説明

可食性食品容器およびその製造方法

食品を支持するための中央部(3)と、食品を横方向に包含するためのそこから延在する少なくとも1つの周辺部(4)とを有する本体(2)を備える可食性食品容器。中央部(3)および周辺部(4)は共に、同じ可食性材料で形成される。さらに、周辺部(4)は中央部(3)と異なる力学的強度を有する1つまたは複数の取外し可能領域(5)を有し、これにより、使用者がこのような1つまたは複数の取外し可能領域(5)を分離および除去するのを容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、食品およびケータリングの分野における出願であり、詳細には、請求項1の前提部分で定義される可食性食品容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、種々のタイプおよび軟度の食品を支持および包含するために、様々な形状を有する多くの可食性容器が知られている。
【0003】
たとえば、EP−A−1044613、GB−A−327322、US−A−2508724、US−A−5916611は、アイスクリームおよび類似の製品な練り粉の低軟度の食品を容易に包含するために円錐形、部分円錐形または円筒形の側壁を有するトレイまたはカップ形食品容器をそれぞれ開示する。該容器は、小麦粉から作られる練り粉(dough)から得られるバターシートを適切な大きさに分けたものを高温成形し、または折り曲げ、およびそれを焼成することによって製造される。
【0004】
上述の従来技術の手法では、常に平坦な支持底面が形成されるわけではなく、そのような場合、側壁は一般に、底面が平坦な場合と比べてかなりの大きさの延長部を有する。このような状況により、容器はアイスクリームな練り粉の低軟度製品を包含し、およびその摂取を可能にするのに適したものになるが、他の固形食品の摂取を可能にするのは容易ではない。カップ形は、スプーンを使用する、または側壁縁部に直接唇を置くことにより、食品を摂取することができるが、固形製品を切って食べるためにフォークおよびナイフを使用するのに妨げになる。
【0005】
さらにこのタイプの容器では、歯で容器の一部分を直接噛むだけで、この部分が外れて食べられることがある。容器の一部分を手またはナイフおよびフォークで取り外そうとすると、容器が望ましくない場所で壊れる恐れがあり、これにより不意に食品をこぼすことになり、動作をさらに困難にさせることがある。
【0006】
EP−A−1219185、EP−A−752209、US−A−4065581は、概ね平坦な表面に載せるための実質的に平坦な底壁、および食品のいかなる不意の漏出も阻止するための隆起した周辺縁部を有する可食性食品容器を開示する。これらの容器は、一連のバターシートを成形および焼成することにより得られる。
【0007】
上述の手法は、平坦な壁を、たとえばテーブルの上に置いてナイフおよびフォークを使って、または人の手で容器を保持して食品の一部分および容器の一部分に噛みつくことで、容器内に包含される食品を容易に摂取することを可能にする。それでもなお、手またはナイフおよびフォークでの容器の一部分の除去は、上述の危険性を伴って容器が望ましくない場所で壊れる恐れがあるので、容易でない場合がある。この問題は、容器の底壁および側壁が同じ処理ステップを受け、完成した容器では実質的に同じ強度および可撓特性を有するという事実によって、さらに深刻になる。したがって、側壁の一部分のみが取り外されると、壊すのに必要な力が両方の壁に対して同様であることから、底壁も壊れてしまう危険性がある。
【特許文献1】EP−A−1044613
【特許文献2】GB−A−327322
【特許文献3】US−A−2508724
【特許文献4】US−A−5916611
【特許文献5】EP−A−1219185
【特許文献6】EP−A−752209
【特許文献7】US−A−4065581
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる一つの目的は、その中に食品が包含されたままでも容易に食べることができる可食性食品容器を提供することによって、上述の欠点を回避することである。
【0009】
一つの具体的な目的は、使用者が立ったまま彼/彼女の手で容器を保持する場合、ならびにテーブルの上で、ナイフおよびフォークを使用する場合で共に使用される機能的および実用的な容器を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、好ましい外観を有する容器を提供することである。
【0011】
他の特定の目的は、該容器を製造するための、迅速なおよび費用効率が高い方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以後、より明確になるであろうこれらの目的ならびに他の目的は、請求項1による、食品を支持するための中央部と、食品を横方向に包含するためのそこから延在する少なくとも1つの周辺部とを有する本体を備え、該中央部および該周辺部が共に同じ可食性材料で形成される、可食性食品容器であって、該周辺部が、該中央部と異なる力学的強度を有する1つまたは複数の取外し可能領域を有し、これにより使用者が、このような1つまたは複数の取外し可能領域を分離および除去するのを容易にすることを特徴とする可食性食品容器によって実現される。
【0013】
この特定の構成によって、便利で好ましい可食性容器を得ることができる。
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と共に、非限定的な例として記載される本発明による可食性容器のいくつかの好ましい排他的でない実施形態の詳細な説明からより明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
特に後述の図面を参照して、本発明による可食性食品容器を記載するが、これは全体として番号1で示される。容器1は、食品を支持する中央部3と、食品を横方向に包含し中央部3から延在する少なくとも1つの周辺部4とを有する本体2を備える。
【0016】
中央部3および周辺部4は共に、同じ可食性材料で形成される。本体2は、実質的にシート状の構造を有してもよく、または剛性を局所的に増大させるために局所的に厚くなった領域(図示せず)を有してもよい。さらに中央部3は、窪んだまたは実質的に平坦な形状を有してもよく、周辺部4は、中央部3の水平面に対してわずかに上方に折り返されてもよい。
【0017】
容器1は、様々な図面の形状を有してもよく、好ましくは、中央部3は円形であってもよく、周辺部4は実質的に環状であってもよい。より詳細には、容器1は22cmから26cmの全体の直径Dを有してもよく、周辺部4は2cm〜4cm、好ましくは3cmの幅Lを有してもよい。
【0018】
本発明の固有の特徴は、周辺部4が、中央部3とは異なる力学的強度を有する1つまたは複数の取外し可能領域5を有することにある。これにより、使用者がこれらの1つまたは複数の取外し可能領域を分離および除去することが容易になる。
【0019】
取外し可能領域5は、異なる密度によって中央部と差別化されてもよい。特に、中央部3は、周辺部4の取外し可能領域5より高い密度を有してもよい。密度に差を設けることの他に代替例として、取外し可能領域5は、そこから除去するのを容易にするために中央部3と異なる厚みを有してもよい。ある実施形態では、周辺部4は中央部3より大きな平均の厚みを有することができる。
【0020】
添付の図面で示すように、本体2は、中央部3と1つまたは複数の取外し可能領域5との間の結合縁部で、少なくとも1つの切取り線を有してもよい。この切取り線6は、実質的に円形状を有し、360°の角度を通して連続的に延在してもよい。
【0021】
好都合には、周辺部4は、場合により異なる形状および向きを有する別の切取り線6’を有してもよい。
【0022】
特に、これらの別の切取り線6’は、図2に示すように、放射状におよび/または円弧に沿って延在していてよく、または各種の多角形状7を画定してよい。図1に示すように、多角形形状7は実質的に、不等辺三角形の形状を有してもよい。
【0023】
食品容器の働きを促進し、中央部3の上方面から下方面へ食品が漏出するのを防ぐには、中央部3は、実質的に液体不浸透性になるように適切に処理されてもよい。具体的には中央部3は、製造過程中に適切な圧力および温度の組合せを適応すること、またはその上方面に実質的に液体不浸透性の層(図示せず)を塗布することによって、実質的に液体不浸透にされてもよい。
【0024】
容器1は、上述のように、以下のステップを含む方法によって製造されてもよい。
【0025】
第1のステップa)で、いくつかの異なる原料を包含し、特に基本成分として穀物または植物果実の粉を有してもよい可食性製品の練り粉を用意する。
【0026】
第2のステップb)で、1つの容器1を製造するために、所定の量の練り粉を伸ばして広げて、少なくとも1つの実質的にシート状の円板を形成する。所定の量の練り粉は、たとえば実質的に平坦な生地から切り離され、単一のシート状円板または複数のシート状円板を製造するのに選択されてもよい。また、単一のシート状円板に関して以下に記載されるステップは、一度に1つの円板で実行してよく、または複数のシート状円板で同時に実行してもよく、これによりこの方法をより迅速にし、より費用効果を高めることができる。
【0027】
次にステップc)で、円板は、半完成品を得るために少なくとも1度成形される。
【0028】
この成形するステップc)は、中央部3、および該中央部3の周辺に配置される周辺部4を形成する。中央部分3の力学的強度に対して、異なる力学的強度を有する1つまたは複数の取外し可能領域5が、さらに形成される。これにより、使用者がこれらの1つまたは複数の取外し可能領域5を分離および除去するのが容易になる。
【0029】
本発明の方法はさらに、ステップd)で、半完成品を少なくとも一度調理する。練り粉の成分およびそれらの調理方法の適切な選択により、様々な軟度および靭性の特質を備える容器1が形成される。さらに詳細には、容器1は「ピアディーナ」(piadina)(典型的なイタリアの石焼パン)のように比較的柔らかくてもよく、またはピッツアのように比較的硬くてもよい。
【0030】
成形するステップc)は、中央部3が、周辺部4と異なる力学的強度を有するように、中央部3でのみ行われる少なくとも1つの加圧動作を含んでもよい。
【0031】
成形および加圧するステップc)ならびに調理するステップd)は、以下により詳細に記載するように、異なった時間にまたは同時に行ってもよい。
【0032】
第1の実施形態では、加圧動作は調理の前に行ってもよい。この場合、冷却後、さらなる加圧が中央部でのみ行われてもよい。
【0033】
第2の実施形態では、部分的な調理の後に加圧してもよい。半完成品の調理は、加圧後に完了してもよい。
【0034】
第3の実施形態では、加圧は、調理と同時に行われてもよい。特に調理は、中央部3を熱せられたプラテン(図示せず)に宛がって接触加熱すること、および周辺部4を空気加熱することによって行われてもよい。
【0035】
上述の開示から、本発明の容器は提示された目的を果たすことが示され、特に使用するのに便利で実用的であり、また費用効果が高い。
【0036】
本発明の容器および方法は、多くの修正および変更の余地があり、これら修正および変更はすべて添付の特許請求の範囲で開示される本発明の概念に含まれる。それらの詳細全ては、本発明の範囲から逸脱することなく、他の技術的に均等な要素によって置き換えられてもよく、その材料は様々な要求に応じて変更されてもよい。
【0037】
容器および方法を、特に添付の図面を参照して記載してきたが、開示および特許請求の範囲で参照した番号は、単に本発明のよりよい理解のために使用されたのであり、いかなる形においても特許請求された範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による容器の第1の実施形態の上面図である。
【図2】本発明による容器の第2の実施形態の上面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 可食性食品容器
2 本体
3 中央部
4 周辺部
5 取外し可能領域
6 切取り線
6’ 別の切取り線
7 多角形形状
D 容器の直径
L 周辺部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を支持するための中央部(3)と、食品を横方向に包含するための前記中央部(3)から延在する少なくとも1つの周辺部(4)とを有する本体(2)を備え、前記中央部(3)および前記周辺部(4)が共に同じ可食性材料で形成される、可食性食品容器であって、
前記周辺部(4)が、前記中央部(3)の力学的強度に対して異なる力学的強度を有する1つまたは複数の取外し可能領域(5)を有し、これにより使用者が、このような1つまたは複数の取外し可能領域(5)を分離および除去するのを容易にすることを特徴とする可食性食品容器。
【請求項2】
当該1つまたは複数の取外し可能領域(5)が、当該中央部(3)と異なる密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
当該中央部(3)が、当該1つまたは複数の取外し可能領域(5)より高い密度を有することを特徴とする、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
当該1つまたは複数の取外し可能領域(5)が、当該中央部(3)と異なる厚みを有することを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
当該本体(2)が、当該中央部(3)と当該1つまたは複数の取外し可能領域(5)との間の結合縁部に、少なくとも1つの切取り線(6)を有することを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
当該中央部(3)が、実質的に平坦な、円の形状を有し、当該周辺部(4)が、実質的に環状の形状を有することを特徴とする、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
当該周辺部(4)が、別の切取り線(6’)を有することを特徴とする、請求項5に記載の容器。
【請求項8】
当該別の切取り線(6’)が、放射状に延在することを特徴とする、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
当該別の切取り線(6’)が、円弧に沿って延在することを特徴とする、請求項7に記載の容器。
【請求項10】
当該別の切取り線(6’)が、多角形形状(7)を画定することを特徴とする、請求項7に記載の容器。
【請求項11】
当該多角形形状(7)が、三角形であることを特徴とする、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
当該周辺部(4)が、当該中央部(3)より大きい平均の厚みを有することを特徴とする、請求項4に記載の容器。
【請求項13】
当該中央部(3)が、上方面に実質的に液体不浸透性の層を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1つに記載の容器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載の可食性食品容器を製造する方法であって、
a)可食性製品の練り粉を用意するステップと、
b)所定量の前記練り粉を伸ばして広げて、少なくとも1つのシート状の円板を形成するステップと、
c)中央部(3)、および前記中央部(3)の周辺に配置される周辺部(4)を有し、前記中央部(3)の力学的強度に対して異なる力学的強度を有する1つまたは複数の取外し可能領域(5)が形成され、これにより使用者が前記取外し可能領域(5)を分離および除去するのを容易にする半完成品を得るために、少なくとも1度前記円板を成形するステップと、
d)前記半完成品を少なくとも1度調理するステップと
を含む方法。
【請求項15】
当該成形するステップc)が、当該少なくとも1度の調理するステップd)の前に、当該中央部(3)でのみ行われる少なくとも1度の加圧動作を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
当該方法が、当該調理するステップd)の後、当該中央部(3)でのみ行われる別の加圧動作を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
当該成形するステップc)が、当該少なくとも1度の調理するステップd)の後、当該中央部(3)でのみ行われる少なくとも1度の加圧動作を含み、当該少なくとも1度の調理するステップd)が、部分的に調理するステップであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
当該方法が、当該加圧動作の後、当該半完成品の調理を完了することを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
当該少なくとも1つの加圧動作が、当該少なくとも1つの調理するステップd)と同時に行われることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
当該調理するステップd)が、当該中央部(3)を熱せられたプラテンに宛がって接触加熱すること、および当該周辺部(4)を空気加熱することを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−512314(P2008−512314A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530785(P2007−530785)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002649
【国際公開番号】WO2006/027666
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(507074096)
【Fターム(参考)】