基準線20に対して測定される進入角度Zの変化又は範囲を画定するように調節されることになろう。進入角度Zは、可撓性インプラント100が側方外科的手技により送達され挿入されることになる円板空間に応じて異なるであろう。挿入進入角度Zは、同様に、手術中の患者又は医師の必要性及び要件に対応するために変えられることもあろう。1つの態様では、所望の挿入進入角度Zは、5度から45度の間(5°−45°)であり、好適な範囲は10度と30度の間(10°−30°)である。
【0043】
或る好適な態様では、可撓性インプラント100は、図5Bに示されている様に、インプラント挿入チャネル160内部を進んでいって、所望の又は選択された円板空間に到達する。可撓性インプラント100が実質的に直進的な側方進入方位で円板空間に到達し入ってゆけるようにするために、進んでゆく可撓性インプラント100はインプラント挿入チャネル160の内壁によって案内されることになる。チャネル曲がり角部分164が、可撓性インプラント100と相互に作用し合うか又は働きかけて、軸回転式接続部112、115、117、127、及び130周りに関節運動又は軸回転させながらチャネルの曲がり角部分164を通過させてゆく。この相互作用は、可撓性脊椎インプラント100が関節運動し、それによって、チャネル曲がり角部分164を通り抜けてゆけるような力を可撓性脊椎インプラント100に付与する。この方式では、可撓性インプラント100は、関節運動して、その挿入進入角度Zを有する送達経路から向きを変え、実質的に直進的な側方進入方位で円板空間に入ってゆくように適合されている。図5Bに示されている様に、チャネル曲がり角部分164の相互作用による強制関節運動は、特に、可撓性インプラント100を第2チャネル端167での角度の付いた側方進入Zから第1チャネル端163での実質的に直進的な側方進入方位へ遷移させる。可撓性インプラント100がインプラント挿入チャネル160内部を進み続けてゆくと、可撓性インプラント100は、選択された円板空間に実質的に側方進入方位で入ってゆく。可撓性インプラント100は、軸回転式接続部112、115、117、127、及び130により、インプラント挿入後の椎間円板空間の中で当該軸回転式接続部112、115、117、127、及び130の運動及び/又は微小運動を介して「自分でバランスをとって」平衡嵌り又は最適嵌りに落ち着くか又は至るものであり、可撓性インプラント1000が円板空間の中で解剖学的に最適な嵌り具合になるまで自分でバランスをとってゆく。可撓性インプラント100は、装着孔145に連結された器具(図示せず)により、インプラント挿入チャネル160を通して選択された円板空間の中へ進めることにより送達することができる。可撓性インプラント100が円板空間に挿入されてしまえば、連結されている器具は装着孔145から切り離すことができる。
【0044】
図5Cは、選択された円板空間である例えばL4−L5又はL5−S1に側方進入手技により挿入することができる、本開示の別の実施形態による可撓性脊椎インプラント200の斜視図を示している。可撓性脊椎インプラント200は、先導端205、第1部材210、第2部材215、及び追従端220を備える複合構成要素インプラント軸回転式組立体である。先導端205は第1蝶番207で第1部材210に軸回転式に接続されていて、それによって、先導端205との間で第1部材210に対する回転運動が許容されている。先導端205は第2蝶番212で第2部材215に軸回転式に接続されていて、それによって、先導端205との間で第2部材215に対する回転運動が許容されている。追従端220は第3蝶番223で第1部材210に軸回転式に接続されていて、それによって、追従端220の第1部材210に対する回転運動が許容されている。追従端220は第4蝶番217で第2部材215に軸回転式に接続されていて、それによって、追従端220の第2部材215に対する回転運動が許容されている。
【0045】
先導端205は、可撓性インプラント200の円板空間内への挿入を容易又は簡単にするように適合された物理的構成を有している。図5Cに示されている或る好適な態様では、先導端205は、可撓性インプラント200の円板空間内への挿入を容易にする楔型の輪郭203を有している。先導端205の楔形状をしている鼻部203は、可撓性インプラント200が円板空間の中へ進んでゆく或いは挿入されてゆく際に、隣接している陥没椎骨に伸延力を付与する働きをすることになる。
【0046】
可撓性脊椎インプラント200は、更に、軸回転式に接続されている先導端205と第1部材210と第2部材215と追従端220によって画定されている内部インプラント開口部230を更に備えている。内部インプラント開口部230には、可撓性インプラント200の選択された円板空間内への挿入前にグラフト材料を充填することができる。グラフト材料は、骨の成長及び椎体の癒合を促進、増進、及び/又は加速させる能力を有する材料で構成されている。グラフト材料は、内部インプラント開口部230を通る及びその周囲での骨の成長を促して、円板空間の椎間関節の癒合を促進させることができる。充填材であるグラフト材料の使用は随意であり、医師又は医療手技の必要性又は要件次第で使用されることもあれば使用されないこともある。
【0047】
可撓性インプラント200は、更に、可撓性インプラント200の上下の面にバックアウト防止突起225を備えている。上下の面から延びるバックアウト防止突起225は、インプラント200が円板空間内への挿入後にバックアウトすること又は追い出されることを防止するように構成され、防止する向きに配置されているのが好適である。図5Cに示されている態様では、バックアウト防止突起225は、可撓性インプラント200の先導端205、第1部材210、第2部材215、及び追従端220の上下の面を横断する三角形の畝の構成を有している。当業者には、突起は、なかでも特に角錐、三角、円錐、スパイク、竜骨を含む、他の形状、構成、又は寸法を有することもできることが認識されるであろう。
【0048】
第1部材210と第2部材215は、相互にそして先導端205及び追従端220に軸回転式に接続されて、図5Cに示されている複合構成要素の可撓性インプラント200を形成している。軸回転式接続部207、212、217、及び223は、可撓性脊椎インプラント200の円板空間への側方進入法による送達及び挿入を許容するため、必要に応じて、可撓性脊椎インプラント200が曲がったり関節運動したりすることができるように、可撓性脊椎インプラント200が軸回転式接続部207、212、217、及び223周りに軸回転又は関節運動するのを許容するか又は可能にしている。例えば、図1及び図2に示されている円板空間L4−L5又はL5−S1に挿入される。これまでに論じられている様に、可撓性インプラント200は、異なった数のインプラント構成要素及び対応する軸回転式接続部を有することができる。軸回転式接続部の数は、可撓性インプラント200を挿入させる進入角度Zによって決まるであろう。1つの態様では、可撓性インプラント200は、インプラント200が円板空間に完全に植え込まれてしまえば、軸回転式接続部207、212、217、及び223が堅く又は実質的に堅くなることができるか又はなってゆくような性質又は特性を有するように製造されていてもよい。軸回転式接続部207、212、217、及び223は、インプラント挿入後の所望の時期に又は時間を経て堅くなるように製造することもできる。例えば、インプラントが円板空間に挿入されるとすぐにでもよいし、所望又は所定の期間を経てでもよいし、或いは癒合が確立されてゆくにつれてでもよいであろう。軸回転式接続部207、212、217、及び223は、ひとたび堅くなれば、それ以後はもはやインプラントの可撓性を保てなくなる。1つの態様では、インプラントの剛性特性は、形状記憶ニチノール又は患者の解剖学的構造の環境の中で剛性を獲得することのできる他の形状記憶材料の使用を介してもたらされてもよい。この態様又は特質は、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって所望されるか又は必要になる場合に利用されることになろう。
【0049】
図6A−図6Eは、可撓性脊椎インプラント250、260、270、400、及び410の側面図を示しており、本開示に企図されている他の可撓性中間部分態様254、264、274、404、及び410を開示している。可撓性中間部分254、264、274、404、及び410は、インプラントが円板空間に実質的に側方進入方位で入ってゆくことができるように、各可撓性インプラント250、260、270、400、及び410が、可撓性中間部分254、264、274、404、及び410のところで又は可撓性中間部分254、264、274、404、及び410周りに、曲がる、屈曲する、又は軸回転することを可能にする。可撓性インプラント250、260、270、400、及び410は、可撓性中間部分254、264、274、404、及び410により、インプラント挿入後の椎間円板空間の中で当該可撓性部分254、264、274、404、及び410の運動及び/又は微小運動を介して「自分でバランスをとって」平衡嵌り又は最適に落ち着くか又は至るものであり、可撓性インプラント250、260、270、400、及び410が円板空間の中で解剖学的に最適な嵌り具合になるまで自分でバランスをとってゆく。図6A−図6Eに示されている可撓性インプラント250、260、270、400、及び410は、L4−L5又はL5−S1の様な円板空間へ側方進入手技で送達されるのが好適である。しかしながら、当業者には、以下に説明されている挿入は、他の脊椎円板レベルに適用されてもよいことが認識されるであろう。
【0050】
図6Aは、先導端252と、追従端256と、先導端252と追従端256を接続する可撓性中間部分254を備える、可撓性脊椎インプラント250を示している。可撓性部分254は、変形可能プラスチック、弾性ポリマー、エラストマー、ゴム、又は別の弾性材料を含め、インプラントが中間部分254周りに又は中間部分254のところで曲がるか又は屈曲することを許容する如何なる生体適合性可撓性材料で構成することもできる。図6Bは、先導端262と、追従端266と、先導端262と追従端266を接続する可撓性中間部分264を備える、可撓性脊椎インプラント260を示している。図6Bに示されている可撓性部分264は、生体適合性であり且つインプラントが可撓性中間部分264周りに又は可撓性中間部分264のところで曲がるか又は屈曲することを許容する弾性のある可撓性金属系材料で作られている、可撓性金属系部分として企図されている。図6Bに示されている態様では、可撓性部分264は、生体適合性であり且つインプラント260が中間部分264周りに又は中間部分264のところで曲がるか又は屈曲することを許容するばね型式の機構である。
【0051】
図6Cは、先導端272と、追従端276と、先導端272と追従端276を接続する可撓性中間部分274を備える、可撓性脊椎インプラント270を示している。可撓性部分274は、可撓性部分274を形成するべくインプラント本体に形成されている一連のスロット275及び278として企図されている。インプラントのスロット275及び278はインプラント270が中間部分274周りに又は中間部分274のところで曲がるか又は屈曲することを許容する可撓性部分を形成している。別の態様では、中間部分274は、異なった数のスロット275及び278で構成されている。別の態様では、中間部分274は、下側インプラント面277に形成されているスロット275と上側インプラント面273に形成されているスロット278で構成することができる。
【0052】
図6D及び図6Eは、先導端402及び412と、追従端406及び416と、先導端402及び412と追従端406及び146を接続する可撓性中間部分404及び414を備える、可撓性脊椎インプラント400及び410を示している。図6D及び図6Eの態様に示されている可撓性部分404及び414は、生体適合性であり且つインプラント400及び410が可撓性中間部分404及び414周りに又は可撓性中間部分404及び414のところで曲がるか又は屈曲することを許容する弾性のある可撓性金属系材料で作られている、可撓性金属系部分である。図6Dに示されている態様では、可撓性部分404は、生体適合性であり且つインプラント400が中間部分404周りに又は中間部分404のところで曲がるか又は屈曲することを許容する平坦な金属系部分又は板ばね機構である。図6Eに示されている態様では、可撓性部分4014は、生体適合性であり且つインプラント410が中間部分414周りに又は中間部分414のところで曲がるか又は屈曲することを許容する湾曲した金属系部分である。可撓性金属系部分404及び414は、生体適合性金属系材料、なかでも特に、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、白金、タングステン、銀、パラジウム、コバルトクロム合金、形状記憶ニチノール、及びそれらの混合物の様な、生体適合性金属系材料で構成することができる。使用される生体適合性金属系材料は、患者の必要性及び医師の要件によって決まるであろう。
【0053】
図6Fは、先導端422と、追従端426と、先導端422と追従端426を接続する可撓性中間部分424を備える、可撓性脊椎インプラント420を示している。可撓性部分424は、インプラント本体420の一部として、可撓性部分274を形成するべくインプラント本体420の寸法の削られた中間部分又は細いインプラント部分424として形成されている、可撓性部分424として企図されている。寸法の削られた中間部分又は細いインプラント部分424は、インプラントが中間部分424周りに又は中間部分424のところで曲がるか又は屈曲するのを許容するように製造されている可撓性部分424を形成している。
【0054】
図6A−図6Fに示されている可撓性インプラント250、260、270、400、410、及び420について企図されている更なる態様では、可撓性インプラント250、260、270、400、410、及び420は、インプラントが円板空間に完全に植え込まれてしまえば、可撓性中間部分254、264、274、404、414、及び424が堅く又は実質的に堅くなることができるか又はなってゆくような性質又は特性を有するように製造されていてもよい。可撓性インプラント部分254、264、274、404、414、及び424は、インプラント挿入後の所望の時期に又は時間を経て堅くなるように製造することもできる。例えば、インプラントが円板空間に挿入されるとすぐにでもよいし、所望又は所定の期間を経てでもよいし、或いは癒合が確立されてゆくにつれてでもよいであろう。可撓性インプラント250、260、270、400、410、及び420は、ひとたび堅くなれば、それ以後はもはやインプラントの可撓性を保てなくなる。1つの態様では、インプラントの剛性特性は、形状記憶ニチノール又は患者の解剖学的構造の環境の中で剛性を獲得することのできる他の形状記憶材料の使用を介してもたらされてもよい。この態様又は特質は、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって所望されるか又は必要になる場合に利用されることになろう。
【0055】
図7は、本開示の更なる態様による、可撓性脊椎インプラント300の斜視図を示している。既に論じられている可撓性脊椎インプラント態様と同様に、インプラントが円板空間に実質的に直進的な進入方位である例えば直進側方進入方位で入ってゆくことができるように、可撓性中間部分310は、可撓性インプラント300が可撓性中間部分310のところで又は可撓性中間部分310周りに、曲がる、屈曲する、又は軸回転するのを可能にするか又は許容する。可撓性インプラント300は、ここで論じられているL4−L5又はL5−S1又は他の所望の脊椎円板レベルの様な選択された円板空間へ送達される。可撓性インプラント300は、医師によって選択又は要求される脊椎外科的進入法及び手技により所望の円板空間へ送達されその中へ挿入される。
【0056】
可撓性脊椎インプラント300は、DLIF手技の様な側方進入手技により、障害となる腸骨稜や神経構造及び脈管構造をかわすようにして所望の円板空間へ送達しその中へ挿入することができる。可撓性脊椎インプラント300は、PLIF手技又はTLIF手技により、馬尾の周囲を曲がって安全に迂回するか又はかわすようにして所望の円板空間へ送達されその中へ挿入することもできるであろう。1つの態様では、可撓性脊椎インプラント300は、最小アクセス脊椎技術(MAST)外科的技法又は手技により又は当該技法又は手技を介して送達される。当業者には、可撓性脊椎インプラント300は、同様に、後方、側方直達、側方横断、後側方、又は前側方、或いは何れかの適した斜め方向を含む、他の既知の外科的進入法によって送達して挿入できることが認識されるであろう。可撓性インプラント300を挿入するのに使用してもよいとされる幾つかの既知の技法及び進入法には、同様に、なかでも特に、前方腰椎椎体間固定術(ALIF)が挙げられる。また、当業者には、脊椎インプラントは、開放性外科的技法、最小開放性外科的技法、又は他の低侵襲性外科的(MIS)技法を含む既知の外科的技法及び手技を介して送達され挿入されてもよいことが認識されるであろう。
【0057】
図7は、先導端305と、追従端315と、先導端305と追従端315を接続する可撓性中間部分310を備える、可撓性脊椎インプラント300を示している。図7は、更に、三次元(3D)インプラント基準線、基準面、又は基準軸であるA1、A2、及びA3を示している。3D基準のインプラント基準線、基準面、又は基準軸であるA1、A2、及びA3は、選択された又は所望の基準線、基準面、又は基準軸とすることができる。当業者には、3D基準のインプラント基準線、基準面、又は基準軸であるA1、A2、及びA3は、更に又は代わりに、解剖学的な横断面、矢状面、又は冠状面を表す従来のx−y−z軸、線、又は面の様な既知の基準線、基準面、又は基準軸としてもよいことが認識されるであろう。可撓性部分310は、変形可能プラスチック、弾性ポリマー、エラストマー、ゴム、又は別の弾性材料を含め、インプラントが中間部分310周りに又は中間部分310のところで曲がるか又は屈曲することを許容する如何なる生体適合性可撓性材料で構成することもできる
図7に示されている可撓性部分310は、更に、可撓性インプラント300の別の好都合な態様も示している。可撓性部分310は、インプラント300が所望の又は選択された円板空間へ送達されその中へ挿入されてゆく際、又はインプラント300が、その送達経路方位から離れる方向に回動するか、曲がるか、又は向きを変えて、それによって実質的に直進的な進入方位で円板空間に入ってゆく際に、インプラントが、中間区間310周りに又は中間区間310のところで、3D基準のインプラント基準線、基準面、又は基準軸であるA1、A2、及びA3の何れかの内で又は何れかに沿って、進むか、曲がるか、又は屈曲することを許容する。可撓性部分310は、同様に、インプラント300が所望の又は選択された円板空間へ送達されその中へ挿入されてゆく際、又はインプラントが、その送達経路方位から離れる方向に回動するか、曲がるか、又は向きを変えて、それによって実質的に直進的な進入方位で円板空間に入ってゆく際に、インプラント300が、中間区間310周りに又は中間区間310のところで、3D基準のインプラント基準線、基準面、又は基準軸であるA1、A2、及びA3に関して何れかの三次元方向又は方位に、進むか、曲がるか、又は屈曲することを許容する。可撓性部分310は、更に、インプラント300が所望の又は選択された円板空間へ送達されその中へ挿入されてゆく際、又はインプラント300が、その送達経路方位から離れる方向に回動するか、曲がるか、又は向きを変えて、それによって実質的に直進的な進入方位で円板空間に入ってゆく際に、インプラント300が、中間区間310周りに又は中間区間310のところで、3D基準のインプラント基準線、基準面、又は基準軸であるA1、A2、及びA3に関して何れか1つ又はそれ以上の次元方向又は方位に、進むか、曲がるか、又は屈曲することを許容する。
【0058】
可撓性部分310は、従って、可撓性インプラント300が所望の又は選択された円板空間の中へ実質的に直進的な進入方位で送達され挿入されるのを許容するために、可撓性インプラント300が可撓性部分310のところで又は可撓性部分310周りに進むか又は回転することができるように、インプラント300が空間内で何れか1つ又はそれ以上の次元方向に十分な可撓性、変形性、及び可動性を持てるようにしている。この方式では、可撓性インプラント300は、例えば図7に関して示され論じられている1つ又はそれ以上の基準線、基準面、又は基準軸A1、A2、及びA3周りに又はA1、A2、及びA3のところで進むか又は回転することができるような物理的性質又は特性を有している。この方式では、可撓性インプラント300は、可撓性中間部分310により、インプラント300挿入後の椎間円板空間の中で「自分でバランスをとる」つまりは平衡嵌り又は最適嵌りに落ち着くか又は至ることができる。可撓性インプラント部分310は、可撓性インプラント300が、インプラント挿入後に、円板空間内での解剖学的に最適な嵌り具合に落ち着くまで、可撓性部分310の運動及び/又は微小運動及び可撓性を介して嵌り又は平衡嵌りに至ることができるようにしている。可撓性インプラント300のこの態様は、椎骨癒合が確立されてゆく間のインプラント300の生体力学的性質を強化する。図7に関して論じられているこの新奇性のある態様は、同様に、これまでに図1−図6Cに関連付けて論じられた可撓性インプラントについても企図されている。当業者には認識されるであろうが、幾つかの実施形態で、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって必要となる場合には、可撓性部分310ひいては拡大解釈すれば可撓性インプラント300は、インプラント300が実質的に直進的な進入方位で所望の又は選択された円板空間へ送達されその中へ挿入されてゆく間、空間内で選択された又は所望の直線的次元方向又は回転方向にしか可撓性を持たないように製造することもできる。
【0059】
図1−図7に関して描かれ論じられている、可撓性インプラントについて企図される更なる態様では、可撓性インプラントは、インプラントが円板空間に完全に植え込まれてしまえば、可撓性中間部分が堅く又は実質的に堅くなることができるか又はなってゆくような性質又は特性を有するように製造されていてもよい。可撓性インプラント部分は、インプラント挿入後の所望の時期に又は時間を経て堅くなるように製造することもできる。例えば、インプラントが円板空間に挿入されるとすぐにでもよいし、所望又は所定の期間を経てでもよいし、或いは癒合が確立されてゆくにつれてでもよいであろう。可撓性インプラントは、ひとたび堅くなれば、それ以後はもはやインプラントの可撓性を保てなくなる。1つの態様では、インプラントの剛性特性は、形状記憶ニチノール又は患者の解剖学的構造の環境の中で剛性を獲得することのできる他の形状記憶材料の使用を介してもたらされてもよい。この態様又は特質は、患者の解剖学的構造又は医師の要件によって所望されるか又は必要になる場合に利用されることになろう。
【0060】
本開示に開示されている可撓性インプラントは、新奇性のある可撓性インプラント部分に取り付けて可撓性脊椎インプラント全体を形成することのできる、生体適合性材料基板で構成されているのが好適である。生体適合性材料基板には、なかでも特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマー材料、ホモポリマー型、コポリマー型、及びオリゴマー型の、ポリヒドロキシ酸類、ポリエステル類、ポリオルトエステル類、ポリ無水物類、ポリジオキサノン、ポリジオキサンジオン類、ポリエステルアミド類、ポリアミノ酸類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリラクチド、ポリグリコリド、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリフォスファゼン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン類(PAEK)、セルロース、炭素繊維強化複合材、及びそれらの混合物が挙げられる。生体適合性材料基板は、同様に、金属系材料であってもよく、なかでも特に、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、白金、タングステン、銀、パラジウム、コバルトクロム合金、形状記憶ニチノール、及びそれらの混合物が挙げられる。使用される生体適合性材料は、患者の必要性及び医師の要件によって決まるであろう。
【0061】
本開示には本発明の実施形態が詳細に示され説明されているが、開示は性質的に説明を目的としたものであって制限を課そうとするものではない。本発明の精神に入る全ての変更及び修正は保護の対象とすることを要求し本開示の範囲内と見なされるものとする。
【符号の説明】
【0062】
1 脊椎部分
3 脊柱
5 仙骨
7 腸骨
9 腸骨稜
10、12 椎間円板
14、15 終板
20、22 側方直進又は直達基準線
28 円板空間入口
30 可撓性脊椎インプラント
32 先導端
34 可撓性中間部分
36 追従端
37 追従近位側インプラント端
38 湾曲状又は弾丸形状をしている鼻部
40 器具装着部分
42 バックアウト防止突起
50、54 上面
52、56 下面
60 可撓性脊椎インプラント
62 先導端
64 可撓性中間部分
66 追従端
67 追従近位側インプラント端
68 湾曲状又は弾丸形状をしている鼻部
70 器具装着部分
72 防止突起
80、84 上壁(上面)
82、86 下壁(下面)
100 可撓性脊椎インプラント
103 楔の形状をしている鼻部
105 先導端
110 第1部材
112 第1蝶番
115 第2蝶番
117 第3蝶番
120 第2部材
125 第3部材
127 第5蝶番
130 第4蝶番
135 追従端
137 近位側インプラント端
145 装着孔
150 インプラント開口部
160 インプラント挿入チャネル
163 遠位側第1チャネル端
164、165 チャネル曲がり角部分
167 近位側第2チャネル端
200 可撓性脊椎インプラント
203 楔形状をしている鼻部
205 先導端
207 第1蝶番
210 第1部材
212 第2蝶番
215 第2部材
217 第4蝶番
220 追従端
223 第3蝶番
225 バックアウト防止突起
230 内部インプラント開口部
250 可撓性脊椎インプラント
252 先導端
254 可撓性中間部分
256 追従端
260 可撓性脊椎インプラント
262 先導端
264 可撓性中間部分
266 追従端
270 可撓性脊椎インプラント
272 先導端
273 上側インプラント面
274 可撓性中間部分
275 スロット
276 追従端
277 下側インプラント面
278 スロット
300 可撓性インプラント
305 先導端
310 可撓性中間部分
315 追従端
400 可撓性脊椎インプラント
402 先導端
404 可撓性中間部分
406 追従端
410 可撓性脊椎インプラント
412 先導端
414 可撓性中間部分
416 追従端
420 可撓性脊椎インプラント
422 先導端
424 可撓性中間部分
426 追従端
L4、L5 椎体
S1 仙椎
A1、A2、A3 インプラントの3D基準線、基準面、又は基準軸
X、Y、Z 進入角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間円板空間の中へ挿入するための脊椎インプラントにおいて、
先導端と、
追従端と、
前記先導端と前記追従端を接続する可撓性中間部分と、を備えており、
前記インプラントは、前記可撓性部分のところで変形させることができ、それによって、前記インプラントの選択された円板空間内への実質的に直進的な進入を可能にする、脊椎インプラント。
【請求項2】
前記インプラントは、前記選択された円板空間へ、所望の挿入進入角度で送達される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記先導端は、弾丸形状の構成を備えている、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記先導端と前記追従端と前記可撓性中間部分とによって境界が定められている中央インプラント開口部を更に備えている、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記所望の挿入進入角度は5度から45度の間である、請求項2に記載のインプラント。
【請求項6】
前記インプラントは、前記円板空間へ、側方進入法により送達される、請求項2に記載のインプラント。
【請求項7】
前記選択された円板空間は、L4−L5又はL5−S1である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記可撓性中間部分は、前記インプラントが前記円板空間に挿入された後、実質的に堅くなる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記可撓性中間部分は、可撓性金属系部分、少なくとも1つの軸回転式接続部、及び少なくとも1つのインプラントスロット、のうちの1つ又はそれ以上で構成されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
椎間脊椎インプラントにおいて、
湾曲した先導端と、
追従端と、
前記湾曲した先導端と前記追従端を接続する可撓性中間部分と、を備えており、
前記脊椎インプラントは、所望の挿入進入角度で送達され、前記可撓性中間部分周りに変形させることができ、それによって、前記インプラントの選択された円板空間内への実質的に直進的な進入を可能にする、椎間脊椎インプラント。
【請求項11】
前記湾曲した先導端は、弾丸形状の構成を備えている、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記湾曲した先導端と前記追従端と前記可撓性中間部分とによって境界が定められている中央インプラント開口部を更に備えている、請求項11に記載のインプラント。
【請求項13】
前記所望の挿入進入角度は10度から30度の間である、請求項10に記載のインプラント。
【請求項14】
前記インプラントは、前記円板空間へ、側方進入法により送達される、請求項10に記載のインプラント。
【請求項15】
前記選択された円板空間は、L4−L5又はL5−S1である、請求項10に記載のインプラント。
【請求項16】
前記可撓性中間部分は、前記インプラントが前記円板空間に挿入された後、実質的に堅くなる、請求項10に記載のインプラント。
【請求項17】
前記可撓性中間部分は、可撓性金属系部分、少なくとも1つの軸回転式接続部、及び少なくとも1つのインプラントスロット、のうちの1つ又はそれ以上で構成されている、請求項10に記載のインプラント。
【請求項18】
選択された円板空間の中へ挿入するための脊椎インプラントにおいて、
先導端と、
追従端と、
前記先導端と前記追従端を接続する可撓性中間部分と、を備えており、
前記インプラントは、所望の挿入進入角度で、インプラント挿入チャネルを介して送達され、
前記インプラントは、前記インプラント挿入チャネルとの相互作用を介して前記可撓性中間部分周りに変形させることができ、それによって、前記インプラントの前記選択された円板空間内への側方進入法による実質的に直進的な側方進入を可能にし、
前記可撓性中間部分は、前記インプラントが、インプラント挿入後の前記円板空間の中で、前記可撓性中間部分の運動を通して平衡位置に至り、
前記可撓性中間部分は、前記インプラントが前記円板空間に挿入された挿入後、実質的に堅くなる、脊椎インプラント。
【請求項19】
前記可撓性中間部分は、可撓性金属系部分、少なくとも1つの軸回転式接続部、及び少なくとも1つのインプラントスロット、のうちの1つ又はそれ以上で構成されている、請求項18に記載のインプラント。
【請求項20】
前記インプラント挿入チャネルは、第1端と、曲がり角部分と、第2端と、を備えている、請求項18に記載のインプラント。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−500772(P2013−500772A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522961(P2012−522961)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043372
【国際公開番号】WO2011/014502
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】