説明

可食性スパイス含有フィルムおよびその製造方法

食物を覆うかまたは包むための可食性スパイス含有フィルムは、ポリマーマトリクスを有する可食性支持体フィルムを含み、前記可食性支持体フィルムは、高分子基材として、水溶性であるかもしくはエタノール−水混合物中に溶解するポリマー、または少なくとも2種のかかるポリマーの混合物を含み、ここで前記支持体フィルムは、滑らかな底面およびこれと反対側の上面を有し、該上面にはスパイス粒子による被覆物を備え、ここで前記スパイス粒子の大部分は支持体フィルムの表面に接着して、部分的にのみこの中に浸透するが、しかし完全には支持体フィルム内に封入されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味付けの目的で食物を覆うかまたは包むのに好適な、可食性スパイス含有フィルムに関する。本発明はさらに、かかるフィルムの製造方法に、および、多くの異なる種類の食物を味付けし、覆いまた包むためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
食用のスパイス含有フィルム―スパイスフィルムとも呼ばれる―は、それ自体知られており、例えば、ソーセージまたはハムなどの食物を包むために用いられている。この方法で処理された食品は、スパイスフィルムと接触していることにより味付けされるが、これは、スパイス化合物またはフレーバーが食品内に移動し、これに結合またはこの中に拡散するためである。食物をスパイスフィルムで包むことはまた、食品の表面に装飾用スパイスを提供することができる。装飾用スパイスは特にその美的効果のために用いられ、例えば着色スパイス粒子または、例えば全形のコショウの実などの目立つ形状のスパイス粒子である。
【0003】
ソーセージ、調理ハムおよび肉製品を製造するためには、非可食性担体材料をベースとして作られたスパイスケーシングまたはスパイスフィルムは、該スパイスフィルムを製品に押圧した後に、取り除く、すなわち剥離しなければならない。かかるスパイスフィルムはWiberg GmbH(A-5020 Salzburg)から「Sun-Spice」の製品名で販売されている。スパイスフィルムを取り除くために追加のステップが必要であるため、かかるフィルムの使用は不利である。さらに、スパイス粒子が食品から取れてしまったり、またはフィルムを剥離するときにこれがフィルムに残る危険性もある。さらに、フィルムを剥離するのに最適な時点を見出すのは困難である。
さらに知られているのは、ソーセージまたは肉を包むのに好適で、食用着色剤で印刷された食用のタンパク質フィルムである。かかるタンパク質フィルムは、COFFI(登録商標)の商標名でNaturin GmbH & Co. KG(Weinheim, Germany)から市販されている。
【0004】
さらに、食物を包むための食用スパイスフィルムは、WO 95/17100 A1に記載されている。これらはコラーゲンに基づくフィルムであり、粉末スパイスを一体化した成分として含有する。これらのフィルムの利点は、粉末スパイス粒子がコラーゲンベースのマトリクス層に包埋されて、スパイスの全表面の主な部分がフィルムのコラーゲン層内に位置していることである。そのため、スパイス粒子は多くの部分がコラーゲンマトリクス内深くに包埋されているか、またはコラーゲンマトリクスで完全に囲まれており、これにより、スパイス粒子表面がかかるスパイスフィルムで覆われた食物の表面と、大面積での相互作用を行うことを防いでいる。
【0005】
このため、スパイスフィルムからの、これで覆われた食品内へのスパイス粒子の移動、およびスパイス化合物の拡散が妨げられる。コラーゲンマトリクス内に封入されたスパイス粒子と、それぞれの食品表面との直接の接触は、大きく妨げられる。
【0006】
WO 95/17100 A1に記載のスパイス粒子は、これらをコラーゲン懸濁物内で直接撹拌し、次に押し出しにより平らなフィルム状に変換することにより製造される。あるいは、コラーゲン懸濁物を、スパイス粒子を撒き散らした支持体上に押し出す。この方法では、不十分な度合いの添加(=フィルム全体の質量に対するスパイスの百分率)しか達成できない。さらに、スパイスによる被覆は非均一な様式で生じ、スパイス層に間隙や不均一な部分が生じる危険性がある。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、食物を覆うかまたは包むのに好適なスパイス含有フィルムであって、上記の不利益を回避するか、少なくともこれを低減し、さらに特には、スパイスによる高い添加密度での均一な被覆物を可能とする、前記フィルムを提供することである。
【0008】
驚くべきことには、この目的は、可食性スパイス含有フィルムにより実現され、このフィルムは、本発明によれば、ポリマーマトリクスを有する可食性担体フィルムであって、高分子基材として、水溶性であるかもしくはエタノール−水混合物中に溶解するポリマー、または少なくとも2種のかかるポリマーの混合物を含む、前記可食性担体フィルムを含む。前記担体フィルムは、滑らかな底面およびこれと反対側の上面を有し、該上面にはスパイス粒子による被覆物を備え、ここで前記スパイス粒子の大部分は担体フィルムの表面に接着して、部分的にのみこの担体フィルム中に浸透するが、しかし完全には担体フィルム内に封入されていない。
【0009】
可食性担体フィルムの使用により、本発明のスパイス含有フィルムは、食品が製造された後も食品上に残りこれと一緒に消費されることができる。これは、食品が市場に持ち込まれる前に、食品からスパイスフィルムを除去する必要性を排除する。本発明のスパイスフィルムは、これにより処理された食品上に永久に残ることができ、スパイスフィルムを適用するには、1つの製造ステップのみが必要である。これは、従来技術で知られているスパイスフィルムおよび方法と比べて、かなりの簡略化をもたらす。
【0010】
担体フィルムの上側には、高い添加密度の複数スパイス粒子による被覆物がある。スパイス粒子の大部分は担体フィルムの表面に付着し、担体フィルム内には一部分のみが浸透しており、しかし完全には担体フィルム内に封入されていないために、スパイスによる被覆物と、これにより覆われた食品表面との間に、非常に効率的な直接的相互作用の存在が保証される。「大部分」とは、スパイス粒子の、好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも75%、そして最も好ましくは少なくとも90%に対応し、各百分率は、フィルムのランダムに選択された部分における粒子の総数に対する値である。
【0011】
担体フィルムのスパイス粒子による被覆物は均一で間隙がなく、そのため、これで覆われる食品の均一な味付けが可能となる。乾燥状態では、すなわち、製造後で使用前の状態においては、スパイス粒子は担体フィルムのポリマーマトリクス内に堅固に固定されており、担体フィルムからの早期の脱離により、少数のみの、または、ゼロではないにしても無視できる程少量のみの損失が生じるだけである。スパイスを添加した担体フィルムを食物表面に接触させると、ポリマーマトリクスの親水性の水溶性ポリマーが、スパイス粒子と対応する食物または食品の表面(例えば肉またはソーセージの1片の表面)との間で、接着促進剤として作用する。
【0012】
本発明によるスパイス含有フィルムは可食性であり、すなわち、これらはヒトによる摂取に適している。可食性製品、すなわち食品の製造に適したポリマーおよび補助物質および添加剤は、当業者に知られている。
【0013】
担体フィルムは、構造付与要素としておよびスパイス粒子の担体として機能する。これは、高分子基材として、水溶性であるかもしくはエタノール−水混合物中に溶解するポリマー、または少なくとも2種のかかるポリマーの混合物を含有する、ポリマーマトリクスを含む。前記の基材とは別に、ポリマーマトリクスは、フィルムの化学的または物理的特性を修飾するために、添加剤または補助物質を含んでもよい。例えば、担体フィルム(およびしたがってスパイス含有フィルム全体)の機械的可撓性は、柔軟剤または/および湿潤剤の添加により増加させることができる。この目的に好適な物質は当業者に知られている;柔軟剤または湿潤剤として好適な物質は、特に以下である:グリセリン、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、クエン酸エステル、有機ポリアルコールのエステル、ヒマシ油、アセチル化脂肪酸グリセリド、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチル−トリ−n−ブチル、クエン酸アセチル−トリ−n−エチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸エステル、フタル酸塩、デキストロース。
【0014】
担体フィルムに含有されるポリマー部分は、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜70重量%であり、ここで各パーセンテージは乾燥状態の担体フィルム(スパイス部分なし)に対する値である。随意に存在する添加剤および補助物質部分は、0〜90重量%、好ましくは5〜50重量%である。
担体フィルムは、滑らかな底面およびこれと反対側の上面を有し、該上面はスパイス粒子による被覆物を備えている。そのため本発明のフィルムには、その2つの面のうち1つの面のみにスパイス粒子が添加される。スパイス粒子を備えた上面は、スパイス粒子を高密度で保持してこれを提供する。
【0015】
好ましい態様によれば、本発明のスパイス含有フィルムは、その上面に、フィルムに適用されたスパイス粒子の形状により主に(predominantly)または完全に決定される、粗い表面構造を有する。好ましくは表面は、その全体が、間隙なしでスパイス粒子により被覆される。
【0016】
担体フィルムの底面の滑らかな構造は、同時にスパイス含有フィルムの底面も形成しており、これは特にポリマーマトリクスにより決定される。好ましくは、担体フィルムの滑らかな底面は、同時にスパイス含有フィルムの底面も表わし、連続した間隙なしの表面を形成する。この担体フィルムは、一時的または永久に被覆物支持体と結合していてもよく、該支持体は、製造プロセス中に、液体被覆物質からポリマーマトリクス層を作製するために用いられる。被覆物支持体の自由な底面(すなわち、担体フィルムと結合されていない面)は、接着特性を備えているのが好ましい。これは特に、シリコン処理した被覆物支持体、例えば、1つの面をシリコン処理した剥離紙を用いることにより実現できる。この利点は、乾燥させた積層物を巻き、この巻いた状態で保管する場合に、接着性にされた(すなわち、シリコン処理された)底面が、その上にあるスパイス層との接触面を形成するため、隣接する層の間での任意の凝集反応および任意の潜在的な拡散プロセスが妨げられることである。
【0017】
担体層のポリマーマトリクスを製造するための高分子基材として好適なものは、水溶性またはエタノール−水混合物に溶解するポリマーであって、食べるのに適したものである。好ましくは、これらは親水性のフィルム形成性ポリマーである。前述の特性を有するポリマーは、原則として当業者に周知である。ポリマーマトリクスは、1つのポリマー種のみを用いて、または2もしくは3種以上の異なるポリマーの組合せを用いて、製造することができる。
【0018】
好ましくは、全体としての担体フィルムは水溶性であるが、ヒト消化管において少なくとも溶解性であるか、または分解可能である。
上述のポリマーは、好ましくは、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、水溶性多糖類およびタンパク質を含む群から選択される。
【0019】
他の好ましい態様により、担体フィルムのポリマーマトリクスは、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、多糖類、タンパク質、および前述のポリマーの組合せを含む群から選択される、水溶性高分子基材からなる。必要に応じて、ポリマーマトリクスはさらに、上記のような補助物質および添加剤を含んでよい。
【0020】
好ましくは、セルロースエーテルは、セルロース誘導体として用いることを考慮され、より好ましくは、セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびメチルセルロースを含む群からのセルロースエーテルである。
用いてよい多糖類は特に、植物または微生物由来のものである。これらは好ましくは、プルラン、キサンタン、キトサン、アルギン酸塩、デキストラン、ペクチンおよび加工デンプンを含む群から選択される。
【0021】
タンパク質については、ゼラチン化タンパク質、特にゼラチンおよびコラーゲンが、好ましくは考慮される。
アルギン酸塩またはヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマーマトリクスであって、乾燥状態の担体層に対する百分率で20〜95重量%、特に40〜80重量%のポリマー含量を有するものが、特に好ましい。
【0022】
本発明の可食性スパイス含有フィルム全体の層の厚さは、好ましくは0.2〜5mmの範囲、好ましくは0.4〜2mmの範囲である。層の厚さの選択は、特に、処理すべき食品の種類およびサイズ、ならびに適用するスパイスの種類に依存する。
スパイスを含有しない担体フィルムの単位面積当たりの重量は、各々の場合乾燥重量に対して、好ましくは30〜200g/m、より好ましくは80〜150g/mである。
【0023】
スパイスによる被覆重量は、好ましくは60〜1500g/mの範囲、特に好ましくは200〜700g/mの範囲である。被覆重量とは、1単位面積あたりの担体フィルムに付着したスパイスの量(g単位)を指す。これは、本発明のスパイスフィルムによれば、スパイス粒子を担体層表面に非常に高率で添加し、ほとんど完全に飽和させることが可能であることを示す。
【0024】
さらに、担体フィルムへのスパイス粒子の添加については、スパイス部分の担体フィルム部分に対する質量比が2:1〜10:1の範囲、より好ましくは3:1〜6:1の範囲(各々の場合、g単位で表した質量に対する比率)であることが好ましい。かかる高率での添加は、スパイス粒子を担体フィルムのポリマー物質中で直接撹拌する従来の製造方法では達成できず、その理由は、このように高いスパイス含量はポリマー物質の粘性を著しく高め、さらに、高密度なスパイス粒子構造が、均一で連続したフィルムを得るようにポリマー物質を塗布することを不可能にするためである。
【0025】
スパイス粒子として用いるのに好適なのは、原則として任意の種類のスパイスまたはスパイス調合物であって、粒子形態で存在するか、または粒子形態に変換可能なものである。好ましくは、これらのスパイス粒子は、0.1〜50mmの範囲、より好ましくは0.5〜2mmの範囲の粒径を有し、好ましくは全スパイス粒子の少なくとも80%がこの粒径範囲である。
【0026】
本発明のスパイスフィルムを製造するには、例えば、粉末形態のスパイス(特に粒径0.1〜1mmの範囲のもの)、粉砕されたスパイス片、スパイス断片およびスパイス顆粒(特にサイズ範囲が≦5mmのもの)、例えばコショウの実、または粉砕されていない植物部分の全体(好ましくはサイズ範囲が≦50mmのもの)、例えば、サフランスレッド(thread)または月桂樹の葉などを、スパイス粒子として用いてよい。
【0027】
スパイス粒子中に含有されてよいスパイス類、またはこれからスパイス粒子が構成されるスパイス類として用いるのに好適なのは、一般に、植物の部分(例えば葉、花、根、果実)または植物全体であり、これらは、そのエッセンス(精油)およびフレーバー化合物の天然の内容物のために、あらゆる種類の食物または食事の調製において、調味成分または味付け成分として用いられる。この点において用いるのに好適なスパイス類は、特に以下である:アニス、ラムソン、バジル、ベリー類、セボリー、チリ、ペッパー、カレー、ディル、エストラゴン、ユーカリ、ウィキョウ、ショウガ、ショウブ、ケイパー、カルダモン、チャービル、ガーリック、コリアンダー、キャラウェー、クルクマ、ラベンダー、レモングラス、ラビッジ、月桂樹の葉、メース、マジョラム、メリッサ、ホースラディッシュ、ミント、ナツメグ、ギンバイカ(myrtle)、クローブ、オレガノ、パプリカ、リーキ、パセリ、ペッパー、マッシュルーム、ピメント、ピスタチオ、ローズマリー、サフラン、セージ、チャイブ、ブラッククミンの種子、セロリの葉、カラシの種子、ゴマ、ダイウイキョウ(スターアニス)、タイム、トマト、トリュフ、バニラ、ジュニパーベリー、クルマバソウ、シナモン、レモンバーム、およびオニオン。上記のスパイス類は、単一で、または2もしくは3種以上の異なるスパイスを組み合わせて用いてよい。本発明のスパイス含有フィルムは、主としてその装飾効果のために用いられるスパイス粒子、すなわちいわゆる装飾用スパイスを包含してよい。
【0028】
スパイス粒子として用いるのに好適なものは、さらに、スパイス混合物、スパイス調合物、スパイス調製物、調味料調合物を有する調製物、スパイスフレーバー調合物(例えば、ピザフレーバー、チーズフレーバー、またはバーベキューミートフレーバー、フルーツフレーバーなどの人工フレーバー)、スパイスフレーバー塩(例えばガーリックソルト)、食肉軟化剤、肉エキス、調味料および調味料混合物であり、ここで上記の調合物、調製物、フレーバー塩および混合物は、粒子形態で、特に0.1〜50mmの範囲、より好ましくは0.5〜2mmの範囲の粒径を有して存在する。
【0029】
他の態様によれば、本発明の可食性スパイス含有フィルムは、スパイスまたはスパイス調合物がマイクロカプセル化された形態で存在するスパイス粒子を含む。これらは、特に、スパイス類、スパイス調合物、エッセンス、およびフレーバー化合物等であってよく、最初は液体形態で存在し、後でマイクロカプセル化により微粒子形態に変換される。
【0030】
本発明はさらに、スパイス含有フィルムが、その中に含まれるスパイスの種類またはその組成において異なる、少なくとも2群のスパイス粒子を含む態様も包含する。さらに、本発明によるスパイスフィルムは、少なくとも2種類の異なるスパイスの組合せを含むスパイス粒子を用いて、製造してよい。
【0031】
本発明の、他の特に好ましい態様によれば、可食性スパイス含有フィルムは、被覆物を備えるスパイス粒子を含む。この被覆物は、種々の機能、例えば、芳香の保護として、またはスパイス粒子の食物表面への接着の改善などを行うことができる。特に好ましいのは、例えばタンパク質接着剤等の接着剤による接着性被覆物であり、これは食物の表面(例えば、肉またはソーセージの表面)で固まり、スパイス粒子の食物表面または製品表面への強い接着を確実にする(いわゆる「スパイス接着剤」)。このような被覆されたスパイス粒子の製造方法は当業者に周知である。前述の被覆物、特に接着性被覆物を製造するために用いる好適な物質は、さらに、小麦粉、デンプン、マルトデキストリン、アラビアゴム、レシチン、アルギン酸塩、カラギナン、寒天、ペクチン、ゼラチン、カゼイン、糖アルコール、ポリビニルアルコール、および前述の物質の2または3種以上の混合物などである。
【0032】
接着性被覆物を備えるスパイス粒子の使用は、さらに、これがスパイス粒子間の接着結合も可能にするために有利である。これは製造中において既に生じており、すなわち、接着性被覆物がポリマー層に含まれる水分により活性化され、これによって接着性となった場合である。隣接するスパイス粒子間に接着性の結合を形成することにより、それ自体ポリマーマトリクス内に固定されていないスパイス粒子も、スパイス含有被覆物中に固定される。接着性被覆物は水分により活性化可能であるのが好ましく、このことは、これで被覆されるスパイス粒子を乾燥状態において撒き散らすことができ、流動可能であり、接着効果は、接着性被覆物が水分または水溶液と接触した場合のみ生じることを意味する。
【0033】
本発明はさらに、担体フィルムの上面に前記スパイス粒子が提供され、これに加えて、1または2種以上の以下を含む群から選択される調合物も適用される態様を含む:スパイス混合物、スパイス調合物、スパイス調製物、調味料調合物を有する調製物、スパイスフレーバー調合物、スパイスフレーバー塩、食肉軟化剤、肉エキス、調味料および調味料混合物。好適なスパイス混合物、スパイス調合物等は当業者に周知である。
【0034】
さらに、担体フィルムのポリマーマトリクスは、任意に、1または2種以上の食品添加物であって、特にEU Directives 89/107/EEC、94/35/EC、94/36/ECおよび95/2/ECに特定されているものを含んでよい。食品添加物として用いるのに好適なのは、特に、以下を含む群から選択されるものである:抗酸化剤、乳化剤、ゲル化剤、フレーバー増強剤、フレーバー化合物、甘味料、安定化剤、pH調節剤、酸性化剤、充填剤、保存剤、染料、増粘剤、柔軟剤および湿潤剤。可食性で一般に食品の製造に用いられる好適な物質は、当業者に周知である。好ましくは、EUにおいて食品添加物として承認され、E番号を付与されている補助物質または添加剤を用いる。これらの物質を添加可能な最小量および最大量は、当業者に周知である;これらは、例えば、ADI値(1日摂取許容量)または既知の最小有効濃度(例えば保存剤の場合)から導出される。
【0035】
本発明の可食性スパイス含有フィルムは、好ましくは可撓性であり、単一のシートまたは片に、またはカットされた形状に変換でき、可能であれば積み重ね、またはリールに巻いてもよい。リールは、好ましくは0.2〜1.5mの幅を、特に0.4〜1mの幅を有し、および巻き取られたフィルムウェブの長さは、2〜50m、特に5〜25mである。
【0036】
さらに提供されるのは、スパイス含有フィルムを、食品(例えばソーセージまたはソーセージ素材)を充填できる開放円筒状ケーシングとして形成してよいことである。
フレーバーの損失を防ぎ、品質のその他の不利な変化を防ぐために、スパイス含有フィルムを、好ましくは気密の、すなわち芳香を密封する、および/または水−水蒸気を密封するパッケージにより保護する。本発明はさらに、可食性のスパイス含有フィルム、さらに特には、上記の特徴を有するフィルムを製造する方法も含む。
【0037】
製造方法は、一般に以下である:
−水溶性であるかもしくはエタノール−水混合物に溶解するポリマーか、または少なくとも2種のかかるポリマーの混合物を含有する、溶液または分散液を調製する;
−被覆物支持体上に液体(または粘性の)ポリマー物質を塗布し、これにより湿潤なポリマーマトリクスを得る。この層は、スパイス含有フィルムの担体フィルムを形成する;
−スパイス粒子を湿潤なポリマーマトリクス層の表面に適用し、好ましくはこの上に撒き散らす。スパイス粒子はポリマーマトリクスに部分的にのみ浸透し、これに結合する。この方法により、均一で密なスパイス粒子による被覆物がポリマーマトリクス層の上に形成される;
−スパイス粒子で被覆されたポリマーマトリクス層を、続いて固化する;これは、溶媒を、好ましくは乾燥によって取り去ることにより実施してよい。
【0038】
ポリマー物質と、スパイス粒子による被覆物とを製造するために、上述のポリマー、スパイス、スパイス調合物、スパイス粒子、補助物質および添加剤等を好ましくは用いる。
塗布の前に、既知の方法で、ポリマー物質の粘性を適当な値に設定する。
【0039】
粘性の調節は、特に、それぞれの被覆方法、ポリマー物質の組成、および所望の層厚さおよび被覆率に依存する。1または2種以上のポリマーに加えて、ポリマー物質は、例えば柔軟剤および湿潤剤などの補助物質および/または添加剤を含むこともできる。被覆を意図するポリマー物質の固体含量は、好ましくは5〜60重量%の範囲、特に10〜20重量%の範囲である。
【0040】
被覆物支持体上へのポリマー物質の塗布は、既知の方法により実施でき、好ましくはローラー塗布法による。好適な被覆物支持体は当業者に周知である;一般に、滑らかで不活性な表面の支持体が存在し、例えば紙、プラスチックフィルム(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、PVC)、アルミニウム、スチールストリップ、および複合材料(例えば、ポリエチレンコーティングおよび/またはシリコン処理を施した紙、または、例えばアルミニウムとポリエチレンコーティングなどの多層フィルム)などである。
【0041】
スパイス粒子をまだ湿潤で乾燥していないポリマーマトリクス層に適用することにより、スパイス粒子の非常に高率の添加と、均一な被覆物を得ることができる。本発明の方法により、ポリマーマトリクスの表面をスパイス粒子で飽和させることが保証される。本発明の製造方法は、粒径および粒子形状について広範囲に異なるスパイス粒子の加工を可能とし、これらの粒子を、親水性で水溶性の担体フィルム上に固定することを可能とする。
【0042】
特に好ましい態様により、ポリマー含有物質の塗布およびスパイス粒子の適用を、連続プロセスにおいて行うことができ、ここで、被覆物支持体はその上のポリマーマトリクス層とともに連続して前方に運搬され、同時に、スパイス粒子が上方からまだ湿潤なポリマーマトリクス層上に過剰量で撒き散らされる。被覆物支持体、およびこれと共にその上のポリマーマトリクス層は、次に、好ましくは転向ローラー(deflection roller)により向きを変え(deflected)、これにより、ポリマーマトリクス層に結合していない過剰なスパイス粒子が落とされる。この方法により、ポリマーマトリクス表面のスパイス粒子による特に良好で完全な飽和と、非常に効率的な方法の実行が達成される。
向きを変えることにより取り除かれた過剰なスパイス粒子は、プロセス中に戻すことができ、マトリクス層に撒き散らすために再度用いられる。
【0043】
スパイス粒子を添加したマトリクス層の乾燥は、周知の方法で、好ましくは温度を上げて行う。好ましくは、乾燥は20〜90℃の温度範囲で、より好ましくは40〜70℃の温度範囲で行う。乾燥後に残った水分は、好ましくは1〜10重量%である。加熱または乾燥装置は一般に、スパイス粒子で被覆したポリマーマトリクス層の乾燥が、上述のようにして被覆物支持体の向きを変えた後に開始されるように、配置される。代替的に、またはこれに加えて、加熱または乾燥装置は、被覆物支持体が上にのせられたマトリクス層と共に、転向する位置に達する前に乾燥が開始されるように、配置してもよい。好適な乾燥方法および乾燥設備は、当業者に周知である(例えば、接触乾燥、通風乾燥、吸着乾燥、濃縮乾燥、真空乾燥、ハイブリッド乾燥)。
【0044】
本発明の可食性スパイス含有フィルムは、有利に、また多くの方法で、食物の味付けのために、または装飾用スパイスを食物に適用するために用いることができる。一般に適用は、処理する食物が、少なくとも一時的にスパイス含有フィルムと接触するような様式で行われる。スパイス含有フィルムの適用後に、フィルムは食物上に永久に、すなわち、該食物が消費されるまで残ることができる;この種の使用は特に好ましい。用語「食物」は、未処理の食物および食物製品(食品)の両方を包含する。
【0045】
本発明はさらに、上記種類の可食性スパイス含有フィルムの、食物または食品、特に固体の食物または食品を覆うかまたは包むための使用に関し、ここでフィルムは、その2面のうちの1面(「製品接触面」)が、処理すべき食物の表面に適用されてその表面に結合する。
【0046】
一般に、この方法で処理される食物は、スパイスフィルムにより、完全にもしくはほぼ完全に覆われるかまたは包まれる。本発明はさらに、処理される食物が部分的にのみ覆われるかもしくは包まれるような用途、または、短期間もしくは一時的にのみ、食物、食品もしくは食事と接触させられるような用途も包含する。本発明のスパイス含有フィルムは、さらに、例えば保存食品または冷凍食品などの調味用トリミングとして、またはバーベキュー用肉、ステーキなどの調味用カバーとして用いてもよい。
【0047】
可食性スパイス含有フィルムは好ましくは、食物または食品の表面に、圧力および/または熱を用いて適用する。覆われるべき食物が乾燥した表面を有する場合、フィルムの該表面への付着は、フィルムまたは食品を湿らせることにより、可能となるか、改善される。
【0048】
スパイス含有フィルムは好ましくは、フィルムのスパイスが添加された上面が食物の表面に接触するような様式で、食物に適用することができる。この場合、スパイスフィルムの上面を製品接触面として用いる。スパイス粒子は本発明のフィルム上の広面積のスパイス粒子層内に存在し、広いスパイス粒子面を与えるため、スパイス粒子とこれで覆われた表面との間の広面積の相互作用が実現され、したがって、最適な付着が実現される。この効果はさらに、スパイス粒子が上記のように接着性被覆物とともに提供される場合にさらに増強され、これは肉などの食物の湿潤な表面にセットされて、製品表面においてスパイス粒子の強い付着をもたらす。
【0049】
代替的に、本発明のフィルムは、食物(または食品)に対して、フィルムの滑らかな底面、すなわち担体フィルムの底面が、食物の表面と接触するような様式で適用してもよい。手順のこの様式は、スパイス粒子が最終製品の表面上で見えるべきである場合、例えば装飾用スパイスの場合に、特に有利である。担体フィルムの親水性の水溶性ポリマーは、フィルムで覆われた食物の湿潤な表面による水和の後に、スパイス粒子と食品表面(例えば、肉片またはソーセージの表面)との間の接着促進剤として作用する。
【0050】
本発明のスパイス含有フィルムは、多くの異なる種類の食物および食品、特に、肉、ソーセージ類(例えば生ソーセージ、ボローニャ、ハム)、調理済み加工製品、チーズ、魚、海産動物、ベーカリー製品、菓子類、スイーツ類、野菜、果物、ナッツ、冷凍食品、アイスクリーム、保存食品、半調理済み製品、スナック製品、および便宜品(convenience product)などを、処理するため、すなわち味付けするため、包むためまたは覆うために、用いることができる。
【0051】
本発明を次に、以下に記載する態様例および図面を参照して説明する。E番号(例えばE401)は、EU諸国に適用される食品添加物に対する識別システムを指す。
【0052】
例1:食物を包むための可食性カレースパイスフィルムの製造
ステップ1:水中の粘性溶液を固体含量約18.0重量%で調製し、これは、10.6重量%のアルギン酸ナトリウム(E401)、7.2重量%のグリセリン(E422)、0.18重量%のクルクミン(E100)および0.036重量%のソルビン酸カリウム(E202)を含む。
ステップ2:この粘性物質を、マトリクスの乾燥重量約110g/mに対応する量で、ローラー塗布法によりPolyslik(登録商標)11/18被覆紙(被覆物支持体として;供給業者:Loparex)の非シリコン処理の面の上に塗布する。
【0053】
ステップ3:スパイス接着剤で覆われたカレー粉を、まだ湿潤なスプレッド上に、かかるスプレッドの全表面に過剰量で撒き散らす。カレー粉は、主にターメリック(Curcuma)の根茎を引いたものからなる。カレースパイス粒子の90%以上は≦800μmのサイズ範囲であり、粒子の約65%は≧560μmのサイズ範囲である。過剰な、すなわち未結合のスパイス粒子は、被覆物支持体(Polyslik紙)を傾けることにより取り除く。
【0054】
ステップ4:次に、スパイスを撒き散らしたスプレッドを60℃で乾燥する。その後全重量は約480g/mであり、これはマトリクス上面で約370g/mのカレーの添加に相当する。約1200μm厚さのスパイスフィルムを、次にリールに巻き取ることができる。被覆物支持体のシリコン処理面により、順番に上にくるスパイスフィルムのリールの層が互いに付着するのを防ぐことができる。
【0055】
フィルムは、例えば、調理済み加工製品の表面への応用に適している。フィルムの、スパイスを含有する粗い上面は、カレー粒子が全面積に添加されていることを特徴としており、製品接触面として用いることができる。スパイス粒子上の接着性被覆物は、直接その全表面を肉表面にセットすることができる。
【0056】
例2:食物を覆うための可食性コショウの実フィルムの製造
ステップ1:水中の粘性溶液を固体含量約15.0重量%で調製し、これは、13.5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース50cps、2910型(E464)、1.5重量%のグリセリン(E422)および0.03重量%のソルビン酸カリウム(E202)を含む。
ステップ2:この粘性物質を、マトリクスの乾燥重量約120g/mに対応する量で、ローラー塗布法によりPolyslik(登録商標)11/18被覆紙の非シリコン処理面の上に塗布する。
【0057】
ステップ3:ブラックペッパーの実(Piper nigrum)の断片からなるスパイスを、まだ湿潤なスプレッド上に、かかるスプレッドの全表面に過剰量で撒き散らす。
用いたコショウの実の粒子の85%以上は≦800μmのサイズ範囲であり、粒子の約65%は≧560μmのサイズ範囲である。過剰な、すなわち未結合のスパイス粒子は、被覆物支持体の向きを変えることによって落とされる。
【0058】
ステップ4:次に、スパイスを撒き散らしたスプレッドを60℃で乾燥する。その後全重量は約520g/mであり、これはマトリクス上面で約400g/mのペッパーの添加に相当する。約1100μm厚さのスパイスフィルムを続いてリールに巻き取る。フィルムは、例えば調理済み加工製品の表面への適用に好適である。底面すなわちポリマーマトリクス面は、滑らかな表面を特徴とし、本例においては製品接触面として用いられる。ペッパーフィルムの底面は、肉の表面に、圧力および高い温度を適用することにより適用される。冷却後、ポリマーマトリクスは肉表面に薄い層として残り、接着層/接着促進剤として機能して、コショウの実断片を表面に結合させる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の可食性スパイス含有フィルム(1)の透視図および断面図である。スパイスフィルム(1)は粗い上面(2)を有し、該面は、複数のスパイス粒子(3)が全体に密に添加されていることを特徴とする。スパイス粒子(3)は、ポリマーマトリクスから形成される担体フィルム(5)に接着し、部分的にポリマーマトリクスを透過するが、完全に該マトリクス内に閉じ込められるわけではない。多数のスパイス粒子が担体フィルム表面に固定され、隣接するスパイス粒子は互いに密に接触し、部分的には互いに重なり合っている。担体フィルム(5)は滑らかな底面(4)を有する。本例においては、この底面は被覆物担体(6)を備え、これは被覆物支持体とも呼ばれる。
【0060】
この被覆物担体は、上記のように、製造プロセス中に粘性のポリマー物質をその上に塗布するために用いられる。被覆物担体(6)は例えば、両面をポリエチレンでコーティングされ、1つの面をシリコン処理された紙であり、スパイスで被覆したポリマーマトリクス層を乾燥した後に、あるいはスパイスフィルムの使用(食品を覆うためまたは包むため)の少し前に、スパイスフィルムの底面から剥がして取り除くことができる。
【0061】
図1に示す概略構造を有するスパイスフィルムは、例えば、上の例1および例2に記載の方法により得ることができる。
図2Aおよび図2Bは、透視図において、例えば図1に概略的に示したフィルムまたは態様例に記載したフィルムなどの本発明のスパイスフィルムを利用する、2つの代替的な好ましい方法を示す。
【0062】
【図2A】図2Aによれば、例えばソーセージなどの食品(11)を、本発明のスパイスフィルム(1)で、ポリマー層(担体フィルム)の滑らかな底面(4)が食物の表面に接触するような様式で覆う。包みこむプロセスは、矢印(a)で示す。この場合、同時にスパイスフィルムの底面でもあるポリマー層の底面(4)は、製品接触面を形成する。ポリマー層であって、特に親水性の水溶性ポリマーをその中に含むものは、スパイス粒子(3)と食物表面との間の接着促進剤として作用する。
【0063】
【図2B】図2Bに示す本発明のスパイスフィルム(1)を用いる方法においては、スパイス粒子を添加したスパイスフィルムの粗い上面(2)が製品接触面として用いられ、食物(12)(例えばソーセージ)の上面に接触して、食物を包む。この場合、スパイスフィルムの滑らかな底面(4)は、包まれた食品の外表面を形成する。この使用方法は、スパイスフィルムに適用されたスパイス粒子が、上記のように接着性被覆物(「スパイス接着剤」)を備える場合に、特に有利である。これは、被覆されたスパイス粒子が、包まれた食品の表面全体にわたって直接接着するのを促進する。
【0064】
【図3】図3は、本発明のスパイスフィルム(1)で包まれたソーセージ製品(13)を示す;かかるソーセージ製品は、例えば、図2Aに示す方法により得ることができる。スパイスフィルムによりソーセージの表面に適用されるスパイス粒子(3)(例えば、例2に記載のコショウの実)は、固く付着して、切り分けた後にもソーセージ片の外縁(14)に存在する。
【0065】
本発明は、食品を味付けし、包み、および装飾するための多数の有利な方法における使用に適しており、食品のより効率的でよりコスト効率のよい生産を可能とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物を覆うかまたは包むための可食性スパイス含有フィルムであって、
−ポリマーマトリクスを有する可食性担体フィルムであって、高分子基材として、水溶性であるかもしくはエタノール−水混合物中に溶解するポリマー、または少なくとも2種のかかるポリマーの混合物を含む、前記可食性担体フィルムを有すること;
−前記担体フィルムは、滑らかな底面およびこれと反対側の上面を有し、該上面にはスパイス粒子による被覆物を備え、ここで前記スパイス粒子の大部分は担体フィルムの表面に接着して、部分的にのみこの担体フィルム中に浸透するが、しかし完全には担体フィルム内に封入されていないこと、
を特徴とする、前記可食性スパイス含有フィルム。
【請求項2】
上面に、フィルムに適用されるスパイス粒子の形状によって主にまたは完全に決定される、粗い表面構造を有すること、および、担体フィルムの底面の滑らかな構造は、同時に前記スパイス含有フィルムの底面も形成しており、これはポリマーマトリクスにより主に決定されることを特徴とする、請求項1に記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項3】
スパイス粒子を備えた面の反対側である底面が、滑らかで閉じた構造を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項4】
1種または2種以上のポリマーが、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、水溶性多糖類およびタンパク質を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項5】
ポリマーマトリクスが、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、多糖類、タンパク質、および前記ポリマーの組合せを含む群から選択される高分子基材からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項6】
セルロース誘導体が、セルロースエーテル類の群から、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびメチルセルロースを含む群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項7】
多糖類が植物または微生物由来のものであり、好ましくはプルラン、キサンタン、キトサン、アルギン酸塩、デキストラン、ペクチンおよび加工デンプンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項8】
タンパク質が、ゼラチン化タンパク質の群から、好ましくはゼラチンおよびコラーゲンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項9】
全体の層の厚さが、0.2〜5mm、好ましくは0.4〜2mmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項10】
スパイスを含有しない担体フィルムの単位面積当たり乾燥重量が、30〜200g/m、好ましくは80〜150g/mであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項11】
スパイス粒子の担体フィルムに対する質量比が、2:1〜10:1の範囲、好ましくは3:1〜6:1の範囲であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項12】
スパイスによる被覆重量が、60〜1500g/m、好ましくは200〜700g/mであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項13】
スパイス粒子が、0.1〜50mmの範囲、好ましくは0.5〜2mmの範囲の粒径を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項14】
1種または2種以上のスパイスとして、ハーブもしくは植物部分を含むか、またはハーブもしくは植物部分からなる、スパイス粒子を有することを特徴とし、ここで前記スパイス粒子は、アニス、ラムソン、バジル、ベリー類、セボリー、チリ、ペッパー、カレー、ディル、エストラゴン、ユーカリ、ウィキョウ、ショウガ、ショウブ、ケイパー、カルダモン、チャービル、ガーリック、コリアンダー、キャラウェー、クルクマ、ラベンダー、レモングラス、ラビッジ、月桂樹の葉、メース、マジョラム、メリッサ、ホースラディッシュ、ミント、ナツメグ、ギンバイカ、クローブ、オレガノ、パプリカ、リーキ、パセリ、ペッパー、マッシュルーム、ピメント、ピスタチオ、ローズマリー、サフラン、セージ、チャイブ、ブラッククミンの種子、セロリの葉、カラシの種子、ゴマ、ダイウイキョウ(スターアニス)、タイム、トマト、トリュフ、バニラ、ジュニパーベリー、クルマバソウ、シナモン、レモンバーム、およびオニオンを含む群からの1種または2種以上のスパイスを含むかまたはこれらからなることが好ましい、請求項1〜13のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項15】
スパイス粒子を備えた担体フィルムの上面に、スパイス混合物、スパイス調合物、スパイス調製物、調味料調合物を含有する調製物、スパイスフレーバー調合物、スパイスフレーバー塩、食肉軟化剤、肉エキス、調味料および調味料混合物を含む群から選択される1種または2種以上の調合物が適用されることを特徴とする、請求項14に記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項16】
含有するスパイスの種類またはその組成において異なる、少なくとも2つのスパイス粒子群を含有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項17】
少なくとも2種の異なるスパイスを含むスパイス粒子を含有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項18】
被覆物、好ましくは接着性被覆物を備えるスパイス粒子を含有することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項19】
スパイスまたはスパイス調合物が、マイクロカプセル化形態で存在することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項20】
担体フィルムのポリマーマトリクスが、抗酸化剤、乳化剤、ゲル化剤、フレーバー増強剤、風味付け物質、甘味料、安定化剤、pH調節剤、酸性化剤、増量剤、保存剤、染料、増粘剤、柔軟剤および湿潤剤を含む群から選択される1種または2種以上の物質を含有することを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項21】
カットされた形状として、リールとして、または円筒状のケーシングとして存在することを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルム。
【請求項22】
可食性スパイス含有フィルムの、特に請求項1〜21のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルムの製造方法であって、以下のステップ:
−水溶性であるかもしくはエタノール−水混合物に溶解するポリマーか、または少なくとも2種のかかるポリマーの混合物を含有する、溶液または分散液を調製すること;
−液体のポリマー物質を被覆物支持体上に塗布して、これにより湿潤なポリマーマトリクス層を得ること;
−湿潤なポリマーマトリクス層の表面にスパイス粒子を適用すること;
−スパイス粒子で被覆されたポリマーマトリクス層を、溶媒を取り去ることにより、好ましくは乾燥することにより、固化すること;
を特徴とする、前記方法。
【請求項23】
溶液または分散液を調製する間に、抗酸化剤、乳化剤、ゲル化剤、フレーバー増強剤、風味付け物質、甘味料、安定化剤、pH調節剤、酸性化剤、増量剤、保存剤、染料、増粘剤、柔軟剤および湿潤剤を含む群から選択される1種または2種以上の添加剤を加えることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ポリマー物質を塗布することおよびスパイス粒子を適用することが連続したプロセスにおいて行われ、ここで被覆物支持体がその上のポリマーマトリクス層と共に前方に運搬され、同時に、スパイス粒子が過剰量でまだ湿潤なポリマーマトリクス層の上に撒き散らされ、ここで被覆物支持体は続いて、好ましくは転向ロールを介して向きを変え、これによりポリマーマトリクス層に結合していない過剰なスパイス粒子が落とされることを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1〜21のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルムの、食物に味付けするため、または食物上に装飾用スパイスを適用するための使用であって、ここで処理される食物は、少なくとも一時的にスパイス含有フィルムと接触させられる、前記使用。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれかに記載の可食性スパイス含有フィルムの、食物を覆うかまたは包むための使用であって、ここで該フィルムは、処理される食物の表面に適用され、この表面に結合する、前記使用。
【請求項27】
可食性スパイス含有フィルムが、食物の表面に圧力および/または熱を用いて適用されることを特徴とする、請求項25または26に記載の使用。
【請求項28】
フィルムを食物に、スパイスが添加されたフィルム上面を食物の表面に接触させるような様式で適用することを特徴とする、請求項26または27に記載の使用。
【請求項29】
フィルムを食物に、フィルムの滑らかな底面を食物の表面に接触させるような様式で適用することを特徴とする、請求項26または27に記載の使用。
【請求項30】
食物が、肉、ソーセージ、ハム、調理済み加工製品、チーズ、魚、海産動物、ベーカリー製品、菓子製品、スイーツ類、野菜、果物、ナッツ、冷凍食品、アイスクリーム、保存食品、半調理済み製品、スナック製品および便宜品を含む群から選択されることを特徴とする、請求項25〜29のいずれかに記載の使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−508830(P2010−508830A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535612(P2009−535612)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009564
【国際公開番号】WO2008/058649
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】