説明

可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料

【課題】 着色状態で長期間放置した後、消色状態にした際の褐変(着色)を防止することができ、発色時には鮮明な色調を呈し、消色時には無色になる可逆変色性組成物を提供する。
【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として下記一般式(1)で示される化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物。
【化1】


(式中、X、Y、Zはそれぞれ水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、フェニル基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基を示し、R1は水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基を示し、R2は炭素数1乃至3のアルキレン鎖を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。更に詳細には、発色時には鮮明な色調を呈し、消色時には無色になる可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなり、有色から無色に変色する可逆熱変色性組成物に関して幾つかの提案が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2001−115153号公報
【特許文献2】特開2006−233110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記可逆熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物として青色乃至緑色の色調を呈するアザフタリド系化合物を用いており、発色状態においては青色乃至緑色の色調を呈するものの、着色状態で長期間放置した後、消色状態にすると褐変(着色)を生じ易く、繰り返しの可逆熱変色機能を損ない易い。
本発明は従来の可逆熱変色性組成物では成し得なかった、着色状態で長期間放置した後、消色状態にしても褐変(着色)を生じ難く、発色時には鮮明な色調を示し、消色時には無色になる可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記した着色状態で長期間放置した後、消色状態にした際の褐変(着色)を防ぎ、発色時には鮮明な色調を示し、消色時には無色になる可逆熱変色性組成物を検討した結果、(ロ)電子受容性化合物として一般式(1)又は(2)で示される化合物を適用した可逆熱変色性組成物が前記要件を満たすことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として下記一般式(1)又は(2)で示される化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を要件とする。
【化1】

(式中、X、Y、Zはそれぞれ水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、フェニル基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基を示し、Rは水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基を示し、Rは炭素数1乃至3のアルキレン鎖を示す。)
【化2】

(式中、X、Y、Zはそれぞれ水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、フェニル基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基を示し、Rは水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基を示す。)
更には、前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物がアザフタリド系化合物であること、前記可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、(ロ)電子受容性化合物として特定の化合物を用いることにより、従来の可逆熱変色性組成物では防止することが難しかった着色状態で長期間放置した後、消色状態にした際の褐変(着色)を防止することができ、発色時には鮮明な色調を呈し、消色時には無色になる可逆変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
前記可逆熱変色性組成物は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物が用いられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性を有する可逆熱変色性組成物を適用できる(図1参照)。
また、大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で保持される、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物も適用できる(図2参照)。
【0007】
以下に各(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分の電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド系化合物、アザフタリド系化合物、フルオラン系化合物、ジアザローダミンラクトン系化合物、ピリジン系化合物、キナゾリン系化合物、ビスキナゾリン系化合物等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
前記フタリド系化合物としては、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを例示できる。
前記アザフタリド系化合物としては、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−フェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−N−n−ブチルフェニル−N−エチルアミノ−2−n−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジ−n−ブチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジペンチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジペンチルアミノフェニル)−3−(1−フェニル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(1−メチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジブチルアミノフェニル)−3−(2−エトキシ−4−ジブチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジブチルアミノフェニル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジブチルアミノフェニル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−ジペンチルアミノフェニル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(2−アセトアミド−4−エチルフェニルアミノフェニル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等を例示できる。
前記フルオラン系化合物としては、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオランを例示できる。
前記ジアザローダミンラクトン系化合物としては、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン等を挙げることができる。
前記ピリジン系化合物としては、
4−(4’−メチルベンジルアミノフェニル)−ピリジン、
2,6−ジフェニル−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン、
2,6−ジエトキシ−4−(4’−ジエチルアミノフェニル)−ピリジン、
4−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン、
4−(4−メチルフェニル)−2,6−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン、
2,4,6−トリス(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジンを例示できる。
前記キナゾリン系化合物としては、
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−メトキシ−キナゾリン、
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−フェノキシキナゾリン、
2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−4−(4’’−ニトロフェニルオキシ)−キナゾリン、
2−(4’−ジエチルアミノフェニル)−4−フェニルキナゾリンを例示できる。
前記ビスキナゾリン系化合物としては、
4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕、
4,4’−〔プロピレンジオキシ(1,3)〕−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕、
4,4’−(オキシジエチレン)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕、
4,4’−エチレン−ビス〔2−(4−ピペリジノフェニル)キナゾリン〕、
4,4’−エチレン−ビス〔2−(4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)キナゾリン〕を例示できる。
これらの化合物のうち、アザフタリド系化合物は良好な青色乃至緑色の色調を呈するものの、着色状態で長期間放置した後、消色状態にすると褐変(着色)を生じ易い。
本発明においては、(イ)成分としてアザフタリド系化合物と、(ロ)電子受容性化合物として一般式(1)又は(2)で示される化合物を併用した系において、とりわけ可逆熱変色性組成物における着色状態で長期間放置した後、消色状態にした際の褐変(着色)を防止する機能に優れる。
【0008】
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、一般式(1)又は(2)で示される化合物が用いられる。
前記一般式(1)で示される化合物として具体的には、
1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、
1,2,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ジメチルペンタン、
1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2−トリス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2−トリス(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2−トリス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−ビフェニリル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
3−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
4−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタンを例示できる。
なお、前記一般式(1)で示される化合物のうち、X、Y、Zはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基、Rは水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基、Rは炭素数1又は2のアルキレン鎖であることが好ましい。
【0009】
前記一般式(2)で示される化合物として具体的には、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロピル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ペンチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ヘキシル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ヘプチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−イソブチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ネオペンチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(2−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α,α’−トリス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α’−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−α’−(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、
α,α’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−α−(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼンを例示できる。
なお、前記一般式(2)で示される化合物のうち、X、Y、Zはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基、Rは水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基であることが好ましい。
【0010】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記(ハ)成分を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0011】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
【0012】
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0013】
更には、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から高温側へ変化させる場合とで異なり、両曲線を合体するとループ状を示す)を示して変色する、温度変化に依存して色彩記憶性熱変色性を与えるためには、先に本出願人が提案した、特公平4−17154号公報に開示した、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0014】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
【0015】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0016】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0017】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘニン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等が挙げられる。
【0018】
また、前記(ハ)成分として、特開2006−137886号公報に記載されている下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【化3】

〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(3)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(4)で示される化合物が用いられる。
【化4】

式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0019】
更に、前記(ハ)成分として、特開2006−188660号公報に記載されている下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【化5】

(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
【0020】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【化6】

(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0021】
本発明の可逆熱変色性組成物は、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜100、好ましくは0.1〜50、(ハ)成分5〜100の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
【0022】
更に、各種光安定剤を必要により添加することができる。
前記光安定剤は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3〜24質量%、好ましくは0.3〜16質量%の割合で含有される。又、前記光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。又、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は、光による酸化反応を抑制する。
前記光安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0023】
前記可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料として使用することが好ましい。これは、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、粒子径0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜30μmの範囲が実用性を満たす。
尚、マイクロカプセル化は、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0024】
前記可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、水及び/又は有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散してスクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等に用いられる印刷インキ、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料、インクジェット用インキ、紫外線硬化型インキ、マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具又は塗布具用インキ、絵の具、化粧料、繊維用着色液等の可逆熱変色性液状組成物として利用できる。
前記液状組成物には各種添加剤を添加することができ、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防かび剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
前記した液状組成物を用いて各種材質及び形状の支持体上に可逆熱変色層を設けて可逆熱変色性積層体が形成される。
なお、前記可逆熱変色層は、液状組成物中の溶剤が揮発してそれ以外の成分(添加剤)により形成される層であり、前記マイクロカプセル顔料は樹脂に分散状態に固着されてなる。
前記液状組成物を塗布する支持体の材質は特定されず、総て有効であり、紙、合成紙、糸、繊維、布帛、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、金属、木材、石材等を例示でき、平面状に限らず、凹凸状であってもよい。
前記支持体上に非熱変色性着色層(像を含む)が予め形成されているものにあっては、温度変化により前記着色層を隠顕させることができ、変化の様相を更に多様化させることができる。
更に、前記液状組成物を用いて支持体上に可逆熱変色層を設ける他、予め可逆熱変色層を設けた転写シートを用いて支持体上に可逆熱変色層を形成することもできる。
また、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス類等に溶融ブレンドしてペレット、粉末、又はペースト形態として可逆熱変色性成形用樹脂組成物として利用できる。
前記成形用樹脂を用いて、汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形等の手段により、任意形象の立体造形物、フィルム、シート、板、フィラメント、棒状物、パイプ等の形態の成形体が得られる。
なお、前記液状組成物や成形用樹脂組成物中に一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
前記積層体、或いは、樹脂組成物を用いて成形した成形体上には、光安定剤及び/又は透明性金属光沢顔料を含む層を積層することによって耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させることもできる。
前記光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤を例示できる。
前記透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料を例示できる。
【0025】
前記可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた製品として具体的には、人形又は動物形象玩具、人形又は動物形象玩具用毛髪、人形の家や家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具、Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、スキーウェア等の被服、靴や靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、ふろしき等の布製身の回り品、絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、額縁、造花等の屋内装飾品、布団、枕、マットレス等の寝具、指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ等のアクセサリー、筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、粘着テープ等の文房具類、口紅、アイシャドー、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等の台所用品、カレンダー、ラベル、カード、記録材、偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、手袋、ネクタイ、帽子、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、歯ブラシ、コースター、時計、眼鏡、照明器具、冷暖房器具、楽器、カイロ、蓄冷剤、写真立て、財布等の袋物、傘、家具、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、教習具を例示できる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を示す。なお、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分として3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン4部、(ハ)成分としてn−オクタデシルアルコール50部を均一に加温溶解して可逆熱変色性組成物を得た。
【0027】
実施例2乃至4
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)成分を用いて、実施例1と同様の方法により可逆熱変色性組成物を得た。
なお、表中の括弧内の数字は質量部を示す。
【0028】
【表1】

【0029】
実施例5
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
実施例1で得た可逆熱変色性組成物55部とエポキシ樹脂10部を加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した水溶性脂肪族変性アミン5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に添加し、更に攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液から遠心分離により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を単離した。
【0030】
実施例6乃至11
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)成分を用いて、実施例1と同様の方法により可逆熱変色性組成物を調製し、実施例5と同様の方法により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0031】
【表2】

【0032】
比較例1
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分として3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−デカン4部、(ハ)成分としてn−オクタデシルアルコール50部を均一に加温溶解して可逆熱変色性組成物を得た。
【0033】
比較例2
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分として3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−デカン4部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部を均一に加温溶解して可逆熱変色性組成物を得た。
【0034】
比較例3
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
比較例1の可逆熱変色性組成物55部とエポキシ樹脂10部を加温溶解し、これを10%ゼラチン水溶液100部中に滴下し、微小滴になるように攪拌する。別に用意した水溶性脂肪族変性アミン5部を水45部に溶解させた溶液を前記攪拌中の溶液中に添加し、更に攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液から遠心分離により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を単離した。
【0035】
比較例4乃至6
以下の表に示される(イ)、(ロ)、(ハ)成分を用いて、比較例1と同様の方法により可逆熱変色性組成物を調製し、比較例3と同様の方法により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0036】
【表3】

【0037】
試験試料の作製
実施例1乃至4及び比較例1、2の可逆熱変色性組成物のメチルエチルケトン溶液(30質量%濃度)を濾紙〔東洋濾紙(株)製、No.2濾紙〕に含浸させて試験試料を得た。
実施例5乃至11及び比較例3乃至6の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料40.0部、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン52.0部、増粘剤5.0部、レベリング剤3.0部を混合して可逆熱変色性インキを調製し、スクリーン印刷により上質紙に印刷して試験試料を得た。
【0038】
初期及び経時試験
前記各試料を完全消色温度以上に加温し、可逆熱変色性組成物を無色にして初期の明度値を測定した。
次に、各試料を完全発色温度以下に冷却し、可逆熱変色性組成物を有色にして40℃の恒温槽で10日間放置した。その後、恒温槽から取り出し、完全消色温度以上に加温して経時後の明度値を測定した。
なお、明度値の測定には色差計〔東京電色(株)製、TC−3600〕を用いた。
以下の表に各試験試料の初期の明度値、経時後の明度値の測定結果と、初期と経時後の変化率を示す。
【0039】
【表4】

【0040】
前記試験結果から、本発明の可逆熱変色性組成物及びそれを用いた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、初期と比較して経時後の消色時の色調に変化がない、或いは、僅かな色変化に留まり、経時により消色時の褐変(着色)劣化が起こらない優れた変色機能を示した。一方、比較例の可逆熱変色性組成物及びそれを用いた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、初期と比較して経時後の消色時の色調に変化が大きく、褐変(着色)劣化を生じて灰色乃至褐色の残色が見られた。
【0041】
応用例1
可逆熱変色性マグカップの調製
実施例5で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、硬質液状エポキシ樹脂60部、紫外線吸収剤2部、揺変性付与剤2部、消泡剤0.5部を混合し、更に常温硬化型の脂肪族ポリアミン40部を添加して可逆熱変色性エポキシインキを得た。
前記可逆熱変色性エポキシインキを用いて、陶器製マグカップの側面に曲面印刷機を用いてステンレススクリーン版にて星柄の印刷を施し、70℃で1時間加熱硬化させて可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性マグカップを得た。
【0042】
前記マグカップは、室温(25℃)下では可逆熱変色層が緑色に発色しているが、90℃の湯が注がれると可逆熱変色層が消色して無色になる。この状態から湯を取り除く、或いは、湯温が37℃以下になると可逆熱変色層が発色して再び緑色のマグカップが視覚される。
なお、この様相変化は温度変化により繰り返し行うことができた。
【0043】
応用例2
可逆熱変色性表示体の調製
支持体として白色ポリエステルフィルム(厚み25μm)の表面に、実施例7で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料をバインダー樹脂を含むビヒクル中に分散させたインキを用いて印刷して可逆変色層を設け、更にその上面に厚み16μmの透明ポリエステルフィルムでラミネート処理して、可逆的熱変色性表示体を得た。
【0044】
前記表示体を、一旦、−21℃以下に冷却し、可逆変色層を完全に緑色に発色させた後、熱転写プリンターを用いて印字して白色の抜き文字を形成した。
前記白色の抜き文字は、前記表示体が−21℃〜63℃の温度域に保持されている限り視認される。
また、前記表示体を再び−21℃以下に冷却し、変色層を完全に緑色状態に発色させると白色の抜き文字は視認されなくなり、前記熱転写プリンターを用いて白色の抜き文字を形成することにより、繰り返し何度も使用することができた。
【0045】
応用例3
可逆熱変色性ボールペンの調製
実施例11で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料5.5部、キサンタンガム0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透剤性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防腐剤0.2部、水73.27部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記可逆熱変色性インキ(予め−22℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を青色に発色させた後、室温下に放置したもの)をポリプロピレン製パイプに吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.5mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、前記パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸胴、後軸胴を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心分離により脱気処理を行い、可逆熱変色性ボールペンを得た。
なお、前記後軸筒後部に摩擦体としてSEBS製ゴムを装着してなる。
【0046】
前記ボールペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡は、室温(25℃)で青色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は−22℃以下に冷却しない限り維持することができた。
なお、前記紙面を冷凍庫に入れて−22℃以下に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【図2】色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【符号の説明】
【0048】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として下記一般式(1)又は(2)で示される化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物。
【化1】

(式中、X、Y、Zはそれぞれ水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、フェニル基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基を示し、R1は水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基を示し、R2は炭素数1乃至3のアルキレン鎖を示す。)
【化2】

(式中、X、Y、Zはそれぞれ水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、フェニル基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基を示し、R1は水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基を示す。)
【請求項2】
前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物がアザフタリド系化合物である請求項1記載の可逆熱変色性組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−106052(P2010−106052A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276328(P2008−276328)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】